アプリの保守運用費が制作費より高くつく理由|OSアップデート対応の相場感 2026

中西 直美
中西 直美
アプリの保守運用費が制作費より高くつく理由|OSアップデート対応の相場感 2026

この記事のポイント

  • アプリ 保守運用費 相場を知りたい発注者向けに
  • 開発費の何割かかるのか
  • 内訳や外注時の依頼の流れ

「アプリを作ったはいいけれど、この先ずっとお金がかかり続けるのだろうか」。そんな不安を抱えて検索窓に「アプリ 保守運用費 相場」と打ち込んだ方が、今この記事を読んでくださっていると思います。大丈夫ですよ。多くの発注者が同じところで立ち止まります。この記事では、保守運用費の相場、内訳、そして制作費より保守費のほうが結果的に高くつくと言われる理由を、できるだけ具体的な数字とともにお伝えしていきます。

アプリ保守運用費の相場観、まず結論から

先に結論をお伝えします。アプリの保守運用費は、一般的に開発費の15%程度が年間の目安とされています。たとえば開発費が250万円だった場合、年間で37.5万円前後の保守運用費が発生する計算です。月額に直すと3万円程度になります。

ちなみに、アプリの開発費用は、アプリに実装する機能や開発規模などの要因により大きく異なりますが、一般的に250万円前後が目安です。 運用・保守費用が開発費用の15%とすると、開発費用が250万円の場合は、年間で37.5万円程度の運用・保守費用がかかることになります。

もう少し規模の大きいアプリで見てみましょう。開発費が700万円だった場合、保守運用費は年間で105万円、月額にすると87,500円ほどになる計算です。

アプリの運用・保守に必要な費用は、開発にかかった費用の15%程度が月額相場といわれています。例えば、開発費700万円のアプリ保守にかかる費用目安は105万円(月額87,500円)です。 出典: hnavi.co.jp

ただし、この「15%」という数字はあくまで目安です。アプリの規模や業務内容によって幅があり、一般的なアプリケーションであれば毎月5万円から20万円ほどが実際のレンジになります。

費用はシステムの規模や業務内容に左右されますが、このことからも一般的なアプリケーションの保守なら、毎月5万~20万円ほどが相場となります。 出典: hnavi.co.jp

ここで一つ、心に留めておいていただきたいことがあります。「開発費の15%」という数字は、あくまで平均的な目安であって、実際にはアプリの構成、外部サービス連携の有無、OSアップデートの頻度によって大きく変動するということです。特にスマートフォンアプリの場合、iOSやAndroidのOSアップデートへの追従は避けて通れず、これが保守費用を押し上げる最大の要因になっています。

なぜ「保守運用費のほうが制作費より高くつく」と言われるのか

これは決して大げさな話ではありません。アプリは一度作って終わりではなく、公開後も継続的に手を入れ続ける必要があるサービスだからです。制作費は一度きりの支出ですが、保守運用費は毎年、毎月かかり続けます。仮に年間15%の保守費用がかかるとすると、7年運用すれば単純計算で制作費と同額かそれ以上を保守運用に投じることになります。

さらに見落とされがちなのが、OSアップデート対応の重さです。AppleやGoogleは年に一度、大きなOSバージョンアップを行い、そのたびに旧バージョンのAPIが非推奨になったり、新しいセキュリティ要件への対応を求められたりします。これに追従しないと、最悪の場合アプリストアから審査で弾かれる、あるいは既存ユーザーの端末でアプリが正常に動作しなくなるといった事態が起こります。

制作費は要件定義から設計、開発、テストという一連のプロセスに対して支払う対価ですが、保守運用費は「動き続けさせる」ための継続的な投資です。ここを見誤って予算を立ててしまうと、公開後1年、2年と経つうちに「思っていたよりお金がかかる」という感覚に襲われることになります。最初の見積もり段階で、保守運用費を含めた長期的なコストとして捉えておくことが、後悔しないための第一歩です。

アプリの運用と保守、何が違うのか

「運用」と「保守」は似た言葉ですが、業務内容は明確に異なります。この違いを理解しておくと、外注先に何を依頼すべきかがはっきりします。

運用の作業内容

運用は、アプリを日々動かし続けるための業務全般を指します。サーバーの死活監視、アクセス集中時の負荷対応、ユーザーからの問い合わせ対応、コンテンツの更新作業などが含まれます。ユーザーがアプリを快適に使えている状態を維持することが運用の目的です。

保守の作業内容

一方、保守はアプリそのものに手を加える業務です。バグ修正、セキュリティパッチの適用、OSアップデートへの追従、軽微な機能改修などが該当します。保守は開発スキルを持つエンジニアでなければ対応できない領域が多く、これが保守費用が高くなりやすい理由の一つです。

多くの発注者は「運用と保守を合わせて一つの契約」として依頼しますが、契約前にどちらの作業がどの範囲まで含まれているかを明確にしておくことをお勧めします。契約範囲があいまいなまま進めると、追加のバグ修正のたびに都度見積もりが発生し、結果的に想定より費用がかさむケースがよくあります。

保守運用費の内訳、何にお金がかかっているのか

保守運用費と一口に言っても、その中身は複数の項目に分かれています。それぞれの内訳を知っておくことで、見積もりを受け取ったときに「何にいくらかかっているのか」を判断できるようになります。

サーバー・インフラ費用

アプリがバックエンドサーバーと通信する仕様であれば、サーバーのレンタル費用やクラウドサービスの利用料が毎月発生します。利用者数やデータ量に応じて費用は変動し、ユーザー数が増えるほどインフラコストも比例して増えていく傾向があります。小規模なアプリであれば月額1万円前後、利用者の多いアプリでは月額10万円を超えることもあります。

OSアップデート対応費用

先述の通り、iOSとAndroidは年1回程度の大型アップデートを行います。このたびに、新しいAPIへの対応、非推奨機能の置き換え、審査ガイドラインへの適合作業が必要になります。この対応を怠ると、最新OSでアプリが正常動作しなくなったり、ストア審査に通らなくなったりするリスクがあります。年間で見ると、この対応だけで10万円から30万円程度の費用がかかることも珍しくありません。

バグ修正・不具合対応費用

公開後、想定していなかった環境や使い方でバグが見つかることは避けられません。軽微な修正であれば数万円で済みますが、影響範囲が広いバグの場合は工数がかさみ、費用も高くなります。多くの保守契約では、月間の対応工数に上限を設けた「保守パッケージ」として契約するケースが一般的です。

セキュリティ対応費用

個人情報や決済情報を扱うアプリであれば、セキュリティ対応は特に重要です。脆弱性診断、暗号化ライブラリの更新、不正アクセスの監視といった作業が含まれます。セキュリティインシデントが起きてからでは信用の毀損という形で数字に表せない損失を被るため、多少のコストをかけてでも継続的な対応を組み込んでおくべき項目です。

軽微な機能改修・問い合わせ対応費用

ユーザーからの要望に応じた小さな機能追加や、操作方法に関する問い合わせ対応も保守運用の一部です。こうした対応は一件あたりの金額は小さくても、積み重なると月々の費用に影響します。

保守運用費が増減する要因

保守運用費は一律の金額ではなく、いくつかの要因によって上下します。見積もりを比較する際は、この要因を踏まえたうえで判断すると納得感が得られやすくなります。

アプリの規模と機能数

機能が多いアプリほど、保守すべき範囲が広がります。決済機能、位置情報連携、プッシュ通知、外部API連携などを実装しているアプリは、それぞれの機能ごとに動作確認とメンテナンスが必要になるため、シンプルなアプリに比べて保守費用は高くなる傾向があります。

利用者数

利用者が多いほど、サーバー負荷への対応やお問い合わせ対応の量が増えます。利用者数が急増した場合には、想定していたインフラ費用を上回ることもあるため、契約時に利用者数の増加を見込んだ費用シミュレーションをしておくと安心です。

対応スピードへの要求水準

「不具合発生後24時間以内に対応してほしい」といった高い即応性を求める場合、保守を担当する会社やフリーランスは常に対応できる体制を維持する必要があり、その分費用は上がります。逆に、対応まで数営業日の猶予があってもよい場合は、費用を抑えられる可能性があります。

契約形態(月額固定か都度対応か)

保守運用の契約には、月額固定で一定の工数まで対応する「パッケージ型」と、発生した作業ごとに見積もりを取る「都度対応型」があります。パッケージ型は費用の見通しが立てやすい一方、実際の作業量が少ない月でも固定費が発生します。都度対応型は必要な分だけ支払える反面、対応のたびに見積もりのやり取りが発生し、緊急時の対応が遅れるリスクがあります。

保守運用費を抑えるための3つのポイント

保守運用費は「かかるもの」として受け入れつつも、工夫次第で抑えられる部分があります。ここでは実務的に効果のある3つのポイントをお伝えします。

1. 開発段階から保守しやすい設計にしておく

保守費用が膨らむ最大の原因の一つは、開発時にコードが複雑化しすぎて、後から手を入れにくい状態になっていることです。開発を依頼する段階から「今後の保守を見据えた設計にしてほしい」と明確に伝えておくことで、将来の修正コストを大きく下げられます。ドキュメントの整備状況や、コードのコメントの丁寧さも、後々の保守費用に直結する重要なポイントです。

2. 保守範囲を必要最小限に絞る

すべての機能を同じ水準で保守する必要はありません。利用頻度の低い機能や、なくても業務に支障のない付加機能については、保守の優先度を下げる、あるいは思い切って廃止するという判断も選択肢に入れておくべきです。優先順位をつけて保守範囲を絞ることで、限られた予算を本当に重要な部分に集中させられます。

3. 仲介会社を通さず直接依頼する

保守運用を外部委託する際、制作会社や仲介会社を経由すると、その会社の利益分がマージンとして上乗せされます。一方、実際に手を動かすフリーランスエンジニアに直接依頼すれば、その中間マージンが発生しません。同じ作業内容でも、依頼先の選び方によって支払う金額に差が出るという点は、多くの発注者が見落としがちなポイントです。

保守運用を外部委託する際の確認ポイント

外部委託先を選ぶ際、価格だけで判断すると後々トラブルにつながることがあります。契約前に必ず確認しておきたい項目を整理します。

対応可能な範囲を明文化する

「バグ修正まで」なのか「軽微な機能追加まで」含まれるのかを、口頭ではなく書面やメールで明確にしておきましょう。範囲があいまいなまま契約すると、追加費用の請求をめぐって認識のずれが生じやすくなります。

緊急時の対応フローを確認する

アプリが突然動かなくなった場合、どのくらいの時間で対応してもらえるのか、連絡手段は何かを事前に確認しておくことが重要です。個人のフリーランスに依頼する場合、体調不良や他案件との兼ね合いで対応が遅れる可能性もあるため、複数の連絡手段を確保しておくと安心です。

過去の保守実績を確認する

新規開発の実績は豊富でも、保守運用の経験が浅い発注先も存在します。継続的な保守を任せるなら、過去にどのようなアプリを、どのくらいの期間保守してきたかを確認しておくとミスマッチを防げます。

私自身、初めてアプリの保守運用を外注したとき、複数社から見積もりを取り比較する中で、価格だけを見て一番安い会社に依頼してしまった経験があります。結果として、対応範囲が想定より狭く、軽微な修正のたびに追加費用が発生してしまい、結局は少し高くても対応範囲が明確な会社に依頼し直すことになりました。見積もりの金額そのものよりも、その金額で「どこまで対応してもらえるのか」を確認することの大切さを、身をもって学んだ出来事でした。

発注者データから見える保守運用費の実態

在宅ワーク・業務委託のマッチングサービスを長く運営してきた立場から見ると、アプリの保守運用に関する発注者の相談には共通したパターンがあります。それは「開発時には保守費用のことをほとんど考えていなかった」という声が非常に多いことです。

アプリ開発の依頼を検討する段階では、どうしても「まず作ること」に意識が向きがちです。しかし、実際にアプリを運営していく中で本当に負担になるのは、公開後何年も続く保守運用の費用と手間だという実感を持つ発注者が少なくありません。

20年この市場を見てきた立場から言えば、長く安定して保守運用を続けられている発注者ほど、開発の初期段階から「この先誰にどう保守を頼むか」を決めてから制作会社選びをしています。逆に、開発だけを優先して保守先を後回しにしてしまうと、いざアプリが不具合を起こしたときに慌てて対応先を探すことになり、選択肢が限られた状態での契約となって費用面でも不利になりがちです。

また、仲介会社を経由した保守契約と、フリーランスへの直接依頼を比較した発注者からは「同じ予算でも直接依頼のほうが対応の柔軟性が高かった」という声もよく聞かれます。中間マージンが乗らない直接取引は、依頼者側からすれば同じ予算でより多くの作業を頼めるということであり、受け手側からすれば同じ作業量でも手取りが厚くなるという、双方にとって無理のない関係性を築きやすい構造です。手数料0%という条件は、単に金額が安く済むという以上に、発注者と受注者の間に長期的な信頼関係を築きやすくするという質的な違いを生んでいます。

アプリ開発の外注先を探している方には、開発だけでなく保守運用まで見据えた依頼先選びをお勧めします。開発費用の相場についてはアプリ開発の外注費用相場|iOS・Android・Web別の料金目安【2026年版】で詳しく解説していますので、あわせて確認しておくと予算計画が立てやすくなります。

アプリケーション開発そのものを外部委託したい場合は、アプリケーション開発のお仕事でどのような業務範囲を依頼できるかを確認できます。UI・UX面の改善を含めた保守を依頼したい場合は、UI/UX・アプリデザインのお仕事も参考になります。近年はチャットボット機能を組み込んだアプリの保守運用ニーズも増えており、AIチャットボット・アプリ開発のお仕事では該当分野の依頼内容もまとめています。

依頼先となるソフトウェア開発者に支払う適正な単価感を把握しておきたい方は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で市場の目安を確認できます。保守運用にあたって、アプリのマニュアルやリリースノートの作成を依頼したい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場も参考にしてください。

技術力の裏付けとして、依頼先がKubernetesを活用したインフラ構築のスキルを持っているかを確認したい場合はKubernetes認定アプリケーション開発者(CKAD)の資格情報が参考になります。ネットワーク周りの保守を含めて依頼する場合はCCNA(シスコ技術者認定)の資格を持つ技術者かどうかも一つの判断材料になります。

なお、スマートフォンアプリの開発を副業として請け負う個人も増えており、こうした市場動向についてはスマホアプリ開発の副業ガイド|個人で稼ぐ方法と案件相場で解説しています。海外向けアプリを展開する場合は、多言語対応も保守運用費に関わってくる要素です。翻訳やローカライズの外注についてはローカライゼーションのフリーランス需要|アプリ・ゲーム翻訳の仕事内容もあわせてご覧ください。

保守運用費は決して軽視できる支出ではありませんが、内訳を理解し、依頼先を適切に選ぶことで、無理のない範囲でアプリを長く運用していくことができます。開発費だけで予算を組むのではなく、公開後何年にもわたって発生する保守運用費まで含めた総額で計画を立てることが、後悔しないアプリ運営の第一歩です。

よくある質問

Q. アプリの保守運用費は開発費のどれくらいが目安ですか?

一般的には開発費の15%程度が年間の目安とされています。開発費250万円なら年間37.5万円、700万円なら年間105万円ほどが相場感です。ただしアプリの規模により月額5万〜20万円という幅があります。

Q. なぜ保守運用費のほうが制作費より高くつくと言われるのですか?

制作費は一度きりの支出ですが、保守運用費は毎年発生し続けるためです。OSアップデート対応やセキュリティ対応が継続的に必要になり、数年運用すると累計で制作費を上回ることも珍しくありません。

Q. 保守運用費を抑えるにはどうすればよいですか?

開発段階から保守しやすい設計にしておくこと、保守範囲を必要最小限に絞ること、仲介会社を通さずフリーランスへ直接依頼して中間マージンをなくすことの3点が効果的です。

Q. 仲介会社経由とフリーランス直接依頼で費用はどれくらい違いますか?

仲介会社は制作会社の利益分がマージンとして上乗せされるため、同じ作業内容でもフリーランスへの直接依頼のほうが費用を抑えやすい傾向があります。対応の柔軟性が高いという声も多く聞かれます。

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この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月1日最終更新:2026年7月31日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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