コーチング 副業 確定申告|セッション売上の所得区分と経費


この記事のポイント
- ✓コーチング副業の確定申告に悩む方へ
- ✓セッション売上の所得区分(事業所得・雑所得)
- ✓青色申告のメリットまで
「コーチングの副業を始めたけれど、確定申告ってどうすればいいんでしょうか…」
このご相談、最近とても増えています。本業の傍らでクライアントを少しずつ持ち始めて、気づいたら年間で数十万円の売上になっていた、と。喜びと同時に、税金のことで頭がいっぱいになってしまう方が、本当に多いんです。
大丈夫ですよ。あなたは一人じゃありません。コーチングという仕事は、まだ税務処理のルールが世間に浸透していない分野だからこそ、戸惑うのは当然のこと。今日は、コーチング副業の確定申告について、「いくらから必要か」「何を経費にできるか」「どんな書類を準備するか」を、できるだけ日常の言葉でお伝えしていきます。読み終わるころには、「自分は何をすればいいのか」がはっきり見えているはずです。
コーチング副業を取り巻く現状と確定申告が必要になる人
ここ数年、コーチングを副業で始める方が急増しています。コロナ禍以降、オンラインでセッションを完結できる環境が整い、本業の終業後や週末だけでもクライアントを持てるようになりました。コーチング業界団体の発表によると、国内のプロコーチ人口はおよそ2万人以上まで広がり、そのうち副業として活動している方の割合も年々高まっているとされています。
副業コーチの収益モデルは、おもに次のようなパターンに分かれます。
・継続セッション契約(月2回×6か月など)で月額3万円〜10万円を継続的に得る ・単発セッション(90分1万円〜2万円程度)の積み重ね ・体験セッションから本契約への引き上げ ・グループコーチング・講座開催による複数収益 ・企業研修・人事評価面談の外部委託
どの形であれ、お金が動いた瞬間から「税務」の世界に足を踏み入れることになります。会社員の方が副業でコーチングを行っている場合、ここで必ず出てくるのが「20万円ルール」と呼ばれる基準です。
「ちなみに現在会社員をされている方で、これからコーチングの副業をしようと考えている方は、売上が年間20万円以下の場合、確定申告が不要のため個人事業者登録も必要ありません」と、副業コーチの経験者も発信しています。
ちなみに現在会社員をされている方で、これからコーチングの副業をしようと考えている方は、売上が年間20万円以下の場合、確定申告が不要のため個人事業者登録も必要ありません。
ただし、ここで注意していただきたいのは、この「20万円」は「売上」ではなく「所得(売上から経費を引いた利益)」を指している点です。年間売上が30万円あっても、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、所得税の確定申告は不要になります。とはいえ、住民税の申告は必要ですし、専業主婦の方や扶養に入っている方は基準が異なります。「自分はどのケースに当たるんだろう」と不安になったら、まずは落ち着いて整理していきましょう。
実は、私自身も心理職としてカウンセリングルームを開いた直後、初年度の確定申告で頭を抱えた経験があります。書籍や講座での出費が多く、いったい何を経費に入れていいのか分からず、税務署の無料相談に駆け込んだことを今でも覚えています。「分からないこと自体が悪いわけではない」と税理士さんに言ってもらえて、心がふっと軽くなった瞬間でした。あなたも、今その入り口に立っているだけなんです。
コーチング副業の所得区分|事業所得と雑所得の違い
コーチングセッションで得た売上は、税務上「事業所得」または「雑所得」のいずれかに区分されます。これがまず最初の分かれ道です。
コーチングという言葉も一般的となってきました。個人や会社が理想を達成するための人材開発のためにコーチング技術が生かされる機会が増えてきている現代ですが、その分、コーチングを行う人も増加しています。コーチングの収入は基本的には給与所得となることは少なく、報酬と言う形式でもらうため、事業所得として確定申告を行います。事業と言える規模ではなかったり、副業である場合には雑所得としても確定申告をしても良いでしょう。
1. 事業所得として申告するケース
事業所得とは、独立・継続・反復した経済活動から得る所得を指します。コーチングを「事業」として営んでいる、と税務署に認めてもらうための主な目安は、おおむね次の通りです。
・継続的にクライアントを持っており、売上が反復的に発生している ・年間売上がおおむね300万円を超える、または超える見込みがある ・帳簿(取引記録)をきちんと付けている ・名刺・ホームページ・SNSなどで対外的に活動を発信している ・専用の銀行口座やクレジットカードを業務用に分けている
2026年現在、国税庁は「副業の収入が300万円以下で、かつ帳簿書類の保存がない場合は、雑所得として取り扱う」という方針を示しています(事業所得と認められるためには、業務として営まれている社会通念上の実態と、適切な帳簿管理が必要、というのが基本姿勢です)。
事業所得として申告すると、次のような大きな利点があります。
・青色申告特別控除(最大65万円)が受けられる ・赤字が出た場合、給与所得と損益通算できる ・赤字を翌年以降3年間繰り越せる ・家族への給与(青色事業専従者給与)を経費にできる
2. 雑所得として申告するケース
一方、副業で売上がまだ小さい段階や、帳簿付けまで手が回っていない段階では、雑所得として申告するのが一般的です。雑所得には次のような特徴があります。
・確定申告は必要だが、青色申告のような特別控除は受けられない ・赤字が出ても給与所得と損益通算できない ・帳簿の作成義務は緩やか(ただし収支内訳書の提出は必要)
「事業所得と雑所得、どちらにすればいいんでしょう?」というご質問をよくいただきますが、これは「現在の規模感」「今後どう育てたいか」「帳簿付けの体力があるか」の3点で考えるのが現実的です。コーチング副業を始めて1〜2年目、年間売上が50万円以下の方は、まず雑所得で申告し、規模が拡大してきたら事業所得へ切り替える、というステップが負担も少なくおすすめです。
3. 給与所得との関係を理解する
会社員の方がコーチングを副業として行う場合、本業の給与は「給与所得」、コーチングの売上は「事業所得」または「雑所得」となり、これらは合算したうえで所得税を計算します。確定申告書のフォーマット上は別々の欄に記入し、最終的に合算された総所得金額に対して累進課税率が適用されます。
確定申告が必要なケース・不要なケースを整理する
「結局、自分は確定申告が必要なのか、不要なのか」を最初にはっきりさせておきましょう。コーチング副業の場合、立場によってルールが少しずつ違います。
1. 会社員(給与所得者)が副業でコーチングをしている場合
会社員の方は、本業の給与以外の所得が年間20万円を超えると、所得税の確定申告が必要になります。ここでの「所得」は売上ではなく、「売上 − 経費」の利益部分を指します。
・売上40万円、経費15万円 → 所得25万円 → 確定申告が必要 ・売上40万円、経費25万円 → 所得15万円 → 所得税の申告は不要(住民税は申告必要) ・売上18万円、経費0円 → 所得18万円 → 所得税の申告は不要(住民税は申告必要)
ここで多くの方が見落とされるのが「住民税の申告」です。所得税は20万円以下で免除される特例がありますが、住民税にはそうした特例がありません。少額でもコーチング収入がある場合は、お住まいの自治体に住民税の申告書を提出する必要があります。
2. 専業主婦・主夫が副業でコーチングをしている場合
配偶者の扶養に入っている方の場合は、合計所得が48万円を超えると確定申告が必要になります(基礎控除48万円を超える部分に所得税がかかるため)。扶養から外れる「103万円の壁」「130万円の壁」もあるため、扶養を維持したい場合は、年間の所得を見ながら計画的にクライアント数を調整される方も少なくありません。
3. すでにフリーランス・個人事業主の方
すでに別事業で開業届を出している方が、新たにコーチングを始めた場合は、その売上もすべて事業所得に合算して申告します。屋号や事業内容を変更・追加したい場合は、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を再提出するか、所轄税務署に問い合わせれば対応してもらえます。
4. 学生・年金受給者の場合
学生で扶養に入っている方は基準額が48万円以下、年金受給者の方は公的年金等控除との関係で計算が少し複雑になります。具体的な計算は国税庁の確定申告書作成コーナー(https://www.nta.go.jp/)で試算できます。
「自分は本当に申告が必要なのか不安です」というご相談、本当に多いんです。判断に迷ったら、税務署の電話相談センター(無料)に問い合わせるのが一番早い方法です。担当者の方は、私たち税務に詳しくない人にも、とても丁寧に対応してくださいます。
コーチング副業で認められる経費の具体例
確定申告で一番気になるのは、やはり「何を経費にできるか」だと思います。経費を正しく計上することで、課税される所得額が下がり、結果として支払う税金も少なくなります。コーチング副業で一般的に認められる経費を、具体的に見ていきましょう。
1. 研修・資格取得費用
コーチング業務に直接関係する研修費・受講料・テキスト代は、経費として計上できます。
・コーチング養成講座の受講料(ICF認定スクールなど、年間30万円〜100万円規模) ・継続的なスーパービジョン費用 ・コーチング関連書籍・参考図書 ・心理学・脳科学・組織開発などの隣接領域の学習費
ただし注意点として、「コーチングを始めるための初期投資」と「業務遂行のための継続学習」は、税務上の扱いが微妙に異なります。事業を開始する前に支払った資格取得費は、いったん「開業費」として繰延資産に計上し、開業後に償却していく扱いになります。
2. 通信費・サブスクリプション費用
オンラインでセッションを行う場合、次のような費用も経費として認められます。
・Zoom、Google Meetなどのビデオ会議システムの有料プラン ・コーチングノートアプリやCRMツールの月額費用 ・インターネット回線費(家事按分が必要) ・スマートフォン通信費(業務利用分のみ) ・SlackやChatworkなどのコミュニケーションツール費用
家事按分とは、家庭用と業務用を兼用しているものについて、業務利用分の割合を合理的に算出して経費計上することです。たとえば自宅のインターネット回線を週20時間業務で使い、それ以外をプライベートで使っている場合、業務利用割合を25〜30%程度として按分するのが一般的です。
3. 広告宣伝費
クライアント獲得のための広告費も経費になります。
・SNS広告(Facebook、Instagram、X、LinkedIn広告) ・Google広告、Yahoo!広告などのリスティング広告 ・自社ホームページのドメイン代・サーバー代 ・名刺、チラシ、パンフレットの印刷費 ・LP制作費、ライター・デザイナーへの外注費
4. 旅費交通費
オフラインでセッションや研修を行う場合、移動費用も経費になります。
・クライアント先や研修会場への電車・バス・タクシー代 ・遠方出張の宿泊費 ・カフェやレンタルスペースなど、セッション場所の利用料 ・出張時の食事代(一定の合理性の範囲内で)
5. 消耗品費・備品
セッションで使う備品も、業務に必要なものであれば経費にできます。
・ノート、ペン、ホワイトボードマーカー ・コーチングシート(自作・購入とも) ・10万円未満のPC、Webカメラ、マイク、ヘッドセット ・観葉植物やセッション環境を整える備品
10万円以上の備品は減価償却資産となり、耐用年数に応じて毎年経費計上していきます(青色申告で30万円未満のものは少額減価償却資産の特例で一括計上可能)。
6. 接待交際費
クライアントや見込み客との打ち合わせ費用、業界関係者との情報交換会の費用も、業務関連性が説明できれば経費になります。ただし、私的な飲食との線引きを意識し、相手の名前・日時・目的を必ず記録しておきましょう。
7. 地代家賃(自宅の一部を業務利用している場合)
自宅で完結するオンラインコーチングの場合、自宅家賃の一部を経費にできます。
・業務専用スペースが床面積の20%なら、家賃の20%を経費計上 ・水道光熱費も同様の按分率で計上可能 ・持ち家の場合は減価償却費・固定資産税の按分が可能
家事按分の根拠資料(部屋の見取り図、業務時間の記録など)は、いざ税務調査が入ったときに説明できるよう、簡単なメモでも残しておきましょう。
青色申告と白色申告|コーチング副業の場合の選び方
事業所得として申告する場合、青色申告と白色申告の選択ができます。これも多くの方が悩むポイントですね。
コーチング業にて独立開業した場合には、まずは個人事業の開業届と青色申告承認申請書は提出しなくてはなりません。特に、青色申告承認申請書の提出の有無は納税額に多大な影響を及ぼします。経験上は10~30万円程度は納税額が変わってくるでしょう(その人の所得税率によって効果が変わってきます)。
1. 青色申告のメリット
青色申告には、次のような大きなメリットがあります。
・最大65万円の青色申告特別控除(複式簿記+電子申告ore-Tax利用の場合)。簡易簿記でも10万円控除 ・赤字の繰越控除(最長3年間) ・家族への給与を経費化(青色事業専従者給与) ・30万円未満の減価償却資産の一括経費化
副業コーチング初年度は、研修費や機材費でむしろ赤字になるケースもあります。青色申告にしておけば、その赤字を翌年以降の黒字と相殺できるため、長期的な税負担を軽減できる効果があります。
2. 青色申告のデメリット・条件
青色申告を選ぶためには、開業届と「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。提出期限は、原則としてその年の3月15日まで(新規開業の場合は開業日から2か月以内)。期限を1日でも過ぎると、その年は白色申告での申告となります。
また、青色申告には複式簿記による帳簿作成が求められます。最近は会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生など)が複式簿記を自動化してくれるため、簿記の知識がなくても十分に対応可能です。月額1,000円〜2,000円程度の費用負担で、確定申告までスムーズに進められます。
3. 白色申告を選ぶケース
副業の規模がまだ小さく、青色申告承認申請書を提出する余裕がない場合は、白色申告でも問題ありません。白色申告には事前申請が不要で、収支内訳書と確定申告書を提出するだけで完了します。
「初年度は白色、2年目以降は青色」というステップでも、税務上の問題はまったくありません。まずはお試しで申告に慣れる、というスタンスでも大丈夫ですよ。
4. 帳簿付けの実務
青色・白色問わず、帳簿付けは早めに習慣化することをおすすめします。1年分の領収書を年末にまとめて入力するのは、想像以上に大変な作業です。毎月末に30分だけ会計ソフトを開く、というルールを作るだけで、確定申告期の負担が劇的に減ります。
私が運営しているカウンセリングルームでも、毎月末日は「帳簿の日」と決めて、コーヒー1杯分の時間を確保しています。最初は面倒に感じていたこの習慣が、確定申告期の救世主になっていることを実感しています。
確定申告に必要な書類と提出までの流れ
実際の確定申告までの流れを、時系列で整理しておきます。
1. 開業届の提出(事業所得で申告する場合)
事業を開始してから1か月以内に、所轄税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。同時に「青色申告承認申請書」も提出しておくと、初年度から青色申告のメリットを享受できます。両方ともe-Taxからオンライン提出可能で、紙の場合は税務署に直接持参か郵送で提出します。
2. 取引の記録(年間を通して継続)
セッション売上、経費の支払いをリアルタイムに記録していきます。記録の方法は以下のいずれかです。
・会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生)にレシート画像をアップロード ・銀行口座・クレジットカードと会計ソフトを連携して自動取込 ・Googleスプレッドシートやエクセルでの手動管理
副業コーチング用に、銀行口座とクレジットカードを業務専用に分けると、記帳がぐっと楽になります。プライベートとの混在は、後から整理する手間が膨大になるため、初期投資として口座を分けてしまうのが効率的です。
3. 領収書・請求書の保管
7年間(青色申告は7年、白色申告は5年)の保管義務があります。紙の領収書はファイルや封筒に月別で分け、デジタルデータはクラウドストレージに月別フォルダで保存しておくと安心です。電子帳簿保存法の改正により、デジタルで受領した請求書は電子保存が原則となっています。
4. 確定申告書の作成(翌年1月〜3月)
確定申告期間は、原則として翌年の2月16日〜3月15日です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」(https://www.nta.go.jp/)を使えば、画面の指示に従って入力するだけで申告書が完成します。
・会社員の方は本業の源泉徴収票が必要 ・コーチング売上の合計額 ・経費の内訳(事業所得の場合は青色申告決算書、雑所得の場合は収支内訳書) ・各種控除証明書(生命保険料、ふるさと納税、医療費など)
5. 提出と納税
e-Tax(電子申告)、税務署窓口、郵送のいずれかで提出します。e-Taxを使うとマイナンバーカードがあれば自宅から24時間提出可能で、青色申告特別控除の65万円枠も適用されます(紙申告だと55万円)。
納税は、確定申告と同じ3月15日が期限です。納付方法は、銀行振込、コンビニ納付、クレジットカード納付、ダイレクト納付(口座引き落とし)など複数あります。
6. 住民税の処理
確定申告をすると、自治体に情報が自動的に連携され、住民税の通知が翌年6月頃に届きます。会社員の方で副業を会社に知られたくない場合は、確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選択することで、副業分の住民税を本業の給与天引きとは別に納付できます(自治体によっては対応できない場合もあるため、念のため自治体窓口で確認しておくと安心です)。
副業がバレないための税務処理の注意点
「副業が会社にバレないようにしたい」というご相談も、本当に多いんです。コーチング副業の場合、税務処理の段階で工夫することで、会社に知られるリスクを下げられます。
1. 住民税の徴収方法を「自分で納付」にする
前述の通り、副業による住民税が本業の給与から天引きされると、会社の経理担当者から「給与額に対して住民税が多すぎる」と気づかれる可能性があります。確定申告書の「給与・公的年金等以外の所得にかかる住民税の徴収方法の選択」欄で、必ず「自分で納付」にチェックを入れましょう。
2. 雑所得で申告する場合の注意
雑所得として申告した場合も、住民税の処理は同様に「自分で納付」を選択できます。ただし、自治体によっては雑所得分の住民税を給与天引きに含めてしまうケースもあるため、不安な場合は住所地の市区町村役所に事前確認しておくと確実です。
3. SNSや実名活動でのリスク
税務処理を完璧にしても、SNSや勉強会で実名を出して活動していると、同僚や上司に偶然見つかってしまうリスクは残ります。コーチネーム(コーチング活動用の別名)を使用する、顔写真は使わない、勤務先を匂わせる投稿は控える、といった対策を組み合わせると、より安心して副業を続けられます。
4. 就業規則の確認
そもそも会社の就業規則で副業が禁止されていないか、副業申請が必要かどうかも事前に確認しておきましょう。最近は副業を解禁する企業が増えていますが、競業避止義務に抵触するケース(例:自社の研修事業と競合する内容のコーチングを個人で受託する)は、許可が必要な場合があります。
副業全般の進め方については、会社員が副業を始める完全ガイド|就業規則の確認から確定申告まで【2026年版】で就業規則の確認方法から確定申告までの流れを総合的に解説しています。あわせてご覧いただくと、コーチング副業に限らず幅広い副業に応用できる知識が得られます。
確定申告で見落としやすいポイントと節税のヒント
実際に申告するときに、見落としやすいポイントをまとめておきます。
1. 所得控除を漏らさず適用する
確定申告では、所得から差し引ける各種控除があります。コーチング副業の方が見落としやすいのは、次のような控除です。
・小規模企業共済等掛金控除:個人事業主向けの退職金制度。月額1,000円〜70,000円の掛金が全額所得控除になる ・iDeCo(個人型確定拠出年金):月額の掛金が全額所得控除 ・ふるさと納税:上限額内の寄付額(自己負担2,000円を超える部分)が所得から控除 ・医療費控除:年間10万円を超える医療費(家族分も合算可能) ・生命保険料控除・地震保険料控除:契約状況に応じて控除
これらをすべて漏れなく適用すると、合計で数十万円規模の節税効果が出ることもあります。
2. 開業費の繰延処理
事業を開始する前に支払った費用(コーチング養成講座受講料、開業準備のための交通費、名刺・ホームページ制作費など)は、「開業費」として繰延資産に計上できます。任意償却が認められているため、利益が出た年に集中的に経費化することで、節税効果を最大化できます。
3. インボイス制度への対応
2023年10月から始まったインボイス制度ですが、コーチング副業で売上が年間1,000万円以下の方は、原則として免税事業者のままで問題ありません。ただし、企業研修や法人クライアントを持つ場合、取引先からインボイス発行を求められるケースが増えています。インボイス発行事業者になると消費税の納税義務が発生するため、メリット・デメリットを慎重に比較してから判断しましょう。
4. 確定申告ソフトと税理士の活用
最初の1〜2回の申告は、freeeやマネーフォワードといった会計ソフトを使えば自力で十分対応できます。売上が年間500万円を超えてきたあたりから、税理士に相談する選択肢が現実的になります。顧問契約だと月額2万円〜5万円、スポット相談だと1回1万円〜3万円程度が相場です。
5. 確定申告期に慌てないために
毎年2月になると「今年こそは早めにやろうと思っていたのに…」と慌てる方が多いんです。年末(12月)の段階で、その年の売上と経費の概算を出しておくと、年明けの作業がとても楽になります。可能であれば、毎月末に30分だけでも帳簿を見る習慣を作っておきましょう。
副業コーチの確定申告を考えるうえで参考になるのが、同じ「専門スキル提供型」の他職種との比較です。たとえば、著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、専門的な知識を活かしたコンテンツ提供業務の単価帯が把握でき、コーチング業の単価設定の参考になります。同様に、ソフトウェア作成者の年収・単価相場からは、技術系副業の収入水準と税務処理の規模感を比較できます。
また、コーチング業務の周辺領域として、ビジネス文書作成や契約書整備のスキルがあると、業務範囲を広げやすくなります。行政書士資格を取得すれば、契約書作成のサポートまで含めたコーチング・コンサルティングサービスを展開できる可能性があります。デジタルコンテンツでクライアントへのサポート資料を作成する場合は、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressなどのスキルも有効です。
副業の収益を最大化していくための知識については、副業年収を最大化!2026年最新版、稼ぎと確定申告の全知識で、年収帯別の税務戦略と業務拡大のヒントをまとめています。あわせて、売上管理を効率化する具体的なツール活用法は、副業 確定申告 売上管理 スプレッドシート!2026年最新の時短術で詳しく解説しています。スプレッドシートでの管理から会計ソフトへの移行タイミングまで、副業コーチが避けて通れないテーマを網羅しています。
副業コーチが今後直面しやすい税務上の論点は、おおむね次のように整理できます。
・年間売上が100万円を超えてきたら、雑所得から事業所得への切り替えを検討 ・年間売上が300万円を超えてきたら、青色申告と複式簿記の導入を検討 ・年間売上が1,000万円を超えてきたら、インボイス登録と消費税対応を検討 ・年間売上が1,000万円を大きく超えてきたら、法人化を検討
このようにステージごとに必要な税務対応が変わってくるため、自分の現在地を見極めながら、一段ずつ階段を上っていくイメージを持っていただければと思います。
私自身、独立してからの一番の発見は、「お金の管理を整えることが、結果としてクライアントとの時間の質を高める」ということでした。経費の領収書がぐちゃぐちゃだったり、確定申告期に泣きそうになっていた時期は、目の前のクライアントへの集中力も明らかに落ちていたんです。税務処理は、面倒な事務作業ではなく、副業コーチとしての自分の活動を支える「土台」だと思って取り組むと、不思議と前向きに向き合えるようになります。
確定申告は、最初の1回が一番難しく感じます。でも、一度経験すると「あ、こんなものか」という感覚に変わります。あなたも、最初の一歩を踏み出すだけ。分からないことがあれば税務署の無料相談に駆け込めばいいですし、会計ソフトのサポートに聞いてもいい。一人で抱え込まなくて大丈夫ですよ。
よくある質問
Q. 副業の所得区分は雑所得と事業所得のどちらですか?
単発や小規模な副業は雑所得になりやすく、継続性や営利性、独立性がある場合は事業所得として整理できる余地があります。判断に迷う場合は税務署や税理士に確認するのが安全です。
Q. 副業が事業所得か雑所得か迷った時の判断基準は?
収入金額が概ね300万円を超えており、かつ帳簿書類を保存している場合は、事業所得として認められる可能性が高いです。300万円以下の場合は、その仕事に費やす時間や営利性、継続性が実態として備わっているかが判断基準となります。
Q. 副業収入が年間20万円以下なら確定申告は不要ですか?
所得税に関しては、副業所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円以下であれば申告不要となるケースが多いですが、住民税については金額にかかわらず自治体への申告が必要ですので注意してください。
Q. 会社員の副業でも、青色申告をして最大65万円の特別控除を受けることはできますか?
はい、可能です。ただし、副業での収入が「雑所得」ではなく「事業所得」として税務署に認められる必要があります。継続的・反復的に行われており、記帳や帳簿の保存がしっかり行われている(事業としての規模や実態がある)ことが条件 となります。
Q. 副業でも青色申告は可能ですか?
副業の所得が「事業所得」として認められる規模であれば可能です。「雑所得」と判断される場合は青色申告ができないため、記帳実態や事業の継続性などから総合的に判断する必要があります。
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この記事を書いた人
中西 直美
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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