個人事業主小規模共済はいくら得?掛金別の節税目安

中西 直美
中西 直美
個人事業主小規模共済はいくら得?掛金別の節税目安

この記事のポイント

  • 個人事業主小規模共済の節税効果を掛金別シミュレーションで解説
  • 確定申告までを2026年版でまるごと整理します

「フリーランスになって3年。売上は伸びてきたけれど、年金も退職金もない。老後のことを考えると、夜眠れなくなる夜があります」、このご相談、本当に多いんです。

カウンセリングに来られる個人事業主の方の多くが、収入の不安と同じくらい、「未来への備え」に強い不安を抱えていらっしゃいます。そして、その不安を和らげるためによく話題に上るのが「個人事業主小規模共済」、正式名称小規模企業共済です。

「掛金が全額所得控除になる」「節税になる」と聞いたものの、実際にいくら得するのか、自分は加入できるのか、途中で解約したら損するのか……分からないことだらけ、というご相談をよくお聞きします。大丈夫。今日は、その疑問を一つひとつ、ゆっくり一緒に解いていきましょう。

個人事業主小規模共済とは|「経営者の退職金」と呼ばれる理由

小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、個人事業主や小規模企業の役員のための退職金積立制度です。1965年に発足した、半世紀以上の歴史を持つ国の制度で、在籍者数は約162万人(2026年時点)にのぼります。

会社員には退職金や厚生年金がありますが、個人事業主にはこれらの制度がありません。フリーランスとして長く働いてきた方が「会社員時代の同期と比べて、老後資金で差がついてしまった」と気づくのは、たいてい50代に入ってから。そのときに「もっと早く準備しておけばよかった」と肩を落とす方を、私は何人も見てきました。

小規模企業共済は、その差を埋めるために国が用意した制度です。仕組みはシンプルで、毎月一定額の掛金を積み立てておき、廃業時や退職時にまとめて受け取ります。会社員の退職金と同じイメージを、自分で作っていく制度だと考えていただくと分かりやすいでしょう。

一方、フリーランスや個人事業主、中小企業の経営者の中には自分は退職金とは無縁と感じている方も多いでしょう。しかし、打つ手はあります。

中小機構が運営する公的色の強い制度であるため、民間の保険商品のような営業圧や手数料の不透明さがないのも安心材料です。詳しい制度概要は中小機構の公式サイトでも確認できます。

加入資格|誰が小規模企業共済に入れるのか

「個人事業主なら誰でも入れるんですよね?」と聞かれることが多いのですが、実は加入資格には条件があります。ここを誤解されている方が多いので、最初にきちんと整理しておきましょう。

加入できる人

加入できるのは、業種に応じた従業員数の上限を満たす個人事業主や小規模企業の役員です。代表的な区分は次の通りです。

・建設業・製造業・運輸業など:常時使用する従業員20人以下 ・卸売業・小売業・サービス業:常時使用する従業員5人以下 ・宿泊業・娯楽業(サービス業のうち特定の業種):常時使用する従業員20人以下 ・農業・漁業など:常時使用する従業員20人以下

つまり、Webライターやエンジニア、デザイナー、コンサルタントなど、一人で活動しているフリーランスの大半は問題なく加入できます。共同経営者(最大2名まで)や、配偶者・後継者などの「家族専従者」は対象外なので注意が必要です。

加入できない人

一方で、次に該当する方は加入できません。

・会社員(給与所得のみで個人事業を行っていない人) ・配偶者控除の対象となっている専従者 ・直接営利を目的としない法人の役員(学校法人、宗教法人、医療法人など一部) ・非上場で売上が一定規模を超える企業の役員

会社員をしながら副業でフリーランス活動をしている方は、副業の規模が「事業所得」として認められる水準であれば加入できるケースがあります。判断に迷ったら、税理士または中小機構の窓口に確認するのが安全です。

掛金の仕組み|1,000円〜70,000円まで500円刻みで設定可能

小規模企業共済の最大の特徴は、掛金の柔軟性です。月額1,000円から70,000円まで、500円単位で自由に設定できます。

「収入が不安定だから怖い」という方も多いですが、減額や増額が比較的自由にできる設計になっているため、心配しすぎる必要はありません。私のところに相談に来られた40代女性のフリーランスデザイナーの方も、最初は「月1万円も払えるか不安で……」とおっしゃっていましたが、結局は月5,000円からスタートして、売上が安定してきた3年目に月2万円に増額されていました。最初から無理をする必要はないのです。

年払いも可能

掛金は月払いだけでなく、半年払い・年払いも選べます。年払いにすると最大84万円(月7万円×12ヶ月)を一括で前納でき、その年の所得控除に全額算入できます。決算間際に「今期、思ったより利益が出てしまったので節税したい」というときに使える、駆け込みの王道テクニックです。

ただし、いったん前納すると、その分は当年の控除に集中して計上されます。翌年以降の控除額が減ることに注意してください。

節税効果|掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」になる

小規模企業共済が「節税の王様」と呼ばれる最大の理由は、支払った掛金の全額が所得控除の対象になることです。

iDeCoや国民年金基金と同じく、確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に記載することで、課税所得から差し引かれます。生命保険料控除のように上限額(最大12万円)があるわけではなく、年間最大84万円がまるごと控除されるのが大きな違いです。

掛金別・年間節税額シミュレーション

実際にどれくらい得するのか、課税所得別に試算してみましょう。所得税と住民税(一律10%)の合算で、節税額がどう変わるかを見ていきます。

課税所得400万円のケース(所得税率20%+住民税10%=30%)

月額掛金 年間掛金 節税額(年) 30年間の累計節税額
1万円 12万円 約36,000円 約108万円
3万円 36万円 約108,000円 約324万円
5万円 60万円 約180,000円 約540万円
7万円 84万円 約252,000円 約756万円

課税所得700万円のケース(所得税率23%+住民税10%=33%)

月額掛金 年間掛金 節税額(年)
1万円 12万円 約39,600円
3万円 36万円 約118,800円
5万円 60万円 約198,000円
7万円 84万円 約277,200円

課税所得1,000万円のケース(所得税率33%+住民税10%=43%)

月額掛金 年間掛金 節税額(年)
1万円 12万円 約51,600円
3万円 36万円 約154,800円
5万円 60万円 約258,000円
7万円 84万円 約361,200円

課税所得が高い人ほど節税効果が大きくなるのは、所得税が累進課税のためです。年収が上がってきた個人事業主の方ほど「もっと早く入っておけばよかった」と後悔されやすいのは、このカラクリにあります。

さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。

    ※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。
    
    今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

ご自身の正確な節税額を試算したい場合は、中小機構の公式サイトに「加入シミュレーション」のページが用意されていますので、そちらを活用してください。

メリット|節税以外にもある「経営者にとって嬉しい仕組み」

節税効果ばかりが注目されますが、小規模企業共済には他にも見逃せない利点があります。

1. 退職時・廃業時にまとまった共済金を受け取れる

掛金納付期間と受取事由によって、共済金A・共済金B・準共済金・解約手当金のいずれかが支払われます。最も多いケースである個人事業の廃業時には「共済金A」が支給され、納付期間に応じて掛金合計額の100%〜120%超を受け取れます。20年以上掛けた場合の予定利率は約1.0%相当で、銀行預金よりは確実に上回ります。

2. 受け取り時も税制優遇がある

共済金を一括で受け取ると退職所得扱いになり、退職所得控除が適用されます。分割で受け取れば公的年金等の雑所得扱いになり、こちらも公的年金等控除を受けられます。掛金を払うときに節税、受け取るときにも優遇という「二重の恩恵」が得られるのが大きな特徴です。

3. 契約者貸付制度が使える

掛金の範囲内で、低金利の貸付制度を利用できます。一般貸付は年利1.5%で、最大2,000万円まで借入可能です。事業資金が一時的に必要になったときに、銀行融資より早く・低コストで借りられる「セーフティネット」として機能します。

これは在宅で働くフリーランスの方にとって、心理的な支えになります。「もし急に売上が落ちても、共済から借りられる」という安心感が、日々の仕事に集中する力になるのです。

4. インフレに弱い側面はあるが、リスクは抑えめ

共済金は予定利率が固定されているため、極端なインフレ局面では実質的な目減りが起こり得ます。ただし、株式投資のように元本割れリスクが大きい商品ではなく、20年以上加入していれば元本100%以上が保証されます。安全性を重視する個人事業主にとっては、リスクが抑えめな積立先と言えるでしょう。

デメリット|知っておきたい3つの注意点

メリットだけお伝えするのはフェアではないので、デメリットも正直にお話しします。

1. 加入期間20年未満で任意解約すると元本割れする

これが最大の落とし穴です。掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満で任意解約すると、解約手当金が掛金合計額を下回ります。たとえば12ヶ月以上84ヶ月未満なら掛金の80%しか戻ってこないのです。

「節税のために加入したけれど、5年で解約してしまって損した」という相談を受けることがあります。本来の目的は廃業時・退職時の備えなので、長期で積み立てる前提で加入することが大前提です。

ただし、廃業や法人成りなどの「正当な事由」による解約であれば、20年未満でも元本割れしないケースがあります。任意解約だけが要注意、と覚えておいてください。

2. 12ヶ月未満で解約すると掛け捨て

加入から12ヶ月未満で任意解約した場合、解約手当金は0円です。完全な掛け捨てになります。「とりあえず入ってみよう」という軽い気持ちで加入し、すぐに辞めると、節税分以上に損をします。

3. 受け取り時に課税される

掛金を払う段階では所得控除になりますが、共済金を受け取る段階では退職所得や雑所得として課税されます。これを「課税の繰り延べ」と呼びます。所得税の累進性を活かして、現役時代より老後の方が税率が低くなることを利用する仕組みです。

完全な「節税」ではなく「将来への課税の先送り」である点は、誤解なく理解しておきましょう。

加入手続き|窓口とオンライン、どちらが楽か

加入手続きは、紙の書類を窓口に持ち込む方法と、オンラインで完結させる方法の2つがあります。

窓口での手続き

中小機構と業務委託契約を結んでいる委託団体(商工会・商工会議所・青色申告会など)か、金融機関(都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、商工中金、農協など)の窓口で手続きします。

必要書類は次の通りです。

・契約申込書(窓口で入手) ・預金口座振替申出書(窓口で入手) ・個人事業主の場合:確定申告書の控え(前年分)または開業届の控え ・法人の役員の場合:履歴事項全部証明書

書類提出後、おおむね2ヶ月で「共済契約締結証書」が郵送されてきます。

オンラインでの手続き

2024年から、中小機構の専用サイトでオンライン加入手続きが可能になりました。マイナンバーカードと、本人確認用のスマホアプリ(マイナポータルなど)があれば、自宅から30分程度で申し込みが完結します。

私の周りでも「窓口まで行く時間が取れない」「商工会議所の営業時間に合わない」という方は、オンライン加入を選ぶケースが増えてきました。在宅ワーク中心のフリーランスには、オンライン手続きの方が圧倒的に楽です。

加入時期のおすすめ

加入のタイミングは事業を始めた直後がベストです。理由は3つあります。

  1. 240ヶ月(20年)の積立期間を確保しやすい
  2. 早く始めるほど節税の累計効果が大きい
  3. 売上が伸びてから加入すると「もっと早く入っておけば」と後悔しやすい

ただし、開業初年度は所得が低くなりがちで、節税効果が薄い場合もあります。所得税率が10%以下なら、無理に大きな掛金を払うより、まずは月1,000円〜3,000円程度の小口でスタートし、利益が出てきたら増額する戦略が現実的です。

確定申告での手続き|「小規模企業共済等掛金控除」を忘れない

加入後、毎年の確定申告で控除手続きを行います。これを忘れると、せっかく払った掛金が控除されず、節税効果が全く出ません。

必要書類

・小規模企業共済掛金払込証明書(毎年11月頃に中小機構から郵送される)

この証明書には、その年に支払った掛金の合計額が記載されています。確定申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄に金額を転記し、e-Taxで申告する場合は証明書のデータを添付するか、郵送提出の場合は原本を添付します。

青色申告ソフトとの相性

freeeやマネーフォワード クラウド確定申告など、主要な青色申告ソフトには「小規模企業共済等掛金控除」の入力欄が標準装備されています。証明書の金額を打ち込むだけで自動的に控除が反映されるので、初心者でも操作に迷うことはありません。

私自身、独立した直後は確定申告に手こずりましたが、青色申告ソフトを使うようになってからは、年に1度の確定申告が驚くほど楽になりました。これは小規模企業共済に限らず、フリーランスの強い味方です。

副業として個人事業主をしている会社員の場合

会社員の方が副業で個人事業主として小規模企業共済に加入している場合、年末調整では控除できないため、必ず確定申告が必要になります。会社の給与所得と副業の事業所得を合算して、共済の掛金を所得控除として申告する流れです。

よくある誤解と注意点

カウンセリングや相談会で、よく耳にする誤解や落とし穴があります。

1. 「iDeCoと両方入れる」は本当

iDeCo(個人型確定拠出年金)と小規模企業共済は、別々の制度なので併用可能です。iDeCoの掛金(個人事業主なら月額最大68,000円)と、小規模企業共済の掛金(月額最大70,000円)を、両方とも全額所得控除にできます。

ただし、両方フルに掛けると月13.8万円、年間165.6万円の積立になります。これは多くのフリーランスにとってかなりの負担です。優先順位としては、まず小規模企業共済を月3〜5万円程度で固め、余裕があればiDeCoを追加する、という順番が現実的でしょう。

2. 「掛金は経費にならない」は正しい

時々「小規模企業共済の掛金を経費にできますか?」と聞かれますが、答えはNoです。掛金は経費(必要経費)ではなく、所得控除として扱われます。

経費にすると事業所得そのものが減り、国民健康保険料の算定基礎にも影響します。所得控除なら事業所得は変わらず、所得税・住民税だけが減ります。仕組みが違うので、混同しないでください。

3. 「役員退職金代わりにできる」も本当

法人化(法人成り)して役員になっても、要件を満たせば加入を継続できます。会社の役員退職金規程とは別に、自分自身の退職金を作っていける仕組みなので、将来法人成りを検討している個人事業主にもおすすめです。

マクロ視点|なぜ今、小規模企業共済の重要性が高まっているか

ここで少しマクロな話をします。なぜ今、フリーランスや個人事業主にとって小規模企業共済の重要性が高まっているのでしょうか。

1. フリーランス人口の拡大

ランサーズの「フリーランス実態調査2024」によれば、日本のフリーランス人口は約1,577万人に達しています。働き方改革・副業解禁・テレワーク普及が後押しし、本業フリーランスだけでなく副業ワーカーも急増中です。

しかし、これだけ増えているにもかかわらず、フリーランス向けの公的セーフティネットは依然として薄いのが現状です。厚生年金がなく、雇用保険もなく、退職金もない。だからこそ自分で「退職金代わりの仕組み」を作る必要があり、その代表が小規模企業共済なのです。

2. 公的年金の不透明感

老後資金については、公的年金だけでは不安、という感覚が広がっています。金融庁の「老後2,000万円問題」の議論以降、自助努力で老後資金を確保することが当たり前になりつつあります。

国民年金しかないフリーランスにとって、小規模企業共済とiDeCoは「自分で作る厚生年金・退職金」のような位置づけです。金融庁も自助努力の制度活用を継続的に促しています。

3. インボイス制度・電子帳簿保存法による影響

2023年のインボイス制度開始、2024年の電子帳簿保存法義務化により、個人事業主の事務負担と税負担が増えました。「節税できる手段は最大限活用したい」というニーズが高まっており、小規模企業共済の新規加入者数も増加傾向にあります。

@SOHO独自データの考察|フリーランスの収入構造と共済の活用余地

@SOHOで日々データを見ていると、フリーランスの収入と老後準備の現状が見えてきます。

単価相場と共済掛金の現実的な水準

@SOHOで掲載されている職種別の単価データを見ると、たとえばソフトウェア作成者の年収・単価相場では、フリーランスエンジニアの年収中央値が会社員より高水準である一方、案件単価の変動幅も大きいことが分かります。同様に著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、ライター・編集者は単価の幅が広く、月収の安定度が職種によって違います。

つまり、収入が安定している職種ほど月7万円のフル掛金が現実的で、収入変動の大きい職種ほど月1万〜3万円の中口掛金から始めるのが妥当、ということになります。

案件カテゴリ別の老後準備傾向

@SOHOで人気の高い案件カテゴリの一つにAIコンサル・業務活用支援のお仕事があります。AIスキルを活かしたコンサルタント業務は単価が高く、年収700万円〜1,500万円のレンジが多いカテゴリです。このゾーンの個人事業主は所得税率が33%以上になりやすく、小規模企業共済の節税効果が最大化されます。

またAI・マーケティング・セキュリティのお仕事は、AIを活用した広告運用やセキュリティ対策の案件が中心で、こちらも高単価帯です。同様にアプリケーション開発のお仕事も、フリーランスエンジニアにとって安定的に高単価が期待できる分野で、共済をフル活用する価値が高い職種群です。

資格と組み合わせた長期戦略

長期的にフリーランスを続けるなら、専門性を高める資格取得も並行して検討する価値があります。たとえば、ITインフラ系であればCCNA(シスコ技術者認定)、ビジネス系であればビジネス文書検定などが代表例です。資格で単価を上げ、その単価を共済掛金に回す、という好循環が作れます。

在宅ワーカーの生活設計と共済

在宅で働くフリーランスは、通勤がない分、生活費の構造が会社員とは大きく異なります。在宅ワーカーの1日の過ごし方については在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開で具体例を紹介しています。生活費を可視化できているフリーランスほど、掛金設定がスムーズです。

集中力の維持や働き方のリズム作りも、長期的な収入安定に直結します。在宅ワークの効率を上げるテクニックは在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックが参考になります。「健康に長く働ける」状態を維持できれば、共済の積立期間も20年以上を確保しやすくなります。

これからフリーランスを始める方、案件探しを本格化したい方は在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説も併せて参考にしてください。安定的に案件を獲得できる仕組みを作ることが、結果として小規模企業共済の積立を継続するための土台になります。

共済加入は「お金の話」ではなく「自分への約束」

最後に、カウンセラーとして一つお伝えしたいことがあります。共済への加入は、単なる節税テクニックではありません。「20年後の自分にお金を渡す」という、自分自身への約束です。

私の相談者の中には、「毎月1万円を未来の自分に送るつもりで」という言い方をされる方もいらっしゃいます。とても素敵な捉え方だと思います。フリーランスは孤独になりがちですが、未来の自分への小さな約束を積み重ねることで、今日の不安が少しずつほどけていく感覚を、多くの方が体験されています。

数字の話だけで決めるのではなく、「未来の自分にどんな状態でいてほしいか」という問いから始めてみてください。掛金1万円から始めても、20年で240万円。30年で360万円。それは、未来の自分にとって、何よりの安心材料になります。

よくある質問

Q. 小規模企業共済とはどのような制度ですか?

国の機関(中小機構)が運営する、フリーランスや個人事業主のための「退職金制度」です。月々1,000円から7万円の範囲で掛金を積み立て、廃業や引退をする際に共済金として受け取ることができます。

Q. 節税になると聞きましたが、どのようなメリットがありますか?

支払った掛金の全額がその年の所得から控除されるため、所得税や住民税の負担を大幅に抑えることができます。また、将来積み立てたお金を受け取る際にも「退職所得」などの扱いになり、税制面で優遇されるメリットがあります。

Q. 小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先すべきですか?

両方並行が理想ですが、片方のみなら事業状況の変化に対応しやすい小規模企業共済が優先されやすい傾向にあります。iDeCoは60歳までの引き出し制限があるため、事業資金の流動性を確保したい個人事業主には、小規模企業共済の柔軟性が使いやすいです。

Q. 小規模企業共済はアルバイトやパートでも入れますか?

いいえ、原則として個人事業主や小規模企業の経営者が対象です。会社員の方が副業で個人事業を行っている場合、その個人事業分に関しては加入できる可能性がありますが、税務署への届出状況など条件があります。

Q. 加入するにはどこでどのような手続きをすればいいですか?

商工会や商工会議所、銀行や信用金庫などの窓口で手続きができるほか、現在ではオンラインでの申請も可能です。手続きには、確定申告書の控え、身分証明書、印鑑、掛金引き落とし用の本人名義の銀行口座などが必要になります。

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中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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