手術室の1日の流れ|朝から終業までの動き方を追う


この記事のポイント
- ✓手術室の看護師は1日をどう動いているのか
- ✓出勤後の準備と朝の打ち合わせ
- ✓午後の延長と翌日の準備
手術室の1日は、時間割で動く病棟とはまったく違う形をしています。結論から言うと、手術室の1日には3つの山があります。朝の準備から最初の入室までの1時間、同時にいくつもの部屋で手術が進む日中、そして予定より長引いた手術と翌日の準備が重なる夕方です。
この3つの山のどこで何が起きているのかが分かると、「手術室はきつい」「定時で帰れない」といった評判の中身も具体的に見えてきます。反対に、「受け持ちが無いから楽」という見方が実態と合わない理由も分かります。
この記事では、手術室の看護師が朝に出勤してから終業するまでを時間の順に追い、途中で起きる交代や部屋の入れ替え、緊急手術が入った日の動き方、病院の規模による違い、そして見学や面接で1日の実態をつかむ方法までを整理します。
手術室の1日を決める前提:部屋の数、件数、勤務の形
時間を追う前に、手術室の1日を形作っている前提を押さえておきます。同じ「手術室の看護師」でも、部屋の数と手術の件数、勤務の形によって、1日の密度はかなり違うからです。
まず、部屋の数です。大きな病院では手術室を10室以上持ち、診療科ごとにほぼ専用で使っています。たとえば、ある県立の総合病院は、看護師の採用ブログで手術室の規模をこう紹介しています。
今日は、手術室看護師の一日についてご紹介します。手術室は16室あり、手術をする診療科は16診療科です。 出典: hgmc.hyogo.jp
16の部屋で16の診療科が手術をしている病院では、朝の同じ時間に10件以上の手術が一斉に始まることもあります。看護師は診療科ごとのチームに分かれ、その日の配置表に従って部屋に入ります。
一方で、手術室が2〜3室の病院もたくさんあります。ある民間病院は、手術室を増やしたことを次のように案内しています。
宝塚第一病院では、患者さまにより良い医療サービスを提供するため、手術室の増設工事を行いました。手術室は2室から3室に増え、より多くの患者さまに迅速かつ安全な手術を提供できるようになります。 出典: takarazuka-daiichi-hp.or.jp
この規模の手術室では、1人の看護師が午前は整形外科、午後は眼科というように、診療科をまたいで担当します。1部屋あたりの件数は多くても、同時に動く部屋が少ないので、全体の流れは見渡しやすくなります。
次に、勤務の形です。手術室の勤務は、おおむね次の組み合わせで作られています。
| 勤務の種類 | 時間の目安 | 役割 |
|---|---|---|
| 日勤 | 8時30分〜17時15分前後 | 予定手術の器械出しと外回り |
| 早番 | 7時30分〜16時前後 | 朝の準備、部屋の立ち上げ |
| 遅番 | 10時〜19時前後 | 夕方以降に長引いた手術の引き継ぎ |
| 夜勤 | 16時30分〜翌9時前後 | 夜間の緊急手術(救急を多く受ける病院) |
| オンコール | 終業後から翌朝まで自宅待機 | 呼び出しがあれば出勤して緊急手術 |
どの勤務を置いているかは病院ごとに違います。遅番を置いていない病院では、夕方に長引いた手術を日勤の看護師がそのまま続けることになり、残業が生まれやすくなります。
最後に、手術の予定の組み方です。手術室の予定は、前日までに診療科から申し込まれ、看護師長や手術室の調整担当が部屋と時間を割り振ります。手術室を持つ病院の多くは、「朝一番の手術は何時に入室するか」を固定しています。これが8時30分なのか9時なのかで、看護師の出勤時刻と朝の慌ただしさが変わります。
出勤から最初の入室まで(7時台〜9時)
手術室の1日で、最初の山が朝です。ここでの準備が遅れると、その部屋のすべての手術が後ろにずれるので、手術室の看護師にとって朝の1時間はもっとも気の抜けない時間帯です。
7時台:着替えと部屋の立ち上げ
出勤したら、まず手術室専用の服に着替え、帽子とマスクを着けます。手術室は清潔を保つために、外の服や靴のままでは入れません。
早番の看護師は、部屋の空調や照明を入れ、無影灯や手術台、吸引の器械が動くかを確かめます。麻酔器の点検は、麻酔科医や臨床工学技士が担当する病院が多いですが、看護師が一緒に確認する病院もあります。
8時前後:朝の打ち合わせ
手術室全体で短い打ち合わせをします。その日の手術の一覧を見ながら、次のようなことを共有します。
・部屋ごとの手術の順番と、入室予定の時刻 ・担当の看護師(器械出しと外回り)の割り振り ・感染症のある患者さん、アレルギーのある患者さん ・輸血の準備が必要な手術、長時間になりそうな手術 ・緊急手術が入ったときに、どの部屋と誰が対応するか
打ち合わせが終わると、看護師は担当の部屋に分かれます。
8時台:担当の部屋での準備
器械出しの看護師は、滅菌された器械のセットと、手術に使う材料を部屋に運び、中身をひとつずつ確かめます。セットの中の器械が全部そろっているか、滅菌の期限や表示に問題がないかを見ます。術者ごとに好む糸や器械が違うので、手術ごとの準備表と照らし合わせます。
外回りの看護師は、患者さんの情報をもう一度読み直します。前日の術前訪問で聞いた関節の動きや皮膚の状態、体位を取るときに気をつけることを確認し、当て物や保温の器具を準備します。電子カルテで、同意書、検査の結果、絶食の指示が守られているかも見ます。
私が以前、手術室の看護師の1日を追う記事を編集したとき、取材先の看護師に「朝の準備でいちばん大事なことは何ですか」と聞いたことがあります。答えは「足りない物に朝のうちに気付くこと」でした。手術が始まってから器械が足りないと分かると、清潔野の外から取りに行く間、手術が止まるからです。正直なところ、器械を渡す場面ばかり想像していた私には意外な答えでした。
8時30分〜9時:入室と麻酔の導入
病棟の看護師が患者さんを手術室の入口まで連れてきます。ここで申し送りを受け、名前、手術する部位、同意書、絶食の状況を本人と一緒に確認します。
部屋に入ったら、心電図や血圧計、酸素の濃度を測る器械を付けます。麻酔の導入の前に、チーム全員で患者さんの名前と手術の内容、アレルギーを確認します。全身麻酔の場合、麻酔科医が薬を入れて呼吸の管を入れるまで、外回りの看護師は患者さんの手を握ったり声をかけたりしながら、そばで介助します。
麻酔がかかったら、手術に必要な体位を取り、消毒をして、清潔な布で体を覆います。器械出しの看護師は手を洗って手術着と手袋を着け、清潔野に器械を並べ終えています。皮膚を切る直前に、全員が手を止めてもう一度確認をしてから、手術が始まります。
入室から執刀まで、短い手術でも30分前後、体位が複雑な手術や管をたくさん入れる手術では1時間以上かかることもあります。
午前の手術中の動き(9時〜12時)
手術が始まると、手術室の時間の進み方は部屋ごとにばらばらになります。ここからが2つ目の山、日中の同時並行です。
器械出しの動き
器械出しの看護師は、手術の進行に合わせて器械を渡し続けます。腹腔鏡の手術なら、カメラや鉗子の受け渡し、開腹への切り替えに備えた器械の準備。整形外科なら、骨を削る道具や人工関節の部品の順番。手術の場面ごとに、次に使う物を手元に用意しておきます。
体を閉じる前には、外回りと一緒にガーゼ、針、器械の数を数えます。数が合ったことを確かめてから、術者に伝えます。
外回りの動き
外回りの看護師は、部屋の中を見渡しながら、患者さんの状態と手術の進み具合を追います。出血量を吸引の瓶やガーゼの重さから計算し、尿量と体温を記録します。追加の器械や材料が必要になれば、清潔野に渡します。
外回りは、部屋の外ともつながっています。病理検査に出す検体の手続き、輸血の取り寄せ、家族への連絡の取り次ぎ、次の手術の患者さんを呼ぶタイミングの調整。部屋の中にいながら、手術室全体の流れの一部を担っています。
1件目が終わってから、次の入室まで
短い手術なら、午前中に1つの部屋で2件、3件と続きます。手術が終わると、患者さんを麻酔から覚まし、呼吸や意識を確かめてから、回復室または病棟へ送り出します。
その後、部屋の入れ替えです。使った器械を片付け、ゴミや汚れた布を回収し、床と手術台を清掃し、次の手術の器械と材料を準備します。清掃は専門の職員や看護助手が担当する病院が多いですが、器械の数の確認と次の準備は看護師の仕事です。この入れ替えにかかる時間は、手術の種類によりますが20〜40分程度が一般的です。
入れ替えの速さは、その部屋の1日の件数を直接左右します。眼科の白内障の手術のように1件が短い手術を続ける部屋では、入れ替えを何度も繰り返すので、看護師の体感としては「手術よりも準備と片付けを繰り返している」1日になります。
長時間の手術の場合
心臓や脳、がんの大きな手術では、1件の手術が6時間を超えることも珍しくありません。この場合、午前中どころか、朝に入室した患者さんの手術が夕方まで続きます。同じ看護師が最初から最後まで付くと集中力が持たないので、途中で交代する仕組みを取っています。これは次の節で説明します。
昼の休憩と、交代の仕組み
手術室の看護師の昼休みは、時計で決まりません。手術の区切りで決まります。これが、手術室の1日を外から見たときにいちばん分かりにくい部分です。
休憩は「区切り」と「交代」で取る
短い手術が続く部屋では、1件が終わって次の入室までの間に交代で休憩に入ります。ただ、入れ替えの時間は準備にも使うので、ゆっくり休める時間は長くありません。
長時間の手術が続いている部屋では、手術を止められないので、別の看護師が交代に入ります。多くの病院では、特定の部屋を持たない「フリー」や「リリーフ」の看護師を置き、部屋を順番に回って休憩の交代をしています。器械出しの交代では、交代に入る看護師が清潔な手術着と手袋を着け、器械の並びと、使ったガーゼや針の数を申し送りで引き継ぎます。
休憩が後ろにずれる理由
手術室の看護師の昼休みが13時、14時にずれ込むことは珍しくありません。理由は主に3つあります。
1つ目は、手術の区切りが予定どおりに来ないことです。予定より出血が多い、癒着があって時間がかかる、といった理由で、交代のタイミングがずれます。
2つ目は、交代に入る人の数が足りないことです。リリーフの看護師が1人で5部屋を回っていれば、最後の部屋の人が休憩に入れるのは当然遅くなります。
3つ目は、緊急手術です。昼の時間帯に緊急手術が入ると、リリーフの看護師がその手術に入り、休憩の交代ができなくなります。
正直なところ、休憩が取りにくいことを「手術室だから仕方ない」で済ませている職場もあります。ただ、休憩が取れない状態が続くと、集中力が落ち、カウントの間違いや体位の見落としにつながります。休憩の交代の仕組みがきちんと回っているかどうかは、患者さんの安全にも関わる問題です。
水分補給とトイレ
意外に見落とされがちなのが、手術中の水分補給とトイレです。器械出しの看護師は清潔野に入っている間、水を飲むことも、トイレに行くこともできません。長時間の手術の前には水分を控える、という人もいますが、それを続けると体調を崩しやすくなります。
交代の仕組みが整っている手術室では、長時間の手術でも2〜3時間ごとに短い交代を入れ、水分補給とトイレの時間を作っています。見学のときに「長時間の手術では、どのくらいの間隔で交代していますか」と聞くと、その職場が働く人の体をどれくらい考えているかが見えます。
手術室の中の、ほかの職種
交代の仕組みを支えているのは看護師だけではありません。臨床工学技士が医療機器の準備やトラブル対応を担い、看護助手や中央材料室の職員が器械の洗浄と滅菌、物品の補充を担います。こうした職種がそろっている手術室ほど、看護師が看護の仕事と交代に集中しやすくなります。
午後から終業まで(13時〜17時以降)
午後は、午前の手術の続きと、午後に予定された手術が重なる時間帯です。そして夕方に、3つ目の山が来ます。
13時〜16時:午後の手術
午後の手術は、午前の手術が終わった部屋から順に始まります。午前の手術が長引けば、午後の入室時間は後ろにずれます。手術室の調整担当は、各部屋の進み具合を見ながら、空いた部屋に別の診療科の手術を回すなど、全体の順番を組み替えます。
担当の看護師にとっては、午前と午後で違う診療科の手術に入ることもあります。午前は消化器外科の器械出し、午後は整形外科の外回り、というように、頭の切り替えが必要になります。
16時〜17時:予定が延びた手術をどうするか
夕方に、その日の手術がどれだけ残っているかで、終業時間が決まります。
遅番を置いている病院では、日勤の看護師から遅番の看護師へ、手術中の部屋を引き継ぎます。器械出しなら器械とガーゼの数、外回りなら出血量や記録、患者さんの状態を申し送ります。遅番がいない病院では、日勤の看護師がそのまま手術の終わりまで残ります。
翌日の準備
手術が終わった看護師は、翌日の準備に移ります。
・翌日の手術の一覧を見て、器械のセットと材料がそろっているか確認する ・特殊な器械や、業者から借りる器械が届いているか確かめる ・翌日の患者さんの術前訪問に行く ・その日の手術の記録を仕上げる ・使った物品を請求し、在庫を補充する
業者から借りる器械は、整形外科の人工関節や脊椎の手術でよく使われます。前日の夕方までに届いていないと、翌朝の手術が始められません。夕方に届いた器械は、中身を確かめて中央材料室に洗浄と滅菌を頼みます。滅菌には時間がかかるので、届くのが遅れた日は、担当の看護師が業者や中央材料室と何度も連絡を取り合うことになります。
翌日の準備を夕方に済ませておくことで、朝の最初の山を少しでも低くします。手術室の1日は、夕方に翌日の朝を作る、という形でつながっています。
終業時刻の実態
日勤の終業時刻は17時台に設定されていることが多いですが、手術室は長引いた手術の影響を受けやすいので、実際に帰る時間は日によって大きく変わります。定時に近い時間に帰れる日もあれば、19時、20時まで残る日もあります。これは手術の予定の組み方と、遅番やオンコールの体制で大きく変わる部分です。
緊急手術が入った日と、オンコールの夜
予定どおりに進む日ばかりではありません。緊急手術が入ると、手術室の1日は組み直されます。
日中に緊急手術が入った場合
救急外来や病棟から緊急手術の申し込みがあると、手術室の調整担当は、空いている部屋と対応できる看護師を探します。緊急手術用の部屋を空けている病院もありますが、そうでない場合は、予定の手術の順番を後ろにずらして部屋を作ります。
担当になった看護師は、患者さんの情報を短い時間で集め、器械と材料を準備します。予定手術なら前日から準備できることを、30分から1時間で済ませることになります。
緊急手術では、術前訪問の時間がありません。外回りの看護師は、救急外来や病棟の看護師からの申し送りと電子カルテの情報だけで、アレルギー、最後に食事をした時刻、飲んでいる薬、体位で注意する点を把握します。最後に食事をしてから時間が経っていない患者さんは、麻酔の導入のときに胃の内容物が逆流する危険があるので、麻酔科医と一緒に準備を整えます。
帝王切開や、出血が続いている患者さんの手術のように、一刻を争う手術もあります。そうした手術では、決められた時間の中で入室から執刀までを済ませる必要があり、手術室全体が一気にその部屋を支える体制に切り替わります。その結果、午後の予定手術が夕方にずれ込み、全体の終業が遅くなることがあります。
夜間の緊急手術
夜勤を置いている病院では、夜勤の看護師が緊急手術に入ります。オンコールの病院では、当番の看護師が自宅から呼び出されます。
オンコールの当番の日は、呼び出しから決まった時間の中で病院に着く必要があるため、遠出はできず、お酒も控えることになります。呼び出されて深夜に手術に入り、明け方に終わって、そのまま翌日の日勤に入る、という流れになる病院もあれば、呼び出された翌日は午後からの出勤にしている病院もあります。
オンコールの回数や呼び出しの頻度は、病院が救急をどれだけ受け入れているかで大きく違います。月に数回の当番で呼び出しはほとんど無い病院もあれば、当番の日はほぼ毎回呼ばれる病院もあります。1日の流れを考えるときは、日中の勤務だけでなく、この夜の負担も合わせて見ておく必要があります。
規模と担当で、1日の形はこう変わる
ここまで追ってきた1日は、中規模から大規模の総合病院を想定したものです。働く場所によって、1日の形は次のように変わります。
| 働く場所 | 1日の形の特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 大規模病院の手術室 | 同時に10件以上が動き、診療科ごとのチームで専門の手術に入る。長時間の手術と緊急手術が多い | 特定の分野を深めたい人 |
| 中小規模病院の手術室 | 2〜5室程度で、1人が複数の診療科を担当。器械出しと外回りを日によって入れ替わる | 手術室の基礎を幅広く身に付けたい人 |
| 眼科などの専門病院 | 1件が短い手術を1日に何件も続ける。入れ替えの回数が多く、終業時刻は読みやすい | 決まった手順を正確に回すのが得意な人 |
| 日帰り手術のクリニック | 予定手術のみで緊急手術やオンコールはほぼ無い。手術前後の説明や帰宅の支援も担う | 生活のリズムを安定させたい人 |
眼科の専門病院の1日は、総合病院とかなり違います。先に紹介した病院も、増やした部屋を眼科専用にしたと案内していました。白内障の手術は1件が短く、同じ手順を1日に何度も繰り返すので、入れ替えの速さと手順の正確さが1日の中心になります。
日帰り手術のクリニックは、夜の緊急手術がほとんど無いため、終業時刻が読みやすく、オンコールの負担もありません。そのかわり、患者さんが当日に帰宅するので、手術前の説明と、帰宅の前の状態確認にかける時間が長くなります。
担当の決まり方でも、1日の形は変わります。診療科ごとのチームに入っている看護師は、同じ診療科の手術を毎日繰り返すので、準備の段取りが体に入り、朝の山を低くしやすくなります。反対に、日によって診療科が変わる看護師は、毎朝その日の手術の手順を頭に入れ直す必要があります。どちらが楽かは一概に言えませんが、慣れるまでの時間は、診療科が固定されているほうが短い傾向があります。
手術室の看護師の給与は、この1日の形によっても変わります。夜勤やオンコールのある病院では手当が付き、日帰り手術のクリニックでは手当が少ないかわりに時間が読みやすい、という関係です。看護師の年収や時給の相場を統計データで整理したページで全体の幅を確認しておくと、求人の提示額がどの位置にあるのかを判断しやすくなります。
見学と面接で、その手術室の1日をつかむ方法
求人票に書かれている勤務時間だけでは、手術室の1日は分かりません。見学と面接で、次のことを確かめると実態に近づけます。
数字で聞くこと
・手術室の部屋数と、1日の平均の手術件数 ・朝一番の入室時刻と、日勤の出勤時刻 ・遅番の有無と、夕方に手術が残ったときの引き継ぎの方法 ・月あたりの平均の残業時間 ・オンコールの当番の回数と、実際に呼び出される頻度
「残業は多いですか」と聞くと「日によります」としか返ってこないことが多いので、「先月の平均の残業時間は何時間くらいですか」と数字で聞くのがおすすめです。
見学で見ること
見学ができるなら、夕方の時間帯を見せてもらうと、その手術室の1日の終わり方が分かります。17時の時点で何部屋が動いているか、看護師がどれくらい残っているかを見れば、終業時刻の実態がつかめます。
休憩室の様子も参考になります。昼の時間帯に誰も休憩室にいない場合は、交代の仕組みが回っていない可能性があります。
教育の流れを聞くこと
新しく入った看護師が1日のどこから覚えていくのかも聞いておきましょう。多くの病院では、最初は短い手術の器械出しから始め、慣れてきたら外回り、長時間の手術、緊急手術の順に広げていきます。独り立ちまでの目安の期間と、その間に誰が付いてくれるのかを聞くと、入った後の1日のイメージが具体的になります。
経験者として入る場合も、前の職場と1日の形が違うことを前提にしておくと安心です。前の病院では遅番があったのに、今度の病院には無い。前は診療科が固定されていたのに、今度は日替わり。こうした違いは、仕事の中身が同じでも疲れ方を大きく変えます。面接では「前の職場ではこういう1日でしたが、こちらではどう違いますか」と、自分の経験と比べる形で聞くと、答える側も具体的に説明しやすくなります。
手術室か病棟か、外来か、どこで働くかを考えるときに迷ったら、転職やキャリアの相談を仕事にしている専門家が、どういう視点で職場を比べているのかを知っておくと役に立ちます。どんな相談に乗り、どんな観点で整理しているのかは、次のページにまとまっています。
運営者の視点で見る、手術室の1日と働き方の組み立て
フリーランスや在宅ワークの市場を長く見てきた立場から言えば、手術室の1日の形は、ほかの仕事との組み合わせ方にも影響します。オンコールや夜勤のある手術室では、勤務の外の時間も予定を入れにくくなります。一方で、日帰り手術のクリニックや眼科の専門病院のように終業時刻が読みやすい職場では、勤務の外の時間を学びや別の仕事に使いやすくなります。
看護師の臨床経験を在宅の仕事にどう生かせるのかは、次の記事で紹介されています。医療記事の執筆や監修、オンラインでの健康相談、治験データの入力や点検など、臨床の知識が前提になる仕事が並んでいます。
運営者として見てきた限りでは、長く続けている人ほど、仕事の量を増やすことよりも「この人に任せると段取りが良い」と思われる関係を作ることに時間を使っています。手術室の1日に置き換えると、朝のうちに足りない物に気付く、交代のときに抜けなく申し送る、夕方に翌日の準備を済ませておく。こうした段取りの力は、手術室の外の仕事でもそのまま評価されます。
仲介の手数料が乗らない形で仕事を受けられる場合、依頼する側は同じ予算でより多くの時間を頼め、受ける側は手数料0%のぶん手取りが厚くなります。勤務の外で使える時間が限られる手術室の看護師にとっては、働く時間を増やすより、同じ時間でどれだけ手元に残るかを見るほうが現実的です。
最後に、この記事で追った1日を振り返っておきます。手術室の1日には、朝の準備、日中の同時並行、夕方の延長と翌日の準備という3つの山があります。どの山がどれくらい高いかは、部屋の数、手術の件数、遅番やオンコールの体制で決まります。求人を見るときは勤務時間の表記だけで判断せず、朝の入室時刻、夕方の引き継ぎの方法、オンコールの実態を数字で確かめる。この順番で見ていけば、入った後の1日を具体的に思い描けるはずです。
よくある質問
Q. 手術室の看護師は何時に出勤しますか?
病院によって違いますが、日勤は8時30分前後、朝の準備を担う早番は7時30分前後に出勤するところが多い傾向です。朝一番の手術の入室時刻が8時30分か9時かで、準備に使える時間と出勤時刻が変わります。求人票の勤務時間だけでなく、朝一番の入室時刻を面接で聞くと朝の慌ただしさが分かります。
Q. 手術室の看護師は昼休憩を取れますか?
取れますが、時計どおりではなく手術の区切りや交代で取るのが一般的です。短い手術の合間に交代で入るか、長時間の手術ではリリーフの看護師と交代して休憩します。手術が長引いたり緊急手術が入ったりすると13時や14時にずれ込むことがあるため、交代の仕組みがどう回っているかを面接で確認すると安心です。
Q. 手術室では1日に何件くらい手術に入りますか?
担当する手術の長さで大きく変わります。眼科の白内障手術のように1件が短い手術なら1日に何件も続けて入り、心臓や脳の大きな手術なら1日1件で終わることもあります。大規模病院では手術室全体で1日10件を超えることも珍しくありませんが、1人の看護師が入る件数は配置によって決まります。
Q. 手術室の仕事は定時で帰れますか?
帰れる日と帰れない日の差が大きい職場です。予定の手術が長引いた場合や、日中に緊急手術が入って午後の予定がずれた場合は、終業が19時や20時になることもあります。遅番を置いて夕方に引き継ぐ病院では日勤の残業は少なくなりやすいので、遅番の有無と月の平均残業時間を数字で確認するのがおすすめです。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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