BGM制作を1曲だけ依頼する費用|用途別の相場と権利の確認事項 2026

中西 直美
中西 直美
BGM制作を1曲だけ依頼する費用|用途別の相場と権利の確認事項 2026

この記事のポイント

  • BGM制作を1曲だけ依頼したい発注者向けに
  • 著作権の確認事項をまとめました
  • 動画・店舗・展示会などシーン別の予算感も具体的に解説します

「動画に使うBGMを1曲だけお願いしたいけれど、相場がまったく分からない」。そんなご相談を、私はこれまで何度も受けてきました。YouTube用の動画、店舗のBGM、展示会用の音源。用途はさまざまでも、悩みの根っこは同じです。いくら払えば、どんな人に、どうやって頼めばいいのか。今日はその疑問に、一つずつ丁寧にお答えしていきます。

BGM制作を1曲だけ依頼するときの現状と相場感

まず知っていただきたいのは、BGM制作の依頼は「アルバム1枚」のような大がかりな話ではなく、単発の1曲から気軽に発注できる市場が整っているということです。かつては音楽制作というと、レコーディングスタジオを構える専門会社に依頼するイメージが強かったかもしれません。ですが現在は、個人のフリーランス作曲家に直接依頼するルートが広く定着しています。

費用感は、依頼先によって大きく変わります。個人のクリエイターに直接依頼する場合、インストゥルメンタルのBGMであれば5,000円程度から受け付けているケースが多く、歌入りの楽曲になると3万円〜5万円ほどが目安になります。一方で、音楽制作会社やプロダクションに依頼する場合は、歌ありの楽曲で10万円程度からが相場です。

アマチュアの個人クリエイターの場合、インストゥルメンタルBGMで2週間程度、歌曲で1〜2ヶ月程度で制作してくれる方が多いです。相場は1曲5000円(BGM)〜5万(歌曲)ほど。費用を抑えたいという場合に良いでしょう。中には、プロに近いような作曲をしてくれる方もいますが、個人クリエイターのため依頼する人によってはクオリティーが低いこともあります。依頼する際は、サンプルなどを確認して見極める必要があります。 出典: g-angle.co.jp

この価格差の背景には、依頼先の組織構造が大きく関わっています。制作会社に依頼すると、営業担当・ディレクター・作曲家・エンジニアといった複数人が関わり、その分の人件費が上乗せされます。一方、個人のフリーランス作曲家に直接依頼すれば、作曲家本人の技術料だけで済むため、同じ品質でも費用を抑えやすいという構造です。動画制作や配信活動が個人・中小事業者にまで広がったことで、こうした「1曲単位・直接依頼」のニーズは年々増えている印象があります。

用途別に見るBGM制作の費用相場

BGMと一口に言っても、使う場面によって求められる長さや複雑さが変わります。用途別の相場を整理しておきましょう。

YouTube・SNS動画用のBGM

動画のオープニングやバックに流すインストゥルメンタルBGMは、比較的短尺(30秒〜3分程度)で済むことが多く、個人クリエイターに依頼する場合の相場は5,000円〜1万5,000円程度が目安です。ジャンル(明るいポップ調、落ち着いたローファイ調など)を指定すれば、それに合わせて作曲してもらえます。すでに動画編集を外注している方であれば、MV制作・BGM付き映像のお仕事で紹介している依頼の流れも参考になります。動画本体とBGMを同じクリエイターにまとめて依頼できるケースもあり、その場合は打ち合わせの手間を減らせます。

店舗・施設用のBGM

飲食店やアパレル店舗のオリジナルBGMは、ブランドイメージに直結するため、やや予算をかける事業者も多い分野です。相場は1万5,000円〜3万円程度。数曲まとめて依頼するとまとまった予算になりますが、まずは看板となる1曲だけを試作してもらい、方向性を確認してから追加発注するという進め方もおすすめです。

展示会・企業プロモーション用のBGM

企業のブランドイメージを背負う音源は、歌入りかつクオリティ担保のために制作会社を選ぶ企業も少なくありません。この場合の相場は10万円〜20万円程度です。ただし、実力のあるフリーランス作曲家に直接依頼すれば、同等のクオリティを5万円〜8万円程度に抑えられることもあります。ポートフォリオや過去の制作実績を確認し、企業案件の経験があるかどうかを見極めることが重要です。

ゲーム・アプリ用のBGM

ループ再生を前提とした短尺BGMや、シーンごとに複数曲必要になるケースです。1曲あたりの相場は1万円〜3万円程度ですが、複数曲を同時発注すると単価が下がる傾向にあります。世界観の統一が重要になるため、最初にコンセプト資料を共有しておくと後の修正が減ります。

依頼先の選び方:個人フリーランスか制作会社か

依頼先は大きく分けて「個人のフリーランス作曲家」と「音楽制作会社・プロダクション」の2つです。それぞれのメリットと注意点を整理します。

個人のフリーランス作曲家に依頼するメリット

最大のメリットは費用です。仲介会社や制作会社を通さず直接依頼すれば、中間マージンが発生しない分、同じ予算でより高品質な楽曲を依頼できます。フリーランスのクリエイターと直接やり取りすることで、細かなニュアンスの調整もスピーディに行えるという利点もあります。

一方で、個人クリエイターの技量には幅があります。プロに近いクオリティで制作してくれる方もいれば、まだ経験が浅い方もいます。依頼前に必ずポートフォリオやサンプル音源を確認し、自分が求めるジャンル・雰囲気に近い作品を作った実績があるかを見極めましょう。

制作会社・プロダクションに依頼するメリット

複数人のチームで制作にあたるため、品質のばらつきが少なく、納期管理もしっかりしている傾向があります。著作権や使用許諾についての知識も豊富なため、企業間取引としての安心感を重視するなら選択肢に入ります。

プロに依頼する場合、歌ありなら制作に2カ月かかることもありますが、1カ月程度で完成することがほとんど。費用相場は、個人のプロに依頼するケースと大きくは変わらず10万円程度から依頼を受け付けていることが多いです。現役で活躍しているプロの作家、演奏家等を多数抱え、音楽制作の工程を熟知し、著作権等の知識もあるので音楽制作に関する知見や経験が無い場合には一番効率的な方法です。個人とのやり取りではなく企業間のやり取りになるため、トラブルが比較的起こりにくいのも特徴です。 出典: g-angle.co.jp

私自身、フリーランスとして独立してすぐの頃、事業紹介動画のBGMを初めて外注したことがあります。当時は相場感がまったく分からず、見積もりを取った3社のうち一番安いところに即決してしまいました。結果、納品されたのはイメージとまったく違うテンポの曲で、修正回数の上限にも達してしまい、結局別の方に再依頼する羽目になったのです。あのとき学んだのは、「安さだけで選ばず、必ずサンプル音源と過去の制作実績を確認する」という当たり前のことでした。今振り返れば、最初の見積もり比較で価格だけを見ていたのが失敗の原因でした。

依頼から納品までの流れ

BGM制作を1曲依頼する場合、一般的には以下のような流れで進みます。

  1. 要望のヒアリング: 用途、長さ、テンポ、雰囲気(明るい・落ち着いた・疾走感がある等)を伝えます。参考にしたい既存曲があれば共有すると、イメージが伝わりやすくなります。
  2. 見積もり・契約: 費用と納期、修正回数の上限を確認します。修正は無制限ではなく「2回まで」等の上限が設定されていることが一般的です。
  3. 仮制作(デモ)の確認: 作曲家がラフな仮音源を作成し、方向性のすり合わせを行います。この段階で大きく方向性を修正しておくと、後工程がスムーズです。
  4. 本制作・仕上げ: 方向性が固まったら本編集に入ります。ミックス・マスタリングまで含めて仕上げてもらえるかを事前に確認しておきましょう。
  5. 納品・権利の確認: 音源ファイル(WAV・MP3等)と、使用許諾範囲(商用利用可否、二次利用の範囲)を確認して納品完了です。

インストゥルメンタルBGMであれば制作期間は2週間程度、歌入り楽曲だと1〜2ヶ月ほどかかることが多いです。イベントや動画公開の日程が決まっている場合は、逆算して早めに依頼するようにしましょう。

失敗しないための依頼のコツと注意点

BGM制作の依頼で起こりがちなトラブルを避けるために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。

用途とイメージを言語化してから依頼する

「かっこいい感じで」「明るい雰囲気で」といった抽象的な言葉だけで依頼すると、イメージのズレが生まれやすくなります。参考楽曲を2〜3曲挙げる、テンポ(BPM)の目安を伝える、使用シーン(オープニング・BGM全体・エンディング等)を明確にするなど、できるだけ具体的に伝えることが重要です。

著作権・使用許諾の範囲を必ず確認する

BGM制作で最も注意すべきなのが著作権の扱いです。制作された楽曲の著作権が誰に帰属するのか、商用利用は可能か、SNSでの二次利用や複数媒体での使い回しが許可されているかは、契約前に必ず確認しましょう。個人クリエイターの中には、著作権譲渡の概念に不慣れな方もいるため、書面やメールで明文化しておくことをおすすめします。特に企業のプロモーション用途であれば、後々のトラブルを避けるためにも契約書での取り決めが望ましいです。

修正回数の上限を事前に確認する

見積もり時に修正回数の上限が明記されていないと、後から「追加修正は別料金」と言われてトラブルになるケースがあります。最初の見積もり段階で、何回まで無料修正が可能かを必ず確認しておきましょう。

サンプル音源で技量を見極める

依頼前に、その作曲家が過去に手がけた楽曲(ポートフォリオ)を確認することは欠かせません。特に自分が求めるジャンルに近い作品があるかどうかは重要な判断材料です。実績が乏しい場合でも、丁寧なコミュニケーションが取れるかどうかで判断する手もあります。

複数の候補から見積もりを比較する

1社だけで即決せず、複数のクリエイターや制作会社から見積もりを取ることをおすすめします。価格だけでなく、対応の丁寧さ、過去の実績、納期の柔軟性なども含めて総合的に比較しましょう。

音楽制作以外の音・映像まわりも合わせて依頼できる

BGM制作と合わせて、演奏パートを別途依頼したい、映像編集も一緒に頼みたいというケースもあるでしょう。楽器演奏やBGM、効果音(SE)まで幅広く依頼できる分野もあり、楽器演奏・BGM・SEのお仕事では、そうした依頼の実例や相場感を紹介しています。動画制作全体を一括で依頼したい場合は、BGMだけでなく映像編集も含めた発注を検討する事業者も増えています。

また、企業のプロモーション動画や物語性のあるコンテンツを制作する場合、BGMと合わせてシナリオや台本の制作を依頼するケースもあります。企画段階から音楽と物語の世界観を統一したい場合は、書籍・小説・シナリオ制作のお仕事も参考になるでしょう。

発注者データから見るBGM制作依頼の傾向

BGM制作の依頼は、動画制作やコンテンツ制作全体の需要と連動して伸びている分野です。関連するクリエイティブ職種の年収・単価相場を見ると、ソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように、フリーランスとして専門技術を提供する職種全般で、直接契約による単価の透明性が重視される傾向が強まっています。BGM制作も同様に、仲介手数料の有無が発注コストに直結する分野といえます。

資格の面では、音楽そのものの専門資格は限定的ですが、発注業務を円滑に進める上では文書作成やコミュニケーションのスキルが役立ちます。契約書や発注書のやり取りに不安がある場合は、ビジネス文書検定のような資格を持つ担当者が窓口になると、条件のすり合わせがスムーズになるでしょう。

20年近くこの在宅ワーク市場を見てきた運営者の視点から言えば、BGM制作のようなクリエイティブ分野は特に「価格の透明性」が発注者の満足度を左右します。制作会社を通す場合、見積もり内訳が「制作費一式」とまとめられがちで、どこにいくらかかっているのか分かりにくいことが多いのです。一方、フリーランスの作曲家に直接依頼する場合は、技術料そのものが価格に反映されるため、同じ予算でもより多くの試作や修正回数を確保できる傾向があります。中間マージンが乗らない分、発注者はより多くの選択肢を得られ、受け手である作曲家も手取りが厚くなる。この双方が得をする構造こそ、直接取引が広がっている理由だと考えています。

長く付き合えるクリエイターを見つけた発注者ほど、単発の依頼で終わらせず「この人になら次も安心して頼める」という関係を大切にしています。BGM制作は一度きりの依頼で終わることも多い分野ですが、動画制作やイベント運営を継続的に行う事業者であれば、信頼できる作曲家との関係を築いておくことで、次回以降の打ち合わせコストも大きく減らせます。

予算が限られている場合の考え方

すべての事業者が潤沢な予算を持っているわけではありません。予算が限られている場合の考え方も整理しておきます。

まず、フリー素材のBGMライブラリを活用するという選択肢もありますが、他の動画・店舗と楽曲が被るリスクがあります。ブランドの独自性を重視するなら、たとえ短尺・シンプルな構成でもオリジナル楽曲を1曲だけ依頼する方が長期的には価値があります。

予算を抑えたい場合の工夫としては、以下のような方法が考えられます。

  • インストゥルメンタル(歌なし)にして、歌入り楽曲より費用を抑える
  • 尺を短くする(30秒〜1分程度のループ音源にする)
  • 経験が浅いが実力のあるクリエイターを、サンプル音源をしっかり確認した上で起用する
  • 複数曲まとめて依頼し、1曲あたりの単価を下げる交渉をする

ただし、極端に安い価格を提示するクリエイターの中には、既存曲の盗用や著作権に無頓着なケースも稀に存在します。相場から大きく外れた金額を提示された場合は、なぜその価格なのかを確認し、著作権の扱いについても必ず質問するようにしましょう。安さだけを追求すると、後々のトラブルコストの方が大きくなることもあります。

BGM制作の依頼は、正しい相場感と依頼先の見極め方さえ押さえておけば、決して難しいものではありません。用途を明確にし、複数の候補を比較し、著作権の範囲を契約前に確認する。この基本を守るだけで、多くのトラブルを未然に防ぐことができます。

よくある質問

Q. BGMを1曲だけ依頼する場合、最低いくらから頼めますか?

インストゥルメンタルBGMであれば、個人のフリーランス作曲家に依頼する場合5,000円程度から受け付けているケースが多いです。歌入り楽曲になると3万円前後からが目安になります。

Q. 依頼から納品までどのくらいの期間がかかりますか?

インストゥルメンタルBGMは2週間程度、歌入り楽曲は1〜2ヶ月程度が目安です。イベントや公開日が決まっている場合は、余裕を持って早めに依頼しましょう。

Q. 著作権はどちらに帰属しますか?

契約内容によって異なります。商用利用の可否や二次利用の範囲、著作権譲渡の有無は、依頼前に必ず書面やメールで確認し、明文化しておくことをおすすめします。

Q. 個人のフリーランスと制作会社、どちらに依頼すべきですか?

費用を抑えたい場合や柔軟なやり取りを重視するなら個人のフリーランスへの直接依頼、品質の安定性や企業間取引としての安心感を重視するなら制作会社が向いています。予算と目的に応じて選びましょう。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年3月20日最終更新:2026年7月26日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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