タイミーの単発の仕事|勤め先での扱いが分かれるところ


この記事のポイント
- ✓就業規則のどの文言が単発の仕事に当てはまるのかを
- ✓雇用契約と業務委託の違いから読み解きます
- ✓勤め先へ申告が要る場面と要らない場面の線引き
「タイミーって、副業扱いになるんでしょうか」。このご相談、ここ2年で本当に増えました。多くの方が引っかかっているのは、お金の話より前の部分です。つまり、あれは「バイト」なのか「単発の請負」なのか。会社に言わないといけない種類のものなのか。そこがはっきりしないまま、なんとなく不安だけを抱えている方がとても多いんです。
大丈夫ですよ。この線引きには、ちゃんと答えがあります。結論から言うと、タイミーで受ける仕事は現在すべて雇用契約であり、就業規則上は「アルバイト」「兼業」として扱われるのが原則です。業務委託やフリーランスの仕事とは、法律上の位置づけがまったく違います。この記事では、なぜそうなるのか、勤め先にはどう伝えればいいのか、そして自分の契約がどちらなのかを自力で見分ける方法まで、順番にお話しします。
スキマバイトが「副業扱い」で語られるようになった背景
まず、なぜこの疑問がこれほど多く生まれているのかを整理しておきます。ここを理解しておくと、就業規則を読むときの目のつけどころが変わります。
厚生労働省は2018年にモデル就業規則を改定し、それまで「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」としていた規定を削除して、副業・兼業を原則認める方向へ舵を切りました。あわせて「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表され、企業側が副業を管理するうえでの考え方が示されています。この流れを受けて、多くの企業が就業規則を書き換えました。
ただ、書き換えた企業の多くが採用したのは「全面自由」ではなく「届出制」または「許可制」です。つまり、やってもいいけれど会社に伝えてください、という形です。ここで問題になるのが、「何を伝えるべき副業とみなすか」の定義でした。就業規則の条文は、たいてい「他の会社に雇用される場合」「事業を営む場合」といった書き方をしています。この文言に、スキマバイトが当てはまるのかどうか。ここが今回のテーマの核心です。
もうひとつの背景が、スキマバイトサービス自体の性質の変化です。この種のサービスが登場した初期には、業務委託契約で単発の作業を発注する形態と、直接雇用のアルバイトを短時間で成立させる形態が混在していました。ところが労働法上の保護や労災の適用をめぐる論点が整理されるにつれて、主要なサービスは雇用契約に一本化していきます。タイミーも現在は、掲載されている案件がすべて企業と働き手の直接雇用として成立する設計になっています。
つまり、数年前のネット記事を読んで「あれは業務委託だから副業に当たらない」と理解している方がいたとしたら、その前提はすでに古いということです。ここを更新しないまま就業規則を読むと、判断を丸ごと間違えます。
雇用契約と業務委託は何がどう違うのか
「副業扱いになるか」を自分で判断できるようになるには、この2つの違いを押さえるのが一番の近道です。名称ではなく実態で判断されるという点も含めて、丁寧に見ていきます。
契約形態を分ける5つの判定軸
労働基準法上の「労働者」に当たるかどうかは、契約書のタイトルではなく働き方の実態で判断されます。実務でよく使われる判定軸は次の5つです。
| 判定軸 | 雇用契約(労働者) | 業務委託(個人事業主) |
|---|---|---|
| 仕事の依頼を断れるか | 原則断れない | 断る自由がある |
| 業務の進め方 | 指揮命令を受ける | 自分の裁量で決める |
| 勤務時間・場所 | 拘束される | 原則自由 |
| 報酬の性質 | 働いた時間に対して支払う | 成果物や役務に対して支払う |
| 代わりの人を立てられるか | 立てられない | 立てられる場合がある |
タイミーの案件をこの表に当てはめると、答えは明白です。開始時刻と終了時刻が決まっていて、現場の担当者から指示を受けて働き、報酬は時給で計算されます。5つすべてが雇用契約側に振れます。だからこそサービス側も、労働条件通知書の交付や労災保険の適用を前提とした設計になっているわけです。
逆に、在宅で受けるデータ入力やライティングの案件は、納期までに成果物を出せば作業時間も場所も自由で、報酬は成果物単位です。こちらは業務委託になります。同じ「副業」という言葉でくくられていても、法的な扱いはまるで別物なんです。
名称で判断してはいけない理由
私がカウンセリングでよくお伝えするのは、「契約書の題名を信じすぎないでください」ということです。過去には、実態は完全にアルバイトなのに「業務委託契約書」という書面を交わし、労災も残業代も発生しない扱いにされていた、という相談を受けたことがあります。このケースでは、勤務シフトが会社側から一方的に指定され、制服の着用も義務づけられていました。実態としては労働者です。
行政も裁判所も、この点は一貫して実態で判断します。ですから、あなたが自分の副業を「これは副業扱いになるのか」と考えるときも、書面の題名ではなく、上の5つの軸で自分の働き方を当てはめてみてください。それが一番確かです。
スキマバイトは「兼業」、在宅ワークは「副業」という感覚のズレ
言葉の使い方も混乱の一因になっています。日常会話では「副業」がすべてを指す言葉として使われますが、就業規則の条文はもっと細かく書き分けていることが多いんです。
よくあるのは、次の3つに分けて規定するパターンです。第一に、他の会社等に雇用されて働く場合。第二に、自ら事業を営む場合、または個人事業主として業務を受託する場合。第三に、役員に就任する場合。タイミーの仕事は第一の類型に、そのまま当てはまります。在宅で受ける業務委託の仕事は第二の類型です。
この書き分けを知っていると、就業規則を読むときに迷いません。「他の会社に雇用される場合は事前に届け出ること」と書いてあれば、タイミーは届出が必要だとすぐ判断できます。
就業規則を読むときの3つのチェックポイント
ここからは、実際に自分の勤め先の規定をどう読むかという話に入ります。相談を受けていて感じるのは、多くの方が就業規則を一度も開いたことがないまま不安になっている、ということです。まずは開いてみましょう。
許可制か届出制か、それとも禁止か
副業に関する条文は、大きく3つのタイプに分かれます。
許可制は、「あらかじめ会社の許可を得なければならない」という書き方です。この場合、無断で始めると規定違反になります。金額の大小や勤務時間の長短は関係ありません。1日3時間の仕事でも、許可を取っていなければ形式的には違反です。
届出制は、「あらかじめ会社に届け出ること」という書き方です。会社の判断を待つ必要はなく、伝えれば足ります。実務ではこちらが増えています。
原則禁止型は、「会社の業務に支障をきたす他の業務に従事してはならない」といった書き方をします。この場合、支障の有無が争点になるため、事前に相談しておくほうが安全です。
判断が保留される「除外規定」を探す
もうひとつ見ておきたいのが、許可しない場合の条件を列挙した部分です。厚生労働省のモデル就業規則では、労務提供上の支障がある場合、企業秘密が漏洩する場合、会社の名誉や信用を損なう場合、競業により企業の利益を害する場合の4つが挙げられています。
この列挙は実務上とても重要です。というのも、スキマバイトが問題になりやすいのはほぼ第一の類型、つまり労務提供上の支障だからです。深夜帯の倉庫作業を本業の前日に入れて、翌朝の勤務に影響が出た。こういうケースは実際に起きています。逆に言えば、休日の日中に数時間だけ働くようなスケジュールなら、この条件に触れる可能性は低くなります。
就業規則が見つからないときの対処
「そもそも就業規則を見たことがない」という方も少なくありません。常時10人以上の労働者を使用する事業場には就業規則の作成と周知が義務づけられています。社内ポータルに掲載されている、総務部に紙で備え付けてある、といった形で必ずどこかにあります。周知されていない就業規則は効力が争われる余地がありますが、だからといって無断で始めていいという話にはなりません。
見つからない場合は、総務や人事に「副業に関する規定を確認したい」と聞けば大丈夫です。この聞き方なら、実際に始めるかどうかを表明せずに情報だけ得られます。
勤め先に申告するとき、何をどう伝えるか
ここが一番緊張する場面だと思います。「言ったら何か言われるんじゃないか」という不安は、とてもよく分かります。でも、伝え方の型を知っておくと驚くほど楽になります。
申告書に書く項目は決まっている
多くの会社の副業届には、次のような項目が並びます。就業先の名称、業務内容、契約形態、勤務日と時間帯、開始予定日。この5項目です。
ここでスキマバイトが少し扱いにくいのは、就業先が毎回変わるという点です。今週は飲食店、来週は物流倉庫、というように単発で切り替わります。会社側のフォーマットが「継続的な副業」を前提に作られていると、どう書けばいいか迷います。
実務的には、「スキマバイトサービスを通じた単発のアルバイト」と業務類型で書き、想定する頻度と時間帯を添えるのが分かりやすい伝え方です。たとえば「月4回程度、土日の日中のみ、1回あたり4時間から6時間」といった形です。会社が知りたいのは、本業に支障が出ないかどうかと、競合他社で働いていないかどうか。この2点が伝われば十分です。
競業に当たらないかを先に確認する
意外と見落とされがちなのが、競業避止の観点です。たとえば本業が小売業の方が、競合するチェーン店の店舗業務に入る。あるいはメーカー勤務の方が、同業他社の物流倉庫に入る。この2つは、金額の大小に関わらず問題になりやすい組み合わせです。
タイミーの案件は業種の幅が広く、飲食、物流、小売、イベント、介護補助まで多岐にわたります。案件を選ぶ段階で「本業と業界が重ならないか」を意識しておくと、申告のときに説明が楽になります。
相談は「始める前」が圧倒的に楽
私がお伝えしている原則はひとつです。始める前に伝えてください。事後になると、内容が同じでも受け止められ方が変わります。隠していたのではないかという印象がつくと、その後の説明にエネルギーがかかります。
「休日に体を動かす仕事を少しやってみたいのですが、規定上どう扱われますか」。この一文で構いません。相談という形にしておけば、規定の確認と意思表示を同時にできます。
労働時間の通算という、見落とされやすい論点
ここは、契約形態が雇用だからこそ発生する話です。業務委託にはない、雇用契約に固有の論点なので、しっかり押さえてください。
労働基準法38条の考え方
労働基準法は、事業場を異にする場合であっても労働時間に関する規定の適用については通算する、と定めています。つまり、本業と副業がどちらも雇用契約である場合、両方の労働時間を合算して法定労働時間を超えているかどうかを判断するわけです。
法定労働時間は原則として1日8時間、週40時間です。本業で週40時間働いている方が、土曜日に6時間のスキマバイトを入れると、その6時間はすべて法定外労働に該当します。
割増賃金は誰が負担するのか
ここで多くの方が「では割増賃金は誰が払うのか」と疑問に思われます。厚生労働省のガイドラインでは、原則として、時間的に後から労働契約を締結した使用者が割増賃金を支払うという整理がされています。つまり、後から契約したスキマバイト側の企業が負担する形になります。
この仕組みがあるため、企業側は副業を届出制にして労働時間を把握したがるんです。「会社が副業を知りたがるのは監視のためだ」と感じてしまう方もいますが、実際には法令上の責任を果たすために必要な情報という側面が大きい。ここを理解しておくと、申告に対する心理的な抵抗がだいぶ和らぎます。
なお、業務委託で在宅ワークをする場合は、この通算の対象になりません。労働者ではないため労働時間規制の枠外だからです。同じ「副業」でも、契約形態が違うと会社側の管理負担がまったく変わる。これが、企業によって在宅の業務委託は届出だけ、他社での雇用は許可制、と扱いを分けている理由でもあります。
社会保険はどう扱われるか
社会保険についても触れておきます。健康保険と厚生年金保険は、事業所ごとに加入要件を判定します。副業先で週の所定労働時間などの要件を満たすと、両方の事業所で被保険者になり、二以上事業所勤務届を提出して保険料を按分する手続きが必要になります。
ただ、スキマバイトのように単発かつ短時間の勤務では、この要件に達することはまずありません。1日限りの勤務で継続的な雇用見込みがない場合、そもそも適用除外の範囲に入ります。雇用保険についても、原則として主たる賃金を受ける事業所ひとつでの加入となるため、副業先で重ねて加入することはありません。
つまり社会保険の面では、単発のスキマバイトが本業に影響を及ぼす場面はほとんどないということです。ここを心配されている方は多いのですが、安心していただいて大丈夫です。
税務上はどう扱われるか
契約形態の違いは、税金の計算方法にも直結します。ここでは制度の細部ではなく、契約形態によって何が変わるかという軸で整理します。
給与所得と雑所得では、そもそも入口が違う
タイミーの仕事は雇用契約なので、受け取る報酬は給与所得です。企業側が源泉徴収を行い、年末には源泉徴収票が発行されます。
一方、在宅で受ける業務委託の報酬は、原則として雑所得または事業所得です。こちらは経費を差し引いて所得を計算します。
この違いは、確定申告の要否を考えるときの出発点になります。給与所得は経費を引く仕組みがないため、受け取った額がほぼそのまま所得になります。業務委託なら、パソコンや通信費など業務に必要な支出を経費にできます。
「20万円ルール」を正しく理解する
よく聞く「20万円以下なら申告不要」という話も、契約形態を踏まえないと誤解を生みます。この規定は、給与を1か所から受けていて、その他の所得の合計額が20万円以下である場合に、所得税の確定申告を要しないというものです。
ここでの注意点は2つあります。第一に、この特例は所得税に関するものであり、住民税は別です。住民税は原則として金額にかかわらず申告が必要になります。第二に、給与を2か所以上から受けている場合には、別の判定基準が適用されます。タイミーは給与所得ですから、本業の給与と合わせて2か所以上から給与を受け取っている状態になります。
こうした前提の違いを整理せずに「20万円以下だから大丈夫」と考えると、あとで慌てることになります。実際に、ある専門家メディアではこの点を次のように整理しています。
確定申告が不要なケース: ・タイミーの年間収入が20万円以下で、他に副業所得がない場合(源泉徴収の対象となっている場合に限る) 出典: all-senmonka.jp
条件が細かく付いていることが分かります。「源泉徴収の対象となっている場合に限る」という但し書きは、まさに雇用契約であることを前提にした記述です。制度の詳細は国税庁の情報で確認するのが確実です。
年末調整との関係
もうひとつ、雇用契約ならではの論点があります。年末調整です。給与所得者は通常、主たる勤務先で年末調整を受けます。副業先にも給与があると、その分は年末調整の対象外となり、確定申告で合算する必要が出てきます。
このとき提出する書類のひとつが「給与所得者の扶養控除等申告書」です。この書類は1か所にしか提出できません。本業に提出しているはずですから、副業先には提出しません。結果として副業先の源泉徴収は乙欄という高めの税率で行われ、多く引かれた分は確定申告で精算されます。「思ったより手取りが少ない」と感じる方が多いのは、この仕組みによるものです。
「会社に知られるかどうか」も契約形態で経路が変わる
副業扱いになるかという問いの裏側には、たいてい「知られたくない」という気持ちがあります。この不安は自然なものです。ただ、仕組みを知らないまま抱えると、必要以上に大きくなります。ここでは経路を分解して整理します。
住民税の通知という経路
給与所得者の住民税は、通常、勤め先の給与から天引きされます。これを特別徴収と呼びます。市区町村は、その方の前年の所得を合計して住民税額を計算し、その通知を主たる勤め先に送ります。このとき、副業分の所得が合算された結果として税額が上がっていると、勤め先の担当者が気づく可能性があります。
ここで重要なのが契約形態です。給与所得については、原則として特別徴収の対象になります。つまり本業の給与と合算されて処理されやすい。一方、雑所得や事業所得については、確定申告書の住民税に関する事項で「自分で納付」を選べる自治体が多く、副業分だけを普通徴収に切り替えられる場合があります。
雇用契約のスキマバイトは前者に当たるため、住民税の経路で完全に切り離すのは難しいと理解しておくのが現実的です。あるまとめでは、この点を含めて向いていない人の条件が整理されています。
次にタイミー利用に向いていない人・副業が禁止されている人→自分で確定申告を行って、本業の勤務先+増えた収入分に対する住民税を別途納めれば勤務先にバレることはほぼありませんが、リスクを感じる方はやめておきましょう。・新しいことを覚えたり、臨機応変に動いたりするのが苦手な人・いろいろな人とかかわるのが苦手な人→タイミーなどのスポットバイトよりもウーバーイーツ宅配員などのほうが向いているかもしれません。 出典: note.com
社会保険と雇用保険という経路
前の章で触れたとおり、単発かつ短時間の勤務では社会保険の加入要件に達しないのが通常です。したがって、この経路から情報が伝わることは基本的にありません。雇用保険も主たる事業所ひとつでの加入が原則なので、同じく心配は少ないと言えます。
結局のところ、隠すより整えるほうが早い
私がご相談を受けていて一番よく感じるのは、「隠すためのエネルギー」が本人を消耗させているということです。シフトを入れるたびに人目を気にして、年明けが近づくたびに不安になる。この状態が1年続くと、副業で得たものより失うもののほうが大きくなりかねません。
就業規則が届出制なら、届け出れば終わります。許可制でも、休日の日中に月4回程度という条件なら、労務提供上の支障を理由に不許可となる可能性は低いはずです。まず規定を確認して、当てはまる手続きを踏む。遠回りに見えて、これが一番早い道です。
公務員の場合は前提が違う
なお、公務員の方は民間企業と前提が異なります。国家公務員法と地方公務員法に営利企業への従事制限が定められており、任命権者の許可がなければ報酬を得て事業や事務に従事できません。この制限は契約形態を問わず適用されるため、雇用か業務委託かという区別以前の問題になります。所属先の人事担当に事前確認するのが必須です。
自分に向いているかを、契約形態から考える
制度の話が続いたので、少し目線を変えます。副業扱いになるかどうかを気にする以前に、そもそもどちらの働き方が自分に合っているかという視点も大切だと思うんです。
雇用契約のスキマバイトには、独特の良さがあります。その日で完結すること、指示を受けて動けばいいこと、時給が明確なこと。この3つは、初めて副業に踏み出す方にとって心理的なハードルを大きく下げてくれます。ある体験記では、この向き不向きが次のように整理されていました。
・好奇心旺盛で、いろいろな仕事をしてみたい人・いろいろな人とかかわるのが好き人→タイミーは基本的に単発バイトです。短くて1時間、長くても1日で終わりです。向いていないな~と思っても、今日だけの我慢!と思えばだいたいのことは乗り越えられると思います。逆に楽しいなと感じたら、バイトに応募してみてWワークするのも良いかもしれません! 出典: note.com
一方で、この形態には構造的な制約もあります。時間を売る働き方なので、収入は稼働時間に比例します。移動時間も必要です。そして何より、契約形態が雇用である以上、労働時間の通算という会社側の管理対象になります。
業務委託の在宅ワークは逆の性質を持ちます。立ち上がりに時間がかかり、最初は単価も低い。けれども、続けるほど作業効率が上がり、同じ時間でこなせる量が増えていきます。会社側の管理対象という意味でも、他社への雇用ではないため申告のハードルが低い企業が多い。
私がカウンセリングで見てきた限りでは、「体力的に無理のない範囲で気分転換もしたい」という方はスキマバイト型が合い、「将来的に働き方の選択肢を増やしたい」という方は業務委託型を選ぶ傾向がありました。どちらが優れているという話ではなく、目的が違うだけです。
契約形態を自分で確かめる4ステップ
最後に、実際に自分の副業が「どちらなのか」を確かめる手順をまとめます。この手順は、スキマバイトに限らず、これから受けるあらゆる副業に使えます。
ステップ1:契約書または利用規約で契約の種類を確認する
働き始める前に必ず出てくる書面があります。雇用契約なら労働条件通知書、業務委託なら業務委託契約書または発注書です。労働条件通知書には、契約期間、就業場所、始業終業時刻、賃金の計算方法、といった項目が並びます。これが出てくれば雇用契約です。
ステップ2:源泉徴収の欄を見る
報酬の支払明細を見ると、雇用契約なら「所得税」として源泉徴収された額が引かれています。業務委託の場合は、報酬の種類によって10.21%の源泉徴収がされるものと、まったくされないものがあります。この差でも見分けがつきます。
ステップ3:年明けに届く書類の名称を見る
雇用契約なら源泉徴収票、業務委託なら支払調書が届きます。名称が違うので、これが一番はっきりした証拠になります。ただし支払調書は発行義務がない場合もあるため、届かない年もあります。
ステップ4:就業規則の該当条文に当てはめる
ここまでで契約形態が確定したら、就業規則の条文に当てはめます。雇用契約なら「他の会社等に雇用される場合」の条文、業務委託なら「事業を営む場合」または「業務を受託する場合」の条文です。当てはまる条文が届出制なら届出を、許可制なら許可申請を出します。
この4ステップを踏めば、迷う余地はほぼなくなります。逆に、この確認を飛ばしたまま「たぶん大丈夫」で始めてしまうと、あとから説明に苦労することになります。
独自データから見える、副業選びのもうひとつの視点
在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から、ひとつお伝えしておきたい観察があります。
20年この市場を見てきて感じるのは、長く続く人ほど「単発の作業」ではなく「この人に任せると楽」という関係づくりに時間を使っている、ということです。単発のスキマバイトは、その日で完結するぶん気楽です。けれど、翌月また同じ量の時間を投入しないと同じ収入にはなりません。一方で業務委託の在宅ワークは、最初の数か月は単価も案件数も伸びませんが、依頼者との関係が固まってくると、探す時間そのものが減っていきます。
もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなことがあります。中間マージンが乗らない直接取引は、依頼者と受け手の双方に効きます。依頼者は同じ予算でより多くを頼めるようになり、受け手は同じ仕事でも手取りが厚くなる。手数料0%という条件は、金額の大小の話に見えて、実際には「同じ働きに対して残る額の質」の話です。仲介手数料が20%差し引かれる環境と、まったく差し引かれない環境では、続けたときの体感がまるで違ってきます。
では、雇用契約のスキマバイトから業務委託へ視野を広げるとき、どんな分野を見ればいいのか。市場データから見えてくる方向をいくつか挙げておきます。
事業会社が外部に依頼する領域として伸びているのが、AIの業務活用まわりです。社内でツールを導入したものの使いこなせていない企業が多く、設計や運用の支援を外部に求めるケースが増えています。この領域の全体像はAIコンサル・業務活用支援のお仕事にまとまっていて、求められる役割の幅が確認できます。技術と広告運用、情報セキュリティが重なる分野の動きはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で整理されています。開発系の実務経験がある方であればアプリケーション開発のお仕事が最も直接的な選択肢になります。
単価の水準を知りたい場合は、職種別の相場データを見るのが早道です。開発職の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場に、文章を扱う仕事の水準は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっています。どちらも公的統計をもとにした職種別の数値なので、時給換算したスキマバイトの水準と並べて比較すると、自分の時間の使い方を考える材料になります。
資格を足がかりにしたい方には、事務系ならビジネス文書検定、インフラ系ならCCNA(シスコ技術者認定)が入口になります。どちらも実務との距離が近く、取得後に何ができるようになるかが分かりやすい資格です。
働き方の実像をつかみたい方には、実際の生活リズムを追った記事が参考になります。在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開では、家事や育児と在宅の仕事をどう配置しているかが時間帯ごとに書かれています。作業効率の面では在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが実践的で、限られた時間で成果を出すための具体策が並びます。案件の探し方そのものに不安がある方は在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説から始めると、避けるべき求人の見分け方も含めて把握できます。
副業扱いになるかどうかという問いは、突き詰めれば「自分の働き方を自分で説明できるか」という問いでもあります。契約形態が分かっていれば、就業規則のどの条文に当てはまるかが分かり、勤め先に何を伝えればいいかが分かり、年明けに何を申告すればいいかも分かります。逆に、そこが曖昧なままだと、すべての段階で不安が残り続けます。
不安の正体は、たいてい「知らないこと」そのものです。契約書を一度読んで、就業規則を一度開いて、支払明細の源泉徴収欄を一度見る。この3つをやるだけで、抱えていたもやもやの大半は輪郭を持ち、対処できるものに変わります。あなたは一人で判断しなくていいんです。会社の総務にも、税務署の相談窓口にも、聞いていい仕組みがちゃんと用意されています。
よくある質問
Q. タイミーの仕事は業務委託ではないのですか?
現在は掲載されている案件がすべて企業との直接雇用として成立する設計になっており、雇用契約に当たります。勤務時間が指定され、現場の指示を受けて働き、報酬が時給計算である点が根拠です。したがって就業規則上は「他の会社等に雇用される場合」に該当し、在宅の業務委託とは別の条文で扱われるのが一般的です。
Q. 就業規則が届出制なら、何を書いて提出すればよいですか?
就業先の名称欄には「スキマバイトサービスを通じた単発のアルバイト」と業務類型で記載し、契約形態を雇用と明記します。あわせて想定する頻度と時間帯を添えてください。会社が知りたいのは本業に支障が出ないかと競合他社で働いていないかの2点なので、月あたりの回数と曜日、1回の時間を書けば十分です。
Q. 労働時間が通算されると、本業に迷惑がかかりますか?
本業と副業がどちらも雇用契約の場合は労働時間が通算されますが、法定労働時間を超えた分の割増賃金は、原則として後から契約した副業先が負担する整理になっています。本業の負担が直接増えるわけではありません。ただし会社は労働時間の把握義務を負うため、申告を求められる点は理解しておいてください。
Q. 年間20万円以下なら何も手続きしなくてよいですか?
所得税の確定申告が不要になる可能性はありますが、住民税は原則として金額にかかわらず申告が必要です。またこの特例は給与を1か所から受けている場合を前提としており、本業と副業の2か所から給与を受け取る状態では判定基準が変わります。源泉徴収票が届いたら金額を確認し、迷う場合は税務署の相談窓口で確認してください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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