ウエルシア勤務で副業を始める前に就業規則で見るべき箇所


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この記事のポイント
- ✓ウエルシア 副業の可否を調べている方向けに
- ✓正社員とパートで異なる論点
- ✓シフト勤務と両立しやすい在宅ワークの選び方までを2026年時点の制度を踏まえて整理します
「ウエルシア 副業」と検索してこのページにたどり着いた方の多くは、ドラッグストアの店舗で働きながら収入をもう一段増やしたい、あるいはシフトの隙間時間を活かしたいと考えているはずです。結論から書きます。副業ができるかどうかは、ネット上の口コミではなく、あなたが実際に交わした雇用契約書と、勤務先が定める就業規則の副業条項でしか判断できません。しかも正社員か、パート・アルバイトかで論点はまったく変わります。
この記事では、特定企業の社内規定を推測で断定することはしません。代わりに、小売業・ドラッグストア業界で働きながら副業する場合に必ず確認すべき論点を、確認手順のレベルまで落として整理します。就業規則のどこを見るのか、誰にどう聞くのか、週40時間の壁とは何なのか、社会保険はどうなるのか、確定申告はいくらから必要なのか。そして、シフト勤務と両立しやすい副業の型はどれなのか。ここまで押さえれば、口コミサイトを何十件も読み漁る必要はなくなります。
副業の可否は「会社の口コミ」では決まらない。決めるのは就業規則と雇用契約書
まず前提を揃えます。日本の法律には「副業を禁止する法律」も「副業を必ず認めよという法律」も存在しません。労働時間外に何をするかは本来、労働者の自由です。憲法が保障する職業選択の自由の範囲に入るため、裁判例でも「副業を一律全面禁止する就業規則は合理性を欠く」という判断が積み重なっています。
一方で、企業が就業規則で一定の制限をかけること自体は認められています。制限が有効とされる典型は次の4つです。
- 本業の労務提供に支障が出る場合(睡眠不足で遅刻・欠勤が増える等)
- 競業に該当し、勤務先の利益を害する場合(同業他社での勤務)
- 会社の信用や名誉を毀損する場合
- 企業秘密が漏洩するおそれがある場合
つまり「副業禁止」と書いてあっても、実務上は上の4条件に触れない範囲であれば、届出制や許可制で運用しているケースが多数派です。逆に「副業OK」と書かれていても、シフトに穴を開けたり、同じ商圏のドラッグストアで働いたりすれば、当然ながら問題になります。
ここが重要なのですが、就業規則の副業条項は改定されます。厚生労働省が示している「副業・兼業の促進に関するガイドライン」は、2018年のモデル就業規則改定で「原則副業を認める」方向に舵を切って以降、複数回の改定を経ています。数年前の口コミを読んで判断するのは、正直なところこれはどうかと思います。改定された後の規定が今のあなたに適用されるからです。
この質問に該当する情報として、社員・元社員から以下のような投稿が寄せられています。ウエルシア薬局では企業のルールとして副業が許可されていますが、実際にやりにくい雰囲気があるという状況が見られます。 出典: jobtalk.jp
一方で、雇用形態によって扱いが違うという投稿も見られます。
正社員の場合は副業禁止です。パートの場合でも、他社と合わせて週40時間以上を超える場合や、同業他社との副業は禁止です。 出典: jobcatalog.yahoo.co.jp
この2つの投稿、内容が食い違っています。片方は「制度としては許可されている」、もう片方は「正社員は禁止」。どちらが正しいのかを外部から断定することはできません。投稿の時期が違う、投稿者の所属エリアや職種が違う、規定改定の前後で状況が変わった、といった可能性がすべてあり得るからです。
だからこそ、口コミの精査に時間を使うより、自分の手元にある一次資料を見るほうが100倍速く、確実です。次の章で、その具体的な手順を示します。
口コミサイトの情報を扱うときの3つの注意点
口コミが無価値だと言いたいわけではありません。使い方に注意すればいい、という話です。
1つ目、投稿日を必ず確認すること。就業規則は改定されます。3年前の投稿は「3年前の運用」であって、今の運用ではありません。特に2020年前後から2026年にかけては、多くの企業が副業解禁の方向で規定を見直した時期にあたるため、この期間をまたぐ情報の鮮度差は大きくなります。
2つ目、投稿者の雇用形態と職種を確認すること。同じ会社でも、正社員・契約社員・パート・アルバイトで適用される条項が異なるのは珍しくありません。さらに薬剤師や登録販売者のような資格職と、一般の店舗スタッフでは、競業避止の考え方も変わってきます。薬剤師が他の薬局で勤務するのは明確に同業ですが、店舗スタッフが在宅でデータ入力をするのは同業ではありません。
3つ目、「制度」と「空気」を分けて読むこと。上の引用にもあるとおり、制度としては認められていても実際には申請しづらい雰囲気がある、というのは日本企業でよくある構図です。ただし「空気」は店舗や上長によって差が出るローカルな要素であり、全社の制度ではありません。制度を確認したうえで、自分の職場の空気は自分で観察する。この2段構えが現実的です。
就業規則の副業条項を確認する具体的な手順
ここからは実務です。次の順番で進めれば、遅くとも1週間以内には答えが出ます。
手順1:雇用契約書と労働条件通知書を読み返す
入社時に受け取った書類を出してきてください。「兼業」「副業」「二重就職」「他社への就労」といった見出し、あるいは「服務規律」の項目に副業に関する記載があるはずです。契約書に直接書かれていない場合でも、「就業規則の定めによる」という一文が入っているのが一般的で、その場合は就業規則本体を見に行くことになります。
紛失した、そもそも受け取っていないという場合でも問題ありません。労働基準法により、労働条件の明示は使用者の義務です。再発行を依頼するのは正当な要求ですし、「契約内容を確認したい」という理由で不利益に扱われることはありません。
手順2:就業規則の閲覧を申し出る
労働基準法第106条により、使用者は就業規則を労働者に周知する義務があります。周知の方法は、事業場の見やすい場所への掲示、書面の交付、社内イントラネットでの閲覧など複数の方法が認められています。つまり、あなたには就業規則を見る権利があります。
小売チェーンの場合、バックヤードのファイルに紙で綴じられているケースと、社内システムからPDFで見られるケースの両方があります。まず店長やマネージャーに「就業規則を確認したいのですが、どこで見られますか」と聞くのが最短です。この質問自体は副業の意思表示ではないので、身構える必要はありません。
法令の条文そのものを確認したい場合は、e-Govの法令検索から労働基準法を参照できます(e-Gov)。
手順3:該当条項を「禁止型」「許可制」「届出制」に分類する
見つけた条項がどのタイプかを判定します。この分類が、次に取るべき行動を決めます。
| 条項のタイプ | 典型的な文言 | 取るべき行動 |
|---|---|---|
| 全面禁止型 | 「会社の許可なく他に雇用されてはならない」 | 許可申請の可否と条件を人事に確認 |
| 許可制 | 「事前に会社の承認を得た場合はこの限りでない」 | 所定の申請書を入手して提出 |
| 届出制 | 「あらかじめ会社に届け出るものとする」 | 届出書を提出、承認待ちは不要 |
| 条件付き容認 | 「本業に支障のない範囲で」等 | 条件を満たすことを説明できる形で届出 |
| 記載なし | 副業に関する条項が存在しない | 人事に運用方針を確認(口頭で禁止されている場合あり) |
現行の厚生労働省モデル就業規則は、副業・兼業を原則として認めたうえで、労務提供上の支障・企業秘密の漏洩・信用毀損・競業による利益侵害のいずれかに該当する場合に禁止または制限できる、という構成になっています(厚生労働省)。多くの企業がこのモデルをベースに自社規定を作っているため、条項の構造自体は似通っていることが多いです。
手順4:確認できない部分は人事に直接聞く
店舗の上長が全社の規定を正確に把握しているとは限りません。「副業の規定について確認したいので、人事の窓口を教えてください」と聞き、本社の人事部門に直接問い合わせるのが確実です。
聞き方のテンプレートを置いておきます。感情や動機を語る必要はなく、事実確認に徹するのがコツです。
お世話になっております。○○店の△△です。
就業規則の兼業・副業に関する規定について確認させてください。
1. 現行の規定では、副業は許可制・届出制のいずれでしょうか
2. 申請が必要な場合、所定の様式はありますか
3. 業種・職種による制限(同業他社等)の範囲はどこまででしょうか
4. 業務委託(雇用契約ではない形態)の場合も申請対象になりますか
よろしくお願いいたします。
4番目の質問が地味に効きます。多くの就業規則は「他に雇用されること」を前提に書かれており、業務委託や個人事業としての受注を想定していない場合があるからです。在宅でライティングやデータ入力を受注する形態は雇用ではなく業務委託になるため、そもそも条項の射程外という結論になることもあります。ここは自己判断せず、会社の解釈を確認しておくのが安全です。
正社員とパート・アルバイトで論点がどう変わるか
同じ職場でも、雇用形態によって考えるべきことが変わります。ここを混同すると、他人の口コミを自分に当てはめて誤った結論に至ります。
正社員の場合に重くなる論点
正社員は労働時間が固定的で、かつ会社への帰属性が強いぶん、就業規則の制限を受けやすい立場にあります。特に次の3点が重くなります。
まず、競業避止です。ドラッグストアの正社員が他のドラッグストアや調剤薬局で働くのは、明確に同業への就労にあたります。商品構成、仕入れ、販促手法、客層といった情報を知る立場である以上、企業側が制限をかけるのは合理性があると判断されやすい領域です。これは在職中だけでなく、退職後の一定期間にも及ぶ条項が設けられているケースがあります。
次に、役職者かどうか。店長や副店長のようなマネジメント職は、シフト作成や売上責任を負う立場であり、労務提供上の支障が生じやすいと見なされます。一般スタッフより制限が厳しくなる、あるいは許可のハードルが上がる傾向があります。
そして、資格職の扱い。薬剤師や登録販売者は資格に紐づく責任があるため、勤務先の管理体制や労働時間の把握が厳格になります。医薬品販売の適正管理という観点からも、他店舗での勤務は慎重に扱われます。
パート・アルバイトの場合に重くなる論点
パート・アルバイトは、そもそも1社にフルタイムを拘束されていないため、複数の勤務先を持つこと自体が想定内です。実際、小売・飲食業界ではダブルワークは一般的で、募集要項に「Wワーク可」と明記している求人も珍しくありません。
ただし、雇用形態がパートであっても2つの壁があります。
1つ目が労働時間の通算です。労働基準法第38条第1項には「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とあります。この「事業場を異にする場合」には、事業主が異なる場合も含まれるというのが行政解釈です。つまりA社で週30時間、B社で週15時間働けば、通算45時間となり、法定労働時間の週40時間を5時間超過します。この超過分には割増賃金の支払い義務が発生し、原則として後から契約を結んだ側の会社が負担します。
企業が「他社と合わせて週40時間を超える副業は不可」とするのは、この通算ルールが理由です。嫌がらせではなく、法的な義務が発生するのを避けるための実務判断です。
2つ目が同業他社の制限。パートであっても、同じ商圏の競合店で働けば競業の問題は生じます。ここは正社員と同じ判断軸です。
労働時間の通算が「かからない」働き方がある
ここが実務上いちばん重要なポイントです。労働時間の通算ルールは、雇用契約に基づく労働時間にしか適用されません。業務委託契約や個人事業としての受注、つまり「雇われていない働き方」は通算の対象外です。
つまり、シフト勤務と両立させたいなら、もう1つアルバイトを増やすより、雇用ではない形の仕事を選ぶほうが制度的な摩擦が少ないということになります。在宅のライティング、データ入力、オンラインアシスタント、デザイン、動画編集などはすべて業務委託が基本形です。
ただし繰り返しになりますが、就業規則が「雇用」だけでなく「事業を営むこと」まで制限している場合もあります。手順4のテンプレートで確認してください。
週40時間の壁と社会保険の実務を数字で理解する
制度の話を、実際の数字に落とします。ここを曖昧にしたまま副業を始めると、後から「思ったより手取りが増えない」という事態になります。
割増賃金がどこで発生するのか
法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間です。これを超える労働には25%以上の割増賃金が必要になります(月60時間超の時間外労働は50%以上)。
副業が雇用契約の場合、この時間は通算されます。実例で見ます。
| 本業(先契約) | 副業(後契約) | 通算時間 | 割増の扱い |
|---|---|---|---|
| 週20時間 | 週15時間 | 週35時間 | 割増なし |
| 週30時間 | 週10時間 | 週40時間 | 割増なし(上限ちょうど) |
| 週30時間 | 週15時間 | 週45時間 | 超過5時間分を副業先が割増負担 |
| 週40時間 | 週8時間 | 週48時間 | 副業分8時間すべてが割増対象 |
後から契約した側が割増を負担するのが原則であるため、フルタイムで働いている人を雇う側は、最初から割増賃金を織り込む必要があります。これが「フルタイム勤務者のダブルワーク採用に消極的な会社が多い」理由です。制度を知らないと「なぜか落ちる」という体験だけが残ります。
業務委託の場合、この計算はまるごと不要になります。労働時間ではなく成果物や業務内容に対して報酬が支払われるため、時間の通算という概念自体が存在しません。
社会保険はどう扱われるか
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入要件は、2026年時点では次のように整理されています。
- 週の所定労働時間が正社員の4分の3以上なら加入対象
- 上記に満たない場合でも、一定規模以上の企業で、週20時間以上・月額賃金88,000円以上・雇用見込み2か月超・学生でない、という条件をすべて満たせば加入対象
複数の勤務先でそれぞれ加入要件を満たした場合は、「二以上事業所勤務届」を日本年金機構に提出し、報酬を合算したうえで保険料を按分して各社が負担します。手続きが増えるため、企業側が敬遠する要因にもなります(日本年金機構)。
こちらも業務委託であれば、社会保険の加入義務は発生しません。本業の社会保険に入ったまま、副業分は事業所得として扱われます。
確定申告はいくらから必要か
給与を1か所から受けている人が副業を行う場合、給与所得と退職所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。ここでいう所得は「売上」ではなく「売上から必要経費を引いた金額」です。売上30万円で経費12万円なら所得は18万円となり、申告不要のラインに収まります。
ただし2つの落とし穴があります。
1つ目、副業が「給与」の場合はこの20万円ルールの計算が変わります。2か所以上から給与を受けている人は、原則として確定申告が必要になるケースが多くなります。
2つ目、所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要です。所得税と住民税は別の制度であり、20万円以下だから何もしなくていい、というわけではありません。ここを見落とすと、後から自治体から問い合わせが来ます。
なお、住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に切り替えることで、副業分の住民税が本業の給与から天引きされる形を避けられる場合があります。ただし副業が給与所得の場合は普通徴収を選べない自治体もあるため、事前に居住地の市区町村に確認してください。制度の詳細は国税庁の情報が一次情報になります(国税庁)。
帳簿づけは早めに習慣化しておくと後が楽です。会計ソフトを使えば、売上と経費を入力するだけで確定申告書の形まで作れます(freee、マネーフォワード)。この工程を具体的にどう回すかは、副業 確定申告 売上管理 スプレッドシート!2026年最新の時短術で、スプレッドシートを使った売上管理の手順とあわせて解説しています。
シフト勤務と両立しやすい副業の型を見極める
ドラッグストアの店舗勤務は、早番・遅番のシフト制で、土日祝も稼働します。この勤務形態と相性のいい副業には、はっきりした共通点があります。
相性を決める4つの軸
軸1:時間の固定が不要か
決まった時刻に決まった場所にいる必要がある仕事は、シフト勤務と衝突します。オンライン家庭教師やコールセンター業務は時間帯が固定されるため、シフトが月ごとに変わる働き方とは組み合わせにくくなります。逆に、締切だけが決まっていて作業時間帯は自由な仕事は衝突しません。
軸2:作業を分割できるか
3時間まとまった時間が取れないと進まない仕事より、30分単位で刻める仕事のほうが続きます。ライティングであれば「構成を作る」「1見出し書く」「推敲する」と分割できます。データ入力や文字起こしも分割しやすい代表格です。
軸3:立ち仕事の疲労と競合しないか
これは見落とされがちですが重要です。店舗勤務は1日中立ちっぱなしで、レジ・品出し・接客と体力を使います。その後にさらに肉体労働系の副業を入れると、体力の回復が追いつかず、本業の欠勤リスクが上がります。就業規則の「本業に支障をきたさない範囲」という条件に抵触する典型パターンがこれです。座ってできる作業を選ぶほうが持続します。
軸4:スキルが蓄積するか
同じ時給でも、1年後に何が残るかで価値が変わります。単純作業は始めやすい代わりに単価が上がりにくい。一方、ライティング・デザイン・動画編集・データ分析などは、実績が積み上がるほど単価交渉の材料が増えます。
型ごとの特徴を整理する
| 副業の型 | 時間の自由度 | 単価の伸びしろ | 立ち上がりの速さ | シフト勤務との相性 |
|---|---|---|---|---|
| データ入力・文字起こし | 高い | 低い | 速い | 良い |
| Webライティング | 高い | 中〜高 | 中 | 良い |
| オンラインアシスタント | 中 | 中 | 中 | やや悪い(稼働時間帯の指定あり) |
| 画像・バナー制作 | 高い | 中〜高 | 遅い | 良い |
| 動画編集 | 高い | 高い | 遅い | 良い |
| ハンドメイド販売 | 高い | 中 | 中 | 良い |
| 他店舗でのアルバイト | 低い | 低い | 速い | 悪い(時間通算・競業リスク) |
| 相談・カウンセリング系 | 中 | 高い | 遅い | 中 |
表の最下段にある相談・カウンセリング系は、接客経験が長い人にとって意外に相性がいい領域です。ドラッグストアの店頭は、体調の相談から日用品選びまで、日常的に人の困りごとを聞いて解決策を提示する現場です。この「聞いて整理して提案する」というスキルは、そのままオンライン相談の基礎体力になります。どんな案件があるのかはキャリア・副業・人生相談のお仕事で職種の全体像を確認でき、実際に始めるときの流れはキャリア・副業・人生相談のオンラインカウンセラー入門にまとまっています。
より広く在宅系の選択肢を眺めたい場合は、副業 おすすめ!37歳教育系講師が教える在宅で稼ぐ秘訣と成功への道が、在宅ワークの種類ごとの向き不向きを整理していて参考になります。
私が最初にやらかした失敗
一度、平日の締切が重なる案件を3件同時に受けたことがあります。どれも単体では数時間で終わる分量でした。ところが実際には、クライアントごとにレギュレーションが違い、修正依頼のタイミングも読めず、想定の倍の時間がかかりました。結果として睡眠時間を削ることになり、本業の集中力が落ちました。
このとき学んだのは、副業の負荷は「作業時間」ではなく「並行して抱えている案件数」で決まるということです。案件が1件なら、自分のペースで進められます。3件になると、他人の返信待ちや修正対応が交錯して、スケジュールの主導権を失います。シフト勤務と両立するなら、最初は同時進行1件、慣れても2件までに抑えるのが現実的です。
もう1つ、締切を伝えるときに「シフトの都合で」と説明するのを最初はためらっていました。ですが実際にやってみると、事前に稼働可能日を伝えたほうが、クライアントは調整してくれます。隠して遅れるほうが信用を失います。ここは早めに伝えるほうが確実に得です。
資格を活かした副業という選択肢
ドラッグストアで働く人の中には、登録販売者の資格を持っている方も多いはずです。資格を副業に活かす方向は2つに分かれます。
資格を直接使う方向とその制約
登録販売者や薬剤師の資格を直接使う副業、つまり他の店舗や薬局での勤務は、単価は高い一方で制約が最も厳しくなります。同業にあたるため就業規則の競業条項に触れやすく、かつ雇用契約になるため労働時間の通算も発生します。制度的なハードルが二重にかかる形です。
やるなら、必ず事前に会社の許可を取ってください。無断で行った場合、競業避止義務違反として懲戒の対象になり得ます。これは在職中の副業リスクとしては最も重い部類です。
資格の周辺知識を非同業で使う方向
もう1つが、資格そのものではなく、資格取得の過程で得た知識や、現場で培った説明力を使う方向です。医薬品や健康関連の知識を活かした記事執筆、商品説明文の作成、接客経験を活かしたマニュアル作成などがこれにあたります。これらは業務委託であり、同業他社での勤務にはあたりません。
ただし注意点があります。医薬品や健康食品に関する記述は、医薬品医療機器等法(薬機法)の広告規制の対象になります。効能効果を断定的に書く、承認されていない効果をうたう、といった表現はNGです。ライティング案件を受ける際は、クライアント側にレギュレーションがあるかを必ず確認してください。規制の枠組み自体は厚生労働省が所管しています。
新たに資格を取って選択肢を広げる方向
もし現在の職場で副業の制約が厳しく、かつ将来的に働き方を変えたいと考えているなら、非同業の資格を取るのは合理的な投資です。
たとえば行政書士は、書類作成や許認可申請の代行を独立して行える国家資格で、店舗勤務とは完全に別領域です。資格取得までの学習量は大きいものの、取得後は独立開業の道が開けます。
もう少し軽い投資で始めたいなら、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのような制作系の資格も選択肢になります。バナーやSNS投稿画像の制作は在宅で完結し、シフト勤務との相性も良好です。
現場を20年見てきた立場からの観察
フリーランス・在宅ワーク市場を20年運営してきた立場から見て、店舗勤務と副業の両立で成功する人には、はっきりした共通点があります。それは「時間の空きを埋めようとしない」ことです。
シフトが不定期な人ほど、「今週は火曜と木曜が空いているから、その日に何か入れよう」という発想になりがちです。ところがこの発想で始めると、シフトが変わった月に破綻します。空き時間ベースで受注していると、空きが減った瞬間に納品できなくなるからです。
長く続いている人は逆で、「毎週必ず確保できる最小の時間」を先に決めています。週5時間しか取れないなら、週5時間で回る案件だけを受ける。空きが多い週はストックを作る。この設計にしておくと、シフトの変動が納品リスクにならず、クライアントからの信頼が積み上がります。
もう1つ、運営者として見てきた限りでは、収入が安定していく人は「単発の作業」より「この人に任せると楽」という関係づくりに時間を使っています。同じ作業でも、毎回新しいクライアントを探して条件交渉から始めるのと、継続案件として同じ相手から受け続けるのとでは、実質的な時間単価がまったく違います。前者は営業時間が丸ごと無報酬ですが、後者はその分がそのまま報酬に変わります。
そして、ここが手取りの話につながります。仲介手数料が乗る取引では、依頼者が支払った金額の一部が中間に抜かれます。20%の手数料がかかる場合、依頼者が5万円払っても、受け手に届くのは4万円です。逆に言えば、中間マージンが乗らない直接取引なら、依頼者は同じ予算でより多くを頼め、受け手は同じ仕事で手取りが厚くなります。手数料0%の構造が効いてくるのは、金額の大小そのものではなく、この「双方が得をする」という質の部分です。
シフト勤務で使える時間が限られている人ほど、この差は効きます。使える時間が週5時間しかないなら、その5時間から何%が手元に残るかは、月あたりの手取りを大きく左右するからです。時間を増やせないなら、単価と手取り率を上げるしかありません。
市場データから見る在宅副業の現在地
主観だけで語らないよう、客観的な相場も置いておきます。
在宅で受注できる仕事の単価は、職種によって大きく開きがあります。文字単価で見ると、Webライティングの初心者向け案件はおおむね0.5円から1.5円程度、専門知識や取材が必要な案件では3円から10円以上になることもあります。データ入力は時給換算で900円から1,300円程度がボリュームゾーンで、時給としては店舗勤務と大きく変わりません。
つまり、単純作業系の在宅ワークを「稼ぐため」に選ぶ合理性は、実はそれほど高くありません。在宅ワークの本質的なメリットは、時給の高さではなく、時間と場所の制約が外れることにあります。通勤ゼロ、シフト調整不要、体調に合わせて調整可能。この3点が効く人にとっては価値がありますが、単純に時給を上げたいだけなら別の選択のほうが早い場合もあります。
一方で、スキル系の職種は伸びしろが違います。職種別の相場感は年収データベースで確認できます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場では文章を扱う職種の水準を、ソフトウェア作成者の年収・単価相場では開発系の水準を、それぞれ実データで見ることができます。同じ在宅ワークでも、どの領域に時間を投資するかで数年後の到達点が変わることが数字で確認できます。
需要側の動向も押さえておきましょう。企業が外部に発注する業務は、単純作業からより専門性の高い領域へシフトしています。特にAI関連ツールを使いこなせる人材、SNS運用やマーケティング領域の実務ができる人材への需要は伸びています。この領域の全体像はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で、どんな職種があるのかを俯瞰できます。
音や制作系のニッチ領域も、競合が少ないぶん単価が保たれやすい傾向があります。作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事のような専門領域は、参入者が限られるため、スキルさえあれば安定して受注できる構造になっています。
副業を始める前にやっておくべき準備の順番
ここまでの内容を、実行順に並べ直します。
準備1:規定の確認を最優先で終わらせる
繰り返しになりますが、これが最初です。案件を探すのは規定を確認した後で構いません。順番を逆にすると、受注してから「実は禁止だった」という最悪の展開になり、クライアントにも迷惑をかけます。
準備2:使える時間を実測する
「なんとなく週10時間くらいは取れそう」という感覚は、たいてい外れます。1〜2週間、実際の生活を記録してください。シフト、通勤、家事、睡眠を引いて、実際に集中して作業できる時間がどれだけあるかを数字で出します。
多くの人が、この実測で「思ったより少ない」という結果になります。それでいいのです。少ない前提で設計したほうが、破綻しません。
準備3:本業に支障が出ない上限を先に決める
就業規則の「本業に支障をきたさない範囲」という条件は、抽象的なようで実は具体的に測れます。遅刻・欠勤が増えていないか、業務中のミスが増えていないか、この2点です。
先に「睡眠時間は6時間を切らない」「シフト前日は作業しない」といったルールを自分で決めておくと、案件を受けるかどうかの判断が機械的にできます。ルールがないと、目の前の報酬に引きずられて無理をします。
準備4:作業環境と経費の記録を整える
在宅で作業するなら、PCとネット環境は必須です。加えて、通信費・ソフト代・書籍代など、業務に必要な支出は経費として計上できます。開始時点からレシートと明細を残す習慣をつけておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。
準備5:小さく試して撤退基準を持つ
最初の案件は、報酬より「自分がその作業を続けられるか」を確認する目的で受けるのが正解です。3件ほどこなしてみて、苦痛でないか、シフトと衝突しないか、時間の見積もりが合っているかを検証します。合わなければ職種を変えればいいだけです。
撤退基準をあらかじめ持っておくのも大事です。「本業で遅刻が発生したら一旦止める」「睡眠が5時間を下回る日が週2回を超えたら止める」といった線を引いておけば、判断に迷いません。
独自データから見た「両立できる副業」の条件
在宅ワークの求人データを職種横断で見ていくと、シフト勤務者と相性のいい案件には、募集要項の書かれ方に共通のシグナルがあります。
1つ目のシグナルは「納期が週単位以上」であること。「即日」「本日中」といった案件は、シフト勤務者には構造的に不利です。逆に「今週中」「月末まで」という書かれ方の案件は、シフトの合間に処理できます。
2つ目は「稼働時間帯の指定がない」こと。オンラインアシスタントやカスタマーサポート系の案件には「平日10時〜17時の間で稼働できる方」という条件が付くことがあります。この条件は、日中シフトが入る店舗勤務者にはほぼ通りません。募集要項の稼働時間欄を最初に見る癖をつけると、無駄な応募が減ります。
3つ目は「継続前提」と書かれていること。単発案件は毎回応募と選考が必要で、その時間が無報酬になります。継続案件を1本持てば、探す時間がまるごと作業時間に変わります。募集要項に「長期でお願いできる方」「継続案件です」とある案件は、応募の優先度を上げる価値があります。
4つ目、これが見落とされがちですが「発注者と直接やり取りできる」こと。仲介が何段も挟まる案件は、確認事項が発生するたびに待ち時間が生まれます。シフトの合間に作業する人にとって、待ち時間は致命的です。「作業できる時間に返信が来ていない」だけで、その週の進行が止まります。直接やり取りできる案件は、この待ち時間が短く、結果として少ない時間でも回せます。
そして手取りの話に戻ります。仲介手数料が引かれる構造では、使える時間が少ない人ほど不利になります。週5時間しか作業できない人が20%引かれるのと、週30時間作業できる人が20%引かれるのとでは、生活に対するインパクトが違うからです。時間を増やせない立場にいるなら、手取り率を上げるという方向でしか改善できません。手数料0%で直接取引ができる仕組みは、まさにこの制約下にいる人にとって効いてきます。
最後に、就業規則の確認を後回しにしないことをもう一度書いておきます。副業をめぐるトラブルの大半は、規定を知らなかったことではなく、知らないまま始めてしまったことに起因します。確認は1週間で終わります。そこから先の選択肢は、確認を終えた人にだけ開かれます。
よくある質問
Q. 就業規則に「副業禁止」と書かれていたら、絶対に副業はできませんか?
就業規則の副業禁止条項は、本業への支障、競業、信用毀損、秘密漏洩のいずれかに該当する場合に有効とされるのが実務上の考え方です。多くの企業は許可制や届出制で運用しているため、まず人事に申請手続きの有無と条件を確認してください。無断で始めると懲戒の対象になり得るため、確認を飛ばすのは避けるべきです。
Q. パートで働きながら別のアルバイトをする場合、週何時間まで働けますか?
労働基準法により、複数の雇用先の労働時間は通算されます。合計が週40時間を超えると超過分に割増賃金が発生し、原則として後から契約した会社が負担します。このため「他社と合わせて週40時間まで」と制限する企業が多くあります。業務委託や個人事業の形なら通算対象外ですが、就業規則が事業まで制限していないか確認してください。
Q. 副業の収入がいくらになったら確定申告が必要ですか?
給与を1か所から受けている人の場合、給与所得と退職所得以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。所得は売上から必要経費を引いた額なので、売上30万円で経費12万円なら所得18万円となり不要です。ただし所得税が不要でも住民税の申告は別途必要になるため、居住地の市区町村に確認してください。
Q. シフト勤務と両立しやすい副業の選び方を教えてください?
納期が週単位以上、稼働時間帯の指定がない、継続前提、発注者と直接やり取りできる、という4条件を満たす案件を選ぶと衝突が少なくなります。加えて、店舗勤務は立ち仕事で体力を使うため、座って作業できる職種が現実的です。最初は同時進行1件に抑え、慣れてから2件までに留めると破綻しにくくなります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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