言語聴覚士の履歴書と職務経歴書|書く順番と、埋めにくい欄の扱い


この記事のポイント
- ✓言語聴覚士の履歴書と職務経歴書を
- ✓書く順番から解説します
- ✓志望動機や趣味特技といった埋めにくい欄の扱い
「言語聴覚士 履歴書」と検索してこのページを開いた方の多くは、用紙を前にして手が止まっている状態だと思います。学歴と職歴までは書けた。免許の欄も埋まった。けれど志望動機の欄で止まってしまった、という状態です。
大丈夫ですよ。そこで止まるのは、あなたの経験が足りないからではありません。書く順番が逆になっているだけです。
この記事では、言語聴覚士の履歴書と職務経歴書について、どの欄から手をつけるとラクになるのか、そして埋めにくい欄をどう扱うのかを順に整理していきます。読み終わるころには、白紙のままだった欄に書き出しの一文が浮かんでいるはずです。
言語聴覚士の書類選考は、なぜ他の職種より難しく感じるのか
キャリア相談の場でよくうかがうのが、「ずっと現場にいたので、自分の仕事を言葉にしたことがない」という声です。これは言語聴覚士に限らず、リハビリテーション職全般に共通する悩みです。
理由ははっきりしています。新卒で就職するとき、多くの方が学校の紹介や実習先とのご縁で進路が決まります。つまり、履歴書を「選考を通るための書類」として本気で書いた経験がないまま、数年が過ぎているのです。
理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の新卒採用では、学校の紹介や人づてで就職先が決まるケースが多く見られます。そのため、中途採用での転職を考えた際に、「志望動機や自己PRといった、履歴書の書き方がよくわからない」と悩んでしまう方がいるのも事実です。マイナビコメディカルでは、履歴書における一般常識や書類選考で落とされにくい履歴書の書き方をお伝えします。 出典: co-medical.mynavi.jp
ここに書かれていることは、私が相談の場で感じていることとほぼ同じです。書けないのは能力の問題ではなく、単に慣れていないだけ。そして慣れていない作業は、順番を決めてあげれば必ず進みます。
もうひとつ、言語聴覚士ならではの事情があります。それは、活躍の場が広いことです。回復期のリハビリテーション病院、急性期の総合病院、老人保健施設、特別支援学校や児童発達支援の現場、耳鼻咽喉科のクリニック、訪問リハビリ。扱う対象も、成人の失語症や高次脳機能障害、摂食嚥下、小児の言語発達、聴覚と、まったく違います。
この「幅の広さ」が、書類を難しくします。同じ言語聴覚士という資格でも、応募先が求めている経験はそれぞれ別物だからです。だから、どこに出しても通用する万能の履歴書は存在しません。応募先ごとに、自分の経験のどこを前に出すかを選び直す必要があります。
そう聞くと大変そうに感じるかもしれませんが、心配はいりません。土台になる材料を一度そろえておけば、あとは並べ替えるだけになります。この記事で言う「書く順番」とは、まさにその材料集めから始める順番のことです。
用紙に触る前に、手元でそろえておくもの
いきなり書き始めると、途中で調べ物が発生して手が止まります。集中が切れるのは、この「中断」が原因であることがほとんどです。だから最初に、必要なものを全部そろえてしまいます。
そろえるのは次のものです。
- 免許証の原本(登録番号と登録年月日を正確に書き写すため)
- これまでの職歴の入職日と退職日がわかるもの(雇用保険の記録や源泉徴収票など)
- 学校の入学年月と卒業年月
- 応募先の求人票と、あれば公式サイトの理念や事業案内のページ
- 証明写真(3ヶ月以内に撮影したもの)
- 履歴書の用紙またはデータ(A4サイズ)
免許の登録番号は記憶で書かないでください。相談の場でも、番号を一桁間違えたまま提出してしまった、という話をうかがったことがあります。免許証の原本を横に置いて、指で押さえながら書き写すのが確実です。
在職期間も同じです。「たしか4月入職だったはず」で書くと、あとから提出する書類と食い違います。書類の細部が合っていないと、それだけで確認の手間をかけさせてしまいます。
証明写真は、リハビリテーション職の場合そこまで神経質になる必要はありませんが、スマートフォンで撮ったものをそのまま貼るのは避けたほうが無難です。写真館か、証明写真機で撮ったものを使ってください。服装は襟のあるものが基本です。
応募先の情報を先にそろえておくのには理由があります。志望動機は、応募先を知らないと絶対に書けないからです。逆に言えば、応募先の情報を頭に入れてから書けば、志望動機の欄はそれほど怖くありません。
求人票で見るのは、待遇だけではありません。どんな患者さんや利用者さんが多いのか、施設としてどの分野に力を入れているのか、常勤の言語聴覚士は何名いるのか。この3点が書いてあれば、志望動機の骨組みは作れます。書いていなければ、公式サイトの診療科の紹介や広報のページを見てください。
履歴書は上から順に書かない。埋めやすい欄から片づける
ここからが本題です。履歴書は上から順に書くものだと思われがちですが、その順番で書くと必ず志望動機で止まります。おすすめは、事実だけで埋まる欄を先に片づけて、考える欄を最後に回す順番です。
具体的には、次の順で進めます。
- 氏名、生年月日、住所、連絡先
- 学歴と職歴
- 免許と資格
- 通勤時間、扶養家族、配偶者の有無
- 本人希望記入欄
- 趣味と特技
- 志望動機と自己PR
事実だけで書ける1から4を先に終えると、用紙の8割が埋まります。この「埋まった感じ」が、思っている以上に効きます。白紙の用紙に向かうときの重さと、あと2欄だけという状態の軽さは、まったく別物です。
心理学の言葉では、作業を始めてしまえば続けやすくなる働きがあると説明されます。難しい言い方をしなくても、掃除を始めたら止まらなくなった、という感覚と同じです。だから、最初の一歩を一番軽いところに置きます。
学歴と職歴の欄で迷いやすいところ
学歴は高校卒業から書くのが一般的です。中学からでも間違いではありませんが、スペースの都合を考えると高校からで十分です。
養成校は正式名称で書きます。学部、学科、専攻まで書いてください。専門学校の場合も同様で、「〇〇医療専門学校 言語聴覚士科」のように略さずに書きます。大学を卒業してから2年制の養成課程に進んだ方は、その両方を時系列で並べます。
職歴は、法人名と施設名の両方を書くのが親切です。医療法人社団の名称だけだと、採用担当者がどの病院か調べる手間がかかります。「医療法人〇〇会 〇〇リハビリテーション病院 リハビリテーション科 入職」のように書き、括弧書きで病床数や施設の種別を短く添えると、経験の中身が一目で伝わります。
職歴が多い方は、履歴書に全部を細かく書こうとすると欄が足りなくなります。そのときは、履歴書には在籍期間と施設名だけを並べ、業務の中身は職務経歴書に回してください。役割分担ができていれば、それで問題ありません。
免許と資格の欄をどう並べるか
言語聴覚士は国家資格です。言語聴覚士免許は必ず一番上に、正式名称と登録年月で書きます。「言語聴覚士免許 取得」ではなく「言語聴覚士免許 取得(第〇〇〇〇〇〇号)」のように番号まで書く形式を求める応募先もあるので、募集要項を確認してください。
その下に、関連する資格を新しい順ではなく取得順に並べます。摂食嚥下や失語症、認知症に関する学会の認定、福祉住環境コーディネーター、手話に関する資格などは、応募先の分野と重なるものだけを選んで書けば十分です。
運転免許は、訪問リハビリテーションや通所系の施設に応募する場合は必ず書いてください。訪問の現場では、車の運転が業務の一部になります。持っていることが前提の求人も少なくありません。
まだ勉強中の資格については、「〇〇取得に向けて学習中」と書いても構いません。ただし、これは書きすぎると「まだ実力がない」という印象に転びます。書くとしても1つまでにとどめてください。
埋めにくい欄をどう扱うか
ここからが、多くの方が止まる場所です。志望動機、自己PR、趣味と特技、本人希望記入欄。この4つを、順番にほどいていきます。
志望動機は「なぜここなのか」だけを書く
志望動機で手が止まる方の書き出しは、だいたい共通しています。「言語聴覚士として患者様に寄り添い」から始まってしまうのです。
気持ちはよくわかります。けれど、この書き出しは応募先を入れ替えても成立してしまいます。読む側からすると、どこに出しても同じ文章に見えます。
軸にするのは、職種への思いではなく、応募先そのものです。
志望動機は、「なぜ、応募先で働きたいのか?」を軸に記入するのが基本です。施設に転職したい場合は、「施設で働きたいから」ではなく「介護予防分野に力を入れたい」など、具体的な志望理由を書くようにしてください。応募先の理念や経営方針などを理解したうえで、「自分のどの経験をどう生かせるか」まで書いておくと、採用担当者が一緒に働く姿を想像しやすくなります。面接の際に、必ず聞かれる項目でもあるので、履歴書に書ききれなかった具体的なエピソードや体験は、面接で深掘りすると良いでしょう。量が多い場合は、ポイントを箇条書きにしてもOKです。 出典: co-medical.mynavi.jp
この「自分のどの経験をどう生かせるか」まで書く、という部分が要です。ここが抜けていると、志望動機は感想文になります。
書き方の型としては、3つの文をつなぐだけで形になります。
1つ目の文で、応募先の何に関心を持ったかを書きます。求人票や公式サイトから読み取った事実を1つ挙げてください。急性期からの受け入れが多い、嚥下の評価に力を入れている、地域の学校との連携がある、といった具体的な事実です。
2つ目の文で、自分の経験のうち、そこに重なるものを挙げます。回復期で失語症の方を何年担当してきた、嚥下造影検査に同席してきた、家族指導の場を任されてきた。ここは事実だけでよいです。
3つ目の文で、入職後にその経験をどう使いたいかを書きます。ここだけが未来の話になります。
この3文で、だいたい200字から300字になります。履歴書の欄に収まる分量としてはちょうどよいはずです。書ききれなかった具体的な出来事は、面接で話せば足ります。
自己PRは、資格ではなく行動を書く
自己PRの欄で「コミュニケーション能力があります」と書きたくなったら、一度止まってください。言語聴覚士でコミュニケーションを扱わない方はいません。差がつかない言葉です。
代わりに書くのは、あなたが実際にやってきた行動です。
たとえば、失語症の方への訓練内容を、ご家族が家でも続けられるように紙にまとめて渡していた。他職種のカンファレンスで、嚥下の状態を看護師や介護職に伝わる言葉に置き換えて説明していた。新人の指導係として、評価の手順を書き起こしたことがある。
こうした行動は、あなたにとっては当たり前でも、読む側にとっては「この人がどう働くか」がわかる貴重な情報です。能力を形容詞で言うのではなく、やったことを動詞で書く。これだけで自己PRは通じるものになります。
趣味と特技は、無理に業務と結びつけない
趣味と特技の欄は、選考の合否を分ける場所ではありません。面接で話が広がるきっかけとして使われることがほとんどです。
だから、無理に仕事と結びつけなくて大丈夫です。読書、料理、登山、合唱、囲碁。何でも構いません。ただ、一語で終わらせずに、一言だけ添えてください。「読書(月に数冊、医療以外の分野を意識して読んでいます)」のように、括弧書きで具体を足すと、面接で話しかけやすくなります。
空欄にするのだけは避けてください。埋められる欄を空けておくと、それだけで手を抜いた印象になります。
本人希望記入欄は「貴社規定に従います」で終わらせない
本人希望記入欄に「貴社規定に従います」とだけ書く方が多いのですが、この欄には本来もっと使い道があります。
書いておいたほうがよいのは、勤務条件のうち譲れないものです。育児や介護の都合で夜間の対応が難しい、週の勤務日数に希望がある、入職可能な時期が決まっている。こうした条件は、あとから伝えるより先に書いておくほうがお互いのためになります。
隠して入職して、あとから条件が合わずに辞めることになるほうが、双方にとって損失が大きくなります。書きにくいと感じるかもしれませんが、条件は最初に出しておいてください。
一方で、給与額の希望をここに具体的に書くかどうかは、慎重に判断してください。募集要項に「希望給与を明記」と書かれていればそのとおりに書きます。指定がなければ、面接の場で相談させていただきたい旨を一行添えるほうが穏やかです。
ブランクや短期離職をどう書くか
相談の場でいちばん多くいただくのが、この質問です。「ブランクがあるのですが、正直に書いていいのでしょうか」。
答えは、書いてください、です。隠すと、あとで必ず矛盾が出ます。
大事なのは、書き方です。ブランクの期間だけを空白にしておくと、読む側は理由を想像するしかなくなります。人は情報がないところを、悪いほうに埋めがちです。だから、短く一行だけ理由を添えます。
出産や育児、家族の介護、療養、資格取得のための学習。どれも一行で書けます。「〇〇年〇月から〇〇年〇月まで 育児のため離職」と書き、必要なら「〇〇年〇月より就業可能」と続けます。それだけで、読む側の想像は止まります。
短期で離職した経歴も同じです。数ヶ月で辞めた職場があると、それを書かずに済ませたくなりますが、雇用保険の記録には残ります。書いたうえで、職務経歴書のほうで一行だけ事情を補ってください。事情の説明は、恨みや不満の言葉を使わないことだけ守れば十分です。
私がキャリア相談でお伝えしているのは、「事実は変えられないけれど、並べ方は選べる」ということです。ブランクの前に何をしていて、ブランク中に何を保っていて、いまどう戻ろうとしているのか。この3つが並んでいれば、期間の長さそのものはあまり問題になりません。
言語聴覚士のように資格が業務の前提になる職種では、免許が失効することは基本的にありません。ただし、勤務先によっては復職時の研修や、施設ごとの手続きが必要になる場合があります。制度や必要な手続きについては年度によって扱いが変わることもあるため、応募先の担当窓口や、都道府県の担当部署に確認しておくと安心です。
職務経歴書は、履歴書の続きではない
履歴書を書き終えると、多くの方が「もう書くことがない」と感じます。けれど職務経歴書は、履歴書とは目的が違う書類です。
履歴書が「あなたが誰か」を伝える書類だとすれば、職務経歴書は「あなたが何をしてきたか」を伝える書類です。同じことを二度書く必要はありません。
書式は編年体か、キャリア式か
職務経歴書の書式は大きく2つあります。古い職場から順に並べる編年体と、経験の分野ごとにまとめるキャリア式です。
職歴が2施設から3施設までなら、編年体で並べるのが読みやすいです。時系列がそのまま成長の流れとして伝わります。
転職回数が多い方や、成人分野と小児分野の両方を経験している方は、キャリア式のほうが向きます。「成人の失語症訓練」「摂食嚥下」「小児の言語発達支援」のように分野で章立てし、それぞれに関わった期間と施設を書く形です。
分量は、A4で1枚から2枚に収めるのが一般的です。3枚を超えると、読む側の負担が急に増えます。
何を書くかは「担当」ではなく「関わり方」
職務経歴書でありがちなのが、担当した疾患名を並べただけで終わってしまうことです。失語症、構音障害、高次脳機能障害、嚥下障害。並べても、それは資格を持っていれば当然関わる領域なので、差になりません。
書くべきは、その領域にどう関わっていたかです。
- 1日あたりの担当単位数と、対象の内訳(成人と小児の比率など)
- 評価から訓練計画の立案までを自分で担当していたか
- カンファレンスや退院前の家族指導で、どんな役割を持っていたか
- 他職種との連携で、自分が窓口になっていた場面
- 学生の実習指導や、新人教育に関わった経験
- 委員会活動や、記録様式の見直しなどの改善に関わった経験
このうち、応募先が求めていそうなものを上に置きます。求人票に「摂食嚥下に力を入れています」と書いてあるなら、嚥下に関する関わりを最初に持ってくる。それだけで、読み手の受け取り方が変わります。
経験を並べ直すと、志望動機がつながる
職務経歴書を書く作業には、思いがけない副産物があります。
この作業を通して、転職するきっかけとなった出来事や問題意識が明確になるので、今までの経験と応募先に魅力を感じる理由とを関連付けられ、一貫性のある自分らしい職務履歴書に仕上がります。 出典: ptotjinzaibank.com
私も相談の場で、この順番をおすすめしています。志望動機が書けないという方に、先に職務経歴を細かく棚卸ししていただくのです。すると、途中で「そういえば、あのとき困ったことがきっかけで転職を考え始めた」という言葉がご自身から出てきます。
その言葉が、そのまま志望動機の核になります。志望動機は考えてひねり出すものではなく、自分の経歴の中から見つけ出すもの。順番を変えるだけで、書けなかった欄が書けるようになるのは、そういう理由です。
実績を数字にできないときの書き方
「営業職のように数字で示せる実績がない」というご相談も、よくいただきます。
言語聴覚士の仕事は、成果が数字になりにくい仕事です。訓練の効果は患者さんの状態に左右されますし、良くなったことを自分の手柄のように書くのは、そもそも職業倫理に合いません。
そこで使うのが、成果ではなく規模と継続の数字です。
担当していた患者さんの人数、1日の単位数、在籍した年数、関わった委員会の数、指導した実習生の人数。これらは事実として書けます。「回復期病棟で3年間、1日あたり15単位前後を担当」のような書き方であれば、成果を誇張することにはなりません。
数字が使えない部分は、動詞で書きます。「立案した」「作成した」「引き継いだ」「調整した」。この動詞が並んでいる文章は、それだけで働く姿が浮かびます。
提出前に必ず見るところ
書き終えたら、提出の前に見ておきたい点がいくつかあります。
日付は、投函する日か持参する日を書きます。書いた日ではありません。ここがずれていると、使い回しの書類だと受け取られることがあります。
修正液と修正テープは使いません。書き損じたら書き直します。パソコンで作成する場合は、この心配がなくなるので、手書きの指定がなければデータでの作成をおすすめします。
押印は、最近は不要とする応募先が増えています。履歴書の様式に押印欄があれば押し、なければ押さなくて構いません。
送付する場合は、添え状を1枚付けます。応募先名、自分の氏名と連絡先、応募の職種、同封した書類の一覧。この4つが書いてあれば十分です。封筒は角形2号を使い、書類を折らずに入れます。
応募書類のコピーは、必ず手元に残しておいてください。面接では、書類に書いた内容がそのまま質問になります。何を書いたか覚えていないまま面接に臨むと、書類と口頭の説明がずれてしまいます。データで作成した場合は応募先ごとにファイル名を分けて保存し、手書きの場合は提出前に写真を撮っておくだけで十分です。
複数の応募先に同時に出す場合は、志望動機の差し替えを忘れていないかも見てください。前の応募先の名前が残ったまま送ってしまう事故は、思っている以上に起きます。印刷したあとに、施設名の部分だけを指で追って確認する習慣をつけておくと防げます。
そして最後に、必ず声に出して読んでください。目で追うだけだと、助詞の抜けや変換ミスは驚くほど見落とします。声に出すと、詰まったところが必ず不自然な文になっています。
書類作成そのものに苦手意識がある方は、文書の基本ルールを一度整理しておくと、応募書類だけでなく現場の記録や報告書にも効いてきます。ビジネス文書の形式や敬語の使い方を体系的に扱うビジネス文書検定のような資格の出題範囲を眺めるだけでも、自分の書き方の癖に気づけます。
医療職の応募書類という点では、職種が違っても組み立て方は共通しています。志望動機と自己PRの例文を職種別に整理した看護師の転職用履歴書の書き方|志望動機と自己PRの例文は、書き出しに迷ったときの型として参考になります。
応募先の種別ごとに、前に出す経験を入れ替える
言語聴覚士の応募先は幅が広いので、同じ書類を使い回すと、どこにもぴったり合わない書類になります。応募先ごとに、前に出す経験を入れ替えてください。入れ替えるといっても、全部書き直すわけではありません。順番を変えるだけです。
急性期の総合病院に応募する場合は、状態が日ごとに変わる患者さんへの対応経験が前に出ます。医師や看護師と短時間で情報をやり取りしてきた場面、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査への同席、早期から介入した経験。速さと連携が問われる現場なので、判断の場面をどう乗り切ってきたかが伝わる書き方をします。
回復期のリハビリテーション病棟であれば、長い期間で計画を立てて進めてきた経験が中心になります。目標設定に関わった経験、他職種と目標を共有してきた場面、退院前の家族指導や家屋調査への同行。ここは、腰を据えて関わる姿勢が見えることが大事です。
介護老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設系では、生活を支える視点が求められます。食事の形態を他職種と一緒に決めた経験、介護職への申し送りや勉強会、レクリエーションを通じたコミュニケーション支援。訓練室の中だけで完結しない関わりを書いてください。
小児の領域、つまり児童発達支援や放課後等デイサービス、特別支援学校などに応募する場合は、保護者との関わりが大きな比重を占めます。面談での説明、家庭で続けられる課題の提案、園や学校との連携。成人分野からの転職であれば、成人で培った評価の丁寧さがどう活きるかを一行添えると、経験のつながりが見えます。
耳鼻咽喉科のクリニックであれば、聴覚検査や補聴器に関する経験が前に出ます。純音聴力検査や語音聴力検査の実施経験、補聴器の調整に関わった経験、乳幼児の聴覚に関する検査への同席など、機器や検査の名前を具体的に書いてください。
訪問リハビリテーションでは、一人で判断する場面が多くなります。単独で訪問した経験、限られた道具で環境に合わせて工夫した経験、ご家族への説明を主に担ってきた経験。加えて運転免許の有無は必ず書きます。
この入れ替えを毎回やるのは面倒に思えますが、一度すべての経験を書き出した土台のファイルを作っておけば、あとはそこから取り出して並べるだけです。応募のたびに一から思い出す必要はなくなります。
働き方の選択肢が広がると、書類の書き方も変わる
ここからは、少し先の話をします。
言語聴覚士の働き方は、この数年で確実に幅が出てきました。常勤で病院に勤めるという形以外に、非常勤で複数の施設に関わる、訪問リハビリテーションで地域を回る、オンラインで言語訓練や相談に対応する、といった選択肢が現実のものになっています。
オンラインでの言語訓練については、必要な機材や環境、需要の広がりを整理した言語聴覚士のオンラインST|需要と機材の準備【2026年版】にまとめてあります。画面越しでの評価には制約もありますが、通院が難しい方への継続支援という点では、確かな役割があります。
こうした働き方を視野に入れると、書類に書く内容も変わってきます。
たとえば、記録をどう書いてきたか。オンラインや非常勤の関わりでは、その場にいない他職種に状況を伝える文章の力が、対面以上に必要になります。カルテや報告書を丁寧に書いてきた経験は、これまで書類に書く価値があると思われていませんでしたが、今後は立派な強みになります。
あるいは、家族指導の経験。在宅でのリハビリテーションが増えるほど、ご本人だけでなくご家族に伝える力が問われます。ここも、職務経歴書に書いておいて損のない部分です。
市場を見てきた立場から、書類について思うこと
在宅ワークやフリーランスの市場を20年にわたって運営者として見てきた立場から、ひとつお伝えしておきたいことがあります。
長く仕事が続く方には、共通点があります。それは、単発の作業をこなす人ではなく、「この人に任せると、こちらの手間が減る」と思われている人だということです。
これは医療職の転職にもそのまま当てはまります。採用する側が書類から読み取ろうとしているのは、技術の高さだけではありません。この人が来たら、現場の説明の手間が減るか。他職種との調整を任せられるか。新人に教えてもらえるか。そういう「一緒に働いたときの楽さ」を探しています。
だから、職務経歴書に書くべきなのは、輝かしい実績よりも、日々の仕事の中であなたが引き受けてきた面倒な役割です。記録様式を見直した、カンファレンスの司会を任されていた、実習生の受け入れ準備をしていた。地味ですが、こういう一行がいちばん効きます。
もうひとつ、報酬の話をしておきます。仲介の段階が増えるほど、依頼する側が払う金額と、実際に働く人が受け取る金額の差は開きます。逆に、間に入るものが少ない直接のやり取りでは、同じ予算でも依頼する側はより多くを頼めて、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%という条件が意味を持つのは、金額の大小そのものではなく、この手取りの厚さという点です。
常勤の職場を探すときも、副業や非常勤で関わる仕事を探すときも、この構造は頭の隅に置いておいて損はありません。専門職の単価や報酬の水準を職種ごとに整理した情報としては、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように職種別のデータをまとめたページが参考になります。自分の職種の相場を知っておくと、条件交渉の場で足元が定まります。
最後に、もう一度だけ。
書類が書けないのは、あなたに書くことがないからではありません。自分がやってきたことを、言葉にする機会がなかっただけです。
順番を決めて、事実から埋めて、考える欄を最後に回す。それだけで、白紙の用紙は必ず埋まります。焦らずに、書けるところから手をつけてみてください。あなたは一人ではありませんし、この作業は誰にとっても最初は難しいものです。
よくある質問
Q. 言語聴覚士の履歴書は手書きとパソコンのどちらがよいですか?
募集要項に手書きの指定がなければ、パソコンで作成して問題ありません。修正が容易で、応募先ごとに志望動機を書き分けやすいためです。手書きを指定された場合は黒のボールペンを使い、修正液は使わずに書き直してください。どちらの場合もA4サイズで作成し、日付は投函または持参する日を記入します。
Q. 志望動機が思いつかないときはどうすればいいですか?
先に職務経歴書を書いてください。これまでの担当業務や役割を細かく棚卸ししていくと、転職を考えたきっかけや問題意識が自然と言葉になります。その言葉を、応募先の求人票や公式サイトから読み取った事実と結びつければ、志望動機の骨組みができます。志望動機は考え出すものではなく、自分の経歴から見つけるものです。
Q. ブランクがある場合、履歴書に書かないほうがいいですか?
必ず書いてください。空白のままにすると、読む側は理由を想像するしかなくなります。育児、介護、療養、学習など、理由を一行添えるだけで十分です。就業可能な時期が決まっていれば、それも書き添えてください。なお復職時の手続きは勤務先や自治体で扱いが異なる場合があるため、応募先の担当窓口に確認しておくと安心です。
Q. 職務経歴書は何枚くらいが適切ですか?
A4で1枚から2枚が目安です。3枚を超えると読む側の負担が大きくなり、伝えたい部分が埋もれます。職歴が2施設から3施設までなら時系列で並べる編年体、転職回数が多い場合や成人と小児の両方を経験している場合は、分野ごとにまとめるキャリア式が読みやすくなります。応募先が力を入れている分野を先頭に置いてください。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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