クラウドワークス アカウント 複数 2026|複数登録は規約上どうなのかを解説

長谷川 奈津
長谷川 奈津
クラウドワークス アカウント 複数 2026|複数登録は規約上どうなのかを解説

この記事のポイント

  • クラウドワークスでアカウントを複数持てるのか
  • 規約・本人確認・凍結リスクの観点から解説します
  • 複数登録がバレる仕組み

先日、あるWebデザイナーさんから相談を受けました。「ライティングの仕事も受けたいので、デザイン用と文章用でクラウドワークスのアカウントを分けたいんですが、これって大丈夫ですか?」と。結論から言うと、これはやめておいたほうがいい行為です。クラウドワークスは原則として「1人1アカウント」を規約で定めており、複数アカウントの保有は禁止されています。つまり、分野ごとに使い分けたくても、アカウントを増やす方法ではなく別の手段で解決する必要があるんです。これ、知らない人が本当に多いんです。

「クラウドワークス アカウント 複数」と検索しているあなたは、おそらく「もう1つアカウントを作りたい」「すでに2つ持ってしまっているが大丈夫か不安」「分野を分けて活動したい」「過去に退会したのでもう一度登録したい」のいずれかの状況にいるのではないでしょうか。この記事では、複数アカウントが規約上どう扱われるのか、なぜ禁止されているのか、どうやって運営に把握されるのか、そして「複数アカウントを作りたくなる本当の理由」をどう正しく解決するのかまで、契約・法務の視点で丁寧に解説します。法律はあなたの味方ですが、規約違反は確実にあなたの不利になります。だからこそ、ここで正しい知識を身につけておきましょう。

クラウドワークスは「1人1アカウント」が原則

最初に最も大切な結論をお伝えします。クラウドワークスでは、原則として1人の個人が保有できるアカウントは1つだけです。これは利用規約および各種ヘルプページで明示されており、複数のアカウントを使い分けることは認められていません。「業種ごとに分けたい」「個人名義と屋号で分けたい」「以前のアカウントを放置して新しく作り直したい」といった理由があっても、原則は変わりません。

なぜここまで明確に「1人1アカウント」が定められているのか。それは、クラウドソーシングというサービスが「個人の信用」を土台に成り立っているからです。クラウドワークスでは、これまでの受注実績、評価、本人確認の有無といった情報が、発注者が誰に仕事を任せるかを決める判断材料になります。1人が複数のアカウントを持てると、この信用の前提が崩れてしまいます。たとえば低評価がついたアカウントを捨てて、評価ゼロの新しいアカウントで再スタートを切るといったことが横行すれば、評価制度そのものが意味をなさなくなってしまうわけです。

実際、クラウドワークス公式の「みんなのお仕事相談所」でも、複数分野で活動したいユーザーからの質問が繰り返し寄せられています。ある相談では次のように疑問が投げかけられていました。

全く別の分野(例えば動画編集と翻訳など)の仕事をしたいとき、プロフィールなどはどうすればいいでしょうか? クラウドワークスは複数アカウント禁止ですので業種により使い分けることもできないですし、複数のプロフィールを設定することもできません。 ご意見や実際にこのように活動している方の実情があれば教えていただきたいです。

この相談からも分かるように、「分野を分けたいから複数アカウントを持ちたい」というニーズは確かに存在します。しかし、それを叶える手段がアカウントを増やすことではない、というのがクラウドワークスの立場です。つまり、悩みは正当でも、解決方法が規約に合っていないということになります。後半で、この悩みをルールの範囲内でどう解決するかを詳しく説明します。

複数アカウントを持っていると判明した場合、運営の判断によってアカウントが停止・凍結されたり、利用が制限されたりする可能性があります。最悪の場合、すべてのアカウントが利用できなくなり、それまで積み上げた実績や評価、進行中の案件、未受け取りの報酬にまで影響が及ぶことも考えられます。「ちょっとくらいなら」という軽い気持ちが、フリーランスとしての活動基盤そのものを失うリスクにつながるということを、まず頭に入れておいてください。

なぜ複数アカウントは禁止されているのか

「1人1アカウント」というルールは、単なる運営側の都合ではありません。プラットフォーム全体の健全性を守るために必要な仕組みです。ここでは、なぜ複数アカウントが禁止されているのか、その背景にある4つの理由を整理します。理由を理解すれば、「なんとなくダメと言われているから」ではなく、「自分の身を守るためにも守るべきルールだ」と腑に落ちるはずです。

評価・実績の信頼性を守るため

クラウドソーシングの最大の特徴は、顔の見えない相手とインターネット上で取引をする点です。発注者は、相手の過去の評価や受注実績を見て「この人なら任せられる」と判断します。もし1人が複数アカウントを持てるなら、評価の低いアカウントを捨てて新しいアカウントで再出発したり、自作自演で評価を水増ししたりすることが可能になってしまいます。

つまり、複数アカウントを許してしまうと、評価という仕組みそのものが信用できなくなるんです。これは真面目に活動している大多数の利用者にとって大きな不利益です。低評価を1つもらったからといってアカウントを作り直せるとなれば、誠実に取引を重ねてきた人の積み上げが正当に評価されなくなります。だからこそ、運営は「1人1アカウント」を強く徹底しているわけです。

不正・トラブルの追跡可能性を確保するため

万が一トラブルが起きたとき、運営が問題のあるユーザーを特定し、適切に対処できる状態を保つことも重要です。1人が複数アカウントを自由に作れると、トラブルを起こしたユーザーが別アカウントに逃げてしまい、被害が拡大する恐れがあります。1人1アカウントを徹底することで、問題行為の追跡や再発防止がしやすくなります。これは、あなた自身がトラブルの被害者になったときに、相手をきちんと特定してもらえるという意味でもあるんです。

本人確認制度との整合性を保つため

クラウドワークスには本人確認制度があり、運転免許証やマイナンバーカードなどの公的書類で本人であることを証明できます。本人確認済みのアカウントは発注者から見て信頼度が高く、応募できる仕事の幅も広がります。1人で複数アカウントを持てると、この本人確認制度の意味が薄れてしまいます。1つの身分証明で複数のアカウントが作れてしまえば、「1人の本人を確認した」という制度の前提が成り立たなくなるからです。

報酬の不正受領や悪用を防ぐため

過去には、発注者が複数アカウントを悪用するケースも報告されています。たとえば、募集アカウントと報酬支払いアカウントを意図的に分けて、トラブル時の責任を曖昧にしようとする手口です。こうした悪用は受注者にとって非常に危険で、報酬の未払いや個人情報の悪用につながりかねません。実際に、こうした複数アカウントの悪用に遭遇した経験を語る発信者もいます。

この画像は同一クライアントによる複数アカウントです。オレンジとグリーンの部分はアカウント名なのですが、名前が微妙に違っています。また、下段にはっきりと複アカを匂わせる文章がかかれています(実際は支払用のURLが記載されている)。これは実際に遭遇したことがある方がいるのではないでしょうか。特別な場合を除き、どなた様も1人1アカウントです。よって、このように募集と支払いアカウントが別れていると明確にわかる場合は、判明した時点で辞退しましょう。

つまり、複数アカウントの禁止は受注者を守るルールでもあるんです。募集と支払いのアカウントが分かれているような不自然な案件に遭遇したら、それは複数アカウント悪用のサインかもしれません。そういうときは無理に進めず、辞退するのが賢明です。※明らかな詐欺被害が疑われる場合は、運営への通報とあわせて、消費生活センターや弁護士への相談も検討してください。

複数アカウントはどうやってバレるのか

「分けて使えばバレないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、現実はそう甘くありません。クラウドソーシングのプラットフォームは、不正検知の仕組みを年々高度化させています。ここでは、複数アカウントが運営に把握される主な経路を解説します。

まず、最も基本的なのが登録情報の重複です。同じメールアドレス、電話番号、氏名、住所、銀行口座などは、複数アカウントで使い回すことができません。特に報酬の振込先となる銀行口座は重要で、同一名義の口座が複数アカウントに紐づいていれば、同一人物であると容易に推測されます。本人確認書類も同様で、同じ運転免許証やマイナンバーカードで複数のアカウントを本人確認することはできません。

次に、技術的な検知です。アクセス時のIPアドレス、利用している端末の情報、ブラウザの環境情報(いわゆるフィンガープリント)などから、同一人物が複数アカウントを操作していることが推測されます。同じWi-Fi、同じパソコン、同じスマートフォンから複数アカウントにログインしていれば、システム的に紐づけられる可能性が高いということです。

さらに見落とされがちなのが、行動パターンや文章の特徴です。提案文の書き方、プロフィールの言い回し、活動時間帯、応募する案件の傾向などには、その人固有のクセが表れます。運営は通報をきっかけに調査を行うこともあり、発注者や他の受注者からの「この2つのアカウント、同じ人では?」という指摘が端緒になることも少なくありません。

つまり、複数アカウントを完全に隠し通すのは、技術的にも運用的にも極めて困難です。たとえ短期間バレなかったとしても、いずれ何かのきっかけで判明するリスクを抱え続けることになります。そのリスクと引き換えに得られるメリットは、後述する代替手段で十分に達成できるものばかりです。わざわざ規約違反の橋を渡る必要はない、というのが私の率直な意見です。

本人確認と複数アカウントの関係

複数アカウントの話をするとき、避けて通れないのが本人確認の問題です。クラウドワークスの本人確認は、公的な身分証明書を提出して「この人は確かに実在する本人だ」と運営に確認してもらう手続きです。この本人確認には、1人につき1回しか使えないという重要な性質があります。

つまり、同じ人物が2つ目のアカウントを作って本人確認をしようとしても、すでに別アカウントで使われた身分証明書では通らない、ということです。本人確認の段階で「この書類はすでに別のアカウントで使用されています」といった形で否認されるケースが報告されています。本人確認は複数アカウント検知の関門としても機能しているわけです。

ここで注意したいのが、本人確認が否認されたときの対応です。本人確認の否認には、書類の不備や撮影の不鮮明さといった単純な理由もあれば、複数アカウントが疑われているケースもあります。自分では1つしかアカウントを持っていないつもりでも、過去に作って忘れているアカウントや、家族が同じ環境で登録したアカウントが影響している可能性も考えられます。否認理由が分からないまま何度も申請を繰り返すと、かえって不審なアカウントとして扱われかねません。

もし本人確認が繰り返し否認される場合は、自己判断で再申請を重ねるのではなく、運営のサポート窓口に事情を説明して問い合わせるのが正しい手順です。「なぜ否認されたのか」「自分のアカウントに過去の重複がないか」を確認したうえで、適切に対処しましょう。※本人確認に関わる個人情報のやり取りはセンシティブなので、正規のサポート窓口以外に身分証明書の画像を送るような行為は絶対に避けてください。

家族でクラウドワークスを使いたいというケースも、実はよく相談を受けます。たとえば夫婦それぞれが別々に仕事を受けたい場合です。この場合は、それぞれが別の人物として、別々の氏名・本人確認書類で登録する分には問題ありません。ただし、同じ端末・同じ回線を使うと技術的に同一人物と誤検知される可能性があるため、可能であれば端末やアカウント環境を分けておくと安心です。あくまで「1人につき1アカウント」であって、「1世帯1アカウント」ではない、という点は押さえておきましょう。

退会・再登録は「複数アカウント」になるのか

検索ユーザーの中には、「以前クラウドワークスを使っていたけれど退会した。もう一度登録したいが、これは複数アカウント扱いになるのか?」という疑問を持つ方もいます。結論として、過去のアカウントを正式に退会(解約)したうえで、新たに1つだけアカウントを作り直すのであれば、それは複数アカウントの同時保有には当たりません。あくまで同時に複数を保有することが禁止なのであって、退会して1つにする運用が直ちに違反になるわけではありません。

ただし、ここにはいくつか注意点があります。まず、退会したつもりでもアカウントが完全に削除されていなかったり、利用停止状態のまま残っていたりすると、新規登録時に重複と判定される可能性があります。退会手続きが正しく完了しているかを確認することが大切です。また、進行中の契約や未受け取りの報酬、未払いの債務がある状態では退会できないのが一般的です。すべての取引をクリーンに完了させてから退会する、という順序を守りましょう。

もう1つ重要なのが、過去にアカウントを凍結・停止された人が新しいアカウントを作るケースです。これは退会・再登録とは話がまったく異なります。規約違反でアカウントを停止された人が、別の情報で新しいアカウントを作る行為は、運営から見れば明確な「逃げ」であり、実質的な複数アカウント・不正利用とみなされます。発見されればその新アカウントも停止される可能性が高いです。一度ルール違反で止められたなら、新規作成ではなく、正規のサポート窓口を通じて状況を説明し、復旧の可否を確認するのが筋です。

つまり、「退会して作り直す」のと「止められたから別の名義で作り直す」のは、似て非なる行為だということです。前者はルールの範囲内ですが、後者は規約違反のリスクが極めて高い。この違いをしっかり理解しておいてください。

分野ごとに活動を分けたいときの正しい方法

ここまで読んで、「複数アカウントはダメなのは分かった。でも、デザインと翻訳のように全く違う分野で活動したい場合はどうすればいいの?」という疑問が残っている方も多いでしょう。これは非常に正当な悩みです。複数アカウントを作りたくなる動機の多くが、実はこの「分野の使い分け」にあります。アカウントを増やさずにこの悩みを解決する方法を、具体的に紹介します。

1つのプロフィールで複数分野を表現する

まず大前提として、クラウドワークスの1アカウントでも、複数の分野で活動すること自体は何ら禁止されていません。プロフィール文の中で「Webデザインとライティングの両方に対応しています」と明記し、それぞれの実績を整理して掲載すればよいのです。むしろ複数のスキルを持っていることは強みになります。発注者から見れば「デザインも文章も任せられる」というのは、ワンストップで依頼できる魅力的なポイントになり得ます。

プロフィールを整理するコツは、冒頭に「対応できる業務の一覧」を箇条書きで明示し、その下に分野ごとの実績やポートフォリオへのリンクをまとめることです。応募する案件に合わせて、提案文の中で関連する実績を重点的にアピールすれば、1アカウントでも分野の使い分けは十分に可能です。つまり、アカウントを分けなくても、見せ方を工夫すれば目的は達成できるんです。クラウドワークス公式のヘルプでも、複数分野で活動する際のプロフィールの考え方が案内されています。

スキル・実績の整理で専門性を伝える

「分野を混ぜると、どっちつかずの印象になるのでは?」という心配もあるかもしれません。確かに、雑然と何でも書いてあるプロフィールは専門性が薄く見えます。そこで大切なのが情報の構造化です。主力分野を1つ決めて最初に強く打ち出し、サブ分野は「こちらも対応可能」という位置づけで補足する。この優先順位づけをするだけで、印象は大きく変わります。

具体的な単価感を知っておくことも、分野ごとの戦略を立てるうえで役立ちます。たとえば文章系の仕事の相場を把握したいなら、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のような年収データベースで職種ごとの相場観をつかんでおくとよいでしょう。エンジニア系の分野も視野に入れているなら、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で開発系の単価相場を確認できます。こうした客観的なデータをもとに、どの分野を主力に据えるかを判断すると、プロフィール設計に説得力が出ます。

複数のプラットフォームを併用する

それでもどうしても活動を明確に分けたい場合の、最も健全な選択肢が「複数のプラットフォームの併用」です。クラウドワークス内で複数アカウントを作ることは禁止ですが、クラウドワークスと他のクラウドソーシングサービスを並行して使うことは、各サービスの規約に反しない限り問題ありません。たとえばデザイン案件はAサービス、ライティング案件はBサービスで受ける、という分け方です。

この方法なら、規約違反のリスクを一切負わずに、分野ごとの実績やプロフィールを別々に育てることができます。複数のフリーランスサービスをどう使い分けるかについては、複数のフリーランスを使い分けるプロジェクト管理術で、案件管理や請求の整理の考え方を解説しています。プラットフォームをまたいで活動する場合は、案件の進捗や報酬を一元管理する仕組みが大切になるので、参考にしてください。

なお、各サービスで仕事を受ける場合は、確定申告などの税務面でも収入を合算して管理する必要があります。複数の収入源を持つ場合の所得計算については、国税庁の公式情報(国税庁)で最新の取り扱いを確認しておくと安心です。会計ソフトを使えば、複数プラットフォームの収入をまとめて管理できるので、活動規模が大きくなってきたら導入を検討するのもよいでしょう。

手数料という観点から見た複数アカウントのデメリット

複数アカウントの議論をするとき、見落とされがちなのが「手数料」の視点です。クラウドソーシングのサービスでは、報酬から一定割合のシステム手数料が差し引かれるのが一般的です。クラウドワークスの場合、契約金額に応じて段階的に手数料が設定されており、報酬額が大きくなるほど手数料率が下がる仕組みになっています。

ここで複数アカウントを持つことのデメリットが効いてきます。仮に複数アカウントに案件を分散させると、それぞれのアカウントで報酬が細切れになり、手数料率が高い区分のまま積み重なってしまう可能性があるんです。つまり、1つのアカウントに実績を集約したほうが、結果的に手数料の面でも有利になることが多い。複数アカウントは、信用面だけでなくコスト面でもメリットがないということです。

この手数料の話は、フリーランスの手取りを大きく左右します。たとえば20%の手数料がかかるサービスで10万円の仕事を受けると、手元に残るのは8万円です。年間を通じて見れば、この差は決して小さくありません。だからこそ、手数料率は仲介サービスを選ぶ際の重要な判断材料になります。

近年は、こうした手数料の負担を軽減する方向のサービスも登場しています。たとえば、受注者側のシステム手数料を手数料0%に設定している在宅ワーク仲介サイトもあり、手取りを最大化したいフリーランスから注目されています。複数アカウントで手数料区分を分散させてしまうより、手数料設計そのものが有利なプラットフォームを選ぶほうが、はるかに合理的です。複数アカウントを検討する前に、まず「今使っているサービスの手数料は適正か」を見直してみることをおすすめします。

仕事の幅を広げたいと考えているなら、成長分野の案件に目を向けるのも一つの手です。たとえばAIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業のAI導入を支援する業務委託案件が増えています。またAI・マーケティング・セキュリティのお仕事のように、複数の専門領域をかけ合わせた案件も需要が高まっています。開発系のスキルがあるならアプリケーション開発のお仕事も選択肢に入るでしょう。こうした成長分野の案件を1つのアカウントに集約していくほうが、複数アカウントで活動を分散させるよりもはるかに効率的です。

規約違反のペナルティと法的な観点

ここからは、私の専門である契約・法務の観点から、複数アカウント保有がもたらすリスクをもう少し踏み込んで説明します。クラウドソーシングサービスの利用規約は、利用者とプラットフォーム運営会社との間の「契約」です。アカウント登録時に「利用規約に同意する」にチェックを入れた時点で、あなたはこの契約に拘束されています。これ、知らない人が本当に多いんです。

つまり、複数アカウントの禁止は単なるお願いではなく、契約上の義務だということです。これに違反した場合、運営はアカウントの利用停止や強制退会といった措置を、規約に基づいて取ることができます。これらの措置は、規約に定められた範囲内で運営が判断するもので、利用者側が「そんなのは知らなかった」と主張しても覆すのは容易ではありません。だからこそ、登録時に規約をきちんと読んでおくことが、自分を守る第一歩になります。

さらに深刻なのが、複数アカウントを使って他人を欺く行為が絡む場合です。たとえば、評価を不正に操作したり、なりすましをしたり、報酬を不正に受け取ったりする行為は、規約違反にとどまらず、状況によっては民事上の損害賠償責任や、詐欺罪などの刑事責任が問われる可能性もゼロではありません。「アカウントを分けただけ」のつもりが、結果的に重大な法的問題に発展するケースもあるんです。※こうした深刻なトラブルに巻き込まれた、あるいは巻き込まれそうな場合は、早めに弁護士に相談することを強くおすすめします。

一方で、知っておいてほしいのは、フリーランスを守る法律も整備が進んでいるということです。2024年に施行されたフリーランス保護新法では、発注者に対して取引条件の明示や報酬の支払期日などのルールが課されています。発注者が複数アカウントを悪用して責任逃れをしようとするような行為は、こうした保護の枠組みからも問題視され得ます。つまり、ルールを守って正々堂々と活動しているフリーランスには、法律という後ろ盾があるということです。フリーランス保護新法の詳細は、所管する公正取引委員会の情報(公正取引委員会)や厚生労働省の情報(厚生労働省)で確認できます。

法律はあなたの味方です。だからこそ、わざわざ規約違反というリスクを背負って複数アカウントを作るのではなく、ルールの範囲内で堂々と活動の幅を広げていくのが、長く安心して働き続けるための最善の道だと私は考えています。

スキルアップで「アカウントを増やしたい衝動」を解消する

最後に、少し視点を変えた提案をさせてください。複数アカウントを作りたくなる根本には、「今のアカウントでは思うように仕事が取れない」「新しい分野に挑戦したいが実績がない」といった焦りがあることも多いように感じます。だとすれば、本当に解決すべきはアカウントの数ではなく、自分のスキルや実績の見せ方なのかもしれません。

新しい分野に挑戦したいなら、まずはその分野の基礎的な資格やスキルを身につけ、プロフィールで証明できる状態を作るのが近道です。たとえばビジネス文書の作成スキルを示したいならビジネス文書検定のような資格が、提案文や納品物の質の証明として役立ちます。IT・ネットワーク分野に進みたいならCCNA(シスコ技術者認定)のような技術者認定が、専門性のアピールになります。こうした資格を1つのプロフィールに積み上げていけば、「分野ごとにアカウントを分けたい」という発想そのものが不要になっていきます。

発注者の立場で考えてみても、外注先を選ぶときは「実績と信頼の集約されたプロフィール」を見たいものです。実際、Webサイト制作を外注する際の費用や発注のコツをまとめたWebサイト制作の外注費用相場|失敗しない発注のコツ【2026年版】でも触れているように、発注者は「この人に任せて大丈夫か」という信頼性を重視します。分散した複数アカウントよりも、実績が一本に集約されたアカウントのほうが、発注者からの信頼を得やすいのは明らかです。社内で作るか外注するかを比較する社内で作るvs外注|Webサイト制作のコスト比較シミュレーションのような発注者視点の記事を読むと、「選ばれるフリーランス」がどう見られているかが分かり、プロフィール設計のヒントにもなります。

つまり、アカウントを増やすエネルギーを、スキルアップとプロフィールの磨き込みに振り向けたほうが、はるかに大きなリターンが得られるということです。複数アカウントは、信用面・コスト面・法務面のいずれを取ってもメリットが乏しく、リスクばかりが大きい選択です。一方で、1つのアカウントを丁寧に育てる努力は、確実にあなたの活動基盤を強くしてくれます。

「分けたい」という気持ちの裏にある本当の課題、つまり「もっと幅広く、もっと有利に仕事をしたい」という願いは、規約を守ったうえで十分に叶えられます。手数料の有利なプラットフォームを選ぶ、複数のサービスを正しく併用する、スキルと実績を1つのプロフィールに集約する。この3つを実践すれば、複数アカウントに頼る必要はありません。ルールを味方につけて、安心して長く活動できる土台を一緒に作っていきましょう。法律も、正しいルールも、誠実に働くあなたの味方なんです。

よくある質問

Q. クライアント用とワーカー用でアカウントを分けることはできますか?

クラウドワークスでは、1つのアカウントで「受注者(ワーカー)」と「発注者(クライアント)」の両方の機能を使い分けられる仕様になっています。そのため、役割ごとにアカウントを分ける必要はなく、むしろ規約違反として全てのIDが凍結されるリスクが生じます。プロフィール画面から簡単にモードを切り替えられるため、必ず同一のアカウント内で両方の活動を行うようにしてください。

Q. 過去に登録したのを忘れて重複登録してしまった場合、バレるのでしょうか?

本人確認の申請時や振込口座の登録時に、氏名・住所・生年月日などの情報が照合されるため、重複登録は高確率で発覚します。規約違反とみなされると、悪意がなくても無期限の利用停止処分を受ける可能性があり、それまで貯めた実績や未出金の報酬も失いかねません。もし過去の登録に心当たりがある場合は、新たな登録を進める前に運営事務局へ相談し、古いアカウントの処理を依頼しましょう。

Q. 心機一転したいので、今のIDを退会してすぐに作り直しても大丈夫ですか?

退会後の再登録は認められていますが、退会してすぐに新しいアカウントを作る行為を繰り返すと、規約違反や不正利用を疑われる対象となります。また、過去に獲得した評価や受注実績、ポートフォリオなどは一切引き継がれず、ゼロからのスタートになる点も大きなデメリットです。基本的には今のアカウントを継続して使い、名前やプロフィールの変更で対応できないか検討することをおすすめします。

Q. 専門分野(ライターとエンジニア等)ごとに実績を分けたい時はどうすればいいですか?

複数の専門分野を持っている場合でも、アカウントを分けるのではなく、1つのプロフィール内で「対応可能な業務」を整理して記載するのが正解です。クラウドワークスにはスキルごとに経歴を詳しく書ける項目があり、自己紹介文を工夫することで「ライター兼エンジニア」といった多才なアピールも可能です。一つのアカウントに実績を集約させたほうが、クライアントからの信頼(総合評価)が高まり、高単価案件の獲得にも繋がります。

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長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津

行政書士・元企業法務

企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

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