動画の二次利用を広告で行う際の追加費用|出演料の上乗せ相場 2026


この記事のポイント
- ✓動画の二次利用と出演料の関係を整理
- ✓広告転用時の追加費用相場
- ✓フリーランス出演者への直接依頼の費用メリットまで解説します
制作した動画をSNS広告やWeb広告に転用したい。そう思ったとき、多くの担当者が見落とすのが出演者への追加費用です。結論から言うと、動画の二次利用には出演者の許諾と追加の出演料が必要になるケースがほとんどで、その相場は用途や利用期間、利用媒体の規模によって大きく変わります。この記事では、二次利用の基本ルールから追加費用の相場、契約書に書くべき条項、そして依頼先選びで失敗しないためのポイントまで、発注者の視点で整理します。
動画の二次利用と出演料を巡る現状
企業のPR動画やコーポレートムービーを、公開後に別の用途で使い回したいというニーズは年々増えています。研修動画として撮影したものをWeb広告に転用したい、採用向けに作った動画をSNS広告として配信したいといった相談は、制作会社やフリーランスの映像クリエイターのもとに日常的に寄せられています。
背景にあるのは、動画制作にかかる30万円から200万円という初期費用の重さです。一度作った素材を使い回せれば予算効率が上がるため、発注者としては当然の発想と言えます。ただし、ここで見落とされがちなのが出演者の権利です。動画に人物が出演している場合、その人物には肖像権があり、当初契約した利用範囲を超えて動画を使う場合には、別途の許諾と追加費用が発生するのが一般的なルールです。
それでは、制作した動画は二次利用することは可能なのでしょうか?基本的には動画の二次利用は可能です。しかし、ここでも注意してほしいことがあります。必ず無断で二次利用することはやめましょう。二次利用を検討している場合は、動画の出演キャストとの契約を確認しなくてはいけません。現時点の契約内容で二次利用できないような状態の場合は、別途での契約が必要になります。そのため、初めから二次利用の可能性がある場合については、動画制作段階で二次利用に対応可能なキャストを選択することもおすすめです。
この指摘は非常に重要です。動画制作を発注する段階で、将来の二次利用の可能性を見越して契約を組んでおくかどうかで、後々のコストと手間が大きく変わってきます。市場全体を見ても、動画広告の出稿額は年々増加傾向にあり、それに伴って二次利用に関するトラブル相談も増えているのが実情です。
動画の二次利用とは何を指すのか
まず整理しておきたいのが「二次利用」という言葉が指す範囲です。動画制作の現場では、当初の契約で定めた利用目的・利用媒体・利用期間を超えて動画素材を使うことを二次利用と呼びます。
二次利用に該当する具体的なケース
以下のようなケースは、すべて二次利用に該当する可能性があります。
・研修用に撮影した動画をコーポレートサイトの採用ページに転載する ・社内イベント用に撮影した映像をSNS広告として配信する ・展示会用に作った紹介動画をYouTube広告に流用する ・当初1年間の利用契約だった動画を契約期間終了後も使い続ける ・日本国内向けに作った動画を海外向けサイトにも展開する
これらはいずれも、当初の契約範囲を超える利用にあたる可能性が高く、出演者への確認と追加費用の交渉が必要になります。特に注意したいのは、利用期間の超過です。動画制作の契約書には「利用期間1年」といった条項が入っていることが多く、この期間を過ぎて動画を使い続けると、意図せず契約違反の状態になってしまいます。
二次利用に該当しないケース
一方で、以下のようなケースは通常、二次利用には該当しません。
・同じ動画を同じ媒体・同じ目的のまま、社内の別部署でも共有する ・契約で定めた利用媒体の範囲内で、公開時期だけを調整する ・動画のファイル形式を変換するだけで、公開先や目的を変えない
判断に迷う場合は、必ず動画制作時の契約書を確認し、不明な点は制作会社やフリーランスクリエイターに直接問い合わせることをお勧めします。自己判断で「これくらいなら大丈夫だろう」と進めてしまうと、後から出演者側から使用料の請求や利用差し止めの申し入れを受けるリスクがあります。
出演料の上乗せ相場はどれくらいか
発注者が最も知りたいのは、二次利用に伴う追加費用の具体的な金額でしょう。相場は利用媒体の規模、利用期間、出演者のランクによって幅がありますが、おおよその目安は以下の通りです。
利用媒体別の追加費用目安
一般の方(タレントではない出演者)が出演する動画の場合、Web広告としての二次利用であれば、追加費用は3万円から15万円程度が目安です。SNS広告として複数プラットフォームに展開する場合は、利用範囲が広がる分、10万円から30万円程度まで上がることもあります。
テレビCMのような大規模媒体での二次利用となると、出演者のギャランティ体系自体が異なるため、数十万円から数百万円規模になるケースもあります。ただし、多くの企業案件で使われるのは一般人モデルやフリーランスの出演者であり、その場合は前述のWeb広告・SNS広告の水準で交渉されることが大半です。
利用期間による変動
追加費用は利用期間によっても変動します。半年程度の利用であれば低めの金額で合意できることが多い一方、1年以上の長期利用や、利用期間の定めがない「無期限利用」を希望する場合は、当初契約時の出演料と同程度、あるいはそれ以上の追加費用を求められることも珍しくありません。
発注者としては、必要な利用期間を明確にした上で交渉に臨むことが費用を抑えるコツです。「とりあえず無期限で」という曖昧な依頼は、出演者側の警戒を招き、結果的に高い見積もりにつながりやすくなります。
出演人数による変動
動画に複数人が出演している場合、二次利用の許諾と追加費用は出演者ごとに必要になります。5人が出演する動画をWeb広告に転用する場合、1人あたり5万円の追加費用がかかるとすれば、単純計算で25万円の追加コストが発生する計算になります。出演人数が多い動画ほど、二次利用時のコストは膨らみやすい点は事前に想定しておくべきです。
二次利用を見据えた契約書の作り方
追加費用のトラブルを避ける最も確実な方法は、動画制作を発注する段階で、二次利用の可能性を契約書に盛り込んでおくことです。
契約書に盛り込むべき条項
契約書には以下の項目を明記しておくことをお勧めします。
・利用目的(研修用、広告用、採用用など具体的に) ・利用媒体(自社サイト、YouTube、SNS広告、テレビCMなど) ・利用期間(開始日と終了日、または期間の長さ) ・利用地域(国内限定か、海外展開の可能性があるか) ・二次利用を行う場合の追加費用の算定方法 ・著作権の帰属先(通常は制作会社側に残ることが多い)
また注意しなければいけないのが、たとえ依頼者側が動画制作に必要な費用を全額拠出したとしても、著作権は依頼者側ではなく動画制作会社のもののままだということです。しかし実際のところ、この部分に関する理解が不足している場合も多々あり、著作権侵害で制作会社が損害賠償を請求するケースもあります。
この点は発注者側が特に誤解しやすい部分です。「制作費を払ったのだから動画は自由に使える」という認識のまま二次利用を進めてしまうと、著作権侵害や肖像権侵害のトラブルに発展するリスクがあります。契約書の段階で、著作権の帰属と利用範囲を明確に切り分けておくことが重要です。
将来の二次利用オプションを織り込む交渉術
動画制作の初回発注時に、「将来的にWeb広告への転用も検討している」と伝えておくことで、出演者選定や契約条件の段階から対応しやすくなります。制作会社やフリーランスクリエイターの中には、あらかじめ二次利用込みのオプション価格を提示してくれるところもあり、後から個別交渉するよりも割安になるケースが多いです。
初回契約時に二次利用オプションを含めた見積もりを取っておけば、当初費用に5万円から10万円程度上乗せするだけで、1年間のWeb広告利用権を確保できるケースもあります。後から追加交渉するよりも、トータルコストを抑えられる可能性が高い方法です。
依頼先選びで失敗しないためのポイント
二次利用のトラブルを避けるためには、動画制作の依頼先選びも重要な要素です。
制作会社に依頼する場合の注意点
制作会社に依頼する場合、契約書のひな形がしっかりしていることが多く、著作権や利用範囲について明確な取り決めがされやすい傾向があります。一方で、制作会社を通す分、仲介手数料が上乗せされ、費用は総じて高くなりがちです。
フリーランスクリエイターに直接依頼する場合の注意点
フリーランスの映像クリエイターや出演者に直接依頼する場合は、代理店や制作会社を挟まない分、中間マージンが発生せず、同じ予算でより多くの制作費や出演料に充てられるというメリットがあります。ただし、契約書の整備がクリエイター個人の経験に依存する部分があるため、発注者側が主体的に契約内容を確認し、必要な条項を盛り込む姿勢が求められます。
筆者が実際に動画制作を発注した際の経験では、初めて外注したときに見積もりの比較を怠り、契約書に利用期間の記載がないまま制作を進めてしまったことがあります。半年後にWeb広告への転用を検討した際、出演者側から「当初の契約に二次利用の記載がない」と指摘され、想定外の追加交渉に時間を取られました。この経験から、契約書の細部まで確認する重要性を痛感しました。
業務範囲の決め方
依頼時には、以下の業務範囲を明確にしておくと後々のトラブルを防げます。
・撮影から編集までの制作範囲 ・出演者との契約交渉を誰が担当するか(制作会社か、発注者自身か) ・二次利用が発生した場合の連絡フローと費用負担の取り決め ・動画データの納品形式と保管期間
メリットとデメリットを整理する
動画の二次利用には、発注者にとってのメリットとデメリットの両面があります。
メリット
・一から動画を作り直すよりも制作費を抑えられる ・既存の動画のクオリティを別の媒体でも活かせる ・ブランドイメージの一貫性を保ちやすい
デメリット
・出演者への追加費用が発生し、想定外のコストになりやすい ・契約書に二次利用の記載がない場合、交渉に時間がかかる ・利用媒体によっては出演者の許諾が得られない場合もある
正直なところ、二次利用は「安く済ませられる裏技」のように語られることがありますが、実態はそう単純ではありません。追加費用の交渉や契約の確認作業には相応の手間がかかるため、最初から二次利用を見据えた契約設計をしておく方が、トータルで見て合理的だと考えます。
保険と年金に関する注意点
動画出演に関連して、意外と見落とされがちなのが出演者の労働形態に関する取り扱いです。フリーランスの出演者やモデルに継続的に出演を依頼する場合、業務委託契約なのか雇用契約に近い実態なのかによって、社会保険や厚生年金の適用関係が変わってくる可能性があります。
長期間・高頻度で特定の出演者に依頼を続ける場合、実質的な雇用関係とみなされ、社会保険の加入義務が発生するケースも報告されています。二次利用を含めた継続的な起用を検討する場合は、税理士や社会保険労務士に契約形態を確認しておくことをお勧めします。労災保険についても、出演者が業務中に負傷した場合の補償範囲を契約書に明記しておくと、トラブル時の対応がスムーズになります。
動画の著作権と二次創作の違い
二次利用としばしば混同されるのが「二次創作」です。二次利用が同じ動画素材を別の目的・媒体で使い回すことを指すのに対し、二次創作は既存の動画をもとに新たな作品を作ることを指します。
近年では自社のPRなどを動画で行っている企業も増えてきました。動画によるPRは非常に有効な方法ですが、動画利用の際には確認すべき注意点もいくつかあります。それは動画の著作権に関すること、そして動画の二次利用に関することです。そこで今回の記事では、著作権と二次利用に関して詳しく解説していきます。興味のある人は参考にしてください。
企業のPR動画をカットしてダイジェスト版を作る、複数の動画を編集して総集編を作るといった行為は、二次創作に近い扱いになる場合があります。この場合も、元の動画の著作権者や出演者の許諾が必要になるため、単純な二次利用とは別に確認しておく必要があります。
独自データから見る動画外注市場の実態
動画制作やクリエイティブ業務を外注する企業は年々増加しており、特にSNS運用と連動した動画広告の需要は拡大傾向にあります。実際に、PR・CM・SNS広告動画のお仕事では、企業のPR動画やCM、SNS広告用の動画制作に関する外注業務の実態が整理されており、二次利用を前提とした発注設計の参考になります。
また、動画編集業務そのものを外注するケースも増えており、動画編集(YouTube/TikTokなど)のお仕事では、編集作業単体を切り出して依頼する際の業務範囲の決め方が解説されています。二次利用のための素材加工(テロップの差し替え、尺の調整など)を編集者に個別依頼する場合も、業務範囲を明確にしておくことが重要です。
出演者を含む動画制作全体を依頼する際は、デザイン・動画・音楽レッスンのお仕事のように、複数の専門スキルを横断して依頼できる業務範囲を把握しておくと、制作から二次利用の交渉までを一貫して任せられる依頼先を見つけやすくなります。
20年この市場を見てきた立場から言えば、二次利用のトラブルの多くは「契約時点で将来の利用範囲を話し合っていなかった」ことに起因しています。長く付き合いが続く発注者と受注者の関係を見ていると、初回の発注時から利用範囲や将来の展開について率直に話し合っている案件ほど、後のトラブルが少ない傾向があります。
運営者として見てきた限りでは、代理店や制作会社を複数介するほど、二次利用の交渉窓口が複雑になり、追加費用の内訳も不透明になりやすいという実感があります。フリーランスの出演者やクリエイターに直接依頼する場合、交渉窓口が一本化されるため、二次利用の許諾交渉もスピーディーに進む傾向が見られます。中間マージンが乗らない直接取引は、同じ予算でより多くの制作費や出演料に充てられるだけでなく、交渉のスピードという面でも発注者にメリットをもたらします。手数料0%で直接依頼できる環境は、金額面だけでなく、こうした意思疎通のしやすさという質の面でも発注者の負担を軽減してくれます。
動画編集の仕事に興味を持つ層の広がりについては、YouTube動画編集の副業の始め方|未経験から案件を取るまでの手順でも触れられている通り、副業として動画編集に参入する人材が増えています。発注者にとっては、こうした人材プールの拡大が、直接依頼の選択肢を広げる追い風になっています。
一方で、動画制作の脚本部分を専門的に依頼したいケースでは、シナリオライターのフリーランス案件|ゲーム・動画の脚本で稼ぐ方法で紹介されているような専門人材への依頼も選択肢に入ります。脚本段階から二次利用を見据えた構成にしておくことで、後の転用がスムーズになる場合もあります。
費用を抑えるための実務チェックリスト
最後に、二次利用に関わる出演料交渉で費用を抑えるための実務ポイントを整理します。
・初回発注時に将来の二次利用の可能性を伝え、オプション価格を確認する ・利用媒体と利用期間を具体的に絞り込んでから交渉に入る ・出演人数が多い動画ほど、二次利用コストが人数分積み上がる点を織り込む ・契約書に著作権の帰属と利用範囲を明記し、口頭合意だけで済ませない ・継続的な起用の場合は社会保険や労災の取り扱いも確認しておく ・代理店を複数介さず、交渉窓口を一本化することで手続きを簡素化する
動画の二次利用は、正しい手順を踏めば決して難しい交渉ではありません。契約書の整備と、出演者側との率直なコミュニケーションさえ押さえておけば、追加費用を最小限に抑えながら、既存の動画資産を無駄なく活用できます。
公的機関・関連参考情報
本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 動画の二次利用に出演者の許諾は必ず必要ですか?
基本的には必要です。当初の契約範囲を超えて動画を利用する場合、出演者の肖像権に関わるため、事前の許諾と追加費用の交渉が必須になります。
Q. 二次利用の追加費用の相場はどれくらいですか?
一般出演者のWeb広告転用であれば3万円から15万円程度、SNS広告への展開では10万円から30万円程度が目安です。利用期間や出演人数によって変動します。
Q. 契約書に二次利用の記載がない場合はどうすればいいですか?
出演者や制作会社に個別に連絡し、追加契約を結ぶ必要があります。無断で利用を続けると肖像権侵害のトラブルに発展するリスクがあるため、必ず事前に確認してください。
Q. フリーランスに直接依頼すると二次利用の交渉は楽になりますか?
交渉窓口が一本化されるため、代理店を複数介する場合よりもスムーズに進みやすい傾向があります。中間マージンが発生しない分、予算面でもメリットがあります。
無料で案件を掲載する
入力は3分ほど。掲載料も取引手数料も0円です。@SOHOに登録しているフリーランス・副業ワーカーから、早ければ当日中に最初の応募が届きます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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