小規模事業者持続化補助金でのWeb制作|対象になる費用と申請の流れ・相場 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
小規模事業者持続化補助金でのWeb制作|対象になる費用と申請の流れ・相場 2026

この記事のポイント

  • 小規模事業者持続化補助金でホームページ制作費用は補助対象になります
  • 対象になる費用の範囲・上限50万円のルール・制作の相場・申請の流れ・外注先の選び方を
  • 発注する側の目線で実務レベルまで解説します

先日、あるカフェを営む個人事業主の方から相談を受けました。「ホームページを新しく作りたいけれど、制作会社の見積もりが50万円を超えていて手が出ない。補助金が使えると聞いたけど、本当に使えるのか」と。結論から言うと、ホームページ制作費用は小規模事業者持続化補助金の補助対象になります。ただし、対象になる条件や上限額には細かいルールがあって、これ、知らない人が本当に多いんです。

この記事では、「小規模事業者持続化補助金 ホームページ制作 費用」と検索したあなたが、いくらの費用が補助されるのか、どういう制作なら対象になるのか、そしてホームページ制作を誰にいくらで外注すればいいのかまで、発注する側の視点で判断できるように整理していきます。補助金の制度理解だけでなく、実際の制作費の相場や外注先の選び方まで踏み込むので、「補助金を使ってお得にサイトを作る」という最終ゴールにまっすぐ進めるはずです。法律や制度の話も出てきますが、必ず「つまり」で噛み砕いていくので安心してください。

小規模事業者持続化補助金でホームページ制作費用は補助対象になる

まず一番知りたい結論からお伝えします。小規模事業者持続化補助金では、ホームページやECサイトの制作費用が「ウェブサイト関連費」という経費区分で補助対象になります。単なる名刺代わりのサイトではなく、販路開拓、つまり新しいお客さんを獲得したり売上を伸ばしたりする目的があれば、その制作費用の一部が国から補助されるということです。

制度を運営する主体について、まず基本を押さえておきましょう。次のように説明されています。

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者や個人事業主が販路開拓や業務効率化を進める際に、その経費の一部を支援する補助金です。様々な取組みに活用できますが、会社設立直後や新商品新サービスの導入初期に特に多いご質問がホームページ制作に使えるのというご質問です。結論から言うとホームページの作成費用も補助対象となります。適切に活用することで自社の商品サービスの販路拡大に繋げることが可能です。

つまり、ホームページを作ること自体が目的ではなく、「そのサイトを使ってどう売上を伸ばすか」という販路開拓の一環として位置づけられていれば補助対象になる、ということです。ここが最初の重要ポイントです。「かっこいいサイトが欲しいから」という理由だけでは通りにくく、「新規顧客からの問い合わせを増やすため」「オンライン予約を受け付けて来店率を上げるため」といった、売上につながる明確な目的が必要になります。

補助金という言葉に身構える方も多いのですが、仕組み自体はシンプルです。あなたが立て替えて費用を払い、事業をきちんと実施したことを報告すれば、後から国が費用の一部を返してくれる。この「後から返ってくる」構造を理解しておくと、申請から入金までの資金繰りのイメージがつかみやすくなります。詳しくは後半の「申請の流れ」で解説します。

そもそも小規模事業者持続化補助金とは何か

小規模事業者持続化補助金は、中小企業庁が所管し、日本商工会議所・全国商工会連合会が運営する補助金制度です。名前の通り、小規模事業者が持続的に経営していけるように、販路開拓や業務効率化の取り組みを金銭的に支援するのが目的です。

「小規模事業者」の定義は業種によって決まっています。商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)なら常時使用する従業員が5人以下、宿泊業・娯楽業や製造業・建設業など、その他の業種なら20人以下が対象です。個人事業主やひとり社長の会社も当然含まれます。つまり、街の飲食店、美容室、小売店、士業事務所、ネットショップの運営者など、あなたが「うちは小さい事業者だ」と感じているならほぼ該当すると考えて大丈夫です。

この補助金の特徴は、対象になる経費の幅が非常に広いことです。チラシやパンフレットの作成、展示会への出展、店舗の改装、新しい機械の導入、そしてホームページの制作。どれも「販路開拓」という共通の目的でくくられています。ホームページ制作はその中でも人気の高い使い道の一つで、多くの事業者が活用しています。

なぜホームページ制作が「販路開拓」として認められるのか

ホームページは、24時間営業してくれる無給の営業スタッフのようなものです。夜中でも休日でも、あなたのサービスを知りたい人が検索して情報を得て、問い合わせや予約や購入につなげてくれます。これはまさに新しい販路を開拓する取り組みそのものです。

たとえば、これまで口コミと近所の常連客だけで経営してきた飲食店が、初めてホームページを作ってオンライン予約を受け付けるようになれば、遠方からの新規客を取り込める可能性が広がります。手作業で受けていた予約の電話対応が減れば、その分の時間を接客や仕込みに回せます。こうした「今までリーチできなかった顧客層に届く」効果が、販路開拓として評価されるわけです。

一方で、注意が必要なのは、既存顧客への情報提供だけが目的のサイトは評価されにくいという点です。会社概要と電話番号を載せただけの静的なページでは、「販路開拓」の要素が弱いと判断されることがあります。新規顧客獲得の動線、たとえば問い合わせフォーム、予約システム、商品の購入ボタンといった、売上につながる機能を盛り込むことが採択の鍵になります。

補助対象になるホームページ制作費用の範囲と上限

ここが最も重要な費用の話です。ホームページ制作にかかる費用のうち、どこまでが補助されるのか。そして、いくらまで補助されるのか。この2つを正確に理解しておかないと、「思ったより補助されなかった」という失敗につながります。

補助上限は「補助金総額の1/4」かつ「最大50万円」

ウェブサイト関連費には、他の経費区分にはない独自の上限ルールがあります。この点について、補助金支援の専門家は次のように説明しています。

当社からのアドバイス:弊社がご案内している通り、ホームページ作成費用が小規模事業者持続化補助金の対象となるためには、まず「販路開拓の取り組み」であることが前提となります。つまり、単なる情報掲載ではなく、売上向上や新規顧客の獲得といった明確な販売促進の目的がある場合に限り、補助対象として認められます。そのうえで、ホームページ作成にかかる費用は「ウェブサイト関連費」として経費区分されますが、補助金として認められる金額には上限があります。具体的には、補助金交付申請額および交付決定時に確定される補助金総額の1/4、かつ最大で50万円までが上限となります。

つまり、ウェブサイト関連費として補助される金額は、補助金総額の1/4まで、しかも上限は50万円まで、という二重の制限がかかっています。ここを勘違いする方がとても多いので、具体例で説明します。

たとえば、通常枠で補助上限が50万円だったとします。補助率は原則2/3なので、経費総額が75万円で補助金が50万円という計算になります。このとき、ウェブサイト関連費として補助されるのは補助金総額50万円の1/4、つまり12.5万円までです。「50万円まで補助されるはず」と思っていたら、実際にはホームページ単体では12.5万円しか補助されなかった、というギャップが生まれます。

この1/4ルールを回避するには、補助金総額そのものを大きくする必要があります。そこで多くの事業者が取る戦略が、後述する「他の経費と組み合わせる」方法です。

ウェブサイト関連費として認められる経費の具体例

補助対象になる費用の中身を具体的に見ていきましょう。ウェブサイト関連費として認められるのは、おおむね次のような経費です。

・ホームページ・ECサイトの新規制作費(デザイン、コーディング、システム構築) ・商品販売のためのランディングページ制作費 ・サイトに掲載する商品写真の撮影費用 ・SEO対策(検索エンジンで上位表示させるための施策)にかかる費用 ・インターネット広告の出稿費用(バナー制作を含む) ・多言語対応(インバウンド向けの英語・中国語ページ追加など) ・予約システムや問い合わせフォームの導入費用

これらはすべて「新規顧客を獲得するための取り組み」として一貫しているのがポイントです。制作を外注する場合、制作会社やフリーランスに支払うデザイン費・構築費が丸ごと対象になるため、費用のインパクトは大きいです。

補助対象にならない費用に注意

一方で、対象外になる費用もはっきり決まっています。ここを知らずに申請して差し戻される事例が後を絶ちません。

対象外になる代表例は、サーバーの月額利用料やドメインの年間更新料といった「継続的にかかるランニングコスト」です。補助金はあくまで一時的な販路開拓の投資を支援するものなので、毎月・毎年支払い続ける維持費は対象外になります。同様に、サイト公開後の保守管理費、更新代行費、記事更新のための月額顧問料なども対象外です。

また、パソコンやタブレットといった汎用性の高い機器の購入費も原則対象外です。「ホームページを更新するためにパソコンが必要だから」という理由では通りません。汎用機器は事業以外にも使えてしまうため、補助金の対象から外されているのです。※このあたりの線引きは公募回によって微妙に変わることがあるので、申請前には必ず最新の公募要領を確認してください。

つまり、補助されるのは「作るための費用」であって、「使い続けるための費用」ではない、と整理すると分かりやすいです。制作会社の見積もりをもらったら、初期制作費と月額運用費をきっちり分けて考えることが、補助金活用の第一歩になります。

ホームページ制作費用の相場を発注者目線で把握する

補助金の話と並んで、あなたが本当に知りたいのは「そもそもホームページ制作っていくらかかるのか」という相場ではないでしょうか。補助金で50万円が補助されると言っても、制作費の相場を知らなければ、見積もりが高いのか安いのかも判断できません。ここを発注する側の目線で整理します。

制作会社に依頼した場合の費用相場

ホームページ制作を制作会社に依頼した場合、費用は規模と機能によって大きく変わります。ざっくりとした相場観は次の通りです。

小規模な会社案内サイト(5ページ程度、問い合わせフォーム付き)なら、おおよそ30万円〜80万円が相場です。予約機能やブログ機能を付けた集客型のサイトになると80万円〜150万円程度。本格的なECサイト(ネットショップ)で決済システムや在庫管理を組み込むと100万円〜300万円を超えることもあります。

制作会社の見積もりが高くなる理由は、営業担当・ディレクター・デザイナー・コーダーといった複数人が関わり、それぞれの人件費とオフィスの固定費が価格に乗るからです。品質管理やアフターサポートが手厚い反面、どうしても価格は上がります。補助金の上限が50万円であることを考えると、制作会社に丸ごと依頼すると自己負担がかなり残るケースが多い、というのが正直なところです。

フリーランスに直接依頼した場合の費用相場

一方、フリーランスのWebデザイナーやコーダーに直接依頼すると、同等の内容でも費用を抑えられる傾向があります。小規模な会社案内サイトなら10万円〜40万円、集客型のサイトで30万円〜80万円程度が目安です。制作会社の見積もりと比べると、同じ内容でも半額近くになることも珍しくありません。

なぜこれだけ差が出るのか。理由はシンプルで、フリーランスに直接依頼すると中間マージンがゼロだからです。制作会社経由や仲介エージェント経由で発注すると、実際に手を動かす制作者に届く前に、会社の利益・営業コスト・管理費が上乗せされます。この上乗せ分は案件によっては20%〜40%にもなります。つまり、あなたが払う100万円のうち、20万円から40万円は仲介コストで消えている計算になるわけです。

フリーランスに直接依頼すれば、その中間マージンがまるごと不要になります。同じ予算なら、より高いスキルの人に依頼できたり、機能を追加できたりします。補助金の50万円と組み合わせれば、自己負担をかなり圧縮できます。実際にどんな人材がいるのか、単価の相場感を知りたい場合はソフトウェア作成者の年収・単価相場のデータが参考になります。Web制作を担うエンジニアやデザイナーの市場価格を客観的な数字で確認できるので、見積もりが妥当かどうかの判断材料になります。

私が発注側で経験した見積もり比較の失敗談

ここで、私自身が発注する側で経験した失敗を一つお話しします。以前、事務所のホームページをリニューアルしようとしたとき、大手の制作会社1社にだけ相談して、そのまま契約しそうになったことがありました。提示された見積もりは120万円。「まあ、こんなものか」と思っていたんです。

ところが、念のため知人に紹介してもらったフリーランスのデザイナーに同じ要件で見積もりを取ったところ、55万円でした。ほぼ同じ内容で、これだけの差が出たわけです。最初の見積もりだけで決めていたら、65万円も余分に払うところでした。これ、本当に多いんです。相見積もりを取らずに1社だけで決めてしまう発注者が。結局、私はフリーランスの方に依頼して、補助金と組み合わせることで自己負担を大きく減らせました。

この経験から学んだのは、費用は必ず複数の相手から見積もりを取って比較すること、そして仲介を挟むほどコストが膨らむという原則です。最低でも3者から見積もりを取れば、相場の感覚がつかめます。安さだけで選ぶのも危険ですが、1社の言い値をうのみにするのはもっと危険です。

補助金を最大限活かすための費用戦略

補助金の上限ルールと制作費の相場が分かったところで、では実際にどう組み合わせれば最もお得になるのか。ここが発注者にとって一番の腕の見せどころです。

他の経費と組み合わせて補助金総額を増やす

前述の通り、ウェブサイト関連費は「補助金総額の1/4」という制限があります。ホームページ制作だけで申請すると、この1/4ルールに引っかかって補助額が小さくなってしまいます。そこで有効なのが、他の販路開拓経費と組み合わせる戦略です。

たとえば、ホームページ制作と同時にチラシを作成する。あるいは店舗の看板を新設する、展示会に出展する、店内にお客さんを呼び込むための設備を導入する。こうした経費を組み合わせると、補助金総額そのものが大きくなり、その1/4であるウェブサイト関連費の枠も広がります。

具体的に計算してみましょう。ホームページ制作に50万円、チラシとポスティングに30万円、合計80万円の経費で申請したとします。補助率2/3なら補助金総額は約53万円。ただし通常枠の上限50万円が効くので補助金は50万円。このうちウェブサイト関連費の枠は50万円の1/4で12.5万円。ホームページ単体だとやはり12.5万円が上限ですが、チラシ分がしっかり補助されるため、全体としては補助金を無駄なく使い切れる形になります。

より大きな枠を狙うなら、賃金引上げや事業承継といった要件を満たす特別枠を活用する手もあります。特別枠では補助上限が引き上げられるため、ウェブサイト関連費の1/4枠も連動して大きくなります。自社が特別枠の要件を満たせるかどうかは、公募要領を読み込むか、後述する専門家に相談するのが確実です。

補助金の申請支援を活用するという選択肢

補助金の申請は、経営計画書や補助事業計画書を作成する必要があり、書類作成にそれなりの手間がかかります。「本業が忙しくて申請書を書く時間がない」「採択率を上げたい」という場合、申請支援の専門家に相談するという選択肢があります。

補助金支援の実績について、ある専門機関はこう紹介しています。

融資支援実績6,000件超、補助金申請支援実績1,300件超、事業再構築補助金採択支援件数は第4回~第8回まで5回連続で日本一を獲得。 『小規模事業者持続化補助金』、『事業再構築補助金』、『IT導入補助金』は自社での申請・採択も経験。「補助金ガイド」LINE公式アカウントでは約4万人の登録者に情報発信を実施。

つまり、補助金申請には専門的なノウハウがあり、それを蓄積した支援者がいるということです。ただし、支援を依頼すると着手金や成功報酬が発生します。成功報酬は補助金額の10%〜20%が相場です。50万円の補助金なら5万円から10万円が支援手数料として引かれる計算になります。自分で書類を作る手間と、支援手数料を天秤にかけて判断するとよいでしょう。※申請書作成の代行そのものは行政書士など有資格者でないと有償で請け負えない業務が含まれるため、依頼する場合は相手の資格や実績をきちんと確認してください。

資金繰りの注意点は「後払い」であること

補助金活用で最も見落とされがちなのが、資金繰りの問題です。補助金は「後払い」です。つまり、あなたはまず制作費を全額自分で支払い、事業を完了させ、実績報告を提出して審査を通ってから、ようやく補助金が振り込まれます。

たとえば80万円の経費を使う場合、いったんは80万円を自己資金で立て替える必要があります。補助金の50万円が入金されるのは、早くても事業完了から数ヶ月後です。この間の資金繰りができないと、いくら採択されても事業を進められません。「補助金があるから大丈夫」と楽観して、手元資金が足りずに困る事業者を何度も見てきました。申請前に、立て替えられる資金があるかどうかを必ず確認してください。もし資金が不足するなら、フリーランスの法人成り完全ガイド2026|手続き・費用・最適なタイミングで触れているような、法人化して融資を受けやすくするといった資金調達の選択肢も併せて検討する価値があります。

補助金を使ったホームページ制作の申請の流れ

ここまでで費用の全体像がつかめたと思うので、次は実際の手続きの流れを追っていきます。発注者として、どのタイミングで制作会社やフリーランスに依頼を出すべきかも含めて解説します。

ステップ1:商工会議所・商工会への相談と事業支援計画書の取得

小規模事業者持続化補助金の申請には、地域の商工会議所または商工会が発行する「事業支援計画書(様式4)」が必要です。これがないと申請できません。まずは事業所の所在地を管轄する商工会議所・商工会に相談に行きましょう。

ここで作成する経営計画書について、担当者と相談しながら「なぜホームページを作るのか」「それでどう売上を伸ばすのか」を明確にしていきます。この段階で販路開拓のストーリーがしっかり組めていると、後の採択率が上がります。事業支援計画書の発行には数日から1週間程度かかることが多いので、申請締切から逆算して早めに動くのが鉄則です。

ステップ2:見積もりの取得と外注先の選定

このステップが発注者にとって最も実務的な部分です。補助金申請には、ホームページ制作費用の見積書を添付する必要があります。つまり、この時点で制作を依頼する相手をある程度決めておく必要があるということです。

前述の通り、見積もりは必ず複数の相手から取ってください。制作会社1社、フリーランス複数人など、幅を持たせて相見積もりを取ると相場が見えてきます。このとき、単に総額を比べるだけでなく、見積もりの内訳を確認することが大事です。「一式」とだけ書かれた見積もりは要注意で、何にいくらかかっているのか分からないと、補助対象経費と対象外経費を切り分けられません。デザイン費、コーディング費、写真撮影費、月額運用費などを分けて記載してもらいましょう。

どこで制作者を探せばいいか迷ったら、業務委託マッチングサービスを使うのが効率的です。アプリケーション開発のお仕事では、Web制作やシステム開発を請け負えるフリーランスがどんな案件に対応しているかを確認できます。発注者として登録すれば、こうしたスキルを持つ人材に直接依頼でき、仲介手数料をかけずに制作を進められます。制作者のスキルセットを事前に把握しておくと、見積もり比較の精度も上がります。

ステップ3:申請書類の提出

事業支援計画書と見積書が揃ったら、いよいよ申請です。近年は電子申請システム(Jグランツ)での申請が基本になっています。電子申請にはgBizIDプライムというアカウントが必要で、この発行にも2〜3週間程度かかるため、これも早めに取得しておく必要があります。

提出する主な書類は、経営計画書兼補助事業計画書、事業支援計画書、見積書、決算書などです。書類の不備は不採択に直結するので、提出前に商工会議所・商工会の担当者にチェックしてもらうと安心です。

ステップ4:採択・交付決定を待ってから発注する

ここが最重要の注意点です。補助金は、原則として「交付決定日より後」に発注・契約・支払いをした経費でないと対象になりません。つまり、採択されて交付決定通知が届く前にホームページ制作の契約を結んでしまうと、その費用は補助対象外になってしまうのです。

「早く作りたいから」と、申請中や採択発表前に制作をスタートしてしまう。これが最も多い失敗パターンです。見積もりを取るところまでは申請前に進めておいてよいのですが、実際の契約・発注は必ず交付決定通知を受け取ってから行ってください。制作者にも「補助金の交付決定後に正式契約する」ことを事前に伝えておき、スケジュールを共有しておくとスムーズです。

ステップ5:事業実施・実績報告・補助金の受け取り

交付決定後、ようやく制作を進めます。制作が完了したら、支払いを済ませ、事業が計画通り実施されたことを示す実績報告書を提出します。ここで、契約書、発注書、納品物、請求書、振込を証明する通帳のコピーなど、お金の流れを証明する書類一式が必要になります。

この証拠書類が揃っていないと、せっかく採択されても補助金が減額されたり支払われなかったりします。制作者とのやり取りは、口約束ではなく必ず契約書と書面で残しておくこと。これは補助金のためだけでなく、後述する報酬トラブルを防ぐ意味でも欠かせません。実績報告が審査を通ると、晴れて補助金が指定口座に振り込まれます。

発注者が知っておくべき制作トラブルと法律知識

補助金と費用の話に加えて、発注する側として押さえておきたい法律の知識があります。ホームページ制作の外注では、報酬や納品をめぐるトラブルが起きやすいためです。私は行政書士として、こうした相談を数多く受けてきました。

フリーランスへの発注には「フリーランス保護新法」が適用される

2024年に施行されたフリーランス保護新法(正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)は、フリーランスに仕事を発注する側にさまざまな義務を課しています。ホームページ制作をフリーランスに依頼する場合、あなたは「発注者」としてこの法律を守る立場になります。

先日、あるWebデザイナーさんから相談を受けました。「50万円分のWebサイトを納品したのに、クライアントが『イメージと違う』と言って報酬を払ってくれない」と。結論から言うと、これは2024年施行のフリーランス保護新法で明確に禁止されている行為です。発注者は、受領日から60日以内に報酬を支払う義務があります。つまり、「イメージと違う」は支払い拒否の正当な理由にはならないんです。こういうケース、実は本当に多い。

発注者が守るべき主なルールは、取引条件を書面やメールで明示すること、納品物を受け取ってから60日以内に報酬を支払うこと、不当な報酬減額や受領拒否をしないことなどです。これらに違反すると、公正取引委員会や中小企業庁からの指導・勧告の対象になります。制度の詳細は公正取引委員会の情報でも確認できます。※個別の紛争になった場合は弁護士に相談することをおすすめします。

発注書と契約書を必ず交わす

補助金の実績報告のためにも、トラブル防止のためにも、発注書と契約書は必ず交わしてください。「知り合いだから」「小さな案件だから」と口約束で進めると、後で「言った言わない」の争いになりがちです。

契約書に最低限盛り込むべきは、制作の範囲(何ページ・どんな機能まで)、納品物の内容、報酬額と支払時期、修正対応の回数、著作権の帰属です。特に著作権の扱いは要注意で、これを明記しておかないと、納品後にサイトを自由に改修できないといった問題が起きます。これ、知らない人が本当に多いんです。契約書のひな型は、たとえば「甲(発注者)は乙(制作者)に対し、本件ウェブサイトの制作を委託する」といった形で、双方の役割と条件を明確にしておきましょう。

こうした契約・法務まわりの基礎を体系的に学びたい発注担当者には、ビジネス文書検定のような資格の学習が、発注書や仕様書を正確に書く力を養う助けになります。発注する側の書類作成スキルが上がると、認識のずれによるトラブルそのものが減ります。

安さだけで選ばない、でも高ければ安心でもない

発注者が陥りやすいもう一つの罠が、価格だけで判断してしまうことです。極端に安い見積もりには理由があります。テンプレートを使い回すだけで独自性がない、修正対応が別料金で結局高くつく、途中で連絡が取れなくなる、といったリスクです。逆に、高ければ必ず品質が高いかというと、そうとも限りません。

見極めのポイントは、過去の制作実績(ポートフォリオ)を確認すること、コミュニケーションが丁寧で要望を正確に理解してくれるか、そして見積もりの内訳が明快かどうかです。実績を見れば、あなたの業種やイメージに合った制作ができる相手かどうかが分かります。相手のスキルや専門性を客観的に測る一つの目安として、CCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格の有無や、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のようなライティング人材の市場価格を知っておくと、サイトの文章制作まで含めて発注する際の費用感がつかめます。

独自データから見る発注者の選択肢

最後に、業務委託マッチングの実務データから見えてくる、発注者にとっての合理的な選択肢を考察します。

ホームページ制作を外注する方法は、大きく分けて3つあります。制作会社に依頼する、仲介エージェントを通す、フリーランスに直接依頼する。この3つのうち、費用対効果が最も高いのは、多くの場合フリーランスへの直接依頼です。理由は繰り返し述べてきた通り、中間マージンが発生しないからです。

業務委託マッチングサービスに登録しているWeb制作人材の傾向を見ると、制作会社に所属せず独立して活動する高スキルのデザイナー・エンジニアが数多くいます。彼らは制作会社時代と同等かそれ以上の技術を持ちながら、独立して直接受注することで、発注者に対しては制作会社より安い価格を提示できています。つまり、品質を落とさずにコストを下げる余地が、直接取引には確実にあるということです。

補助金の上限が50万円であることを踏まえると、この差は決定的です。制作会社に120万円で依頼すれば自己負担は70万円ですが、同等の内容をフリーランスに55万円で依頼できれば自己負担はわずか5万円に圧縮できます。補助金の効果を最大化するには、制作費そのものを抑えることが最も効きます。そして制作費を抑える最も確実な方法が、仲介を挟まない直接取引なのです。

もちろん、フリーランスへの直接依頼にはデメリットもあります。制作会社のような手厚い進行管理やアフターサポートは期待しにくく、発注者側にもある程度の判断力とコミュニケーション能力が求められます。しかし、この記事で解説した見積もり比較のコツ、契約書の交わし方、フリーランス保護新法の知識を身につけておけば、直接取引のリスクは十分にコントロールできます。

発注者として、どんな職種の人材にどんな仕事を頼めるのかを俯瞰したい場合は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事といったガイドが役立ちます。近年はホームページ制作にとどまらず、SEO対策やWeb広告運用、さらにAIを使ったコンテンツ制作まで、一人のフリーランスに一気通貫で任せられるケースも増えています。補助金のウェブサイト関連費はこうした販路開拓施策も対象になるため、制作と集客をまとめて依頼すれば、補助金を無駄なく使い切れます。

補助金は、賢く使えば小規模事業者の販路開拓を大きく後押ししてくれる強力な制度です。ホームページ制作費用が対象になること、上限は50万円かつ補助金総額の1/4であること、そして制作費そのものは直接取引で抑えられること。この3点を押さえて、複数の見積もりを比較し、交付決定後に正式発注する。この手順を守れば、あなたも過剰な自己負担なしに、売上につながるホームページを手に入れられます。制度や契約でつまずきそうなときは、商工会議所や専門家という味方がいます。法律も、正しく知っていればあなたの味方です。

よくある質問

Q. 小規模事業者持続化補助金でホームページ制作費用はいくらまで補助されますか?

ウェブサイト関連費は「補助金総額の1/4かつ最大50万円」が上限です。たとえば補助金総額が50万円なら、ホームページ単体で補助されるのは1/4の12.5万円までです。制作費をより多く補助してもらうには、チラシや展示会など他の販路開拓経費と組み合わせて補助金総額を大きくする必要があります。

Q. 補助対象にならないホームページ関連の費用は何ですか?

サーバー月額料やドメイン更新料などの継続的なランニングコスト、公開後の保守管理費や更新代行費は対象外です。またパソコンやタブレットなど汎用性の高い機器の購入費も原則対象外になります。補助されるのは「作るための初期費用」であって「使い続けるための費用」ではない、と整理すると分かりやすいです。

Q. ホームページ制作はいつ発注すればいいですか?

必ず交付決定通知を受け取ってから正式に契約・発注してください。採択前や申請中に契約すると補助対象外になります。見積もり取得までは申請前に進めてよいので、制作者には「交付決定後に正式契約する」ことを事前に伝え、スケジュールを共有しておくとスムーズに進みます。

Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すると安いですか?

一般にフリーランスへの直接依頼のほうが安くなります。制作会社や仲介エージェントを通すと20%〜40%の中間マージンが上乗せされますが、フリーランスに直接依頼すればそのマージンが不要になるためです。同じ内容の会社案内サイトが制作会社で120万円、フリーランスで55万円ということも珍しくありません。ただし相見積もりと契約書は必ず用意しましょう。

@SOHOで信頼できる外注先を探す

@SOHOには様々なスキルを持つフリーランス・副業ワーカーが登録しています。手数料無料で直接依頼できるため、コストを抑えて即戦力人材に発注できます。

@SOHOで関連情報をチェック

お仕事ガイド

年収データベース

資格ガイド

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月9日最終更新:2026年7月9日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師

看護師

看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師

薬剤師

薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド