Wワークの労働時間は2社分が合算されて残業代の起点になる

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
Wワークの労働時間は2社分が合算されて残業代の起点になる

この記事のポイント

  • wワークの労働時間は本業と副業で合算されます
  • ただし実際に使える時間を決めるのは
  • 勤務先が採用する管理モデルという仕組みです

wワークの労働時間について調べている人が本当に知りたいのは、「法律上は何時間まで働けるのか」ではなく、「結局、自分は副業に何時間使えるのか。それを誰が決めるのか」だと思います。結論から書きます。時間の上限そのものは法律が決めますが、あなたが実際に使える時間を決めるのは、本業と副業先が採用する労働時間の管理方式です。とくに多くの企業が採用している「管理モデル」という簡便な仕組みでは、副業に使える時間は開始前に枠として配られます。つまり交渉のタイミングは、働き始めた後ではなく申告の時点にあります。

この記事では、合算のルールそのものよりも、勤務先がどんな仕組みで労働時間を管理し、その結果として自分の働き方がどう縛られるのかに焦点を当てて整理します。数え方や記録方法の細部より、「枠がどう配られ、どう動かせるのか」を知っておくほうが、日々の勤務の組み方には直結します。

wワークの労働時間は、まず「合算される」ところから始まる

労働基準法は、労働時間について1日8時間、1週40時間という法定労働時間を定めています。そして事業場を異にする場合であっても労働時間は通算する、という規定があります。ここでいう「事業場を異にする」には、同じ会社の別支店だけでなく、まったく別の会社で働く場合も含まれると解釈されています。だからwワークをすると、本業と副業の労働時間が足し算されるわけです。

ここでつまずく人が多いのですが、通算されるのは「雇用契約で働いている時間」だけです。アルバイト、パート、契約社員、正社員など、労働者として雇われている働き方が対象になります。業務委託や請負で仕事を受けている場合は、そもそも労働基準法の労働時間規制の対象外なので通算されません。この違いが、後述するとおりwワークの設計を大きく左右します。

そして、通算した結果として法定労働時間を超えた部分は、時間外労働として扱われます。時間外労働をさせるには36協定(サブロク協定)の締結と届け出が必要で、その上限は原則として月45時間、年360時間です。特別条項を結んでも、時間外労働と休日労働の合計は単月100時間未満、複数月平均80時間以内という絶対的な天井があります。

ここまでが原則です。正直なところ、この原則をそのまま運用するのは相当に面倒です。他社での実労働時間を毎日把握しないと、自社が何時から割増賃金を払うべきかが確定しないからです。この面倒さこそが、次に説明する管理モデルが生まれた理由です。

会社が選べる労働時間の管理方式は2つある

厚生労働省が示している副業・兼業の促進に関するガイドラインでは、企業が労働時間を通算して管理する方法として、原則的な方法と、簡便な方法である管理モデルの2つが示されています。どちらを採るかは会社が選びます。労働者側から「管理モデルにしてください」と指定できるものではありませんが、どちらで運用されているかを知っているかどうかで、申告のしかたも勤務の組み方も変わります。

原則的な労働時間管理の方法

原則的な方法では、労働者からの申告に基づいて、他社での労働時間を把握し、自社の労働時間と通算して管理します。所定労働時間どうしをまず通算し、その合計が法定労働時間を超えるかどうかを見ます。超えていなければ、次に実際に発生した所定外労働(残業)を時間の前後で足していき、法定労働時間を超えた時点から割増賃金が発生します。

この方法の特徴は、実態に忠実であることです。ただし、他社の勤務実績を都度申告してもらい、それを自社の勤怠と突き合わせる作業が毎月発生します。副業先のシフトが変動制だと、給与計算の締めまでに情報が揃わないという事態も起きます。管理コストが高いため、副業を認めていても原則的な方法だけで回している会社は、実務ではそれほど多くありません。

簡便な方法としての管理モデル

管理モデルは、この煩雑さを解消するために用意された仕組みです。副業を始める前に、先に契約している会社(先契約先)の法定外労働時間と、後から契約する会社(後契約先)の労働時間を合計した上で、その合計が時間外労働の上限規制の範囲に収まるように、それぞれの上限をあらかじめ設定します。各社はその上限の範囲内で働かせる限り、他社の実労働時間を都度把握しなくてよくなります。

言い換えると、「毎日足し算する」のをやめて、「最初に枠を切っておいて、お互いその枠からはみ出さない」という運用に切り替えるわけです。企業側から見れば管理負担が劇的に軽くなるので、副業を解禁している企業ではこちらが採用されるケースが増えています。そして労働者側から見ると、これは自分の働き方に対してかなり大きな意味を持ちます。

管理モデルでは、副業時間は「事前に配られる枠」になる

管理モデルの下では、副業に使える時間は、あなたが日々の都合で調整できる変動値ではなく、開始前に確定した固定枠になります。ここが原則的な方法との決定的な違いです。

具体的な流れはこうです。本業の会社が「うちの法定外労働時間は月30時間を上限にする」と決め、副業先には「あなたの会社での労働時間は月40時間までにしてください」と通知します。副業先がこれに応じて雇用契約を結べば、その枠が両社の共通ルールになります。合計が単月100時間未満、複数月平均80時間以内に収まっている限り、法の上限規制はクリアします。

この枠は、実際の忙しさとは無関係に先に決まります。副業先で「今週だけ忙しいから10時間多めに入ってほしい」と言われても、枠が残っていなければ引き受けられません。逆に、本業が閑散期で残業ゼロだったとしても、副業側の枠が自動的に広がるわけでもありません。枠は事前配分なので、月の途中で自由に融通し合う設計にはなっていないのです。

実務で見ていて多いのは、この構造を知らないまま副業を始めて、3か月目くらいで「もっと入りたいのに入れない」と詰まるパターンです。枠を広げるには、本業側に上限の見直しを申し出て、副業先とも契約時間を変更する必要があります。手続きとしては可能ですが、月次で気軽に動かせるものではありません。だから、最初の申告時にどれだけの枠を確保しておくかが、その後半年の働き方をほぼ決めてしまいます。

つまり、社員が本業・副業を通じて、週に40時間(1日8時間)を超えて働いている場合、雇用主である企業には時間外労働の対応が必要になるわけです。実際、社員がダブルワークをしている場合、自社以外の企業での労働時間も含めると、合計で週40時間を超えるケースは多くあります。 出典: biz.tunag.jp

管理モデルが自分の働き方に与える5つの影響

管理モデルは企業の管理負担を減らす仕組みですが、その副作用は労働者側にも及びます。良い影響と悪い影響の両方があるので、フェアに整理します。

影響1:交渉のタイミングが「始める前」に前倒しされる

原則的な方法なら、実績を積んでから「もう少し時間を増やしたい」と相談する余地があります。管理モデルでは、枠の設定が副業開始の条件になるので、交渉のピークが申告の瞬間に来ます。「まずは様子見で月10時間だけ」と控えめに申告してしまうと、その控えめな数字が半年間の天井になりかねません。実際に働ける現実的な最大値を、最初に申告しておくほうが合理的です。

影響2:本業の繁忙期の残業が、副業の枠を直接食う

本業に配分された法定外労働時間の枠と、副業に配分された枠は連動しています。決算期や年度末に本業の残業が膨らむと、合計が上限規制に近づくため、副業側の枠を絞らざるを得なくなる場合があります。とくに特別条項の上限に近い働き方をしている人は、この影響が強く出ます。副業を安定した収入源にしたいなら、本業の繁忙サイクルと副業の稼働ピークが重ならない設計にしておくのが現実的です。

影響3:副業先を増やすほど枠は細る

副業先が2社、3社と増えると、限られた総枠を分け合うことになります。3社目を追加する時点で、既存2社の枠を削るか、本業側の残業を抑えるかの調整が必要になります。複数の勤め先を掛け持ちする働き方は、管理モデルとは相性がよくありません。掛け持ちを前提にするなら、後述する業務委託との組み合わせを検討したほうが現実的です。

影響4:シフトの自由度が落ちる

飲食や小売のように、週ごとにシフトが変動する副業先だと、月の枠を意識しながらシフト希望を出すことになります。月初に多く入れすぎると月末に入れなくなる、という配分の問題が発生します。副業先の店長がこの仕組みを理解していないと、「なぜ月末は入れないのか」という無用な摩擦にもなります。契約時に上限時間を明記してもらっておくのが摩擦を減らす近道です。

影響5:枠さえ守れば、通算の手間から解放される

ここは明確なメリットです。原則的な方法だと、副業先の勤務実績を毎月本業に報告する必要があり、報告が遅れれば給与計算にも影響します。管理モデルなら、枠内に収まっている限り、日々の勤務実績を突き合わせる作業は不要です。「副業のシフトを毎回本業の会社に見せるのは気が進まない」と感じる人にとって、この点はプライバシー面の負担軽減になります。

割増賃金は、どちらの会社が払うのか

wワークの労働時間の話で最ももめやすいのが、残業代を誰が払うかです。ここは管理方式によって答えが変わります。

原則的な方法では、通算した結果として法定労働時間を超える部分を発生させた会社が、割増賃金の支払い義務を負います。所定労働時間の合計がすでに法定労働時間を超えている場合は、後から契約した会社が超過部分について支払います。所定労働時間の合計が法定内に収まっているのに、実際の残業で超えた場合は、その残業をさせた会社が支払います。契約の順番ではなく、実際に超過を発生させた側が負担する、という整理です。

所定労働時間を合計しても法定労働時間を超えない場合は、それぞれの勤務先の所定労働時間の合計に、実際に発生した残業時間を足し、法定労働時間を超えたところから割増賃金が発生します。この場合は契約の順番ではなく、原則的に法定労働時間を超えて残業させた会社が割増賃金の支払い義務を負います。 出典: n-lights.com

一方、管理モデルでは支払い義務の切り分けがシンプルになります。先契約先は自社の法定外労働時間について割増賃金を払い、後契約先は自社の労働時間すべてについて割増賃金を払う、という設計です。後契約先の側は、たとえ1日3時間の勤務であっても、その全時間に割増賃金を上乗せすることになります。割増率は法定で25%以上、月60時間を超える時間外労働については50%以上です。

この違いは、副業先の求人条件を読むときに効いてきます。管理モデルを採用している企業が後契約先になる場合、人件費が最初から割増になるため、そもそも副業希望者の採用に慎重になったり、募集時給を低めに設定していたりすることがあります。「副業歓迎」と書いてあるのに条件が厳しめの求人には、この背景が隠れていることがあります。

なお、雇用契約でなく業務委託で仕事を受ける場合、報酬は成果や工数に対して支払われるので、そもそも割増賃金という概念がありません。同じ「副業」でも、契約形態によってお金の決まり方がまるで違うわけです。

具体例で追う:契約の順番が効くケース、効かないケース

原則的な方法での割増賃金の負担は、言葉だけだと分かりにくいので、典型的なケースを2つ並べて追いかけます。

まず、所定労働時間の合計がすでに法定労働時間を超えているケースです。

ノーザン太郎さんは、先に本業のA社と「時給1200円、月~金の週5日、1日9時~18時の所定労働時間8時間」の雇用契約を締結していました。後から副業先のB社とも、A社との雇用契約があるという申告をした上で、「時給1200円、月~金の週5日、1日19時~22時の所定労働時間3時間」の雇用契約を締結し、実際にその通りに勤務しました。(A社、B社ともに36協定の締結・届け出はしています。) 出典: n-lights.com

この例では、A社の所定労働時間が1日8時間で、すでに法定労働時間の上限に達しています。そこにB社の3時間が乗るので、B社の勤務時間はまるごと法定時間外です。この場合、割増賃金を払うのは後から契約したB社になります。さらにB社の勤務は19時から22時なので、22時に達した時点からは深夜割増も重なります。契約の順番が結果を決めるのは、このように所定労働時間の段階で天井を超えているケースです。

次に、所定労働時間の合計が法定内に収まっているケースです。A社が1日5時間、B社が1日2時間なら、合計7時間で法定内です。この状態でA社が急な残業を2時間させれば、合計は9時間になり、超過した1時間分の割増賃金はA社が負担します。逆にB社側が延長したなら、B社が負担します。ここでは契約の順番は関係なく、超過を発生させた側が責任を持つという整理になります。

自分がどちらのパターンに当てはまるかは、両社の所定労働時間を足すだけで判定できます。合計が1日8時間または週40時間を超えていれば前者、収まっていれば後者です。この判定を先にしておくと、副業先の求人条件を見たときに「この時給は割増込みなのか、割増前なのか」を確認すべきかどうかが分かります。募集要項の時給に割増が織り込まれていないと、あとで支払い側ともめる原因になります。

労働時間が通算されないケースと、業務委託という選択肢

wワークの労働時間の枠に窮屈さを感じている人にとって、最も実効性のある解決策は「通算されない働き方を組み合わせる」ことです。労働時間が通算されないのは、主に次のようなケースです。

第一に、労働基準法上の労働者に該当しない働き方です。業務委託、請負、委任、準委任といった契約で仕事を受ける場合、指揮命令下で働く労働者ではないため、労働時間規制の対象外になります。フリーランスとしての受注や、企業からの直接発注もここに入ります。

第二に、労働基準法の労働時間規定が適用されない業務です。農業、畜産、養蚕、水産の事業に従事する場合や、管理監督者、機密の事務を取り扱う者、監視または断続的労働で行政官庁の許可を受けた者、そして高度プロフェッショナル制度の対象者が該当します。

第三に、労働基準法そのものが適用されない立場です。会社役員、インターンシップの一部、自営業などが挙げられます。

つまり、雇用で働く時間の枠が上限に近づいているなら、追加分を業務委託で組む、という設計が現実的です。ライティング、デザイン、Webサイトの制作、データ集計、資料作成、オンライン事務代行などは、成果物ベースで請けやすい領域です。たとえば文章を扱う仕事なら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種全体の報酬水準を確認しておくと、時間あたりでどれくらいの水準を狙えばよいかの目安が立てられます。開発系のスキルがあるなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場も同様に判断材料になります。

ただし、業務委託にすれば無制限に働いてよい、という話ではありません。労働時間の通算義務がないだけで、健康を害するほどの稼働は本人にも本業にも跳ね返ります。会社には安全配慮義務があるので、体調不良や勤務中の集中力低下が続けば、副業そのものの継続に影響します。制度上のグレーゾーンではなく、体力の現実として枠を設けるべきです。

申告の実務:何を、いつ、どこまで伝えるか

管理モデルを採用している会社では、副業の申告書に記入する内容がそのまま枠の設定に直結します。ここでの書き方が甘いと、後で自分が困ります。

申告書に求められる項目は、おおむね次のとおりです。副業先の会社名と事業内容、雇用契約か業務委託かの契約形態、所定労働日と所定労働時間、勤務する時間帯、業務内容、開始予定日です。管理モデルでは、これに加えて「副業先での月間労働時間の上限」を書かせる欄が用意されていることが多いです。

ここで実務的なアドバイスを3つ挙げます。

1つ目は、上限時間は「平均的に働きたい時間」ではなく「最も多い月に働きたい時間」で書くことです。枠は上限であって義務ではないので、大きめに取っておいても、少なく働くぶんには問題ありません。逆に小さく取ると、後で増やす手続きが必要になります。

2つ目は、契約形態を正確に書くことです。業務委託なのに「アルバイト」と書いてしまうと、通算されない時間まで枠に組み込まれて、無駄に窮屈な設定になります。契約書のタイトルではなく、実態と契約条項で判断してください。

3つ目は、勤務時間帯を明示することです。とくに22時以降の勤務が含まれる場合、深夜割増や健康管理の観点から会社の確認が入ります。後から発覚するより、最初に書いておくほうが話は早いです。

申告のタイミングは、副業先との契約を締結する前が原則です。管理モデルは「開始前に枠を決める」仕組みなので、契約後に申告すると、すでに結んだ契約時間が枠を超えていて契約変更が必要、という事態になりかねません。私自身、以前に取材で複数の人事担当者から同じ話を聞きました。トラブルの大半は、順番を間違えた申告から始まっていると。

深夜・休日・健康管理という、時間数とは別枠の制約

労働時間の合計だけを見て設計すると、見落としやすい制約が3つあります。

1つ目は深夜労働です。22時から翌5時までの労働には25%以上の深夜割増賃金がつきます。これは時間外割増とは別の制度なので、法定労働時間内であっても深夜であれば発生します。副業を夜間に組む人は多いですが、深夜帯に食い込むかどうかで賃金も、翌日の本業への影響も変わります。

2つ目は休日と休息です。労働基準法は週1日または4週4日の法定休日を定めています。本業と副業を合わせて7日連続で働く形になっていないか、月単位で確認してください。加えて、勤務間インターバル(終業から次の始業までの休息時間)は法律上の義務ではありませんが、実務では健康リスクの指標としてよく使われます。本業を18時に終えて19時から副業、翌朝9時に本業という組み方は、インターバルが極端に短くなります。

3つ目は、会社の安全配慮義務です。長時間労働が原因で健康を損なった場合、企業は責任を問われる可能性があります。だから会社は副業の労働時間を把握したがるわけで、これは監視というより自己防衛です。この背景を理解しておくと、申告を求められたときに身構えずに済みます。

在宅で副業をする場合、通勤時間がないぶん時間の融通は利きますが、そのぶん切れ目なく働いてしまいがちです。休息の設計については在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで、集中と休憩のリズムづくりの具体策が整理されているので、時間の枠だけでなく質の管理にも目を向けておくとよいと思います。

枠が足りないときの、現実的な組み替え方

枠が窮屈だと感じたときに取れる選択肢は、実務的には4つです。

第一に、本業側の法定外労働時間の枠を圧縮してもらう方法です。本業の残業が慢性化しているなら、業務量の調整と合わせて相談する価値があります。ただし本業の収入が下がる可能性があるので、全体の手取りで判断してください。

第二に、副業を雇用から業務委託に切り替える方法です。副業先が業務委託契約に応じてくれるなら、通算の対象外になるため枠の制約から外れます。ただし雇用保険や労災の扱いが変わるので、条件をよく確認する必要があります。

第三に、時間単価の高い仕事に入れ替える方法です。枠が固定なら、同じ時間でより多く受け取れる仕事に移すのが最も直接的です。専門性のある領域ほど単価は上がりやすく、たとえば企業のAI導入を支援する領域は需要が伸びています。実務のイメージをつかむにはAIコンサル・業務活用支援のお仕事で仕事内容と求められる知識の範囲を確認しておくとよいです。マーケティングやセキュリティを含む領域ならAI・マーケティング・セキュリティのお仕事が、開発案件ならアプリケーション開発のお仕事が参考になります。

第四に、時間ではなく成果で報酬が決まる仕事の比率を上げる方法です。記事執筆、バナー制作、資料作成のように納品物単位で報酬が決まる仕事は、作業速度が上がるほど時間あたりの実入りが増えます。効率化の余地が自分の裁量にある、という点が時給制との大きな違いです。

スキルの裏づけを短期間で作りたいなら、資格を挟むのも1つの手です。事務やバックオフィス系の受注で書類品質を担保したいならビジネス文書検定、ネットワーク領域に踏み込むならCCNA(シスコ技術者認定)のように、受注可能な仕事の幅を広げる方向で選ぶと、枠の制約を単価で吸収しやすくなります。

就業規則で必ず確認しておくべきポイント

管理モデルの話に入る前段として、そもそも自社が副業をどう扱っているかの確認が必要です。就業規則で見るべき箇所は次のとおりです。

副業が許可制か届出制か。許可制なら、承認されるまで開始できません。届出制なら、届け出れば原則として始められます。次に、禁止または制限される業務の範囲です。競業に当たる業務、企業秘密が漏れるおそれのある業務、会社の信用を損なうおそれのある業務は、多くの会社で制限されています。同業他社での勤務は、たとえ職種が違っても引っかかる可能性が高いです。

さらに、労働時間の申告義務と報告頻度です。管理モデルなら開始前の枠設定が中心ですが、原則的な方法なら月次の実績報告が求められます。ここを読めば、自社がどちらの方式を採っているかが推測できます。最後に、違反時の取り扱いです。無申告での副業が就業規則違反として扱われるかどうかは、後々のリスクに直結します。

正直なところ、就業規則の副業に関する条項は抽象的な書き方にとどまっている会社がまだ多く、読んでも判断がつかないことがあります。その場合は人事に直接聞くのが確実です。「副業を考えているのですが、労働時間の管理は原則的な通算と管理モデルのどちらで運用されていますか」と具体的に聞けば、担当者の側も答えやすくなります。この聞き方ができるだけで、話が早く進みます。

wワークが機能する人と、時間管理で崩れる人

制度の話とは別に、続く人と続かない人の違いも書いておきます。

続く人に共通しているのは、副業の稼働時間を「余った時間」ではなく「先に確保した時間」として扱っていることです。管理モデルで枠が配られる仕組みは、実はこの考え方と相性がよく、月の初めに枠を予定表に落とし込んでしまえば、あとはそこに仕事を入れるだけになります。逆に、本業が終わってから余力があれば副業をする、という組み方だと、繁忙期にまるごと消えます。

もう1つの分かれ目は、移動時間と切り替え時間を計算に入れているかです。通勤を伴う副業だと、往復1時間を毎回失います。月20日勤務なら20時間が移動に消える計算です。この時間は労働時間には数えられませんが、体力は確実に削られます。在宅でできる仕事を選ぶと、この損失がまるごと消えるので、限られた枠を実務時間に集中できます。1日の流れを具体的に組んだ例としては在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開が参考になります。家事や育児と組み合わせている人の時間の切り分け方は、wワークの設計にもそのまま応用できます。

崩れるパターンで最も多いのは、繁忙期の見積もりの甘さです。本業に想定外の残業が入った月に副業の納期が重なり、睡眠時間を削って両方をこなし、体調を崩して両方止まる。この流れを何度も見てきました。枠は上限であって目標ではありません。常に上限いっぱいで組んでいると、変動を吸収する余地がなくなります。

運営者の一次観察と、独自データからの考察

フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から言えば、wワークの労働時間で本当に効いてくるのは、法定の上限そのものよりも「同じ時間でいくら残るか」という手取りの構造です。雇用で働く時間には法定の枠がありますが、その枠は基本的に増やせません。だとすれば、枠の中で密度を上げるか、枠の外側にある業務委託の仕事を積むか、のどちらかしか道はありません。

運営者として見てきた限りでは、wワークを長く続けている人ほど、後者の比率を少しずつ増やしています。最初は雇用の副業から始めて、実務経験を積んだあとに、同じ内容を業務委託で受ける形に移行していく。この移行が起きると、労働時間の申告や枠の調整といった手続きから解放されるだけでなく、報酬の決まり方が「時間×単価」から「成果×信頼」に変わります。

もう1つ、現場で繰り返し見てきたのは、仲介手数料の有無が手取りに与える影響の大きさです。仲介マージンが乗る取引では、依頼者が払った金額の一部が中間で差し引かれます。手数料0%で直接つながる取引は、同じ予算で依頼者はより多くを頼めるようになり、受け手の手取りは厚くなります。時間の枠が法律で固定されている人にとって、この差は決して小さくありません。枠が広げられない以上、1時間あたりに残る金額を上げることが、事実上唯一の増やし方だからです。

在宅ワーク仲介サイトに掲載される仕事の傾向を見ていると、時間拘束型の業務は減り、成果物単位の業務が増えています。これは発注側が「働いた時間」ではなく「納品されたもの」に対価を払う方向に動いているためで、wワークをする側から見れば、時間の枠に縛られない仕事が増えているということでもあります。仕事の探し方そのものに不安があるなら、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説で、募集の見極め方と避けるべき条件が整理されているので、契約形態を確認する視点と合わせて読んでおくと判断を誤りにくくなります。

最後に、管理モデルという仕組みそのものへの評価を書いておきます。企業の管理負担を減らし、副業を認めやすくしたという点で、この仕組みは副業の広がりに寄与しました。一方で、労働者から見れば、月ごとの柔軟な調整が効きにくくなったという副作用があります。制度が悪いわけではなく、そういう設計だというだけの話です。だとすれば、こちら側にできるのは、枠が配られる仕組みだと理解した上で、最初の申告で必要な枠を取り、枠の外側にある働き方も並行して育てておくことです。時間の上限は変えられませんが、その時間の使い方と、時間あたりに残る金額は自分で変えられます。

よくある質問

Q. wワークの労働時間は本業と副業で合算されますか?

雇用契約で働いている場合は合算されます。労働基準法は事業場が異なっても労働時間を通算すると定めており、別会社での勤務も対象です。通算して1日8時間、週40時間を超えた部分は時間外労働になります。ただし業務委託や請負など労働者に該当しない働き方は通算されません。

Q. 管理モデルとは何ですか。原則的な方法と何が違いますか?

管理モデルは、副業開始前に各社の労働時間の上限をあらかじめ設定し、その枠内で働かせることで、他社の実労働時間を都度把握しなくてよくする簡便な仕組みです。原則的な方法が日々の実績を通算するのに対し、管理モデルは事前に枠を配分します。そのぶん月途中の柔軟な調整はしにくくなります。

Q. wワークの残業代はどちらの会社が払うのですか?

原則的な方法では、通算して法定労働時間を超える部分を発生させた会社が支払います。所定労働時間の合計がすでに超えている場合は後から契約した会社が負担します。管理モデルでは、先に契約した会社が自社の法定外労働時間分を、後から契約した会社が自社の労働時間すべてについて割増賃金を支払う設計です。

Q. 副業の時間の上限を増やしたいときはどうすればいいですか?

管理モデルでは枠が事前確定するため、増やすには本業側に上限の見直しを申し出て、副業先とも契約時間を変更する必要があり、月次で気軽には動かせません。現実的な対処は、申告時に最も多い月を想定した上限で申請しておくこと、そして枠の対象外である業務委託の仕事を組み合わせることです。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月15日最終更新:2026年8月11日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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