SNSを使った副業|向いている人と始めやすい仕事の選び方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
SNSを使った副業|向いている人と始めやすい仕事の選び方

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この記事のポイント

  • ✓SNS副業のおすすめを探している方へ
  • ✓受託型と制作型と発信型の違い
  • ✓そしてステマ規制や著作権など知らずに違反しやすい法律と怪しい案件の見分け方を

SNSを使った副業のおすすめを探している方から、相談の場でよく聞かれるのは「どれがいちばん稼げますか」ではありません。「これって大丈夫な案件でしょうか」という質問です。これ、知らない人が本当に多いんです。SNSを使う副業には、契約と表示のルールが絡む領域が集中していて、知らないまま進めると自分が責任を問われる側になります。この記事では、SNS副業と呼ばれるものを3つに分類し、それぞれの向き不向きと単価の目安、契約で決めておくこと、そして踏みやすい法律の線をお話しします。

SNSを使った副業が広がった背景と、いま起きていること

企業がSNSを使う理由は単純です。広告費をかけずに見込み客に届く経路として機能するからです。ただ、運用には手間がかかります。毎日投稿する、コメントに返す、画像を用意する、反応を見て内容を変える。これを社内の人員だけで回せない企業が、外部に委託します。ここが副業の需要になっています。

同時に、別の動きも起きています。「SNSで簡単に稼げる」という誘い文句を使った勧誘が増えていることです。相談の場で見る限り、被害の形はだいたい決まっています。高額な情報商材を買わされる、初期費用を払わせられる、成果が出ないまま連絡が取れなくなる。

この点は、事業者向けの解説でも同じ指摘がされています。

地味に儲かる副業は、「誰でも簡単に月100万円」といった派手な広告を打つ副業とは根本的に異なります。後者は、高額な情報商材の購入が目的であったり、実際にはほとんど稼げない詐欺的な案件であったりするケースが少なくありません。 出典: biz.moneyforward.com

つまり、SNS副業という言葉の中には、まったく性質の違う2つのものが混ざっています。企業から業務を受託して報酬を受け取る仕事と、参加費を払って「稼ぐ方法」を買う取引です。前者は仕事で、後者は消費です。この違いを最初に分けて考えてください。

法的な整理をしておきます。仕事として業務を受託する場合、あなたは受託事業者になります。2024年11月に全面施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法は、発注者に対して取引条件の明示や報酬支払期日の設定を義務づけています。つまり、何をどこまでやるのか、いくらで、いつ払われるのかが書面やメールなどで示されるのが本来の形です。逆に、ここが曖昧なまま「まずは入金してください」と言われる話は、仕事の形をしていません。

SNS副業を3つに分けて考える

分類してから選ぶと、判断が早くなります。

一つめは、受託型です。企業や個人事業主のアカウントを、代わりに運用します。投稿の作成、コメント対応、分析のレポート。報酬は月額の固定か、投稿数に応じた形が中心です。

二つめは、制作型です。投稿に使う画像、短尺の動画、アイコンやヘッダーを作ります。運用そのものは相手が行い、素材だけを納品する形です。1件ごとの受注になるので、始めやすさではこちらが上です。

三つめは、発信型です。自分のアカウントを育てて、そこから収益を得ます。広告収益、企業からの依頼、自分の商品やサービスの販売。

初心者におすすめしやすい順に言えば、制作型、受託型、発信型の順です。理由は、収入が発生するまでの期間の長さです。制作型は1件納品すれば報酬が出ます。受託型は契約が決まれば月次で入ります。発信型は、アカウントが育つまで収入がゼロの期間が続きます。半年から1年、無報酬で続けられる体力があるかどうかで判断してください。

よくある誤解を一つ解いておきます。「フォロワーが多くないとSNSの副業はできない」という思い込みです。受託型と制作型では、自分のフォロワー数はほとんど関係ありません。求められているのは、相手のアカウントを伸ばす作業と、投稿に使える素材です。自分のアカウントが小さくても受注できます。

受託型:企業のSNSを代わりに運用する

いちばん需要が安定している領域です。業務の内容を具体的に分解します。

投稿の企画と作成が中心の作業になります。何を、いつ、どのアカウントで出すかを決めて、文章と画像を用意します。企業の担当者が確認して公開する形と、代行する側が直接公開する形の両方があります。

次に、コメントとダイレクトメッセージへの対応です。これを含むかどうかで、業務の重さが大きく変わります。問い合わせが来る業種では、対応の範囲を契約で切っておかないと拘束時間が読めません。

三つめは、分析とレポートです。表示回数、反応率、フォロワーの推移をまとめて報告します。月1回の提出が一般的です。

四つめは、広告の運用です。有料の配信を扱う場合、予算の管理が入るため責任の重さが一段上がります。単価も上がりますが、初心者が最初に引き受ける範囲ではありません。

報酬の水準は、業務の範囲で大きく変わります。投稿の作成のみで月数万円、コメント対応と分析まで含めて月5万円から15万円程度、広告の運用まで入ると月20万円以上の案件もあります。ただし、この数字は募集されている案件の幅であって、経験のない段階で上の水準から入れるものではありません。

業務の範囲と求められる役割の型についてはSNS運用代行・SNS広告のお仕事に整理されています。どの工程までを請けるかで難易度と報酬がどう変わるかが、段階ごとに書かれています。

受託型でいちばん多いトラブルは、業務範囲の曖昧さです。先日、SNS運用の代行を請けた方から相談を受けました。契約は「月8本の投稿作成」だったのに、実際にはコメント対応と電話での相談まで求められ、稼働時間が当初の3倍になったという内容です。契約書には投稿本数だけが書かれていて、それ以外の業務について何も書かれていませんでした。

このケースで交渉の材料になったのは、「書かれていないことは業務に含まれない」という原則です。最終的に、追加業務については別途の報酬を定める形で合意できました。つまり、範囲を書いておくことは、断るための根拠になるんです。※ 相手が合意に応じず稼働が続いている場合は、早い段階で弁護士か、フリーランス向けの相談窓口に持ち込んでください。

制作型:投稿用の素材を作る

1件ごとの納品で完結するため、副業の入口としていちばん扱いやすい領域です。

バナーやサムネイルの制作は、需要が多く、必要な道具も軽い。無料の画像編集ソフトから始められます。単価は1枚1,000円から5,000円程度が中心で、シリーズでまとめて受ける場合は1枚あたりが下がる代わりに総額が増えます。

短尺の動画編集は、ここ数年で最も需要が伸びた領域です。カット編集と字幕入れが基本で、単価は1本3,000円から1万円程度、構成から任される場合はそれ以上になります。動画の企画と演出まで含む案件で何が求められるかはPR・CM・SNS広告動画のお仕事に、工程ごとの役割分担が整理されています。

アイコンやヘッダーの制作も、継続的な需要があります。個人事業主やクリエイターが自分のアカウントを整えるために依頼する領域で、単価は1件3,000円から3万円程度と幅があります。絵柄の個性が価値になるため、量産ではなく指名で選ばれる性質の仕事です。作風と納品の形については似顔絵・SNSヘッダーのお仕事に、依頼のされ方と価格の決まり方が書かれています。

制作型で気をつけたいのは、素材の権利です。ここは本当に見落とされます。フリー素材と書かれている画像にも、商用利用の可否、クレジット表記の要否、改変の可否といった条件が付いています。条件を確認せずに納品すると、権利侵害の責任が制作した側に来ます。フォントも同じで、商用利用が有償のものがあります。

もう一つ、納品後の権利の扱いです。制作した画像や動画の著作権を譲渡するのか、利用を許諾するだけなのか。ここを決めていないと、後から「他の媒体でも使いたい」と言われたときに根拠がありません。契約書に1行入れておくだけで解決します。

発信型:自分のアカウントで収益を作る

自分のアカウントを育てる形は、上限が高い代わりに時間がかかります。

収益化の経路は3つあります。プラットフォーム側の広告収益、企業からの依頼、自分の商品やサービスの販売です。このうち最初に安定しやすいのは、企業からの依頼です。

現実的な見通しをお伝えします。アカウントを開いて数か月で収入が生まれることは、ほとんどありません。伸びている発信者を見ると、扱う領域が狭く、その領域に一貫して投稿を続けています。「副業全般」ではなく「特定の職種の副業」まで絞っている人が残っています。

発信型を選ぶなら、本業や別の副業で収入を確保したうえで、並行して育てるのが安全です。収入がゼロの期間に耐えられる設計にしてください。

向いている人と、向かない人

適性の話をします。

受託型に向いているのは、決められた頻度で作業を続けられる人です。投稿の質より、止まらないことが評価されます。逆に、まとめて集中して片付けたい性格の人には負担が大きい。

制作型に向いているのは、手を動かす作業が苦にならない人です。指示された条件の中で成果物を作る仕事なので、自分の表現を通したい気持ちが強いと衝突が起きます。

発信型に向いているのは、反応がない期間を淡々と続けられる人です。ここが最も分かれます。数字が動かない数か月に耐えられるかどうかが、才能より効きます。

共通して向かないのは、即金が必要な状況の人です。SNS関連の副業は、受託でも最初の入金まで1か月から2か月かかります。生活費の穴を今月埋める必要があるなら、別の手段を選んでください。

働ける時間帯で選ぶ視点もあります。平日はフルタイムで動けない方向けに、稼働を週末に寄せる形の副業を比べた土日だけの副業おすすめ10選|平日フルタイム勤務向けが判断材料になります。時間の確保の仕方から逆算して仕事を選ぶ整理です。年金との両立を考える段階の方には定年退職後の副業おすすめ|年金と両立する働き方に、収入の水準と制度の関係が書かれています。

知らずに違反しやすい法律の線

ここがこの記事でいちばんお伝えしたい部分です。SNSを使う副業には、表示に関するルールが集中しています。

まず、ステルスマーケティングの規制です。2023年10月1日から、景品表示法上の不当表示として規制の対象になっています。事業者の広告であるにもかかわらず、一般消費者が広告だと判別できない表示が禁止されます。つまり、企業から依頼を受けて商品を紹介する投稿で、依頼を受けていることを分かる形で示していなければ違反になり得ます。

実務上の対処は単純です。依頼を受けた投稿には「広告」「PR」「提供」といった表示を、消費者が認識できる位置に入れる。投稿の末尾に他のハッシュタグと混ぜて埋めるのは、認識できる形とは言いにくい。規制の対象は広告主である事業者ですが、代行する側が表示を入れずに投稿すれば、発注元が措置命令を受ける原因を作ることになります。契約を失う要因として、これは重いです。規制の詳しい考え方は、消費者庁が公表している運用基準で確認できます。

次に、著作権です。他人が撮った写真、他人が描いたイラスト、他人の文章を、許可なく投稿に使うことはできません。検索で出てきた画像を使う、という行為が最も多い違反の形です。運用代行の場合、投稿したのは代行した側なので、責任の所在が自分に来ます。

三つめは、薬機法です。健康食品、化粧品、美容機器を扱うアカウントを運用する場合、効果や効能について言えることの範囲が法律で限定されています。「シミが消える」「痩せる」といった表現は、化粧品や健康食品では使えません。この領域の案件を受けるなら、表現のルールを先に確認してください。※ 表現の可否は個別の判断が必要になるため、業種ごとの線引きは発注元の法務担当か専門家に確認するのが安全です。

四つめは、景品表示法の優良誤認と有利誤認です。根拠のない「業界No.1」「最安値」といった表示は、企業のアカウントで書けば企業の責任になります。運用を任されている立場なら、根拠資料の有無を確認してから投稿してください。

五つめは、肖像権とプライバシーです。人が写っている写真を投稿に使う場合、本人の同意が必要です。イベントの写真で参加者が特定できる場合も同様です。

法律の話が続きましたが、脅かしたいわけではありません。線がどこにあるかを知っていれば、避けられます。知らないまま進んで、後から損害賠償の話になるほうが怖い。法律はあなたの味方です。ただし、味方に助けを求めるには、自分が何をしたかを説明できる状態にしておく必要があります。投稿の指示を誰から受けたか、根拠資料を誰が用意したかを、やり取りの記録として残しておいてください。

怪しい案件の見分け方

相談の中で見てきた、危険な案件の特徴を挙げます。

第一に、先に費用を払わせるものです。登録料、教材費、システム利用料。名目は何であれ、仕事を始める前にお金を払う話は、業務委託の形をしていません。

第二に、業務の内容が説明されないものです。「スマホで簡単な作業」「1日10分」。何をするのかが書かれていない募集は、判断ができません。

第三に、報酬の根拠がないものです。作業量や成果と結びついていない金額を提示する案件は、別の目的があります。

第四に、連絡手段がメッセージアプリだけのものです。会社名、所在地、連絡先が確認できない相手と契約しないでください。特定商取引法に基づく表示が必要な事業であれば、事業者の情報を明示する義務があります。

第五に、他人を紹介すると報酬が増える仕組みです。これは業務の対価ではなく、勧誘の対価です。構造によっては、自分が加害者側になります。

第六に、契約書を出さないものです。フリーランス保護新法により、発注者は業務委託の内容や報酬額、支払期日などを明示する義務があります。書面やメールで条件を示さない相手は、そもそも法令を守っていません。

判断に迷ったときの基準を一つお伝えします。「この話を、勤務先の同僚に説明できるか」です。説明したときに相手が眉をひそめる内容なら、契約しないでください。

代行業のリスクについては、発注側から見た失敗のパターンをまとめたSNS運用代行のデメリットを徹底解説!失敗しない選び方と注意点も参考になります。受ける側にとっては、依頼者が何を不安に思っているかを知る資料として読めます。

単価の相場と、契約で決めておくこと

金額の目安をまとめます。制作型のバナーは1枚1,000円から5,000円程度、短尺動画の編集は1本3,000円から1万円程度、アイコンやヘッダーは1件3,000円から3万円程度。受託型の運用代行は、範囲によって月数万円から20万円以上まで幅があります。文章を扱う仕事の単価水準を統計と並べて見たい場合は著述家,記者,編集者の年収・単価相場が参照になります。

契約で決めておく項目は、5つです。

一つめは、業務の範囲です。何をするか、そして何をしないかの両方を書いてください。「投稿作成のみ、コメント対応は含まない」と書けば、断る根拠になります。

二つめは、修正の回数です。無制限にすると終わらない案件になります。2回まで、それ以降は別途、という形が一般的です。

三つめは、報酬と支払期日です。フリーランス保護新法では、発注者は成果物を受領した日から原則60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定める義務があります。ここを確認してください。

四つめは、権利の扱いです。制作物の著作権を譲渡するのか、利用の許諾だけなのか。譲渡する場合の対価も含めて決めます。

五つめは、契約の終了条件です。月次の契約なら、何日前に通知すれば終われるのか。これを書いていないと、辞めたいときに辞められません。

SNS運用の知識を体系で押さえたい方にはSNSマネージャーの出題範囲が参照になります。資格が案件を連れてくるわけではありませんが、運用の判断基準と法務の線を整理する材料として使えます。

1件目を取るまでの手順

順番を分解します。ここを飛ばして案件を探し始めると、応募しても通りません。

第一段階は、請けられる作業を1行で書けるようにすることです。「SNS運用ができます」では判断してもらえません。「飲食店のアカウント向けに、写真の加工込みで週3本の投稿を作成できます」と書けると、依頼者が自分の課題に当てはめられます。範囲を狭めるほど、通りやすくなります。

第二段階は、見せられる成果物を3つ用意することです。実績がないなら、自分で作ってください。架空の店舗を想定して投稿案を3本、バナーを3枚、短尺動画を1本。これがあるだけで、実績ゼロの不利がかなり消えます。

第三段階は、応募先を選ぶことです。案件の探し方は、募集を見て応募する形と、募集が出る前に声をかけられる形の2つがあります。前者は数が多く競争が激しい、後者は単価が高く継続しやすい。最初は前者から入り、実績ができたら後者の経路を作るのが現実的な順番です。

第四段階は、提案文です。ここで通過率が変わります。募集文を読んで、相手が困っていることを1文で言い換えてから、自分がどう解決するかを2文で書く。この形にするだけで、テンプレートを貼った応募と明確に差が出ます。加えて、SNSの案件では「どのアカウントを想定して何を提案するか」を具体的に1つ書いておくと、読む側の判断が早くなります。

第五段階は、1件目を丁寧に終えることです。納期を守る、途中で1度進捗を連絡する、修正依頼に素早く返す。この3つができていれば、次の声がかかります。逆に、成果物の質が高くても連絡が滞ると、継続の話にはなりません。

続けるためのコツと、決めておくこと

長く続けている方に共通する運用の型を挙げます。どれも特別な技術ではありません。

一つめは、作業する時間帯を固定することです。SNSの仕事は、通知が来るたびに手を止められる性質を持っています。コメント対応を含む案件なら、確認する時間を1日2回と決めて、それ以外は見ない。この線を引かないと、稼働時間が読めなくなります。契約の段階で「対応は営業日の何時までに1回」と書いておけば、相手にも伝わります。

二つめは、投稿の素材を作りためておくことです。毎回ゼロから作ると、体調や本業の忙しさで止まります。画像の型を3種類作っておいて、差し替えるだけで完成する状態を用意しておく。これで、繁忙期を乗り切れます。

三つめは、やり取りの記録を残すことです。指示を受けた内容、送った成果物、修正の依頼。これがトラブルのときの根拠になります。メッセージアプリだけでやり取りしている場合、後から履歴が消えることがあります。重要な指示はメールに残す、あるいは自分でメモに転記しておいてください。

四つめは、時間と報酬を記録することです。案件名、報酬、実際にかかった作業時間の3つを、表計算に1行ずつ足すだけで十分です。これがないと、自分が損をしている案件に気づけません。「月5万円の運用代行」は、月10時間で終わるのか月40時間かかるのかで、まったく別の意味になります。

五つめは、更新の前に条件を見直すことです。契約から数か月経つと、業務が少しずつ増えているのが普通です。増えた分を整理して、更新の際に報酬か範囲を調整する。ここを言わずに続けると、時間あたりの報酬が下がり続けます。相手に悪意がある話ではなく、増えたことに双方が気づいていないだけのことが多いです。

税金と、会社の副業規程

給与を1か所から受けている会社員の場合、副業の所得(収入から経費を引いた額)が年間20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。20万円以下なら所得税の確定申告は不要とされていますが、住民税の申告は別に必要になります。ここを混同している方が多いので注意してください。詳細は国税庁の案内で確認できます。

経費になり得るものは記録しておいてください。ソフトの月額、素材やフォントの購入費、通信費のうち業務に使った割合、機材。帳簿はfreeeやマネーフォワードのような会計サービスで作るのが現実的です。

会社の就業規則も確認してください。副業が許可制になっている場合、届け出を出しておく。それと、競業の範囲です。勤務先と同じ業種の企業のSNSを運用する場合、競業避止の規定に触れる可能性があります。ここは事前に確認したほうが安全です。

20年市場を見てきた立場からの観察

最後に、フリーランスと在宅ワークの市場を20年運営してきた視点から書きます。

SNS関連の仕事で長く続いている人には、共通点があります。数字を出すことより、依頼者の判断を減らすことに時間を使っている点です。投稿案を3つ出して選んでもらう、来月の予定を先に提示する、反応が悪かった投稿の理由を自分の言葉で説明する。この動き方をしている人は、契約が更新されます。

運営者として見てきた限りでは、置き換えられやすいのは「言われたものを作る人」です。同じものを安く作る相手が現れた時点で、比較の対象になります。一方、依頼者が「この人に任せると自分が考えなくて済む」と感じている関係は、価格では崩れません。

もう一つ、額面と手取りの話をしておきます。仲介の手数料が乗る取引では、依頼者が払った金額と受け手に届く金額の間に差が生まれます。手数料0%で直接やり取りできる形なら、同じ予算で依頼者はより多く頼めて、受け手の手元に残る額は厚くなります。金額の大小ではなく、残る質の話です。長く続けている方ほど、直接の関係を持つ相手を早い段階で増やしています。

そして、SNSを使った副業を検討している方にお伝えしたいことがあります。この領域は参入が容易なぶん、法律の線を知らない人が多く入ってきます。つまり、表示のルールと権利の扱いを分かっている人が、それだけで選ばれる状況にあります。ステマの表示を入れる、素材の利用条件を確認する、契約書に範囲を書く。地味な作業ですが、発注する側から見れば安心して任せられる相手の条件そのものです。

始める順番をまとめます。まず制作型で1件納品して、納品の流れを覚える。次に受託型で月次の契約を1つ持つ。発信型は、その収入が安定してから並行して育てる。この順番なら、収入がゼロの期間を作らずに進められます。法律も契約も、知っておけばあなたの味方になります。

よくある質問

Q. フォロワーが少なくてもSNSの副業はできますか?

できます。受託型(企業のアカウント運用)と制作型(バナーや動画の制作)では、自分のフォロワー数はほとんど問われません。求められているのは相手のアカウントを動かす作業と、投稿に使える素材です。自分のフォロワー数が必要になるのは発信型だけで、そちらは収入が生まれるまで半年以上かかることが一般的です。

Q. 企業から依頼された投稿に「PR」と書く必要はありますか?

必要です。2023年10月1日から、事業者の広告であることを一般消費者が判別できない表示は景品表示法上の不当表示として規制されています。「広告」「PR」「提供」などを、読む人が気づく位置に入れてください。他のハッシュタグに混ぜて末尾に埋める書き方は、判別できる形とは言いにくいので避けたほうが安全です。

Q. 契約書がない案件は受けてよいのでしょうか?

避けてください。フリーランス・事業者間取引適正化等法により、発注者には業務の内容や報酬額、支払期日などを書面やメールで明示する義務があります。条件を示さない相手は法令を守っていない状態です。加えて、業務範囲が書かれていないと後から作業が増えたときに断る根拠がなくなります。

Q. SNS副業の単価はどれくらいですか?

制作型ではバナーが1枚1,000円から5,000円程度、短尺動画の編集が1本3,000円から1万円程度、アイコンやヘッダーが1件3,000円から3万円程度が中心です。受託型の運用代行は業務範囲によって月数万円から20万円以上まで幅があります。コメント対応や広告運用を含むかどうかで金額が大きく変わります。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月18日最終更新:2026年9月21日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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