管理業務主任者の報酬の相場


この記事のポイント
- ✓管理業務主任者 副業 収入の決まり方を
- ✓時間単価・件数単価・監修料・顧問料の4つに分けて整理しました
- ✓同じ仕事でも報酬が動く6つの条件
管理業務主任者の資格で副業をするとき、いくらもらえるのかという問いには、一律の答えがありません。同じ「議事録を作る」という仕事でも、発注元が管理会社か管理組合かで報酬は変わり、納期の余裕があるかどうかでも変わります。この記事では、金額の一覧を並べるのではなく、報酬がどう決まるのかという構造から整理します。構造が分かれば、提示された金額が妥当かどうかを自分で判断でき、上げるための手も打てるようになります。
報酬の形は4つしかない
在宅で受ける仕事の報酬の付き方は、突き詰めると4種類です。それぞれ、得意な仕事の種類と、注意すべき落とし穴が違います。
1つ目は時間単価です。稼働した時間に単価を掛けて計算します。作業量が読めない仕事、相手の要望が固まっていない仕事に向いています。 2つ目は件数単価です。成果物1点ごとに金額を決めます。議事録1本、比較表1点、記事1本といった単位です。作業量が読める仕事に向いています。 3つ目は監修料です。成果物を作るのではなく、内容を確認して名前を出す対価です。時間ではなく、責任と肩書きに対して支払われます。 4つ目は顧問料です。月額を決めて、その範囲で相談に応じます。継続前提の形で、収入が安定する代わりに拘束が生まれます。
この4つを混ぜて考えると、金額の妥当性が判断できなくなります。まず、目の前の案件がどの形なのかを見分けてください。
時間単価の考え方
時間単価で受けるとき、決めるべきは金額よりも先に「何を稼働に含めるか」です。ここを決めないまま始めると、実質の時給が半分になります。
含めるかどうかで揉めやすいのは、資料を読む時間、メールやチャットのやり取り、打ち合わせの時間、そして修正の時間です。特に読む時間は見落とされがちで、管理規約を1本読み込むだけで2時間かかることもあります。これを稼働に含めない契約にすると、成果物を作る時間だけが報酬の対象になり、実際の時給は大きく下がります。
刻みの単位も先に決めます。30分単位で計上するのか、1時間未満は切り上げるのか。短い問い合わせが積み重なると、それだけで週に数時間になります。15分未満は加算しない代わりに、月2時間までの相談は基本料に含めるといった形にすると、双方が納得しやすくなります。
水準としては、事務作業に近い内容なら一般的な在宅事務の相場に近づき、専門的な判断を伴う内容なら執筆や監修に近い水準になります。同じ人が同じ時間働いても、内容の専門性で単価は変わります。時間単価を提示するときは、金額だけでなく「この単価に含まれる作業の範囲」を必ず添えてください。
件数単価の考え方
成果物1点あたりで受ける形です。この形の利点は、作業を早く終えられるほど実質の時給が上がることにあります。同じ議事録でも、型を持っている人は1時間で仕上げ、持っていない人は4時間かかります。件数単価は、この差がそのまま収入の差になる形です。
金額を決めるときは、まず自分の作業時間を実測します。1点作るのに何時間かかるかを3回測り、その平均に自分の希望時給を掛けたものが下限です。そこに、修正の想定時間を加えます。修正2回まで込みなら、その分も見込んでおきます。
件数単価で最も危険なのは、範囲が広がることです。「議事録の作成」で受けたのに、録音の文字起こしから始まり、議案書の修正まで頼まれるという展開はよくあります。見積もりの時点で、含まれるものと含まれないものを箇条書きにして送っておきます。文字起こしは含まない、議案書の作成は別料金、といった形です。
成果物1点の金額を上げたいなら、点数を分けるのが実務的です。議事録と年間議題カレンダーを別の成果物として見積もる。1点の値上げより、点数を増やすほうが相手も受け入れやすくなります。
監修料の考え方
監修は、作業時間に対してではなく、名前を出す責任に対して支払われるものです。ここを勘違いすると、安く受けてしまいます。
工程としては、原稿を読み、事実関係の誤りを指摘し、根拠となる条文や公表資料を示し、必要なら加筆案を書く。実作業は1時間から2時間で終わることも多い仕事です。しかし、誤った内容に名前が付いたときの影響は、その1時間では測れません。監修料は、この責任の対価を含んだ金額として設定します。
実務的には、記事1本あたりの固定額で受けるのが一般的です。金額は、名前と肩書きを出すかどうか、プロフィールや顔写真まで掲載するかどうか、継続で何本受けるかによって変わります。名前を出さない事実確認だけの仕事と、プロフィール付きで監修者として掲載される仕事では、後者のほうが高くなります。
監修で必ず決めておく項目が2つあります。1つは、指摘した内容が反映されなかった場合に名前を外せるかどうか。もう1つは、記事が改稿されたときに再確認の機会があるかどうかです。この2つを契約書に入れていないと、自分が確認していない内容に名前が残ることになります。金額の交渉より、この2点のほうが重要です。
顧問料の考え方
管理組合や管理会社と月額で契約し、その範囲で相談に応じる形です。収入が読めるようになる代わりに、拘束が生まれます。
決めるべきは、月額に含まれる範囲です。相談の回数、対応する時間帯、返信の速さ、資料作成が含まれるかどうか。ここを決めずに月額だけ合意すると、月に何十回も連絡が来る状態になり得ます。月2回までのオンライン相談と、メールでの質問は回数制限なしだが返信は3営業日以内、資料作成は別途、といった形にしておきます。
顧問の形で注意すべきは、法令の線引きです。管理組合からの相談は、滞納の督促や紛争の処理に及ぶことがあります。具体的な法律事務は弁護士法の領域に、官公署に提出する書類の作成代理は行政書士法の領域に触れる可能性があります。どこまでが助言で、どこからが専門家への引き継ぎなのかを、契約の段階で相手と共有しておいてください。ここは断定せず、案件ごとに確認する姿勢が要ります。
また、マンション管理士の名称は同法で使用が制限されています。顧問という立場で名乗るときは、自分が持っている資格の正式名称だけを使ってください。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律 出典: laws.e-gov.go.jp
同じ仕事でも報酬が動く6つの条件
金額が案件ごとにばらつく理由は、次の6つに集約されます。提示された金額が安いと感じたとき、どの条件が効いているかを見てください。
1つ目は発注元です。管理会社からの外注は、社内の人件費と比較されるため上限が読みやすい代わりに、極端には上がりません。管理組合からの直接依頼は、比較対象がないぶん幅が出ます。メディアからの依頼は、記事の収益性に連動します。
2つ目は成果物の難易度です。議事録の清書と、規約の改正案づくりでは、必要な判断の量が違います。判断が多いほど、代わりが利かなくなり、単価は上がります。
3つ目は納期です。通常5営業日のところを2営業日で求められるなら、その分を上乗せするのが正当です。急ぎの案件を通常価格で受け続けると、急ぎが常態になります。
4つ目は情報の機密性です。区分所有者の氏名や滞納の状況を扱う仕事は、管理の手間と責任が増えます。秘密保持契約を結んだうえで、その分を金額に反映させます。
5つ目は修正の回数です。理事会が発注元の場合、複数の理事の意見を反映するため修正が増えます。回数の上限を決め、それを超える分は追加とする形にします。
6つ目は継続の有無です。単発より継続のほうが1点あたりを下げやすくなりますが、下げるなら本数の確約とセットにします。「毎月2本、6か月」という条件があって初めて割引が成立します。確約のない値引きは、単なる値下げです。
仕事の種類ごとの目安
種類ごとに、報酬の形と単価が動きやすい要因を整理します。金額そのものは案件ごとに幅が大きいため、形と要因で見てください。
| 仕事の種類 | 報酬の形 | 単価が動く主な要因 |
|---|---|---|
| 議事録の作成・整理 | 件数単価 | 文字起こしの有無、戸数、議案の数 |
| 総会議案書の下書き | 件数単価 | 議案の難易度、収支説明の有無 |
| 規約・細則の改正案 | 件数単価または時間単価 | 現行規約の分量、論点の数 |
| 長期修繕計画の説明資料 | 件数単価 | 計画の年数、シミュレーションの本数 |
| 管理委託契約の見積比較 | 件数単価 | 比較する社数、項目の粒度 |
| 記事の監修 | 監修料 | 名前と肩書きの掲載範囲、本数 |
| 記事の執筆 | 文字単価または件数単価 | 専門性、取材の有無 |
| 試験対策の解説・添削 | 件数単価 | 問題数、答案の量 |
| 管理組合への相談対応 | 時間単価または顧問料 | 相談の頻度、対応時間帯 |
| バックオフィス代行 | 時間単価 | 作業の定型度、稼働時間 |
執筆や監修の水準を確認したいときは、職種別に単価をまとめた著述家,記者,編集者の年収・単価相場が基準づくりの材料になります。資料作成に近い作業の水準を見たい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場のような専門職の相場と見比べると、専門性がどこで金額に反映されるかが見えてきます。
見積書に何を書くと、金額が通りやすいか
同じ金額でも、書き方によって通り方が変わります。金額だけを1行で送ると、相手は金額だけを比べます。次の4つを添えると、条件の比較に変わります。
1つ目は、成果物の仕様です。ファイル形式、おおよその分量、構成の見出し。「A4で6ページ程度のWordファイル1点、構成は現状の整理、論点の一覧、改正案の3部」と書けば、相手は届くものを想像できます。
2つ目は、含まれないものです。文字起こしは含まない、印刷と製本は含まない、総会当日の同席は含まない。書いておくことで、後から範囲が広がるのを防げます。これは相手を疑う書き方ではなく、双方の記憶を合わせるための一文です。
3つ目は、工程と日程です。着手から初稿まで5営業日、修正の受付は初稿から7日以内、最終納品はその3営業日後。日程が書かれているだけで、進行が読める相手だと判断されます。
4つ目は、追加が発生する条件です。修正が3回目以降になる場合、方針そのものが変わる場合、対象の分量が想定を大きく超える場合。あらかじめ書いておけば、追加を請求するときに気まずくなりません。
この4項目を書いた見積書は、金額の高低とは別の軸で信頼を作ります。安い相手と比べられたときに、なぜその金額なのかが説明されている側が残ります。
実費と消費税の扱いも先に決める
報酬本体以外の部分で、あとから揉めやすい項目があります。
実費については、何が実費で誰が負担するかを決めます。在宅の仕事でも、資料の郵送、有料データベースの利用、現地確認が必要になった場合の交通費が発生し得ます。実費は別途請求とするのか、報酬に含むのか。含む場合は上限を決めておきます。
消費税は、報酬額が税込なのか税別なのかを明記します。口頭で「3万円」と言い合った結果、請求段階で解釈が割れることは実際によくあります。見積書には税別金額、消費税額、税込金額の3つを並べて書いてください。
インボイス制度が始まって以降、発注側が適格請求書発行事業者かどうかを確認してくることが増えました。登録するかどうかは、取引先の性質と自分の売上規模で判断が変わります。登録していない場合でも取引できないわけではありませんが、条件の話に入る前に自分の状況を答えられるようにしておくとやり取りが早くなります。制度の詳細は国税庁の案内で確認してください。
支払いのタイミングも決めます。納品月の末締め翌月末払いが一般的ですが、これだと納品から入金まで2か月近く空くことがあります。金額が大きい案件や、初めての相手の場合は、着手金を受け取る形にしておくと安全です。
副業として得ている収入の実態
期待値を現実に合わせておきます。関連する資格の調査では、資格を取った人のうち副業として活動している割合は限られています。
その中で副業でマンション管理士の業務を行っている人の割合をみると、資格取得者全体のうちの8%ほどです。 出典: studying.jp
結果として、マンション管理士として収入を得ている人は資格取得者全体で見ると少数で、かつ本業でマンション管理士として活動している人も5%程度しかいません。 出典: studying.jp
正直なところ、この数字を「稼げない資格」と読むのは早いと考えています。動いている人が少ないという事実は、そのまま競合が薄いという事実でもあるからです。資格を取ったあと、何を売るかを決めきれずに止まっている人が大半で、売るものを1つ決めてサンプルを作った時点で上位に入ります。
ただし、この資格だけで本業を置き換える水準の収入を作るのは、現実的ではありません。副業として月に数万円から十数万円の幅で組み立て、本業や他のスキルと組み合わせる形が実態に近い設計です。
最初の1件の金額をどう決めるか
実績がない段階では、いくらと言えばいいのか分からないという声が多く聞かれます。ここで無料や極端な安値を提示するのは避けてください。安さで取った相手は、次も安さで比べてきます。1件目の金額は、その後の取引の基準になります。
代わりに使うのは、範囲を狭める手です。通常なら議事録と年間議題カレンダーと運用手順書をまとめて受けるところを、1件目は議事録だけに絞る。単価は下げず、成果物の点数を減らして総額を抑えます。この形なら、続きを頼まれたときに元の水準に戻せます。
金額の根拠は、自分の作業時間から作ります。1点作るのにかかる時間を実測し、そこに希望する時給を掛け、修正の想定時間を足す。この計算で出た数字が下限です。市場の平均に合わせる必要はありません。平均は、条件がばらばらな案件を混ぜた数字であって、自分の案件の妥当な価格ではないからです。
相手から先に予算を聞けるなら、聞いたほうが早く進みます。「ご予算の範囲をお聞かせいただければ、その中でできる構成をご提案します」という返し方なら、値踏みされている印象を与えません。予算が低ければ範囲を狭め、高ければ成果物を足す。この進め方だと、金額そのものの押し引きが起きません。
受けないほうがよい条件
金額の話を進める前に、条件そのものが成立していない案件があります。次のいずれかに当たる場合は、断るほうが結果的に得になります。
範囲が決まらない案件です。「まずはご相談から」「やりながら決めましょう」という進め方は、時間単価であれば成立しますが、件数単価で受けると際限がなくなります。範囲が決まらないなら、時間単価に切り替える提案をして、それが通らなければ見送ります。
修正の回数が決まらない案件も同じです。特に理事会が発注元の場合、理事が複数いるため意見がまとまらないまま修正が続きます。上限を決められない相手とは、件数単価で組まないほうが安全です。
責任の位置づけが曖昧な案件も避けます。管理規約の改正案や滞納への対応方針は、法律事務との境界が近い領域です。作るのは案であり、決議と最終判断は発注者が行うという一文を入れられない相手とは、契約しないほうが無難です。
そして、金額が作業時間に対して明らかに合わない案件です。断るときは理由を1行添え、代わりに何ならその金額でできるかを書いてください。「その予算でしたら、議事録の作成までであれば対応できます」。この返し方なら、次の依頼につながることがあります。断ることは失礼ではなく、続けるための条件です。
単価を上げる3つのてこ
金額を上げたいとき、交渉より先に効く手が3つあります。
1つ目は、成果物の点数を増やすことです。議事録だけでなく年間の議題カレンダーを付ける。比較表だけでなく差の要因をまとめた注記を付ける。1点あたりの値上げより、点数を足すほうが相手は受け入れやすくなります。しかも、付けた成果物は次の案件でも使い回せる型になります。
2つ目は、判断を含む仕事に移ることです。清書や入力は、代わりが見つかりやすいため単価が上がりません。どの条文を変えるべきか、どの見積が妥当か、という判断を含む仕事は代わりが利かず、単価の上限が高くなります。入口として作業を受け、途中から判断の部分を提案していく順序が現実的です。
3つ目は、継続の設計です。単発を積み上げるより、年に1回必ず発生する仕事を押さえるほうが安定します。総会資料は毎年、理事会の議事録は毎月。年間のサイクルがある業界なので、1件目を丁寧に納めることが翌年の受注になります。
値切られたときに、どう返すか
金額を下げてほしいと言われたとき、そのまま受けるか断るかの二択にしないでください。返し方は3つあります。
範囲を狭める。「その金額でしたら、議事録の作成までとし、議案書の下書きは別途とさせてください」。金額に合わせて成果物を減らす形です。単価は保たれます。
本数を確約してもらう。「毎月2本、6か月の確約をいただけるなら、1本あたりを調整できます」。継続とセットにすることで、値引きに理由が生まれます。
納期を延ばす。「納期を2週間いただけるなら、その金額で対応できます」。急ぎでない案件なら、相手も受け入れやすい条件です。
いずれも、単価そのものは下げていない点が重要です。一度下げた単価は、同じ相手には戻せません。条件を動かして帳尻を合わせる癖をつけておくと、長期の収入が変わります。
本業の時給と単純に比べない
副業の単価を、本業の給与を時間で割った数字と比べる人がいます。この比較は成り立ちません。給与には社会保険料の事業主負担、有給休暇、通勤手当、賞与、そして仕事がない時間も給与が出るという条件が含まれているからです。
業務委託で受ける報酬には、これらが一切含まれません。加えて、営業の時間、見積もりを作る時間、請求と入金の管理、確定申告の手間が、報酬の対象外の稼働として発生します。この見えない稼働を含めると、実質の時給は提示額よりも下がります。
だからこそ、単価を決めるときは本業の時給より高く設定するのが原則です。低く設定すると、副業を増やすほど時間あたりの実入りが悪化するという逆転が起きます。2倍とまでは言いませんが、本業の時給を明確に上回る水準を下限に置いてください。
一方で、金額に換算しにくい価値もあります。実務で扱わない種類の案件に触れられること、成果物という形で自分の技能が可視化されること、本業とは別の人脈ができること。これらは、単価が低い時期を乗り切る理由にはなります。ただし、その状態を1年以上続けるのは避けたほうがよい。材料がたまった段階で、単価を上げる交渉に移ってください。
手取りで見ると、受け取り方でも差が出る
同じ金額の仕事でも、どの経路で受けるかによって手元に残る額は変わります。仲介手数料が差し引かれる形で受け続けると、年間の受注額が大きくなるほど差が開いていきます。年間100万円を受注する人なら、手数料の率が数パーセント違うだけで数万円が動きます。
同じ予算でも、間に手数料が乗らない直接の取引なら、依頼側はより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%で直接やり取りできる場を1つ確保しておくと、金額の交渉をしなくても手取りが変わります。額面だけを見て単価の高低を比べると、この差を見落とします。
源泉徴収の扱いも確認しておきます。個人が受け取る報酬のうち、原稿料や講演料など一定のものは源泉徴収の対象になります。振り込まれた金額が見積もりより少ない場合、この控除である可能性があります。受注ごとに、請求額、源泉徴収額、入金額を記録しておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。具体的な扱いは国税庁の案内で確認してください。
市場を長く見てきた立場からの観察
在宅と業務委託の市場を20年見てきた立場から言えば、単価が上がっている人と横ばいの人の差は、交渉の巧拙ではありません。差が出ているのは、成果物が手元にたまっているかどうかです。
納品したファイルから固有情報を抜いた形を残している人は、半年で提案に使える材料が5点から10点たまります。次の案件では、それを見せて「この形で作れます」と言えるため、値段の話が後になります。逆に、納品して終わりにしている人は、毎回ゼロから信用を作り直すことになり、金額でしか比べてもらえません。
もう1つ、長く続いている人は、相手の中で「この分野はこの人に聞けば早い」という位置を取っています。単発の作業を受け続けるのではなく、納品のたびに次の論点を1つ置いていく。半年もすると、相手の社内から先に相談が来るようになります。案件を探す時間がゼロになるという意味で、これが実質的に最も単価の高い状態です。
資格そのものの位置づけを整理したいなら、独占業務を持つ行政書士の資格ガイドと見比べると違いが分かります。独占業務がある資格は業務そのものが値段を持ちますが、この資格は知識を成果物に変えて初めて値段が付く型です。他の資格でも同じ構造の副業は成立していて、ドローン副業の始め方|資格・収入・案件の種類をまとめて解説や楽譜作成・作詞の副業|音楽知識をオンラインで収入に変える、ゲームテスターの副業ガイド|未経験から始める方法と収入の実態を見ると、報酬の決まり方が似た形で整理されているのが分かります。働き方や副業の設計そのものを相談する仕事も存在し、キャリア・副業・人生相談のお仕事でどんな粒度で発注されているかが確認できます。
報酬の相場を知ることの目的は、平均に合わせることではありません。自分の提示する金額に、含まれるものと含まれないものを説明できるようになることです。それができた時点で、金額は相手が決めるものから、こちらが提案するものに変わります。
よくある質問
Q. 管理業務主任者の副業で、月にどのくらいの収入になりますか?
仕事の種類と稼働時間で大きく変わります。週10時間を上限に、記事の監修や議事録の作成を中心に組み立てると、月に数万円から十数万円の幅に収まる設計が現実的です。この資格だけで本業を置き換える水準を目指すより、本業や他のスキルと組み合わせる形が実態に近いと言えます。
Q. 時間単価と件数単価は、どちらで受けるべきですか?
作業量が読めるかどうかで決めます。議事録や比較表のように工程が決まっている仕事は件数単価が向いています。相手の要望が固まっていない相談対応や、規約の読み込み量が読めない仕事は時間単価が安全です。件数単価で受けるなら、含まれるものと含まれないものを見積書に箇条書きで書いてください。
Q. 監修料はどう決めればよいですか?
作業時間ではなく、名前を出す責任に対する対価として決めます。実作業が1時間から2時間で終わる場合でも、その時間で計算しないでください。名前と肩書きの掲載範囲、プロフィールの掲載有無、継続本数で金額が変わります。指摘が反映されない場合に名前を外せるかを契約に入れておくことも重要です。
Q. 単価を下げてほしいと言われたら、どうすればよいですか?
単価を下げるのではなく条件を動かします。成果物の範囲を狭める、本数の確約とセットにする、納期を延ばす。この3つのいずれかで帳尻を合わせてください。一度下げた単価は同じ相手には戻せません。条件で調整する習慣が、長期の収入を左右します。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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