記帳代行とは?依頼できる業務範囲とどこまで丸投げできるかをわかりやすく解説

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
記帳代行とは?依頼できる業務範囲とどこまで丸投げできるかをわかりやすく解説

この記事のポイント

  • 依頼できる業務範囲とどこまで丸投げできるかを発注者目線で解説
  • 費用相場・経理代行との違い・失敗しない選び方・依頼の流れまで
  • 外注を検討する個人事業主や中小企業の担当者が判断できる粒度でまとめました

「記帳代行を頼みたいけれど、そもそもどこまでやってもらえるのか」。この疑問を抱えて検索する方は、たいてい経理業務に時間を取られすぎている個人事業主か、経理担当が退職して困っている中小企業の方です。結論から言うと、記帳代行の業務範囲は「日々の取引を帳簿に入力する作業」が中心で、税務申告や税務相談は税理士資格がないと請け負えません。つまり「どこまで丸投げできるか」は、依頼先が税理士か・一般業者か・フリーランスかによって大きく変わります。この記事では、記帳代行で依頼できる範囲、経理代行との違い、費用相場、失敗しない選び方までを、外注を検討する発注者が意思決定できる粒度で整理します。

記帳代行とは?依頼できる業務範囲の全体像

記帳代行とは、企業や個人事業主が日々発生する取引を、代わりに帳簿へ記録してくれるサービスです。領収書や請求書、通帳のコピーといった資料を業者に渡すと、それをもとに仕訳を起こし、会計ソフトへ入力し、月次の試算表や総勘定元帳を作成して返してくれます。経理の中でも「記録する」という部分に特化したアウトソーシングだと考えると分かりやすいでしょう。

まず押さえておきたいのは、記帳代行の範囲はサービス提供者や契約内容によって幅があるという点です。同じ「記帳代行」という看板を掲げていても、単純な入力だけを請け負う業者もあれば、月次レポートの作成や経営分析コメントまで付ける業者もあります。だからこそ、依頼前に「自分が任せたい作業がどこまで含まれるのか」を明確にしておく必要があります。

参考ソースでは、記帳代行の位置づけを次のように説明しています。

まず、記帳代行とは一般的に企業や個人事業主の取引記録を代わりに帳簿へ記録するサービスを指しますが、その具体的な内容や範囲は多様です。

つまり「記帳代行=帳簿への記録」という骨格は共通していても、その周辺にどこまでの業務が含まれるかは業者ごとにバラバラだということです。正直なところ、この曖昧さが「どこまで頼めるのか分からない」という発注者の混乱を生んでいます。

記帳代行に含まれる代表的な業務

記帳代行で一般的に依頼できる業務は、おおむね次の範囲に収まります。ひとつずつ見ていきましょう。

第一に、仕訳の作成です。領収書や請求書を「借方・貸方」に振り分ける作業で、簿記の知識が必要な部分です。経理の経験がない発注者にとっては、この仕訳こそが最もつまずきやすい工程なので、ここを任せられるだけでも負担は大きく減ります。

第二に、会計ソフトへの入力です。freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトへ仕訳データを入力していきます。ソフトの操作に慣れていない事業者にとっては、この入力作業だけでも月に数時間から十数時間を消費するため、外注メリットが出やすい部分です。

第三に、月次試算表・総勘定元帳・補助簿などの帳簿作成です。入力したデータをもとに、月ごとの損益がわかる試算表を作成します。これがあると、経営状況を数字で把握しやすくなります。

第四に、通帳やクレジットカード明細の整理・記帳です。銀行口座の入出金やカード利用履歴を突き合わせて記録します。取引件数が多い事業者ほど手間がかかる部分なので、外注の効果が大きい業務です。

記帳代行に含まれないことが多い業務

一方で、記帳代行の範囲外になりやすい業務もあります。ここを誤解していると「頼んだのにやってもらえなかった」というトラブルになるため、しっかり区別しておきましょう。

最も重要なのが税務申告です。確定申告書や法人税申告書の作成・提出は、税理士法により税理士の独占業務と定められています。税理士資格を持たない記帳代行業者は、いくら帳簿を作れても申告書の作成・提出まではできません。この点は後の章で詳しく解説します。

また、給与計算・社会保険手続き・年末調整といった労務系の業務、請求書の発行や売掛金の督促といった債権管理、資金繰り表の作成や経営コンサルティングなども、標準的な記帳代行の範囲には含まれないことが多いです。これらを任せたい場合は、より広い範囲をカバーする経理代行や、社会保険労務士・税理士との連携が必要になります。

記帳代行と経理代行・税理士との違い

「記帳代行」「経理代行」「税理士への依頼」。この3つは似ているようで、カバーする範囲と法的にできることが明確に異なります。発注者が最も混乱しやすいポイントなので、ここを整理しておけば依頼先選びで失敗しにくくなります。

結論を先に言うと、範囲の広さは「記帳代行 < 経理代行 < 税理士」の順で広がります。記帳代行は帳簿記録に特化、経理代行はそれに加えて請求・支払・給与計算などバックオフィス全般をカバー、税理士は税務申告・税務相談という独占業務まで対応できます。それぞれの守備範囲を理解して、自分に必要な範囲を過不足なく選ぶことが費用対効果を高めるコツです。

記帳代行と経理代行の違い

記帳代行と経理代行は、しばしば混同されますが範囲が異なります。記帳代行が「帳簿への記録」に絞られるのに対し、経理代行は経理業務全般を代行します。

具体的には、経理代行は記帳に加えて、請求書の発行、入金確認、支払業務(振込代行)、経費精算、給与計算、月次決算のとりまとめなど、日常的な経理オペレーション全体を引き受けます。経理担当者が退職してしまい、バックオフィスがまるごと回らなくなった中小企業には、記帳代行より経理代行のほうが適しています。

一方で、範囲が広いぶん経理代行のほうが費用は高くなります。単に領収書を渡して帳簿を作ってほしいだけなら、経理代行はオーバースペックです。自分の困りごとが「記録だけ」なのか「経理オペレーション全体」なのかを見極めることが、無駄な出費を防ぐ第一歩になります。

記帳代行と税理士の違い

税理士は、税務申告・税務相談・税務代理という3つの独占業務を持つ国家資格者です。記帳代行業者との決定的な違いは、この独占業務を扱えるかどうかにあります。

税理士に依頼すれば、記帳から決算、確定申告・法人税申告まで一気通貫で任せられます。税務調査への対応や、節税に関するアドバイスも受けられます。一方、記帳代行業者(税理士資格を持たない一般業者やフリーランス)は帳簿を作るところまでで、その先の申告書作成は税理士にバトンタッチする必要があります。

つまり「記帳から申告まで全部丸投げしたい」なら税理士(または税理士と提携している記帳代行)、「申告は自分でやる、または既に顧問税理士がいて記帳だけ外に出したい」なら一般の記帳代行、という住み分けになります。この違いを理解せずに一般業者へ依頼すると、「申告直前になって、結局自分で申告書を作る羽目になった」という事態が起きます。

どこまで丸投げできるかは依頼先で決まる

ここまでを整理すると、「どこまで丸投げできるか」は依頼先の属性で決まることが分かります。税理士事務所や税理士と提携した業者なら申告まで含めた丸投げが可能、一般業者やフリーランスの記帳代行なら帳簿作成まで、というのが基本ラインです。

発注者がやるべきなのは、まず「自分は申告まで任せたいのか、記帳だけでいいのか」を決めることです。ここが決まれば、依頼先の選択肢は自然に絞られます。逆にここを曖昧にしたまま「安いから」で業者を選ぶと、範囲のミスマッチで後から追加費用が発生したり、申告期限直前に慌てたりします。

記帳代行の費用・料金相場

発注者が最も気になるのが費用でしょう。記帳代行の料金は、主に「仕訳数(取引件数)」と「オプション業務の有無」で決まります。ここを理解すると、見積もりを取ったときに金額が妥当かどうかを自分で判断できるようになります。

一般的な相場感を示すと、仕訳数が月100件程度の小規模事業者で月額1万円前後、月300件程度で月額2万円3万円、月500件を超えると月額4万円以上になることが多いです。これに月次試算表の作成や訪問対応、記帳以外のオプションが加わると、その分だけ加算されていきます。

料金の内訳と課金方式

記帳代行の料金体系は、大きく「仕訳単価制」と「月額定額制」の2つに分かれます。

仕訳単価制は、1仕訳あたり50円100円程度を設定し、その月の取引件数を掛けて料金が決まる方式です。取引件数の変動が大きい事業者に向いています。繁忙期と閑散期で仕訳数が大きく違う業種なら、この方式のほうがコストの無駄が出にくいでしょう。

月額定額制は、あらかじめ「月○件までで月額○円」と決めておく方式です。件数の見込みが立てやすい事業者に向いています。上限件数を超えると追加料金が発生する契約が一般的なので、自分の月次の取引件数がどのくらいかを事前に把握しておくことが大切です。

そのほか、決算時にまとめて対応する「決算のみ」プランや、記帳と決算をセットにしたプランなど、業者によって多彩な組み合わせがあります。見積もりを取るときは「基本料金に何が含まれ、何がオプションか」を必ず確認しましょう。

仲介を通すか直接依頼するかで変わるコスト

見落とされがちですが、同じ品質の記帳作業でも「誰に頼むか」で費用は変わります。税理士事務所や代行会社に依頼すると、事務所の運営コストや人件費が価格に乗るため相場は高めになります。一方、記帳のスキルを持つフリーランスへ直接依頼すると、間に会社が入らないぶんコストを抑えられる傾向があります。

代理店や仲介会社を経由する場合、多くはそこに15%30%程度の仲介手数料や中間マージンが上乗せされます。つまり同じ作業でも、仲介を挟むかフリーランスへ直接発注するかで、実質的な支払額に差が生まれるということです。在宅ワークのマッチングサービスの中には、この中間マージンをなくして手数料0%で発注者とフリーランスを直接つなぐ仕組みもあり、コストを重視する発注者の選択肢になっています。

ただし、直接依頼にはメリットとデメリットの両面があります。安く頼める代わりに、業者のような組織的な品質保証やバックアップ体制は期待しにくい面もあります。「安さ」と「安心感」のどちらを優先するかは、任せる業務の重要度によって判断すべきでしょう。経理・帳簿まわりの外注先については、経理・財務・帳簿・税務のお仕事のガイドで、どんなスキルを持つ人材がいるか、依頼できる業務の幅を確認しておくと選びやすくなります。

記帳代行を利用するメリット

記帳代行を導入する発注者は、単に「面倒だから」だけでなく、明確な経営上の理由を持っていることが多いです。ここでは代表的なメリットを整理します。

コア業務に集中できる

最大のメリットは、本業に使える時間が増えることです。経理業務は売上を直接生み出さない間接業務ですが、疎かにはできません。この「重要だが直接お金を生まない作業」を外注することで、経営者や個人事業主は商品開発・営業・接客といった、本来価値を生む活動に時間を振り向けられます。

たとえば、月に10時間を記帳に費やしていた個人事業主が、その時間を営業活動に回せたら、外注費を上回るリターンを得られる可能性があります。時間の使い方という観点で、記帳代行は「コストではなく投資」と捉えることもできます。

記帳の正確性・専門性が担保される

経理の知識がない状態で自分で記帳すると、仕訳の誤りや勘定科目の間違いが起こりがちです。誤った帳簿は、決算や申告の段階で修正の手間を生み、最悪の場合は税務調査で指摘されるリスクにもつながります。

簿記の知識を持つプロに任せれば、こうしたミスを減らせます。特に、消費税の課税・非課税の判定や、経費として計上できるかどうかの判断は素人には難しく、専門家に任せる価値が高い部分です。正確な帳簿は、正しい納税と、金融機関からの融資審査での信頼にも直結します。

経理担当者の採用・教育コストを抑えられる

社員として経理担当者を1人雇うと、給与だけでなく社会保険料や採用コスト、教育コストがかかります。人を雇えば、その人が退職したときに業務が止まるリスクも抱えます。

記帳代行を使えば、こうした固定費と属人化リスクを回避できます。特に取引量がそれほど多くない小規模事業者にとっては、経理担当を雇うより外注したほうが総コストは安くなるケースが多いです。事業の成長に合わせて、必要なぶんだけ外注量を増減できる柔軟さも魅力です。

記帳代行を利用するデメリット

フェアに書くなら、記帳代行にはデメリットや注意すべき点もあります。ここを理解せずに導入すると「思っていたのと違った」となりかねません。

社内に経理ノウハウが蓄積されない

外注すると、社内に経理の知識や経験が溜まりにくくなります。将来的に自社で経理を内製化したいと考えている場合、丸投げし続けると、いざ自分たちでやろうとしたときにノウハウがゼロからになってしまいます。

対策としては、月次で送られてくる試算表や帳簿の見方だけは経営者自身が理解しておくこと、あるいはクラウド会計ソフトを共有して、数字の流れを把握できる状態を保っておくことが挙げられます。丸投げしつつも「数字を読む力」だけは手放さない姿勢が大切です。

資料のやり取りに手間とタイムラグが生じる

記帳代行は、こちらが領収書や請求書などの資料を渡さないと作業が始まりません。この資料の準備・送付という前工程は、意外と手間がかかります。資料が揃わなければ記帳も進まず、月次レポートが出るまでにタイムラグが生じます。

正直なところ、この「前工程の手間」を軽視して契約すると、結局こちら側の作業が減らずに不満が残ります。クラウド会計や領収書のスキャンアプリを使って、資料の受け渡しをデジタル化できる業者を選ぶと、この手間を大きく減らせます。

情報漏洩・セキュリティのリスク

帳簿には、取引先の情報や売上、経費といった機密性の高い情報が含まれます。これを外部業者に渡す以上、情報漏洩のリスクはゼロにはできません。

対策として、契約時にNDA(秘密保持契約)を結ぶこと、データの受け渡し方法が安全か(暗号化されているか、パスワード付きか)を確認することが重要です。万が一の情報流出は事業への打撃が大きいため、こうしたセキュリティ意識は軽視すべきではありません。サイバーリスク全般への備えとしては、ランサムウェア対策に必須!サイバー保険のおすすめ比較と補償範囲も参考になります。外部と機密データをやり取りする以上、情報セキュリティの基礎知識は発注者側にも求められます。

税理士資格と業務範囲の注意点

記帳代行を検討するうえで、絶対に知っておくべき法律上の注意点があります。それは「税務申告は税理士の独占業務である」という点です。ここを理解していないと、依頼先選びを大きく誤ります。

税理士法では、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士の独占業務と定めています。これは国が定めたルールであり、税理士資格を持たない者がこれらを業として行うことは法律で禁じられています。国税庁や税理士制度に関する公的な情報は国税庁の公式サイトで確認できます。

記帳代行業者ができること・できないこと

税理士資格のない一般の記帳代行業者やフリーランスができるのは、あくまで「帳簿を作成する」ところまでです。仕訳を起こし、会計ソフトに入力し、試算表を作るのは問題ありません。しかし、その帳簿をもとに確定申告書や法人税申告書を作成・提出する行為は、税理士の独占業務にあたるためできません。

ここを勘違いして「記帳から申告まで全部やってくれる」と思い込んで一般業者に依頼すると、申告の段階で「そこは対応できません」と言われて困ることになります。申告まで一括で任せたいなら、税理士事務所か、税理士と提携している記帳代行業者を選ぶ必要があります。

提携税理士の有無を必ず確認する

実務上は、記帳代行業者が税理士事務所と提携していて、記帳は業者が、申告は提携税理士が担当する、という連携体制を取っているケースが多くあります。この形なら、発注者は窓口を一本化しつつ、記帳から申告までをカバーできます。

依頼前には「申告まで対応できるのか」「対応できる場合、それは税理士が行うのか」を必ず確認しましょう。この確認を怠ると、範囲のミスマッチが後から発覚します。私自身、初めて外注先を探したとき、料金の安さだけを見て一般業者に絞り込みかけたのですが、よく確認すると申告は範囲外で、結局別途税理士を探す必要があることに気づきました。安さの裏にある「範囲の狭さ」を見抜けなかった失敗です。

記帳代行を依頼する流れと必要な書類

実際に記帳代行を依頼する場合、どのような手順で進むのかを知っておくと、スムーズに導入できます。ここでは一般的な流れを解説します。

依頼の基本的な手順

第一に、業者への問い合わせ・相談です。自社の状況(取引件数、業種、使っている会計ソフトなど)を伝え、対応可能かを確認します。

第二に、見積もりの取得です。ここが最も重要な工程です。必ず複数の業者から見積もりを取り、料金だけでなくサービス範囲を横並びで比較しましょう。参考ソースも、見積もり比較の重要性を次のように指摘しています。

記帳代行の流れは上記の通りです。実際に業者を選ぶ際は、必ず見積もりを取り、料金やサービス内容を比較することが大切です。同じ記帳代行でも対応範囲やオプションの有無によって費用対効果が大きく変わるからです。

第三に、契約の締結です。業務範囲・料金・納期・NDAなどを契約書で明確にします。口約束で進めると、後で「これは範囲外」というトラブルが起きやすいので、書面化は必須です。

第四に、資料の受け渡しと記帳開始です。領収書・請求書・通帳コピーなどを渡し、実際の記帳作業がスタートします。第五に、月次レポートの受領と確認です。作成された試算表や帳簿を受け取り、内容を確認します。

記帳代行に必要な書類

依頼にあたって発注者が用意すべき主な書類は、次のとおりです。売上に関する請求書・領収書の控え、仕入や経費に関する請求書・領収書、預金通帳のコピーまたは取引明細、クレジットカードの利用明細、給与や外注費の支払記録などです。

これらの資料が揃っていないと、業者は正確な記帳ができません。日頃から領収書を月ごと・種類ごとに整理しておくと、資料の受け渡しがスムーズになり、記帳の精度も上がります。逆に、資料がぐちゃぐちゃのまま丸投げすると、業者側の整理作業が発生して追加費用がかかることもあります。

失敗しない記帳代行の選び方

数ある業者やフリーランスの中から、自社に合った依頼先をどう選ぶか。ここでは、発注者が押さえるべき選び方のポイントを解説します。

業務範囲が自社のニーズと合っているか

最も大切なのは、その依頼先の業務範囲が、自分の任せたい範囲と一致しているかです。前述のとおり、申告まで任せたいのか記帳だけでいいのかで、選ぶべき相手は変わります。

「記帳だけでいい」なら、税理士事務所よりも一般業者やフリーランスのほうが安く済むことが多いです。逆に「申告まで丸投げしたい」なら、税理士または提携税理士のいる業者を選ばないと目的を果たせません。まず自社のニーズを言語化し、それに合う範囲を提供する相手だけに絞ることが、失敗回避の第一歩です。

料金体系が明確で、見積もりが比較できるか

料金体系が不透明な業者は避けるべきです。「基本料金に何が含まれ、何が追加料金なのか」がはっきりしている業者を選びましょう。特に、仕訳数の上限や、それを超えた場合の追加料金の扱いは事前に確認が必要です。

見積もりは必ず複数社から取り、同じ条件で比較します。1社だけの見積もりでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。相見積もりを取ることで相場感がつかめ、交渉の材料にもなります。

セキュリティ体制とコミュニケーションの取りやすさ

機密情報を預ける以上、セキュリティ体制は重要な選定基準です。NDAを結べるか、データの受け渡しは安全か、を確認しましょう。

加えて、コミュニケーションの取りやすさも見逃せません。質問への返信が早いか、担当者と直接やり取りできるか、といった点は、長く付き合ううえで大きな差になります。特にフリーランスへ直接依頼する場合、この「やり取りのしやすさ」が業務の質を左右します。フリーランスへの発注を検討するなら、2026年フリーランス新法の最新情報|下請法との違いと保護される範囲で、発注者として守るべきルールや保護される範囲を把握しておくと安心です。

クラウド会計への対応状況

近年は、freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトを使った記帳代行が主流になりつつあります。クラウド会計に対応している業者なら、資料をオンラインで共有でき、月次の数字もリアルタイムで確認できます。

紙の資料を郵送でやり取りする従来型よりも、クラウド対応の業者のほうが、前述した「資料受け渡しの手間」を減らせます。導入を機に、自社の経理をデジタル化したいと考えているなら、クラウド会計への対応状況は重要な選定ポイントになります。会計ソフトの公式情報はfreeeマネーフォワードのサイトで確認できます。

独自データから見る記帳代行の外注動向

在宅ワーク・業務委託マッチングの市場データを見ると、経理・帳簿系の外注ニーズには明確な傾向が見られます。ここでは、発注者が依頼先を判断するうえで参考になる客観的な動向を整理します。

まず、経理・記帳系の業務は「継続案件になりやすい」という特徴があります。記帳は毎月発生する定型業務なので、一度信頼できる相手が見つかれば、長期的に同じ人へ依頼し続けるケースが多いのです。だからこそ、最初の依頼先選びを丁寧に行う価値があります。スポットで安い相手を探すより、長く付き合える相手を見極めるほうが、結果的にコストも手間も抑えられます。

次に、単価の観点です。記帳を担うフリーランスや在宅ワーカーの報酬相場は、案件の規模や専門性によって幅がありますが、簿記資格や実務経験を持つ人材ほど高めの単価になる傾向があります。経理・帳簿系の人材の相場感や、隣接する専門職の単価水準を把握しておくと、見積もりの妥当性を判断しやすくなります。会計・経理の専門人材については経理・財務・帳簿・税務のお仕事のガイドが参考になります。

また、経理業務のデジタル化が進むなかで、AIやマーケティングのスキルを併せ持つ人材への需要も高まっています。バックオフィス全体をデジタル効率化したい発注者は、記帳だけでなく周辺業務も見据えて人材を探すと、より効果的な外注設計ができます。この観点ではAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のガイドも、これからの外注戦略を考えるうえで示唆に富みます。

中間マージンをなくす直接依頼という選択肢

コスト面での重要な論点が、仲介を挟むかどうかです。前述のとおり、代理店や仲介会社を経由すると15%30%程度の手数料が上乗せされます。年間で見れば、この差は決して小さくありません。

たとえば月額2万円の記帳代行を1年契約した場合、仲介手数料が20%なら年間で4.8万円が中間マージンとして消える計算になります。同じ品質の作業なら、この手数料はできるだけ抑えたいところです。フリーランスへ直接依頼できるマッチングサービスの中には手数料0%で発注者とワーカーをつなぐものもあり、コストを重視する発注者にとって合理的な選択肢になっています。

参考ソースも、業務範囲を発注者側が正確に把握することの重要性を指摘しています。

記帳代行サービスにおいて、依頼者が実際にどこまでの業務を頼めるのか、その具体的な範囲を把握することは非常に重要です。記帳代行の業務範囲はサービス提供者や契約内容によって異なりますが、一般的に依頼可能な主な業務内容を以下の表にまとめました。

つまり、直接依頼で安く済ませる場合ほど、「何をどこまで頼むのか」を発注者自身が明確に定義し、契約書に落とし込むことが重要になります。仲介会社が間に入らないぶん、範囲の取り決めやトラブル対応も当事者同士で行うことになるからです。ここを丁寧にやれば、直接依頼はコストと質のバランスが取れた有力な選択肢になります。

発注者が意思決定するための整理

最後に、発注者が記帳代行を判断するうえでの整理をしておきます。第一に、自分が任せたい範囲を「記帳だけ」か「申告まで」か明確にする。第二に、その範囲をカバーできる依頼先(一般業者・フリーランス・税理士)を絞る。第三に、複数から相見積もりを取り、料金とサービス範囲を横並びで比較する。第四に、仲介経由か直接依頼かでコスト差を確認する。第五に、契約書で業務範囲・料金・NDAを明文化する。この5ステップを踏めば、記帳代行の外注で大きく失敗することはまずありません。

経理・帳簿まわりの外注は、一度仕組みを整えれば、経営者や個人事業主の時間を継続的に生み出してくれる投資です。範囲を正しく理解し、自社に合った相手を選ぶこと。それが、記帳代行を成功させる何より確実な方法だと言えるでしょう。関連する専門職の単価相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場ソフトウェア作成者の年収・単価相場のデータも、外注コストの相場観を養う参考になります。ビジネス文書の基礎スキルを持つ人材を見極めたいならビジネス文書検定、IT系の外注を併せて検討するならCCNA(シスコ技術者認定)の資格ガイドも役立つでしょう。なお、記帳代行を含む経理系の副業事情については税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】でも扱っています。

なお、関連テーマを扱った社労士業務はどこまで代行会社に頼める?|依頼できる範囲と費用の目安 2026もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. 記帳代行ではどこまでの業務を丸投げできますか?

記帳代行は「日々の取引を帳簿に記録する」ところまでが基本範囲です。仕訳作成・会計ソフトへの入力・月次試算表の作成などは任せられますが、確定申告書や法人税申告書の作成・提出は税理士の独占業務のため、税理士資格のない業者には頼めません。申告まで丸投げしたい場合は、税理士事務所か税理士と提携している業者を選ぶ必要があります。

Q. 記帳代行の費用相場はどのくらいですか?

仕訳数(取引件数)で決まるのが一般的で、月100件程度の小規模事業者で月額1万円前後、月300件程度で2万〜3万円、月500件超で4万円以上が目安です。仕訳単価制(1件50〜100円程度)と月額定額制があり、月次試算表作成などのオプションを付けると加算されます。必ず複数社から相見積もりを取り、範囲と料金を比較しましょう。

Q. 記帳代行と経理代行はどう違いますか?

記帳代行は「帳簿への記録」に特化したサービスです。経理代行はそれに加えて請求書発行・支払業務・給与計算・経費精算など、バックオフィス全般を代行します。範囲が広いぶん経理代行のほうが費用は高くなります。記録だけを任せたいなら記帳代行、経理担当が不在で日常業務全体を回したいなら経理代行が向いています。

Q. 仲介会社を通すのとフリーランスへ直接依頼するのはどちらが安いですか?

一般的に、代理店や仲介会社を経由すると15〜30%程度の中間マージンが上乗せされるため、同じ作業内容ならフリーランスへ直接依頼したほうがコストを抑えられます。手数料0%で発注者とワーカーを直接つなぐマッチングサービスもあります。ただし直接依頼は組織的な品質保証が弱い面もあるため、業務範囲を契約書で明確にしておくことが重要です。

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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月21日最終更新:2026年7月9日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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