ビジネス文書の書き方|社内と社外の基本の形とルール


この記事のポイント
- ✓ビジネス文書の書き方を
- ✓社内文書と社外文書の基本の形
- ✓頭語と結語の正しい組み合わせ
ビジネス文書は、社内に向けた通知や報告書から、取引先に送る案内状やお詫び状まで、仕事の中で毎日のように書く機会があります。ところが、学校で書き方を習う機会は少なく、前任者の文書をまねして書いているという人も多いはずです。結論から言うと、ビジネス文書は「決まった形に、要点を先に、短い文で」書けば、誰でも読みやすい文書になります。この記事では、社内文書と社外文書の基本の形、頭語と結語の組み合わせ、時候のあいさつ、文章のルール、敬語と敬称の注意点、提出前の確認の手順を、例文とあわせて紹介します。文書の作成や確認の進み具合を複数の人で共有する方法の1つとして、プロジェクト管理ツールのPinatecaの使い方もあわせて取り上げます。
ビジネス文書とは何か
ビジネス文書とは、仕事の中で、情報を正確に伝えたり、記録として残したりするために書く文書のことです。読む相手によって、大きく社内文書と社外文書に分かれます。
社内文書の主な種類
社内文書は、同じ会社の中で使う文書です。代表的なものは次のとおりです。
- 通知文:会議の開催や制度の変更など、決まったことを知らせる文書
- 報告書:出張や業務の結果、事故やトラブルの経過などを伝える文書
- 依頼文:ほかの部署に作業や資料の提出を頼む文書
- 議事録:会議で話し合ったことと決まったことを記録する文書
- 企画書・提案書:新しい取り組みを提案し、判断を求める文書
社内文書は、読む人が同じ会社の人なので、あいさつの決まり文句は省き、用件をすぐに書き始めるのが基本です。
社外文書の主な種類
社外文書は、取引先やお客様など、会社の外の人に送る文書です。
- 案内状:説明会や展示会、新しいサービスなどを知らせる文書
- 依頼状:見積もりや資料の送付などを頼む文書
- 送付状:書類や商品を送るときに、内容を知らせるために添える文書
- お礼状:取引や訪問へのお礼を伝える文書
- お詫び状:ミスや遅れについて謝る文書
- あいさつ状:担当者の交代や移転、就任などを知らせる文書
社外文書は、会社を代表して送る文書なので、決まった形式と礼儀にのっとって書きます。形式が崩れていると、内容が正しくても、会社の信頼を損なうことがあります。
文書とメールの使い分け
最近は、多くのやり取りがメールで済むようになりました。それでも、正式な案内や、記録として残す必要があるもの、相手が社内で回覧するものは、文書の形にして送ることがよくあります。メールの本文に要点を書き、正式な内容は文書にしてPDFで添付する、という使い分けも一般的です。
ビジネス文書の基本のルール
社内文書でも社外文書でも、共通する基本のルールがあります。まずはこのルールを押さえれば、どんな文書でも書き始められます。
1つの文書に1つの用件
1つの文書には、1つの用件だけを書きます。会議の案内と、資料の提出のお願いを1枚に書くと、読む人はどちらかを見落としがちです。用件が2つあるなら、文書を分けます。
結論を先に書く
文書の冒頭で、何のための文書なのかと、相手に求めることを先に書きます。文化審議会が国の文書の書き方の手引としてまとめた「公用文作成の考え方」でも、次のように書かれています。
文書の結論は、できれば最初の段落で示しておく。最後まで読まないと何を言おうとしているか分からないような書き方は避ける。 出典: 文化審議会「公用文作成の考え方」(令和4年1月)
国の文書のための手引ですが、読み手に伝わる文書を書くための考え方は、会社の文書にもそのまま当てはまります。
数字と固有名詞で具体的に書く
「近日中に」「多数の」「大幅に」といったあいまいな言葉は、読む人によって受け取り方が変わります。「10月30日までに」「参加者は42名」「前年より15%増えた」のように、日付、数、割合で書きます。商品名、部署名、人名も、略さずに正式な名前で書きます。
5W2Hで抜けを防ぐ
伝える内容に抜けがないかは、5W2Hで確かめます。いつ(When)、どこで(Where)、誰が(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)、いくら・どのくらい(How much)の7つです。会議の通知なら、日時、場所、参加者、議題、開催の目的、参加の方法、所要時間がそろっているかを確かめます。
ビジネス文書の基本の形
ビジネス文書には、決まった並び順があります。並び順を守れば、読む人は必要な情報がどこにあるかをすぐに見つけられます。
上から順に並べる項目
横書きの文書は、上から次の順に並べます。
- 文書番号(会社で決まりがある場合。右上に書く)
- 発信日(右上。年月日を書く)
- 宛名(左上。会社名、部署名、役職、氏名)
- 発信者(右側。会社名、部署名、氏名)
- 件名(中央。文書の用件をひとことで)
- 本文
- 記書き(日時や場所などの要点を箇条書きにする部分)
- 「以上」(文書の終わりを示す)
- 担当者の連絡先(必要な場合)
件名は内容が分かるように
件名は、文書を開かなくても用件が分かるように書きます。「お知らせ」だけでは何のお知らせか分からないので、「第3四半期営業会議開催のお知らせ」「年末年始休業日のお知らせ」のように、何についての文書かを入れます。
記書きで要点を抜き出す
本文の中に日時や場所を書き込むと、読む人は文章の中から情報を探すことになります。本文は用件を伝える文にとどめ、日時、場所、持ち物などの要点は、本文の下に「記」と書いて箇条書きにします。記書きの最後には「以上」と書き、文書がそこで終わることを示します。
社内文書の書き方と例文
社内文書は、あいさつを省き、用件から書き始めます。敬語は「です・ます」の丁寧語を基本にし、過剰な敬語は使いません。
通知文の例
令和8年10月23日
社員各位
総務部長 〇〇〇〇
年末年始休業日のお知らせ
本年の年末年始の休業日を、下記のとおりお知らせします。休業期間中に対応が必要な業務がある場合は、12月19日までに所属長を通じて総務部へご相談ください。
記
- 休業期間 令和8年12月27日(日)から令和9年1月4日(月)まで
- 業務開始 令和9年1月5日(火)9時から
- 問い合わせ先 総務部 〇〇(内線123)
以上
通知文の要点
宛名の「社員各位」は、社員の皆さん一人ひとりに、という意味です。「各位」はそれだけで敬意を含む言葉なので、「各位様」「各位殿」とは書きません。本文の1文目で何のお知らせかを伝え、2文目で読む人にしてほしいことを書いています。日付と時間は記書きに抜き出しています。
報告書の例
報告書は、結論、経過、原因、今後の対応の順に書くと、読む人が判断しやすくなります。
件名:〇〇社への納品遅れについて(報告)
- 結論:10月20日予定の〇〇社への納品が、10月22日に遅れた。〇〇社の了承は得ている。
- 経過:10月18日に仕入れ先から部品の入荷が2日遅れると連絡があり、同日〇〇社に電話で報告した。
- 原因:仕入れ先の工場の設備の故障による。
- 今後の対応:同じ部品を扱う別の仕入れ先を1社確保し、次回から入荷が遅れた場合に切り替えられるようにする。
報告書は、読む人が「何が起きて、今どうなっていて、次に何をするのか」を最初の数行で分かるように書きます。気持ちや反省の言葉より、事実と対応を優先します。
社外文書の書き方と例文
社外文書は、前文、主文、末文の3つの部分で組み立てます。前文はあいさつ、主文は用件、末文は結びのあいさつです。
社外文書の組み立て
- 前文:頭語(「拝啓」など)、時候のあいさつ、相手の繁栄を喜ぶ言葉、日ごろのお礼
- 主文:「さて、」で始めて用件を書く
- 末文:結びのあいさつと結語(「敬具」など)
- 記書き:日時や場所などの要点
案内状の例
令和8年10月23日
株式会社〇〇 営業部 部長 〇〇〇〇様
株式会社△△ 営業部 〇〇〇〇
新製品説明会のご案内
拝啓 秋冷の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、このたび弊社では、新製品「〇〇」の発売にあたり、下記のとおり説明会を開催いたします。ご多用のところ誠に恐縮ではございますが、ぜひご出席くださいますようご案内申し上げます。
なお、準備の都合上、11月10日までに同封の返信はがきにてご出欠をお知らせいただけますと幸いです。
まずは略儀ながら書中にてご案内申し上げます。
敬具
記
- 日時 令和8年11月20日(金)14時から16時
- 会場 〇〇ビル 3階 会議室
- 問い合わせ先 営業部 〇〇(電話 03-0000-0000)
以上
案内状の要点
「貴社」は書き言葉で相手の会社を指す言葉で、話し言葉では「御社」を使います。自分の会社は「弊社」または「当社」と書きます。「ご清栄」は相手の健康と繁栄を喜ぶ言葉で、会社にも個人にも使えます。主文は「さて、」で始め、用件と、相手にしてほしいことをはっきり書きます。
お礼状とお詫び状と送付状の例文
案内状のほかに、社外文書でよく書くのがお礼状、お詫び状、送付状です。形の基本は同じで、主文の中身が変わります。
お礼状の例
拝啓 晩秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、先日はご多忙のところ、弊社の新製品説明会にご出席いただき、誠にありがとうございました。〇〇様からいただいたご質問とご意見は、今後の製品の改良に生かしてまいります。
今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
敬具
お礼状は、出来事からできるだけ早く、目安として数日以内に送ります。「ありがとうございました」だけで終わらせず、相手の具体的な行動や言葉に触れると、決まり文句だけの文書より気持ちが伝わります。
お詫び状の例
拝啓 このたびは、弊社の不手際により、ご注文の商品の納品が遅れましたことを、深くお詫び申し上げます。
10月20日にお届けする予定でした商品が、仕入れ先からの部品の入荷の遅れにより、10月22日のお届けとなりました。〇〇様には、ご予定を変えていただくなど多大なご迷惑をおかけしましたこと、重ねてお詫び申し上げます。
今後は、同じ部品を扱う仕入れ先を複数確保し、同様の遅れが起きないよう努めてまいります。
今後とも、変わらぬお引き立てを賜りますよう、お願い申し上げます。
敬具
お詫び状では、何について謝るのか、なぜ起きたのか、今後どうするのかの3つを書きます。原因の説明が長くなると言い訳に聞こえるので、事実を短く書き、再発を防ぐための対応を中心に書きます。
送付状の例
書類や商品を送るときに添える送付状は、何を、何部送ったのかを相手が確かめるための文書です。前文は短くし、送ったものを記書きで並べます。
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、ご依頼いただきました書類を、下記のとおりお送りいたします。ご査収のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
記
- お見積書 1部
- 製品カタログ 2部
- 申込書 1部
以上
「ご査収」は、よく確かめて受け取ってください、という意味の言葉です。送付状があると、相手は封筒を開けたときに中身がそろっているかをすぐに確かめられます。
敬語の考え方を押さえる
ビジネス文書の敬語は、相手を持ち上げるためだけのものではありません。文化審議会の「敬語の指針」では、敬語は人と人との相互尊重の気持ちを基盤とすべきものだとされています。相互尊重とは、相手も自分もお互いに尊重し合うという考え方です。
丁寧さは言葉の量ではない
同じ指針では、自分が決める立場にないのに「この仕事をしていただきます」と決めつける言い方より、「この仕事をしていただけますか」と相手に判断をゆだねる言い方のほうが、きつい印象を持たれにくいと解説されています。依頼の文書では、敬語を重ねるより、相手が断ることもできる言い方を選ぶほうが、受け取る側にとって丁寧に感じられます。
社内と社外で敬語の向きを変える
社外の人に向けた文書では、自分の会社の人のことを話すときに尊敬語を使いません。「弊社の〇〇部長がおっしゃいました」ではなく、「弊社の部長の〇〇が申しておりました」と書きます。社内の文書で上司について書くときとは、敬語の向きが逆になる点に注意します。
横書きと縦書きの使い分け
ビジネス文書の多くは横書きですが、縦書きを使う場面もあります。
横書きが基本
通知文、報告書、案内状、送付状など、日常の業務で使う文書は横書きが基本です。数字や英字を多く使う文書、表を入れる文書は、横書きのほうが読みやすくなります。
縦書きを使う場面
就任や退任のあいさつ状、儀礼的なお礼状、慶事や弔事に関わる文書などは、縦書きで書くことがあります。縦書きでは、数字を漢数字で書くのが一般的です。会社によって決まりがあることも多いので、迷ったときは過去に送った同じ種類の文書を確かめます。
頭語と結語の正しい組み合わせ
社外文書の最初と最後には、頭語と結語を対にして書きます。頭語は「こんにちは」、結語は「さようなら」にあたる言葉で、組み合わせが決まっています。
| 場面 | 頭語 | 結語 |
|---|---|---|
| 一般的な文書 | 拝啓 | 敬具 |
| 特に丁寧な文書 | 謹啓 | 謹白、敬白 |
| 返信の文書 | 拝復 | 敬具 |
| 前文を省く文書 | 前略 | 草々 |
| 急ぎの文書 | 急啓 | 草々 |
組み合わせを間違えやすい例
「拝啓」で始めて「草々」で終える、「前略」で始めて「敬具」で終える、という間違いがよく見られます。「前略」は前文のあいさつを省く、という意味なので、「前略」のあとに時候のあいさつを書くのも誤りです。取引先への正式な文書では、「前略」と「草々」は使わず、「拝啓」と「敬具」を基本にします。
お詫び状とお見舞いの文書
お詫び状では、時候のあいさつを省き、頭語のあとすぐにお詫びの言葉を書くことが多くあります。災害や病気のお見舞いの文書では、頭語も時候のあいさつも省き、すぐに本題に入るのが一般的です。相手が困っているときに、季節の話から始めるのは配慮に欠けるからです。
月ごとの時候のあいさつ
時候のあいさつは、季節に合わせた決まった言い回しです。「〇〇の候」の形がよく使われます。代表的なものを月ごとに並べます。
| 月 | 時候のあいさつの例 |
|---|---|
| 1月 | 新春の候、厳寒の候 |
| 2月 | 余寒の候、立春の候 |
| 3月 | 早春の候、春暖の候 |
| 4月 | 陽春の候、春暖の候 |
| 5月 | 新緑の候、薫風の候 |
| 6月 | 初夏の候、梅雨の候 |
| 7月 | 盛夏の候、猛暑の候 |
| 8月 | 残暑の候、晩夏の候 |
| 9月 | 初秋の候、新秋の候 |
| 10月 | 秋冷の候、紅葉の候 |
| 11月 | 晩秋の候、向寒の候 |
| 12月 | 初冬の候、師走の候 |
使うときの注意
時候のあいさつは、文書を送る時期の季節に合わせます。暦の上の季節と、実際の気候がずれることもあるので、たとえば8月でも立秋を過ぎていれば「残暑の候」を使います。迷ったときは、どの月にも使える「時下」を使い、「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」と書く方法もあります。
社外文書でよく使う言い回し
社外文書には、決まった場面で使う言い回しがあります。意味を知って使うと、文書が自然に整います。
- ご査収ください:よく確かめて受け取ってください
- ご高配を賜り:格別の配慮をいただき(日ごろのお礼で使う)
- ご多用のところ:お忙しいところ
- 略儀ながら書中にて:本来は伺うべきところを、略式ですが手紙で(末文で使う)
- 取り急ぎ:まずは急いで(正式な文書の結びでは使わないほうがよい)
- ご笑納ください:つまらないものですが受け取ってください(贈り物に添える)
意味を知らずに使うと、場面に合わない使い方になります。たとえば「取り急ぎご連絡まで」は、とりあえずの連絡であることを示す言い方なので、正式なお礼状やお詫び状の結びには向きません。言い回しを使うときは、その言葉が相手に何を伝えるのかを考えてから選びます。
読みやすい文を書くルール
形式が整っていても、文そのものが読みにくければ、相手に用件が伝わりません。文化審議会の「公用文作成の考え方」には、文の書き方について次のような点が挙げられています。
一文を短くし、論点を1つにする
公用文作成の考え方では、一文を短くすること、一文の論点は1つにすることが挙げられています。「〇〇の件につきましては、先日ご相談したとおり、△△の事情により、□□となりましたので、ご確認いただきたく、ご連絡いたしました」のように、読点で文をつなぎ続けると、何が言いたいのかが分からなくなります。1つの文に書く内容を1つに絞り、句点で区切ります。目安として、1文は60字ほどまでに収めると読みやすくなります。
3つ以上は箇条書きにする
同じ手引では、3つ以上の情報を並べるときは箇条書きを利用することも挙げられています。持ち物、日程の候補、注意点などは、文章でつなげるより、1行に1項目ずつ並べたほうが読み落としが減ります。
二重否定と受け身を避ける
「〇〇しないわけではない」のような二重否定は、意味を取り違えられやすい表現です。公用文作成の考え方でも、二重否定はどうしても必要なとき以外には使わないとされ、「…しないわけではない」は「…することもある」に言い換える例が示されています。また、受け身の形をむやみに使わないことも挙げられています。「書類は担当者によって確認されました」より「担当者が書類を確認しました」のほうが、誰が何をしたのかがはっきりします。
敬語と敬称の注意点
ビジネス文書では、敬語と敬称の誤りが目立ちます。よくある誤りを押さえておくと、文書の印象が大きく変わります。
二重敬語を避ける
「おっしゃられる」「拝見させていただく」のように、同じ種類の敬語を重ねる言い方は二重敬語と呼ばれ、避けるのが基本です。「おっしゃる」「拝見する」で十分に丁寧です。敬語を重ねるほど丁寧になるわけではなく、文が長くなって読みにくくなります。
敬称の使い分け
- 様:個人あて。「〇〇株式会社 〇〇様」
- 御中:会社や部署あて。「〇〇株式会社 営業部御中」
- 各位:複数の人あて。「お取引先各位」「社員各位」
- 殿:社内の通知などで使われることがあるが、社外には使わないのが一般的
「〇〇株式会社御中 〇〇様」のように、御中と様を重ねるのは誤りです。担当者の名前が分かっているなら「様」、分からないなら「御中」と使い分けます。
会社名は正式な名前で
会社名は、略さずに正式な名前で書きます。「(株)」と略さず「株式会社」と書き、「株式会社」が名前の前に付くのか後ろに付くのかも確かめます。相手の会社名を間違えることは、文書の中で最も印象を損なう誤りの1つです。
依頼文と議事録の書き方
社内文書の中でも、書く機会が多く、書き方で差が出やすいのが依頼文と議事録です。
依頼文は「何を・いつまでに・なぜ」を先に
ほかの部署に作業や資料を頼む依頼文では、冒頭で何を頼むのかと、いつまでに必要なのかを書きます。そのうえで、なぜ必要なのかを短く添えると、相手は優先順位を判断しやすくなります。
件名:第3四半期の販売実績データ提出のお願い
営業部 〇〇様
経理部の〇〇です。第3四半期の決算資料の作成のため、下記の販売実績データを11月6日(金)までにご提出いただけますでしょうか。
記
- 内容 7月から9月の商品別の販売数と売上金額
- 形式 表計算ソフトのファイル
- 提出先 経理部 〇〇(共有フォルダーの「第3四半期」に保存)
以上
依頼文では、相手が作業を始めるときに迷わないよう、形式や提出の方法まで書いておきます。期限は日付と曜日で書き、「今週中」のような幅のある書き方は避けます。
議事録は決まったことを先に書く
議事録は、会議の発言を順に書き起こすものではありません。読む人が知りたいのは、何が決まって、誰が次に何をするのかです。議事録の冒頭に「決定事項」と「次の作業(担当と期限)」を書き、その後に話し合いの要点を書きます。
- 会議名、日時、場所、出席者
- 決定事項(決まったことを1行ずつ)
- 次の作業(作業、担当、期限)
- 話し合いの要点(主な意見と、決まらなかった論点)
会議に出ていなかった人が、冒頭の数行だけで状況をつかめる議事録が、よい議事録です。会議の当日中に共有すると、記憶が新しいうちに内容の誤りを直してもらえます。
社内でひな形をそろえるときの決まり
部署や会社でひな形をそろえるときは、書き方の決まりもあわせて文字にしておくと、人によって文書の形がばらつくのを防げます。
決めておくとよいこと
- 日付の書き方(西暦か和暦か、曜日を書くか)
- 数字の書き方(全角か半角か、金額の区切りのカンマ)
- 社名や部署名の正式な表記
- 文書番号の付け方
- 担当者の連絡先の書き方
こうした決まりは、1枚の文書にまとめて共有フォルダーの最初の場所に保存しておきます。新しく入った人も、決まりを見ればすぐに会社の形に合わせた文書を書けるようになります。
提出前の確認の手順
書き終えた文書は、送る前に必ず確かめます。確かめる順番を決めておくと、見落としが減ります。
1. 数字と日付を確かめる
金額、数量、日付、時刻を、元の資料と1つずつ照らし合わせます。日付と曜日の組み合わせは、カレンダーで必ず確かめます。曜日の間違いは、読む人がすぐに気づく誤りです。
2. 宛名と敬称を確かめる
宛名の会社名、部署名、役職、氏名に誤りがないか、敬称が重なっていないかを確かめます。前に使った文書を書き換えて作った場合は、前の宛先の名前が残っていないかにも注意します。
3. 声に出して読む
文書を声に出して読むと、長すぎる文や、つながりのおかしい文に気づきやすくなります。読んでいて息が続かない文は、2つに分けます。
4. 添付と同封物を確かめる
本文や記書きに「同封の返信はがき」「添付の資料」と書いた場合は、実際に同封や添付ができているかを確かめます。メールで送るなら、添付したファイルを一度開いて、別の相手の資料や古い版ではないかを見ます。書いてあるのに入っていない、という誤りは、相手に余計な問い合わせの手間をかけさせます。
5. 別の人に読んでもらう
大事な社外文書は、送る前に上司や同僚に読んでもらいます。書いた本人は内容を知っているので、説明が足りない部分に気づきにくいものです。読んだ人に「何をしてほしい文書か」を一言で答えてもらい、意図どおりに伝わるかを確かめます。
よく使う文例を整えておく
同じ種類の文書を何度も書くなら、会社や部署で文例を整えておくと、書く時間が短くなり、品質もそろいます。
文例は用途ごとに分けて保存する
通知文、案内状、お礼状、お詫び状など、用途ごとに文例を作り、共有のフォルダーに保存しておきます。ファイル名に「案内状_説明会」「お礼状_訪問後」のように用途を入れておくと、探しやすくなります。
文例を使うときの注意
文例を使うときは、宛名、日付、時候のあいさつ、固有名詞を必ず書き換えます。文例のまま季節に合わないあいさつが残っていたり、前の相手の会社名が残っていたりすると、使い回しが相手に伝わってしまいます。書き換える場所に色を付けた文例にしておくと、書き換え忘れを防げます。
文書の作成と確認を複数の人で進めるとき
案内状やお詫び状のように、何人もの確認を経て送る文書では、誰が書いていて、誰の確認を待っているのかが分からなくなりがちです。下書きのファイルがメールで行き来するうちに、どれが最新なのかも分からなくなります。
少人数なら表で十分
関わる人が2人か3人なら、共有のスプレッドシートに「文書名」「書く人」「確認する人」「期限」「状況」の列を作り、状況を「作成中」「確認待ち」「修正中」「送付済み」から選ぶ形にするだけでも、進み具合は十分に共有できます。下書きのファイルは共有のフォルダーに1つだけ保存し、ファイル名に日付を入れて、最新の版がどれかを分かるようにします。
文書が多い部署では道具を使う
部署で毎月たくさんの文書を作る場合や、社外の協力者にも書いてもらう場合は、文書ごとの担当、期限、やり取りを1か所にまとめられるプロジェクト管理ツールを使う方法があります。
候補の1つがPinatecaです。公式サイトによると、カンバン、ガントチャート、カレンダー、リストなど8種類のボードとチャットが無料のプランから使え、カードごとにコメントを残せて、カスタムフィールドで「確認する人」や「送付先」といった項目を追加できます。5人までのチームなら期限なしで無料で、ボードは10個まで作れます。6人目、または11個目のボードからはスタンダードプランで、料金は1人あたり月額500円(年払いなら1人あたり月額400円、税抜)です。たとえば「作成中」「確認待ち」「修正中」「送付済み」の列を作り、文書を1枚ずつのカードにして担当と期限を付ければ、どの文書が誰の確認で止まっているかを全員が同じ画面で確かめられます。なお、Pinatecaは文書そのものを作る道具ではなく、作成と確認の担当と進み具合を共有するための道具です。Pinatecaは、@SOHOを運営する株式会社ライフスケープが開発・提供しています。
文書を書く力を仕事にする
在宅ワークとフリーランスの仲介を長く続けてきた運営者として見てきた限りでは、文書作成の仕事を長く頼まれ続ける人は、依頼する側の社内の決まりや言葉づかいを早く覚え、確認の手間を減らしてくれる人です。修正の指示が少なくて済む文書を出せる人には、同じ相手から次の依頼が来ます。仲介の手数料が乗らない直接の取引では、依頼する側は同じ予算でより多く頼め、受ける側は手取りが厚くなります。その信頼の土台になるのが、ここで紹介した基本の形とルールを守る力です。
文書の仕事の種類
ビジネス文書・契約書作成のお仕事では、社内外の文書や契約書の作成を在宅で受ける仕事の種類と、必要な力が紹介されています。官公庁に出す書類の作成を仕事にする国家資格には行政書士があり、資格ガイドで試験の内容と仕事の範囲を確かめられます。補助金の申請で事業計画書を書く機会がある人は、小規模事業者持続化補助金2026|採択率を上げる事業計画書の書き方で、審査で読まれる計画書の組み立て方が紹介されています。
よくある質問
Q. 社内文書と社外文書の書き方の違いは何ですか?
社内文書は、頭語や時候のあいさつを省き、用件から書き始めるのが基本で、敬語も丁寧語を中心にします。社外文書は、会社を代表して送る文書なので、頭語、時候のあいさつ、日ごろのお礼から始め、「さて、」で用件に入り、結びのあいさつと結語で終える形を守ります。どちらも結論を先に書く点は同じです。
Q. 「拝啓」で始めたら結びは何と書けばよいですか?
「拝啓」には「敬具」を組み合わせます。特に丁寧な文書で使う「謹啓」には「謹白」か「敬白」、返信で使う「拝復」には「敬具」、前文を省く「前略」には「草々」を使います。「拝啓」と「草々」、「前略」と「敬具」の組み合わせは誤りです。取引先への正式な文書では「拝啓」と「敬具」を基本にします。
Q. 宛名の「御中」と「様」はどう使い分けますか?
「御中」は会社や部署など組織にあてるときに、「様」は個人にあてるときに使います。担当者の名前が分かっているなら「〇〇株式会社 営業部 〇〇様」と書き、分からないなら「〇〇株式会社 営業部御中」と書きます。「御中」と「様」を重ねて書くのは誤りです。複数の人にあてるときは「各位」を使います。
Q. ビジネス文書を読みやすくするコツはありますか?
結論を最初の段落に書き、一文を短くして論点を1つに絞ることです。3つ以上の情報を並べるときは箇条書きにし、日時や場所などの要点は本文の下の記書きに抜き出します。数字や固有名詞で具体的に書き、二重否定や受け身の多用を避けると、読む人が誤解しにくい文書になります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
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