AWS認定の講師・講座の仕事


この記事のポイント
- ✓AWS認定を持つ人が教える側に回る仕事を
- ✓個人指導の4つに分けて整理しました
- ✓試験内容の扱いに関する注意まで具体的に解説します
AWS認定を持っている人が教える側に回るとき、選択肢は4つあります。結論から言うと、稼働時間が読めるのは講座事業者の講師と個人指導、単価が高いのは法人研修、そして最も再現性が低いのが自分で講座を作って売る形です。教える仕事は「知識があれば誰でもできる」と思われがちですが、実際に単価を左右するのは教える技術ではなく、教材をどれだけ更新し続けられるかという運用の話になります。この記事では、それぞれの形式の実態と値付けの考え方を、冷静に比較していきます。
教える仕事は4つに分かれる
まず全体像を整理します。教える仕事は次の4つに分類でき、求められるものも稼働の形も全く違います。
ひとつめが、資格スクールや講座事業者の講師として関わる形。教材の制作や講義の収録を、業務委託またはアルバイトとして担当します。ふたつめが、企業向けの研修講師。事業会社の社内研修に登壇し、半日から数日の日程で教えます。みっつめが、自分で講座を作って売る形。動画講座のプラットフォームに教材を置くか、自主開催の勉強会として運営します。よっつめが、個人指導とメンタリング。学習者と1対1で、進捗を見ながら伴走します。
正直なところ、この4つを「講師の仕事」とひとくくりにしている情報が多すぎます。法人研修は平日日中の稼働が前提で、会社員の副業としては成立しにくい。一方で個人指導は夜間と週末に需要が集中します。同じ「教える」でも、時間帯の性質が正反対です。自分が動ける時間帯から逆算して選ぶのが、最初の判断になります。
もうひとつ押さえておきたい特徴があります。教える仕事は、初回の準備に時間がかかり、2回目以降は急激に楽になるという構造を持っています。教材を作り込む最初の20時間を投じられるかどうかが分かれ目で、ここを乗り越えると時間単価が跳ね上がります。逆に、単発で1回だけ登壇して終わる案件は、準備時間を含めると時間単価が下がります。継続する前提で受けるかどうかを、最初に確認してください。
講座事業者の講師として関わる
最も入りやすいのが、資格講座を運営している事業者の講師です。認定試験の対策講座は継続的に需要があり、講師の募集も出ています。実際の募集内容を見ると、業務範囲は講義だけではありません。
株式会社アガルートは「アガルートアカデミー」のブランド名で、各種資格試験、検定試験等のオンライン講座(通信講座)を展開しております。 あなたにはAWS認定試験対策講座の講師として、商品企画、テキスト作成、講義の収録、受講相談等の業務をご担当いただきます。 担当スタッフがフォローしながら作業を進めるため、未経験者でも安心して働くことができます。 出典: agaroot.jp
ここで注目すべきは、業務が商品企画から受講相談まで及んでいる点です。教壇に立つだけの仕事ではなく、講座という商品を作る側に入るということ。つまり、教える技術と同じくらい、学習者がどこでつまずくかを設計に落とす力が求められます。
講師の経験がないことを理由に見送る人が多いのですが、募集側はそこを問題視していないケースもあります。
〜あれば活かせる経験〜 ・教育業界でのご経験 ・講師のご経験 ・社内などでの研修担当としてのご経験 ・教育担当として他社員への指導経験 これらの教育経験は必須ではございません。未経験の方でも講師として活躍できるよう研修やマニュアルをご用意しておりますので安心してご応募ください。 出典: agaroot.jp
この形式の利点は、収録が非同期で進められることです。講義動画は自分の都合のよい時間帯に撮れます。受講相談は文章で対応できる場合が多く、平日夜と週末の稼働で回せる可能性があります。逆に難点は、講座の改訂サイクルに縛られること。クラウドの仕様は変わるため、教材の作り直しが定期的に発生します。
契約形態は事業者によって異なります。業務委託なのか雇用なのかで、副業として受けるときの手続きが変わるので、応募の段階で確認してください。
企業向けの研修講師
法人研修は単価が最も高い形式ですが、会社員の副業としては最もハードルが高い形式でもあります。理由は明快で、研修が平日の日中に実施されるからです。
依頼の入り口は、研修会社経由と、事業会社からの直接依頼の2つ。研修会社経由は、教材が用意されていることが多く、講師は登壇に集中できます。直接依頼は、その企業の状況に合わせたカリキュラム設計から関わるため、報酬は高いものの準備の負担が大きくなります。
内容としては、クラウド未経験の社内メンバー向けの基礎研修、既に運用している部門向けのコスト管理研修、開発部門向けの設計研修などがあります。参加者の理解度の幅が広いのが特徴で、同じ資料で全員に届けるのは難しい。事前に参加者の背景を確認できるかどうかが、研修の成否を分けます。
会社員が受けるなら、有給休暇を使って年に数回という形が現実的です。それでも受ける価値があるのは、単価の高さに加えて、企業の現場の課題が直接見えるからです。研修で聞いた質問は、そのまま記事や講座の題材になります。
ITの領域で教える仕事や助言する仕事の全体像は、ITコンサルティング・講師のお仕事に整理されています。研修と技術支援は依頼の性質が近く、同じ相手から両方を頼まれる流れもよくあるので、あわせて見ておくと選択肢が広がります。
自分で講座を作って売る
動画講座のプラットフォームに教材を置いて販売する形です。一度作れば売れ続けるという説明を目にしますが、正直なところ、これはどうかと思います。実態はもっと地味です。
まず、制作にかかる時間が想像以上です。10時間分の講座を作るには、構成の設計、資料の作成、収録、編集を含めて100時間前後かかると考えたほうがよい。時給に換算すると、最初の数か月は明らかに赤字です。
次に、更新の負担があります。クラウドの画面や機能は変わります。管理画面のスクリーンショットが古くなるだけで、受講者は混乱します。1年放置した講座は、評価が下がり売れなくなる。作って終わりではなく、維持する仕事だと理解しておく必要があります。
そのうえで、この形式には他にない利点があります。稼働時間が完全に自由であること、そして販売数が積み上がれば時間と収入が切り離されることです。前者は本業を持つ人にとって大きく、後者は長期的に見て意味があります。
現実的な進め方としては、いきなり大きな講座を作らないことです。2時間程度の小さな講座を1本作り、売れ方と受講者の反応を見る。反応が悪ければテーマを変える。この検証を経てから本格的に作り込むほうが、投じた時間が無駄になりにくい。
自主開催の勉強会という形もあります。オンラインで90分の講義を月1回開き、参加費を集める。動画講座より収録の負担が軽く、参加者の質問から次の題材が見つかります。教える練習の場としても機能します。
個人指導とメンタリング
学習者と1対1で進める形です。教える仕事の中では、最も需要と稼働時間が噛み合いやすい形式だと言えます。
依頼者は主に2種類。ひとつは認定試験の合格を目指す学習者で、学習計画の設計と質問対応が中心になります。もうひとつは、実務でクラウドを扱い始めたエンジニアで、設計判断の相談に近い内容になります。後者のほうが単価は高く、相談型の仕事に近づきます。
需要の時間帯が平日夜と週末に集中するため、会社員との相性が良い。60分のセッションを週に2回持つだけでも、月の稼働は8時間に収まります。
ただし注意点があります。個人指導は関係が密になるぶん、契約の範囲外の質問が届きやすい。セッションとセッションの間にチャットで質問が来る運用にすると、実働が読めなくなります。含まれる範囲を最初に文書化してください。
キャリアの相談まで含めて求められる場面も出てきます。転職すべきか、どの資格を次に取るべきか。技術の範囲を超える相談にどう応じるかは、あらかじめ線を引いておくべき部分です。相談を仕事として扱う考え方はキャリア・副業・人生相談のお仕事に整理されており、時間で区切って役務を提供する形の組み立て方が参考になります。資格を軸にした指導や支援を事業にしていく道筋については、キャリアコンサルタント資格の活かし方|副業・独立ガイド【2026年版】が別分野の事例として比較材料になります。
値付けをどう決めるか
教える仕事の値付けで最も多い失敗は、講義時間だけで計算することです。2時間の研修に対して2時間分の報酬を提示すると、準備時間が丸ごと無償になります。
計算に入れるべき時間は3つ。講義そのものの時間、教材を作る時間、そして教材を更新する時間です。初回の研修なら、講義2時間に対して準備が10時間かかることも珍しくありません。2回目以降は準備が2時間程度に減るため、同じ単価なら時間単価が上がっていきます。
基準線としては、エンジニア職の時間単価を土台にするのが分かりやすい。ソフトウェア作成者の年収・単価相場で職種としての水準を確認し、年間労働時間で割った金額を出す。教える仕事はその2倍前後を提示するのが、準備時間を含めた実質として妥当な水準になります。
教材の権利も値付けに影響します。作った資料の著作権を発注者に譲渡する条件なら、他社で使い回せないため単価は上がるべきです。逆に、自分の資料を持ち込んで使用許諾だけを与える形なら、価格は抑えられます。この区別を提案書に書いておくと、交渉が具体的になります。
継続案件では、初回と2回目以降で単価を変える設計も有効です。初回は準備費用込み、2回目以降は実施費用のみ。この形にすると、発注者にとっても継続する動機になります。
教える前に確認しておくこと
ここは慎重に扱うべき領域です。認定を持っているからといって、自由に教材を作ってよいわけではありません。
まず、認定試験の内容の扱いです。試験の受験にあたっては、出題内容の取り扱いに関する取り決めに同意する形になっているのが一般的です。実際に出題された問題を再現して教材にする行為は、この取り決めに反する可能性があります。合格した人が善意で「こんな問題が出た」と共有してしまう例を見かけますが、これは避けるべきです。自分が同意した規約の範囲を必ず確認してください。判断に迷う内容であれば、事業者側の法務に確認するのが確実です。
次に、認定名やロゴの表示です。講座の宣伝で認定名を使う場合、AWS側のブランドや商標の利用に関する条件に従う必要があります。「AWS公式」「認定講座」といった表現は、実際にその位置づけを持たない限り使えません。ここは資格や制度ごとに扱いが変わるため、断定せずに一次情報を当たってください。どの認定が何を示すものかを正確に説明するには、AWS認定クラウドプラクティショナーのような資格ごとの位置づけを把握しておくと、受講者への説明も正確になります。
公式ドキュメントの引用にも注意が要ります。教材に図表を転載する場合、引用の要件を満たしているか、あるいは利用許諾が必要かを確認します。自分の言葉で書き直せる部分は、書き直したほうが安全です。
そして、AWS認定は民間のベンダー資格であり、法律上の業務独占はありません。認定を持っていなければ教えてはいけない、という制限は存在しませんし、逆に認定があるから法的に保護されるわけでもない。認定は受講者に対する信頼の材料であって、権限ではないという整理をしておいてください。
副業として受けるときの手続き
会社員が講師の仕事を受ける場合、確認すべき手続きがあります。
就業規則で副業の可否を確認するのが最初です。届出制か許可制か、競業避止の条項に触れないか。教える内容が本業の事業領域と重なる場合、この点は特に慎重に確認してください。
契約形態も確認します。講座事業者の募集はアルバイトとして出ているものもあり、その場合は雇用契約になります。雇用が重なると社会保険や労働時間の扱いに影響する場合があるため、業務委託として受けられるかを確認しておくと整理しやすくなります。
業務委託として個人が事業者から仕事を受ける場合は、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス保護新法の枠組みが関わります。発注者には取引条件を明示する義務があり、報酬は原則として給付を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払う必要があります。研修の実施日と報酬の支払日が離れやすい業態なので、支払期日は必ず書面で確認してください。
キャンセル規定も重要です。研修は先方の都合で延期されることがあります。日程を確保していた分の扱いを決めておかないと、その週の稼働が丸ごと無駄になります。実施7日前を境に補償の有無を分ける、といった具体的な条件を入れておきましょう。
続いている講師と、続かない講師の差
教える仕事の需要は、企業がクラウドを導入したあとの人材育成に集中しています。導入は外注で終えられても、運用する人を育てるのは社内でやるしかない。ここに外部講師の需要が生まれています。この構造上、需要は導入の波から数年遅れて来るため、当面は継続すると見てよいでしょう。
20年この市場を運営してきた立場から見ると、講師として長く続いている人には共通点があります。教えるのが上手いことではなく、教材を更新し続けていることです。仕様が変わるたびに資料を直し、受講者からの質問を反映する。この作業を惜しまない人のところに、次の依頼が戻ってきます。逆に、一度作った資料をそのまま使い回している人は、2年ほどで依頼が途切れていきます。
もう一点、運営者として見てきた限りでは、受講者の質問を記録しているかどうかも差になります。質問は、教材の欠陥を教えてくれる一次情報です。同じ質問が3回出たら、そこは資料が足りていない。この改善を回している人の講座は、評価が下がりません。
収益の面では、教える仕事は準備が先行して報酬が後から来る構造のため、手取りの厚さが継続の可否に直結します。仲介手数料が引かれる経路だと、準備に投じた時間の回収がそのぶん遅れる。手数料0%の直接取引であれば、同じ予算で依頼者はより多くの回数を頼めますし、講師側の手取りも厚くなります。初期投資が大きい仕事ほど、この差が意思決定に効いてきます。
最後に、始め方の順序を整理しておきます。いきなり法人研修を狙うのではなく、個人指導か小規模な勉強会から始めるのが現実的です。少人数で教えると、自分の説明のどこが伝わっていないかが分かります。その改善を経てから講座事業者に応募するか、法人研修に進む。この順序を踏んだ人のほうが、結果として単価の上がり方が早い傾向があります。教える技術は、教えた回数でしか身につきません。
教材の作り方で、その後の負担が決まる
教える仕事の実質的な労働は、教材づくりに集中しています。ここの設計を誤ると、更新のたびに作り直しが発生して続かなくなります。
最初に決めるべきは、変わりやすい情報と変わりにくい情報を分けることです。管理画面の操作手順やスクリーンショットは変わります。一方、なぜその設定が必要なのかという考え方は、数年単位で変わりません。この2種類を同じスライドに混ぜると、画面が変わるたびに資料全体を見直す羽目になります。考え方のパートと操作手順のパートを物理的に分けておけば、更新は操作手順の差し替えだけで済みます。
演習の設計も重要です。手を動かす時間がない講義は、受講者の記憶に残りません。ただし演習を入れると、環境の準備という別の負担が発生します。受講者それぞれが自分の環境を用意する形にするか、講師側で共通の環境を用意するか。前者は準備が楽ですが、当日に環境の問題で時間が溶けます。後者は確実ですが、費用と管理の手間がかかります。研修の見積もりを出すときは、この環境の準備費用を別項目として入れてください。無償で引き受けると、実費の持ち出しになります。
質問への備えも教材の一部です。受講者から出る質問は、テーマごとにほぼ決まっています。3回ほど同じ講義をすると、頻出の質問が見えてきます。それを補足資料としてまとめておくと、講義中に説明を膨らませずに済み、時間管理が楽になります。
そして、受講者のレベル差への対応です。同じ研修に、クラウドを触ったことがない人と半年運用している人が混ざるのは日常的に起こります。基礎に合わせると経験者が退屈し、応用に合わせると初学者が脱落する。現実的な対処は、講義本体を基礎に寄せたうえで、経験者向けの追加課題を用意しておくことです。全員に同じ体験を届けようとしないほうが、結果的に満足度が上がります。
オンラインで教えるときの実務
いまの研修と講座は、ほとんどがオンラインで実施されます。対面と勝手が違う部分を押さえておきましょう。
まず、一方的に話す時間を長くしないこと。画面越しでは集中が続きません。15分ごとに、質問を投げるか、手を動かす時間を挟む。反応が見えないぶん、意識的に区切りを作る必要があります。
次に、録画の扱いを事前に決めること。受講者が録画を希望する場合、その動画がどこまで使われるのかを確認します。社内共有だけなのか、教材として再利用されるのか。再利用が含まれるなら、その分の対価を別に定める話になります。ここを曖昧にしたまま録画を許すと、一度の登壇料で永続的に使える教材を渡すことになります。
音声環境にも投資してください。映像が粗くても講義は成立しますが、音が途切れると理解が止まります。有線の接続と口元に近いマイク。この2つだけで、受講者の評価は明確に変わります。
チャットでの質問対応も設計が要ります。講義中に来た質問をその場で全部拾うと、進行が崩れます。「質問はチャットに書いてください。区切りのタイミングでまとめて答えます」と最初に宣言しておくのが定石です。答えきれなかった質問は、後日まとめて文書で返す。この対応があると、次の依頼につながります。
何から始めるかの現実的な順序
最後に、順序を整理しておきます。結論から言うと、無料で1回教えてみるところから始めるのが最も早い。
社内の勉強会でも、知人向けのオンライン講義でも構いません。60分の枠で、自分が認定の学習で一番つまずいた箇所を説明してみる。これをやると、自分の説明のどこが伝わらないかが一度で分かります。教える仕事に向いているかどうかも、この1回でおおむね判断できます。
次に、その内容を資料として整えます。ここで作った資料が、応募のときの実績になります。講座事業者の募集に応募する際、教えた経験と資料を提示できるかどうかで通過率が変わります。
そのうえで、稼働時間に合う形式を選ぶ。夜間と週末しか動けないなら個人指導と収録型の講座、有給を使えるなら法人研修も視野に入る。形式を選んだら、値付けを決めて条件を書面にする。ここまでが準備です。
正直なところ、教える仕事は最初の半年が最も割に合いません。準備の時間ばかりが積み上がり、報酬は後から追いつきます。ただ、教材が整い、頻出の質問への答えが揃い、更新の型ができたあとは、時間単価が他の在宅の仕事を上回ってきます。この構造を理解したうえで、最初の投資を許容できるかどうかが判断の分かれ目になります。
教える仕事を、他の在宅の仕事とどう組み合わせるか
教える仕事だけで収入を組み立てる必要はありません。むしろ、他の形式と組み合わせたほうが安定します。
相性が良いのは、記事の執筆と監修です。講義用に作った資料は、そのまま記事の骨組みになります。逆に、記事を書くために調べた内容は講義の材料になる。同じ調査を二度使えるため、実質の時間単価が上がります。教材と記事を並行して作っている人は、片方が途切れてももう片方が残るという意味でも安定しています。
技術的な相談を受ける仕事とも組み合わせやすい。研修で企業の現場に入ると、その企業の課題が見えます。研修が終わったあとに継続的な相談として依頼が続く流れは珍しくありません。研修を入り口として設計しておくと、単発で終わらない関係を作れます。
一方、実装案件との組み合わせには注意が要ります。実装は納期が読めないため、研修の日程と衝突したときに逃げ場がありません。両方を持つなら、研修の日程を先に確定させ、その週は実装の稼働をゼロにしておく。逆の順序で組むと、必ずどこかで破綻します。
年間の組み立て方としては、需要の波を把握しておくと計画が立てやすくなります。企業の研修は年度の始まりと後半に集中し、個人の学習需要は試験の受験時期に合わせて動きます。自分が対応できる時期と重なる波がどこにあるかを掴んでおけば、受注枠の設計ができます。
教える仕事の本質は、自分が理解した順序を他人に渡すことです。認定を取る過程で、どこが分かりにくく、どういう順で理解できたか。その記憶が新しいうちに教え始めるほうが、実は伝わりやすい。長く経験を積んでからでないと教えられない、という思い込みは外してよいでしょう。
補足として、受講者との関係の作り方にも触れておきます。教える立場になると、受講者から過度に頼られる場面が出てきます。契約の範囲を超えた質問が続くようであれば、その都度どこまでが範囲かを伝えて構いません。境界を示すことは冷たい対応ではなく、継続して教えるための条件です。範囲を明確にしている講師のほうが、結果として受講者からの評価も安定します。
よくある質問
Q. AWS認定を持っていれば講師の仕事はすぐ始められますか?
認定は応募の要件を満たす材料になりますが、いきなり法人研修から始めるのは現実的ではありません。個人指導や小規模な勉強会で説明の伝わり方を確認し、そのうえで講座事業者への応募や研修講師に進む順序のほうが、単価の上がり方は早くなります。
Q. 講師の報酬はどう計算すればよいですか?
講義時間だけで計算すると準備時間が無償になります。講義、教材作成、教材更新の3つの時間を計上し、エンジニア職の時間単価の2倍前後を目安に提示してください。継続案件では初回に準備費用を含め、2回目以降を実施費用のみとする設計が有効です。
Q. 自分が受けた試験の問題を教材に使ってもよいですか?
避けてください。試験の受験にあたっては出題内容の取り扱いに関する取り決めに同意する形になっているのが一般的で、実際の問題を再現して教材にする行為はこれに反する可能性があります。自分が同意した規約の範囲を必ず確認してください。
Q. 会社員でも講師の仕事は続けられますか?
形式によります。法人研修は平日日中の実施が前提のため両立が難しく、個人指導や講義動画の収録は夜間と週末で回せます。動ける時間帯から逆算して形式を選び、就業規則で副業の可否と競業避止の条項を確認してから進めてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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