在宅ワーク 確定申告 やり方 2026|副業所得の申告手順を初心者向けに

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
在宅ワーク 確定申告 やり方 2026|副業所得の申告手順を初心者向けに

この記事のポイント

  • 在宅ワークの確定申告のやり方を2026年版で初心者向けに解説
  • いくらから申告が必要か
  • e-Taxでの提出方法まで

結論から言います。在宅ワークの確定申告は、「自分が申告義務に当てはまるかを判定する」「収入と経費を1年分集計する」「申告書を作って提出する」の3ステップで終わります。難しそうに見えるのは、自分のケースがどのパターンに当てはまるのか分かりにくいからです。本記事では「在宅ワーク 確定申告 やり方 2026」というテーマで、専業か副業か、いくらから申告が必要か、何が経費になるのかを、2026年提出分(2025年分の所得)の最新ルールに沿って整理します。

正直なところ、ネット上の確定申告解説は「とりあえず申告ソフトを使えば全部解決します」で終わっているものが多く、自分が本当に申告すべきなのかという一番の疑問に答えていないものが目立ちます。本記事では、まず判定から入り、手を動かす順番どおりに解説します。読み終わるころには、自分が何をすればいいかが具体的なタスクとして見えているはずです。

在宅ワークの確定申告をめぐる2026年の現状

在宅ワークや副業に取り組む人は年々増えています。総務省の労働力調査などでも、本業を持ちながら副業・兼業を行う人の割合は緩やかに上昇傾向が続いており、クラウドソーシングや業務委託で収入を得る働き方が一般化してきました。それに伴って、「会社員だけど確定申告が必要になった」という人が確実に増えているのが、2026年提出シーズンの特徴です。

一方で、税制側にも大きな変化がありました。2025年度の税制改正により、基礎控除と給与所得控除が見直され、いわゆる「年収の壁」が引き上げられています。これにより、扶養の範囲や申告義務の判定ラインが従来と変わっているため、「去年は申告不要だったから今年も不要」という思い込みが通用しなくなっています。2024年分まで48万円だった基礎控除の基準が、2025年分からは95万円に引き上げられた点は、在宅ワーカーにとって特に影響の大きい変更です。

確定申告は「税金を取られる手続き」というイメージが強いですが、実際には払いすぎた税金が戻ってくる(還付される)ケースも少なくありません。源泉徴収されている報酬がある在宅ワーカーの場合、経費を差し引いた結果、申告することでお金が戻ることもあります。つまり、申告は義務であると同時に、自分を守るための手続きでもあるわけです。

この記事で扱う「在宅ワーク」には、企業から仕事を受託するクラウドワーカー、業務委託契約のフリーランス、内職、副業のWebライターやデザイナーなどが幅広く含まれます。雇用契約ではなく、成果や役務に対して報酬を受け取る形態であれば、基本的に本記事の考え方が当てはまります。

そもそも確定申告とは何か、なぜ在宅ワークで必要になるのか

確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得とそれにかかる税金を自分で計算し、税務署に申告して納税する手続きです。会社員であれば勤務先が年末調整で代わりに計算してくれますが、在宅ワークや副業の所得は年末調整の対象外です。だから自分で申告する必要が生じます。

ここで重要なのが「収入」と「所得」の違いです。混同しがちですが、税金の計算では「所得」が基準になります。

  • 収入:受け取った報酬の総額(売上)
  • 所得:収入から必要経費を差し引いた金額
  • 課税所得:所得からさらに各種控除を差し引いた、実際に税率がかかる金額

例えば在宅ワークで年間120万円の報酬を受け取り、経費が30万円かかっていれば、所得は90万円です。申告義務の判定も、税額の計算も、この「所得」をベースに行います。収入が多くても経費を引いた所得が少なければ、税負担は小さくなる仕組みです。

弥生の解説でも、在宅ワークの確定申告について次のように整理されています。

ここでは、内職や在宅ワークで確定申告が必要になるケースや、確定申告のやり方、必要経費になる費用などについて解説します。

つまり、在宅ワークの確定申告で押さえるべき論点は、「必要になるケース」「やり方」「経費」の3つに集約されます。本記事もこの順番で深掘りしていきます。

在宅ワークで確定申告が必要になる人・不要な人

最初に判定すべきは「自分は申告義務があるのか」です。ここを間違えると、不要なのに慌てて申告したり、必要なのに放置して追徴課税を受けたりします。在宅ワーカーは大きく「専業型」と「副業型」に分かれ、判定ラインが異なります。

専業として在宅ワークをしている場合

会社員などの給与所得がなく、在宅ワークの収入だけで生計を立てている、あるいは在宅ワークが主な収入源になっている人を「専業型」とします。専業主婦・主夫が在宅ワークをしているケースもここに含まれます。

専業型の場合、在宅ワークの所得(収入から経費を引いた金額)が基礎控除額を超えると確定申告が必要になります。前述のとおり、2025年分からは基礎控除の基準が引き上げられているため、判定ラインも変わりました。

弥生は次のように説明しています。

内職や在宅ワークを専業にしている方は、所得金額が95万円(2024年分までは48万円以下)を超えたら確定申告が必要です。例えば、報酬額が毎月10万円ある方であれば、年間収入は120万円となります。

つまり、専業で在宅ワークをしている場合、所得が95万円を超えるかどうかが2026年提出分の判定ラインの目安になります。毎月10万円前後を安定して稼いでいる人は、経費次第ではありますが、申告義務が発生する可能性が高いと考えておくべきです。

ただし、所得が判定ライン以下でも、住民税の申告が別途必要になるケースがあります。所得税の確定申告をすれば住民税のデータも自治体に連携されますが、所得税の申告が不要な場合でも、お住まいの自治体に住民税の申告が必要になることがあるため、迷ったら市区町村の窓口に確認するのが確実です。

副業として在宅ワークをしている場合

本業として会社などに勤めて給与を受け取りながら、別に在宅ワークをしている人が「副業型」です。会社員が休日や夜間にWebライティングやデザインの仕事を受けているケースが典型例です。

副業型の判定ラインは専業型と異なります。給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる会社員の場合、給与以外の所得(副業の所得)の合計が20万円を超えると確定申告が必要です。

副業として内職や在宅ワークをしている方は、副業の合計所得が20万円を超えたら確定申告が必要です。本業として会社員などで給与を受け取っている方が、別途、内職や在宅ワークをしているケースが該当します。

ここで注意したいのは、この20万円は「収入」ではなく「所得」だという点です。副業で年間30万円を受け取っていても、経費が15万円かかっていれば所得は15万円となり、所得税の確定申告は不要になります。

もう1点、見落としがちな落とし穴があります。所得税の「20万円以下なら申告不要」というルールは、あくまで所得税についての特例です。住民税にはこの特例がありません。したがって、副業所得が20万円以下で所得税の確定申告をしない場合でも、住民税の申告は別途必要になります。「20万円以下なら何もしなくていい」と誤解している人がとても多いのですが、これは正直なところ危険な思い込みです。

確定申告が不要でも、申告した方が得になるケース

申告義務がない場合でも、申告した方が得をするケースがあります。代表的なのが、報酬から源泉徴収されている在宅ワーカーです。

Webライターやデザイナー、士業などへの一部の報酬は、支払い側が10.21%(原則)の所得税を源泉徴収して支払うことがあります。報酬明細を見て、額面より少ない金額が振り込まれている場合、源泉徴収されている可能性が高いです。この源泉徴収額は「先に納めた所得税」なので、確定申告で経費や控除を反映した結果、納めるべき税額より多く源泉徴収されていれば、その差額が還付されます。

申告義務がないからと放置すると、本来戻ってくるはずのお金を取り逃すことになります。源泉徴収されている在宅ワーカーは、義務の有無にかかわらず申告を検討する価値があります。

申告義務があるのに申告しなかった場合のリスク

申告が必要なのにしなかった場合、ペナルティが課されます。代表的なのが無申告加算税と延滞税です。無申告加算税は、本来納めるべき税額に対して一定割合が上乗せされるもので、税額の規模に応じて15%から20%程度(条件により変動)が課されます。さらに、納付が遅れた期間に応じて延滞税も発生します。

意図的に所得を隠したと判断されれば、より重い重加算税の対象になることもあります。在宅ワークの報酬は支払い側が税務署に支払調書を提出しているケースが多く、「黙っていれば分からない」は通用しません。きちんと申告するのが、結局は一番コストの低い選択です。

在宅ワークの確定申告のやり方【5ステップ】

ここからが本題の「やり方」です。確定申告は、手順を分解すれば難しくありません。在宅ワーカーが押さえるべき流れを5つのステップに整理します。

ステップ1:申告に必要な書類を揃える

まず、申告に必要な書類を集めます。年明けすぐに動けるよう、年内から少しずつ準備しておくのが理想です。在宅ワーカーが用意すべき主な書類は次のとおりです。

  • 1年分の報酬がわかるもの(取引先からの支払調書、振込明細、クラウドソーシングの売上履歴など)
  • 経費の領収書・レシート・クレジットカード明細
  • マイナンバーカード(または通知カードと本人確認書類)
  • 各種控除の証明書(国民年金、国民健康保険、生命保険料、医療費、ふるさと納税の寄附金受領証明書など)
  • 還付を受ける場合は振込先の銀行口座情報
  • 副業型の会社員は、勤務先の源泉徴収票

支払調書は取引先からの発行が義務付けられているわけではないため、届かないこともあります。その場合は自分の入金記録から売上を集計すれば問題ありません。むしろ、日頃から売上と経費を記録しておくことが、確定申告を楽にする最大のコツです。

ステップ2:収入(売上)を1年分集計する

次に、1月1日から12月31日までに発生した報酬を合計します。ここで間違えやすいのが「いつの売上として数えるか」という計上のタイミングです。

原則として、入金日ではなく「仕事が完了して報酬を受け取る権利が確定した日」で計上します(発生主義)。例えば12月に納品して報酬が確定したものの、入金が翌年1月になった案件は、原則として前年(12月)の売上に含めます。年末年始をまたぐ案件は数え漏れや二重計上が起きやすいので、特に注意してください。

クラウドソーシングを使っている場合、プラットフォーム上で年間の売上レポートが出力できることが多いので、それを基礎資料にすると集計が一気に楽になります。複数のサービスやクライアントから報酬を得ている場合は、すべてを合算する必要があります。1つでも漏らすと申告漏れになります。

ステップ3:必要経費を集計する

売上を集計したら、その売上を得るためにかかった必要経費を集計します。経費を正しく計上できるかどうかで、最終的な税額が大きく変わります。経費の中身については次の大きなセクションで詳しく解説しますが、ここでは「事業のために使った費用を漏れなく拾う」ことが重要だと覚えておいてください。

経費は領収書やレシートを保存し、いつ・何に・いくら使ったかを記録します。帳簿づけが面倒に感じるなら、会計ソフトを使うのが現実的です。銀行口座やクレジットカードと連携すれば、取引を自動で取り込んで仕訳まで提案してくれるので、簿記の知識がなくても進められます。

ステップ4:申告書を作成する

売上と経費が固まったら、申告書を作成します。所得(売上−経費)を算出し、そこから基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引いて課税所得を求め、税率を掛けて所得税額を計算します。

作成方法は主に次の3通りです。

  1. 国税庁の確定申告書等作成コーナーを使う:画面の案内に沿って金額を入力すれば、税額を自動計算してくれます。e-Taxでそのまま提出も可能です。
  2. 会計ソフトを使う:日々の記帳から申告書作成まで一気通貫で行えます。青色申告をする人には特に向いています。
  3. 手書きで作成する:申告書を入手して手計算する方法。今となっては効率が悪く、計算ミスのリスクもあるため、よほどの理由がなければおすすめしません。

国税庁も会計ソフトを使った申告を後押ししており、簿記や会計の知識がなくてもオンラインで申告できる環境が整っています。初心者は、まず作成コーナーか会計ソフトのどちらかを選ぶのが無難です。

ステップ5:申告書を提出して納税(または還付)する

申告書ができたら、税務署に提出します。提出方法は3通りあります。

  • e-Taxで電子申告する:自宅から24時間提出でき、添付書類の一部を省略できるメリットがあります。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、スマホだけで完結することも可能です。
  • 郵送する:作成した申告書を所轄の税務署に郵送します。消印の日付が提出日とみなされます。
  • 税務署の窓口に持参する:申告期間中は窓口が混み合うため、時間に余裕を持って行く必要があります。

提出後、納税が必要な場合は期限までに納付します。納付方法は振替納税、ネットバンキング、クレジットカード、コンビニ納付、スマホアプリ納付など複数から選べます。還付がある場合は、指定した口座に後日振り込まれます。

申告期間は例年2月中旬から3月中旬までです。期限ぎりぎりになると作成コーナーやe-Taxが混雑して動作が重くなることがあるため、早めに着手しておくのが賢明です。

私自身、初めて在宅の仕事で確定申告をしたときは、領収書を1年分まとめて2月に整理し始めて完全に手が止まりました。封筒に突っ込んでいたレシートが何の支払いだったか思い出せず、結局いくつかを経費に入れ損ねた苦い経験があります。あの作業を1年に1回まとめてやるのは無理があると痛感し、翌年からは会計ソフトに月1回入力するようにしました。手を動かす量は変わらないのに、年度末の地獄が消えたのは大きかったです。

在宅ワークで必要経費になるもの・ならないもの

確定申告で税額を左右するのが必要経費です。経費とは「収入を得るために直接必要だった支出」を指します。在宅ワーカーが計上できる代表的な経費を見ていきましょう。

経費として認められる主な費用

在宅ワークの内容によって変わりますが、一般的に経費にできるものは次のとおりです。

  • 通信費:インターネット回線、スマートフォンの通信料(事業使用分)
  • 水道光熱費:在宅で作業する分の電気代など(事業使用分)
  • 家賃:自宅を仕事場として使っている場合の按分した家賃
  • 消耗品費:文房具、プリンターのインク、用紙など
  • 新聞図書費:仕事に必要な書籍、資料、有料情報
  • 減価償却費:パソコンなど高額な機材(取得価額により処理が異なる)
  • 支払手数料:振込手数料、クラウドソーシングのシステム利用料
  • 取材費・交通費:打ち合わせや取材のための移動費

ここで重要なのが「家事按分」という考え方です。自宅で在宅ワークをしている場合、家賃や電気代、通信費は仕事とプライベートの両方に使われています。そのうち事業に使った割合だけを経費に計上します。例えば、自宅の総床面積のうち仕事部屋が占める割合や、1日のうちネットを仕事に使う時間の割合などで合理的に按分します。

按分の割合は、なぜその割合にしたのかを説明できることが大切です。「なんとなく半分」ではなく、面積や使用時間という根拠を持って決めましょう。後から税務署に問われても説明できる状態にしておくのが、安全な経費計上の基本です。

クラウドソーシングの手数料も経費になる

見落とされがちですが、クラウドソーシングサイトに支払うシステム利用料(手数料)も立派な経費です。多くのクラウドソーシングサービスでは、報酬から16.5%から20%程度の手数料が差し引かれます。年間100万円の売上があれば、手数料だけで16.5万円から20万円が引かれる計算です。

この手数料は経費として計上できるため、申告時には必ず売上レポートで差し引かれた金額を確認しておきましょう。ちなみに、手数料そのものを減らしたいなら、業務委託マッチングサービスの中には手数料0%を掲げる在宅ワーク仲介サイトもあります。手数料は経費にできるとはいえ、そもそも引かれる額が小さい方が手取りは増えます。実績ができてきたら、手数料の低い受注経路を併用するのは合理的な選択です。

経費として認められない費用

一方で、経費にできない支出もあります。代表的なものは次のとおりです。

  • 生活費:プライベートの食費、自分や家族の衣服代
  • 事業に関係のない支出:私的な旅行、娯楽
  • 所得税・住民税:これらは経費ではない(個人として納める税金)
  • 国民年金・国民健康保険料:経費ではなく「社会保険料控除」として所得控除で処理
  • 罰金・反則金:交通違反の反則金など

特に、国民年金や国民健康保険料を経費に入れてしまうミスが多いです。これらは経費ではなく所得控除として申告します。経費は「事業のための支出」、所得控除は「個人の事情に応じた控除」と区別して覚えておくと混乱しません。

家内労働者等の必要経費の特例

在宅ワーカーにとって見逃せないのが「家内労働者等の必要経費の特例」です。これは、特定の人に対して継続的に役務を提供している人などが対象となる制度で、実際の経費が少なくても、一定額を必要経費として認めてもらえる特例です。

この特例を使うと、実際にかかった経費が特例で認められる金額より少ない場合でも、特例額を経費として計上できます。経費があまりかからない在宅ワーク(例えばデータ入力や文章作成が中心で、設備投資がほとんどない仕事)をしている人には、節税につながる可能性があります。自分が対象になるかどうかは、国税庁の案内などで条件を確認しておくとよいでしょう。詳細は国税庁の公式情報で最新の取り扱いを確認してください。

青色申告と白色申告、在宅ワーカーはどちらを選ぶべきか

確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。どちらを選ぶかで、手間と節税効果が変わります。

白色申告は、事前の届け出が不要で、帳簿づけも比較的簡易です。手軽に始められる反面、後述する青色申告特別控除のような大きな節税メリットはありません。

青色申告は、事前に「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があり、複式簿記による記帳が求められます。手間は増えますが、最大65万円の青色申告特別控除(e-Taxや電子帳簿保存などの要件を満たした場合)を受けられるなど、節税メリットが大きいのが特徴です。所得から最大65万円を差し引けるため、所得が一定以上ある人ほど効果が出ます。

正直なところ、在宅ワークを始めたばかりで所得がまだ小さいうちは、白色申告でも構いません。ただ、ある程度の所得が見込めるようになってきたら、早めに青色申告に切り替えるのが合理的です。青色申告は会計ソフトを使えば複式簿記のハードルも下がるため、「難しそう」というイメージだけで避けるのはもったいないというのが筆者の見方です。

なお、青色申告には他にも、赤字を翌年以降に繰り越せる、家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)といったメリットがあります。在宅ワークが軌道に乗ってきたら、青色申告を検討する価値は十分にあります。

確定申告ソフトとe-Taxを使った申告の効率化

確定申告を初めてやる在宅ワーカーにとって、最も現実的なのは確定申告ソフト(会計ソフト)とe-Taxの活用です。ここを押さえると、作業時間が大幅に短縮されます。

会計ソフトの最大の利点は、簿記や会計の知識がなくても申告書まで作れることです。銀行口座やクレジットカード、クラウドソーシングの売上データと連携すれば、取引が自動で取り込まれ、仕訳の候補まで提示されます。代表的なサービスとしてはfreeeマネーフォワードなどがあり、確定申告期に向けた機能が充実しています。

e-Taxは国税庁が提供する電子申告システムです。マイナンバーカードとスマートフォンがあれば、自宅から申告書の提出まで完結できます。窓口に並ぶ必要も、郵送する手間もありません。詳細な手続きはe-Taxの公式サイトで確認できます。また、申告書の作成だけなら国税庁の確定申告書等作成コーナーが無料で使え、画面の案内に沿って入力するだけで税額が自動計算されます。

ただし、ツールはあくまで作業を効率化するものであって、「自分が申告すべきかどうか」「何を経費にできるか」という判断までは肩代わりしてくれません。本記事の前半で解説した判定と経費の考え方を理解したうえでツールを使うのが、結局は一番ミスが少ない進め方です。ツールに丸投げするのではなく、自分の数字を自分で把握しておくことが大切です。

在宅ワーカーが申告で失敗しやすいポイント

ここまでの内容を踏まえ、在宅ワーカーが特につまずきやすいポイントを整理しておきます。事前に知っておくだけで、無用なトラブルを避けられます。

1つ目は、収入と所得の混同です。前述のとおり、申告義務の判定も税額計算も「所得」が基準です。収入だけを見て「20万円超えたから申告だ」と早とちりしたり、逆に「収入は多いけど経費を引けばセーフ」と楽観したりするのは危険です。必ず経費を引いた所得で判定してください。

2つ目は、住民税の申告漏れです。所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要なケースがあることは繰り返し強調しておきます。「所得税が不要=何もしなくていい」ではありません。

3つ目は、経費の按分を適当に決めてしまうことです。家賃や通信費を全額経費に入れてしまうと、税務署から指摘を受けるリスクがあります。事業で使った割合だけを、根拠を持って計上しましょう。

4つ目は、領収書やデータの保存を怠ることです。確定申告に使った帳簿や書類は、一定期間の保存義務があります。申告が終わったからといって捨ててはいけません。後から確認を求められたときに提示できるよう、整理して保管しておきましょう。

5つ目は、提出期限の管理です。申告期限を過ぎると無申告加算税や延滞税の対象になります。さらに、青色申告特別控除の満額が受けられなくなるなど、期限後申告には不利な扱いがあります。期限は必ず守りましょう。

在宅ワーク市場と確定申告から見える、これからの働き方

ここからは、在宅ワークの求人データや報酬相場という客観的な視点から、確定申告という観点で見たときの在宅ワークの今後を考察します。確定申告が必要になるということは、それだけ収入を得られるようになったということでもあります。では、どの分野で在宅ワークの収入を伸ばしやすいのでしょうか。

職種別の報酬相場を見ると、専門スキルを持つ在宅ワークほど単価が高い傾向が明確です。例えば、文章を扱う仕事の相場は著述家,記者,編集者の年収・単価相場のデータで確認できます。ライティングや編集は在宅ワークの入り口として人気が高く、確定申告が必要になる所得ラインに到達しやすい分野です。一方で、より高単価を狙うなら開発系のスキルが有利で、ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、エンジニア系職種の単価水準の高さがわかります。同じ在宅ワークでも、扱うスキルによって到達できる所得の天井が大きく違うということです。

近年特に伸びているのが、AIを活用した在宅ワークです。生成AIの普及で、企業がAIの導入支援やマーケティング活用を外部に委託するケースが増えています。例えば、企業のAI活用を支援するAIコンサル・業務活用支援のお仕事は、専門知識を持つ在宅ワーカーにとって高単価が見込める領域です。同様に、AI・マーケティング・セキュリティといった成長分野をまとめたAI・マーケティング・セキュリティのお仕事も、今後の需要拡大が予測される分野として注目されています。プログラミングスキルがある人なら、アプリケーション開発のお仕事のような開発系の在宅ワークで、安定した受注を得やすくなっています。

スキルを裏付ける資格を持っていると、受注の幅が広がります。事務系の在宅ワークを目指すなら、文書作成スキルを証明できるビジネス文書検定が役立ちます。ITインフラ系の在宅ワークに興味があるなら、ネットワークの基礎を証明できるCCNA(シスコ技術者認定)のような資格が、案件獲得の後押しになります。資格は必須ではありませんが、初対面のクライアントに対して信頼を示す材料として機能します。

そして、収入が増えてくると、確定申告そのものを専門家に任せたいというニーズも出てきます。税務の専門家である税理士に確定申告を依頼するという選択肢もあり、その費用感や選び方は税理士に確定申告を依頼する費用|相場と選び方のポイント【2026年版】で詳しく整理しています。逆に、税理士資格を持つ人にとっては確定申告代行が在宅ワークの仕事になります。その実態は税理士の副業ガイド|確定申告代行・記帳代行で稼ぐ方法【2026年版】税理士資格でフリーランス副業|確定申告代行で稼ぐ方法と注意点で解説しています。確定申告という1つのテーマも、「依頼する側」と「請け負う側」の両方の働き方を生んでいるわけです。

確定申告の手続きは、突き詰めれば「自分の働き方を数字で正確に把握する作業」です。売上と経費を毎月記録する習慣がつけば、どの案件が利益を生んでいて、どこにコストがかかっているかが見えるようになります。これは節税のためだけでなく、在宅ワークを事業として育てていくうえでの土台になります。確定申告を「面倒な義務」と捉えるか、「自分の事業を見える化するチャンス」と捉えるかで、その後の働き方の伸び方は変わってきます。2026年の申告シーズンを、自分の在宅ワークを一段成長させるきっかけにしてほしいと考えています。

よくある質問

Q. 在宅副業での収入が年間いくらを超えたら確定申告が必要ですか?

原則として、副業の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は所得税の確定申告が必要です。所得が20万円以下であっても、お住まいの自治体への住民税の申告は別途必要になる場合があるため注意しましょう。

Q. 副業の所得が20万円以下なら本当に確定申告は不要ですか?

所得税の確定申告は不要ですが、住民税の申告は市区町村に対して別途必要になります。所得税の申告を行えば住民税の手続きも自動で完了するため、将来を見据えてあえて確定申告を行うことをお勧めします。

Q. 青色確定申告のやり方は初心者でも独学でできますか?

はい、十分可能です。現在はクラウド会計ソフトが非常に進化しており、指示に従って入力するだけで複式簿記の書類が完成します。不明点はソフト内のチャットサポートや国税庁のサイトで解決できることが多いです。

Q. 会社に副業を知られたくないのですが、確定申告で対策できますか?

確定申告書の住民税の徴収方法の欄で「自分で納付(普通徴収)」を選択することで、副業分の住民税通知が会社に届かないようにすることが可能です。ただし、給与所得としての副業の場合はこの選択ができないことがあります。

Q. 副業で赤字が出た場合、確定申告をするメリットはありますか?

副業が「事業所得」として認められる場合、本業の給与所得と損益通算(赤字を差し引くこと)ができるため、源泉徴収された税金が戻ってくる可能性があります。ただし、「雑所得」の場合は損益通算ができません。

@SOHOでキャリアを加速させよう

@SOHOなら、あなたのスキルを求めているクライアントと手数料無料で直接つながれます。

@SOHOで関連情報をチェック

お仕事ガイド

年収データベース

資格ガイド

朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師

看護師

看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師

薬剤師

薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド