治験のコーディネーターの志望動機をどう書くか|ここを選んだ理由の組み立て方


この記事のポイント
- ✓治験コーディネーターの志望動機に悩む看護師・薬剤師・臨床検査技師へ
- ✓SMOと院内CRCと治験専門病院で見られる点の違い
- ✓治験に関心を持った理由の掘り起こし方
「治験コーディネーターに応募したいのに、志望動機が書けないんです」
このご相談、本当に多いんです。
書けない理由を聞いてみると、ほとんどの方が同じところで止まっています。「治験に興味がある」までは書ける。でも、その先の「なぜこの会社なのか」「なぜこの病院なのか」が出てこない。そして、どの応募先にも同じ文章を出してしまう。
大丈夫ですよ。書けないのは、あなたの熱意が足りないからではありません。治験コーディネーター(CRC)の職場ごとの違いが見えていないから、理由の組み立てようがないだけなのです。
この記事では、採用する側が志望動機で何を確かめているのか、CRCが働く職場にはどんな違いがあるのか、そして自分の経験から「ここを選んだ理由」をどう組み立てるのかを、順番にお話しします。最後に、職場ごとの例文も載せています。
採用する側は、志望動機で何を確かめているのか
志望動機を書く前に、少しだけ相手の立場に立ってみましょう。
治験コーディネーターを採用する側は、志望動機を読みながら、主に3つのことを確かめています。
1つ目は、「治験の仕事を正しくイメージできているか」です。
CRCは、病棟や外来の看護とは違う仕事です。患者さんの治療そのものを行うのではなく、治験が計画どおりに進むように、患者さん、医師、病院の各部署、製薬会社の間をつなぎます。書類の作成やデータの入力に使う時間も、思っている以上に長いのです。
ここを知らずに「患者さんに寄り添いたい」とだけ書くと、採用する側は少し心配になります。入ってから「こんなに事務作業が多いとは思わなかった」と辞めてしまうのではないか、と。
2つ目は、「これまでの経験を、治験の仕事で生かせるか」です。
看護師なら患者さんの体調変化を読み取る力、薬剤師なら薬の相互作用を判断する力、臨床検査技師なら検体を正しく扱う力。どれも治験の現場で役に立ちます。ただ、それを「治験のこの場面で使える」と結びつけて書けているかどうかで、伝わり方が大きく変わります。
3つ目は、「うちの職場で長く働いてくれそうか」です。
治験は、1つの試験が数か月から数年続きます。担当者が途中で替わると、患者さんにとっても、医師や製薬会社にとっても負担になります。だから採用する側は、定着してくれるかをとても気にしています。
この3つ目こそが、「ここを選んだ理由」の出番です。なぜ他の会社や病院ではなく、ここなのか。その理由が具体的であるほど、「この人は職場のことを調べたうえで選んでいる。すぐには辞めないだろう」と受け取ってもらえます。
こうして見ると、志望動機は「熱意を伝える文章」というより、「仕事を理解していること」と「この職場を選んだ筋道」を伝える文章だと分かります。
少し気持ちが楽になりませんか。熱意を大きな言葉で飾る必要はありません。調べたこと、経験してきたことを、筋道を立てて並べれば、それで十分に伝わるのです。
治験コーディネーターの職場を知らないと、理由は組み立てられない
「ここを選んだ理由」を書くには、まず「ここ」がどんな職場なのかを知る必要があります。CRCの求人は、同じ職種名でも、働く場所がいくつかに分かれています。
SMO(治験施設支援機関)
CRCの多くは、SMOと呼ばれる会社に雇われています。SMOは病院やクリニックと契約を結び、治験の実務を担うCRCを送り出す会社です。
SMOのCRCは、担当する医療機関へ出向いて働きます。1人で複数の医療機関を担当することもあり、大学病院のような大きな病院から、地域のクリニックまで、さまざまな現場を経験できます。担当する疾患の領域も、試験ごとに変わります。
会社によって、得意な領域、担当する医療機関の規模、研修の手厚さ、新しい仕組みへの取り組み方が違います。ここが「ここを選んだ理由」の材料になります。
院内CRC
大学病院や大きな総合病院の中には、治験を管理する部署があり、病院の職員としてCRCが働いています。
院内CRCは、1つの病院の中で、医師や看護師、薬剤部、検査部と日常的に顔を合わせながら仕事をします。病院の中の人間関係やルールを知っていることが強みになり、長く同じ病院で働く人が多い職場です。
病院ごとに、力を入れている診療科、臨床研究の体制、治験の件数が違います。これも理由の材料になります。
治験専門病院
健康な人を対象に、新薬の安全性を確かめる初期の試験を中心に行う施設です。入院して投与と採血を繰り返す試験が多く、看護師や臨床検査技師が、決められた時刻に正確に処置を行うことが求められます。
ここでは、時刻を守る正確さや、多くの人を同時に安全に管理する力が重視されます。
志望動機にどう生かすか
こうして並べると、同じCRCでも、職場によって「求められる力」が違うことが分かります。
SMOなら、さまざまな医療機関に合わせて動ける柔軟さ。院内CRCなら、1つの病院の中で関係を築いていく粘り強さ。治験専門病院なら、手順を守る正確さ。
こういう相談がよくあります。「SMOにも院内にも応募しているので、同じ志望動機でいいですよね」と。
気持ちは分かります。応募が重なると、1つずつ書き分けるのは大変ですよね。でも、SMOに「この病院の一員として長く働きたい」と書いたり、院内CRCに「いろいろな医療機関を経験したい」と書いたりすると、採用する側には「うちのことを調べていない」と伝わってしまいます。
全部を書き直す必要はありません。後で紹介する組み立て方を使えば、「治験に関心を持った理由」と「生かせる経験」はそのままで、「ここを選んだ理由」だけを職場ごとに差し替えればよいのです。
求人票や会社のホームページを見るときは、次の点に注目してみてください。
・担当する医療機関の数や規模(SMOの場合) ・力を入れている疾患の領域や診療科 ・研修の内容と期間 ・CRCの人数と、1人あたりの担当の持ち方 ・品質の管理や、業務の効率化への取り組み
この中から、あなたの経験や考えと重なるものを1つか2つ見つけられれば、それが「ここを選んだ理由」の芯になります。
書く前に、その職場の1日を思い浮かべてみる
志望動機に取りかかる前に、もう1つだけおすすめしたいことがあります。応募先で働く自分の1日を、できるだけ具体的に思い浮かべてみることです。
これは、心理学でいう「イメージリハーサル」に近い方法です。難しく聞こえるかもしれませんが、つまりは「頭の中で一度、その職場に出勤してみる」ということです。
SMOのCRCなら、朝は事務所ではなく担当の病院へ向かいます。外来が始まる前に、その日に来院する患者さんの予定と検査の一覧を確認します。患者さんが来たら、受付から診察、採血、会計まで付き添い、体調や飲んでいる薬の変化を聞き取ります。午後は、カルテを見ながら症例報告書をまとめ、電子のシステムに入力します。製薬会社のモニターが来る日は、カルテと報告書が一致しているかの確認に立ち会います。担当の病院が2か所あれば、午後は別の病院へ移動する日もあります。
院内CRCなら、出勤先はいつも同じ病院です。朝は治験の部署で打ち合わせをし、担当の患者さんの来院に合わせて外来へ向かいます。検査部に採血の手順を確認しに行ったり、薬剤部に治験薬の準備を頼んだり、病院の中を行き来する時間が長くなります。新しい試験が始まる前には、関係する診療科や部署を集めた説明会の準備もします。
治験専門病院なら、勤務表に沿って出勤します。入院している参加者に、決められた時刻に投与し、採血し、血圧や心電図を測ります。数分の遅れも記録に残るので、時計を見ながら複数の人の処置を順番に進めていきます。
こうして1日を思い浮かべてみると、自分が「楽しめそうな場面」と「少し不安な場面」が見えてきます。
楽しめそうな場面は、そのまま志望動機の材料になります。「病院の中の各部署とやり取りしながら仕事を進めるのが好きだ」と感じたなら、院内CRCを選ぶ理由になります。「いろいろな病院に行けるのが面白そうだ」と感じたなら、SMOを選ぶ理由になります。
不安な場面は、面接で聞かれたときの準備になります。「書類作業が多いのは少し不安だ」と気づいていれば、「前の職場でも記録を正確に残すことを大切にしてきたので、そこから慣れていきたい」と、自分の言葉で答えを用意できます。
こういう相談もよくあります。「思い浮かべてみたら、自分には合わない気がしてきた」と。
それも、大切な発見です。応募する前に気づけたのは、あなたにとってよいことです。無理に書き進めず、別の職場の種類も含めて考え直してみてください。合わない職場に入って苦しくなるより、ずっと健やかな選び方です。
「治験に関心を持った理由」を自分の経験から掘り起こす
志望動機の最初の部分は、「なぜ治験の仕事に関心を持ったのか」です。
ここで多くの方が「新薬の開発に貢献したい」「患者さんに寄り添いたい」といった言葉を書きます。どちらも間違いではありません。ただ、それだけだと、ほかの応募者と同じ文章になってしまいます。
大切なのは、その気持ちが生まれた「場面」を書くことです。
CRCの転職支援をしている会社のサイトでは、治験に関心を持つきっかけとして、次のような例が挙げられています。
学生時代から薬の分野への関心が強かった。 担当した部署に新薬を待ち望んでいる患者様が多かったため、治験への興味が高まった。 新薬により治療が難しいとされていた病気が治るのを目の当たりにしたため、治験に興味を持った。 治験業界で働く友人との会話を通じて、治験に興味を持った。 目の前の患者様しか治療できないことに歯がゆさを感じていたときに、治験の話を聞いて興味を持った。 身内が新薬で救われた経験があり、治験の仕事に興味を持った。 知り合いが治験に参加しており、治験に興味を持った。 治験に参加している患者様と話す機会があり、治験に興味を持った。 出典: crc-bank.com
どれも、きっかけとしては立派なものです。ここで大事なのは、この一文を、あなた自身の具体的な場面にまで広げることです。
たとえば「担当した部署に新薬を待ち望んでいる患者様が多かった」なら、それはどの診療科で、どんな患者さんで、どんな言葉を聞いたのか。「目の前の患者様しか治療できないことに歯がゆさを感じた」なら、それはどんな出来事のときだったのか。
少し時間をとって、思い出してみてください。
・治験や新薬という言葉を、最初に意識したのはいつでしたか ・そのとき、どんな気持ちになりましたか ・そのあと、治験について自分で調べたことはありますか
3つ目の質問は、特に大切です。関心を持ったあとに、自分で何かをした経験があると、志望動機に厚みが出ます。治験の説明会に参加した、CRCとして働く知人に話を聞いた、GCPという治験のルールについて本を読んだ。そうした小さな行動が、「本気で考えている」ことの証になります。
同じサイトでは、次のようにも書かれています。
治験を受けている患者様と接した経験や、治験コーディネーター(CRC)と一緒に仕事をした経験がある方は、志望動機で積極的にアピールすることをおすすめします。 出典: crc-bank.com
病棟や外来で、治験に参加している患者さんを担当したことはありませんか。検査のたびに付き添ってきたCRCと話したことはありませんか。そうした経験があれば、それだけで「仕事のイメージができている人」として受け取ってもらいやすくなります。
私自身、カウンセリングの仕事で転職の相談を受けていると、「きっかけが小さすぎて書けない」と言う方によく出会います。でも、小さなきっかけほど、その人らしさが出るものです。大きな言葉で飾るより、実際にあった場面を1つ、正直に書くほうがずっと伝わります。
「これまでの経験で生かせること」を治験の仕事に結びつける
志望動機の2つ目の部分は、「これまでの経験を、治験の仕事でどう生かせるか」です。
ここでよくあるつまずきは、経験を並べるだけで終わってしまうことです。「病棟で5年間勤務しました」「調剤薬局で服薬指導をしていました」と書いても、それが治験のどの場面で役に立つのかまで書かないと、読み手に届きません。
コツは、「経験」と「治験の場面」を1本の線で結ぶことです。
看護師の場合
看護師の経験は、来院日の対応と、同意説明の補助で生きます。
治験では、患者さんが来院するたびに、体調の変化や、飲んでいる薬の変更がないかを聞き取ります。ここで見落としがあると、副作用の報告が遅れたり、試験の決まりに反してしまったりします。病棟で、患者さんのちょっとした変化に気づいてきた経験は、そのままこの場面で役に立ちます。
また、治験に参加するかどうかを決める患者さんは、不安を抱えています。医師の説明のあとに、分からなかったことを聞き直せる相手がいると、安心して判断できます。患者さんの話をじっくり聞いてきた経験は、ここで生きます。
看護師としての給与の水準を知っておくと、転職後の条件を考えるときの目安にもなります。職場の種類ごとの相場は、看護師の年収・単価相場にまとめられています。
薬剤師の場合
薬剤師の経験は、治験薬の管理と、併用薬の確認で生きます。
治験では、一緒に飲んではいけない薬が決められていることがよくあります。患者さんが他の病院で新しい薬を出されたとき、それが試験の決まりに触れないかを判断できるのは、大きな強みです。服薬指導の経験は、治験薬の飲み方を患者さんに分かりやすく伝える場面でも役立ちます。
薬剤師の職場ごとの給与の違いは、薬剤師の年収・単価相場で確かめられます。
臨床検査技師の場合
臨床検査技師の経験は、検体の取り扱いと、検査手順の管理で生きます。
治験では、採血した検体を決まった時間内に処理し、決まった温度で保管し、外部の検査会社へ送るといった手順が細かく決められています。検査の正確さにこだわってきた経験は、ここでそのまま生かせます。
医療資格がない場合
医療資格がない方は、アシスタント職から応募することが多いと思います。この場合は、事務の正確さ、スケジュールの管理、複数の人との調整の経験を、治験の書類管理や来院予定の調整と結びつけて書きます。医療事務の経験があれば、カルテや受付の流れを知っていることが強みになります。
どの場合も、書き方の形は同じです。
「前の職場で〇〇をしてきた。その経験は、治験の△△の場面で生かせると考えている」
この形で1つか2つ書けば、2つ目の部分は十分です。たくさん並べるより、1つを具体的に書くほうが、読む人の心に残ります。
「ここを選んだ理由」を職場ごとに書き分ける
いよいよ、志望動機の3つ目の部分、「ここを選んだ理由」です。ここが一番書きにくく、そして一番差がつくところです。
組み立ての手順は3つです。
1つ目に、応募先の特徴を2つか3つ書き出します。求人票、会社や病院のホームページ、説明会で聞いた話から拾います。
2つ目に、その中から、あなたの経験や考えと重なるものを1つ選びます。
3つ目に、「なぜそれが自分にとって大切なのか」を一文で書きます。
たとえば、あるSMOの会社案内に、「未経験者向けに導入研修から現場での指導、その後のフォローアップ研修まで段階的に用意している」「品質を管理する専門のチームを置き、治験のルールと計画書を守ることに力を入れている」と書かれていたとします。
こうした特徴を見て、「研修が充実しているから」とだけ書くのは避けたいところです。研修が充実している会社は、ほかにもたくさんあるからです。
そうではなく、「病棟では、手順を守ることの大切さを身にしみて感じてきた。未経験から治験に入るからこそ、段階的な研修で基本を身につけ、品質の管理にも力を入れている環境で、正確な仕事ができるCRCになりたい」のように、自分の経験と結びつけます。
職場の種類ごとに、結びつけやすい特徴の例を挙げておきます。
SMOなら、担当する医療機関の幅、得意な疾患の領域、研修の段階、業務の効率化への取り組みなど。「さまざまな規模の医療機関で経験を積みたい」「前の職場で担当していた領域の治験に力を入れている」といった理由が組み立てやすくなります。
院内CRCなら、力を入れている診療科、臨床研究の体制、病院の理念など。「この病院で治験に参加している患者さんを見てきた」「地域の中核病院として新しい治療を届けている姿勢に共感した」といった理由につながります。
治験専門病院なら、手順の正確さ、安全管理の体制、試験の規模など。「決められた時刻に正確に処置を行う仕事に、自分の強みを生かせる」といった理由が書きやすくなります。
ここで、1つ気をつけてほしいことがあります。「家から近いから」「給与が高いから」「夜勤がないから」という理由は、本音としては大切なものです。でも、それを志望動機の中心にすると、「条件がよければ、ほかに移ってしまうのでは」と受け取られます。
こうした条件は、応募先を選ぶときの大事な基準として、あなたの中で持っておけば大丈夫です。志望動機では、仕事の中身と職場の特徴に焦点を当てましょう。
職場別の例文と、面接で深掘りされること
ここまでの組み立て方を使った例文を、職場ごとに紹介します。そのまま使うのではなく、あなたの経験に置き換えて使ってください。
看護師からSMOへ
「病棟で勤務していた頃、治験に参加している患者さんを担当し、来院のたびに付き添うCRCの方の姿を見てきました。患者さんが不安を口にしたとき、CRCの方が時間をかけて話を聞き、医師に伝えていたことが強く印象に残っています。病棟で患者さんの小さな変化に気づくことを大切にしてきた経験は、来院日の聞き取りや体調確認の場面で生かせると考えています。貴社は、大学病院から地域のクリニックまで幅広い医療機関を支援しており、段階的な研修制度も整えていらっしゃいます。未経験からでも基本を確実に身につけ、さまざまな現場で信頼されるCRCになりたいと考え、志望いたしました。」
薬剤師から院内CRCへ
「調剤薬局で勤務する中で、新薬を心待ちにしている患者さんと接する機会が多くありました。薬が世に出るまでの過程に関わりたいと考え、治験について学ぶようになりました。服薬指導で、患者さんが飲んでいる薬を一つひとつ確認してきた経験は、治験での併用薬の確認や、治験薬の飲み方の説明に生かせると考えています。貴院は臨床研究に力を入れ、薬剤部と治験の部署が連携して治験薬を管理していると伺いました。薬剤師の視点を持ったCRCとして、院内の各部署と協力しながら、長く治験に携わりたいと考えています。」
臨床検査技師から治験専門病院へ
「病院の検査部で、検体を決められた手順で正確に処理することを大切にしてきました。治験では検体の処理や保管の手順が細かく定められており、その正確さが試験の信頼性を支えていると知り、関心を持ちました。貴院は多くの試験を安全に実施する体制を整えており、決められた時刻に正確に処置を行う仕事に、これまでの経験を生かせると考え、志望いたしました。」
医療事務からアシスタント職へ
「クリニックの受付と会計を担当する中で、治験に参加している患者さんの来院予定を、CRCの方と一緒に調整する機会がありました。決められた日程の中で検査の予約を組み、患者さんの都合と合わせていく仕事に関心を持ち、治験について自分でも調べるようになりました。受付で多くの患者さんの予約を管理してきた経験は、治験の来院スケジュールの管理や書類の整理に生かせると考えています。貴社はアシスタント職から経験を積める体制を整えていると伺い、まずは治験の流れを確実に身につけたいと考え、志望いたしました。」
面接で深掘りされること
書類が通ると、面接では志望動機の中身を深掘りされます。よく聞かれるのは次のような質問です。
・治験コーディネーターの仕事で、大変だと思うことは何ですか ・患者さんと、医師や製薬会社の間で意見が分かれたら、どうしますか ・事務作業やデータ入力が多いことについて、どう考えていますか ・他のSMOや病院ではなく、なぜここなのですか
1つ目と3つ目は、「仕事を正しくイメージできているか」を確かめる質問です。「書類の作成が多く、正確さが求められる点は大変だと思います。ただ、前の職場でも記録の正確さを大切にしてきたので、そこは積み重ねで身につけたいと考えています」のように、大変さを認めたうえで、自分なりの向き合い方を話せると安心してもらえます。
2つ目は、CRCの立場を理解しているかを見る質問です。医学的な判断は医師が行い、CRCは情報を正しく伝えてつなぐ役割だ、という点を押さえておくと答えやすくなります。
4つ目は、志望動機の3つ目の部分をもう一度、自分の言葉で話す場面です。書類に書いたことを暗記するより、「なぜそれが自分にとって大切なのか」を話せるように準備しておきましょう。
書き上げたあとに見直す点
志望動機を書き上げたら、提出する前に、少し時間を置いてから読み返してみてください。一晩寝かせるだけで、書いているときには気づかなかったことが見えてきます。
見直すときは、次の5つを確かめます。
・応募先の名前を別の会社や病院に入れ替えても、文章が成り立ってしまわないか ・「治験に関心を持った理由」に、実際にあった場面が1つ入っているか ・「生かせる経験」が、治験のどの場面で役立つのかまで書けているか ・給与や通勤など、条件の話が中心になっていないか ・「貢献したい」「寄り添いたい」といった言葉が、具体的な行動の説明なしに何度も出てきていないか
1つ目が一番大切です。名前を入れ替えても通じる文章は、「ここを選んだ理由」がまだ書けていない状態です。その場合は、前の章の手順に戻って、応募先の特徴を1つ拾い直してみましょう。
もう1つ、声に出して読んでみるのもおすすめです。面接で同じことを聞かれたとき、自分の口から自然に出てくる言葉かどうかが分かります。読んでいて照れくさく感じる表現は、たいてい自分の言葉ではなく、どこかで見た言い回しです。そういう部分は、もっと普段の言葉に置き換えてかまいません。
周りに、治験や医療の仕事をしている知人がいれば、読んでもらうのもよい方法です。「この書き方だと、事務作業が多いことを知らないように見える」といった、現場を知る人ならではの指摘がもらえることがあります。
長く見てきて感じること
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ても、仕事を選ぶときに「条件」より先に「中身」と「なぜここか」を言葉にできる人は、長く続く傾向があります。自分で選んだ理由を持っている人は、壁にぶつかったときにも、その理由に立ち返ることができるからです。
志望動機を書く作業は、採用する側のためだけのものではありません。あなた自身が「なぜこの職場を選ぶのか」を確かめる作業でもあります。もし書きながら迷いが大きくなったら、それは応募先を見直すサインかもしれません。
転職の方向そのものに迷いがある場合は、キャリアの相談を専門にする人に話を聞いてもらうのも1つの方法です。キャリア相談の仕事がどんな内容なのかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介しています。
あなたは一人じゃありません。書けないところで立ち止まったら、この記事の3つの部分に戻って、1つずつ埋めていけば大丈夫です。
よくある質問
Q. 治験コーディネーターの志望動機はどのくらいの長さで書けばよいですか?
履歴書の欄に書く場合は、200字から300字程度が目安です。治験に関心を持った理由、生かせる経験、その職場を選んだ理由の3つを、それぞれ1〜2文でまとめると収まります。職務経歴書や応募フォームで字数に余裕がある場合は、3つ目の職場を選んだ理由を少し厚くすると、ほかの応募者との違いが伝わりやすくなります。
Q. 「患者さんに寄り添いたい」という志望動機はよくないのですか?
間違いではありませんが、それだけだと治験の仕事を病棟の看護と同じように捉えていると受け取られることがあります。CRCは患者さん、医師、製薬会社の間をつなぎ、書類作成も多い仕事です。寄り添いたいと感じた具体的な場面を書き、そのうえで治験のどの場面で生かすのかまで結びつけると、仕事を理解していることが伝わります。
Q. SMOと院内CRCで、志望動機は変えるべきですか?
変えるべきです。SMOは複数の医療機関を担当することが多く、柔軟に動ける力が求められます。院内CRCは1つの病院の中で各部署と関係を築く力が求められます。治験に関心を持った理由と生かせる経験はそのまま使い、その職場を選んだ理由の部分だけを、応募先の特徴に合わせて書き分けるのが効率的です。
Q. 医療資格がなくても、治験の仕事の志望動機は書けますか?
書けます。医療資格がない場合は、アシスタント職に応募することが多く、事務の正確さやスケジュール管理、調整の経験が評価されます。医療事務や一般事務で身につけた経験を、治験の書類管理や来院予定の調整と結びつけて書きましょう。治験について自分で調べたことや、関心を持った具体的なきっかけも添えると説得力が増します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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