WordPress制作の費用相場|テーマ活用とオリジナルの料金差と依頼のコツ 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
WordPress制作の費用相場|テーマ活用とオリジナルの料金差と依頼のコツ 2026

この記事のポイント

  • wordpress制作の費用相場を発注者目線で徹底解説
  • テーマ活用とオリジナル制作の料金差
  • 仲介と直接依頼のコスト差まで

先日、ある地方で美容室を経営されている方から相談を受けました。「Web制作会社に見積もりを取ったら、同じような内容なのに1社は30万円、もう1社は120万円だった。何がどう違うのか、まったく判断がつかない」と。これ、知らない人が本当に多いんです。WordPress制作の費用は、依頼先や作り方によって数倍から10倍近く差が開くことがあります。しかも、その差は「高い方が良いサイト」を意味するとは限りません。

この記事では、これから自社サイトやお店のホームページをWordPressで外注しようと考えている方に向けて、費用相場の全体像・料金の内訳・依頼先ごとの違い・失敗しない選び方を、発注する側が「いくらで・どこに・どう頼めばいいか」を自分で判断できる粒度で解説します。結論から言うと、WordPressサイト制作の費用は10万円〜300万円以上と幅広く、あなたが「何を作りたいか」で適正価格は決まります。相場を知り、内訳を分解できれば、高すぎる見積もりも、安すぎて危険な見積もりも見抜けるようになります。

WordPress制作の費用相場は「作り方」で決まる

WordPress制作の費用を考えるとき、最初に理解しておくべきなのは「WordPressそのものは無料である」という事実です。WordPressはオープンソースのソフトウェアで、ライセンス費用はかかりません。ではなぜ制作費が数十万円、数百万円になるのか。それは、WordPressを「あなたのサイトとして動く状態」にするまでの作業と、その作業を誰がどのレベルで行うかにコストがかかるからです。

費用の相場は、大きく分けて次の4つの「作り方」で決まります。1つ目は自分ですべて作る方法、2つ目は既存の有料テーマを使って外注する方法、3つ目はテーマをカスタマイズして半オリジナルで作る方法、4つ目はデザインから完全オリジナルで作る方法です。この4つで費用は10倍以上変わります。

つまり、「WordPress制作 費用」を調べているあなたがまず決めるべきなのは、金額そのものではなく「自分のサイトはどの作り方が適切か」という点なんです。ここを間違えると、名刺代わりの小さなサイトに300万円を払ってしまったり、逆に本格的な集客サイトに10万円しかかけずに成果が出ないサイトを作ってしまったりします。

WordPress制作の費用感を、市場で流通している相場としてまとめると次のようになります。

作り方 費用相場 向いているケース
自作(自分で作る) 年間1万〜3万円程度 予算を極力抑えたい、時間がある個人
テーマ活用の外注 10万〜30万円 小規模な店舗・個人事業のサイト
テーマカスタマイズ 30万〜100万円 中小企業のコーポレートサイト
フルオリジナル制作 100万〜300万円以上 集客・ブランディング重視の企業

WordPressのホームページ制作の費用について、実際に制作を手がける事業者は次のように説明しています。

WordPressのホームページ制作の費用・料金相場は30万円〜300万円以上。上の表を見ていただくとわかりますが、依頼先やホームページの規模などの要因によって大きく変動します。依頼先・規模別に事例を交えて紹介しますので、自社のホームページはどのケースに該当しそうか判断するための材料としてください。画像引用:山本歯科ホームページ

この「30万円〜300万円以上」という幅の広さこそが、多くの発注者を混乱させる原因です。だからこそ、次のセクションから費用の中身を1つずつ分解していきます。中身が分かれば、あなたの見積もりが妥当かどうかを自分で検証できるようになります。

WordPress導入や維持にかかる基本の料金

外注費の前に、まず「WordPressサイトを持つこと自体にかかる基本料金」を押さえておきましょう。これは制作を外注しようと自作しようと、必ず発生するランニングコストです。ここを理解しておかないと、「制作費30万円」という見積もりに、この基本料金が含まれているのか別途なのかが判断できません。

ドメイン費用

ドメインとは「example.com」のようなサイトの住所です。これがないとサイトを公開できません。ドメインは末尾の種類によって費用が変わります。

ドメインは末尾の「.com」「.jp」などの種類によって、初期費用や更新費用が大きく異なります。低価格なもので、1円から取得できるドメインもあります。

一般的な「.com」であれば年間1,000円〜1,500円程度、信頼性が高い「.co.jp」は年間3,000円〜4,000円程度が相場です。取得初年度はキャンペーンで安い場合がありますが、更新費用は毎年かかることを忘れないでください。ここで注意したいのは、ドメインは「あなた名義で取得しているか」という点です。制作会社が代理取得したまま、名義が制作会社になっていると、後で乗り換えたいときに移管でトラブルになるケースがあります。契約前に「ドメインは自社名義で取得してもらえますか?」と確認しておくことをおすすめします。

サーバー費用

WordPressを動かすにはサーバー(レンタルサーバー)が必要です。サーバーとは、あなたのサイトのデータを保管して、24時間インターネットに配信し続けるコンピューターです。個人や小規模事業者向けの共用レンタルサーバーであれば、月額1,000円〜2,000円程度、年間で1万2,000円〜2万4,000円程度が相場です。

アクセスが多い集客サイトや、大量の商品を扱うECサイトの場合は、より性能の高いサーバーが必要になり、月額5,000円〜1万円以上かかることもあります。サーバー選びは表示速度に直結し、表示速度は検索順位や離脱率にも影響します。つまり、安さだけでサーバーを選ぶと、せっかく作ったサイトが「遅くて使いにくい」ものになりかねません。制作を外注する場合は、どのサーバーを推奨するか、その理由も含めて説明してもらうと良いでしょう。

SSL証明書費用

SSL証明書とは、サイトの通信を暗号化して安全にする仕組みです。URLが「https://」で始まるサイトはSSLが導入されています。つまり、訪問者の個人情報やフォーム入力を守るための必須の仕組みです。現在は多くのレンタルサーバーが無料のSSL証明書を提供しているため、追加費用がかからないケースが増えています。ただし、企業の信頼性をより高く示したい場合は、有料の証明書(年間3万円〜8万円程度)を導入することもあります。個人事業や小規模店舗であれば、無料のSSLで十分な場合がほとんどです。

テーマ・プラグイン費用

WordPressの見た目を決める「テーマ」には、無料のものと有料のものがあります。有料テーマは1万円〜3万円程度の買い切りが主流で、デザインの質が高く、SEO対策やスマホ対応が最初から施されているものが多いです。また、機能を追加する「プラグイン」も、無料のものと有料のもの(月額数百円〜数千円のサブスクリプション型を含む)があります。予約機能や高度なフォーム、多言語対応など、特定の機能を追加する場合はこれらの費用も見積もりに入れておく必要があります。

4つの制作方法別・WordPress制作の料金相場

ここからは、外注を前提に「作り方別の料金相場」を具体的に見ていきます。あなたのサイトがどの方法に当てはまるかを考えながら読んでください。

自作する場合の料金

まず、外注せず自分で作る場合です。この場合、制作費(人件費)はゼロで、前述のドメイン・サーバー費用だけで済みます。年間1万円〜3万円程度で自分のサイトを持てる計算です。無料テーマや安価な有料テーマを使えば、デザインもそれなりに整います。

ただし、ここには「あなたの時間」というコストが隠れています。WordPressの操作を覚え、テーマを設定し、コンテンツを作り、トラブルを自力で解決する。これらに慣れていない方が本格的なサイトを作ろうとすると、数十時間から数百時間かかることも珍しくありません。時給換算すると、外注した方が安いというケースも多いんです。自作が向いているのは、予算が本当に限られていて、かつ学習の時間を確保できる個人事業主や、小さな趣味サイト・ブログを作りたい方です。ビジネスの成果に直結するサイトを、初めての人がゼロから自作するのは、正直おすすめしません。

テーマを活用して外注する場合の料金

既存の有料テーマをベースにして、プロに設定・カスタマイズしてもらう方法です。費用相場は10万円〜30万円程度。この価格帯が、小規模な店舗や個人事業のホームページとして最も選ばれている層です。

この方法のメリットは、デザインの土台が完成しているテーマを使うため、制作時間が短く、費用を抑えられる点です。テーマにはあらかじめきれいなレイアウトが用意されているので、そこに文章と写真を流し込み、色やロゴを調整すれば、プロっぽいサイトが比較的短期間で完成します。ページ数としては、トップページ・会社概要・サービス紹介・お問い合わせなど、5ページから10ページ程度のコーポレートサイトがこの価格帯に収まります。「まずはきちんとしたサイトが欲しい」「予算は抑えたいが自作は不安」という発注者に最適な選択肢です。

テーマをカスタマイズして半オリジナルで作る場合の料金

テーマをベースにしつつ、独自のデザイン要素やオリジナル機能を追加していく方法です。費用相場は30万円〜100万円程度。中小企業のコーポレートサイトや、ある程度こだわりたいサービスサイトがこの層に入ります。

この価格帯になると、テーマの標準デザインをかなり作り込み、企業のブランドイメージに合わせた見た目に仕上げられます。トップページのデザインを独自に組んだり、実績紹介やスタッフ紹介などのオリジナルページを追加したり、簡単な予約機能や会員機能を組み込んだりできます。ページ数も10ページから20ページ程度に増えます。デザインの自由度と費用のバランスが取れているため、「テーマそのままでは物足りないが、フルオリジナルほどの予算はない」という多くの中小企業がこの方法を選びます。

フルオリジナルで制作する場合の料金

デザインをゼロから設計し、完全にオリジナルのWordPressサイトを構築する方法です。費用相場は100万円〜300万円以上。集客やブランディングを本格的に行いたい企業向けです。

この価格帯では、市場調査やコンセプト設計から始まり、ワイヤーフレーム(設計図)の作成、オリジナルデザイン、独自機能の開発まで、すべてを一から作り込みます。競合他社と明確に差別化されたデザイン、緻密なSEO設計、高度な問い合わせ導線などを実現できます。

本格的な集客やブランディングを目的とする場合の費用について、制作事業者は次のように述べています。

WordPressで本格的な集客やブランディングを行う場合の費用は、300万円以上が相場です。集客やブランディングに伴いクオリティの高いデザインを求めるケースも少なくありません。クオリティの高さを求める場合は、経験やスキルのあるデザイナーへの依頼が必要です。そのため、費用が高くなる傾向にあります。

つまり、フルオリジナルは「サイトそのものが売上を生む装置」として設計されるため、経験豊富なデザイナー・ディレクター・エンジニアが関わり、その分費用が高くなります。ただし、名刺代わりの小さなサイトにこの予算をかける必要はありません。あなたのサイトが「どれだけ売上・集客に直結するか」で、この投資が妥当かどうかを判断してください。

WordPress制作を外注する際の費用の内訳

見積もりを比較するとき、総額だけを見ていては「なぜこの金額なのか」が分かりません。ここでは、WordPress制作の外注費が何で構成されているのか、内訳を分解します。この内訳を理解しておくと、見積書の項目を見たときに「何にいくらかかっているか」を読み解けるようになります。

ディレクション費(進行管理費)

制作全体の進行を管理し、あなたの要望を整理して制作チームに伝える「取りまとめ役」の費用です。制作全体の10%〜20%程度を占めることが多い項目です。個人のフリーランスに直接依頼する場合は、この費用が明示されず制作費に含まれていたり、そもそも発生しなかったりします。制作会社に依頼すると、専任のディレクターがつくため、この費用が別立てになることが一般的です。

企画・設計費

サイトの目的を整理し、どんなページ構成にするか、どんな導線で問い合わせに繋げるかを設計する費用です。フルオリジナル制作では特に重要な工程で、ここが甘いと「見た目はきれいだが成果が出ないサイト」になってしまいます。小規模なテーマ活用の制作では、この工程が簡略化されるため費用も抑えられます。

デザイン費

サイトの見た目を作る費用です。テーマを活用する場合は既存デザインの調整だけなので安く、フルオリジナルではデザイナーがゼロから作るため高くなります。ページ単位で費用が設定されることが多く、トップページは特に手間がかかるため、下層ページより高めの単価(トップで5万円〜15万円、下層ページで1ページあたり1万円〜5万円程度)になります。

コーディング・構築費

デザインをWordPress上で実際に動く形にする費用です。デザインを忠実に再現し、スマホでもきれいに表示されるように調整し、WordPressの管理画面から更新できる状態に組み上げます。この工程の質が、後々の「自分で更新しやすいかどうか」を左右します。安さだけで選ぶと、更新しづらい構造で作られてしまい、結局また外注する羽目になることもあります。

コンテンツ制作費(原稿・写真)

意外と見落とされがちですが、サイトに載せる文章(原稿)や写真も費用に含まれる場合があります。原稿をプロのライターに依頼すると1ページあたり1万円〜5万円、写真撮影を依頼すると1日3万円〜10万円程度が相場です。「原稿は自社で用意する」のか「制作側に任せる」のかで総額が大きく変わるため、見積もり時に必ず確認してください。

保守・運用費(ランニングコスト)

サイトは作って終わりではありません。WordPress本体やプラグインのアップデート、セキュリティ対策、トラブル対応、簡単な修正などを継続的に行う保守契約が必要です。保守費用は月額5,000円〜3万円程度が相場です。これを軽視すると、放置されたWordPressが乗っ取られたり、表示が崩れたりするリスクがあります。制作費だけでなく、この毎月のランニングコストも含めて予算を組んでください。

失敗しないWordPress制作の依頼先の選び方

WordPress制作の依頼先は、大きく分けて「制作会社」「フリーランス(個人)」「クラウドソーシング・マッチングサービス経由」の3つがあります。それぞれに費用感と特徴があり、あなたのサイトの規模や予算によって最適な選択が変わります。ここでは、発注者として失敗しないための選び方の軸を示します。

制作会社に依頼する

制作会社は、ディレクター・デザイナー・エンジニアなどがチームで対応してくれるのが強みです。大規模なサイトや、社内に窓口を一本化したい場合に向いています。品質管理体制が整っており、担当者が辞めても組織として対応が続くという安心感があります。

一方でデメリットは費用です。組織を維持するための人件費や経費、そして前述のディレクション費などが上乗せされるため、同じ内容でもフリーランスより高くなる傾向があります。小規模なサイトを制作会社に頼むと、割高になることも少なくありません。会社の規模が大きいほど、この傾向は強まります。

フリーランス(個人)に直接依頼する

WordPressに強いフリーランスのデザイナーやエンジニアに直接依頼する方法です。最大のメリットは費用の安さです。組織の維持費や中間マージンがかからないため、同じ品質のサイトを制作会社より安く作れることが多いんです。小回りが利き、コミュニケーションもダイレクトで、細かい要望にも柔軟に対応してもらいやすいです。

ここで、多くの発注者が見落としているコストの話をします。代理店や仲介会社を通して発注すると、その会社の取り分(中間マージン)が費用に上乗せされます。同じフリーランスが作業しても、仲介を挟むだけで20%〜40%ほど費用が高くなるケースは珍しくありません。つまり、実力のあるフリーランスに直接依頼できれば、その中間マージン分がまるごと不要になり、その分だけ安く発注できるということです。予算を抑えたい発注者にとって、直接依頼は大きなメリットになります。

フリーランスに依頼する場合の注意点は、依頼先の見極めです。個人であるがゆえに、スキルや実績にばらつきがあり、また体調不良などで対応が止まるリスクもあります。契約や納品の条件を最初に文書で明確にしておくことが重要です。ちなみに、2024年に施行されたフリーランス保護新法(正式名称は特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)により、発注者には取引条件を書面などで明示する義務があります。つまり、口約束ではなく、業務内容・報酬額・納期・支払期日を書面で交わすことは、今や法律上も求められている当たり前の手続きなんです。これは発注者・受注者の双方を守る仕組みなので、面倒がらずに条件を明文化しておきましょう。

クラウドソーシング・マッチングサービスを使う

在宅ワークやフリーランスと発注者をつなぐマッチングサービスを利用すると、多数の制作者の中から予算や実績に合った人を探せます。プロフィールや過去の実績、評価を見て選べるため、初めての外注でも比較検討しやすいのが利点です。

サービスによっては仲介手数料がかかるものと、手数料がかからず直接取引できるものがあります。手数料0%で発注者と受注者が直接やり取りできるサービスを選べば、余計な中間コストを払わずに済みます。特に継続的にサイトの更新や改修を依頼したい場合、手数料の有無は長期的なコスト差として効いてきます。

Web制作を含むアプリケーション開発の外注については、アプリケーション開発のお仕事で、どんな依頼が可能か、どんなスキルを持つ人材がいるかを確認できます。また、AIを活用したマーケティングやセキュリティ面の相談はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっています。制作後の集客や業務効率化まで見据えるなら、AIコンサル・業務活用支援のお仕事も参考になります。

選び方の3つの基準

依頼先を選ぶとき、次の3つの基準で見比べてください。1つ目は「実績が自社の業種・目的に合っているか」。似た規模・業種のサイトを作った実績があるかを確認します。2つ目は「見積もりの内訳が明確か」。前述の内訳項目がきちんと分解されて提示されるかどうかで、その依頼先の誠実さが分かります。「一式◯◯万円」としか書かれていない見積もりは要注意です。3つ目は「納品後のサポート体制」。作って終わりではなく、更新やトラブル対応をどうするかを最初に確認しておきます。この3つを押さえれば、大きな失敗はほぼ避けられます。

WordPress制作を外注する際の依頼の流れと手順

初めてWordPress制作を外注する方にとって、「どういう順番で進むのか」が分からないと不安ですよね。ここでは、依頼から公開までの一般的な流れを手順で示します。全体像が見えれば、各段階で何を準備し、何を確認すればいいかが分かります。

手順1:目的と要件を整理する

まず、サイトを作る目的を明確にします。「問い合わせを増やしたい」「採用を強化したい」「商品を売りたい」など、目的によって必要な機能もデザインも変わります。あわせて、必要なページ、参考にしたい他社サイト、予算の上限、公開希望時期を整理しておきましょう。この準備が甘いと、見積もりを取っても比較のしようがなく、後から「あれも欲しい」と追加費用がかさむ原因になります。

手順2:複数の依頼先から相見積もりを取る

必ず2社〜3社以上から見積もりを取ってください。1社だけだと、その金額が高いのか安いのか判断できません。同じ要件を伝えて見積もりを取り、金額と内訳を並べて比較します。このとき、単に総額の安さで選ぶのではなく、内訳の透明性や提案の質もあわせて見ます。相見積もりは、価格交渉の材料にもなります。

手順3:契約と条件の明文化

依頼先が決まったら、契約を交わします。ここで必ず、業務範囲・報酬額・納期・支払条件・修正回数・著作権の扱い・納品後のサポートを書面で明確にします。特に「修正は何回まで無料か」「追加要望はいくらか」を曖昧にすると、後々のトラブルの元になります。

先ほど触れたフリーランス保護新法との関係で、1つ補足します。この法律では、発注者は成果物を受け取った日から60日以内に報酬を支払う義務があります。つまり、「サイトの出来がイメージと違うから」という理由で支払いを引き延ばすことは認められません。逆に言えば、発注者側もこの支払期日を守る責任があります。トラブルを防ぐには、そもそも契約時に「どこまでできたら完成とみなすか(検収条件)」を明確にしておくのが一番です。※込み入った契約トラブルに発展しそうなケースでは、早めに専門家に相談してください。

手順4:デザイン確認・制作・修正

契約後、まずデザイン案が提示されます。ここで自社のイメージと合っているかをしっかり確認します。デザインが確定してから作り込みが始まるため、この段階での確認が甘いと後の修正が大変になります。制作が進む中で、途中経過を確認し、認識のズレを早めに解消していきます。

手順5:検収・公開・運用開始

完成したサイトを確認し、問題がなければ検収(受け入れ確認)します。誤字脱字、リンク切れ、スマホ表示、問い合わせフォームの動作などを1つずつチェックします。問題がなければ公開し、運用がスタートします。公開後は、保守契約に基づいてアップデートや更新を継続していきます。

発注者として費用を抑えるための実践ポイント

WordPress制作の費用は、工夫次第で抑えられます。ただし「とにかく安く」を追い求めると、かえって高くつくこともあります。ここでは、品質を落とさずに賢く費用を抑える実践的なポイントを紹介します。

原稿と写真は自社で用意する

前述の通り、原稿制作費や写真撮影費は総額に大きく響きます。文章を自社で書き、写真も自分たちで用意できれば、その分の費用を削減できます。特に、お店の雰囲気やスタッフの人柄が伝わる写真は、プロが撮ったストック写真より、自分たちで撮ったリアルな写真の方が響くこともあります。ただし、文章の質はサイトの成果を左右するため、要点が伝わらない自己流の文章になりそうなら、プロに任せる判断も必要です。

必要な機能を絞り込む

「あったら便利」な機能をすべて盛り込むと、費用は際限なく膨らみます。最初は本当に必要な機能だけに絞り、サイトを運用しながら「本当に必要だ」と分かった機能を後から追加していく方が、無駄がありません。多機能なサイトほど制作費も保守費も高くなることを忘れないでください。

テーマを活用する

デザインに強いこだわりがなければ、質の高い有料テーマを活用することで、フルオリジナル制作の何分の一かの費用で見栄えの良いサイトが作れます。前述の通り、テーマ活用なら10万円〜30万円、フルオリジナルなら100万円以上。この差は非常に大きいです。まずはテーマ活用で始めて、事業が成長してから作り込むという段階的な進め方も賢い選択です。

中間マージンのない直接依頼を選ぶ

繰り返しになりますが、仲介会社や代理店を通すと、その手数料が費用に上乗せされます。実力のあるフリーランスに直接依頼できる経路を選べば、その中間マージン分を丸ごと節約できます。手数料0%で直接取引できるマッチングサービスを活用すれば、同じ予算でより質の高い制作者に依頼できる可能性が高まります。

補助金・助成金を活用する

事業者向けには、ホームページ制作に使える補助金・助成金制度がある場合があります。国や自治体の支援策を活用できれば、実質的な費用負担を大きく減らせます。制度の内容や条件は年度や地域によって変わるため、最新情報は国や自治体、商工会議所などの公的機関の窓口で確認してください。申請には手間がかかりますが、対象になれば費用対効果は大きいので、検討する価値があります。

費用の失敗事例から学ぶ・発注者が陥りやすい落とし穴

ここで、私が実際に相談を受けた中で見てきた、発注者側の失敗パターンをいくつか共有します。匿名化した実話ベースですが、あなたが同じ轍を踏まないためのヒントになれば幸いです。

安さだけで選んで品質で苦労したケース

ある個人事業主の方は、とにかく安い見積もりを出した業者に依頼しました。金額は相場の半分以下。ところが納品されたサイトは、スマホで見ると表示が崩れ、問い合わせフォームがうまく動かず、しかも修正を依頼しても対応が遅い。結局、別の制作者に作り直しを依頼することになり、トータルでは最初から適正価格で頼むより高くついてしまいました。安さには理由があります。極端に安い見積もりは、必要な工程が省かれている可能性を疑ってください。

見積もりの比較で失敗したケース

私自身も、以前あるプロジェクトで外注を手配したとき、見積もりの比較で失敗した経験があります。3社から見積もりを取ったのですが、各社で「一式」の中身がバラバラで、単純に総額だけを比べてしまったんです。結果、一番安く見えた見積もりは実は保守費用や原稿制作費が含まれておらず、後から追加費用が発生して、結局最初に高いと思って外した会社より割高になりました。これ、本当に多い失敗なんです。見積もりを比較するときは、総額ではなく「同じ条件で何が含まれているか」を項目単位で揃えて比べることが鉄則です。

契約書を交わさずトラブルになったケース

口約束だけで進めてしまい、「ここまでやってくれると思っていた」「いや、それは別料金だ」という認識のズレでトラブルになるケースも後を絶ちません。前述の通り、フリーランス保護新法でも取引条件の明示は義務化されています。つまり、契約書や発注書を交わすことは、面倒な手続きではなく、双方を守るための当たり前の防御策なんです。業務範囲・金額・納期・修正条件を書面にしておけば、多くのトラブルは未然に防げます。

こうしたトラブルの背景には、契約や取引に関する知識不足があることが多いです。フリーランスとの取引に不安がある方は、開業や独立、契約に関する基礎知識をまとめた記事も参考になります。たとえば行政書士の開業ガイド【2026年版】|費用・集客・年収のリアルや、事業形態と契約の関係を扱ったフリーランスの法人成り完全ガイド2026|手続き・費用・最適なタイミング法人化 マイクロ法人設立の完全ガイド!メリット・費用・注意点などは、発注する相手の事業背景を理解する助けになります。

独自データから見るWeb制作の外注動向と適正価格の考え方

最後に、Web制作を外注する際の「適正価格の考え方」を、市場データの観点から整理します。発注者が損をしないためには、相場を知るだけでなく、その相場がどう決まっているかの構造を理解することが有効です。

WordPress制作の費用は、突き詰めると「関わる人の技術力 × 作業時間」で決まります。デザイナーやエンジニアの単価相場を知っておくと、見積もりの妥当性を検証する物差しになります。たとえば、ソフトウェア開発に携わる人材の単価水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場で確認でき、原稿やコンテンツを担うライターの単価は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で把握できます。これらの単価に、想定される作業時間を掛け合わせると、その見積もりが妥当な水準かどうかがおおよそ見えてきます。「なぜこの金額なのか」を人月・工数の観点から逆算できるようになると、発注者としての交渉力が格段に上がります。

また、依頼先の信頼性を測る一つの指標として、保有資格を確認する方法もあります。ネットワークやサーバー周りの知識を示すCCNA(シスコ技術者認定)や、ビジネスマナー・文書作成の基礎を示すビジネス文書検定などは、依頼先が一定の基礎スキルを備えているかを判断する材料になります。資格がすべてではありませんが、実績と併せて見ることで、より安心して依頼できます。

適正価格の考え方として、もう一つ重要なのは「サイトを投資として捉える」視点です。名刺代わりの小さなサイトなら、テーマ活用の10万円〜30万円で十分です。一方、そのサイトが月に何十件もの問い合わせや売上を生む「営業マン」として機能するなら、フルオリジナルの100万円以上の投資も、回収できる見込みがあれば妥当です。つまり、費用の絶対額ではなく「そのサイトがどれだけの成果を生むか」との比較で判断すべきなんです。

そして、コスト構造の観点で最も効果的なのが、中間マージンの削減です。前述の通り、仲介を挟むと20%〜40%の手数料が上乗せされます。実力のある制作者に手数料0%で直接依頼できれば、同じ予算でより高い品質を得られるか、同じ品質をより安く得られます。市場全体で見ても、発注者と受注者が直接つながる直接取引の流れは年々広がっています。相場を理解し、内訳を分解し、直接取引の経路を選ぶ。この3点を押さえれば、あなたはWordPress制作の外注で損をすることなく、納得のいくサイトを手に入れられるはずです。法律も、正しい知識も、あなたの味方です。

なお、関連テーマを扱った飲食店のPR動画の制作費用|お店の魅力を伝える動画の相場と依頼のコツ 2026もあわせて参考にしてください。

よくある質問

Q. WordPress制作を外注する費用の相場はいくらですか?

作り方によって幅があり、既存テーマを活用した小規模サイトなら10万円〜30万円、テーマをカスタマイズした半オリジナルなら30万円〜100万円、デザインから作るフルオリジナルなら100万円〜300万円以上が相場です。名刺代わりの小さなサイトか、集客の主力かで適正価格が変わります。

Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すると安いですか?

一般的にフリーランスへの直接依頼の方が安くなります。制作会社は組織維持費やディレクション費が上乗せされるためです。特に仲介会社を通すと20%〜40%ほど手数料が乗るため、実力のあるフリーランスに直接依頼できれば、その中間マージン分を節約できます。

Q. 制作費以外に毎月かかる費用はありますか?

はい。サーバー費用が月額1,000円〜2,000円程度、ドメイン費用が年間1,000円前後、そしてWordPress本体やプラグインの更新・セキュリティ対策を行う保守費用が月額5,000円〜3万円程度かかります。サイトは公開後も維持費が発生するため、制作費と合わせて予算を組んでください。

Q. 見積もりで失敗しないためのコツは何ですか?

必ず2社〜3社から相見積もりを取り、総額ではなく内訳の項目を揃えて比較することです。「一式◯◯万円」とだけ書かれた見積もりは要注意で、保守費や原稿制作費が含まれているかを確認します。あわせて修正回数や納品後のサポート範囲も契約時に書面で明確にしておくと安心です。

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監修:@SOHO編集部

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公開:2026年4月19日最終更新:2026年7月9日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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