2026年フリーランス新法の最新情報|下請法との違いと保護される範囲


この記事のポイント
- ✓2026年時点のフリーランス新法(フリーランス保護新法)の最新情報を解説
- ✓違反した場合の罰則を具体的に紹介します
「フリーランス新法って、結局なにが変わったんですか?」。2024年11月の施行から1年以上が経ったけど、この質問をまだ頻繁に受ける。
正直に言うと、フリーランスの方々の認知度はまだ低い。でも、この法律はフリーランスが自分を守るための強力な武器だ。知らないままでいるのは、本当にもったいない。
行政書士としてフリーランスの法務サポートに携わる中で、「知っていれば防げたのに」というケースを何件も見てきた。つい先月も、Webデザイナーのリク(26歳)から「30万円分の制作物を納品したのに、クライアントが『イメージと違う』と言って3ヶ月も報酬を支払ってくれない」という相談があった。フリーランス新法を根拠に内容証明を送ったところ、2週間で全額振り込まれた。リクは「法律ってこんなに強いんですね」と驚いていたけど、知っているか知らないかだけの差なんだ。
フリーランス新法とは
正式名称と目的
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」。長いので、一般的にはフリーランス保護新法やフリーランス新法と呼ばれています。
目的は2つ。
- フリーランスと発注者の間の取引の適正化
- フリーランスの就業環境の整備
つまり、「フリーランスが不当な扱いを受けないようにする法律」です。
対象となるフリーランス
この法律で保護される「特定受託事業者」とは、以下の条件を満たす個人または法人です。
- 従業員を使用しない個人事業主
- 代表者以外に従業員がいない一人法人
つまり、従業員を雇っていないフリーランスが対象。従業員を1人でも雇っている場合は対象外です。
対象となる発注者
発注者側は「特定業務委託事業者」と定義され、以下の条件です。
- 従業員を使用する事業者(個人・法人問わず)
個人間の取引(フリーランス同士の取引)は対象外です。
フリーランス新法で発注者に課される義務
取引条件の明示義務(第3条)
発注者は、フリーランスに業務を委託する際、以下の事項を書面またはメール等で明示する義務があります。
| 明示事項 | 具体例 |
|---|---|
| 業務内容 | Webサイトのデザイン制作 |
| 報酬額 | 300,000円(税別) |
| 支払期日 | 納品月の翌月末日 |
| 業務の完了条件 | デザインカンプの承認 |
| その他の条件 | 修正回数、著作権の帰属等 |
口頭だけの発注はNGです。「メールでいいので、条件を文書で出してください」と発注者に求めることが法律で認められています。
NG例: クライアントから電話で「いつもの感じで、ロゴデザイン1点お願いね。金額はあとで決めよう」と言われて、そのまま作業を始める。納品後に「思ったより安く済ませたい」と言われてトラブルに。
OK例: 電話の後に「本日お電話でご相談いただいた件、以下の条件でお引き受けします」とメールで条件を明示する。報酬額、支払期日、修正回数を明記しておけば、後から「言った言わない」にならない。
報酬の支払期日(第4条)
成果物を受領した日から60日以内に報酬を支払う義務があります。
これ、知らない人が本当に多いんですが、「翌々月末払い」のような90日後の支払いサイトは法律違反です。
禁止行為(第5条)
発注者は以下の行為が禁止されています。
- 報酬の減額:一方的な値引き
- 買いたたき:不当に低い報酬での発注
- 受領拒否:正当な理由なく成果物の受け取りを拒否
- 返品:正当な理由なく成果物を返品
- 不当な給付内容の変更:報酬を変えずに仕事を追加
- 経済上の利益の提供要請:無償でサンプルや情報提供を要求
ハラスメント対策(第14条)
発注者は、フリーランスに対するセクハラ・パワハラ・マタハラ等の防止措置を講じる義務があります。これは継続的な業務委託(一定期間以上)の場合に適用されます。
下請法との違い
そもそも下請法とは
下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者と下請事業者の間の取引を規制する法律です。1956年制定の歴史ある法律ですが、フリーランスの保護には不十分な点がありました。なお、2026年1月には下請法が「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改正され、報酬や価格交渉のルールがさらに変わっています。
比較表
| 項目 | 下請法 | フリーランス新法 |
|---|---|---|
| 発注者の資本金要件 | あり(1,000万円超等) | なし(従業員1人以上でOK) |
| 対象取引 | 製造委託、情報成果物作成等の4類型 | すべての業務委託 |
| 書面交付義務 | あり | あり |
| 支払期日 | 受領日から60日以内 | 受領日から60日以内 |
| ハラスメント防止 | 規定なし | 規定あり |
| 育児介護への配慮 | 規定なし | 規定あり |
| 所管官庁 | 公正取引委員会・中小企業庁 | 公正取引委員会・厚生労働省 |
最大の違いは、発注者の資本金要件がなくなったこと。下請法では資本金1,000万円以下の企業からの発注は対象外でしたが、フリーランス新法では従業員が1人以上いる企業であれば、資本金に関係なく規制の対象になります。
つまり、中小企業やスタートアップからの発注も保護の対象になったのです。
フリーランス新法と下請法改正2026で何が変わる?2024年11月施行のフリーランス新法に加えて、2026年1月には旧下請法が「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改正され、報酬や価格交渉のルールがさらに変わりました。 — 出典: フリーランス新法と下請法改正2026で何が変わる?報酬と権利の新ルール(パソコン教室わかるとできる)
違反した場合の罰則
行政措置
公正取引委員会または厚生労働省が、違反事業者に対して以下の措置を取ることができます。
- 助言:改善を促す
- 指導:改善を求める
- 勧告:改善を命じる(企業名の公表あり)
- 命令:法的強制力のある命令
罰則
命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科されます。
実際の運用状況(2025〜2026年)
施行から1年が経過し、公正取引委員会への相談・申告件数は増加傾向にあります。特に多いのは「報酬の支払い遅延」と「一方的な報酬減額」に関する相談です。
フリーランスが今すぐやるべきこと
1. 取引条件の書面化
既存のクライアントとの取引でも、条件を書面で確認してください。「今後はメールで条件を明示してください」と伝えるだけでOKです。
2. 支払いサイトの確認
60日を超える支払いサイトを設定しているクライアントがいたら、法律を根拠に短縮を求めることができます。
3. 相談窓口の把握
トラブルが起きたときの相談先を把握しておいてください。
- フリーランス・トラブル110番:0120-532-110(厚生労働省)
- 公正取引委員会:相談窓口あり
- 法テラス:無料法律相談
@SOHOの資格ガイドでは、フリーランスとして活動する際に知っておくべき法律知識を資格別にまとめています。法律を味方につけて、安全に仕事を進めましょう。
※ この記事は2026年3月時点の法律情報に基づいています。最新の情報は公正取引委員会や厚生労働省のWebサイトで確認してください。
よくある質問
Q. 副業でやっている場合でも、この法律の対象になりますか?
対象になります。 本業か副業かは関係ありません。「従業員を雇わずに業務を請け負う個人」であれば、すべて特定受託事業者として守られます。会社員が週末にライティングやデザインを請け負う場合も、立派なフリーランスです。
Q. 「書面明示」はLINEやSlackでも有効ですか?
はい、有効です。 メールだけでなく、LINE、Slack、Chatworkなどのメッセージアプリ、さらにはPDFの送付なども「電磁的方法」として認められています。ただし、後で消去されないようにバックアップをとっておくことが重要です。
Q. 法人化(一人社長)している場合はどうなりますか?
従業員がいなければ対象です。 法人格を持っていても、役員が自分一人だけで従業員を雇っていない「一人一社」の状態であれば、この法律の保護対象(特定受託事業者)に含まれます。
Q. 私は「従業員なし」の個人事業主ですが、対象になりますか?
はい。法律上「特定受託事業者」として保護の対象になります。一方、あなたに発注する側が一人でも従業員を雇っていれば、その発注者には法律上の義務が発生します。
Q. 「60日以内の支払い」を守ってくれない場合はどうすればいい?
まずは新法に基づき「法律で受領から60日以内の支払いが義務付けられています」と冷静に伝えましょう。それでも応じない場合は、公正取引委員会や中小企業庁の相談窓口(フリーランス・トラブル110番など)へ相談してください。
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この記事を書いた人
長谷川 奈津
行政書士・元企業法務
企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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