多言語版会社案内・IR資料翻訳の費用|投資家向け英訳の料金相場 2026


この記事のポイント
- ✓IR資料の英訳費用はいくらかかるのか
- ✓決算短信や招集通知の翻訳単価
- ✓翻訳会社とフリーランス直接依頼の料金差
IR資料の英訳費用は、依頼先や書類の種類によって大きく変わります。決算短信や株主総会招集通知を英訳する場合、和文英訳は1文字あたり10円前後、英文和訳は1ワードあたり15円前後が一つの目安になります。ただし、これはあくまで翻訳者への直接発注の単価で、間に代理店やコーディネーターが入ると料金は跳ね上がります。この記事では、IR資料の英訳費用の相場、料金の内訳、失敗しない発注先の選び方を、データをもとに整理します。
IR資料の英訳を取り巻く市場の現状
東京証券取引所プライム市場では、2025年4月1日以降に開示する重要な適時開示情報について、日本語と英語の同時開示が義務化されました。これまで任意対応だった英文開示が、プライム上場企業にとって実質的な義務に変わったということです。
プライム市場に上場するすべての企業に対し、重要な開示情報について、2025年4月1日以降に開示するものから日本語と英語の同時開示を義務化することが発表されました。また、上場維持基準を満たしていない企業でも新市場に留まることのできた経過措置が同じく2025年3月より順次終了することもあり、今後開示資料の英訳に本格的に乗り出す企業が増加することは間違いありません。 出典: honyakuctr.com
この制度変更を受けて、決算短信、有価証券報告書、株主総会招集通知、決算説明資料、統合報告書といった多様なIR文書を英訳する需要が急増しています。これまでIR英訳は一部の大企業だけが取り組む特別な業務というイメージがありましたが、プライム上場企業であれば規模を問わず対応が必須になったというのが実態です。
一方で、経営企画部やIR部門の担当者からすれば、これは新たな予算項目の発生を意味します。「どこに、いくらで頼めばよいのか」という判断を、多くの企業が初めて経験することになります。正直なところ、この制度対応の駆け込み需要で翻訳会社の見積もりが高止まりしている面は否めません。相場を知らずに最初に提示された金額をそのまま受け入れてしまうと、必要以上のコストを払い続けることになります。
IR資料英訳の料金相場
IR資料の英訳費用は、大きく分けて「翻訳会社に依頼する場合」と「フリーランス翻訳者に直接依頼する場合」で構造が異なります。
翻訳会社に依頼する場合の料金相場
大手翻訳会社にIR資料の英訳を依頼する場合、和文英訳で1文字あたり15円〜25円程度が相場です。専門性の高いIR用語や財務用語を扱うため、一般的なビジネス文書の翻訳(10円〜18円程度)よりも単価が高めに設定されている会社が多い傾向があります。
決算短信1本(A4で10ページ程度、日本語で4,000〜6,000文字程度)を英訳する場合、翻訳会社経由では10万円〜20万円程度の見積もりになることが一般的です。株主総会招集通知のように定型的な内容であっても、法務・財務のダブルチェック体制を含めた料金体系のため、決して安くはありません。
翻訳会社の料金には、以下のような費用が含まれています。
・翻訳者(専門知識を持つ人材)の人件費 ・チェッカーによる二重チェック費用 ・プロジェクトマネジメント費用 ・機密保持体制の維持コスト ・営業・コーディネーターの人件費
これらはすべて必要なコストですが、裏を返せば、翻訳作業そのものの対価以外の費用が料金に上乗せされているということでもあります。
トライアル通過率の実態
大手翻訳会社が高単価を維持できる背景には、翻訳者の選考基準の厳しさがあります。
突破率わずか5%のトライアル(翻訳者応募時の翻訳テスト)を通過した専門知識を有する翻訳者が翻訳を担当し、さらに別のチェッカーが確認することで、企業経営やIR用語、数字、企業理念など高度に専門的なIR資料の内容を正確に翻訳します。 出典: arc-c.jp
トライアル通過率5%という数字は、翻訳会社側の品質管理体制の高さを示す一方で、その厳選プロセス自体が料金に転嫁されている面もあります。品質を担保する仕組みは重要ですが、発注者としては「その品質管理コストをどこまで自社が負担する必要があるか」を冷静に見極める視点も必要です。
フリーランス翻訳者に直接依頼する場合の料金相場
フリーランスの翻訳者にネット経由で直接発注する場合、料金体系はよりシンプルです。
ネットから翻訳者に直接発注していただく場合は、株主総会招集通知、議事録、決算説明資料など翻訳する書類の種類にかかわらず、和文英訳は10円/文字、英文和訳は15円/wordです。トランスマートのコーディネーターが間に入って完全サポートする場合は、下記基本単価とは異なりますので、お問い合わせ時のお見積りでご確認ください。一般的な翻訳会社に依頼した場合の翻訳料金と比較したい方は、「英語の翻訳料金相場」のページもあわせてご覧ください。 出典: jp.trans-mart.net
この単価を見ると分かる通り、フリーランス翻訳者への直接発注は和文英訳で1文字あたり10円前後が基準になっています。翻訳会社経由の相場(15円〜25円)と比較すると、単価だけで見ても数割安いことが分かります。
さらに、コーディネーターが間に入る仲介型のサービスでは、この基本単価に加えて仲介手数料が上乗せされます。つまり同じ「フリーランス翻訳者に依頼する」という選択でも、間に何社を挟むかによって最終的な支払い額は大きく変わるということです。
料金差が生まれる理由:仲介マージンの構造
なぜ同じ翻訳作業でも、依頼先によって料金が2倍近く変わるのでしょうか。答えは単純で、間に入る事業者の数と、それぞれが取る手数料の分だけ料金が積み上がっていくからです。
一般的な翻訳の発注ルートは、次の3パターンに分類できます。
・パターン1:翻訳会社に直接依頼(会社の営業・コーディネーターが窓口) ・パターン2:仲介プラットフォーム経由でフリーランス翻訳者に依頼(コーディネーターが間に入る) ・パターン3:フリーランス翻訳者に直接依頼(仲介者なし)
パターン1とパターン2では、翻訳者本人が受け取る単価とは別に、会社やプラットフォームの取り分が発生します。一般的な仲介型サービスの手数料率は20%〜30%程度が相場とされており、依頼者が支払う金額のうち、その分は翻訳者の作業対価ではなく仲介コストに充てられます。
パターン3のように、フリーランスの翻訳者へ手数料0%で直接依頼できる仕組みを使えば、この仲介マージンがまるごと発生しません。同じ予算であれば、より経験豊富な翻訳者に依頼できますし、同じ翻訳者に依頼するなら、支払い総額を抑えられます。これは訴求のための誇張ではなく、単純な手数料構造の違いから生まれる差です。
もちろん、仲介事業者にはプロジェクトマネジメントや品質保証といった付加価値があります。大量の文書を短納期で処理する必要がある場合や、複数言語への同時展開が必要な場合は、コーディネーターが間に入ることで進行管理の負担が軽くなるというメリットは確かにあります。ただし、決算短信や招集通知のような定型性の高い文書を、信頼できる翻訳者に継続的に依頼する関係を築けているのであれば、仲介コストを払い続ける必然性は薄れていきます。
IR資料の種類別・英訳費用の目安
IR資料と一口に言っても、文書の種類によって分量も専門性も異なります。代表的な文書ごとの費用目安を整理します。
決算短信
決算短信は四半期ごとに開示される定型文書で、分量は日本語で4,000〜6,000文字程度が一般的です。数字と定型表現が多いため、翻訳作業自体は比較的効率化しやすい部類に入ります。フリーランス直接依頼であれば4万円〜6万円程度、翻訳会社経由であれば8万円〜15万円程度が目安です。
株主総会招集通知
招集通知は法務的な正確性が特に重視される文書です。分量は企業規模によって差があり、5,000〜10,000文字程度が一般的です。法律用語の正確な訳出が求められるため、単価は決算短信よりやや高めになる傾向があります。フリーランス直接依頼で6万円〜10万円程度、翻訳会社経由で12万円〜20万円程度が目安です。
決算説明資料(投資家向けプレゼン資料)
決算説明資料はパワーポイント形式で作成されることが多く、図表やグラフのレイアウトを保ったまま翻訳する必要があります。文字数だけでなく、デザイン修正の工数も加味した見積もりになるのが特徴です。20〜30ページ程度の資料で、フリーランス直接依頼で8万円〜15万円程度、翻訳会社経由で15万円〜30万円程度が目安になります。
統合報告書・サステナビリティレポート
統合報告書は分量が数十ページに及ぶことが多く、経営戦略やESGに関する専門的な内容も含まれます。文書全体の英訳となると、フリーランス直接依頼でも30万円〜80万円程度、翻訳会社経由では50万円〜150万円以上になることも珍しくありません。分量が多い分、依頼先による料金差の絶対額も大きくなります。
IR資料英訳の依頼先を選ぶポイント
IR資料の英訳は、一般的なビジネス文書の翻訳とは異なる注意点があります。ここでは発注者が依頼先を選ぶ際に確認すべきポイントを整理します。
ポイント1:財務・IR分野の実務経験があるか
IR資料には、会計基準特有の用語や、投資家向けに定着した定型表現が数多く登場します。単に英語力が高いだけでなく、財務諸表や有価証券報告書の翻訳経験があるかどうかを確認することが重要です。過去の翻訳実績や得意分野を事前にヒアリングし、金融・IR分野の案件経験があるかを確認しましょう。
ポイント2:機密保持体制が整っているか
IR資料は未公開の決算情報を含むため、情報漏洩は絶対に避けなければなりません。翻訳会社であれば秘密保持契約(NDA)の締結が標準的ですが、フリーランス翻訳者に依頼する場合も、必ずNDAを締結してから資料を渡すべきです。データの受け渡し方法(暗号化の有無、共有フォルダのアクセス権限管理など)も事前に確認しておくと安心です。
ポイント3:同時開示のスケジュールに対応できる納期か
プライム市場の同時開示義務化により、決算短信などの英訳は日本語版の開示と同時、あるいは近い時期に完了させる必要があります。決算発表のスケジュールは事前に決まっているため、逆算して余裕を持った発注が必要です。繁忙期(四半期決算のタイミング)は翻訳者のスケジュールが埋まりやすいため、早めの依頼が納期遵守の鍵になります。
ポイント4:見積もりの内訳が明確か
見積もりを比較する際は、総額だけでなく内訳を確認することが重要です。文字単価、チェック費用、レイアウト調整費用、緊急対応の割増料金などが、どのように積算されているかを確認しましょう。内訳が不透明な見積もりは、後から追加費用を請求されるリスクがあります。
発注方法:見積もり比較で失敗しないために
私自身、以前に別のプロジェクトで会社案内の英訳を外注した際、見積もりの比較で苦い経験をしたことがあります。最初に依頼した翻訳会社の見積もりが高いと感じ、価格だけを基準にもう一社に切り替えたのですが、その会社は文字単価こそ安かったものの、チェック工程が別料金になっており、結果的に総額はほとんど変わりませんでした。見積もりを比較するときは、単価の安さだけでなく、何が料金に含まれているかまで確認しないと、正しい比較にならないという教訓を得ました。
IR資料の英訳を発注する際の基本的な流れは、以下のようになります。
- 翻訳対象の文書と分量を確定させる(決算短信のみか、招集通知も含むかなど)
- 複数の依頼先から見積もりを取り、内訳を比較する
- 過去の翻訳実績・得意分野を確認する
- NDAを締結し、機密保持体制を確認する
- 納期とスケジュールをすり合わせる
- トライアル翻訳(短い抜粋の試訳)で品質を確認する
- 本発注し、進捗を確認しながら納品を受ける
特に重要なのがトライアル翻訳です。数百字程度の短い抜粋を試訳してもらうことで、専門用語の訳出精度や文体の相性を、本発注前に確認できます。IR資料は一度英訳した表現が今後の開示文書の基準になるため、最初の依頼先選びを慎重に行う価値は十分にあります。
英訳のみで済ませるか、デザイン修正まで依頼するか
決算説明資料のようにパワーポイント形式の資料を英訳する場合、テキストだけを英訳しても、英語は日本語より文字数が長くなる傾向があるため、レイアウトが崩れることがあります。
英語翻訳からデザイン修正までをワンストップで依頼できるサービスもありますが、その分料金は上乗せされます。デザイン調整が必要な場合は、翻訳費用とは別に、1スライドあたり数百円〜1,000円程度のレイアウト調整費用が発生するケースが一般的です。発注前に「テキストの英訳のみ」か「レイアウト込み」かを明確にしておくことで、想定外の追加費用を避けられます。
独自データから見えるIR資料英訳の発注実態
在宅ワーク・フリーランス業務委託のマッチングを行う仕事案内から見えてくるのは、IR資料の英訳依頼が単発で終わらず、継続的な関係に発展しやすいという傾向です。決算短信は四半期ごとに発生する定型業務であるため、一度信頼できる翻訳者と関係を築けば、その後は用語集やスタイルガイドを共有しながら、毎回スムーズに依頼できるようになります。
著述家、記者、編集者の年収・単価相場を見ても分かる通り、翻訳・編集分野の単価は経験とスキルによって幅があります。IR資料のような専門性の高い分野を継続的に依頼できる翻訳者を見つけることは、発注者側にとっても長期的なコスト最適化につながります。
継続依頼を前提にするなら、アプリケーション開発のお仕事のように専門スキルを要する業務委託の探し方と同様に、初回は複数の候補者を比較検討し、実績とコミュニケーションの相性を見極めることが重要です。IR資料は法務・財務の正確性が問われる分、専門知識を持つ人材との継続的な関係構築が特に効果を発揮する分野だと言えます。
20年間フリーランス・在宅ワーク市場を見てきた運営者の視点から言えば、専門性の高い翻訳業務ほど、単発の値切り交渉よりも、継続的に任せられる相手を見つけることの方が結果的にコストパフォーマンスが高くなる傾向があります。毎回異なる翻訳者に依頼していると、その都度、専門用語の確認や文体のすり合わせに時間がかかり、見えないコストが積み上がっていきます。一方で、同じ翻訳者に継続して依頼できれば、過去の翻訳を参照しながら一貫性のある英訳が仕上がり、確認作業の手間も減っていきます。
中間マージンが乗らない直接取引の構造は、この継続関係とも相性が良い点です。仲介会社を通す場合、担当翻訳者が変わることがありますが、直接契約であれば同じ翻訳者と長期的な関係を築きやすくなります。同じ予算で依頼者はより多くの分量を任せられ、翻訳者側も継続案件として安定した収入を得られる。中間マージンがない分、双方にとって手取りが厚くなる構造は、抽象的な理屈ではなく、実際に市場で長く続く発注関係に共通して見られる特徴です。
まとめに代えて:予算感を持って発注先を選ぶ
IR資料の英訳費用は、翻訳会社経由であれば決算短信1本で10万円〜20万円程度、フリーランス直接依頼であれば4万円〜6万円程度と、依頼先によって数倍の開きがあります。プライム市場の同時開示義務化により、今後この費用は多くの企業にとって恒常的な予算項目になっていきます。だからこそ、単価の相場観を持ち、仲介マージンの構造を理解した上で、自社に合った発注先を選ぶことが、長期的なコスト管理の鍵になります。
翻訳会社の手厚いサポート体制が必要な場面もあれば、継続的に依頼できる信頼できる翻訳者を見つけて直接契約する方が合理的な場面もあります。どちらが正解ということではなく、自社の予算・納期・分量・機密性の要件を踏まえて、最適な組み合わせを見極めることが大切です。
よくある質問
Q. IR資料の英訳費用は誰が相場を決めているのですか?
明確な公定価格はなく、翻訳会社やフリーランス翻訳者が個別に単価を設定しています。目安として和文英訳は1文字10円〜25円程度、依頼先の仲介構造によって差が生まれます。
Q. フリーランス翻訳者に直接依頼するのは信頼性の面で不安があります。大丈夫でしょうか?
過去の翻訳実績を確認し、NDAを締結した上でトライアル翻訳を依頼すれば、品質と信頼性を事前に見極められます。継続依頼を前提にすれば長期的な関係構築も可能です。
Q. 決算短信の英訳はどのくらいの納期を見ておくべきですか?
分量にもよりますが、4,000〜6,000文字程度の決算短信であれば、チェック工程を含めて1週間〜2週間程度が一般的な目安です。繁忙期は余裕を持った依頼をおすすめします。
Q. デザイン修正が必要な決算説明資料も同じ相場で考えてよいですか?
テキストの英訳費用に加えて、レイアウト調整費用が別途発生します。1スライドあたり数百円〜1,000円程度が目安で、発注前に「英訳のみ」か「レイアウト込み」かを確認しておくことが重要です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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