二級建築士の報酬の相場

長谷川 奈津
長谷川 奈津
二級建築士の報酬の相場

この記事のポイント

  • 二級建築士が副業で受ける在宅案件の報酬の相場と
  • その決まり方を整理しました
  • 監修料の3つの型ごとに金額の幅と

「二級建築士の副業って、いくらもらえるものなんですか」。この質問、本当によく受けます。そして、答えにくい質問でもあります。同じ「図面1枚」でも、何を含むかで金額が3倍変わるからです。

結論から言います。二級建築士の報酬は、相場表を見ても決まりません。決まるのは、報酬の型を自分で選んだときです。時間で売るのか、件数で売るのか、名前で売るのか。この3つのどれを選ぶかで、同じ実力でも手元に残る金額が変わります。

この記事では、二級建築士の在宅案件で実際に見かける金額の幅を型ごとに整理し、そのうえで「なぜその金額なのか」という決まり方を説明します。これから資格を取る方ではなく、すでに免許を持っている方に向けた内容です。

報酬には3つの型がある

金額の話をする前に、型を分けておきましょう。ここが混ざっていると、高いか安いかの判断ができません。

ひとつ目が時間単価です。稼働した時間に対して支払われる形。設計事務所の業務委託、施工図の作成補助、講師業などがこれに当たります。

ふたつ目が件数単価です。成果物の個数に対して支払われる形。図面1枚いくら、計算書1件いくら、パース1カットいくら、という発注です。在宅の案件ではこれが最も多くなります。

みっつ目が監修料です。作業量ではなく、資格保有者が内容を確認して名前を出すことに対して支払われる形。記事監修、商品説明の確認、住宅系メディアの記事チェックなどです。

同じ人が同じ知識を使っても、型によって時間あたりの金額はまったく違います。これ、知らない人が本当に多いんです。

時間単価の相場と、その決まり方

時間単価が明示されている募集は、金額の読み取りが楽です。実例を見てみましょう。

2級建築士の設計製図講座講師募集です。少人数制の教室で、統一カリキュラムとテキストが完備されており、オリジナリティのある講義を歓迎します。通信講座の添削業務もあり、合格率ノルマはありません。日曜のみ週1回、1コマ7時間で、1時間あたり報酬5,000円以上です。生活リズムを崩さずに無理なく働け、在宅ワークも可能です。交通費は実費支給されます。講師経験・経歴等により優遇されます。 出典: 求人ボックス

1時間あたり5,000円以上。これは講師業の水準として分かりやすい数字です。二級建築士の受験指導は有資格者にしか任せられないため、一般的なアルバイトの時給とは前提が違います。

在宅で受ける設計補助やCADの作業では、時間単価はこれより下がるのが普通です。案件の内容によりますが、2,000円から4,000円程度の設定をよく見ます。ただしこれは「作業時間に対して」の金額であり、判断や責任を伴う工程が入ると跳ね上がります。

つまり、時間単価は「その時間に何をしているか」で決まります。手を動かしているだけの時間は安く、判断している時間は高い。二級建築士の資格が効くのは後者です。

時間単価の落とし穴

時間で売る形には、注意点が2つあります。

ひとつは、稼働時間の上限がそのまま収入の上限になることです。副業で週10時間しか出せないなら、時間単価3,000円でも月に12万円程度が天井になります。これ以上を望むなら、型を変えるしかありません。

もうひとつは、時間の申告と実態のずれです。図面の仕事は、考えている時間と手を動かしている時間の区別がつきにくい。着手前に「どこからどこまでを稼働時間として計上するか」を発注者と合意しておかないと、後から水掛け論になります。

こういうトラブル、実は本当に多いんです。稼働の記録は、日付と時間と作業内容を1行ずつ残しておいてください。請求のときに強い根拠になります。

件数単価の相場と、その決まり方

在宅案件の中心はこちらです。そして、金額の幅が最も大きいのもこちらです。

住宅規模の平面図や立面図の作成で、5,000円から2万円程度。施工図やディテール図になると1万円から5万円程度。省エネ計算や申請図書の作成は1件2万円から8万円程度。これがよく見かける水準です。

幅が広すぎて参考にならない、と思われたかもしれません。ですが、この幅こそが本題です。同じ「図面1枚」で金額が数倍違うのには、はっきりした理由があります。

金額を動かす5つの条件

件数単価は、次の条件で動きます。

第一に、支給される情報の量です。手描きのラフだけ渡されて一から起こすのか、既存のCADデータの修正なのか。前者は後者の3倍以上の手間がかかります。

第二に、法規チェックが含まれるかどうか。図面を描くだけなら作業ですが、法適合の判断が入ると責任が発生します。ここが入るかどうかで単価の階層が変わります。

第三に、修正回数です。「修正無制限」の条件で受けると、実質的な時間単価は青天井に下がります。逆に「修正2回まで、以降は1回あたり実費」と決められている案件は、単価が低めでも手取りが安定します。

第四に、納期です。通常なら1週間の作業を2日でと言われれば、割増を乗せるのが当たり前です。急ぎの案件で割増を言い出せずに受けてしまう人が多いのですが、これは交渉して構いません。

第五に、発注者との継続性です。初回は相場どおりでも、3回目、5回目と続くと、こちらの品質が読めるぶん発注者は安心して単価を上げられます。継続案件のほうが単価が高くなるのは、値上げ交渉が上手いからではなく、リスクが下がっているからです。

見積もりに書くべき項目

単価を守るには、見積もりの書き方が決定的です。次の項目を必ず入れてください。

作業の範囲。成果物のファイル形式と枚数。想定する修正回数。その回数を超えた場合の追加費用。納期。著作権と二次利用の扱い。支払期日。

このうち、修正回数と追加費用の欄が空白の見積もりは、後で必ず揉めます。「常識の範囲で」と書く人がいますが、常識の範囲は人によって違うので何の防御にもなりません。数字で書いてください。

なお、フリーランスに業務を委託する場合、取引条件を書面や電子メールなどで明示することは発注する側の義務として定められています。条件が示されないまま作業を始めるよう求められたら、それ自体がおかしいと考えて構いません。法令の本文はe-Govから確認できます。法律はあなたの味方です。

監修料の相場と、その決まり方

3つ目の型です。ここが、二級建築士にとって時間あたりの効率が最も良くなる領域です。

国家資格保有者のみが受けられる案件では、通常の副業よりも単価が高く設定されていることが多くなっています。例えばライター業では、文字単価3円以上のものが多く見られます。一級建築士の有資格者であれば、記事監修のオファーが来ることもあり、2万円以上の依頼が多い傾向です。経験や知名度によっては1本あたり10万円を超えるケースもあります。 出典: lotsful.jp

一級建築士で1本2万円以上という水準が示されています。二級建築士の場合はこれより控えめになりますが、住宅規模のテーマであれば1万円から3万円程度の提示をよく見ます。

作業時間で言えば、記事1本を読んでコメントを返すのに1時間から2時間です。時間あたりに換算すると、図面の仕事より効率が良いことがほとんどです。

監修料が高くなる条件と、下がる条件

監修料を左右するのは、氏名と資格を掲載するかどうかです。

匿名の内部チェックだけなら、単価は下がります。氏名、資格、所属を明記して掲載面に載せるなら、上がります。これは作業量の差ではなく、あなたの信用を貸している対価だからです。

そして、ここに法的な注意点があります。監修者として名前を出すということは、その記事の内容について一定の責任を負う立場に見えるということです。読んでいない箇所について名前だけ貸す、という受け方は絶対にやめてください。※内容に誤りがあった場合の責任分担については、契約書に明記しておくことをおすすめします。不安があれば弁護士に相談してください。

執筆まで請ける場合の報酬の考え方は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっています。文字単価と1本単価の関係を先に把握しておくと、監修と執筆をセットで打診されたときに金額を分けて考えられます。

資格が単価に効く場面、効かない場面

正直なところ、二級建築士の免許があれば自動的に単価が上がる、ということはありません。効く場面と効かない場面がはっきり分かれています。

効かないのは、純粋な作図作業です。決められた図面をCADで起こすだけなら、資格の有無より作図速度と正確さが評価されます。ここで資格を理由に高い単価を主張しても通りません。

効くのは、判断が入る場面です。法規の適合をどう読むか、この納まりで問題ないか、この仕様で申請が通るか。こうした問いに答えられることが単価の根拠になります。

もうひとつ効くのが、名義と責任が絡む場面です。ただしここは慎重に扱う必要があります。

建築士法第23条は、他人の求めに応じ報酬を得て設計や工事監理などを業として行う場合に、建築士事務所の登録を求めています。副業で設計そのものを反復継続して請けようとするなら、この登録が関わってきます。つまり、「資格があるから設計を受けられる」と単純に考えるのは危険です。自分がやろうとしている業務の形を具体的に説明したうえで、都道府県の建築士事務所登録の窓口に確認してください。

同じように、官公署に提出する書類を他人の依頼で作成する業務については、行政書士法に定めがあります。省エネ計算に付随する申請書類の扱いなどは、どこまでを自分がやり、どこからを誰の名義でやるのかを受注前に確認しておくべきところです。行政書士の業務範囲を一度眺めておくと、線引きの感覚がつかめます。

このあたりを曖昧にしたまま単価を上げようとすると、法的なリスクを金額に換えているだけになってしまいます。

手数料が単価に与える影響

額面と手取りは違います。ここを見落とすと、単価交渉が成功しても手元が増えません。

仲介型のサービスを経由する場合、受け取る報酬から一定割合の手数料が引かれます。10%台後半から20%程度を設定しているサービスが一般的です。年間の受注額が100万円なら、20万円前後が手元に来る前に消えることになります。

さらに、消費税とインボイス制度の扱い、源泉徴収の有無も手取りに効きます。報酬から源泉徴収されている場合、それは前払いした税金なので確定申告で精算します。引かれっぱなしになると思い込んで申告しない人がいますが、それは損です。制度の詳細は国税庁の案内で確認してください。

副業の所得が年間20万円を超えると確定申告の義務が生じるのが原則です。単価の話をするなら、手取りベースで考える癖をつけてください。

単価を上げるために実際に効くこと

金額を動かした人たちに共通しているのは、交渉が上手いことではありません。次の4点です。

第一に、対応範囲を明示していること。「木造2階建て、Jw_cadとAutoCAD、平面と立面と断面まで、省エネ計算は別途」というように書いてある人には、範囲に合った依頼が来ます。範囲が曖昧な人には、安い作業から順に声がかかります。

第二に、初回の見積もりを値引きしないこと。初回の金額は、その後の基準になります。実績がないからと半額で受けると、その半額が定価として記憶されます。値引きするくらいなら、範囲を狭くしてください。

第三に、納品後に一行添えること。「同種の案件であれば継続して対応できます」と書くだけで、2件目が来る確率が変わります。営業のコストがかからない継続案件こそが、実質的な単価を上げる最短経路です。

第四に、記録を残すこと。案件ごとの所要時間と報酬と修正回数を並べておくと、どの型が自分にとって割に合っているかが数字で見えます。感覚で判断していると、時間あたりで一番安い仕事に一番時間を使っていることに気づけません。

働き方そのものを見直したいときは、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような領域もあります。単価の相談に見えて実は働き方の設計の話だった、というケースは珍しくありません。

現地が要る仕事の報酬をどう見るか

在宅の案件だけを見ていると見落としますが、二級建築士の資格で受けられる仕事には、現地に行く前提のものもあります。報酬の見え方が机上の仕事とは違うので、比べ方を整理しておきます。

宮崎県でホームインスペクターを募集しており、一級・二級建築士の資格と戸建て・マンション等の設計/監理/施工管理/リフォーム経験5年以上が必須です。週1日から勤務可能で、Wワークも歓迎、研修制度も充実しており、スキルアップが可能です。業務は主に9:00~18:00で、現地調査と報告書作成があり、勤務日数や曜日はご自身の都合に合わせていただけます。 出典: 求人ボックス

こういう募集を見るとき、金額だけを他の案件と比べてはいけません。現地の調査は、移動時間と報告書の作成時間が別に乗ります。調査そのものが2時間で終わっても、往復の移動が2時間、報告書の作成が2時間なら、実働は6時間です。

つまり、現地案件の報酬は「移動と報告書を含めた実働で割り戻す」のが正しい読み方になります。1件あたりの金額が机上の仕事より高く見えても、時間あたりでは逆転していることがあります。

もうひとつ注意すべきは、必要とされる経験年数です。この募集では経験5年以上が必須と書かれています。現地の調査は判断の責任が重いため、実務経験の要件が付くことが多くなります。資格だけでは入れない領域がある、ということです。

なお、既存住宅の状況調査については、講習の修了が要件となる仕組みがあります。自分が依頼されている調査がどの制度に基づくものなのか、受注前に依頼者に確認してください。ここを曖昧にしたまま報告書を出すのは避けるべきです。

報酬が支払われないときの備え

単価の話をするなら、支払われることまで含めて考える必要があります。決めた金額が入金されて初めて、報酬になるからです。

フリーランスとして業務委託を受ける場合、発注する側には支払期日に関するルールがあります。成果物を受け取った日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に支払期日を定め、その期日までに支払うことが求められています。つまり、「検収が終わったら」「先方から入金があったら」といった曖昧な条件で支払いを引き延ばすことは、原則として認められません。

そして、成果物の内容が気に入らないという理由だけで報酬を減らしたり、受け取りを拒んだりすることも制限されています。これ、知らない人が本当に多いんです。「イメージと違うから半額で」と言われて、そういうものかと受け入れてしまう方がいますが、受け入れる必要はありません。

備えとして、次の3点を最初からやっておいてください。取引条件を書面かメールで残すこと。納品した日時と内容が分かる記録を残すこと。修正の依頼と対応の履歴をやり取りの形で残すこと。

この3つが揃っていれば、支払いが滞ったときに主張の根拠になります。※金額が大きい場合や交渉がこじれた場合は、早い段階で弁護士に相談してください。制度の枠組みはe-Gov公正取引委員会の案内から辿れます。

年間の収入としてどう組み立てるか

月あたりの単価だけを見ていると、年間の姿が見えません。副業の収入は季節で大きく振れるからです。

建築の外注需要は、年度末と年度初めに集中します。確認申請や竣工のスケジュールが年度に紐づいているためです。逆に、夏場は落ち着くことが多い。この波を前提に置かないと、忙しい時期に受けすぎて品質を落とし、暇な時期に単価を下げて受けるという悪循環に入ります。

現実的な組み立て方は2層にすることです。年間を通して一定量ある仕事を土台に置き、その上に繁忙期の単発案件を乗せる。土台になりやすいのは、講座の添削、記事の監修、継続契約の図面補助といった、量が読める仕事です。

そして、繁忙期に受ける単発案件では単価を下げないでください。需要が集中している時期は、こちらが選べる立場にあります。ここで相場より安く受けると、年間の平均単価が下がるだけです。

他職種の副業がどう単価を積み上げているかを横目で見ておくのも有効です。たとえばドローン副業の始め方|資格・収入・案件の種類をまとめて解説では、資格と機材が要る仕事の単価がどう決まるかが整理されていて、建築の現地調査と構造が似ています。また、ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見ると、時間単価と成果物単価が併存する職種で金額がどう分かれるかの参考になります。

作業の一部を自動化して時間あたりの効率を上げる方向を考えるなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事の領域で、どんな業務が外注に出ているかを見ておくと、自分の工程のどこが省けるかの見当がつきます。

自分の単価表を1枚作っておく

案件ごとに金額を考え直していると、そのたびに相手の提示額に引っ張られます。防ぐ方法はひとつで、自分の単価表を先に作っておくことです。

書くのは4行で足ります。図面1枚あたりの基本額。省エネ計算1件あたりの基本額。監修1本あたりの基本額。そして、時間で受ける場合の1時間あたりの額。

そのうえで、加算の条件を書き添えます。ラフからの新規作図は基本額の1.5倍、法規チェックを含む場合は加算、納期が通常の半分なら割増、修正は2回まで無償で以降は1回ごとに加算。この形にしておくと、見積もりを出すときに迷いません。

単価表は相手に見せる必要はありません。自分の中の基準として持っておくだけで、値引きの要求に対して「その条件なら範囲をここまでにします」と返せるようになります。金額を下げるのではなく範囲を狭める、という返し方ができる人は、単価が下がりません。

単価を判断するときに見落とされがちな費用

報酬から差し引かれるのは手数料と税金だけではありません。副業として続けるために自分が負担している費用も、実質的な単価を下げています。

まずCADソフトのライセンス費用です。勤務先のライセンスを私用で使うことは規約違反にあたるうえ、副業が発覚する典型的な経路にもなります。個人で契約するとなると、製品によっては年額でまとまった負担になります。年間の受注額に対してこの費用がどれくらいの比率になるのかを、最初に計算しておいてください。

次に、通信環境と機材です。図面データは容量が大きく、クラウド経由の受け渡しが前提になります。回線とストレージの費用、そして作図に耐えるディスプレイやマシンの償却。これらも実質的には報酬から引かれています。

三つ目が、学習と情報更新の時間です。建築の法規や基準は改正されます。副業として関わり続けるなら、改正内容を追いかける時間が必要になり、その時間には報酬が発生しません。年間で何時間をここに使うかを見積もっておくと、単価の目標値が現実的になります。

四つ目が、保険です。業務上の過失に備える賠償責任保険に個人で加入するかどうか。判断や責任を伴う仕事を受けるなら、検討の対象になります。

五つ目に、請求と入金の管理にかかる手間があります。件数が増えるほど、請求書の作成、入金の照合、未入金の督促といった事務作業が積み上がります。この時間も報酬を生みませんが、確実に発生します。案件が月に数件のうちは手作業で足りますが、増えてきたら仕組み化を考える段階になります。

これらを合計すると、額面の報酬から一定割合が減ります。単価を語るときに、この部分まで含めて考えている人は多くありません。ですが、年間で見ると無視できない金額になります。逆に言えば、この費用構造を把握している人は、どの案件を受けるべきかの判断が速くなります。

20年この市場を見てきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から言えば、単価の話には、当事者が思っている以上に構造の要素が大きく効いています。

まず、額面と手取りの話です。中間のマージンが乗る取引では、依頼者が出した予算の一部が、受け手に届く前に抜かれます。手数料0%で直接つながる場では、同じ予算で依頼者はより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなる。金額の大小の話ではなく、同じ仕事をしたときに残るものの質の話です。二級建築士のように単価が中程度の仕事ほど、この差は年間で無視できない大きさになります。

もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、単価が上がっていく人は交渉の場面で戦っていません。その代わり、範囲と条件を最初に文字にすることに時間を使っています。何を含み、何を含まないか。修正は何回までか。この2点が書いてあるだけで、発注者は安心して金額を上げられるのです。単価は奪い取るものではなく、相手のリスクを下げた分だけ上がっていくものだ、というのが現場を長く見てきた実感です。

そして、長く続いている人ほど、単発の高単価案件より、同じ相手からの反復依頼を大事にしています。営業に使う時間がゼロになると、実質的な時間単価は自動的に上がるからです。相場表の数字を追いかけるより、この構造を理解しておくほうが、結果として手元に残る金額は大きくなります。

よくある質問

Q. 二級建築士の在宅案件の単価はどれくらいですか?

住宅規模の平面図や立面図の作成で1枚5,000円から2万円程度、施工図で1万円から5万円程度、省エネ計算や申請図書の作成で1件2万円から8万円程度をよく見かけます。ただし支給される情報の量、法規チェックの有無、修正回数の取り決めで金額は数倍動きます。

Q. 記事監修の報酬はいくらが目安ですか?

住宅規模のテーマであれば1本1万円から3万円程度の提示をよく見ます。氏名と資格を掲載面に出す条件が付くと上がります。作業は1時間から2時間程度で済むことが多く、時間あたりの効率は図面の仕事より良くなる傾向があります。

Q. 単価を上げるには何をすればいいですか?

交渉より先に、対応範囲と修正回数を明示することが効きます。何を含み何を含まないかが書いてあると発注者のリスクが下がり、金額を上げやすくなります。初回の見積もりを値引きしないことも重要で、値引きするなら範囲を狭くしてください。

Q. 資格があれば単価は自動的に上がりますか?

上がりません。決められた図面をCADで起こすだけの作業では、資格より作図速度と正確さが評価されます。単価に効くのは法規の適合や納まりの可否といった判断が入る場面です。なお設計や工事監理を業として請ける場合は建築士事務所の登録が関わるため、都道府県の窓口に確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年7月9日最終更新:2026年8月28日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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