NDA(秘密保持契約)翻訳の費用相場|取引開始前に知るべき料金と選び方 2026

中西 直美
中西 直美
NDA(秘密保持契約)翻訳の費用相場|取引開始前に知るべき料金と選び方 2026

この記事のポイント

  • NDA(秘密保持契約)の翻訳費用相場を発注者目線で解説
  • 失敗しないための注意点まで2026年最新版でまとめました

海外の取引先と契約を結ぶ前に、NDA(秘密保持契約)の翻訳が必要になった。そんな場面に立って、まず頭をよぎるのは「一体いくらかかるのか」という素朴な疑問ではないでしょうか。

見積もりを取ろうにも、翻訳会社ごとに料金体系がばらばらで、何を基準に比較すればいいのか分かりにくいのが正直なところです。急いでいるのに、内容を理解しないまま安さだけで発注先を決めてしまうと、あとで思わぬトラブルにつながることもあります。

大丈夫です。NDA翻訳の費用は、いくつかの基準さえ押さえれば、それほど複雑なものではありません。この記事では、料金相場の内訳から、依頼先の選び方、契約前に確認しておきたいポイントまで、発注する側の立場に立って一つずつ整理していきます。

NDA翻訳の費用相場と市場の現状

NDA(秘密保持契約)の翻訳費用は、依頼先の種類によって大きく変わります。一般的な目安として、翻訳会社に依頼した場合、日英・英日ともに1文字あたり15円〜25円程度が相場とされています。A4用紙1枚(400字程度)のシンプルなNDAであれば、6,000円〜1万円ほど、10ページを超える詳細な契約書であれば10万円を超えるケースも珍しくありません。

この価格差が生まれる背景には、法務翻訳という分野の特殊性があります。一般的なビジネス文書の翻訳と違い、契約書の翻訳は「言葉の意味が正確に伝わるか」だけでなく、「法的な効力が損なわれないか」まで問われます。単語一つの選び方を誤ると、契約の解釈がまったく違う方向に進んでしまうリスクがあるため、専門知識を持つ翻訳者への依頼が前提になり、単価も高めに設定される傾向にあります。

在宅ワーク・フリーランス市場全体を見ても、法務・契約書翻訳は専門性の高い分野として単価が安定しており、一般的なビジネス文書翻訳と比べて1.5倍〜2倍程度の単価水準で推移していると言われています。契約書という性質上、価格競争が起きにくく、経験のある翻訳者ほど安定した依頼を受けやすい分野と言えるでしょう。

また近年は、生成AIによる契約書翻訳のリスクも指摘されるようになりました。無料の翻訳ツールに機密情報を含む契約書を入力してしまうと、入力データが学習に利用される可能性や、情報漏洩のリスクが生じます。NDAという文書の性質上、こうした情報管理の観点からも、専門の翻訳会社やフリーランスの専門家に依頼する意義は年々高まっていると言えます。

NDA翻訳を依頼する3つの選択肢と費用の違い

NDA翻訳を依頼する先は、大きく分けて3つあります。それぞれの特徴と費用感を見ていきましょう。

翻訳会社(代理店型)に依頼する場合

翻訳会社に依頼する最大のメリットは、品質管理の体制が整っていることです。翻訳者だけでなく、チェッカーや校正担当者が別途つき、複数人の目でダブルチェックが行われます。急ぎの案件にも対応してもらいやすく、担当者とのやり取りも日本語で完結するため安心感があります。

一方で、費用面では中間コストが乗る構造になっています。実際に翻訳作業を行うのは登録している翻訳者ですが、依頼者が支払う金額には会社の運営費・営業経費・チェック工程の人件費などが上乗せされます。相場としては1文字あたり18円〜30円程度、急ぎ対応(特急料金)の場合はさらに30%〜50%ほど割増になることもあります。

フリーランス翻訳者に直接依頼する場合

近年増えているのが、翻訳者個人に直接依頼する方法です。仲介する会社を挟まないため、その分の中間マージンが発生せず、同じ品質の翻訳をより抑えた費用で依頼できる可能性があります。相場としては1文字あたり10円〜18円程度が目安になることが多く、翻訳会社経由と比べて20%〜40%ほど安く抑えられるケースも見られます。

ただし、直接依頼する場合は、翻訳者自身の専門性やNDAに関する知識を発注者側で見極める必要があります。契約書翻訳の実績があるか、法務分野の翻訳経験があるかを、事前に確認しておくことが欠かせません。

クラウドソーシング経由で依頼する場合

クラウドソーシングサイトを通じて発注する方法もあります。多くの翻訳者の中から比較検討できる点は魅力ですが、契約書という専門性の高い文書では、実績や専門知識のミスマッチが起きやすい側面もあります。依頼前にプロフィールや過去の実績を丁寧に確認し、契約書翻訳の経験があるかどうかを見極めることが重要です。

翻訳会社とのNDAでは、発注する個人や法人と、翻訳会社の間で締結するのが最も一般的ですが、実際に翻訳原稿に接するのは翻訳者や校閲者です。 出典: 翻訳会社j.com

この指摘の通り、依頼先が翻訳会社であっても、実務を担うのは個人の翻訳者であるケースがほとんどです。であれば、「誰が実際に訳すのか」「その人にNDAが徹底されているか」を確認することこそが、依頼先を選ぶ上で最も本質的な視点だと言えるでしょう。

NDA翻訳の料金内訳を理解する

見積書を受け取ったとき、金額だけを見て高い・安いを判断するのは早計です。料金の内訳を理解しておくと、比較検討がぐっとしやすくなります。

基本翻訳料金

文字数(もしくは単語数)に単価をかけたものが基本料金です。日本語から英語への翻訳は「原文の文字数」、英語から日本語への翻訳は「訳文の文字数」を基準にすることが一般的です。専門性の高い法務分野は、一般文書より単価が高く設定されるのが通例です。

チェック・校正費用

翻訳会社に依頼する場合、多くは基本料金にチェック工程の費用が含まれています。フリーランスに直接依頼する場合は、チェックを別途依頼するかどうかで料金が変わります。重要な契約書であれば、ダブルチェックを依頼するために追加で5,000円〜2万円程度を見込んでおくと安心です。

特急料金・繁忙期割増

納期が3営業日以内など短い場合、特急料金として基本料金に20%〜50%程度が上乗せされることがあります。決算期や年度末など依頼が集中する時期も、通常より納期が延びたり、割増料金が発生したりすることがあるため、余裕を持ったスケジュールで依頼するのが得策です。

秘密保持契約(発注者側)にかかるコスト

見落とされがちですが、翻訳を依頼する側もまた、翻訳会社や翻訳者との間でNDAを締結することがあります。契約書のひな形作成や、締結にかかる事務コストは料金に含まれない場合が多いため、あらかじめ確認しておきましょう。

失敗しないNDA翻訳の依頼先の選び方

依頼先を選ぶ際、価格の安さだけで決めてしまうと、後悔につながることがあります。以下のポイントを押さえて比較検討することをおすすめします。

法務・契約書翻訳の実績があるか

一般的なビジネス文書の翻訳実績は豊富でも、契約書翻訳の経験が少ない翻訳者や翻訳会社もあります。過去の実績や得意分野を必ず確認しましょう。契約書特有の言い回し(準拠法、管轄裁判所、免責条項など)を正確に訳せるかどうかは、経験の有無で大きく差が出ます。

法的文書であるNDAの翻訳には、専門的な知識と経験が不可欠です。そのため、翻訳作業は可能な限り法務知識を持つ翻訳者や、契約書に精通した専門家の関与のもとで行うことが望ましいといえます。また、翻訳後には第三者によるチェックを行い、内容の正確性や一貫性を確認することが重要です。 出典: fukudai-trans.jp

情報管理体制が整っているか

NDAという性質上、翻訳を依頼する原稿そのものが機密情報です。翻訳者・翻訳会社側の情報管理体制(データの保管方法、社内でのNDA徹底状況など)を確認することは、価格以上に重要な選定基準になります。

HP等をチェックした結果、もし納得できるような情報の安全対策がとられていない場合は、料金が少しアップしても、社内人材でNDAが徹底されている翻訳会社への発注を検討して下さい。情報の安全性が損なわれてしまうことによって発生する損害は、広範囲に、また長期におよぶケースが少なくありません。 出典: 翻訳会社j.com

見積もりの内訳が明確か

「一式〇円」というざっくりした見積もりではなく、文字数・単価・チェック費用・納期別の料金などが明記されているかを確認しましょう。内訳が不明瞭な見積もりは、後から追加費用が発生するリスクがあります。

業務範囲を事前にすり合わせているか

翻訳のみなのか、契約書としての体裁調整まで含むのか、原文にある専門用語の統一(用語集の作成)まで対応してもらえるのか。依頼前に業務範囲を明確にしておくことで、想定外の追加料金や、成果物の認識違いを防げます。

私自身、初めて外注をお願いしたときのことを今でもよく覚えています。急いでいたこともあり、複数社から見積もりを取る余裕がないまま、一番早く返信をくれた会社にそのまま依頼してしまいました。結果として、納品されたものが想定より簡易なチェックしか経ていないものだったと分かり、改めて別の専門家にレビューを依頼する羽目になったのです。安さや早さだけで判断せず、最初にきちんと業務範囲とチェック体制を確認しておけばよかったと、今でも思い返します。

依頼から納品までの流れ

NDA翻訳を依頼する際の一般的な流れを整理しておきます。

まず、原稿(NDA案)を用意し、複数の依頼先に見積もりを依頼します。この段階で、納期・言語ペア・専門分野の実績などを併せて確認しておくとスムーズです。見積もり内容を比較し、依頼先を決定したら、正式に発注します。

発注後は、翻訳者による翻訳作業、その後にチェッカーによる校正が行われます。フリーランスに直接依頼する場合は、この校正工程を別途依頼するかどうかを事前に決めておく必要があります。納品後は、内容を確認し、疑問点があれば修正を依頼します。多くの場合、納品後1回程度の修正対応は料金に含まれていますが、大幅な修正は追加費用が発生することもあるため、契約前に確認しておきましょう。

一般的な納期の目安

文字数や内容にもよりますが、A4数枚程度のNDAであれば2〜3営業日、詳細な契約書であれば1週間〜10日程度が一般的な目安です。取引先との交渉スケジュールに合わせて、余裕を持って依頼することをおすすめします。

NDA翻訳で注意しておきたいポイント

原文自体の見直しも忘れずに

翻訳を依頼する前に、原文となるNDAの内容そのものに不備がないかを確認しておくことも大切です。翻訳者は原文に忠実に訳すのが仕事であり、原文の法的な不備を指摘する役割までは通常担いません。契約内容そのものに不安がある場合は、翻訳とは別に弁護士等へのリーガルチェックを依頼することも検討しましょう。契約書の内容確認については海外取引で失敗しない!英文契約書のリーガルチェック費用と翻訳相場で費用相場を詳しく解説しています。

用語の統一を意識する

複数の契約書や継続的な取引がある場合、専門用語や固有名詞の訳し方を統一しておくことが重要です。翻訳者・翻訳会社によっては用語集を作成してくれるところもあるため、継続依頼を見込む場合は事前に相談しておくとよいでしょう。

認証翻訳が必要かどうかを確認する

契約内容や取引先の国によっては、翻訳証明書付きの「認証翻訳」が求められる場合があります。通常の翻訳より対応できる翻訳者が限られ、料金も割高になる傾向があるため、事前に取引先へ必要性を確認しておくことをおすすめします。

見積もり比較は最低2〜3社を目安に

1社だけの見積もりで即決するのではなく、最低でも2〜3社から見積もりを取り、料金・納期・実績を比較することをおすすめします。特に初めて依頼する場合は、比較検討する過程で相場観がつかめ、適正価格かどうかの判断がしやすくなります。

業務委託マッチングサービスにおける翻訳依頼の実態

翻訳・ライティング分野の業務委託を仲介するサービスでは、NDA関連文書を含む契約書翻訳の依頼も一定数見られます。翻訳・ライティングレッスンのお仕事では、契約書や社内文書の翻訳から、語学レッスンまで幅広い案件が扱われており、英語・多言語翻訳のお仕事では英語をはじめとした多言語翻訳案件の実態を紹介しています。動画コンテンツの翻訳が必要な場合は映像翻訳・字幕・通訳のお仕事も参考になるでしょう。

翻訳者としての専門性を裏付ける資格としては、JTF翻訳品質認証のような業界団体の認証制度もあります。依頼先を選ぶ際、こうした資格の有無を一つの判断材料にするのも良い方法です。またITシステムの契約書翻訳が絡む場合、Microsoft Azure Fundamentals(AZ-900)のようなクラウド関連の基礎知識を持つ翻訳者であれば、技術的な文脈を踏まえた訳出も期待できます。

翻訳者の年収・単価相場を俯瞰したい場合、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のデータが参考になります。文章を扱う専門職全体の相場感をつかんでおくと、翻訳料金の妥当性を判断する際の目安になるでしょう。また、契約書に関連するシステムのセキュリティ対策が気になる場合はシステム・Webサイトのセキュリティ診断費用|格安プランと本格診断の違いも併せて確認しておくと安心です。

20年この市場を見てきた立場から言えば、契約書翻訳のように専門性が問われる依頼ほど、発注者と受注者の関係が単発で終わらず、継続的な取引に発展しやすい傾向があります。一度、業界特有の言い回しや自社の契約スタイルを理解してくれた翻訳者が見つかると、次回以降の依頼がぐっとスムーズになるからです。単発の値段交渉に時間をかけるより、「この人に任せれば安心」という関係を早い段階で築くことに投資する発注者ほど、長期的には翻訳品質もコストも安定させています。

また、仲介会社を通さずフリーランスへ直接依頼する構造は、発注者・受注者の双方にとって利点があります。中間マージンが発生しない分、同じ予算でより手厚いチェック工程を依頼できたり、受注者側の手取りが厚くなったりするためです。手数料0%で直接つながる仕組みは、単に安いということ以上に、双方が納得できる取引関係を築きやすいという質的な価値を持っていると、現場を見てきた実感として感じています。

NDA翻訳の費用対効果を考える

最後に、費用だけでなく「何を守るための投資か」という視点も持っておきたいところです。NDAは、自社の技術情報や顧客情報、事業計画といった機密情報を守るための契約です。翻訳の精度が甘く、意図しない解釈の余地を残してしまうと、いざというときに契約が機能しない可能性があります。

数万円単位の翻訳費用を惜しんだ結果、機密情報の漏洩や契約トラブルが起きてしまえば、その損失は翻訳費用をはるかに上回るものになりかねません。行政書士など専門家への相談を含めた契約書全般の対応については、行政書士の開業ガイド【2026年版】|費用・集客・年収のリアルでも関連情報を紹介しています。

NDA翻訳の費用は、依頼先や内容によって幅がありますが、相場観を押さえたうえで複数の選択肢を比較すれば、適正な価格で安心できる依頼先を見つけることは十分可能です。焦らず、業務範囲と情報管理体制を確認しながら、納得のいく発注先を選んでいきましょう。

よくある質問

Q. NDA翻訳の費用相場はどれくらいですか?

翻訳会社では1文字あたり15円〜25円程度、フリーランス直接依頼では10円〜18円程度が目安です。文書の長さや専門性によって変動します。

Q. 翻訳会社とフリーランスのどちらに依頼すべきですか?

品質管理体制を重視するなら翻訳会社、費用を抑えたいなら実績のあるフリーランスへの直接依頼が向いています。専門性の確認は必須です。

Q. NDA翻訳の納期はどれくらいかかりますか?

数枚程度のNDAなら2〜3営業日、詳細な契約書であれば1週間〜10日が一般的な目安です。急ぎの場合は特急料金が発生することがあります。

Q. 契約書翻訳を安く依頼する方法はありますか?

仲介会社を挟まずフリーランスへ直接依頼することで、中間マージンを抑えられます。ただし専門性や情報管理体制の確認は怠らないようにしましょう。

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この記事について

@SOHO
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監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月12日最終更新:2026年7月31日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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