ポルトガル語の動画の字幕と翻訳


この記事のポイント
- ✓ポルトガル語の字幕と動画翻訳の仕事を
- ✓工程ごとに分解して整理しました
- ✓尺と話速から作業時間を見積もる方法
ポルトガル語ができるので動画の字幕を頼まれた。ただ、いくらで受ければいいのか、どれくらい時間がかかるのかが分からない。この状態で見積もりを出して、後から時給換算で愕然とする人が本当に多い分野です。結論から言うと、字幕の仕事は工程を分けて考え、動画の尺と話速から作業時間を先に計算すれば、失敗しません。逆に、それをせずに文字数だけで見積もると必ず赤字になります。この記事では、ポルトガル語の字幕と動画翻訳がどこに需要としてあるのか、工程ごとに何をするのか、そして時間と単価をどう見積もるのかを整理します。
ポルトガル語の字幕という仕事は、どこにあるのか
字幕というと映画やドラマを思い浮かべますが、実際に量が動いているのはそこではありません。企業と行政の動画です。
日本で暮らすブラジル国籍の人はおよそ21万人規模で、製造業の集積地に多く暮らしています。この人たちに向けて、安全教育の動画、作業手順の動画、防災の案内、健診の案内、制度の説明動画が作られており、そこにポルトガル語の字幕が必要になります。紙の資料では読まれない層にも届くため、行政も企業も動画に移行しつつあるのが実情です。
もう一方向に、日本企業がブラジル市場へ出していく動画があります。製品紹介、操作説明、採用向けの会社紹介、ECの商品動画。ポルトガル語圏は話者がおよそ2億6千万人いる巨大な市場で、英語やスペイン語ほど競合が多くありません。
そして三つ目に、個人や小規模事業者の動画があります。動画を発信する人が増え、多言語化の需要は静かに広がっています。翻訳の案件は在宅前提で数が動いています。
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在宅で完結する形が整っている点が、この仕事の大きな利点です。通訳のように時間と場所を拘束されないので、育児や介護と並行しやすく、地方に住んでいても不利になりません。
日本語からポルトガル語か、その逆か
方向によって仕事の性質が変わります。日本語からポルトガル語への字幕は、国内向けの案内動画と、ブラジル市場向けの製品動画が中心です。ポルトガル語から日本語への字幕は、ブラジルの企業や現地拠点が作った動画を日本本社が見る場面、報道や調査、そして映像作品の紹介などで発生します。
どちらも受けられるのが理想ですが、実務では訳出先の言語が母語であるほうが品質が安定します。自分の母語がどちらかを明示して、得意な方向を主戦場にしてください。両方向を扱う場合でも、母語でない方向は必ず母語話者の確認を入れる体制にしておくと、事故が減ります。
字幕の仕事は、四つの工程でできている
見積もりを間違える人は、この工程の区別をしていません。工程ごとに時間も単価も違います。
書き起こし
音声を文字に起こす工程です。原稿があれば不要ですが、実際には原稿なしで渡されることが多い。話者が複数いる場合、雑音がある場合、専門用語が多い場合は、ここだけで大きな時間を取ります。
自動音声認識の精度は上がっていますが、ポルトガル語の地域差や、日本語との混在がある音声では誤りが残ります。結局は人が聞き直すことになるので、書き起こしを工程として見積もりに入れてください。
翻訳
文字になったものを訳す工程です。ここだけを見て「翻訳料」として見積もると、他の三工程が無償になります。
字幕の翻訳は、文書の翻訳とは別の技術です。画面に出せる文字数に制限があるため、意味を保ったまま短くする必要があります。文書翻訳の感覚で訳すと、そのままでは字幕として使えません。
尺合わせ
翻訳した文を、音声のタイミングに合わせて区切り、開始と終了の時刻を割り当てる工程です。スポッティングとも呼ばれます。
ここが字幕仕事の中核であり、最も時間がかかります。話者の息継ぎ、画面の切り替わり、テロップとの重なりを見ながら、一つひとつの字幕の表示時間を決めていきます。
校正と最終確認
誤字、数字の一致、固有名詞の綴り、表示時間の過不足を確認します。可能なら通しで一度再生して、読み切れない字幕がないかを目で確かめます。
焼き込みまで依頼される場合は、動画への書き出しも工程に入ります。ファイル形式と解像度の指定を先に確認してください。
尺と話速から、作業時間を見積もる
ここが本題です。この計算ができるかどうかで、この仕事が続くかどうかが決まります。
話速の目安を持つ
まず、動画に含まれる語数を推定します。日本語のナレーションは、落ち着いた説明で1分あたり300字前後、速めの解説動画で400字前後が目安です。ポルトガル語は1分あたり130語から160語程度で話されることが多いとされます。
会話や対談は、これより実質の情報量が減ります。間、言い直し、相づちが入るからです。逆に、原稿を読み上げるナレーションは密度が高く、同じ尺でも作業量が増えます。
つまり、尺だけでは見積もれません。冒頭の3分を実際に聞いて話速を測り、それを全体に掛けるのが最も正確です。この一手間を惜しむと、見積もりが二倍ずれます。
字幕の文字数制限を知っておく
字幕には物理的な制限があります。日本語の字幕は1行13字から16字、2行までという運用が広く使われています。表示時間との関係では、読める速度としておよそ1秒あたり4字という目安が用いられます。
ポルトガル語の字幕では、行あたりの文字数を37字から42字、2行まで、読む速度は1秒あたり17字前後を上限とする運用が一般的です。実際の基準は発注元のガイドラインで指定されるので、受注時に必ず確認してください。
ここで問題になるのが、日本語からポルトガル語に訳すと文字数が増えることです。訳文が原文の1.2倍から1.4倍になるのは普通で、そのままでは制限に収まりません。意味を保ったまま削る作業が必ず発生します。この削る作業こそが字幕翻訳の技術であり、時間がかかる理由です。
一分あたりの作業時間を持っておく
経験的な目安として、動画1分あたりの作業時間は次のように考えると外しません。
書き起こしが4分から8分。音質が悪い、話者が複数いる場合は上振れします。翻訳が5分から10分。専門分野なら調査の時間が加わります。尺合わせが5分から10分。校正が2分から4分。
合計すると、動画1分あたり16分から32分です。つまり10分の動画に、およそ3時間から5時間かかる計算になります。この数字を知らずに「10分の動画だから1時間くらい」と見積もると、確実に破綻します。
見積もりの具体例で考える
たとえば工場の安全教育動画、尺12分、原稿なし、日本語からポルトガル語、専門用語あり、という案件だとします。
書き起こしに12分掛ける6分で72分。翻訳に12分掛ける9分で108分。尺合わせに12分掛ける8分で96分。校正に36分。合計でおよそ5時間です。
希望する時給を3,000円とするなら、この案件は15,000円が最低ラインになります。ここに用語調査や修正対応の余地を見て、提示額を決める。この順序で考えると、安く受けてしまうことがなくなります。
単価をどう提示するか
字幕の単価には三つの決め方があります。動画の分数あたり、原文の文字数あたり、そして一式です。
分数あたりの単価は、発注側にとって分かりやすく、字幕案件では最も一般的です。工程をどこまで含むかで金額が変わるため、書き起こしを含む場合と含まない場合、尺合わせを含む場合と含まない場合で、それぞれの単価を用意しておいてください。
文字数あたりの単価は、原稿が用意されている案件で使えます。日本語からポルトガル語への翻訳では、原文1文字あたり8円から15円程度がひとつの目安です。ただし字幕の場合は削る作業が加わるので、文書翻訳と同じ単価にすると割に合いません。
一式で出す場合は、内訳を必ず添えます。書き起こし、翻訳、尺合わせ、校正の四行に分けて出す。内訳があると、依頼側は何にお金を払っているかが分かり、追加作業が出たときの精算もしやすくなります。
言語を扱う在宅の仕事全体の相場感は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種別に確認できます。字幕だけで組むのか、文書翻訳や執筆と組み合わせるのかを判断する材料になります。仕事の全体像を知りたい方は、映像翻訳・字幕・通訳のお仕事で、この分野の案件がどういう形で流通しているかを見ておくとよいでしょう。
道具と納品形式を先に決める
字幕の制作には、専用のツールを使います。無料で使えるものから業務用のものまで幅がありますが、最初は無料のもので十分です。大事なのは、指定された形式で書き出せることです。
納品形式でよく指定されるのは、字幕ファイルの形式です。開始時刻、終了時刻、テキストが並んだ形式が標準的で、動画編集ソフトや配信プラットフォームがそのまま読み込めます。文字コードの指定も確認してください。指定を外すと、ポルトガル語のアクセント記号が化けます。
動画に文字を焼き込む形での納品を求められる場合は、解像度、フォント、文字の大きさ、縁取りの有無まで指定を受けます。これは編集作業なので、翻訳とは別の料金として立ててください。
作業を始める前に確認すべきことをまとめると、次の五つです。納品形式、字幕の行数と文字数の制限、読む速度の上限、用語集や過去訳の支給の有無、そして修正対応の回数です。この五つを埋めてから着手すると、納品後のやり直しがほぼなくなります。
品質を落とさないためのルール
字幕には、文書翻訳にはない独自の約束事があります。
一つ目は、画面の切り替わりをまたがないことです。カットが変わるところで字幕が続いていると、視聴者は同じ字幕を二度読もうとして混乱します。
二つ目は、意味の切れ目で改行することです。一行目の途中で意味が切れると、読む速度が落ちます。主語と述語、修飾と被修飾の関係を壊さない位置で改行する。この判断が字幕の読みやすさを決めます。
三つ目は、表示時間の下限と上限です。短すぎると読めず、長すぎると画面に残って邪魔になります。おおむね1秒を下限、6秒前後を上限とする運用が多いです。
四つ目は、数字と固有名詞の一致です。動画で言っている数字と字幕の数字が違うのは、最も信頼を失う誤りです。納品前に数字だけを抜き出して照合する習慣を持ってください。
五つ目は、話者の区別です。複数の人が話す動画では、誰の発言かが分かる形にする指定が入ることがあります。記号を使うのか、色を変えるのか、発注元の方針に従います。
ブラジルとポルトガルで、字幕の言葉を変える必要があるか
字幕を作るとき、どちらのポルトガル語で書くかは最初に決める必要があります。発音の差は字幕には出ませんが、語彙と言い回しの差ははっきり出ます。
日本国内で使われる動画は、ほぼブラジル向けです。工場の安全教育も、自治体の案内も、読む人の多くがブラジルにつながる家庭の人だからです。この場合はブラジルの語彙で書きます。ポルトガル本国の言い回しで書くと、読めはしても距離を感じさせます。
一方、ブラジル市場向けの製品動画でも、企業によってはポルトガル本国やアフリカのポルトガル語圏まで同じ字幕を使いたいと言ってくることがあります。この場合は、地域差の少ない語を選ぶという方針で書きます。どちらの地域でも通じる中立的な語彙を選ぶ作業で、日常語ほど差が出るため注意が要ります。
受注のときに確認するのは二つです。想定する視聴者はどこにいるのか、そして既存の翻訳資産があるならどちらの表記で作られているのか。後者は特に重要で、既存の資料と字幕で表記が食い違うと、視聴者は別の製品や別の制度の話だと受け取ります。
もう一点、日本国内向けの動画では、日本語の固有名詞をどう扱うかも決めておきます。会社名、施設名、制度名。訳すのか、日本語の読みをアルファベットで書くのか、両方を併記するのか。制度名は日本語のまま残して括弧で説明を添える形が読みやすく、実務でもよく使われます。
発注元との認識合わせで、やり直しを防ぐ
字幕の案件でやり直しが発生する原因は、訳の質より認識のずれです。着手前に短い確認をしておくだけで、大半は防げます。
まず、字幕の目的を聞きます。理解してもらうための字幕なのか、記録として正確さを優先する字幕なのか。安全教育なら理解が優先で、多少意訳しても伝わることが大事です。記録や証跡が目的なら、意訳を嫌う発注元もいます。
次に、口語をどこまで残すかを聞きます。話し言葉の言い直しや相づちを字幕に入れるかどうかは方針で分かれます。全部入れると読みにくく、削りすぎると発言の印象が変わります。
三つ目に、既存のテロップとの重なりを確認します。画面にすでに日本語のテロップが焼き込まれている動画に字幕を乗せると、文字が重なって読めません。字幕の表示位置を上に逃がすのか、テロップ部分だけ表示しないのかを決めておきます。
四つ目に、修正対応の範囲を決めます。誤りの修正は当然として、発注元の好みで表現を変える依頼は別作業として扱うのが公平です。ここを最初に決めておかないと、納品後に何度も無償で直す関係ができあがります。
この四つを箇条書きにしたメモを作っておき、受注のたびに送る。手間は数分ですが、後の数時間を守ります。
案件の探し方と、実績のない状態からの入り方
受注経路は三つあります。翻訳会社や映像制作会社への登録、業務委託マッチングサービス、そして直接の営業です。
翻訳会社への登録では、トライアルが課されます。字幕の場合は、短い動画に字幕を付けて提出する形が一般的です。ここで見られるのは訳の巧拙より、文字数制限を守れているか、尺が合っているか、指定の形式で納品できているかです。技術的な約束事を守れる人は、それだけで通ります。
制作会社の求人を見ると、映像分野の翻訳がどう扱われているかが分かります。
仕事内容国際映画祭、映画配給宣伝に関わる翻訳・通訳アシスタント業務 (英語、フランス語) ▼仕事内容 カンヌ国際映画祭をはじめとした各国の映画祭、および映画、映像、演劇の国際配給宣伝に関わる翻訳・通訳アシスタント(英語、フランス語)を募集します。 (東京都目黒区) ▼職種 国際映画祭、映画配給宣伝に関わる翻訳・通訳アシスタント業務 (英語、フランス語)() ▼雇用形態 ▼勤務時間 土日含む1週間のうち任意。14時~22時の間で応相談。 (東京都目黒区) ▼休日・休暇 出勤日・休日は応相談。 ▼勤務地 東京都目黒区 ▼企業名・施設名 株式会社EVISION 学生歓迎 出典: jp.stanby.com
映像分野は英語やフランス語の募集が目立ちますが、そのぶんポルトガル語で対応できる人は貴重です。募集要項に自分の言語がなくても、対応可能な言語として登録しておくと、案件が発生したときに声がかかります。
マッチングサービス経由では、短い動画の字幕から入るのが現実的です。数分の動画を確実に仕上げ、評価を積む。実績が数件たまると、長尺の案件に応募できるようになります。翻訳から入って字幕につなげる流れも有効で、他言語の事例としては中国語翻訳の副業ガイド|需要が高いジャンルと単価の目安が参考になります。翻訳の品質に関する認証の位置づけを知りたい方は、JTF翻訳品質認証を確認しておくとよいでしょう。
直接の営業は、地域を絞ると効果が出ます。ポルトガル語話者が多く暮らす地域の自治体、企業、医療機関には、動画を多言語化したい需要が眠っています。日本語とポルトガル語の両方で内容を確認できる人材は慢性的に不足しているため、実績が浅くても話は聞いてもらえます。
機械翻訳と自動字幕をどう扱うか
自動字幕と機械翻訳の精度は上がり続けています。この流れを無視するのは現実的ではありません。
実務では、下訳として使い、人が直す形が定着しつつあります。書き起こしを自動でやらせて誤りを直し、翻訳の下訳を出させて字幕として使える形に直す。工程の一部を機械に任せることで、作業時間そのものは短くできます。
ただし、二つ注意が要ります。一つは、機密性です。企業の未公開の製品情報や、個人情報を含む動画を、外部のサービスに投入してよいかは契約で決まります。受注時に確認してください。もう一つは、下訳を使ったことで単価を下げられる圧力です。機械が下訳を出せるから安くしてほしい、という交渉は実際に来ます。
ここで持っておきたい認識は、機械が短縮できるのは書き起こしと翻訳の一部であって、尺合わせと最終判断は残るということです。文字数制限に収めるために何を削るか、どこで改行するか、専門用語をどう訳すか。この判断が字幕の価値です。工程ごとに単価を分けておくと、こうした交渉のときに説明ができます。
音声吹き替えとナレーションという、隣の仕事
字幕を扱っていると、必ず音声での多言語化を相談されます。読む力に不安がある視聴者に届けたい場合、字幕より音声のほうが効果があるからです。
吹き替えには二つの形があります。元の音声を消して置き換える形と、元の音声を残したまま上から重ねる形です。後者は制作の手間が軽く、行政や企業の説明動画ではよく使われます。
字幕の翻訳をそのまま読み上げても、音声としては成立しません。字幕は文字数制限のために削られており、耳で聞くと言葉が足りないからです。音声用には別の原稿を作る必要があります。この違いを説明できると、字幕と音声を別料金として提示できます。
自分で声を入れるかどうかは選択です。録音の環境と機材が要り、読み方の技術も必要になります。無理に引き受けず、読み手を別に立てて原稿だけを担当する形でも成立します。その場合、原稿には読み方の指示を添えます。数字の読み、固有名詞の読み、間の取り方。ここまで用意しておくと、読み手が迷いません。
音声の仕事を視野に入れると、同じ動画一本から受けられる作業が増えます。案件の単価を上げる現実的な方法として、覚えておく価値があります。
収入の組み立てと、続けるための工夫
字幕だけで生活を組むのは、案件量の波を考えると簡単ではありません。現実的なのは、文書翻訳や動画関連の別工程と組み合わせる形です。
同じ動画に対して、字幕だけでなく、説明文の翻訳、サムネイルの文字、概要欄の翻訳まで受けられると、一案件あたりの金額が上がります。依頼側も窓口が一つで済むので歓迎されます。
作業効率の面では、用語集を案件ごとに残していくことが効きます。同じ発注元の動画は用語が重なるので、二本目からは調査の時間が大きく減ります。過去の訳を検索できる形で保管しておくと、時給は自然に上がっていきます。
体の負担にも触れておきます。字幕の作業は、同じ数分を何度も聞き返す作業の連続です。長時間続けると耳と目に疲労が溜まり、集中力が落ちて誤りが増えます。作業を50分で区切って休む、一日の作業量の上限を決める。こうした管理をしている人ほど、品質を保ったまま長く続けています。教える仕事や相談の仕事と組み合わせて、目と耳を使う時間を分散させている人もいます。キャリア・副業・人生相談のお仕事のように、性質の違う仕事を持っておくと、負担の偏りを避けられます。
運営者として見てきた、この仕事が続く人の共通点
在宅の仕事を仲介する場を長く運営してきた立場から見ると、字幕の分野で長く続いている人には、共通した振る舞いがあります。
一つ目は、見積もりの内訳を出していることです。工程ごとに時間と金額を示せる人は、値切られにくい。逆に一式でしか出せない人は、比較のときに金額だけで判断されます。
二つ目は、技術的な約束事を守っていることです。文字数、表示時間、納品形式。ここを外さない人には、発注側が確認の手間をかけずに済みます。訳の美しさより、この確実さのほうが継続依頼につながっているのを何度も見てきました。
三つ目は、専門分野を持っていることです。製造業の安全教育、医療、行政の制度説明、EC商品。どれか一つに詳しい人は、その分野の案件で確実に指名されます。何でも訳せますと書いてある人は、選ぶ理由がないので選ばれません。
最後に、額面と手取りの話をしておきます。字幕の案件は、発注元から制作会社、翻訳会社を経て訳者に届くまでに、いくつかの段を通ることがあります。同じ10分の動画を仕上げても、間に入る段の数によって手元に残る額は変わります。直接つながる仕組みが意味を持つのはここで、手数料0%で依頼者と直接取引できれば、依頼側は同じ予算でより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。運営者として見てきた限りでは、登録型で技術と評価を積みながら、途中から直接の取引先を少しずつ増やしていく人が、いちばん無理なく収入を伸ばしています。長く続く人ほど、単発の作業をこなすことより、この人に任せると楽だと思われる関係づくりに時間を使っている。字幕という細かい作業の積み重ねの仕事でも、そこは変わりません。
よくある質問
Q. 動画1分あたり、どのくらい作業時間がかかりますか?
書き起こしに4分から8分、翻訳に5分から10分、尺合わせに5分から10分、校正に2分から4分で、合計16分から32分が目安です。10分の動画なら3時間から5時間かかる計算になります。原稿の有無と音質、専門性で大きく変わるため、冒頭3分を実際に聞いて話速を測ってから見積もってください。
Q. 字幕の文字数制限はどのくらいですか?
日本語は1行13字から16字で2行まで、読む速度は1秒あたり4字程度が目安です。ポルトガル語は1行37字から42字で2行まで、1秒あたり17字前後を上限とする運用が一般的です。実際の基準は発注元のガイドラインで指定されるので、受注時に確認してください。
Q. 単価はどう決めればよいですか?
動画の分数あたりで出すのが一般的です。書き起こしを含むか、尺合わせを含むかで金額が変わるため、工程ごとの単価を用意しておきます。原稿がある案件では原文1文字あたり8円から15円程度が目安ですが、字幕は文字数を削る作業が加わるため文書翻訳と同じ単価では割に合いません。
Q. 自動字幕や機械翻訳を使ってもよいですか?
下訳として使い、人が直す形が実務では定着しています。ただし機密情報や個人情報を含む動画を外部サービスに投入してよいかは契約で決まるので、受注時に確認してください。機械が短縮できるのは書き起こしと翻訳の一部で、尺合わせと削る判断は人の仕事として残ります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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