赤字 確定申告 個人事業主 在宅 2026|赤字でも申告すべき理由と繰越

丸山 桃子
丸山 桃子
赤字 確定申告 個人事業主 在宅 2026|赤字でも申告すべき理由と繰越

この記事のポイント

  • 赤字の確定申告は個人事業主・在宅ワーカーにとって義務ではありません
  • それでも申告すべき理由を2026年版で解説
  • 在宅特有の経費の按分まで実務目線でまとめました

在宅で個人事業を回していて、その年が赤字になった。「赤字なんだから、確定申告はしなくていいよね?」と思って手を止めていませんか。結論から言うと、赤字の個人事業主に確定申告の義務は原則ありません。ですが、申告しないことで失う金額のほうが、申告の手間より圧倒的に大きいケースがほとんどです。この記事では「赤字 確定申告 個人事業主 在宅」というテーマで、赤字でも申告すべき理由、青色申告による損失の繰越、在宅ワーク特有の経費の考え方までを2026年版で整理します。

私はアパレルブランドのEC運営支援やSNS運用を在宅で請け負っているフリーランスです。独立した最初の年、撮影機材やPC、サンプル仕入れの出費がかさんで、売上より経費が上回る「赤字」になりました。当時は「赤字だから申告しなくていい」と本気で思っていて、危うく数年分の節税チャンスを捨てるところでした。同じ落とし穴にハマる在宅ワーカーは本当に多いので、まずは前提から丁寧に共有します。

赤字でも確定申告は「義務ではない」が「すべき」が結論

最初に、いちばん多い誤解を解いておきます。所得税は「所得(もうけ)」に対してかかる税金です。赤字、つまり所得がマイナスの場合、そもそも課税される所得が存在しません。だから「赤字の個人事業主に、所得税の確定申告の義務はない」というのは法律上正しい理解です。

赤字の個人事業主に、確定申告の義務はありません。しかし得られるメリットが複数あるため、赤字でも確定申告はすべきです。

ここで大事なのは、「義務がない」と「やらないほうが得」はまったく別物だという点です。確定申告は税金を納めるためだけの手続きではありません。赤字を正しく申告しておくことで、翌年以降の黒字と相殺できたり、払いすぎた税金が戻ってきたり、各種の社会的証明として使えたりします。在宅ワークの個人事業主は開業初年度に赤字になりやすく、その初年度の赤字をどう扱うかで、その後3年分の手取りが変わってきます。

「赤字 確定申告 個人事業主 在宅」と検索する人の本当の悩みは、たいてい次のどれかです。1つ目は「赤字なら本当に申告しなくていいのか、後で怒られないか不安」。2つ目は「申告すると何か得があるなら知りたい」。3つ目は「在宅だと家賃や光熱費はどこまで経費にできるのか」。この記事はこの3つを順番に、データと実務の両面から潰していきます。結論を先に言えば、青色申告で赤字を申告し、損失を繰り越しておくのが在宅個人事業主の正解です。

そもそも「赤字」とは何か、所得との関係

ここで言う赤字とは、事業の売上(収入)から必要経費を差し引いた「事業所得」がマイナスになっている状態を指します。たとえば在宅でSNS運用代行をしていて、年間の売上が180万円、PC・カメラ・通信費・外注費などの経費が220万円だったとすると、事業所得はマイナス40万円です。これが赤字です。

注意したいのは、「銀行口座にお金が残っていない=赤字」ではないということ。生活費を使いすぎて口座が寂しくても、事業としては黒字ということは普通にあります。逆に、口座にお金があっても、設備投資が大きければ事業は赤字になります。確定申告で問われるのは、あくまで「事業の売上−必要経費」という計算上のもうけです。在宅ワークだと事業と生活の財布が混ざりやすいので、まずは事業用の取引だけを抜き出して集計する習慣が要ります。

開業初年度は、PCやデスク、通信回線の契約料、名刺やサイト制作費、勉強のための書籍やセミナー代など、初期投資がまとまって出ます。一方で取引先はまだ少なく、売上は伸びきっていません。だから初年度が赤字になるのは珍しいことではなく、むしろ「先行投資をした証」とも言えます。この赤字を捨てるか、節税資産として活かすかが分かれ道です。

赤字を申告しないと「将来の節税権」を放棄することになる

赤字を申告しない最大のデメリットは、後述する純損失の繰越控除という強力な節税の権利を、自分から放棄してしまうことです。青色申告をしている個人事業主は、その年の赤字(純損失)を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の黒字と相殺できます。

たとえば1年目に40万円の赤字を出し、2年目に100万円の黒字になったとします。1年目の赤字を申告して繰り越していれば、2年目の課税所得は「100万円−40万円=60万円」に圧縮できます。繰り越していなければ、2年目は100万円まるごとに課税されます。たった1回の申告をサボるだけで、この差額にかかる所得税・住民税をまるごと損する計算です。在宅で長く事業を続けるつもりなら、初年度赤字の申告は「未来の自分への投資」だと考えてください。

マクロ視点で見る在宅フリーランスと赤字確定申告の現状

個人の感覚論ではなく、市場全体の動きとして在宅ワークの確定申告事情を見ておきます。国の働き方改革やコロナ以降の在宅定着で、副業・フリーランスとして個人事業を営む人は明確に増えました。それに伴い、「事業所得か雑所得か」「赤字をどう扱うか」という税務上の論点が、これまで以上に多くの在宅ワーカーに関係するようになっています。

国税庁は確定申告のオンライン化を強力に進めており、e-Taxを使えば在宅から一歩も出ずに申告が完結します。制度や様式の最新情報は、必ず一次情報である国税庁e-Taxの公式サイトで確認するのが鉄則です。ネット上には古い年度の情報がそのまま残っていることが多く、控除額や提出期限が年によって変わるため、孫引きの記事だけを信じるのは危険です。

在宅フリーランスの単価相場という観点では、職種ごとに報酬水準が大きく違います。たとえばエンジニア系とライティング系では時間単価の桁が変わることもあります。自分の事業が「赤字を出してでも先行投資する価値があるか」を判断するには、同職種の相場を知っておく必要があります。在宅ワーク仲介サイトの職種別データを見ると、ソフトウェア作成者の年収・単価相場は比較的高水準で、開発スキルへの投資回収が見込みやすい分野です。一方で著述家,記者,編集者の年収・単価相場はボリュームゾーンが広く、案件数で稼ぐ構造が見えてきます。

「事業所得」か「雑所得」かで赤字の扱いが激変する

在宅ワーカーが赤字確定申告で最初につまずくのが、自分の収入が「事業所得」なのか「雑所得」なのかという区分です。これは赤字の活用範囲を左右する、極めて重要なポイントです。

事業所得に区分されれば、青色申告の特典が使え、赤字をほかの所得と損益通算したり、純損失として翌年以降に繰り越したりできます。一方、雑所得に区分されると、青色申告の特典は使えず、原則として赤字を給与など他の所得と通算できません。つまり、同じ「赤字」でも、所得区分しだいで節税効果がまるごと消えてしまうのです。

国税庁の通達では、おおむね「記帳・帳簿書類の保存があるか」「営利性・継続性・独立性があるか」「相当程度の収入規模か」といった点が事業所得かどうかの判断材料になります。在宅の副業レベルでも、開業届を出して帳簿をきちんと付け、継続的に営んでいれば事業所得として認められやすくなります。逆に、年に数回・数万円の単発仕事を帳簿もなしに続けているだけだと、雑所得とみなされて赤字を活かせない可能性が高まります。この線引きの最新基準は国税庁で必ず確認してください。

開業届を出していなくても確定申告はできる

「開業届を出していないから、事業として申告できないのでは」という相談をよく受けますが、開業届の提出と確定申告は別の手続きです。開業届を出していなくても確定申告自体は可能です。ただし、赤字を最大限に活かす「青色申告」を行うには、原則としてその年の3月15日まで(または開業日から2か月以内)に「青色申告承認申請書」を税務署に提出している必要があります。

ここが在宅初心者にとって落とし穴になりやすい部分です。開業初年度に赤字を出して「来年から青色にしよう」と思っても、申請のタイミングを逃すと初年度は白色申告になり、初年度の赤字を繰り越せません。だからこそ、在宅で本格的に事業を始めると決めた時点で、開業届と青色申告承認申請書をセットで早めに出しておくのが、赤字を資産化する第一歩になります。手続きそのものは在宅からe-Taxで完結します。

赤字でも個人事業主が確定申告をすべき5つの理由

ここからが本題です。義務がないのに、なぜ赤字でも申告すべきなのか。在宅個人事業主にとってのメリットを5つに分けて、具体的に解説します。

一方で、確定申告をして損益通算を行えば「500万円(黒字)−100万円(赤字)=400万円」となり、課税所得の圧縮が可能です。

この引用が示すように、赤字は「他の黒字を打ち消す盾」として機能します。会社員をしながら在宅副業をしている人なら、給与所得という黒字と事業の赤字を相殺できる可能性があります。専業フリーランスでも、複数事業や将来の黒字との相殺で効いてきます。順に見ていきます。

理由1:純損失の繰越控除で翌年以降3年の税金を減らせる

青色申告をしている個人事業主は、その年の事業の赤字(純損失)を、翌年以降3年間繰り越して、将来の黒字と相殺できます。これが純損失の繰越控除で、赤字を申告する最大の動機です。

具体例で考えます。在宅でEC運営代行を始めた1年目、機材投資と外注費でマイナス60万円の赤字。2年目は事業が軌道に乗って80万円の黒字、3年目は150万円の黒字になったとします。1年目に青色申告で赤字を申告・繰越していれば、2年目の課税所得は「80万円−60万円=20万円」に圧縮できます。繰り越さなければ、2年目は80万円まるごとに課税です。在宅事業は初期投資が先行し売上が後から伸びる構造なので、この繰越控除は非常に相性がよい制度です。

ただし、繰越控除を受けるには、赤字を出した年だけでなく、その後も連続して確定申告を続ける必要があります。「赤字の年は申告したけど翌年サボった」では繰越が途切れます。一度繰越を始めたら、黒字に転じても毎年きちんと申告を続けることが条件です。

理由2:損益通算で他の所得の税金まで取り戻せる

損益通算とは、事業所得の赤字を、給与所得など他の黒字の所得から差し引ける仕組みです。会社員として給与をもらいながら在宅副業を事業所得として営んでいる人にとっては、特にインパクトが大きい制度です。

たとえば給与所得が500万円ある会社員が、在宅副業で100万円の赤字を出したとします。損益通算をすれば「500万円−100万円=400万円」が課税対象になり、給与天引きで払いすぎた所得税の一部が、確定申告によって還付されます。会社が年末調整で計算した税額は副業の赤字を考慮していないため、申告して初めて取り戻せるお金です。引用にもあった通り、損益通算は課税所得そのものを圧縮する強力な手段です。

ただし注意点として、副業が雑所得に区分される場合は給与との損益通算ができません。また、生活に通常必要でない資産にかかる損失など、通算が認められないものもあります。自分の副業が事業所得として認められる規模・実態かどうかを、まず確認することが前提になります。

理由3:所得証明としての信用を確保できる

確定申告書(およびその控え)は、在宅フリーランスにとって数少ない公的な所得証明です。会社員のような源泉徴収票がない個人事業主は、賃貸契約の入居審査、住宅ローンや事業ローンの審査、保育園の入園申請、各種給付金や助成金の申請など、あらゆる場面で「いくら稼いでいるか」を証明する必要があります。

赤字であっても確定申告をしておけば、「自分はきちんと事業を営み、申告義務を果たしている」という記録が残ります。逆に申告をしていないと、収入を証明する書類がなく、賃貸審査やローンで不利になったり、各種申請ができなかったりします。在宅で長く活動するなら、たとえ赤字でも申告書の控えを毎年積み上げておくことが、社会的な信用インフラになります。

理由4:消費税の還付を受けられる場合がある

これはやや上級者向けですが、課税事業者を選択している場合、大きな設備投資をした年は支払った消費税のほうが受け取った消費税より多くなり、その差額の還付を受けられることがあります。在宅でも高額な機材・ソフト・内装などへ投資した年は検討の余地があります。

ただし、消費税の課税事業者になるかどうかは、インボイス制度の影響も含めて慎重に判断すべき論点です。免税事業者のままのほうが有利なケースも多く、安易に課税事業者を選ぶと逆効果になります。消費税まわりは個別性が高いので、判断に迷う場合は税理士や国税庁の相談窓口を活用してください。

理由5:将来の黒字化に向けた「経営の見える化」になる

確定申告のために帳簿を付ける行為そのものが、在宅事業の経営を見える化してくれます。何にいくら使い、どの取引先からいくら入っているのか、利益率はどうか。これを数字で把握できるかどうかは、赤字を脱して黒字化できるかの分かれ目です。

私自身、独立初年度は感覚だけで動いていて、撮影機材やサンプルの仕入れにいくら使ったか正確に把握できていませんでした。確定申告のために1年分を集計して初めて、「原価率が高すぎる案件」と「利益率が高い案件」がはっきり見えました。在庫を抱えるアパレルの世界では、この数字感覚がそのまま事業の生死に直結します。申告は税務署のためだけでなく、自分の経営判断のためにやるものだと痛感した経験です。

在宅ワーク特有の経費とその按分の考え方

在宅の個人事業主にとって、赤字確定申告で避けて通れないのが「経費」の扱いです。在宅は事業と生活の場所が同じなので、家賃や光熱費、通信費をどこまで経費にできるのかが常に問題になります。経費を正しく計上できれば、赤字を適正に大きくでき、繰越や損益通算の効果も最大化できます。

家事按分とは何か

家事按分とは、家賃・電気代・通信費など、事業とプライベートの両方で使っている支出を、事業で使った割合だけ経費にする考え方です。在宅ワークの経費の大半はこの按分が絡みます。

たとえば、自宅の床面積のうち仕事部屋が30%を占めるなら、家賃の30%を地代家賃として経費計上できます。電気代も、仕事で使う時間や面積の割合で按分します。通信費(インターネット・スマホ)も、事業利用の割合分だけが経費です。按分の割合には「合理的な根拠」が求められるので、面積・使用時間など、後から説明できる基準で決めることが重要です。根拠なく「全部経費」にすると、税務調査で否認されるリスクがあります。

在宅ワーカーが計上しやすい経費の具体例

在宅の個人事業で計上できる代表的な経費を挙げます。PC・カメラ・周辺機器(高額なら減価償却)、デスク・椅子などの什器、インターネット・スマホ通信費の事業割合、家賃・電気代の家事按分、業務用ソフトやサブスク(デザインツール・会計ソフトなど)、外注費、取引先との打ち合わせ交通費・会議費、業務関連の書籍・セミナー・研修費、サーバー・ドメイン代などです。

アパレルEC支援の現場で言えば、商品撮影に使う照明やレンズ、サンプル仕入れ、サイト制作の外注費などがここに入ります。これらは事業の売上を生むための支出なので、領収書と用途のメモを必ず残しておきます。会計ソフトを使えば、レシート撮影から自動で帳簿に反映でき、在宅からの申告が一気に楽になります。会計ソフトの比較はfreeeマネーフォワードなどの公式サイトで最新機能を確認するとよいでしょう。

経費にできないもの・按分が必要なものの線引き

一方で、経費にできない支出もはっきりさせておく必要があります。自分への給与(個人事業主は自分に給与を払えません)、所得税・住民税、健康診断や医療費、生活費そのもの、スーツや私服など事業専用と言いにくい衣類などは、原則として経費になりません。

プライベートと兼用しているものは必ず按分が必要です。「仕事でも使うから」と私的利用が大半のものまで全額経費にすると、後で否認されて加算税を取られるリスクがあります。グレーなものを無理に経費に突っ込んで赤字を膨らませるのは、節税ではなく単なるリスクです。在宅は線引きが曖昧になりがちだからこそ、「これは第三者に説明できるか」を基準に、堂々と説明できる範囲で計上するのが長く続けるコツです。

赤字の確定申告の書き方と進め方

赤字でも、確定申告の手続きの流れ自体は黒字のときと大きく変わりません。在宅からe-Taxで完結させる前提で、ステップを整理します。

ステップ1:青色申告か白色申告かを決める

まず大前提として、赤字を最大限活かしたいなら青色申告一択です。青色申告なら、純損失の繰越控除(3年)に加え、最大65万円の青色申告特別控除(e-Tax提出など要件あり)が使えます。白色申告は帳簿が簡易な反面、繰越控除などの特典がありません。

ただし、青色申告には事前の「青色申告承認申請書」の提出が必須です。提出していない年は白色になります。これから赤字を見越して事業を始めるなら、開業届とあわせて青色申告承認申請書を早めに出しておくことが、節税の出発点です。青色申告の仕組みや白色との違い、節税を最大化する手順は確定申告 青色申告の教科書!白色との違いと節税を最大化する全手順で体系的に解説しているので、申告区分で迷っている人はあわせて読んでみてください。

ステップ2:1年分の取引を集計し帳簿を作る

次に、1月1日から12月31日までの売上と経費をすべて集計します。事業用の銀行口座・クレジットカードを生活用と分けておくと、この集計が劇的に楽になります。在宅だと財布が混ざりやすいので、開業時に事業用口座を1つ作っておくことを強くおすすめします。

集計には会計ソフトを使うのが今や標準です。銀行・カードと連携すれば取引が自動で取り込まれ、勘定科目もある程度自動判定されます。複式簿記で記帳すれば青色申告特別控除の要件も満たせます。手作業のExcel管理は仕訳ミスや漏れの温床になるので、在宅で時間を効率化したいなら会計ソフト導入が結果的に安上がりです。

ステップ3:青色申告決算書(または収支内訳書)を作成する

帳簿が整ったら、青色申告なら「青色申告決算書」、白色なら「収支内訳書」を作成します。ここに売上、各経費の金額、差し引きの所得(赤字ならマイナスの数字)を記載します。赤字の場合は、所得金額の欄がマイナス表記になります。

会計ソフトを使っていれば、帳簿データから決算書が自動生成されます。在宅から確定申告書等作成コーナーやe-Taxにそのまま連携できるので、紙で計算する必要はほぼありません。決算書のどこにいくらが入るか不安な場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーの案内に沿って入力すれば、画面の指示通りで完成します。

ステップ4:確定申告書を作成し、損失申告の欄を埋める

確定申告書本体を作成します。赤字を翌年に繰り越すには、確定申告書の「損失申告」に関する欄(第四表など)を正しく記入することが必須です。ここを埋め忘れると、せっかく赤字を申告しても繰越控除が使えません。在宅で自力申告するなら、この損失申告欄の存在は絶対に覚えておいてください。

e-Taxの作成コーナーは、赤字(純損失)が発生していると自動的に損失申告の入力に誘導してくれます。質問に答えていく形式なので、専門知識がなくても入力できます。提出後は控えを必ず保存し、できればPDFで残しておきます。これが前述の所得証明として後々役立ちます。

ステップ5:期限内にe-Taxで提出する

最後に、原則として翌年の3月15日までに提出します。赤字で納税額がゼロでも、繰越控除を使うなら期限内申告が原則です。期限を過ぎると青色申告特別控除が減額されたり、繰越に影響したりする場合があるため、赤字でも期限は守るのが鉄則です。

e-Taxを使えば、在宅から24時間提出できます。マイナンバーカードとスマホ(またはICカードリーダー)があれば、税務署に行かずに完結します。最新の提出方法・必要なものはe-Taxの公式案内で確認してください。年によってマイナポータル連携の対応範囲が広がっているので、過去の手順をうのみにせず、その年の最新情報を見るのが安全です。

赤字確定申告でやりがちな失敗とその回避策

ここでは、在宅個人事業主が赤字の確定申告でつまずきやすいポイントと、その回避策をまとめます。私自身や周囲の在宅ワーカーが実際にハマったものを中心に挙げます。

失敗1:青色申告承認申請を出し忘れて初年度を白色にしてしまう

いちばん多い失敗がこれです。赤字を繰り越せる青色申告には事前申請が必要なのに、開業届だけ出して青色申告承認申請書を出し忘れ、初年度が白色になってしまうパターンです。初年度の大きな赤字を繰り越せず、節税チャンスを丸ごと失います。

回避策はシンプルで、開業を決めた瞬間に、開業届と青色申告承認申請書をセットで提出することです。提出期限は原則として開業日から2か月以内、または青色申告したい年の3月15日まで。在宅からe-Taxでまとめて提出できるので、「事業を本気でやる」と決めた日にその場で済ませてしまうのが確実です。

失敗2:赤字だからと申告せず、翌年以降も繰越が使えなくなる

「赤字だから申告不要」と判断して何もしないと、純損失の繰越控除という権利を放棄することになります。さらに、繰越は連続申告が条件なので、一度途切れると過去の赤字も活かせなくなります。

回避策は、赤字でも毎年必ず申告することです。納税額がゼロでも、申告書を出すこと自体に「繰越権の維持」と「所得証明の蓄積」という価値があります。在宅でe-Taxなら手間は限られるので、面倒がらずにルーティン化するのが正解です。

失敗3:経費を盛りすぎて赤字を不自然に膨らませる

赤字を大きくすれば節税になると考え、プライベートな支出まで経費に突っ込むのは危険です。家事按分の根拠が説明できなかったり、事業と無関係な支出を計上していたりすると、税務調査で否認され、加算税・延滞税というペナルティを負います。

回避策は、「第三者に説明できる経費だけを計上する」という原則を守ることです。按分は面積や使用時間など合理的な基準で行い、領収書と用途メモを必ず残す。私はアパレルEC支援で機材投資が多い分、按分の根拠を明確にメモする習慣を徹底しています。赤字の額を競うのではなく、適正な赤字を正確に申告することが、長く在宅事業を続けるうえでの信頼につながります。

失敗4:事業所得のつもりが雑所得と判断されて損益通算できない

副業在宅ワーカーに多いのが、自分では事業所得のつもりでも、規模や実態から雑所得と判断され、給与との損益通算ができないケースです。せっかく赤字を出しても、他の所得と相殺できず節税効果がゼロになります。

回避策は、事業の実態を整えることです。開業届を出し、帳簿をきちんと付け、継続的・営利的に営む。これらがそろっていれば事業所得として認められやすくなります。判断基準は年によって運用が変わることがあるため、迷ったら最新の国税庁の情報を確認してください。

ここからは、在宅ワーク仲介サイトの職種別データをもとに、赤字を出しがちな在宅個人事業主が、どこに先行投資をすれば黒字化につなげられるかを客観的に考察します。赤字は「投資の証」になりうる一方、回収できなければただの損失です。投資回収の見込める分野を選ぶことが、赤字を意味のある赤字に変える鍵になります。

職種別の単価データを見ると、需要が伸びて単価も維持されやすい分野が見えてきます。たとえばAIの業務活用を支援する仕事は、企業のDX投資を背景に需要が拡大しています。AIを使って業務改善を提案する案件は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事として在宅でも受注できる領域で、初期にスキル投資(学習・ツール)をしても回収が見込みやすい分野です。マーケティングとセキュリティを横断する案件も増えており、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように複数領域をまたげる人材は単価が上がりやすい傾向があります。

開発系では、アプリケーション開発のお仕事のように成果物が明確で継続案件につながりやすい分野が、機材・学習への先行投資(=初年度赤字)を回収しやすいと言えます。前述のソフトウェア作成者の年収・単価相場が示す通り、開発スキルは単価水準が高く、赤字を出してでも初期に投資する価値が見込めます。文章系で勝負するなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場を踏まえ、案件数で稼ぐ構造を理解したうえで投資先を絞ることが大切です。

スキルの裏付けとして資格を取るのも、在宅事業の信用づくりに有効です。ビジネス文書の質は提案の通りやすさに直結するので、ビジネス文書検定のような基礎スキルは幅広い在宅職種で効きます。セキュリティ・ネットワーク分野で単価を上げたいなら、CCNA(シスコ技術者認定)のような技術資格が案件獲得の武器になります。これら資格取得費は、前述の通り事業の経費(研修費)として計上でき、赤字を適正に大きくしつつスキルも積み上がる、二重に意味のある投資です。

節税の観点では、赤字確定申告と並行して、黒字化した後の節税策も先に知っておくと無駄がありません。個人事業主が使える節税テクニックは個人事業主 節税 2026 テクニックに体系的にまとまっており、小規模企業共済やiDeCo、経費の最適化まで網羅しています。ふるさと納税を活用した節税に興味があるなら、個人事業主向けの上限額の考え方を解説したふるさと納税 上限額 個人事業主も役立ちます。赤字の年は節税効果が薄い制度もあるため、黒字に転じるタイミングを見据えて制度を使い分けるのが賢い進め方です。

最後に整理すると、在宅個人事業主にとって赤字の確定申告は、「義務ではないが、やらないと損をする」手続きです。青色申告で赤字を申告し、純損失を3年繰り越し、損益通算で他の所得の税金を取り戻し、所得証明として申告書の控えを積み上げる。この一連の動きを毎年続けることが、赤字を将来の手取りに変える在宅フリーランスの王道です。在宅は事業と生活の境目が曖昧になりやすいぶん、事業用口座の分離・会計ソフトの導入・経費の合理的な按分という3点を最初に押さえておけば、赤字の年も慌てずに申告を回せます。制度の細部は年ごとに変わるので、必ず国税庁e-Taxの一次情報で確認しながら、自分の事業に合った形で活用してください。

よくある質問

Q. 赤字の年は確定申告をしなくていいと聞きましたが、本当ですか?

所得税の「納税」義務はありませんが、繰越控除を受けたいのであれば申告は必須です。申告をしないと、税務署はあなたが赤字であることを公的に記録できないため、翌年以降の黒字と相殺することができなくなります。

Q. 白色申告から青色申告に切り替えたばかりですが、去年の赤字は繰り越せますか?

残念ながら、赤字が発生した年に「青色申告」の承認を受けていない場合、原則として繰り越すことはできません。赤字を繰り越したいのであれば、赤字が出る前の年、あるいは開業した年に「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。

Q. 自宅兼オフィスの場合、火災保険や地震保険も経費になりますか?

はい、家賃と同様に事業専用面積の割合(按分率)に応じて経費に計上できます。住宅ローンを利用している場合は、利息部分のみが按分経費の対象となり、元本返済分は経費にならない点に注意が必要です。

Q. 赤字の年も掛金を支払う必要がありますか?

可能です。ただし、赤字の年はすでに所得控除の効果が薄いため、無理して上限まで掛ける必要はありません。掛金の減額申請をして、翌年に備える戦略も有効です。

Q. 住宅ローンの審査では、銀行は確定申告書のどの数字をチェックしていますか?

銀行は主に、過去3期分の「収入金額 ①(売上の安定性)」、「所得金額 ⑧(借入希望額に対する返済能力)」、そして収入から所得を引いた「経費率(同業他社と比べて不自然に経費を水増ししていないか)」などを中心にチェックしています。

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丸山 桃子

この記事を書いた人

丸山 桃子

アパレルEC運営支援・SNSコンサル

アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。

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