年末調整代行の費用相場|従業員数で変わる料金と依頼先の選び方

中西 直美
中西 直美
年末調整代行の費用相場|従業員数で変わる料金と依頼先の選び方

この記事のポイント

  • 年末調整代行の費用相場を従業員数別に解説
  • 仲介会社とフリーランス直接依頼の料金差
  • 失敗しない依頼先の選び方を発注担当者向けにまとめました

11月に入ると、経理担当の方や、経理を兼務している個人事業主の方から、同じようなご相談をよくいただきます。「年末調整の作業が毎年重くて、外注を考えているけれど費用がどれくらいかかるのか分からない」というものです。

年末調整代行の費用は、依頼する範囲や従業員数によって数万円から数十万円まで幅があります。この記事では、料金相場を従業員数別に整理したうえで、仲介会社を通す場合とフリーランスに直接依頼する場合の費用差、そして失敗しない依頼先の選び方まで、発注する側の視点で具体的に解説します。

年末調整代行を検討する背景にあるもの

年末調整は、毎年11月から12月にかけて企業の経理担当者に重くのしかかる業務です。従業員から提出書類を回収し、生命保険料控除や住宅ローン控除の内容を確認し、税額を再計算して過不足を精算する。この一連の作業は、従業員数が増えるほど工数が膨らみます。

近年、この業務を外部に委託する動きが広がっています。背景にあるのは主に3つの要因です。

1つ目は、経理担当者の人手不足です。中小企業やスタートアップでは、経理を1人か2人で回しているケースが多く、年末調整の繁忙期だけ業務が集中すると、他の経理業務が滞ってしまいます。

2つ目は、法改正への対応負担です。年末調整の申告様式や控除の仕組みは、税制改正のたびに変更が入ります。国税庁も毎年、年末調整の手引きや様式を更新しており、担当者は毎年最新の情報を追いかける必要があります。

年末調整業務に負担を感じ、アウトソーシングを検討している人事担当の方へ。本記事では年末調整代行サービスのメリットや選び方、料金相場をわかりやすく解説します。おすすめのサービスも紹介するので、自社に合ったサービス選びの参考にしてください。 出典: aspicjapan.org

3つ目は、ミスへの懸念です。年末調整は従業員一人ひとりの所得税額に直結するため、計算ミスがあると従業員からの信頼を損ないますし、税務署への訂正手続きも発生します。専門知識を持つ担当者に任せることで、こうしたリスクを減らしたいという声も多く聞かれます。

こうした事情から、年末調整代行サービスの市場は年々広がりを見せています。従来は税理士事務所や記帳代行会社が中心でしたが、近年はクラウド会計ソフトと連携したオンライン代行サービスや、フリーランスの経理担当者に直接依頼するケースも増えています。

年末調整代行の料金相場

年末調整代行の費用は、依頼先の種類、従業員数、依頼する業務範囲によって大きく変わります。ここでは代表的な料金体系を整理します。

従業員数別の料金相場

年末調整代行は、多くの場合「基本料金+従業員1人あたりの単価」という料金体系を採用しています。目安となる相場は以下の通りです。

従業員数 基本料金の目安 1人あたり単価の目安 総額の目安
〜10名 2万円〜5万円 2,000円〜3,000円 4万円〜8万円
11〜30名 3万円〜6万円 1,500円〜2,500円 6万円〜13万円
31〜50名 5万円〜8万円 1,200円〜2,000円 10万円〜18万円
51〜100名 8万円〜12万円 1,000円〜1,800円 18万円〜30万円

この表からも分かる通り、従業員数が増えるほど1人あたりの単価は下がる傾向にあります。これはスケールメリットが働くためで、依頼先によっては100名を超える規模になると、さらに単価が下がる契約プランを用意していることもあります。

名古屋で記帳代行を980円~提供中!名古屋 給与計算・経理代行サービス|名古屋の記帳代行は葵パートナーズ 出典: nagoya-keiri.biz

業務範囲による料金の違い

年末調整代行と一口に言っても、依頼できる業務の範囲は依頼先によって異なります。主に以下のような区分があり、範囲が広がるほど費用も上がります。

・書類回収と入力代行のみ:従業員から提出された申告書をもとにデータ入力するだけの、最も限定的な範囲です。単価は最も低く抑えられます。

・税額計算と過不足精算:入力データをもとに、実際の税額計算まで行う範囲です。多くの企業がこの範囲を基本プランとして依頼しています。

・従業員からの問い合わせ対応:控除の記入方法が分からない従業員からの質問に、代行会社やフリーランスが直接対応する範囲です。この対応が含まれると、単価は300円〜800円ほど上乗せされることが一般的です。

・法定調書合計表や源泉徴収票の作成:年末調整の後工程にあたる書類作成まで含めると、総額はさらに上がります。

依頼する前に、自社がどこまで外部に任せたいのかを明確にしておくことが、見積もり比較を効率よく進めるコツです。

年末調整をアウトソーシングするメリット

費用をかけてまで外注する価値があるのか、という点は多くの担当者が気にするポイントです。ここでは主なメリットを整理します。

繁忙期の工数を削減できる

年末調整の時期は、通常の経理業務に加えて、書類回収、督促、入力、確認という作業が積み重なります。これを外部に任せることで、担当者は他の重要な業務に時間を割けるようになります。特に、決算期が年末調整の時期と重なる企業では、この効果は大きくなります。

専門知識によるミス防止

税制改正への対応や、控除額の計算は専門性が求められる分野です。日常的に複数の企業の年末調整を扱っている代行会社やフリーランスの担当者は、最新の制度変更にも精通しています。自社の担当者が片手間で対応するよりも、ミスが起きにくい体制を作れます。

属人化のリスクを避けられる

小規模企業では、年末調整の知識やノウハウが特定の担当者一人に集中しているケースが少なくありません。その担当者が退職や休職をすると、業務が滞ってしまいます。外部委託することで、こうした属人化リスクを分散できるという側面もあります。

年末調整のアウトソーシング先の比較ポイント

依頼先を選ぶ際は、料金だけでなく複数の観点から比較することが重要です。

対応可能な従業員数と繁忙期の対応力

年末調整は多くの企業で同時期に発生するため、依頼先のキャパシティが逼迫しやすい時期でもあります。依頼を検討する段階で、繁忙期でも対応可能なスケジュールかどうかを確認しておく必要があります。特に12月中旬以降に依頼が集中すると、対応してもらえない、あるいは追加料金が発生するケースもあるため、早めの相談が安心です。

使用している会計ソフトとの相性

自社ですでにクラウド会計ソフトや給与計算ソフトを使っている場合、依頼先がそのソフトに対応しているかを確認しましょう。データ連携がスムーズだと、二重入力の手間が省け、結果的に費用対効果も高くなります。

秘密保持契約(NDA)の締結

年末調整では、従業員の給与情報、扶養家族の情報、保険料の支払い状況など、機微な個人情報を扱います。依頼先がNDAを締結してくれるか、個人情報の取り扱い方針が明確かどうかは、必ず確認すべき項目です。

見積もりの内訳の透明性

「一式〇万円」という曖昧な見積もりではなく、基本料金、従業員1人あたりの単価、追加オプションの料金が明確に分かれている見積もりを出してくれる依頼先を選ぶと、後からの追加請求トラブルを避けやすくなります。

私自身、フリーランスとして独立してから初めて業務を外注した際、複数の見積もりを比較せずに1社だけで即決してしまい、後から「別の依頼先なら3割ほど安く済んだ」と知って悔しい思いをしたことがあります。最低でも2〜3社から見積もりを取り、内訳を突き合わせてから決めることの大切さを、身をもって学びました。

仲介会社経由とフリーランス直接依頼の費用差

年末調整代行を検討する際、依頼先の選択肢として大きく分けて3つのパターンがあります。税理士事務所、代行会社(仲介会社)、そしてフリーランスの経理担当者への直接依頼です。

税理士事務所は、税務申告全般とセットで年末調整を扱うことが多く、専門性は高い一方で、料金は他の選択肢より高めに設定されている傾向があります。

代行会社は、複数のスタッフを抱えて組織的に対応するため、繁忙期でも一定の品質と納期を担保しやすいという強みがあります。ただし、代行会社を通す場合、実際に作業をするスタッフへの報酬に加えて、会社としての運営コストや営業コストが料金に上乗せされます。

一方、フリーランスの経理担当者へ直接依頼する場合は、仲介会社を挟まないため、その分の中間マージンが発生しません。同じ作業品質であっても、依頼者が支払う総額とフリーランス本人が受け取る報酬の差が小さくなる、つまり手数料0%に近い形で費用を抑えられる可能性があります。

もちろん、フリーランスへの直接依頼には注意点もあります。個人であるため、繁忙期に体調を崩した場合の代替要員がいない、対応できる業務量に上限がある、といった点は事前に確認しておく必要があります。信頼できるフリーランスを見つけるには、実績や評価を確認できるマッチングサービスを活用するのも一つの方法です。

こうした人材を探す際には、経理・事務のスキルを持つ人材の年収・単価相場を参考にしながら、適正な依頼金額の目安を掴んでおくと、見積もり交渉の際に役立ちます。

年末調整のアウトソーシングを依頼する手順

実際に依頼を進める際の一般的な流れを整理しておきます。

ステップ1:業務範囲の洗い出し

まず、自社が外注したい業務範囲を明確にします。書類回収から任せるのか、入力済みデータの計算だけを任せるのか、従業員からの問い合わせ対応まで含めるのか。この範囲によって見積もり額が大きく変わるため、最初に社内で認識を合わせておくことが重要です。

ステップ2:複数の依頼先から見積もりを取る

税理士事務所、代行会社、フリーランスなど、複数の選択肢から見積もりを取得します。この段階で、料金だけでなく対応スピードやコミュニケーションのしやすさも確認しておくと、後々のミスマッチを防げます。

ステップ3:契約とNDAの締結

依頼先を決定したら、業務委託契約とあわせてNDAを締結します。年末調整では従業員の個人情報を扱うため、この手続きは省略せずに行いましょう。

ステップ4:必要書類とデータの引き渡し

従業員の基本情報、扶養控除等申告書、保険料控除証明書などの書類を、依頼先が指定する形式で引き渡します。クラウド会計ソフトを使っている場合は、アクセス権限の付与だけで済むこともあります。

ステップ5:納品物の確認と社内共有

年末調整の計算結果や源泉徴収票の納品を受けたら、内容に誤りがないかを確認します。特に、扶養控除の人数や控除額に誤りがないか、抜き取りでよいので複数名分をチェックしておくと安心です。

運営者から見た、直接依頼という選択肢の実態

フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から見ると、年末調整代行に限らず、経理・事務系の業務を外注する企業の多くが「まずは仲介会社を通す」ことから始め、その後に「継続的に依頼するなら直接契約の方が合理的だ」と気づいて切り替えていく、という流れをたどるケースをよく見てきました。

単発の依頼であれば、繁忙期の対応力やリスク分散という観点で組織立った代行会社にメリットがあります。しかし、毎年同じ時期に発生する年末調整のような定型業務であれば、信頼できるフリーランスと継続的な関係を築いた方が、双方にとって無駄のない取引になりやすいというのが実感です。

長く続く取引関係を見ていると、単価交渉だけに終始する発注者よりも、「この人になら来年もお願いしたい」と思える関係づくりに時間を使っている発注者の方が、結果的に安定した品質を得られています。中間マージンが乗らない直接取引は、依頼者にとっては同じ予算でより多くの業務を任せられ、受注する側にとっては手取りが厚くなるという、双方にメリットのある構造です。金額の多寡ではなく、この「手取りの質」が、継続的な関係を築く土台になっているように見えます。

年末調整のように専門性と定型性が両立する業務は、直接依頼との相性が良い分野の一つだと言えるでしょう。業務範囲を明確にし、複数の候補と比較したうえで、自社に合った依頼先を選ぶことが、費用対効果を最大化する近道です。

法人化を検討している事業者であれば、法人化 マイクロ法人設立の完全ガイドで費用や注意点を確認しておくと、経理体制全体の見直しにもつながります。また、独立して間もない事業者はフリーランスの法人成り完全ガイド2026も参考になるはずです。

年末調整代行の費用は、従業員数や業務範囲によって幅がありますが、見積もりの内訳を丁寧に比較し、自社の業務量に合った依頼先を選ぶことで、コストを抑えながら経理担当者の負担を大きく軽減できます。

よくある質問

Q. 年末調整代行の費用は従業員数が少なくても依頼できますか?

可能です。従業員数10名以下でも対応している代行会社やフリーランスは多く、基本料金2万円〜5万円程度から依頼できます。少人数の場合は、フリーランスへの直接依頼の方が割安になるケースもあります。

Q. フリーランスに直接依頼する場合、対応してもらえる時期の目安は?

繁忙期である12月上旬までに依頼を確定させるのが安心です。12月中旬以降は依頼が集中しやすく、対応不可や追加料金が発生する場合があるため、11月中の相談をおすすめします。

Q. 年末調整代行で従業員の個人情報は安全に扱われますか?

信頼できる依頼先であれば、業務委託契約とあわせてNDA(秘密保持契約)を締結します。契約前に個人情報の取り扱い方針や保管方法を確認し、書面で取り決めておくことが重要です。

Q. 仲介会社とフリーランスのどちらに依頼すべきか迷っています?

単発の依頼で繁忙期の対応力を重視するなら仲介会社、継続的な依頼でコストを抑えたいならフリーランスへの直接依頼が向いています。業務範囲と予算を明確にしたうえで、複数社から見積もりを比較するのが失敗しない方法です。

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この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月24日最終更新:2026年9月2日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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