保健師の副業の収入はどう決まるか|時間単価・件数単価・監修料の考え方


この記事のポイント
- ✓保健師の副業収入がどう決まるかを
- ✓時間単価・件数単価・監修料の3つの型に分けて整理しました
- ✓同じ業務でも報酬が動く条件
保健師の副業でどれくらいの収入になるのか。この質問をいただくたびに、答え方に迷います。金額だけを示しても、その方に当てはまるとは限らないからです。
同じ「オンラインでの保健指導」でも、時間で払われる契約と、実施件数で払われる契約では、手元に残る額がまったく違います。同じ「記事の監修」でも、名前を出すかどうかで金額の桁が変わることがあります。つまり、相場を知るより先に、報酬がどういう仕組みで決まっているかを知るほうが役に立つのです。
これ、知らない方が本当に多いんです。提示された金額をそのまま受け取るか断るかの二択で考えてしまい、条件を動かすという発想がない。でも報酬は交渉の対象で、動かせる変数がいくつもあります。
この記事では、報酬の型を3つに分けて、それぞれがどう計算されているかを説明します。そのうえで、条件によって金額が動く要因と、手取りに効いてくる仕組みを整理します。法務の立場から、契約で押さえておくべき点も併せて書きます。
報酬の型は3つに分けて考える
在宅で受けられる保健師関連の仕事は、報酬の決まり方で3つに分類できます。この分類が、すべての判断の出発点になります。
一つ目が時間単価型です。稼働した時間に単価をかけて報酬が決まります。二つ目が件数単価型で、面談1件、対象者1人といった単位で報酬が決まります。三つ目が成果物単価型で、記事1本の監修、資料1式の作成といった成果物に対して報酬が決まります。
同じ委託元でも、業務ごとに型が違うことがあります。面談は件数単価、記録の整理は時間単価、監修は成果物単価、という組み合わせも珍しくありません。契約書を読むとき、この3つのどれに当たるかをまず確認してください。
そして重要なのが、どの型であっても最終的には「1時間あたりいくらになるか」に換算して評価すべきだという点です。件数単価が高く見えても、1件に3時間かかるなら時間あたりの金額は下がります。換算せずに比較すると、判断を誤ります。
時間単価型の考え方
最も分かりやすい型です。稼働時間に単価をかけるだけなので、計算に迷いがありません。
ただし、論点が2つあります。
一つは、何を稼働時間としてカウントするかです。面談そのものの時間だけなのか、事前準備と記録作成を含むのか。ここが曖昧なまま契約すると、実際の拘束時間に対して報酬が足りなくなります。
保健指導の場合、面談30分に対して、事前のデータ確認に15分、記録の作成に20分ほどかかることがあります。前後の作業を含めると実質65分です。これが報酬に含まれるかどうかで、時間あたりの金額は倍近く変わります。
もう一つが、移動や待機の扱いです。在宅であれば移動は発生しませんが、システムへのログインや、対象者が来ないときの待機時間が生じることがあります。この時間が支払対象かどうかを確認してください。
契約時に確認する文言はシンプルです。「稼働時間には準備と記録作成の時間を含みますか」と聞く。それだけです。聞かずに始めて、あとから請求しようとすると、必ず揉めます。
雇用か業務委託かで最低ラインが変わる
法務の観点で、ここは必ず押さえてください。
雇用契約であれば、最低賃金法が適用されます。地域別最低賃金を下回る時間給は認められません。労働時間の管理や割増賃金の規定も適用されます。
業務委託であれば、最低賃金法は適用されません。時間単価は当事者の合意で決まります。つまり、低い単価でも契約としては成立してしまう。だからこそ、自分で下限を決めておく必要があります。
もう一点。契約書に「業務委託」と書かれていても、実態として指揮命令を受け、時間と場所を拘束されているなら、労働者性が認められる余地があります。この判断は個別の事情によるため断定はできませんが、明らかに雇用の実態がある契約は、労働基準監督署や専門家に相談する価値があります。
件数単価型の考え方
保健指導の分野で最も多く見られる型です。実施件数に応じて報酬が決まります。
この型の特徴は、慣れるほど時間あたりの金額が上がることです。最初は1件に時間がかかりますが、進め方の型ができると短縮されます。経験のある方には有利な仕組みだと言えます。
一方で、注意点が3つあります。
第一に、難しい対象者に当たったときのリスクを自分が負う点です。話が長引く、状況が複雑で調整に時間がかかる。それでも報酬は1件分です。平均でならせば問題なくても、月によって効率が大きくぶれます。
第二に、件数が確保されるかどうかです。件数単価は、件数が来なければ収入がゼロになります。最低保証件数があるのか、繁忙期と閑散期でどれくらい変動するのかを、契約前に確認してください。この確認をしないまま、想定していた件数の半分しか来なかったという相談を何度も受けています。
第三に、対象者のキャンセルや不在の扱いです。予定していた面談が実施されなかったとき、報酬は発生するのか。無報酬なら、その時間は完全に持ち出しになります。
件数単価は、募集の文面では出来高制と表現されることがあります。頑張った分が収入に直結するという書き方をされると魅力的に聞こえますが、つまりこれは件数が来る前提に乗った仕組みだということです。前提が崩れれば収入も崩れる。そこまで含めて評価してください。
副業を収入を増やす手段として位置づけること自体は、保健師の働き方の中で現実的な選択肢として語られています。
本業の収入に加えて副業の収入を得ることも、年収700万円を目指す方法の1つです。副業をおこなうと、さまざまなスキルが身につくため、保健師の業務でも活かせる可能性があります。 出典: kan54.jp
ここで見落とされがちなのが、後半の指摘です。副業で身につくものが本業にも返ってくるという点。件数単価の仕事で時間の使い方を組み立て直した経験は、本業の業務改善にそのまま使えます。収入だけを物差しにすると、この部分が計算から抜けてしまいます。
件数単価を時間換算する方法
判断のための計算方法を示します。難しくありません。
まず、1件あたりにかかる総時間を測ります。準備、実施、記録の3つを実際にストップウォッチで測ってください。感覚ではなく実測です。次に、件数単価をその時間で割ります。これが実質の時間単価です。
さらに、キャンセル率を織り込みます。予定件数のうち何割が実施されるか。実施されなかった分が無報酬なら、その分だけ実質単価は下がります。
この計算を1か月分やってみると、提示された数字と実際の手取りの差がはっきりします。数字にして初めて、条件交渉の材料が手に入ります。
成果物単価型と監修料の考え方
記事の監修や資料作成は、成果物ごとに報酬が決まります。ここは価格の幅が最も広い領域です。
幅が生まれる理由は、監修という言葉が指す範囲が案件ごとに違うからです。事実関係の確認だけを求められる案件と、構成から関与して修正を指示し、最終稿を承認する案件では、かかる労力が数倍違います。それなのに、どちらも「監修」と呼ばれる。
だから監修の依頼を受けたときは、金額の前に範囲を確定させてください。確認する対象は原稿何本か、1本あたりの文字数はどれくらいか、修正の指示はどこまで行うか、修正稿の再確認は何回まで含むか、最終稿の承認権はあるか。
そして、名前を出すかどうか。監修者としてクレジットを表示する場合、あなたの資格と信用を貸すことになります。保健師については、保健師助産師看護師法に名称の使用に関する規定が置かれており、免許を持たない者が名称を用いることには制限があります。つまり「保健師監修」という表示は、免許を持つ方にしかできない。この希少性が価格の根拠になります。
名前を出す案件と出さない案件で、同じ作業量でも金額が違うのは当然のことです。表示する場合は、その分を明示的に上乗せして提示してください。
監修で必ず確認すべきリスク
金額の話の前に、引き受けてよい案件かの判断が要ります。
健康や医療に関する情報には、表現そのものに規制がかかる領域があります。医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律は医薬品等の広告について規制を置いており、健康食品やサプリメントを扱う記事では効能に関する表現が問題になり得ます。不当景品類及び不当表示防止法も、著しく優良と誤認させる表示を規制しています。医療機関の広告については、医療法に基づく規制と関連するガイドラインがあります。
監修者として名前が載った記事に問題のある表現が残っていた場合、あなたの信用が傷つきます。したがって、修正を指示する権限と、最終稿を確認する権限は、報酬以前に確保すべき条件です。この権限がない監修は、責任だけを負う契約になります。
執筆や編集の仕事がどう値付けされているかを知っておくと、監修料を提示するときの基準ができます。著述家,記者,編集者の年収・単価相場を見ておくと、文章に関わる仕事の相場感がつかめます。監修はそれに専門性の対価を乗せる形になるので、土台の数字を知っておく意味があります。
月額固定型という選択肢
もう一つ、実務でよく見られる形があります。一定の業務範囲を月いくらで受ける契約です。
企業の健康管理を継続的に支援する場合や、複数の業務をまとめて引き受ける場合に使われます。収入が読めるので生活設計しやすく、委託元にとっても予算が固定されるので好まれます。
注意点は、業務範囲の確定です。月額固定は、範囲が曖昧だと際限なく業務が増えます。月に何件までの面談、何本までの資料作成、といった上限を契約書に書いておくこと。上限を超えた分は追加費用の対象になると明記しておくこと。この2つがないと、同じ金額でどんどん忙しくなります。
そして、契約期間と解約条件です。何か月契約か、更新はどうするか、途中で解約する場合の予告期間はどれくらいか。収入の柱にするなら、ここを確認せずに始めるのは危険です。
条件によって報酬が動く要因
同じ業務でも金額が変わる要因を整理します。交渉のときに使える変数です。
資格が要件になっているかどうか。法令や指針が実施者の範囲を定めている業務は、資格保有者にしか任せられません。この場合、資格そのものが価格の根拠になります。逆に資格が歓迎条件にとどまる業務では、資格の有無で単価が変わらないことがあります。
責任の重さ。判断を伴う業務は単価が上がります。データを入力するだけの業務と、異常値を拾ってフォロー対象を選定する業務では、求められるものが違います。
名前を出すかどうか。前述のとおり、クレジットを表示する案件は上乗せの根拠があります。
専門領域の希少性。メンタルヘルス、産業保健、母子保健、高齢者保健。どの領域に強いかで、当てはまる案件の数と単価が変わります。ニッチな領域ほど競合が少なくなります。
納期の厳しさ。短納期を求められる案件は、その分を上乗せして提示するのが当然です。無理な納期を通常単価で受けると、それが基準になってしまいます。
継続性。単発より継続のほうが、委託元にとって価値があります。継続を前提にするなら、その分の条件改善を求める余地があります。
資格や経験を積み増すという方向
長期的な視点も紹介しておきます。
また、産業保健師として年収の高い企業で働きながら資格を取得したり、役職に就いたり、副業に挑戦したりすると収入アップにつながる可能性があります。その他、個人事業主として独立することも年収1,000万円を目指す方法の1つです。年700万円を目指すよりもハードルは高くなりますが、就職先や働き方によっては保健師も年収1,000万円を目指すことが可能です。 出典: kan54.jp
この指摘のうち、副業と独立に関する部分は在宅の文脈でも当てはまります。ただし、これは時間をかけて到達する話であって、始めてすぐの水準ではありません。順序としては、まず1件を確実に納品し、継続してもらい、業務範囲を広げ、そのうえで条件を見直す。この流れを踏むのが現実的です。
異なる分野で専門性を収入に変えている例を見ておくと、組み立て方の参考になります。ドローン副業の始め方|資格・収入・案件の種類をまとめて解説は資格が単価に直結する構造の例として、ゲームテスターの副業ガイド|未経験から始める方法と収入の実態は件数型の報酬がどう積み上がるかの例として読めます。業種は違っても、報酬の型と単価の動き方には共通する構造があります。
手取りに効いてくる仕組み
提示額と手取りは違います。ここを分けて考えられるかどうかで、判断の精度が変わります。
源泉徴収の扱い。業務委託の報酬のうち、原稿料や講演料など所得税法が定める一定の報酬については、支払者が源泉徴収を行うこととされています。保健指導の報酬がこれに当たるかは業務の内容によって判断が分かれるため、契約時に源泉徴収の有無を確認してください。源泉徴収された分は確定申告で精算されるので損失ではありませんが、月々の入金額は変わります。
消費税とインボイス。適格請求書発行事業者の登録をしているかどうかで、委託元が支払う額の扱いが変わります。委託元が課税事業者の場合、登録の有無が取引条件に影響することがあります。登録すべきかどうかは、売上規模と取引先の構成で答えが変わるため、税理士に相談する価値があります。
経費。通信費、書籍代、研修費、業務用の機材。家庭と共用のものは使用割合で按分します。経費を正しく計上できれば、同じ売上でも手元に残る額が変わります。領収書は月ごとに分けて保管してください。
そして、間に何社入っているか。同じ業務でも、元の発注者から自分に届くまでに何社経由するかで、手元の金額は変わります。これは業種を問わない構造です。
契約で報酬を守る
法務の立場から、最も伝えたい部分です。
業務委託で仕事を受ける場合、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律、いわゆるフリーランス保護新法の枠組みが関係します。この法律では、発注者に対して取引条件を明示することや、支払期日に関する規律などが定められています。
つまり、業務内容、報酬額、支払期日が明示されないまま作業を始める状態は、そもそも望ましくないということです。契約書がない場合でも、メールで条件を確認して記録を残してください。争いになったとき、記録があるかないかで結論が変わります。
追加作業が発生したときの扱いも決めておきます。「ついでにこれもお願いします」が積み重なるのは、この業界に限らずよくある話です。追加が発生した時点で「追加分としてお見積りします」と伝える。これを言えずに飲み込むと、実質の単価が下がり続けます。言いにくいと感じる方が多いのですが、最初に一度言っておくと、以降は当たり前の手続きになります。
契約書の読み方に不安があるなら、専門家の力を借りてください。書類や許認可を扱う専門家の輪郭を知っておくと相談先を選びやすくなるので、行政書士の解説にも目を通しておくとよいでしょう。紛争性のある事案や、損害賠償が絡む条項の判断は弁護士に相談してください。
公務員として働いている場合
行政で働いている方は、収入の話の前に確認すべきことがあります。
公務員は「国家公務員法」「地方公務員法」により、副業が原則禁止されています。そのため、基本的には副業による収入アップも見込めません。また民間企業に勤務する産業保健師についても、在籍する企業の給与体系によっては、現実的に年収700万円を目指せない場合もあります。このように、勤務先によっては年収700万円の達成を期待しにくい場合もあります。 出典: kan54.jp
正確に言うと、国家公務員法と地方公務員法には営利企業への従事等の制限に関する規定があり、副業を行うには任命権者の許可が必要とされる場面があります。全面的に不可能というより、許可の枠組みがあるという理解が実態に近い。近年は一定の条件下で副業を認める方針を示している自治体もあります。
ただし運用は自治体ごとに異なり、認められる範囲も限定的です。必ず所属先の規程を確認し、必要な手続きを踏んでください。無許可で行えば懲戒の対象になり得ます。ここは金額の話とは別次元の問題です。
民間企業に勤務している方も、就業規則の副業規定を確認してください。競業避止や秘密保持の観点から、同種業務を他社で行うことが制限されている場合があります。
収入が安定しない時期をどう設計するか
副業として始めた直後は、収入が読めません。これは能力の問題ではなく、仕組み上そうなるだけです。設計で吸収します。
まず、型の違う仕事を組み合わせることです。件数単価の仕事だけに寄せると、件数が減った月に収入がそのまま落ちます。ここに成果物単価の仕事、たとえば記事の監修や資料作成を混ぜておくと、変動が緩やかになります。監修は繁忙期が保健指導とずれることが多いので、組み合わせとして相性がよい。
次に、支払サイクルを揃えないことです。月末締めの翌月末払いの案件ばかりだと、入金のない月が生まれたときに生活が詰まります。締め日と支払日が異なる取引先を持っておくと、資金繰りが平準化されます。
そして、経費の先出しを避けることです。機材や研修に先に投資して、そのあと案件が来なかったというのが最もつらい形です。案件が決まってから、必要になったものを買う。この順番のほうが安全です。
もう一点、業務委託の場合は収入が途切れても失業給付のような仕組みがないことを理解しておいてください。雇用契約で受けている場合と、業務委託で受けている場合では、守られ方の前提がまったく違います。本業を辞めて独立するかどうかを考える段階では、この差が決定的になります。
契約を切られたときのこと
考えたくない話ですが、備えておく価値があります。
業務委託契約には期間の定めがあるのが通常で、更新されないこともあります。特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律では、一定の要件を満たす継続的な業務委託について、中途解除や更新しない場合の予告に関する規律が設けられています。契約書に解約や更新に関する条項がどう書かれているかは、契約前に必ず読んでおいてください。
そして、1社に売上の大半を依存しないこと。依存度が高いほど、条件の交渉ができなくなり、切られたときの打撃も大きくなります。2社以上と取引がある状態を目標にすると、精神的な余裕がまったく違ってきます。
単価を上げるための順序
最後に、条件を改善していく順番を整理します。
最初にやるのは、実測です。1件あたりにかかる時間を測り、実質の時間単価を出す。ここが分からないまま交渉しても、根拠のない値上げ要求になってしまいます。
次に、納品の質を安定させます。期日を守る、記録を正確に残す、指示の確認を怠らない。この3つが揃うと、委託元にとって代えがたい相手になります。交渉力はここから生まれます。
そのうえで、業務範囲の提案をします。単価を上げてくださいと言うより、業務の中身を変える提案のほうが通りやすい。データ整理だけを受けていたなら、異常値の抽出まで含めて引き受ける。監修なら、構成の段階から関与する。業務が変われば、価格も変わります。
そして、複数の取引先を持つこと。1社に依存していると、条件の話がしにくくなります。他にも仕事があるという状態が、交渉の余裕を作ります。
交渉のタイミングも大事です。契約更新の直前が最も話をしやすい時期で、逆に業務の途中で持ち出すと関係がぎくしゃくします。更新の1か月前を目安に、これまでの実績を整理したうえで相談するのが自然な流れです。実績の整理というのは、納品件数、対応した内容、追加で引き受けた業務の記録です。数字が並んでいると、相手も社内で稟議を上げやすくなります。
伝え方も工夫の余地があります。値上げを要求する形ではなく、次期の業務範囲について相談したいという形で切り出す。範囲の話から入れば、金額は結果として付いてきます。
相談や面談を伴う仕事がどういう単位で発注されているかを見ておくと、自分の業務の切り出し方の参考になります。キャリア・副業・人生相談のお仕事の説明を読むと、対人の業務がどう値付けされ、どう区切られているかの実際が分かります。
運営者として見てきた限りでの観察
在宅・フリーランス市場を20年運営してきた立場から見ると、資格を持つ方の報酬には、はっきりした傾向があります。
自分の値段を提示できる方と、提示された金額に反応するだけの方で、数年後の水準が大きく分かれるのです。技術や知識の差ではありません。値段の根拠を持っているかどうかの差です。実測した時間と、業務の範囲と、責任の重さ。この3つを説明できる方は、条件の話を対等にできます。
もうひとつ。長く続いている方ほど、単発の案件を追わずに1社との関係を厚くしています。最初は小さな業務から入り、信頼が積み上がるにつれて、より判断を要する業務を任されるようになる。単価は業務が変わることで上がっていく。この順序で伸びる方が多い。
そして手取りの構造です。同じ業務でも、間に何社挟まるかで手元に残る額は変わります。中間マージンが乗らない形で直接やり取りできる関係が作れると、依頼する側は同じ予算でより多く頼めるようになり、受ける側の手取りは厚くなります。双方が得をする構造で、資格職の場合は専門性の対価がそのまま届くぶん効果が大きい。
収入の話は、金額の大きさより仕組みの理解から始まります。どの型で払われているのか、実質の時間単価はいくらか、条件のどこが動かせるのか。これが見えれば、次に何を交渉すればいいかも見えてきます。契約は、あなたを縛るものではなく守るものです。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 保健師の副業では時間単価と件数単価のどちらが有利ですか?
経験があり進め方の型ができている方には件数単価が有利になりやすい一方、件数が確保されないと収入が不安定になります。時間単価は読みやすい代わりに、準備と記録の時間が支払対象に含まれるかで実質が変わります。どちらも1時間あたりに換算して比較してください。
Q. 監修の報酬はどう決めればいいですか?
まず範囲を確定させてください。確認する原稿の本数と分量、修正指示をどこまで行うか、再確認は何回までか、最終稿の承認権があるか。そのうえで、監修者として名前を表示する場合は資格と信用を貸すことになるため、その分を明示的に上乗せして提示するのが妥当です。
Q. 提示された報酬が安いと感じたら交渉してよいですか?
交渉は正当な行為です。ただし根拠が要ります。1件あたりにかかる時間を実測して実質の時間単価を出し、キャンセル率も織り込んだうえで話してください。単価そのものより、業務の範囲を変える提案のほうが通りやすい傾向があります。
Q. 業務委託の報酬から源泉徴収されるのはなぜですか?
所得税法が定める一定の報酬については、支払者が源泉徴収を行うこととされています。原稿料や講演料はその対象に含まれます。保健指導の報酬が該当するかは業務内容によって判断が分かれるため、契約時に源泉徴収の有無を確認してください。徴収された分は確定申告で精算されます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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