簿記2級の記事監修の仕事


この記事のポイント
- ✓簿記2級を持つ人が記事監修の副業でどう依頼を受け
- ✓名前をどう出すのかを整理しました
- ✓断るべき依頼まで実務ベースで解説します
結論から書きます。簿記2級を持っている人が記事監修の仕事を取れるかどうかは、実務経験の年数ではなく「どこまで確認できて、どこからは確認しないのか」を言葉にできるかで決まります。この一点を最初の打ち合わせで示せる人は、経理歴が浅くても継続的に依頼を受けています。逆に、資格だけを提示して「一通り見られます」と答える人は、単発で終わる傾向があります。
記事監修は、書く仕事ではありません。すでにある原稿を読み、事実として誤っている箇所、誤解を招く表現、根拠が不足している数値を指摘し、直す方向を示す仕事です。求められるのは文章力ではなく、判断の再現性です。この記事では、依頼がどう来るのか、確認する範囲をどこで切るのか、名前をどう出すのかを、順に整理していきます。
記事監修という仕事の輪郭
まず、監修という言葉の中身を揃えておきます。
メディアが監修者を立てるのは、掲載する情報の正確性を第三者に担保してもらうためです。とくにお金に関わる記事は、検索エンジンの評価においても、読者からの信頼という点でも、誰が内容を保証しているのかが問われます。会計や税金の記事に「監修」の表記が付くようになったのは、この流れによるものです。
簿記の知識が求められる監修対象は、おおむね次のような記事です。
| 記事の類型 | 監修で見る中心 |
|---|---|
| 会計ソフトの比較・解説 | 機能説明と簿記の処理が対応しているか |
| 確定申告・青色申告の手順 | 帳簿づけの記述、複式簿記の説明 |
| 経理業務の効率化・DX | 業務フローと勘定科目の対応 |
| 決算・月次決算の進め方 | 決算整理仕訳、締めの手順 |
| 原価計算・在庫管理 | 費目の分類、配賦の考え方 |
| インボイスや電子帳簿保存法の実務 | 帳簿保存の要件と記帳の関係 |
このうち、下の三つは商業簿記だけでは踏み込めません。原価計算や工業簿記の領域が入るため、簿記3級の範囲を超えます。ここが簿記2級の保有者に依頼が集まる理由のひとつです。
なぜ簿記2級が監修者として選ばれるのか
メディア側の事情から説明したほうが早いと思います。
会計や税務の記事を監修できる人として、まず候補に挙がるのは税理士や公認会計士です。ただ、監修料の相場が高く、1本あたり3万円から10万円を超える帯になります。月に20本公開するメディアが全記事に士業の監修を付けると、コンテンツ予算が成立しません。
そこで、税務判断を含まない記事、つまり簿記の処理や経理の実務手順が中心の記事については、簿記2級以上の保有者に監修を依頼する運用が広がりました。単価は士業より低く、しかし記述の正確性は担保できる。メディアにとって費用対効果の合う帯が、ちょうどここにあります。
簿記2級の守備範囲を、3級と並べて整理します。
| 領域 | 簿記3級 | 簿記2級 |
|---|---|---|
| 商業簿記 | 個人商店・小規模企業が中心 | 株式会社の会計処理まで |
| 工業簿記・原価計算 | 範囲外 | 含まれる |
| 決算 | 基本的な決算整理 | 連結会計や税効果会計にも触れる |
| 想定される読者記事 | 個人事業主向けの記帳 | 法人経理・製造業・原価管理 |
法人向けの記事を扱うメディアが2級以上を条件にするのは、この差があるためです。募集要項に「日商簿記2級以上」と書かれている案件が多いのは、単に格が上だからではなく、扱うテーマの範囲が違うからです。資格の位置づけや試験範囲を改めて確認したい場合は、日商簿記2級の資格ガイドに出題領域と活用シーンがまとまっています。
依頼はどう来るのか
依頼の経路は、実務上おおむね三つに分かれます。
一つ目は、募集ページからの応募です。在宅ワークの求人サイトやマッチングサービスに「会計記事の監修者募集」といった形で掲載されます。応募時に保有資格、実務経験、対応可能なテーマ、希望単価を送ります。件数は多いものの、応募も集まるため競争率は高めです。
二つ目は、ライターや編集者からの紹介です。記事を書いた人が「内容を確認できる人が必要」と編集部に相談し、知り合いを紹介する形です。この経路で入った案件は継続しやすい傾向があります。紹介した側の信用が乗っているため、扱いが丁寧になります。
三つ目は、直接の打診です。ブログやSNSで会計や経理について発信していると、編集部から連絡が来ることがあります。件数は少ないものの、単価の交渉余地は最も大きくなります。
実務経験がない状態から始める場合、最初の1件をどう取るかが最大の壁になります。この点について、簿記2級を取得して副業を始めた人の記録に、率直な数字が残っています。
私の場合、「簿記2級取得、実務経験なし」という状態で応募したので、最初は10件応募して1件しか受注できませんでした。ただ、最初の1件で実績を作れば、次からは受注率が上がります。 出典: note.com
10件応募して1件という数字は、正直なところ、決して悪くありません。監修は成果物の質が事前に見えにくい仕事なので、初回の発注は編集部にとって賭けになります。それでも1件通れば、次からは「この人に頼めば戻ってくる指摘の質が分かっている」状態になり、選定の理由が変わります。応募数を確保することと、初回を丁寧に仕上げること。この二つが実質すべてです。
同じ記録には、資格取得の前後で変わったことについても書かれています。
資格を取る前の私も、同じことを考えていました。結論から言うと、簿記2級を取得してから副業の選択肢が大幅に広がり、収入も安定しました。 出典: note.com
ここで注意したいのは、広がるのは選択肢であって、案件が向こうから降ってくるわけではないという点です。資格は応募できる母集団を広げますが、選ばれる理由は別に作る必要があります。
確認する範囲を、どこで切るか
監修の仕事でいちばん重要なのが、ここです。
簿記2級の知識で確認できることと、確認してはいけないことがあります。この線引きを最初に決めて、発注元と共有しておく。これをやっている人と、やっていない人とで、トラブルの発生率がまったく違います。
確認する範囲
簿記の体系にもとづいて判断できる領域です。
仕訳の借方と貸方が正しいか。勘定科目の選び方が一般的な処理と合っているか。減価償却の計算方法と耐用年数の扱いが記述として矛盾していないか。決算整理仕訳の順序が正しいか。原価計算における材料費、労務費、経費の分類が適切か。配賦基準の説明が成り立っているか。財務諸表の科目配置が正しいか。用語の使い方が簿記の定義とずれていないか。
これらは、簿記の学習範囲そのものです。根拠を示して説明できます。
確認しない範囲
一方、次の領域は簿記の資格では判断できません。
具体的な納税額の計算や、どの制度を選ぶと有利かという判断。特定の取引について課税されるかどうかの結論。税務調査への対応方法。これらは税務相談にあたる可能性があります。税理士法は、税務代理、税務書類の作成、税務相談について、税理士でない者が業として行うことを制限しています。記事の内容確認がこれに該当するかどうかは、業務の実態によって変わるため、断定はできません。判断に迷う記述が出てきたら、自分で結論を出さず、発注元に「この箇所は税理士による確認が必要ではないか」と返すのが正しい対応です。
会社法や金融商品取引法の解釈、監査基準にかかわる判断も同様です。踏み込まず、専門家の確認が要ると書いて返す。これは能力不足の表明ではなく、監修者としての誠実さとして受け取られます。
| 判断の種類 | 対応 |
|---|---|
| 仕訳・勘定科目・計算過程 | 根拠を示して修正案を出す |
| 会計基準の一般的な説明 | 出典を確認したうえで指摘する |
| 個別事例の税額・有利不利 | 税理士の確認が必要と返す |
| 法令の解釈が分かれる論点 | 断定を避け、両論を併記する提案をする |
正直なところ、この線を曖昧にしたまま「全部見ます」と請け負う監修者は少なくありません。ただ、それは短期的には仕事が取れても、長期的には自分を危うくします。線を引くことは、案件を減らす行為ではありません。
監修料はどう決まるか
報酬の形は、大きく三つです。
記事単位の固定料金が最も一般的で、1本あたり5,000円から3万円程度が相場帯になります。3,000字前後の一般的な解説記事なら下限寄り、8,000字を超える網羅型の記事や、図表の数値検算を含む場合は上限寄りに動きます。
文字数単価で決める形もあります。監修対象の文字数に対して1文字あたり0.5円から2円といった設定です。長文記事が多いメディアでは、この形のほうが双方にとって公平になります。
継続契約の形もあります。月に何本まで監修する、という枠を決めて月額で契約するものです。単価の総額では記事単位より下がることが多いものの、収入が読めるという利点があります。
単価が上がる条件は、実ははっきりしています。指摘に代替案が付いていること。指摘の根拠が示されていること。差し戻しの回数が少ないこと。この三つです。「ここは誤りです」だけを返す監修者と、「ここは誤りです。正しくはこう処理します。根拠は簿記上のこの考え方です」まで返す監修者では、編集部の作業量がまったく違います。差が出るのは知識量ではなく、返し方の設計です。
執筆まで含めて引き受けると単価は上がりますが、その場合はライティングの技能が別途必要になります。文章で報酬を得る職種全体の水準を把握しておきたい場合は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種別の統計がまとまっているので、監修料の妥当性を判断する材料になります。
名前の出し方を、最初に決めておく
監修の仕事は、名前の扱いが報酬と直結します。ここを曖昧にしたまま進めると、公開直前に揉めます。
掲載の形は三通りあります。
氏名と保有資格を出す形が最も一般的です。「監修者 ○○(日商簿記2級)」といった表記に、数行のプロフィールが付きます。読者から見た信頼性が高く、単価も上がります。検索すれば誰でも見つけられる状態になるため、勤務先との関係を整理してから選ぶ必要があります。
資格名のみを出す形もあります。「日商簿記2級保有者 監修」といった表記です。個人が特定されないため、勤務先に知られたくない場合に選ばれます。ただし、メディアにとっては信頼性の担保が弱くなるため、単価は下がる傾向があります。案件によっては、この条件では発注できないと言われることもあります。
氏名を出し、所属は書かない形が中間になります。実名の信頼性を確保しながら、勤務先との結びつきを避けられるため、副業として続けている人の多くがこの形を選んでいます。
顔写真の掲載を求められることもあります。これは断っても問題になりにくい項目です。イラストや無しで対応するメディアが大半です。
いずれの形を選ぶにしても、決めた方針は初回の打ち合わせで伝えてください。公開直前に「名前は出さないでほしい」と言うと、記事の構成をやり直すことになり、次の依頼が来なくなります。副業として働き方全体を設計する段階では、キャリア・副業・人生相談のお仕事に、副業やキャリア設計にかかわる相談系の案件がどう募集されているかがまとまっているので、名前の出し方を含めた方針決めの参考になります。
実作業の進め方
受注してからの流れも整理しておきます。
初回にレギュレーションを確認します。監修の範囲、納期、指摘の返し方(コメント機能か別ファイルか)、修正稿の再確認が含まれるかどうか。とくに再確認の有無は、工数に直結するので必ず詰めてください。含まれないのに何度も戻ってくる、という状況が最も消耗します。
指摘は三段階に分けて書くと、編集部が処理しやすくなります。
第一段階は、事実として誤っている箇所です。修正が必須であることを明示し、正しい記述と根拠を書きます。第二段階は、誤りではないが誤解を招く箇所です。読者がどう読み違える可能性があるかを添えて、書き換え案を出します。第三段階は、好みの問題です。「こう書くとより正確ですが、必須ではありません」と明記します。
この三段階を分けずに全部を同じ強さで返すと、編集部は優先順位が付けられません。実際、監修者を交代させる理由として最も多いのが、指摘の量ではなく、優先順位が付いていないことです。
差し戻しは原則1回で終える設計にします。初回で見落とした箇所を2回目に指摘するのは、印象がよくありません。チェックリストを自分で作り、記事の類型ごとに使い回すのが現実的です。仕訳、数値、用語、法令名、出典の五項目を毎回同じ順で見るだけでも、見落としは大きく減ります。
受けないほうがよい依頼
最後に、断る判断について書いておきます。
名義だけを貸してほしいという依頼は受けないでください。内容を見ずに名前を出す形は、記事に誤りがあったときの責任だけを引き受けることになります。監修料が相場より明らかに高い場合は、この可能性を疑ったほうがよいです。
結論が先に決まっている記事も避けます。特定の会計ソフトを推す前提で、比較記事の形だけを取っている原稿は珍しくありません。監修者として直せない構造なので、指摘しても通りません。
投資や金融商品の勧誘につながる記事も、簿記2級の範囲では扱えません。この領域は別の資格と規制の枠組みが関わります。
根拠不明の数値が多い原稿も、工数が読めません。「業界平均は30%」といった記述に出典がない場合、その確認を監修者が全部やることになります。受注前に、出典の付与は執筆側の責任範囲であることを確認しておいてください。
応募前に用意しておく三点セット
監修の応募で通過率を左右するのは、資格の記載ではなく添付物です。次の三つを用意しておくと、初回の受注率がはっきり変わります。
一つ目は、対応可能テーマの一覧です。「会計全般」ではなく、商業簿記の決算処理、原価計算と配賦、会計ソフトの操作と仕訳の対応、月次決算の手順、といった粒度で並べます。編集部は記事のテーマごとに監修者を割り当てるため、この一覧があると照合が一瞬で終わります。逆に「会計全般」と書かれていると、どの記事を任せてよいのか判断できません。
二つ目は、指摘のサンプルです。架空の原稿を数百字で用意し、それに対して自分がどう指摘を返すかを実物で見せます。誤りの指摘、誤解を招く表現の指摘、任意の改善提案を、それぞれ一件ずつ含めた形にしておくと、指摘の設計ができる人だと伝わります。実務経験がない状態から始める人にとって、これが最も効く材料です。
三つ目は、確認しない範囲の明示です。税額の計算や有利不利の判断には踏み込まないこと、法令解釈が分かれる論点は両論併記を提案すること。これを応募文に一行入れておくと、線引きができる人だと理解されます。編集部が最も恐れているのは、監修者が範囲外まで断定してしまうことです。
この三点は、一度作れば使い回せます。応募のたびに書き直す必要はありません。テーマ一覧だけを案件に合わせて並べ替えれば十分です。
会計ソフトの解説記事で、実際に多い指摘
監修対象として件数が多いのは、会計ソフトの操作解説と比較記事です。この類型で繰り返し出てくる指摘を挙げておきます。実務のイメージがつかめると思います。
操作手順と簿記の処理が対応していない、という指摘が最も多く出ます。ソフトの画面上は「売上を登録する」という操作でも、裏側では売掛金と売上の仕訳が立っています。記事が画面の言葉だけで完結していると、読者はソフトを乗り換えたときに何をしていたのか分からなくなります。操作の説明に対応する仕訳を一行添える提案を返すと、記事の価値が上がります。
勘定科目の例が実務とずれている、という指摘も頻出します。例示に使われる科目が、その業種で通常使われないものになっているケースです。製造業の記事で仕入という科目を使っていれば、材料費の扱いに直したほうがよい。こうした指摘は、原価計算を学んでいれば自然に気づきます。
消費税の扱いに踏み込みすぎている原稿も定期的に出ます。課税か不課税かの判断を断定している箇所は、監修者として結論を書き換えるのではなく、税理士の確認が必要である旨を返します。ここで自分が正解を書いてしまうと、線引きが崩れます。
決算に関する記述で、順序が入れ替わっている原稿も見かけます。決算整理仕訳、試算表、財務諸表の作成という流れが崩れていると、読者は手順を再現できません。これは簿記の学習範囲そのもので判断できるため、根拠を添えて明快に指摘できます。
数値の検算も監修の仕事に含まれることがあります。減価償却の計算例、原価の配賦計算、粗利率の算出といった箇所は、記事中の数字を実際に電卓で追います。ここで誤りが見つかることは珍しくなく、検算まで含めて請け負うかどうかで単価の交渉材料になります。
監修から仕事の幅を広げる二つの方向
監修だけで案件量を積み上げるのは、実は簡単ではありません。1本の作業時間が2時間から4時間程度で終わるため、単価を上げるか本数を増やすかしないと、月あたりの金額は伸びません。そこで、監修を入口にして周辺の仕事へ広げる人が多くいます。方向は二つあります。
一つ目は、上流へ広げる方向です。監修者として関わっているうちに、記事の企画段階から相談を受けるようになるケースがあります。「このテーマは読者の何を解決する記事にすべきか」「どの順で説明すると誤解が生じないか」を設計する仕事です。構成案の作成まで含めると、監修単体より報酬は上がります。会計というテーマは、説明の順序を間違えると読者が理解できなくなる分野なので、この設計ができる人の価値は高くなります。
二つ目は、実務へ広げる方向です。監修先のメディアを運営している会社が、自社の経理業務や帳簿の整理でも困っている、というパターンは珍しくありません。記帳代行、月次の入力、会計ソフトの初期設定といった業務は、監修とは別契約で発生します。監修で信頼が積み上がっている状態からの相談なので、条件の交渉もしやすくなります。
どちらの方向に進む場合も、前提になるのは同じです。指摘の質が安定していること、納期を守ること、範囲外を断れること。この三つが揃っている人にだけ、次の相談が来ます。逆に言えば、監修を丁寧にやることが、そのまま次の仕事の営業活動になっているということです。
監修の依頼を受けるときに、もう一点だけ確認しておきたいことがあります。記事の公開後に法令や基準が改定された場合、修正の依頼が来るかどうかです。改定対応を含む契約なら、その分を初回の単価に織り込んでおく必要があります。含まない契約なら、改定時に別途見積もりを出す前提を共有しておきます。会計の分野は制度改定が定期的に起こるため、ここを決めていないと、無償で対応し続ける形になりがちです。
加えて、監修者を交代させたくないというメディア側の事情も理解しておくと有利になります。監修者名を差し替えると、既存記事の表記をすべて更新しなければならず、編集部にとっては純粋な作業増です。つまり、一度入った監修者は続けてもらいたいという力学が最初から働いています。初回で信頼を得られれば、こちらから営業しなくても本数が積み上がるのは、この構造によるものです。
運営者として見てきた、監修が続く人の共通点
在宅の仕事を仲介する立場で長く市場を見てきて、監修の依頼が途切れない人には、はっきりした共通点があります。
一つは、返しの速さより、返しの形が整っていることです。締切ぎりぎりでも、指摘が整理されていれば編集部は困りません。逆に、早く返ってきても指摘がばらばらだと、編集部側で整理する時間が発生します。作業を渡す側から見ると、後者のほうが負担が大きい。
もう一つは、自分の守備範囲の外を正直に示していることです。「この論点は税理士に確認してください」と書ける人は、書けない人より信頼されます。全部答えようとする監修者は、いつか間違えます。編集部はそれを知っています。
報酬の構造についても触れておきます。仲介手数料が乗る仕組みでは、依頼者が支払った金額の一部が仲介に消えます。同じ予算でも、中間マージンが乗らない直接取引なら、依頼者はより多くの本数を頼めますし、受け手の手取りは厚くなる。手数料0%の形が意味を持つのは、金額の大小より、この手取りの質の部分です。監修のように1本あたりの単価が読みにくい仕事ほど、この差が効いてきます。
そして、長く続いている人ほど、単発の作業を積み上げるのではなく「この人に確認を頼むと楽だ」という関係づくりに時間を使っています。会計基準や制度の改定があると、メディアは既存記事の見直しに追われます。そのときに真っ先に声がかかる人になれば、案件は自動的に継続する。最初の1本を丁寧に仕上げることが、結局いちばん効率のよい戦略です。
なお、監修の周辺には、業務そのものの効率化を助ける仕事も増えています。会計データの整理や業務フローの設計といった領域は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事に募集の形がまとまっているので、簿記の知識をどう組み合わせられるかを見る材料になります。専門知識を業務範囲に落とし込む考え方を確認したい場合は、行政書士の資格ガイドに、根拠法と業務範囲の対応がまとまっています。自分の資格でどこまでやってよいのかを考えるときの比較材料として使えます。
よくある質問
Q. 実務経験がなくても記事監修の仕事は受けられますか?
受けられます。募集要項が資格保有を条件にしている案件が多く、経理歴を必須としないものも一定数あります。ただし初回の受注率は低く、応募数を確保する必要があります。応募時に、確認できる範囲と確認しない範囲を具体的に書くと通過率が上がります。
Q. 監修料の相場はどのくらいですか?
記事単位の固定で1本5,000円から3万円程度が中心帯です。3,000字前後の解説記事は下限寄り、8,000字を超える網羅型や数値の検算を含む場合は上限寄りになります。文字単価で決める形なら1文字0.5円から2円程度が目安です。
Q. 税金に関する記述はどこまで確認してよいですか?
帳簿づけや仕訳の記述は確認できますが、個別の納税額や有利不利の判断には踏み込まないでください。税理士法が税務相談を制限しているため、該当の可能性がある記述は自分で結論を出さず、税理士の確認が必要だと発注元へ返すのが適切な対応です。
Q. 勤務先に知られたくない場合、名前を出さずに受けられますか?
資格名のみの表記で受ける形は存在します。ただしメディア側の信頼性の担保が弱くなるため単価は下がり、案件によっては発注を見送られます。氏名は出して所属を書かない形が中間の選択肢として現実的です。方針は初回の打ち合わせで伝えてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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