60代でケアマネジャーを続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方

中西 直美
中西 直美
60代でケアマネジャーを続ける|働ける場所と、勤務の組み立て方

この記事のポイント

  • 60代でケアマネジャーとして働き続けるための情報を
  • 年金や保険との兼ね合いまで整理しました

「あと何年、この仕事を続けられるでしょうか」

60代に入った方から、こういうご相談をよくいただきます。定年の年齢が近づいてきた。再雇用の話は出ているけれど、条件が下がるらしい。そもそも、今から別の職場に移ることはできるのか。体力はいつまで持つのか。

不安になるのは自然なことです。ただ、この職種に関して言えば、条件はそれほど厳しくありません。ケアマネジャーは、年齢を重ねた人が現に多く働いている領域です。60代で仕事を探すことも、働き方を組み直すことも、実際にできます。

この記事では、60代のケアマネジャーがどこで働けるのか、求人にはどんな条件が並んでいるのか、勤務日数や担当件数をどう組み立てればいいのかを、順番に見ていきます。あわせて、資格を維持する手続きと、年金や保険との兼ね合いについても触れます。大丈夫です。ひとつずつ確認していけば、道筋は見えてきます。

何歳まで働けるのか、という問いへの答え

まず、いちばん気になるところからお話しします。

ケアマネジャーの資格そのものに、年齢の上限はありません。介護支援専門員実務研修受講試験にも受験の年齢制限はなく、証の登録にも上限年齢は設けられていません。つまり、資格の側から「もう働けません」と言われることはない、ということです。

働けるかどうかを決めるのは、雇う側の定年の定めと、本人の体調です。法人によっては定年を定めて再雇用の制度を置いていますし、小規模な居宅介護支援事業所では、そもそも定年の定めを置いていないところもあります。事業所の規模と運営方針で扱いが分かれるので、応募する前に就業規則の定めを確認してください。

求人の側を見ると、この職種がシニア世代を前提にしていることが分かります。

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注目してほしいのは、シニア世代の歓迎と、月の残業時間が平均7.4時間以下という表記が同じ求人に並んでいる点です。求人票にこの数字を出せるということは、残業時間を管理して採用の材料にしているということです。60代の応募者を想定している職場は、勤務時間の見通しも合わせて示す傾向があります。

年齢の心配をする前に、条件を書いている求人と書いていない求人を見分けてください。書いていない職場が悪いわけではありませんが、書いてある職場のほうが、面接で条件の話をしやすいのは確かです。

60代を歓迎する求人に、どんな条件が並ぶか

もう少し、求人の実物を見ておきましょう。

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この形の求人でまず見てほしいのは、金額ではなく「土日休み」と「正職員」という部分です。60代で働き方を組み直すとき、休みが固定されているかどうかは、収入の額と同じくらい生活に効いてきます。土日が休みなら、家族の予定を立てられます。孫の行事にも、自分の通院にも合わせやすい。

給与の表記については、注意点があります。「最大月給」という書き方は、その職場での上限を示すもので、誰もがその額から始まるわけではありません。経験年数、資格の種類、管理者を兼ねるかどうか、地域の水準によって幅があります。数字を見て応募すること自体は構いませんが、実際の提示額は選考の中で確認してください。

このほか、60代向けの求人によく並ぶ条件を挙げておきます。夜勤なし。ブランクOK。交通費支給。再雇用制度あり。Wワーク可。週2日や3日から相談可。直行直帰可。これらの言葉が入っている求人は、フルタイムで働けない事情のある人を採用した経験がある職場です。前例があるかどうかは、面接で「実際にそういう働き方をしている方はいますか」と聞けば分かります。

逆に、応募を慎重にしたほうがいい表記もあります。担当件数の上限に触れていない、緊急時の当番の説明がない、管理者との兼務の有無が書かれていない。こうした求人は、入ってから業務範囲が広がっていくことがあります。書かれていないことは、面接で聞いてください。聞きにくいと感じるかもしれませんが、条件を確認するのは応募者の当然の権利です。

60代の働き方は、3つの方向に分かれます

働ける場所を整理すると、選択肢は大きく3つです。

1つ目は、今の職場で継続することです。定年後の再雇用や、嘱託への切り替え。慣れた環境で、利用者との関係も続けられます。ただし、雇用形態が変わると、給与も、社会保険の扱いも、責任の範囲も変わることがあります。「同じ仕事なのに待遇だけ下がった」という状態は、納得できないまま続けると心が持ちません。何が変わり、何が変わらないのかを、書面で確認してから返事をしてください。

2つ目は、別の法人に移ることです。60代の転職は不利だと思われがちですが、この職種では経験のある人を探している事業所が確実にあります。とくに、開設して間もない事業所や、若い職員が中心の職場では、落ち着いて対応できる人の存在が求められます。移るなら、在職中に探すこと。収入が途切れない状態のほうが、条件を冷静に比べられます。

3つ目は、勤務日数や担当件数を絞って続けることです。週3日の非常勤、時短勤務、特定の業務だけを担当する形。収入は下がりますが、続けられる年数は伸びます。60代は、体調と家族の事情が予告なく変わる年代です。少ない日数から始めて、余裕があれば増やすほうが、無理をして辞めるより結果的に長く働けます。

どの方向を選ぶにしても、決める順番は同じです。まず、自分が1週間に何日、何時間なら無理なく働けるかを決める。次に、その条件で成立する職場を探す。求人を先に見てから自分の生活を合わせようとすると、たいてい無理が出ます。

職場の種類ごとの、負荷の違い

同じケアマネジャーでも、勤務先によって身体の使い方がまったく違います。60代では、この違いが50代のときよりはっきり効いてきます。

居宅介護支援事業所は、利用者の自宅を訪問して回ります。自転車や車での移動が積み重なり、天候にも左右されます。担当エリアが広い事業所では、1日の移動時間が長くなります。運転に不安が出てきた方や、真夏の移動が堪えるようになった方は、この点を最優先の条件にしてください。

施設のケアマネジャーは、移動がありません。入所者の施設サービス計画を作成し、施設内で情報を集められます。身体の負担という点では、60代にとって最も現実的な選択肢のひとつです。ただし、施設によっては介護業務や相談員業務との兼務が前提になっていることがあるので、兼務の有無は必ず確認してください。

地域包括支援センターは、介護予防のプラン作成に加えて、総合相談や権利擁護など幅広い業務を担います。求人によっては主任介護支援専門員の資格が求められます。経験の蓄積がそのまま活きる場ですが、対応の幅が広く、想定外の相談が入ってくる仕事でもあります。

小規模多機能型居宅介護やグループホームでは、計画作成担当者として働く形があります。利用者の人数が限られているぶん、一人ひとりを深く見られます。事業所の規模が小さいので、人間関係の影響を受けやすい面はあります。

このほか、Wワークを認めている職場で、週2日だけ別の事業所を手伝うという働き方もあります。求人の中には、シニアの応募を前提にWワーク可と明記しているものがあります。ただし、社会保険や労働時間の通算については扱いが複雑になるため、掛け持ちを考えるなら事前に両方の職場へ相談してください。

資格を維持するために必要なこと

働き続けるうえで、意外と見落とされるのがここです。

介護支援専門員証には有効期間があり、更新するには更新研修を受ける必要があります。受ける研修の種類は、実務に就いているかどうか、これまでの受講歴によって変わります。研修は都道府県が実施主体となり、日程も費用も自治体ごとに違います。

60代で気をつけたいのは、更新の時期と、働き方を変える時期が重なる場合です。再雇用に切り替わるタイミング、転職のタイミング、いったん休むタイミング。このときに証の期限が来ていると、手続きと就業が同時に進むことになり、負担が重なります。まず、自分の証の有効期間を確認してください。そのうえで、更新研修の申し込み時期を自治体の案内で調べておく。この2つを先に押さえておけば、慌てずに済みます。

研修の費用を誰が負担するかは、職場によって違います。全額を法人が負担するところ、半額のところ、本人負担のところがあります。求人票には書かれていないことが多いので、面接で確認しておきたい項目です。非常勤の場合は本人負担になることもあります。

有効期間が切れてしまっている場合の取り扱いも、都道府県ごとに手続きが定められています。※期限が過ぎていることに気づいたら、自己判断で諦めず、まず登録している都道府県の担当窓口に問い合わせてください。復帰のための道筋が用意されていることがあります。

60代から資格を取ることはできるのか

すでに資格を持っている方だけでなく、これから取ろうと考えている方からのご相談もあります。結論から言うと、制度の上では可能です。

介護支援専門員実務研修受講試験には、年齢の上限がありません。受験するために必要なのは、指定された国家資格などに基づく業務、または相談援助の業務に一定期間従事した経験です。一般には通算5年以上かつ900日以上が目安とされていますが、要件の詳細は都道府県ごとの実施要領で定められています。必ず、住んでいる自治体の公式案内で確認してください。

つまり、介護福祉士や看護師として現場で働いてきた期間があれば、60代でも受験の入り口には立てるということです。実際、この職種は年齢構成が高く、遅い時期に資格を取る人が珍しくありません。

ただし、正直にお伝えしておきたいことがあります。試験に合格してから実務に就くまでには、実務研修を修了して登録する手続きが必要で、相応の日数と費用がかかります。そのうえで、証には有効期間があり、その後も更新研修が続きます。60代から取得を目指す場合は、「何年働くつもりか」を先に決めてから、その投資に見合うかを考えたほうがいいでしょう。

判断の材料になるのは、いま働いている職場で資格が活きるかどうかです。介護の現場にいて、計画作成に関わる役割へ移りたいという動機があるなら、取得の意味ははっきりしています。一方、資格を取れば楽になるはずだという期待だけで始めると、勉強の負担と実務の負担の両方に驚くことになります。※資格の取得は目的ではなく手段です。取ったあとにどう働きたいかを、先に言葉にしておいてください。

勉強の進め方については、暗記よりも制度の流れを理解することが近道です。現場で毎日使っている言葉が、介護保険制度の中でどう位置づけられているか。この確認作業を丁寧にやると、断片的な知識がつながります。働きながらの学習になるので、1日の量を小さく決めて、続けられる形にしてください。

メリットとデメリットを、並べて考える

60代でこの仕事を続けること、あるいは新たに就くことの良い面と、そうでない面を並べておきます。片側だけ見て決めると、後で戸惑うことになります。

良い面の1つ目は、身体への負担が介護の現場より軽いことです。移乗や入浴介助、夜勤といった業務から離れられるのは、60代にとって決定的な違いです。腰や膝に不安を抱えていても続けられる可能性があります。

2つ目は、経験がそのまま価値になることです。家族の間で意見が割れている場面、本人の希望と現実が食い違う場面。こうした局面で落ち着いていられるかどうかは、年数を重ねた人の強みです。同世代や上の世代の家族と話すとき、年齢が近いことが安心感につながる場面もあります。

3つ目は、勤務時間が読みやすいことです。夜勤のない求人が標準的に存在し、日中で完結する職場が多い。通院や家族の予定と組み合わせやすいのは、この年代には大きな利点です。

4つ目は、資格が全国で通用することです。住む場所が変わっても、手続きを経て働き続けられます。配偶者の事情や親の介護で転居する可能性がある人にとって、持ち運べる資格であることの価値は高いでしょう。

一方、負担に感じやすい面もあります。まず、書類の量です。ケアプラン、モニタリングの記録、担当者会議の記録、給付管理。画面と細かい文字を見る時間が長く、目の負担は年齢とともに増していきます。文字を大きく表示する設定や、画面の明るさの調整は、遠慮せず職場に相談してください。

次に、予定が崩れやすいことです。利用者の状態は予告なく変わり、入院や退院、家族の事情で1日の予定は簡単に組み替えになります。計画どおりに進む日のほうが少ない仕事だと理解しておくと、崩れたときの消耗が減ります。

そして、成果が見えにくいことです。調整がうまくいったときほど、何も起きません。介護の現場で「ありがとう」を直接受け取っていた人ほど、この静けさに戸惑います。手応えの形が変わるのだと、あらかじめ知っておいてください。

記録システムと、若い同僚との関係

60代の方から実際によくいただくご相談を、2つ取り上げます。どちらも、条件面より深刻に受け止められていることが多い話です。

1つ目は、パソコンやケアプラン作成ソフトへの不安です。「若い人のようには操作できない」と気に病んでいる方がいます。ただ、この点は心配しすぎないでください。ケアプラン作成ソフトは職場ごとに違う製品が入っているので、何歳の人が転職しても、最初は覚え直しになります。つまり、年齢に関係なく入職後に学ぶ前提の領域だということです。

覚えるときのコツは、全部を理解しようとしないことです。毎日使う操作は、実際には限られています。よく使う5つか6つの手順だけを紙に書いて手元に置き、それ以外は聞く。この形で回している方はたくさんいます。研修の有無と、聞ける相手がいるかどうかを面接で確認しておけば、入ってから困る場面は減らせます。

2つ目は、年下の上司や同僚との関係です。再雇用で肩書きが外れたあと、以前は部下だった人の指示を受ける。この状況を難しく感じるのは、とても自然なことです。

このとき効くのは、役割と経験を切り分けて考えることです。指示を出すのは役割の話であって、経験の量の話ではありません。役割としては相手に従い、経験としては求められたときに差し出す。この線引きができている方は、周囲から頼られる立場に落ち着いていきます。逆に、経験を根拠に役割を上書きしようとすると、双方が消耗します。

若い職員の側も、実は困っています。年上の同僚にどう頼めばいいか分からず、遠慮して声をかけられない。こういう相談も受けます。であれば、こちらから「困ったら言ってください」と一言かけるだけで、関係は動きます。難しいことではありません。

勤務の組み立て方を、具体的に考える

「働き続けたい。でも、これまでと同じ量は無理」

この気持ちは、とても健全です。無理を続けて倒れるより、量を調整して続けるほうが、利用者にとっても職場にとっても良い結果になります。

組み立てるときの軸は3つあります。日数、時間帯、担当件数です。

日数は、週4日を境に体感が変わると言われます。週5日だと、休みの日が回復だけで終わってしまう。週4日なら、1日を自分の用事に使える。週3日なら、生活の中心を仕事以外に置ける。どこに置くかは、収入の必要額と体調の両方から決めてください。

時間帯については、午前中に訪問を集め、午後に記録を回す形が組みやすいという声をよく聞きます。加齢とともに、午後の集中力は落ちやすくなります。頭を使う調整ごとを午前に置き、定型の記録を午後に回すだけで、1日の疲れ方が変わります。直行直帰が認められている職場なら、移動の負担もさらに減らせます。

担当件数は、収入と直結する部分です。件数を減らせば負担は減りますが、給与体系によっては収入も下がります。ここは事業所の仕組みによるので、面接の段階で「件数と給与がどう連動するのか」を聞いてください。件数の扱いは制度改定の影響も受けるため、最新の運用は職場に確認するのが確実です。

そして、繁忙期の見通しを立てておくこと。月末と月初に業務が集中する構造は、日数を減らしても変わりません。週3日の勤務でも、その3日が月末に当たれば負担は重くなります。シフトを組むときに、この偏りを職場と共有しておいてください。

年金や保険との兼ね合いで、確認しておくこと

60代の働き方を考えるとき、給与の額面だけを見ると判断を誤ります。

まず、年金です。老齢厚生年金を受け取りながら働く場合、給与と年金の額に応じて年金の一部が支給停止になる仕組みがあります。この仕組みや基準額は法改正で見直されることがあるため、自分がどうなるかは日本年金機構の案内で確認するか、年金事務所に相談してください。勤務日数を決める前に確認しておくと、後から驚かずに済みます。

次に、社会保険です。勤務先での労働時間や日数などの条件によって、健康保険と厚生年金に加入するかどうかが変わります。加入すれば保険料の負担はありますが、厚生年金に加入して働いた期間は将来の年金額に反映されます。短時間勤務にする場合は、この点も含めて考えてください。

雇用保険についても、年齢による区分があります。一定の年齢以上で働く人の扱いは、通常の被保険者とは別に定められています。失業したときの給付の内容も異なるため、契約の前に勤務先の担当者に確認してください。制度の詳細は厚生労働省の案内で確認できます。

労災保険は、業務中と通勤中の事故に備えるものです。訪問の多い職場では、移動中の事故が現実的なリスクになります。自家用車を業務で使う場合、任意保険が業務使用に対応しているか、ガソリン代と保険料を誰が負担するか、事故のときの責任がどうなるかを、書面で確認しておいてください。

健康診断についても触れておきます。勤務時間が短い契約になると、事業所の健康診断の対象から外れることがあります。60代は、健康の状態を定期的に把握しておくことが働き続ける条件そのものです。対象外になるなら、自治体の健診を自分で受ける段取りを立ててください。

60代の転職で、気をつけたい点

転職を選ぶ場合の注意点を整理します。

第一に、体力や持病について、隠さないことです。伝えるべきかどうか迷う方が多いのですが、働き方に影響する範囲は先に共有しておくほうが結果的に楽になります。「長時間の運転は難しい」「週に一度は通院の日が必要」といった条件は、入ってから伝えるより、選考の段階で伝えたほうが受け入れられやすい。隠して入職して、無理をして続かなくなるほうが、双方にとって残念な結果です。

第二に、応募書類では、経験を並べすぎないことです。長く働いてきた人ほど、書きたいことが増えます。ただ、採用する側が知りたいのは、これまでの全部ではなく、その職場で何をしてもらえるかです。直近の担当規模、対応してきた利用者の傾向、連携してきた機関の種類。この3つが具体的に書かれていれば十分です。

第三に、面接で聞く項目を決めておくことです。人員の体制と年齢構成、担当件数の目安、緊急時の当番の仕組み、記録システムの種類、研修費用の負担、そして定年や契約更新の扱い。とくに最後の項目は、60代の応募では最も重要です。「何歳まで働けますか」は、遠慮せずに聞いてください。

第四に、辞め方です。担当している利用者がいる状態で職場を移るなら、引き継ぎの期間が必要になります。地域が狭い業界なので、円満に辞めた事実は次の職場にも伝わります。急がず、余裕をもって申し出てください。

家族の事情と重なったときの、進め方

60代は、自分の体調だけでなく、家族の事情で働き方を変えざるを得なくなる年代でもあります。配偶者の入院、親の介護、孫の世話。予定していた勤務が急に難しくなることは、珍しくありません。

このときに大事なのは、辞めるか続けるかの二択で考えないことです。実際には、その間にいくつも選択肢があります。日数を一時的に減らす。担当件数を調整してもらう。訪問の多い担当から、施設内で完結する業務に移る。事業所によっては、休職の制度が用意されていることもあります。

相談するタイミングは、早いほうがいいです。限界まで抱えてから伝えると、職場は代わりの手配ができません。「来月から、しばらく週3日にできませんか」と早めに言えるかどうかで、話の通りやすさが変わります。言い出しにくい気持ちは分かりますが、黙って倒れるほうが職場にとっても困ることです。

そして、戻る前提で話をしておいてください。事情が落ち着いたら元の勤務に戻りたい、と伝えておけば、職場も人員の計画を立てられます。介護の分野は、経験のある人に戻ってきてほしいと考えている事業所がほとんどです。あなたが思っているより、席は残ります。

心と体の消耗に、どう向き合うか

働き方の相談を受けていると、条件の話をしているうちに、本当の悩みが別のところにあると分かる場面がよくあります。「役割が変わることが怖い」という気持ちです。

再雇用で肩書きが外れる。後輩が上司になる。任されていた業務の一部を手放す。条件としては受け入れたはずなのに、実際に始まると落ち着かない。こういうご相談は、本当に多いんです。これは能力の問題でも、心の弱さでもありません。長く積み上げてきたものがあるからこそ起きる、自然な反応です。

対処の方法をひとつだけお伝えします。手放したものを数えるのではなく、残っているものを言葉にしてみてください。利用者との関係。地域の事業所とのつながり。困難な場面で落ち着いていられる力。肩書きが変わっても、これらは減っていません。紙に書き出してみると、自分でも驚くほど残っていることが分かります。

もうひとつ、60代のケアマネジャーが抱えやすい負荷があります。担当する利用者と、自分の年齢が近づいてくることです。同世代の方の看取りに立ち会う。自分の親と同じ状況の相談を受ける。仕事の場面と自分の人生が重なると、感情の切り替えが難しくなります。

このときに効くのは、気持ちを一人で処理しないことです。職場に話せる相手がいるか。地域の職能団体の集まりに顔を出しているか。誰かに話す場所があるだけで、抱え込む量は確実に減ります。あなたは一人ではありません。同じ年代で同じ仕事をしている人は、地域の中にたくさんいます。

そして、休むことを予定に入れてください。60代の疲れは、若い頃のように一晩では抜けません。連続で働く日数の上限を自分で決めておく。予定表に休みを先に書き込む。この2つだけでも、消耗の速度は変わります。

在宅でできる仕事を、収入の柱に足すという考え方

勤務日数を減らすと、収入は下がります。その差を埋める方法として、在宅でできる仕事を組み合わせる人が増えています。

60代からの働き方全般については、シニア・60代からのフリーランスの始め方|定年後に経験を活かす働き方【2026年版】が、定年後に経験を収入に変えていく手順を整理しています。まず何から考えればいいかが分かる内容です。

パソコン操作に不安がある方は、50代・60代のパソコンスキルアップ|在宅ワークに必要な最低限のスキルから確認してください。在宅の仕事に必要な操作は、思っているより限られています。全部を覚える必要はありません。

介護と医療の現場を知っている人が書く文章には、確かな需要があります。相場の考え方は著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種単位でまとめられています。記録や書類の作成に慣れている人ほど、この分野との相性は良いはずです。

業務の手順を整理する仕事も選択肢になります。AIコンサル・業務活用支援のお仕事には、現場の作業をどう効率化するかを支援する仕事の実像がまとめられています。近い領域としてAI・マーケティング・セキュリティのお仕事もあり、個人情報を慎重に扱う習慣が身についている人と噛み合います。

技術寄りの分野に関心があれば、アプリケーション開発のお仕事で求められる経験の水準を、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で相場の目安を確認できます。学び直しの入り口としては、書類作成の基礎を扱うビジネス文書検定や、ネットワークの基礎を扱うCCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドが、何から始めるかの地図になります。

在宅ワーク市場を長く見てきた立場からの観察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、60代以降も仕事が途切れない人には、はっきりした共通点があります。作業の速さではなく、「この人に頼むと全体が落ち着く」という信頼を持たれていることです。介護の分野なら、家族が混乱している場面で、その場の空気を整えられる担当者がこれにあたります。この力は年齢とともに増えるもので、若い人が真似できる部分ではありません。

もうひとつ、長く見てきて確信していることがあります。間に立つ事業者が増えるほど、受け手の手取りは薄くなるという構造です。同じ予算が動いていても、複数の事業者が中間に入れば、依頼する側が支払う額と、受け取る側の手元に残る額の差は開いていきます。仲介手数料が発生しない直接のやり取りができる環境では、依頼者は同じ予算でより多く頼めて、受け手にとっては手数料0%という条件が、そのまま手取りの厚さに変わります。額面ではなく、同じ働きに対して手元にいくら残るかという質の話です。

60代でこの仕事を続けることは、無理をして粘ることではありません。求人の条件を見れば分かるとおり、この職種は年齢を重ねた人を前提に動いています。働ける場所を知り、勤務の量を自分で決め、資格と保険の手続きを先に整える。この3つを押さえれば、体調と相談しながら続けていけます。焦らず、ひとつずつ確認していきましょう。

よくある質問

Q. ケアマネジャーは何歳まで働けますか?

資格そのものに年齢の上限はなく、試験の受験にも登録にも年齢制限はありません。働ける年数を決めるのは、勤務先の定年の定めと本人の体調です。定年の定めを置いていない小規模な事業所もあるため、応募前に就業規則での扱いを確認してください。

Q. 60代でも転職できますか?求人はありますか?

求人検索サイトを見ると、ミドル・シニア世代の活躍を明記した募集や、夜勤なし、週2日から相談可、Wワーク可といった条件の募集があります。経験のある人を探している事業所は確実に存在します。ただし在職中に探すほうが、条件を冷静に比べられます。

Q. 勤務日数を減らすと、年金や社会保険はどうなりますか?

働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、給与と年金の額に応じて支給が調整される仕組みがあります。また労働時間や日数によって健康保険と厚生年金の加入の扱いも変わります。基準は改正されることがあるので、年金事務所や勤務先の担当者に事前に確認してください。

Q. 介護支援専門員証の更新はどうすればいいですか?

証には有効期間があり、更新には研修の受講が必要です。研修の種類は実務に就いているかどうかで変わり、日程や費用は都道府県ごとに異なります。まず自分の証の有効期間を確認し、登録している都道府県の担当窓口で申し込み時期を調べてください。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年9月3日最終更新:2026年9月8日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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