ダブルワークは合計で何時間まで働けるのか|法律上の上限と勤務の組み方 2026


この記事のポイント
- ✓ダブルワークで何時間働けるのかを
- ✓1日単位の実時間で計算する方法をまとめました
- ✓社会保険の加入条件まで
結論から書きます。ダブルワークで「何時間働けるか」を決めているのは、多くの人が思っているような法律の上限ではありません。実際に働ける時間を削っているのは、勤務先の間の移動時間、法律で取らされる休憩、そして深夜帯に入った瞬間に発生する制約の3つです。法律上は1日8時間・週40時間という通算の枠がありますが、その枠を使い切る前に、1日24時間という物理的な制約のほうが先に効いてきます。
この記事では、法律の枠を確認したうえで、1日単位で「実際に何時間手を動かせるのか」を分単位で計算していきます。同じ「週15時間の副業」でも、移動が片道40分あるかないかで、生活に残る余白はまったく別物になります。正直なところ、ここを計算せずにシフトを入れて、3ヶ月で潰れてしまう人が多すぎると感じています。
ダブルワークの「働ける時間」は法律ではなく1日の残り時間で決まる
ダブルワークに関する解説記事の多くは、労働基準法の条文の説明から始まります。それ自体は間違っていませんが、検索している人が本当に知りたいのは「明日から自分は何時間シフトに入れるのか」という具体的な数字のはずです。
まず前提を整理します。厚生労働省の副業・兼業に関する考え方では、雇用契約を2つ以上結んでいる場合、労働時間は事業場が異なっていても通算されます。つまり本業で8時間働いた日に、別の会社でアルバイトとして3時間働けば、その日の労働時間は11時間として扱われます。超過分の3時間は法定時間外労働です。
しかし、実際には労働基準法の原則として週40時間・1日8時間を超えて労働させてはならないと定められています。 出典: tcc-job.co.jp
ここで多くの人が誤解するのが、「では8時間を超えたら違法なのか」という点です。違法ではありません。時間外労働に関する労使協定、いわゆる36協定が結ばれていて、割増賃金が正しく支払われていれば、超えて働くこと自体は適法です。上限は原則として月45時間・年360時間という枠に収まっている必要があります。
つまり、法律の枠だけで考えると「本業8時間+副業3時間」は成立します。ところが実務では、この計算がまったく現実に合いません。理由は単純で、本業の始業から副業の終業までを通した「拘束時間」が、労働時間よりはるかに長くなるからです。
実際に日勤の会社員がダブルワークをする場合、朝7時に家を出て、副業を終えて帰宅するのが23時を回るというパターンは珍しくありません。この日の拘束時間は16時間です。労働時間は11時間でも、生活に使える時間は8時間しか残らず、そこから睡眠を7時間取れば自由時間は1時間です。この状態を平日5日続けられる人は、正直かなり限られます。
だからこの記事では、法律の上限を確認したうえで、「1日の残り時間」から逆算するアプローチを取ります。上限まで働けるかどうかではなく、上限に届く前にどこで止まるかを見ていきます。
労働時間が通算される場合と、されない場合の線引き
計算に入る前に、そもそも自分のケースで労働時間が通算されるのかを確認しておく必要があります。ここを間違えると、計算の前提そのものが崩れます。
雇用契約が2つある場合は通算される
本業も副業も「雇われて働く」形、つまり雇用契約を結んでいる場合、労働時間は通算されます。正社員とアルバイト、パートとパート、契約社員とアルバイト、いずれの組み合わせでも同じです。日雇いや単発バイトも雇用契約なので通算対象になります。
ダブルワークが雇用契約同士なら、労働時間は会社をまたいで通算されます。その結果、週40時間や1日8時間を超えれば時間外になり、割増賃金の扱いも付いて回ります。 出典: 1145.jp
通算の順番にはルールがあります。原則として、労働契約を先に結んだほうを「所定労働時間」として先にカウントし、後から契約したほうが法定労働時間を超える部分を負担します。つまり、後から副業先と契約した場合、割増賃金を支払う義務は副業先に生じるのが基本形です。
この仕組みがあるため、副業先の企業は採用時に「本業で何時間働いていますか」と必ず確認してきます。ここで実際より少なく申告すると、後から割増賃金の計算が狂い、雇う側にも自分にも面倒が発生します。1日8時間のフルタイム勤務があるなら、隠さず伝えるのが結局いちばん早いです。
業務委託・請負なら通算されない
一方、副業が業務委託契約や請負契約であれば、労働基準法上の「労働者」に当たらないため、労働時間は通算されません。在宅でのライティング、デザイン、動画編集、プログラミング、オンラインアシスタントといった仕事の多くはこの形です。
通算されないということは、本業で8時間働いた日に業務委託で3時間作業しても、法律上の時間外労働は発生しません。割増賃金の計算も不要です。
ただし、これは「いくらでも働ける」という意味ではありません。労働基準法の保護がない代わりに、健康管理も時間管理も完全に自己責任になります。実際、雇用のアルバイトなら店長が「今日は早く上がって」と言ってくれますが、業務委託には止めてくれる人がいません。締切前に連続で深夜まで作業して体調を崩す人は、雇用より業務委託のほうが圧倒的に多いというのが現場の実感です。
名前が業務委託でも実態が雇用なら通算される
注意したいのが、契約書のタイトルが「業務委託契約書」であっても、実態として指揮命令を受け、勤務時間や勤務場所を指定され、他人による代替が認められていないケースです。この場合は実態で判断され、労働者性が認められると労働時間は通算されます。
判断の目安は、仕事の依頼を断る自由があるか、業務の進め方に具体的な指示を受けているか、勤務時間が拘束されているか、報酬が時間で計算されているか、といった点です。すべて当てはまるなら、それは実質的に雇用です。契約形態を確認するときは、書面のタイトルではなく中身を見てください。
1日単位で実際に働ける時間を計算する5ステップ
ここからが本題です。1日に何時間働けるかを、実際の数字で出していきます。紙に書き出しながら読むと、自分のケースの答えがそのまま出ます。
ステップ1:1日から固定で消える時間を引く
まず、どうやっても動かせない時間を先に差し引きます。24時間からの引き算です。
睡眠時間を7時間とします。ここを削る前提の計画は、数週間で必ず破綻するので固定します。食事と入浴、身支度で合計2時間。家事や家族との時間で1時間。この時点で10時間が消え、残りは14時間です。
次に本業の労働時間8時間と、本業で強制的に取らされる休憩1時間を引きます。残りは5時間。ここが出発点です。よく「副業に週20時間使いたい」という相談を受けますが、平日1日あたりの原資は最大でも5時間しかないということを、まず数字で認識してください。
ステップ2:移動時間を差し引く
5時間からまず引くべきは移動です。ここを甘く見積もる人が本当に多いです。
自宅から本業への通勤が片道45分、本業から副業先への移動が30分、副業先から自宅への帰宅が50分だとします。合計2時間5分。残りは2時間55分まで縮みます。
ここに乗り換えの待ち時間、駅から職場までの徒歩、制服への着替えといった「移動に付随する時間」が加わります。実務では移動関連で2時間30分ほど見ておくのが安全です。すると副業に使える正味は2時間30分前後になります。
在宅ワークがダブルワークで強い理由はここにあります。移動がゼロなら、2時間30分がまるごと作業時間として残ります。同じ時給水準なら、移動がある働き方の倍近い成果になる計算です。在宅で1日をどう組み立てるかについては、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開で、家事と作業を交互に挟む具体的な時間割を紹介しています。移動時間がない前提で1日を設計するとどう変わるかがわかります。
ステップ3:休憩の法定義務を組み込む
見落とされがちなのが休憩です。労働基準法では、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません。
ここでのポイントは、休憩の付与義務は各事業場ごとに判断されるという点です。労働時間は通算されますが、休憩は通算した合計時間ではなく、それぞれの勤務先での労働時間に応じて発生します。本業で8時間働けば本業で1時間の休憩、副業で4時間働くなら副業側の休憩義務は発生しない、という形になります。
つまり、副業のシフトを6時間以内に抑えると休憩を挟まずに済み、拘束時間が短くなります。6時間を1分でも超えると45分の休憩が入り、拘束は6時間45分以上になります。休日にまとめて働く場合、この境界を意識してシフトを組むかどうかで、1日の終わりの時刻が1時間近く変わります。
ステップ4:深夜帯の制約を確認する
午後10時から翌朝5時までは深夜労働の時間帯です。この時間に働くと、労働時間の長短にかかわらず25%以上の割増賃金が発生します。時間外労働と深夜労働が重なれば、割増は合計50%以上です。
賃金面では有利に見えますが、1日の設計という観点では強い制約になります。副業を19時から始めて23時に終えると、帰宅は24時前後。翌朝7時に家を出るなら、睡眠は6時間を切ります。つまり深夜帯にシフトを伸ばした瞬間、ステップ1で固定したはずの睡眠7時間が崩れ、計算全体が破綻します。
なお18歳未満の年少者は、原則として深夜業に就かせることができません。学生でダブルワークを検討している場合、この点は先に確認してください。
もう1つ、勤務と勤務の間隔についても触れておきます。終業から次の始業までに一定時間の休息を確保する勤務間インターバル制度は、現在のところ事業主の努力義務です。義務ではありませんが、健康を守る目安としては11時間が一般的な水準とされています。本業を18時に終えて翌朝9時始業なら間隔は15時間ですが、間に副業を4時間挟むと10時間を割り込みます。自分でこの数字を計算し、割り込む日を週何日までにするかを決めておくのが現実的な自衛策です。
ステップ5:週単位で上限を確認する
最後に週で見ます。法定労働時間は週40時間。本業がフルタイムなら、この時点で枠は使い切っています。副業の時間はすべて法定時間外です。
時間外労働の上限は原則として月45時間。これを副業に全部充てるとすれば、月45時間、週あたり10時間強が上限の目安になります。平日に2時間ずつ入れれば週10時間で、ちょうど枠に収まる計算です。
ステップ4までで出た「平日1日2時間30分」という数字と、この「週10時間」という枠を突き合わせると、雇用型のダブルワークの現実的な着地点は「平日2時間を週4日、または休日に5時間を2日」あたりだとわかります。ここが多くの人にとっての実効上限です。
ケース別シミュレーション:1日に何時間働けるのか
計算式だけだとイメージしにくいので、代表的な3パターンで具体的に出します。
ケース1:日勤フルタイム+夜の店舗アルバイト
本業は9時から18時(休憩1時間)、通勤片道45分。副業は本業から20分の場所にある飲食店です。
18時退勤、移動して18時30分に副業開始。終業を21時30分にすると労働は3時間、休憩義務は発生しません。帰宅は22時15分ごろ。夕食と入浴で1時間、就寝が23時30分、起床が6時30分で睡眠7時間。ぎりぎり回ります。
この日の通算労働時間は11時間で、3時間が法定時間外。副業側が25%の割増賃金を負担します。ただし週5日これをやると月の時間外は60時間を超え、上限の月45時間を突破します。週3日が限度です。
ケース2:早番シフト+夜の在宅ワーク
本業が7時から16時(休憩1時間)、通勤片道30分。副業は業務委託の在宅ワークです。
16時30分帰宅、家事と夕食で1時間30分取っても18時には作業を始められます。21時まで作業して3時間、そこから入浴して22時30分就寝も可能です。
業務委託なので労働時間は通算されず、時間外や割増の概念もありません。移動がゼロで、しかも本業終わりが早いという条件が重なると、1日3時間を週5日、月60時間以上の作業時間が現実的に確保できます。雇用型のケース1が週3日で頭打ちだったのと比べると、確保できる総量が2倍近く違います。
ただし在宅は「時間はあるのに進まない」問題が出やすい形式でもあります。夜3時間の枠を実際に成果に変えるには集中の設計が要ります。在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックでは、疲れている夜でも作業を立ち上げるための具体的な手法をまとめています。時間を確保したあとの歩留まりを上げたい人向けの内容です。
ケース3:平日は本業のみ、休日にまとめて働く
平日は副業を入れず、土日に集中させるパターンです。
土曜に10時から16時まで働くと労働は6時間ちょうど。6時間を超えないため休憩義務が発生せず、拘束は6時間で済みます。これを土日で計12時間。月換算で48時間ほどです。
ここで17時まで延ばすと労働7時間になり、45分の休憩が必須。拘束は7時間45分になります。得られる労働時間は1時間増えるのに、拘束は1時間45分増える。時間あたりの効率で見ると、6時間で切るほうが合理的です。
このパターンの弱点は、休日が完全になくなることです。週7日稼働が続くと、2ヶ月から3ヶ月で疲労が抜けなくなるケースが目立ちます。月に1回は土日をまるごと空ける、という運用を最初からシフト希望に組み込んでおくことをおすすめします。
移動時間は労働時間に含まれるのか
計算のなかで曖昧になりやすいのが移動時間の扱いです。ここは明確な基準があります。
原則として、自宅と勤務先の間の通勤時間は労働時間ではありません。使用者の指揮命令下にないためです。したがって、本業から副業先へ移動する時間も、通勤の延長とみなされ労働時間には入りません。給与も発生しません。
例外は、勤務時間中に会社の指示で別の場所へ移動する場合です。たとえば副業先の店舗Aから店舗Bへ、業務命令で移動を指示されたなら、その移動は労働時間に含まれます。ヘルプ勤務で複数店舗を回るタイプの仕事では、この移動分が賃金計算に入っているかを確認してください。含まれていないなら、それは未払いの可能性があります。
実務的に重要なのは、労働時間に入らないからこそ、移動時間はダブルワークで最も無駄になりやすい資源だという点です。1日2時間の移動を週5日続けると、月40時間を無給で消費している計算になります。時給1,200円換算なら月48,000円相当です。
この数字を見たときに考えるべきは、「移動をゼロにできる仕事に置き換えられないか」という選択肢です。副業先を自宅から徒歩圏に変える、あるいは在宅で完結する業務委託に切り替える。どちらも同じ労働時間でより多くの時間が手元に残ります。求人の探し方から見直したい場合は、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説で、在宅案件を探すときの経路と、避けるべき求人の見分け方を整理しています。
私自身、編集の仕事を始めた最初の年に、打ち合わせのたびに片道1時間かけて都心まで出ていた時期がありました。作業自体は自宅でできるのに、月に8回の打ち合わせで16時間が移動に消えていた。オンライン会議に切り替えてもらったら、単価は変わらないのに月の実働に16時間の余裕が生まれました。当時は「移動も仕事のうち」と思い込んでいましたが、そう思い込んでいる限り時間は増えません。
休憩時間で損をしないための考え方
休憩は法律で守られた権利ですが、ダブルワークの文脈では拘束時間を伸ばす要因にもなります。両面を理解しておく必要があります。
まず前提として、休憩時間は労働から完全に解放されている必要があります。「店番をしながら休憩」「電話が鳴ったら出る前提で待機」は休憩ではなく手待ち時間であり、労働時間として賃金が発生します。副業先でこの扱いをされているなら、それは労働時間としてカウントすべきです。
そのうえで、シフトの組み方です。休憩義務の境界は6時間と8時間にあります。6時間ちょうどなら休憩不要、6時間1分なら45分必要。8時間ちょうどなら45分でよく、8時間1分なら1時間必要になります。
副業のシフトを自分で選べる立場なら、6時間以内か8時間ちょうどのどちらかに寄せると、拘束時間あたりの労働時間が最大化されます。6時間30分や8時間30分といった中途半端な設定が、いちばん効率が悪い組み方です。
なお、本業と副業をはしごする日は、本業の休憩時間を移動に充ててはいけません。休憩は労働時間の途中に与えられるものなので、勤務の前後にまとめて移動時間として使うことは制度上できません。実際には昼休みに移動して次の勤務に向かうような運用をしている人もいますが、これは本業側の休憩付与義務違反になる可能性があります。
深夜勤務を組み込むときに確認すべきこと
深夜帯の勤務は、割増賃金という明確なメリットがある一方、生活リズムへの影響が最も大きい選択肢です。
深夜労働の定義は午後10時から翌午前5時。この時間に働いた分には25%以上の割増が付きます。時給1,200円の仕事なら深夜帯は1,500円以上です。さらに、その勤務が法定時間外にも該当するなら時間外の25%が上乗せされ、合計50%増、時給換算で1,800円になります。
金額だけ見れば魅力的です。ただし、ここで冷静に計算してほしいことがあります。深夜3時間の勤務で得られる上乗せ分は、時給1,200円ベースなら900円から1,800円程度です。その対価として睡眠が2時間削られ、翌日の本業のパフォーマンスが落ちるとしたら、割に合うかどうかは慎重に見るべきです。
深夜シフトを入れるなら、翌日が休みの日に限定するのが基本です。金曜の夜や土曜の夜に集中させ、翌朝は起床時刻を固定しない。これなら睡眠負債を持ち越さずに済みます。逆に、平日の深夜シフトを常態化させるのは、健康面でも本業の評価面でもリスクが高い選択です。
もう1つ、深夜業に関しては健康確保の観点から、深夜業に従事する回数が一定以上の労働者について、自発的な健康診断の受診制度が設けられています。制度の詳細や副業に関する行政の考え方は、厚生労働省の公表資料で確認できます。深夜勤務を継続する予定があるなら、一度目を通しておいて損はありません。
社会保険と雇用保険は「合計時間」では判定されない
働ける時間を考えるとき、社会保険の加入条件を気にする人は多いです。ここは仕組みを正確に理解しておかないと、判断を間違えます。
ダブルワークの場合、それぞれの会社で加入要件(週20時間以上等)を満たした場合にのみ、社会保険の加入対象となります。逆に、合計が20時間を超えていても、会社ごとに要件を満たさなければ適用されないケースもあります。 出典: 1145.jp
重要なのは、労働時間は通算されるのに、社会保険の加入判定は通算されないという点です。この非対称性が混乱のもとになっています。
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入は、事業所ごとに判定されます。所定労働時間が正社員の4分の3以上であるか、または週の所定労働時間が20時間以上で月額賃金が88,000円以上、雇用期間の見込みが2ヶ月を超えるなどの要件を満たすと加入対象になります。本業で週40時間、副業で週10時間という配分なら、副業側は20時間に届かないため加入対象外です。
両方で要件を満たすと、二以上事業所勤務届を提出し、報酬を合算したうえで保険料を按分する手続きが必要になります。手続き自体は難しくありませんが、届出が漏れると保険料の計算が正しくならないので、該当する場合は年金事務所に確認してください。制度の詳細は日本年金機構のサイトで確認できます。
雇用保険については、原則として主たる賃金を受ける1つの事業所でのみ加入します。ただし65歳以上の人については、2つの事業所の労働時間を合算して要件を満たせば加入できる特例が設けられています。
社会保険を意識してシフトを調整するなら、副業側の週の所定労働時間を20時間未満に抑えるのが1つの目安です。ただしこれは、あくまで手続きの手間を減らすための調整であって、加入したほうが将来の年金額は増えます。手取りだけを見て判断しないほうがいい部分です。
上限を超えないためのシフト設計と勤務先への伝え方
ここまでの計算を、実際のシフト希望にどう落とし込むかを整理します。
副業先には本業の勤務時間を正確に伝える
繰り返しになりますが、これが最も重要です。労働時間が通算される以上、副業先は割増賃金の計算のために本業の勤務時間を把握する必要があります。伝え方は「本業は月曜から金曜、9時から18時の勤務です」という事実ベースで十分です。会社名まで言う義務はありません。
隠したまま働いて後から発覚すると、副業先に遡って割増賃金の支払い義務が生じ、関係が悪化します。最初に伝えておけば、副業先も無理のないシフトを組んでくれます。
本業の就業規則を確認する
副業の可否と、届出の要否を確認します。近年は副業を認める企業が増えていますが、認めていても届出制にしているケースが多数派です。届出を怠ると、副業そのものではなく手続き違反で処分対象になることがあります。
また、競業避止に関する規定にも注意してください。同業他社での勤務を禁じている企業は依然として多く、ここに抵触すると認められている副業であってもトラブルになります。
シフト希望は「入れる日」ではなく「入れない日」で出す
実務的なコツです。シフト希望を「この日は入れます」で出すと、埋められる日をすべて埋められる方向に力が働きます。逆に「この日は入れません」を先に固定して出すと、休息日が確保されやすくなります。
具体的には、週に2日は副業を入れない日を先に決めます。そのうち1日は完全に休む日にする。この2日があるかどうかで、ダブルワークを継続できる期間が大きく変わります。
3ヶ月ごとに実績を振り返る
計画した時間と、実際に働いた時間は必ずずれます。月次で労働時間を記録し、3ヶ月ごとに「予定より何時間多かったか」を確認してください。予定を超え続けているなら、それは体力の前借りをしている状態です。
記録は手書きでもスプレッドシートでも構いませんが、勤務先ごとに分けて、開始時刻と終了時刻、移動時間を残します。この記録は、割増賃金の未払いを指摘するときの根拠にもなります。
時間の上限を超えるより、時間単価を上げるほうが早い
ここからは、フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場からの観察です。
働ける時間の上限は、この記事で計算してきた通り、法律よりも生活の物理制約で決まります。平日2時間30分、週にして12時間から15時間。ここを超えて働こうとすると、まず睡眠が削られ、次に本業の評価が落ち、最後に体調が崩れます。この順番はほぼ例外がありません。
運営者として長く見てきた限りでは、ダブルワークを何年も続けている人には共通点があります。時間を増やす方向ではなく、同じ時間で得られるものを増やす方向に動いているのです。具体的には、移動時間をゼロにする、単発の作業ではなく継続案件に切り替える、そして手数料や中間マージンが乗らない取引経路を選ぶ、の3点です。
とくに3点目は見落とされがちですが、影響が大きいところです。仲介手数料が20%かかる経路で月10万円の報酬を得ると、手元に残るのは8万円です。同じ手取り10万円を確保するには、12万5,000円分の仕事をこなす必要があり、作業時間は25%増えます。週12時間の枠しかない人にとって、この25%は決定的です。
手数料0%の直接取引が意味を持つのは、金額そのものより、限られた時間の使い方が変わるからです。中間マージンが乗らなければ、依頼する側は同じ予算でより多くの量を頼めますし、受ける側は同じ作業量で手取りが厚くなります。双方が得をする構造なので、一度この形で回り始めた関係は長く続きます。運営していて実感するのは、長く続く人ほど、単発の作業を追いかけるのではなく「この人に任せると楽だ」という関係を作ることに時間を使っているという点です。
自分の作業がどの程度の時間単価に相当するのかを知りたい場合、職種別の相場を確認するのが早道です。文章を扱う仕事なら著述家,記者,編集者の年収・単価相場で、編集・ライティング系の報酬水準と業務範囲を確認できます。開発系のスキルがあるならソフトウェア作成者の年収・単価相場が参考になります。いずれも公的統計をベースにした相場感なので、いま受けている案件が市場のどのあたりに位置するかの判断材料になります。
時間単価を上げる方向で考えるなら、扱える領域を広げるのも有効です。ここ数年で需要が伸びているのは、生成AIの業務導入を支援する領域です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、この分野でどのような業務が発注されているか、必要な知識の範囲がどこまでかを整理しています。専門職の色が強い分、同じ作業時間でも単価の水準が変わってきます。マーケティングやセキュリティを含めた周辺領域まで見たい場合はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も合わせて確認すると、自分のスキルと接続しやすい入口が見つかりやすくなります。開発寄りに進みたいならアプリケーション開発のお仕事で、案件の種類と求められる経験のレベル感を把握しておくと計画が立てやすいです。
資格を軸に時間単価を上げる方法もあります。事務系の在宅業務を安定して受けたいならビジネス文書検定のような、書類作成の正確さを客観的に示せる資格が効きます。ネットワーク系の実務に近づきたいならCCNA(シスコ技術者認定)が定番で、資格の有無で受けられる案件の範囲が変わる領域です。限られた副業時間のなかで学習に投資するなら、案件の入口が明確に広がるものを選ぶべきです。
最後にもう一度、数字で整理します。ダブルワークで働ける時間は、法律上は本業と合わせて1日8時間・週40時間が原則で、36協定があれば月45時間まで時間外を積める。しかし移動と休憩と睡眠を差し引いた実効値は、平日1日あたり2時間30分前後、週12時間から15時間です。この枠をどう使うかを決めるのが、ダブルワークの設計そのものだと考えています。
よくある質問
Q. ダブルワークは本業と合わせて1日何時間まで働けますか?
雇用契約同士なら労働時間は通算され、法定は1日8時間・週40時間が原則です。36協定があれば時間外として月45時間まで積めるため、本業8時間の日に副業3時間程度は法的に可能です。ただし移動と休憩、睡眠を差し引くと実際に確保できるのは平日1日2時間30分前後が現実的な上限になります。
Q. 本業と副業の間の移動時間は労働時間に入りますか?
入りません。自宅と勤務先の往復や、本業から副業先への移動は通勤の延長とみなされ、賃金も発生しないのが原則です。例外は勤務時間中に会社の指示で別の場所へ移動する場合で、これは労働時間に含まれます。片道1時間の移動を週5日続けると月40時間が無給で消えるため、在宅型の仕事に置き換える価値は大きいです。
Q. 副業のシフトは何時間で切るのが効率的ですか?
6時間以内、または8時間ちょうどに寄せるのが効率的です。労働基準法では6時間を超えると45分、8時間を超えると1時間の休憩が必須になり、その分だけ拘束時間が伸びます。6時間30分や8時間30分といった中途半端な設定は、増える労働時間より拘束時間の増加のほうが大きくなるため避けたほうがいいです。
Q. 業務委託の在宅ワークでも労働時間は通算されますか?
通算されません。業務委託や請負は労働基準法上の労働者に当たらないため、本業の労働時間と合算されず、時間外や割増賃金の計算も不要です。ただし契約書のタイトルが業務委託でも、勤務時間や進め方を細かく指示され断る自由がない実態なら、労働者性が認められて通算対象になる場合があります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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