在宅勤務でイヤホンは貸してもらえるのか|備品の支給と自分で用意する場合


この記事のポイント
- ✓リモートワークのイヤホン貸出は会社によって扱いが分かれます
- ✓雇用と業務委託で何が違うのか
- ✓貸与や在宅勤務手当の実態
「リモートワークのイヤホン、貸出してもらえるものなんでしょうか」。このご相談、在宅勤務が当たり前になってから本当に増えました。会社の人には聞きづらいし、かといって自分で買うと結構な出費になる。そのあいだで止まってしまう方が多いんです。
先に結論をお伝えします。イヤホンやヘッドセットが貸出・支給される会社は確かに存在します。ただし、それは「雇用契約で働いている人」に限った話であることがほとんどです。業務委託やフリーランスとして在宅で仕事をしている場合、機材は原則として自分で用意することになります。そのかわり、その支出は経費として扱えます。
この記事では、貸出してもらえるケースとそうでないケースの線引き、会社に確認するときの切り出し方、そして自分で揃える場合の選び方と経費の考え方まで、順番にお話ししていきます。大丈夫です。ひとつずつ整理すれば、あなたが今どう動けばいいかは必ず見えてきます。
リモートワークのイヤホン貸出、実際はどうなっているのか
まず「誰が費用を負担するのか」というところから見ていきましょう。ここが曖昧なまま悩んでいる方がとても多いからです。
雇用契約で働いているなら、貸与を求めてよい立場にある
会社に雇われている状態、つまり雇用契約を結んでいる場合、業務に必要な道具の費用は会社が負担するのが原則的な考え方です。オフィスに出社していたときのことを思い出してみてください。パソコンも椅子も机も、会社が用意していましたよね。在宅勤務になったからといって、その原則が急に変わるわけではありません。
実際、テレワーク制度を整えている企業では、ノートパソコン、モニター、Webカメラ、そしてヘッドセットまでを「貸与備品」として一括で用意しているところが増えています。総務や情報システム部門が管理する資産として登録し、退職時に返却する運用です。オンライン会議の音声品質は業務効率に直結しますから、ヘッドセットを備品リストに入れるのは会社にとっても合理的な判断なんです。
ただ、ここに落とし穴があります。制度としては存在しているのに、社員に周知されていないケースが少なくありません。「申請すればもらえたのに、知らずに自分で買っていた」という話は、カウンセリングの場でもよく聞きます。まずは社内規程を確認してみてください。
業務委託・フリーランスなら、自分で用意するのが基本
一方で、業務委託契約で在宅の仕事をしている場合、話はまったく変わります。業務委託は「仕事の結果」に対して報酬が支払われる契約です。その仕事をどんな道具でどうやって進めるかは、受注した側の裁量にゆだねられています。だから機材も自分で用意するのが原則になります。
これは冷たい話に聞こえるかもしれませんが、裏返せば「自分が使いたいものを自由に選べる」ということでもあります。会社支給のヘッドセットが自分の耳に合わなくて我慢し続ける、ということが起こりません。そして支出した金額は、確定申告のときに経費として計上できます。この点は記事の後半で詳しくお話しします。
まれに、発注元が長期案件のために機材を貸与してくれるケースもあります。コールセンター系の在宅業務や、専用システムを使う医療事務系の仕事では、貸与端末とセットでヘッドセットが送られてくることがあります。ただしこれは例外的な扱いだと考えておいたほうが安全です。在宅の医療事務にどんな働き方があるのかは、医療事務のリモートワーク求人|在宅でできる医療事務の仕事とはで職種ごとの実務内容が整理されています。貸与前提の案件があるかどうかを見極める材料になります。
レンタル・サブスクという第3の選択肢
「買うほどではないけれど、数か月だけ必要」という状況もありますよね。そういうときに使えるのが、法人向けのIT機器レンタルサービスです。パソコンやモニターとセットで、ヘッドセットを月額数百円から借りられるプランを提供している事業者があります。
企業が短期プロジェクトのメンバー用に機材を揃えるときや、繁忙期だけ在宅スタッフを増やすときに使われる仕組みです。個人でも契約できるサービスはありますが、月額500円を12か月払えば6,000円になります。それなら同じ価格帯の製品を買ってしまったほうが、長期的には安く済むことが多いです。レンタルが向いているのは、あくまで「終わりが見えている短期の仕事」の場合だと考えてください。
会社に「貸してほしい」と切り出すときの伝え方
制度があるかどうか分からないまま、聞くこと自体をためらってしまう。この気持ち、とてもよく分かります。「わがままだと思われないだろうか」「ケチだと思われないだろうか」。そんな不安が先に立つんですよね。
でも大丈夫です。備品の確認は、あなたのわがままではありません。業務を滞りなく進めるための、正当な確認です。
健康上の理由は、いちばん通りやすい交渉材料
イヤホンの相談で最も多いのが、実は「耳が痛い」「頭が重い」という身体の訴えです。オンライン会議が1日に何本も入る働き方をしていると、装着時間が驚くほど長くなります。合わない製品を使い続けると、耳の軟骨が痛んだり、締めつけによる緊張型の頭痛が出たりします。
リモートワークでは、頻繁にオンライン会議があるなど、イヤホンやヘッドホンを長時間使用しなくてはならないケースもあるでしょう。この時、自分に合っていない製品を使用していると耳への負担や頭痛などを感じ、疲れやストレスがたまりやすくなります。 出典: nwm.global
会社に伝えるときは、「イヤホンが欲しい」ではなく「会議が続くと耳が痛くなって、午後の集中力が落ちています」と、業務への影響として伝えてみてください。人事や上司にとっては、備品の話よりも健康と生産性の話のほうが判断しやすいんです。実際、この伝え方に変えただけで支給が決まったというご報告を何度もいただいています。
確認しておくとよい3つのこと
上司や総務に問い合わせるとき、この3点を押さえておくと話が早く進みます。
1つ目は、貸与制度そのものの有無です。「在宅勤務用の備品貸与の対象に、ヘッドセットは入っていますか」と具体的に聞きます。曖昧に「何か支給されますか」と聞くより、品目を名指ししたほうが答えが返ってきやすいです。
2つ目は、在宅勤務手当の使途です。手当として現金が支給されている会社では、「通信費と備品費をまとめて手当で渡している」という設計になっていることがあります。この場合、別途の現物支給は行われません。手当の中でやりくりする前提なのかどうかを確認しておきましょう。
3つ目は、立替精算が可能かどうかです。貸与品の在庫がない会社でも、自分で購入して領収書を出せば会社が精算してくれる制度を持っていることがあります。上限金額(たとえば5,000円まで、といった設定)が決まっていることが多いので、そこも一緒に聞いておくとスムーズです。
自分で用意する場合、何を基準に選べばいいのか
ここからは、業務委託で働いている方や、会社の制度がなくて自分で揃えることになった方に向けたお話です。家電量販店のサイトを開くと製品が何百件も並んでいて、それだけで疲れてしまいますよね。判断の軸を5つに絞ってみましょう。
基準1 マイクの品質を最優先にする
意外に思われるかもしれませんが、オンライン会議用の機材で最も重要なのは「聞こえ方」ではなく「聞こえさせ方」です。あなたの声が相手にどう届くか。ここが仕事の評価を左右します。
音質の悪い音声は、聞き手に想像以上の負担をかけます。聞き取れない部分を推測しながら聞くという作業は、脳にとってかなりの負荷です。会議のあと相手が妙に疲れているとしたら、原因はあなたの音声かもしれません。逆に、クリアな声で参加している人は、それだけで「話が通じやすい人」という印象を持たれます。
選ぶときは、マイクが口元近くまで伸びるブームマイク型か、それに準じる集音設計のものを選んでください。ノイズキャンセリング機能付きのマイクなら、生活音が入りにくくなります。在宅だとエアコンの音、外の車の音、家族の生活音が入りますから、この機能の有無は大きいです。
基準2 長時間つけていられるかどうか
1日の装着時間を想定してみてください。会議が3時間ある日と、集中作業のBGM込みで8時間つけている日では、求められる装着感がまったく違います。
耳の穴に押し込むカナル型は密閉性が高く音質は良いのですが、長時間になると圧迫感が出ます。耳をすっぽり覆うオーバーイヤー型は圧迫は少ないものの、重量と側圧が肩こりの原因になります。片耳タイプは軽くて疲れにくく、周囲の音も聞こえるので、家族が在宅している環境では扱いやすい選択肢です。
正直にお話しすると、私自身も最初の1年は失敗しました。音質の評判だけで選んだ重めのヘッドセットを買ったのですが、オンライン面談を続けて3件こなした日の夕方には、こめかみがずきずきして何もできなくなっていました。カウンセラーが自分の体調管理でつまずくというのは、なかなか情けない話です。結局、軽量の片耳タイプに買い替えました。音質は少し落ちましたが、1日を通して仕事ができるようになったので、総合的には正解だったと思っています。
基準3 接続方式は「安定」で選ぶ
接続方式は3種類あります。それぞれに向き不向きがあります。
有線のミニプラグ接続は、いちばん確実です。充電切れがなく、遅延もほぼありません。ただしケーブルが体に絡むわずらわしさと、パソコンによっては端子がマイク非対応というケースがあります。
USB接続は、ノイズが乗りにくく音質が安定します。パソコンが機器を正しく認識しやすいのも利点です。デスクに座って使うのが前提なら、これがいちばん無難な選択になります。
Bluetooth接続は取り回しが自由で、席を立ちながら通話できます。ただし通話時に音質が落ちる規格上の制約があり、混雑した電波環境では音が途切れることがあります。充電も必要です。重要な商談やクライアントとの初回打ち合わせでは、有線かUSBに切り替える運用をおすすめしています。
基準4 物理的なミュートスイッチがあるか
これは見落とされがちですが、精神的な安心感に直結する要素です。
会議ソフト側のミュートボタンは、押したつもりで押せていないことがあります。画面共有中や別ウィンドウを操作中は特にそうです。ケーブルの途中やマイクアームに物理スイッチが付いていれば、手の感触で確実にオフにできます。
在宅で仕事をしていると、宅配便のインターホン、家族の呼びかけ、ペットの声など、予期しない音が入る場面が必ずあります。「いつでも確実に切れる」という状態が担保されているだけで、会議中の緊張はかなり和らぎます。心理的な安全は、こういう小さな仕組みから作られていくものです。
基準5 予備機を1つ持っておく
これは製品選びというより運用の話です。機材は必ず壊れます。しかも、壊れるのはたいてい大事な会議の直前です。
高価な1台を買うより、メインに5,000円前後の製品を、予備に1,500円程度の有線イヤホンマイクを用意する。この二段構えのほうが、実務では圧倒的に安心です。予備機は接続方式を変えておくとさらに堅牢になります。メインがUSB、予備が有線ミニプラグ、といった具合です。
業務委託で働くうえで、納期や打ち合わせに穴を空けないことは信頼の土台です。予備機の1,500円は、機材代というより保険料だと考えてください。
価格帯ごとの現実的な選び方
「いくらのものを買えばいいのか」という質問もよくいただきます。用途別の目安を整理してみます。
| 価格帯 | 想定される用途 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1,000円〜3,000円 | 予備機、たまの会議 | 有線が中心。マイク品質は最低限。長時間装着には向かない |
| 3,000円〜8,000円 | 週数回のオンライン会議 | USB接続の実用モデルが多い。ミュートスイッチ付きも選べる |
| 8,000円〜15,000円 | 毎日複数の会議がある働き方 | ノイズキャンセリングマイク搭載。装着感の設計が丁寧 |
| 15,000円以上 | 音声そのものが商品になる仕事 | ナレーション、オンライン講師、カウンセリングなど |
多くの方にとっては、3,000円から8,000円の価格帯で十分に実用的な選択ができます。ここを超えて投資する意味があるのは、音声の品質が仕事の成果物そのものに含まれる職種です。
たとえばオンラインでの相談業務や、録音を伴う取材の仕事では、機材の差がそのまま納品物の質になります。文章を扱う仕事の相場感については、著述家,記者,編集者の年収・単価相場に職種別の単価データがまとまっています。自分の年間の想定収入に対して、機材にどれだけ配分するのが妥当かを考える材料になります。
耳と体を守る使い方の工夫
機材を買って終わりではありません。使い方のほうが、実は健康への影響が大きいんです。
音量と時間に「上限」を決めておく
長時間の大音量が聴力に影響することは広く知られています。世界的にも、若い世代の音響性難聴のリスクが指摘されるようになりました。在宅勤務は、この「長時間の装着」がとても起こりやすい環境です。
私がおすすめしているのは、シンプルなルールを2つ決めることです。音量は、機器の最大音量の60%を超えない。連続装着は60分までとし、そのあと数分は外す。この2つを守るだけで、耳の疲れ方が変わります。
会議が連続する日は、あいだに5分の空白を意図的に入れてみてください。カレンダーの予定を55分単位で組む、という方法です。耳を休めるだけでなく、気持ちの切り替えにもなります。会議と会議のあいだに息をつく時間がないと、脳は前の会議の内容を引きずったまま次に入ることになります。そのまま夕方まで走り続けると、夜になって「何もしていないのにぐったりしている」という状態になります。
オープンイヤー・骨伝導という逃げ道
耳の穴をふさぐタイプがどうしても合わない方には、耳をふさがない構造の製品という選択肢があります。耳のそばにスピーカーを置く方式や、骨の振動で音を伝える骨伝導方式です。
密閉されないので圧迫感がなく、外の音も自然に聞こえます。宅配便のインターホンや家族の呼びかけに気づけるのは、在宅勤務では大きな利点です。閉塞感が苦手な方、閉じられた感覚に不安を感じやすい方にも向いています。
音漏れしやすい、低音が弱いという弱点はあります。ただ、オンライン会議の音声は人の声が中心ですから、実用上の問題はほとんど起こりません。カナル型で耳が痛くなって困っている方には、一度試していただきたい選択肢です。
「声が聞こえない」と言われたときの切り分け方
機材を用意しても、会議の冒頭で「声が入っていません」と言われる場面はどうしても起こります。焦って何度も接続し直しているうちに時間が過ぎていく。あの気まずさは、経験した人にしか分からないと思います。
順番を決めておけば、慌てなくて済む
トラブルのとき人が混乱するのは、原因の候補が多すぎるからです。あらかじめ確認の順番を決めておくと、それだけで落ち着けます。
最初に見るのは、会議ソフト側の入力デバイス設定です。パソコンにイヤホンをつないでも、ソフトが本体内蔵マイクを選んだままになっていることが非常に多いです。設定画面でマイクの項目を開き、使っている機器名が選ばれているかを確認します。ここで解決する割合が、体感でいちばん高いです。
次が、パソコン本体の設定です。オペレーティングシステム側でも入力デバイスは別に管理されています。会議ソフトを再起動しても直らないときは、こちらを疑ってください。
3番目が物理的な確認です。ミュートスイッチが入ったままになっていないか、プラグが最後まで刺さっているか、Bluetoothの場合はほかの機器とつながっていないか。スマートフォンに接続が奪われている、というのは本当によくある原因です。
最後が予備機への切り替えです。ここまでで直らなければ、原因の特定は会議のあとに回して、予備の有線イヤホンに差し替えます。会議の場では原因究明より進行の回復が優先です。この判断ができるかどうかで、相手に与える印象がまったく変わります。
会議前の30秒チェックを習慣にする
もっと確実なのは、トラブルを起こさない習慣を作ることです。重要な打ち合わせの前に30秒だけ時間をとって、会議ソフトのテスト通話機能で自分の声を録音して聞いてみてください。多くのオンライン会議ツールに、この機能は標準で用意されています。
自分の声が相手にどう届いているかを実際に耳で確認すると、思っていたより小さかった、思っていたより環境音が入っていた、という発見があります。私も独立したばかりのころ、相談者の方から「少し聞き取りにくいです」と遠慮がちに言われて初めて気づいたことがありました。指摘してくださる方ばかりではありませんから、自分で確認する習慣を持っておくのが安全です。
充電式の機器を使っているなら、前日の夜に充電する時間を決めてしまうのも有効です。会議の直前にバッテリー残量を気にするストレスから解放されます。小さなことのようですが、こうした段取りの積み重ねが、在宅で働く人の心の余裕を作っていきます。
業務委託で買った機材は経費にできる
ここが、自分で用意する場合のいちばん大事な部分です。安心してください。支出は取り戻せます。
10万円未満なら、その年に全額を経費にできる
事業のために購入した物品は、経費として計上できます。イヤホンやヘッドセットは金額的に「消耗品費」として処理するのが一般的です。取得価額が10万円未満のものは、購入した年に全額を必要経費に算入できます。
10万円を超えると減価償却という手続きが必要になりますが、イヤホンでその金額に達することはまずないでしょう。実質的には「買った年に全部経費」と考えて差し支えありません。
なお、青色申告をしている個人事業主には、30万円未満の資産を一括で経費にできる特例が用意されています(年間の合計額に上限あり)。パソコンやモニターをまとめて買い替えるときには関係してきますので、頭の片隅に置いておくとよいと思います。制度の詳細は国税庁の案内で確認できます。
私用と兼用なら「家事按分」で分ける
ここでつまずく方が多いのですが、仕組みは難しくありません。
仕事にも私生活にも使うものは、事業に使っている割合だけを経費にします。これを家事按分といいます。たとえば音楽鑑賞にも使うイヤホンなら、「平日の日中は業務、それ以外は私用」といった基準で、事業使用割合を70%と決める。購入額が8,000円なら、経費計上額は5,600円になります。
割合の決め方に絶対の正解はありません。大切なのは「合理的な根拠を説明できること」です。会議の時間をカレンダーで集計した、業務日数から算出した、といった説明ができれば問題ありません。逆に、業務専用として買ったものを私用でまったく使っていないなら、100%経費にして構いません。
記録は買った瞬間に残しておく
確定申告の時期になって領収書を探し回る。この作業が、フリーランスのメンタルにとって想像以上の負担になります。年に一度の憂鬱として、毎年しっかり効いてくるんです。
対策はシンプルです。買った瞬間に処理を終わらせます。ネット通販なら注文完了メールをすぐ会計ソフトの証憑として登録する。店舗で買ったなら、レシートをその場でスマートフォンで撮影する。クラウド会計ソフトを使っていれば、撮影した画像から金額と日付を自動で読み取ってくれます。freeeやマネーフォワードといったサービスには、こうした機能が標準で備わっています。
もうひとつ大事なのが、事業用の銀行口座とクレジットカードを分けることです。生活費と混ざった明細から事業支出を選り分ける作業は、精神的にとても消耗します。口座を分けておけば、明細がそのまま帳簿の下書きになります。これから業務委託の仕事を増やしていこうと考えている方は、いちばん最初にやっておくとあとが楽です。在宅の仕事をこれから始める段階の方には、在宅ワーク・リモートワークの始め方|未経験からできる仕事と探し方で仕事の探し方と初期準備の流れが整理されていますので、機材の準備と合わせて確認してみてください。
職種によって、機材への投資判断は変わる
同じ在宅の仕事でも、音声環境にどれだけ投資すべきかは職種によって差があります。ここは冷静に見極めたいところです。
音声のやりとりが仕事の中心にある職種、たとえばオンラインでの相談業務、コンサルティング、講師業では、機材は明確に売上に効きます。聞き取りやすさが信頼感につながり、リピートにつながるからです。企業のAI活用を支援するような相談型の仕事がどんな内容なのかは、AIコンサル・業務活用支援のお仕事に業務範囲と求められるスキルがまとまっています。打ち合わせの比重が高い仕事だと分かれば、機材への投資判断もしやすくなります。
一方、開発や制作のように成果物で評価される職種では、会議の頻度そのものが少ないことがあります。週に1回の定例だけ、という働き方なら、中価格帯の製品で十分です。開発系の仕事の全体像はアプリケーション開発のお仕事に、単価の水準はソフトウェア作成者の年収・単価相場にそれぞれ整理されています。自分の職種の相場と照らして、機材費が年間収入の何パーセントにあたるかを見てみると、判断の物差しができます。
マーケティングやセキュリティ関連のように、クライアントとの打ち合わせと成果物制作の両方が求められる職種は、その中間です。AI・マーケティング・セキュリティのお仕事では業務内容の幅が確認できます。会議の比重を実際に数えてみるのが、いちばん確実な判断材料になります。
なお、機材と同じくらい、会議での伝え方そのものが評価に影響することも申し添えておきます。議事録や提案書の書き方に自信をつけたい方にはビジネス文書検定、ネットワークの知識で音声トラブルの原因を自分で切り分けられるようになりたい方にはCCNA(シスコ技術者認定)といった資格の情報が参考になります。どちらも、機材を買い替えるより先に効いてくることがある領域です。
20年この市場を見てきた立場からの観察
在宅・フリーランス市場を長く運営してきた側から見ると、機材への向き合い方には、はっきりした傾向があります。
長く仕事が続いている人ほど、機材を「高いものに買い替える」のではなく「壊れない体制にする」ことにお金を使っています。最高級の1台ではなく、実用機と予備機の二段構え。そして、耳が痛くならない範囲で使う運用ルール。この2つを持っている人は、体調を崩して連絡が途絶えるということがまず起こりません。発注する側から見ると、「連絡が途絶えない人」というのは、それだけで替えのきかない存在になります。
もうひとつ、運営者として見てきた限りで言えることがあります。手取りの厚さは、単価の高さよりも「間に何人挟まっているか」で決まる場面が多い、ということです。同じ予算でも、仲介手数料が乗らない直接のやりとりであれば、依頼する側はより多くの量を頼めますし、受ける側の手元に残る額は厚くなります。在宅ワーク仲介サービスの中には手数料0%で直接のやりとりを前提にしているところもあり、そうした場では、機材費のような数千円単位の支出は年間の手取りの中でほとんど誤差になります。
ここで申し上げたいのは、金額の話というより関係の質の話です。手取りが厚い環境にいる人は、機材にも自分の体にも投資できる余裕が生まれます。余裕があるから、無理な受注をしなくて済む。無理をしないから、仕事が長く続く。この循環に入れているかどうかが、3年後、5年後の差になっていくのを何度も見てきました。
地方に移住して在宅で働く方が増えていますが、そういう方々ほど機材と通信環境を丁寧に整えている印象があります。物理的な距離があるぶん、音声と映像が唯一の接点になるからです。地方での働き方の実際については、田舎で在宅ワーク|地方移住×リモートワークのリアルと始め方に環境づくりの実例がまとまっています。
今日から動くための、小さな3ステップ
情報が多くなりましたので、最後に行動の順番だけ整理させてください。
最初にやることは、自分の契約形態の確認です。雇用なら、社内規程に備品貸与や在宅勤務手当の項目がないかを見る。あれば申請する。この一手で解決してしまう方が、実はかなりの割合でいらっしゃいます。
次にやることは、自分の会議時間の把握です。過去1か月のカレンダーを開いて、オンライン会議の合計時間を数えてください。週2時間以下なら手持ちの機材で当面しのげます。週10時間を超えているなら、装着感に投資する価値が明確にあります。
最後が、予備機の確保です。メインを買い替えるかどうかは保留でも構いません。有線のイヤホンマイクを1本、引き出しに入れておく。それだけで、大事な打ち合わせの直前に慌てる可能性がひとつ消えます。
耳が痛い、頭が重い、会議のあと妙に疲れる。そういう小さな不調を「気のせい」で片づけないでください。体からのサインは、たいてい正しいです。あなたが感じている不快感は、ちゃんと対処できるものですから。
よくある質問
Q. 会社に在宅勤務用のイヤホンを貸してほしいと言うのは非常識でしょうか?
非常識ではありません。雇用契約の場合、業務に必要な道具の費用は会社が負担するのが原則です。伝え方としては「イヤホンが欲しい」ではなく「会議が続くと耳が痛くなり午後の集中力が落ちています」と業務への影響として説明すると、人事や上司も判断しやすくなります。貸与制度、在宅勤務手当の使途、立替精算の可否の3点を確認してみてください。
Q. 業務委託で買ったイヤホンは経費にできますか?
できます。取得価額が10万円未満のものは購入した年に全額を消耗品費として計上できます。私用と兼用の場合は家事按分が必要で、事業使用割合を70%と決めたなら8,000円の購入で5,600円が経費になります。割合の根拠を説明できることが大切なので、会議時間の集計など基準を決めておきましょう。領収書は購入時にその場で撮影・登録しておくと申告期が楽です。
Q. 予算はいくらくらいを見ておけばよいですか?
週数回のオンライン会議が中心なら3,000円から8,000円の価格帯で実用的な選択ができます。毎日複数の会議がある働き方なら、ノイズキャンセリングマイク搭載で装着感の設計が丁寧な8,000円から15,000円の帯が候補です。高価な1台に集約するより、メインを5,000円前後、予備に1,500円程度の有線タイプを用意する二段構えのほうが実務では安心です。
Q. 耳が痛くなりにくいイヤホンの選び方はありますか?
耳の穴をふさがないオープンイヤー型や骨伝導型は圧迫感が少なく、長時間の装着に向いています。外の音も聞こえるため、宅配便や家族の呼びかけに気づけるのも在宅では利点です。あわせて、音量は最大の60%まで、連続装着は60分までという運用ルールを決めてください。会議を55分単位で組んで5分の空白を作るだけでも、耳の疲れ方が変わります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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