資格を活かしてダブルワーク!社労士兼業で年収を100万円アップさせる方法

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
資格を活かしてダブルワーク!社労士兼業で年収を100万円アップさせる方法

この記事のポイント

  • 社労士の兼業は可能か?開業登録・勤務登録の違い
  • 副業で受託できる業務範囲
  • 注意点まで客観データで解説

「社労士の資格を取ったけど、独立するのは怖い。会社員のまま兼業で活かせないか」。結論から言うと、社労士は勤務登録と開業登録の使い分けで、本業を続けながら副業として実務報酬を得ることが可能です。ただし、所属企業の就業規則・登録形態・独占業務の制約という3つのハードルを越える必要があります。本記事では、社労士兼業の制度的な可能性と現実的な収益化ルートを、登録者数43,474人という市場データを踏まえて整理します。

社労士市場の現状とマクロデータ

社労士という資格の市場規模を、まず客観的に把握しておきましょう。全国社会保険労務士会連合会が発行する「社会保険労務士白書」によれば、登録者数は1990年の17,433人から2021年には43,474人まで増加し、2029年には5万人に達する見込みです。

2021年版「社会保険労務士白書」[7]によれば、1990年3月31日時点での登録者数は17,433人であったが、登録者数は毎年増加していて、2021年3月31日現在の社会保険労務士登録者数は、43,474人で、そのうち特定社会保険労務士登録者数は、13,683人である。登録者数の過半が「開業」登録である。また、同日現在の社会保険労務士法人数は2,120(うち、社員が1人の社労士法人は895)となっている。2029年には登録者数は5万人になると見込まれている[8]。

注目すべきは、登録者の過半が「開業」登録で占められている点です。つまり、資格取得者の多くは独立志向であり、「勤務社労士のまま兼業で稼ぐ」という選択肢は、市場全体ではまだマイナーな立ち位置と言えます。だからこそ、ニッチを突けば兼業で稼ぐ余地があるとも解釈できます。

社労士試験の合格率は例年6〜7%前後で推移し、難関資格の部類に入ります。労働基準法、労災保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法、労務管理など8科目を網羅する必要があり、学習時間は800〜1,000時間が目安とされます。これだけのコストをかけて取得した資格を、独立リスクを取らずに収益化したいというニーズは合理的です。社労士の業務範囲・登録制度の詳細は厚生労働省全国社会保険労務士会連合会の公式情報を参照してください。

社労士の登録形態と兼業の関係

社労士として実務を行うには、都道府県社会保険労務士会への登録が必要です。登録形態は以下の3つに分かれます。

1. 開業登録 個人事務所として独立する形態。顧問契約や手続代行など、社労士の独占業務を直接受託できます。本業の会社員と並行して開業登録する「兼業開業」も制度上は可能ですが、所属企業の副業規定との整合性が問われます。

2. 勤務登録(勤務社労士) 企業の人事部・労務部などに所属し、自社の業務として社労士業務を行う形態。第三者から報酬を受けて業務することはできません。社内のスペシャリストという位置づけです。

3. その他登録 登録だけ維持し、実務には従事しない形態。資格を活用した発信・教育・コンサルティング(社労士の独占業務に該当しない範囲)に留めるならこの選択肢もあります。

「兼業」と一口に言っても、どの登録形態を選ぶかで収益化の道筋がまったく異なります。本業の会社員として人事業務に携わりながら、週末に外部企業の労務相談を受けたい場合、開業登録一択です。一方、自社の労務管理を高度化したい・社内評価を上げたいだけなら勤務登録で十分です。

年齢層から読み解く兼業の現実性

同日現在の登録者の年齢別構成は、20歳代(0.4%)、30歳代(7.6%)、40歳代(28.8%)、50歳代(27.3%)、60歳代(21.0%)、70歳代(11.2%)、80歳代(3.3%)、90歳代以上(0.4%)となっており、40歳代の割合が最も多く、50歳代、60歳代と続いている。平均年齢は55.6 歳、最年少は23歳、最年長が100歳となっている。また、男女別構成は、男性が68.3%、女性が31.7%となっている。

平均年齢55.6歳という数字は重要です。社労士の主力層は40〜60代で、企業の人事・総務部門で長くキャリアを積んだ後に資格取得し、定年前後で独立または兼業に踏み出すパターンが多いと推測されます。20〜30代の登録者は合計で8.0%と少なく、若年層にとってはまだ参入余地のある領域です。逆に言えば、40代以降のセカンドキャリアとしては、登録者の積み重ねが厚く、競争もそれなりに激しいと見るべきです。

兼業で受託できる業務範囲

社労士の業務は、社会保険労務士法第2条で「1号業務」「2号業務」「3号業務」の3つに区分されています。兼業時にどこまでできるかを正確に押さえておきましょう。

1号業務(独占業務) 労働社会保険諸法令に基づく申請書・届出書の作成・提出代行。例えば社会保険の取得・喪失届、労災保険の請求書、雇用保険の各種届出など。これは社労士の独占業務であり、無資格者が報酬を受けて行うと違法です。兼業で受託するには開業登録が必須です。

2号業務(独占業務) 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成。労働者名簿、賃金台帳、就業規則の作成代行などが該当します。これも開業登録が必要です。

3号業務(非独占業務) 労務管理コンサルティング、研修講師、執筆活動など。資格がなくてもできる業務ですが、社労士という肩書きが信頼性を担保します。勤務社労士でも本業に支障が出ない範囲で副業として行いやすい領域です。

兼業として現実的に着手しやすいのは、3号業務である執筆・研修・コンサルティングです。例えば労務系メディアでの連載執筆、企業向けハラスメント研修、就業規則改定の相談業務などです。1号・2号業務は責任が重く、トラブル時のリスクも大きいため、本業を抱えながら片手間でやるのは現実的ではありません。兼業初期は3号業務でキャッシュフローと実績を作り、軌道に乗ったら独占業務へ広げるのが定石です。

社労士兼業の主な収益化パターン

実務的に成立する兼業パターンを、報酬体系とともに整理します。

1. 顧問契約(スポット型)

中小企業に対して月額制で労務相談・書類作成を請け負う形態。月額顧問料は従業員規模により2万円〜10万円程度が相場です。兼業で複数の顧問を抱えるのは時間的に難しいため、1〜2社のスポット顧問から始めるのが現実的です。

2. 就業規則・規程類の作成代行

労働契約法・労働基準法の改正対応で、就業規則の見直し需要は安定的にあります。1社あたり10万円〜50万円程度の単発報酬が見込めます。週末や夜間に作業を完結できるため、兼業向きの業務です。

3. 助成金申請サポート

雇用関係助成金(キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金など)の申請代行。成功報酬として助成金額の10〜20%を受け取る形が一般的です。ただし、不正受給リスクや支給要件の判断ミスによる返還請求のリスクもあり、知識のアップデートを怠れません。

4. 労務系コンテンツ執筆・監修

法律系・人事系メディアでの記事執筆や監修。文字単価3円〜10円、監修料1記事5,000円〜30,000円が相場です。在宅でできるため、最も兼業向きの収益化パターンです。執筆・編集の市場相場を知りたい方は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場を参考にしてください。

5. 研修講師・セミナー登壇

ハラスメント研修、労働法改正セミナー、新任管理職研修など。1講演3万円〜10万円が目安です。週末開催が多いため兼業しやすく、登壇実績は次の仕事を呼ぶ好循環があります。

私が以前、知人の社労士の業務を取材させてもらった際、印象的だったのは「兼業初期は時給換算するとアルバイトより低い」という率直な感想でした。最初の顧問先を獲得するまでに半年〜1年かかり、紹介ネットワークが回り始めるまでが最大のハードルだそうです。資格取得=即収益化という幻想は、現実とは乖離しています。

兼業時の3つの主要リスク

社労士兼業で見落としがちな落とし穴を整理します。

1. 所属企業の就業規則違反 副業禁止規定がある企業に勤めながら開業登録すると、就業規則違反となり懲戒対象になり得ます。事前に副業申請のフローを確認し、書面で許可を得るのが鉄則です。許可が下りない場合、勤務登録でとどめるか、3号業務(執筆・研修)に絞って業務委託契約ではなくフリーランス契約として処理するなどの工夫が必要です。

2. 利益相反の発生 本業の所属企業と、兼業先の顧問先が競合関係にあると利益相反が生じます。例えば本業がメーカーA社で、副業の顧問先が同業のB社という状況は避けるべきです。業界を横断しないように顧問先を選定する判断力が問われます。

3. 守秘義務違反 社労士法第21条で守秘義務が明記されています。本業で得た情報を副業に流用する、副業先の情報を本業に持ち帰るといった行為は、法令違反かつ信用失墜の致命傷になります。情報は完全に分離管理する習慣をつけましょう。

実際に、2号業務の就業規則作成で守秘義務違反が問題化した事例も報告されています。複数顧問先の情報を取り扱う際は、案件ごとに作業環境(PCのユーザーアカウントやクラウドストレージ)を分けるくらいの慎重さが必要です。

兼業に必要な実務スキルとデジタルツール

社労士兼業を効率化するには、士業向けデジタルツールの活用が前提になります。

社会保険手続きのオンライン化 e-Gov電子申請を使えば、社会保険・労働保険の手続きを電子申請で完結できます。窓口持参や郵送が不要になり、兼業時の時間制約を大幅に軽減できます。

労務管理SaaS連携 SmartHR、freee人事労務、マネーフォワードクラウド人事管理などのSaaSと連携することで、顧問先のデータを直接取り込んで処理できます。freeeマネーフォワードは士業パートナー制度を持っており、兼業社労士でも参画可能です。

AI活用による効率化 法令検索、就業規則のドラフト作成、議事録の要約などにAIを活用する社労士が増えています。ただし、最終判断は必ず資格者が行う必要があります。AI関連の業務支援を学びたい場合は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で関連ニーズを確認できます。

情報セキュリティ対策 個人情報・機密情報を扱うため、セキュリティリテラシーは必須です。VPNの利用、二要素認証、暗号化通信の徹底など、基本対策を怠らないこと。情報セキュリティの基礎知識を補強したい方は、CCNA(シスコ技術者認定)などのIT系資格学習も視野に入る選択肢です。

兼業社労士が陥りがちな「3つの誤算」

私が編集現場で見てきた限り、社労士兼業に踏み出した人がよく直面する誤算は3つあります。

誤算1: 案件獲得チャネルの過小評価 資格を取れば仕事が来る、という発想は通用しません。実際は紹介・既存人脈・SNS発信・士業マッチングプラットフォームなど、複数チャネルを並行運用する地道な営業活動が必要です。私が運用しているメディア企画の現場でも、「資格は取ったが案件が来ない」と相談される社労士の方は珍しくありません。

誤算2: 法改正対応コストの大きさ 労働関連法は毎年のように改正されます。育児介護休業法、高年齢者雇用安定法、労働施策総合推進法など、改正情報のキャッチアップに月10時間以上を投資できないと、誤った助言で顧問先に損害を与えかねません。本業との両立で時間を圧迫します。

誤算3: 報酬の入金サイクルのズレ 顧問契約は月末締め翌月末払いが多く、入金まで2ヶ月かかるケースもあります。スポット業務でも検収後の支払いで時間がかかります。本業の給与と異なるキャッシュフロー感覚に慣れる必要があります。

特に伸びている領域は次の3つです。

1. 法令対応コンテンツの執筆・監修 中小企業向けメディアやSaaS事業者のオウンドメディアで、労務系記事の監修ニーズが拡大しています。記事1本5,000円〜30,000円の監修料が相場で、月数本受託すれば兼業の柱になります。

2. AI×労務の業務支援 AIによる就業規則ドラフト生成、雇用契約書の自動化、人事評価制度の構築支援など、技術と労務を架橋できる人材へのニーズが増えています。社労士+ITスキルの掛け算は、競争の少ないブルーオーシャンです。

3. リモートワーカー向けの労務相談 在宅勤務の普及で、企業側の労務管理ニーズも変化しました。在宅ワークの労務管理に強い社労士は、コンサルティング案件で重宝されます。在宅就業の実態を理解する一助として在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックの現場感も参考になります。求人探索の入口としては在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説が役立ちます。

ビジネス文書作成スキルを補強しておくと、就業規則・規程類のドラフト品質が上がります。基礎固めとしてはビジネス文書検定のような汎用資格の学習も役立ちます。また、デジタル関連業務に踏み込むならアプリケーション開発のお仕事領域の理解も視野に入れておくと、SaaS事業者の労務支援案件で差別化できます。

よくある質問

Q. 会社にバレずにダブルワークをすることは可能ですか?

確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収(自分で納付)」に選択することで、会社に通知が行くリスクを軽減できます。ただし、SNSでの発信や同僚からの漏洩など、税金以外で露呈するケースも多いため、2026年現在の一般的なリスク管理としては、まずは勤務先の就業規則を正しく理解することが最優先です。

Q. 副業所得が年間20万円以下なら、確定申告は不要ですか?

所得税に関しては、副業の所得(売上から経費を差し引いた額)が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、住民税については所得の多寡にかかわらず自治体への申告義務があるため、お住まいの市区町村のルールを確認してください。

Q. 副業で会社にバレないようにする最も確実な方法は?

住民税の普通徴収選択+業務委託型の副業選択+SNS等での身元露出最小化、の3点セットが基本です。それでも100%の秘匿は困難なため、副業申請制度がある会社なら正面から申請するほうが長期的には安全です。制度がない会社でも、業務委託型なら労働時間通算の対象外になり、制度的なバレ経路は大きく減ります。

Q. 副業禁止の会社でも副業できますか?

就業規則違反になる可能性があるため、原則として許可を取って始めるのが安全です。憲法上の職業選択の自由を理由に全面禁止は無効とされる判例もありますが、会社の信用を毀損する・機密情報が絡む・本業に支障を来す、といった副業は禁止が有効と判断されやすいです。

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朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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