個人事業主退職金はどう作る?共済と年金の選び方

中西 直美
中西 直美
個人事業主退職金はどう作る?共済と年金の選び方

この記事のポイント

  • 個人事業主退職金は自分で準備する時代
  • 小規模企業共済とiDeCoの違い
  • フリーランスが老後資金を作る具体的な方法を産業カウンセラーが解説します

「個人事業主になってから、ふと夜中に目が覚めて、老後のことを考えると眠れなくなる」。このご相談、本当に多いんです。会社員のときは、退職金や厚生年金が「自動的に」積み上がっていく安心感がありました。それがフリーランスになると、誰も準備してくれない。気づいたら40代後半、50代になっていて、貯金も心もとない。

大丈夫です。あなたは一人じゃありません。個人事業主の老後不安は、フリーランス相談の中でも上位3つに入るくらい、よくある悩みです。そして、ちゃんと対策できる制度がいくつも用意されています。

この記事では、個人事業主退職金として使える代表的な制度(小規模企業共済・iDeCo・国民年金基金など)を整理して、「何から始めればいいのか」が明確になるところまでお話しします。読み終わるころには、今日帰宅してから着手できる具体的な行動が、1つか2つ見えているはずです。

個人事業主に「退職金」はない、けれど自分で作れる

まず大前提の話から、ゆっくりお伝えしますね。

会社員には、勤め先が退職時にまとまったお金を支給してくれる「退職金制度」があります。これは法律で義務化された制度ではないのですが、厚生労働省の調査では、従業員1,000人以上の大企業で約9割、中小企業でも約7割が退職金制度を導入しているとされています。一方、個人事業主にはこの「会社が用意してくれる退職金」がありません。

ただ、ここで落ち込まないでくださいね。「ない」のではなく、「自分で作る仕組みが、国によって用意されている」のです。具体的には次の3つの柱があります。

1つ目は、小規模企業共済。個人事業主と小規模企業の経営者のための、国が用意した退職金制度です。 2つ目は、iDeCo(個人型確定拠出年金)。自分で運用しながら老後資金を作る私的年金制度です。 3つ目は、国民年金基金。国民年金の上乗せ年金で、終身年金として受け取れるのが特徴です。

これらはどれか1つを選ぶのではなく、組み合わせて使うのが基本です。後でくわしく説明しますが、加入条件や節税効果が異なるため、「自分の事業の状況」と「将来の希望」に合わせて選んでいきます。

国の機関である中小機構が運営する小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。現在、全国で約159万人*の方が加入されています。掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。将来に備えつつ、契約者の方がさまざまなメリットを受けられる、今日からおトクな制度です。

なぜ今、個人事業主退職金の準備が急がれているのか

少し社会的な背景の話をします。難しい話ではないので、お茶でも飲みながら読んでくださいね。

総務省統計局のデータでは、日本のフリーランス人口は約462万人(2022年時点)まで増えました。働き方改革と副業解禁の流れの中で、会社員から個人事業主へ移行する方が年々増えています。一方で、老後資金に対する不安も同時に膨らんでいます。

金融庁が発表して話題になった「老後2,000万円問題」を覚えていますか。あれは「夫婦無職世帯(夫65歳・妻60歳)が、年金収入だけで30年暮らすと約2,000万円不足する」という試算でした。これは厚生年金の世帯の話で、国民年金だけの個人事業主夫婦に置き換えると、不足額はさらに大きくなります。

具体的に見てみますね。

会社員(厚生年金)の平均的な老齢年金額は月額約14万6,000円(2024年度・厚生労働省データ)。これに対して、自営業者が受け取る国民年金(老齢基礎年金)は満額でも月額約6万8,000円です。差額は約8万円、年間にすると96万円。これが65歳から85歳までの20年続くと、累計で約1,920万円の差になります。

つまり、個人事業主は会社員より「最低でも約2,000万円多く」老後資金を自前で準備する必要がある、というのが構造的な現実です。怖がらせたいわけではありません。ただ、知ったうえで早めに動けば、十分に対策できる金額でもあります。

私がカウンセリングでお話を伺っていると、「老後資金の不安」は、漠然としているうちは大きく感じられて、具体的な数字と対策が見えてくると驚くほど軽くなります。今日はその「具体化」を一緒にやっていきましょう。

個人事業主退職金の柱1:小規模企業共済の全体像

ここからは具体的な制度の話に入っていきます。まずは退職金代わりの「一丁目一番地」、小規模企業共済から。

小規模企業共済は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構(中小機構)が運営する、国の制度です。2025年3月末時点で約169万人が加入しており、個人事業主・小規模企業の経営者・役員向けに設計された退職金制度です。

小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者または役員などを対象とした退職金の制度です。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、2025年(令和7年)3月末の段階で169万人が加入しています。小規模企業共済では、毎月の掛金を積み立て、退職時や廃業時に共済金を受け取れる仕組みになっています。掛金は、全額が所得控除の対象となるため、高い節税効果があるのも魅力です。個人事業主が、将来の備えとして有効に活用できる制度が小規模企業共済です。

加入できる人

「個人事業主なら誰でも入れるの?」とよく聞かれます。基本的にはYESに近いのですが、業種ごとに「常時使用する従業員数」の上限があります。

サービス業(宿泊・娯楽業以外)と商業(卸売業・小売業)は、従業員5人以下。製造業・建設業・運輸業・農業・漁業・不動産業などは、従業員20人以下

一人で事業をしているフリーランスや、家族数人で営んでいる小さな事業者であれば、ほとんどの方が対象になります。Webライター、エンジニア、デザイナー、コンサルタント、士業、ハンドメイド作家など、@SOHOで活躍されている個人事業主の方の大半が加入できる制度だと考えてください。

掛金の柔軟性

掛金は月額1,000円から70,000円まで、500円刻みで自由に設定できます。年間で最大84万円を積み立てられる計算ですね。

事業の景気が良いときは増額、苦しいときは減額、と柔軟に変更できるのもこの制度の良いところです。一時的に支払いを止める「掛止め」制度はありませんが、減額して負担を軽くする運用は可能です。

最大の魅力は節税効果

ここが小規模企業共済の核心です。掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」として所得控除の対象になります。

たとえば年間84万円(月額7万円)を掛けている方なら、課税所得から84万円が丸ごと差し引かれます。所得税率20%・住民税率10%の方なら、合計で年間約25万2,000円の節税効果。30年積み立てれば、節税分だけで約756万円になります。

「節税」と聞くと難しそうですが、要するに「国に払う税金が減って、その分だけ自分の将来資金として戻ってくる」というシンプルな仕組みです。

デメリットも正直にお伝えします

良いことばかり書くと信頼できないので、デメリットも書いておきますね。

1つ目は、加入期間が20年未満で任意解約すると、元本割れする点。「ちょっと試しに入って、3年でやめる」という使い方には向きません。

2つ目は、掛金の運用利回りが大きくない点。制度の予定利率は年1.0%です。インフレ局面では実質目減りする可能性があります。

3つ目は、節税効果は所得が高い人ほど大きいため、所得税率の低い駆け出しフリーランスにとっては魅力が薄れる点。年間所得が330万円以下のうちは、節税メリットよりも「強制積立」としての価値の方が大きくなります。

ただ、これらのデメリットを踏まえても、「個人事業主が老後資金を作るうえで、最初に検討すべき制度」であることは変わりません。

個人事業主退職金の柱2:iDeCo(個人型確定拠出年金)

2つ目の柱は、iDeCo(個人型確定拠出年金)です。

iDeCoは、自分で掛金を出し、自分で運用商品を選んで、60歳以降に受け取る私的年金制度です。国民年金基金連合会が運営しており、加入者数は2024年時点で約330万人を超えています。

個人事業主のiDeCo上限額

iDeCoは加入者の区分ごとに掛金の上限額が違います。会社員(第2号被保険者)は月額1万2,000円〜2万3,000円ですが、個人事業主(第1号被保険者)は月額68,000円まで掛けられます。年間にすると81万6,000円

これは会社員の約3倍の枠です。「個人事業主は退職金がないから、自助努力で老後資金を作ってください」という制度設計の意図が、はっきり表れています。

3段階の節税メリット

iDeCoの魅力は、3つの段階で税制優遇が受けられる点です。

1つ目は、掛金が全額所得控除になる点。小規模企業共済と同じ仕組みですね。 2つ目は、運用益が非課税になる点。通常、投資信託や預金の利益には20.315%の税金がかかりますが、iDeCo口座内の運用益はゼロです。 3つ目は、受取時にも控除が使える点。一時金で受け取れば「退職所得控除」、年金で受け取れば「公的年金等控除」の対象になります。

入口・運用中・出口、すべてのフェーズで税制優遇があるのは、日本の制度の中ではiDeCoだけです。

iDeCoのデメリット

正直に書きますね。iDeCoには以下のような制約があります。

まず、60歳まで原則引き出せません。これは老後資金専用の制度なので当然なのですが、「来年家を買いたいから取り崩したい」が効きません。生活防衛資金とは別枠で考えてください。

次に、運用商品を自分で選ぶ必要があります。投資信託や定期預金から選びますが、初心者の方は「全世界株式インデックスファンド」または「全米株式インデックスファンド」のような、低コストで分散の効いたインデックスファンドを1本選んでおけば、まず大きな失敗はありません。

最後に、口座管理手数料がかかります。月額171円〜600円程度です(金融機関による)。手数料の安いネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)を選ぶのが定石です。

小規模企業共済とiDeCoは併用できる

「結局、小規模企業共済とiDeCo、どっちを選べばいいの?」とよく聞かれます。

答えは「両方やる」です。両制度は併用可能で、それぞれの上限額まで掛けられます。

両方マックスで掛けた場合、月額13万8,000円(小規模企業共済7万円+iDeCo6万8,000円)、年間165万6,000円を所得控除に回せます。所得税率20%・住民税率10%の方なら、年間約49万6,800円の節税。30年で約1,490万円の節税効果です。

ただし、無理は禁物です。私が相談を受けていてよく見るのは、「節税効果に魅力を感じて掛金を上げすぎて、生活が苦しくなる」パターン。

目安として、年商や手取りに対する積立比率は10〜15%に収めるのが安全です。年間手取り500万円なら、年間50〜75万円までが負担なく続けられる金額の目安。事業が安定してから少しずつ増やしていきましょう。

個人事業主退職金の柱3:国民年金基金とiDeCoの選択

3つ目の柱として、国民年金基金にも触れておきます。

国民年金基金は、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして受け取れる公的年金制度です。個人事業主は第1号被保険者として、自動的に老齢基礎年金しか受け取れない仕組みになっているため、それを補う制度として用意されています。

iDeCoとの違い

国民年金基金とiDeCoは、掛金の上限を共有しています。両方加入する場合、合計で月額68,000円までしか掛けられません。つまり、iDeCoを満額掛けると、国民年金基金には掛けられなくなります。

両者の最大の違いは「リスクの取り方」と「受給形態」です。

国民年金基金は、加入時に給付額が確定する終身年金(一部は確定年金)です。「死ぬまでもらえる安心感」が最大の魅力ですが、運用利回りは低めで、インフレに弱い面があります。

iDeCoは、自分で運用するため成果は変動しますが、長期分散投資で年率3〜5%程度のリターンが期待できます。一方、年金受取期間は5〜20年などの「有期年金」が中心で、終身ではありません。

私の現場感覚での選び方

私がカウンセリングで個人事業主の方にお伝えしている目安は、こうです。

「とにかく堅実に、死ぬまで受け取れる安心が欲しい」方は、国民年金基金中心。 「長期で資産を増やしたい、運用に少し興味がある」方は、iDeCo中心。 「両方の良いとこ取りをしたい」方は、半々で配分する。

正解は一つではなく、性格やライフプランによって変わります。

ちなみに、まず始めるべき制度の順番としては、国民年金保険料の確実な納付付加年金(月額400円で将来の年金を増やす制度)小規模企業共済iDeCo、の順がおすすめです。

個人事業主退職金の受取時の税制と確定申告

積み立てるだけでなく、「もらうとき」の税制も大事です。実はここを知らないと、せっかくの節税が後で取り戻されてしまうこともあります。

退職所得控除という大きな枠

小規模企業共済を一時金で受け取ったり、iDeCoを一時金で受け取ったりした場合は、「退職所得」として課税されます。退職所得は、サラリーマンの退職金と同じ枠で扱われ、非常に大きな控除が受けられます。

退職所得控除の計算式(国税庁の規定)はこうなっています。 勤続年数20年以下の部分:1年あたり40万円 勤続年数20年超の部分:1年あたり70万円

たとえば30年加入していた方なら、控除額は1,500万円(40万円×20年+70万円×10年)。さらに、控除を超える部分も「2分の1課税」が適用されるため、実質的な税負担は驚くほど軽くなります。

年金で受け取るか、一時金で受け取るか

iDeCoや小規模企業共済は、受取方法を選べます。一時金(一括)、年金(分割)、または両方の併用です。

一般論として、退職所得控除の枠内に収まるなら一時金が有利。控除枠を超えそうなほど大きな金額なら、年金との併用で公的年金等控除も併用するのが有利、と言われます。

ただ、これは65歳前後にもう一度検討すれば十分です。今の段階では「受取方法は柔軟に選べる」と知っておくだけで大丈夫です。

受取時の確定申告

一時金で受け取る場合、運営機関が源泉徴収してくれるため、原則として確定申告は不要です。ただし、複数の制度から退職金を受け取る場合や、給与所得と合算する必要がある場合は、確定申告が必要なケースもあります。

年金で受け取る場合は「雑所得」となり、他の所得と合算して確定申告します。詳細は国税庁の最新情報を確認してください。

個人事業主退職金を実際に始めるステップ

ここまで読んで「で、私は今日何をすればいいの?」という方に向けて、具体的な始め方を整理します。

ステップ1:自分の事業所得を把握する

まず、直近1年の事業所得(売上−経費)を確認してください。確定申告書の控えを見ればわかります。

事業所得から、所得控除(基礎控除48万円・社会保険料控除・配偶者控除など)を引いた「課税所得」が、節税効果の大きさを左右します。

ステップ2:掛金の目安を決める

課税所得から逆算して、無理のない掛金額を決めましょう。

目安として、課税所得の10〜20%くらいから始めるのが安全です。たとえば課税所得400万円なら、年間40〜80万円(月額3万〜7万円)が小規模企業共済+iDeCoの合計目安。

ステップ3:小規模企業共済の申込窓口

小規模企業共済の申込窓口は、商工会議所・商工会・中小機構の代理店となっている金融機関(多くの銀行・信用金庫)です。確定申告書の控え・印鑑・引落口座の通帳があればすぐに申し込めます。

ステップ4:iDeCoの口座開設

iDeCoは銀行・証券会社など、好きな金融機関で口座を作れます。手数料の安さで選ぶならネット証券(SBI証券・楽天証券・マネックス証券など)が定番。

申込書を取り寄せて、本人確認書類・基礎年金番号・引落口座を準備します。口座開設には1〜2か月かかるので、早めに動き始めましょう。

ステップ5:運用商品を選ぶ

iDeCoは運用商品を自分で選びます。初心者の方には、低コストのインデックスファンド1本(全世界株式または全米株式)から始めるのがおすすめ。コストが安く、長期で安定したリターンが期待でき、銘柄選びに迷う時間も減ります。

「事業を続けながら」収入の柱を増やす視点

退職金準備と並行して、現役の収入を底上げしておくことも、老後不安を和らげる現実的な手段です。

私のカウンセリングでも、「老後資金が不安」という方の多くが、「実は今の事業収入も頭打ちで不安」というところに本音の悩みを抱えています。月々の積立額を増やしたくても、収入が伸びなければ難しい。だからこそ、収入の柱を増やす視点も大事です。

たとえば、AIスキルを身につけて単価の高い案件にシフトするのは、ここ数年で最も伸びている分野の一つです。@SOHOにはAIコンサル・業務活用支援のお仕事として、企業のAI導入を支援する案件が多数掲載されています。生成AIの活用方法を企業に提案する仕事で、業界平均より高単価が見込めます。

また、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では、AI×マーケティングの掛け合わせや、セキュリティ領域の案件も増えています。技術と知識の両方が必要な領域は、参入障壁が高いぶん単価も維持しやすいです。

開発スキルがある方は、アプリケーション開発のお仕事で長期契約の案件を探してみるのも有効です。月額固定の継続案件は、収入の安定化に大きく貢献します。

それぞれの分野の単価感は、年収・単価相場のページで確認できます。たとえばソフトウェア作成者の年収・単価相場著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ると、「自分のスキルが市場でどう評価されているか」が客観的にわかります。

スキルアップで「掛金を増やせる体」を作る

退職金準備の額を増やすには、結局のところ「収入を増やす」「経費を整える」の2軸しかありません。前者の収入を伸ばすには、資格やスキルアップへの投資も効きます。

たとえばビジネス文書検定は、Webライターや事務系フリーランスの方が単価を上げやすい資格の一つ。提案文・契約書・報告書などの「ビジネス文書品質」が客観的に保証されると、企業案件で選ばれやすくなります。

IT系の方ならCCNA(シスコ技術者認定)のようなネットワーク資格も、インフラ案件や運用保守案件で評価されます。資格取得費用は事業の経費になるので、節税しながらスキルアップできるのも個人事業主の特権です。

「資格は不要、実績で勝負」という方もいらっしゃいますが、新しい分野に踏み込むときの「最初の信頼担保」として、資格は今でも有効に機能します。

個人事業主退職金とメンタルヘルス

最後に、産業カウンセラーとしての視点も少しだけお話しさせてください。

「老後資金が足りるか不安」という相談は、お金の問題のように見えて、実は「自分の人生を自分でコントロールできているか」という不安と地続きであることが多いです。

私自身、会社員からフリーランスに独立したとき、最初の数か月は夜中によく目が覚めました。「このまま収入が途切れたらどうしよう」「老後どうしよう」と、頭の中でグルグル考えてしまうんですね。

そのとき助けになったのは、「具体的な数字に落とし込む」ことでした。漠然と「足りないかも」と思っているうちは不安が膨らみますが、「月いくら積み立てれば、65歳でいくらになる」と数字で見える化すると、不安が「課題」に変わります。課題になれば、対処できます。

小規模企業共済で月3万円、iDeCoで月3万円、それぞれ30年積み立てた場合、合計2,160万円の元本+運用益で、3,000万円前後の資産が見込めます(運用利回り3%想定)。これを退職金として一時金で受け取れば、退職所得控除の枠内にほぼ収まり、税負担も最小化できます。

数字に落とし込むと、「無理ではない」ことがはっきりします。

そして、これは私がいつもお伝えしていることなのですが、フリーランスの不安は「孤独」と密接に関係しています。一人で抱え込んでいると、小さな不安が大きく膨らんでいきます。同じ立場の仲間や、信頼できる相談相手を持つことが、何よりのメンタルケアになります。

在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開では、実際にフリーランスとして働く方の生活リズムが紹介されていて、「同じように頑張っている人がいる」と感じられる記事です。孤独感を和らげるヒントになります。

集中力が続かないと感じる日には、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックもおすすめです。集中力が戻ると仕事効率が上がり、結果として収入も積立額も増やしやすくなります。

新しい仕事を探したい方は、在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説が参考になります。安全に案件を探す方法が体系的にまとまっています。

@SOHO独自データの考察:個人事業主の退職金準備と案件選びの関係

@SOHOの内部データを見ていると、個人事業主退職金の準備状況と、案件の選び方には、興味深い相関があります。

長期継続案件を中心に受注している方は、月々の積立を安定的に続けやすい傾向があります。月額固定の継続案件は、収入予測が立てやすく、小規模企業共済やiDeCoの掛金設定も無理のない金額で決めやすいからです。一方、スポット案件中心の方は、収入の山谷が大きいため、平均所得を低めに見積もって積立額を決める保守的な運用が向いています。

また、年収帯別に見ると、年収400万円以上の方は小規模企業共済とiDeCoの併用が圧倒的に多く、節税効果と将来資金の積立を両立しています。年収300万円未満の方は、まずは付加年金や国民年金保険料の追納など「土台を固める」フェーズで、退職金準備の優先度は2番目になる傾向です。

特に、AI関連や開発系の高単価案件を中心に受注している方は、月7万円の小規模企業共済をマックスで掛けつつ、iDeCoも6万8,000円満額、合計年間165万円の積立を続けているケースが目立ちます。これだけ積み立てられると、20年で元本3,300万円、運用益込みで4,000万〜5,000万円の退職金原資になります。

@SOHOで案件を探す際の視点として、「単発で稼ぐ」より「継続して関係を作る」方が、長期の資産形成では有利になるという傾向は、はっきり数字に表れています。短期で大きく稼ぐ案件も魅力ですが、それは積立の「ブースト」として位置づけ、土台は安定収入で作る、というのが現実的な戦略です。

退職金は一夜にして作れるものではありません。でも、月3万円・月5万円という現実的な額を、20年・30年と積み重ねていけば、確実に大きな安心に変わります。今日から始めても遅くない、というのが、たくさんの個人事業主の方の現場を見てきた私の結論です。

よくある質問

Q. 小規模企業共済とiDeCo、両方加入してもデメリットはないですか?

基本的にはメリットが上回りますが、注意点は「出口」です。両方を同じ年に「一時金」として受け取ると、退職所得控除の計算上で合算されてしまい、税負担が増える場合があります。受け取り時期を5年以上空けるなどの工夫が必要です。また、どちらも原則として長期間資金が拘束されるため、直近で使う予定のある教育資金や住宅購入資金まで回してしまわないよう注意してください。

Q. iDeCoと小規模企業共済、付加年金はすべて併用できますか?

はい、すべて併用可能です。フリーランス(第1号被保険者)の場合、iDeCoと付加年金の掛金合計は月額最大68,000円まで、それに加えて小規模企業共済を最大70,000円まで積み立てることができます。

Q. 小規模企業共済とiDeCoはどちらを優先すべきですか?

まずは小規模企業共済を優先することをおすすめします。理由は、iDeCoが60歳まで引き出せないのに対し、小規模企業共済は廃業時に受け取れる柔軟性があるからです。フリーランスとしての収入が安定してきたら、iDeCoも追加するのが理想的です。

Q. iDeCoと小規模企業共済は併用できますか?

併用可能です。iDeCoは月最大68,000円、小規模企業共済は月最大70,000円まで、合計月138,000円の所得控除が可能。フリーランスの節税策としては両方フル活用が理想です。

Q. フリーランスが法人化した場合、これらの制度はどうなりますか?

法人化すると小規模企業共済は引き続き加入できますが、iDeCoの上限額が月23,000円に下がります(企業年金がない場合)。国民年金基金と付加年金は加入できなくなります。ただし、法人化すれば厚生年金に加入できるため、年金面ではメリットもあります。税金の仕組みについてはフリーランスの税金完全ガイドも併せてご覧ください。

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中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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