数学講師がChatGPTで演習問題を難易度別に作る|個別最適な教材づくり 2026

中西 直美
中西 直美
数学講師がChatGPTで演習問題を難易度別に作る|個別最適な教材づくり 2026

この記事のポイント

  • 数学講師がChatGPTで演習問題を難易度別に作る方法を解説
  • AIが生成する数式の誤りを検算する重要性
  • 個別最適な教材づくりの手順までまとめました

「生徒一人ひとりに合わせた演習問題を作りたいけれど、時間が足りない」。数学講師の方からこういうご相談を受けることが増えました。ChatGPTを使えば演習問題は確かに速く作れます。ただし、難易度をどう指定するか、数式の誤りをどう見抜くかを知らないまま使うと、かえって手直しに時間を取られてしまいます。この記事では、数学講師がChatGPTで演習問題を難易度別に作るための具体的な手順と、注意すべき落とし穴を順番にお伝えします。

数学講師とChatGPT活用の今:市場動向とマクロ視点

個別指導や家庭教師、塾講師、オンライン数学講師という働き方をしている方は、会社員時代とは違い、教材づくりも自分の裁量で進める場面が多いはずです。学習指導要領の改訂や大学入試改革の影響で、思考力・判断力を問う問題への対応が求められるようになり、教材の準備にかかる負担は年々増えています。

一方で、生成AIの教育現場での活用は急速に広がっています。文部科学省も学校現場における生成AI活用のガイドラインを公表し、教員や講師が授業準備にAIを活用すること自体は否定していません。むしろ「校務や教材研究の効率化」という文脈では活用を後押しする内容になっています。実際、個別指導塾やオンライン家庭教師サービスの現場では、ChatGPTなどの生成AIを使って問題演習を作成する講師が確実に増えてきました。

ただし、ここで見落とされがちなのが「AIが生成した数式は必ずしも正しくない」という事実です。生成AIは自然言語の文章生成には強い一方で、数値計算や数式の整合性を保つのが本質的に苦手な仕組みで動いています。これは後ほど詳しく説明しますが、演習問題づくりでChatGPTを使う講師が最初につまずくポイントでもあります。マクロで見れば、AI活用は「効率化の追い風」でありながら、同時に「検算という新しい作業」を講師に課しているというのが、今のリアルな市場動向です。

なぜ演習問題づくりにChatGPTを使う数学講師が増えているのか

理由はシンプルで、演習問題の「量」を確保する作業がとにかく時間を食うからです。同じ単元でも、生徒Aには基礎の反復問題を、生徒Bには応用問題を、生徒Cには入試レベルの記述問題を、というように出し分けようとすると、講師一人では手が回りません。

私自身、フリーランスとして独立してから、資料作成や教材づくりに使う時間の配分に悩んだ経験があります。最初のうちは「全部自分で一から作らないと質が保てない」と思い込んでいて、結局準備に追われて本業の指導時間を削ってしまうということがありました。効率化のためのツールを使うこと自体は、手抜きではなく、限られた時間を生徒との対話に振り向けるための工夫です。そう考え方を変えてから、道具の使い方を学ぶことへの抵抗がなくなりました。

ChatGPTを使う最大のメリットは、同じ単元の問題を条件を変えながら大量に生成できる点にあります。例えば「二次関数の最大最小」という単元でも、係数のパターンを変えた問題を10問、20問と作らせることができます。人力で一問ずつ作るより圧倒的に速く、しかも生徒の理解度に合わせて微調整もしやすいという利点があります。

一方で、注意点もあります。ChatGPTは「もっともらしい問題文」を作るのは得意ですが、計算過程や解答の正確性については講師側の確認が欠かせません。この点を理解せずに使うと、誤った解答を生徒に配ってしまうリスクがあります。

難易度別に演習問題を作る基本プロンプト設計

演習問題を難易度別に作るには、プロンプトの設計そのものにコツがあります。漠然と「二次関数の問題を作って」と指示するだけでは、難易度がばらつき、生徒の理解度に合わない問題が混ざってしまいます。

ステップ1:生徒のレベルを言語化する

まず、対象となる生徒がどの段階にいるのかを言葉で明確にします。「公式は覚えているが計算でミスが多い」「文章題になると立式できない」「基礎は理解しているが応用問題で詰まる」など、つまずきの内容を具体的に書き出してからプロンプトに含めることが重要です。抽象的に「初級・中級・上級」と書くよりも、「符号のミスが多い生徒向けに、途中式を丁寧に書く必要がある問題」のように、つまずきの種類まで指定したほうが、生成される問題の質が上がります。

ステップ2:単元と出題形式を指定する

次に、単元名(例:二次方程式の解の公式、三角比、確率の基本事象など)と、出題形式(選択式、記述式、穴埋め式)を明確に指定します。教科書準拠なのか、入試対応の応用問題なのかも書き分けるべきポイントです。学校の定期テスト対策であれば教科書の例題に近い形式を、受験対策であれば複数単元をまたぐ融合問題を指定するなど、目的に応じてプロンプトを変える必要があります。

ステップ3:難易度を数値やレベルで区切って生成させる

難易度を「レベル1(基礎の反復)」「レベル2(標準)」「レベル3(応用・入試レベル)」のように数値やラベルで区切り、各レベルで何問ずつ作るかまで指定すると、狙った通りの構成になりやすくなります。例えば「レベル1を5問、レベル2を5問、レベル3を3問、それぞれ解答と途中式付きで」と具体的に指示すれば、後から並べ替える手間も減ります。

このとき、生成された問題文だけでなく、解答の途中式も必ず出力させるようにしてください。途中式がないと、後述する検算作業の効率が大きく落ちてしまいます。

個別最適な教材づくりの実践手順

演習問題を難易度別に作れるようになったら、次は生徒一人ひとりに合わせた個別最適な教材へと組み立てていく段階です。

つまずきパターン別に演習問題を出し分ける

生徒のつまずきは大きく分けて、計算ミス型、公式の理解不足型、文章題の立式が苦手な型、時間内に解ききれない型の4パターンに整理できます。ChatGPTにこの4パターンを伝え、それぞれに特化した演習問題セットを作らせると、通り一遍の問題集よりも効果的な教材になります。

例えば「計算ミスが多い生徒には、途中式を書く欄を大きく取った問題を」「文章題が苦手な生徒には、状況を図示しやすい設問文を」といった具合に、問題の見た目や構成まで指定できるのがChatGPT活用の強みです。

教科書準拠とオリジナル問題の使い分け

教科書準拠の問題は、定期テスト対策として生徒の安心材料になります。一方でオリジナル問題は、応用力を鍛える、あるいは生徒の興味を引く題材(生徒の好きなスポーツやゲームを題材にした文章題など)を組み込める利点があります。ChatGPTには両方を作らせられますが、教科書準拠を指定する場合は、教科書会社名や単元名を明記し、出版社固有の表記や解法の流儀(高校数学であれば数研出版と東京書籍で記号の使い方が微妙に違うことがあります)がずれていないか、講師の目で確認することが欠かせません。

生徒の興味関心に寄せたオリジナル問題を作る際も、題材が数学的に正しい構造になっているかは必ず確認してください。ChatGPTは題材の物語部分の生成には強い一方、その物語に数値を当てはめる段階で計算の整合性が崩れることがあります。

AIが生成する数式は必ず検算する:見落とされがちな注意点

ここが、数学講師がChatGPTを演習問題づくりに使ううえで最も重要なポイントです。ChatGPTを含む生成AIは、文章としての自然さを最適化する仕組みで動いているため、数式の計算過程そのものを保証する仕組みを内部に持っていません。見た目はもっともらしい解答でも、途中の計算が一箇所ずれているだけで、最終的な答えが間違っているというケースは珍しくありません。

以下は、生成AIを使ったテスト作成を半年間検証した高校教員の報告です。

私は高校教員として、この半年間でChatGPTを使って100本以上のテスト問題を作成し、そのうち実際に生徒に出題したのは約60問。その過程で見えてきた「AIテスト作成の現実」をお伝えします。 出典: note.com

100本作成して実際に出題できたのが約60問という数字は、裏を返せば約4割は何らかの理由で修正や不採用になったということです。数学の演習問題では、この「不採用になった理由」の多くが計算ミスや解答の不整合だと考えられます。

よくある誤りのパターン

実際に検算していて多いのは、次のようなパターンです。

・分数の通分や約分の途中で数値がずれる ・平方根や虚数を含む計算で、符号の処理を誤る ・文章題で設定した数値の組み合わせが、実は解が存在しない条件になっている ・確率や場合の数で、重複を数えているのに解答では数えていない(あるいはその逆) ・グラフの概形を説明する記述が、実際の関数の形と一致していない

これらは一見しただけでは気づきにくく、実際に自分の手で計算をやり直して初めて発覚することがほとんどです。

検算のコツと時短の両立

検算をすべて手計算でやり直すと、結局ChatGPTを使う前より時間がかかってしまいます。効率よく検算するコツは次の通りです。

まず、ChatGPTに「解答の途中式を省略せず全て書く」よう明示的に指定します。途中式がないと検算のしようがないため、これは最初のプロンプトの時点で必須の指定事項です。

次に、生成された問題のうち、計算が複雑な単元(二次方程式の解の公式、三角関数の合成、微分・積分の計算問題など)は必ず自分の手か、電卓・計算ソフトで検算します。逆に、単純な一次方程式や図形の基本性質を問う問題であれば、目視での確認で済むことが多いです。単元の複雑さに応じて検算の深さを変えることで、時間のかけすぎを防げます。

さらに、同じ問題をもう一度別の言い回しでChatGPTに投げ、二つの解答を突き合わせるという方法も有効です。二回とも同じ答えが出れば信頼度が上がりますし、答えが割れた場合はそこに誤りが潜んでいる可能性が高いというサインになります。

数式の誤りを見逃したまま演習問題を配ってしまうと、生徒が誤った解法を「正しいもの」として覚えてしまう恐れがあります。特に個別指導や家庭教師の現場では、講師と生徒の信頼関係そのものに関わる問題です。検算の手間を惜しまないことは、教材の質を守るだけでなく、講師としての信頼を守ることにも直結します。

成功パターンと失敗パターン

成功パターン:プロンプトの資産化

うまく活用できている講師に共通するのは、一度作ったプロンプトを使い捨てにせず、単元ごとにテンプレート化して蓄積している点です。「二次関数の最大最小・レベル別5問セット」のように、成功したプロンプトを保存しておき、次に同じ単元を教える際に微調整して再利用する。この積み重ねによって、演習問題づくりにかかる時間は回を重ねるごとに短くなっていきます。

プロンプトのテンプレート化は、単なる時短技術にとどまりません。どの指示を出せば狙った難易度の問題が出やすいか、どの表現だと計算ミスが起きにくいかという経験知が蓄積されていくため、講師自身のAI活用スキルそのものが磨かれていきます。

失敗パターン:丸投げによる質の低下

一方で、うまくいかないケースの多くは「検算を省いて丸投げする」パターンです。生成された問題をそのままプリントアウトして配布し、後から生徒や保護者に誤りを指摘されるというトラブルは、実際によく耳にする話です。

また、難易度の指定を曖昧にしたまま大量生成すると、レベル感がバラバラな問題集になってしまい、結局講師が手で仕分け直す羽目になることもあります。時短のために使ったはずのツールが、逆に作業を増やしてしまうという本末転倒な結果です。

こうした失敗を避けるには、プロンプトの設計段階で条件を具体的にすること、生成後は必ず検算のひと手間を入れることの2点を徹底することに尽きます。

著作権・出典・生徒への配慮というポイント

演習問題づくりでもう一つ気をつけたいのが、著作権と出典の扱いです。教科書や市販の問題集の文章題をそのままChatGPTに入力して「似た問題を作って」と指示する場合、生成された問題が元の問題文とどの程度似ているかには注意が必要です。特に市販教材を使う塾や予備校では、著作権に関する社内ルールが定められていることが多いため、事前に確認しておくと安心です。

また、生徒に配布する教材である以上、不適切な題材(暴力的な表現や、特定の個人・団体を想起させる内容など)が紛れ込んでいないかのチェックも忘れずに行ってください。ChatGPTは基本的に穏当な内容を生成しますが、文章題の題材選びで意図せず不自然な設定になることもあるため、配布前に一度目を通す習慣をつけておくと安心です。

数学講師のキャリアと働き方の選択肢

ChatGPTを使った教材づくりのスキルは、数学講師という枠を超えて、働き方の選択肢を広げる武器にもなります。プロンプト設計や生成AIの業務活用に強くなると、教材づくり以外の分野でも仕事の幅を広げやすくなります。ChatGPT活用・プロンプト設計のお仕事では、こうしたプロンプト設計のスキルを活かせる案件の傾向がまとめられており、教材づくりで培った知見をそのまま応用できる場面が少なくありません。

さらに、生成AIを業務に取り入れる企業や個人事業主向けに、活用方法をアドバイスするAIコンサル・業務活用支援のお仕事や、マーケティングとセキュリティの両面からAI活用を支えるAI・マーケティング・セキュリティのお仕事といった分野も、教育現場でのAI活用経験がある講師にとっては親和性の高い選択肢です。

キャリアの幅を広げる際には、他職種の相場感を知っておくことも役に立ちます。教材づくりで培った文章構成力は、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で紹介されているような執筆・編集系の仕事にも通じますし、教材のデジタル化やシステム化に関心が広がればソフトウェア作成者の年収・単価相場のような技術職の相場観も参考になります。

スキルを客観的に証明したいという方には、資格取得という選択肢もあります。生成AIの基礎知識を体系的に学べる生成AIパスポートは、AI活用の説明責任を果たしたい講師や、保護者への説明材料として資格を持っておきたい方に向いています。教材のオンライン配信やネットワーク環境の整備にまで関心が広がった場合は、CCNA(シスコ技術者認定)のようなITインフラ系の資格に挑戦する講師も出てきています。

働き方そのものを見直したいという方には、実際にChatGPTを使いこなして副業や案件獲得につなげている事例も参考になります。ChatGPT 案件で月5万稼ぐ!初心者向けおすすめ副業と獲得のコツでは、AI活用を仕事につなげる基本の考え方が整理されており、ChatGPT フリーランスの生存戦略!AIを同僚にして稼ぐ全技術では、AIを業務の同僚のように使いこなす発想そのものが詳しく解説されています。ライティング領域でのAI活用に関心があれば、AIライティングツール最新比較2026|ChatGPT・Claude・Gemini【2026年版】で各ツールの特徴を比較しておくと、教材づくり以外の場面でも役立つ知識になります。

運営者から見た数学講師×AI活用の現場感(独自データ考察)

20年この市場を見てきた立場から言えば、AIツールをうまく使いこなす講師ほど、道具そのものへの依存度は実は低いという印象があります。ツールに頼りきるのではなく、自分の指導経験に照らして「この問題は生徒に合うか」「この解法は本当に正しいか」を判断する軸を持っている講師ほど、AIを補助として使いこなせているのです。

運営者として見てきた限りでは、フリーランスや個人事業主として独立して長く続く人ほど、単発の作業をこなすことよりも「この人に任せると楽だ」と依頼者に思ってもらえる関係づくりに時間を使っています。数学講師で言えば、演習問題を大量に作ること自体が価値なのではなく、生徒一人ひとりのつまずきに合わせて教材を組み立てる目利き力にこそ価値があります。ChatGPTはその目利き力を発揮するための時間を作り出す道具であって、目利き力そのものを代替するものではありません。

また、業務委託や直接契約という働き方を選ぶ講師が増えている背景には、仲介業者を挟まない分だけ手数料0%で報酬をやり取りできる仕組みが評価されているという事情もあります。中間マージンが乗らない直接取引は、依頼する側にとっては同じ予算でより多くの指導時間を確保でき、指導する側にとっては手取りが厚くなるという、双方にとって得のある構造です。これは金額の大小の話ではなく、同じ努力に対する手取りの「質」が変わるという話であり、教材づくりの効率化と並んで、講師の働き方全体を底上げする要素だと運営者としては見ています。

演習問題づくりにChatGPTを取り入れることは、もはや特別な工夫ではなく、標準的な準備の一部になりつつあります。大切なのは、難易度設計というプロンプトの技術と、数式を必ず自分の目と手で検算するという地道な作業の両方を、丁寧に積み重ねていくことです。

なお、講師・トレーナー向けの請求書テンプレート(無料ダウンロード)も用意しています。インボイス制度対応で、項目入力だけでそのまま取引先に提出できます。

よくある質問

Q. 数学講師がChatGPTで演習問題を作る場合、無料版でも十分ですか?

無料版でも基本的な問題生成は可能です。ただし、難易度の指定や途中式の出力精度を安定させたい場合は、有料プランの方が指示への追従性が高く、修正の手間を減らせる傾向があります。

Q. ChatGPTが作った数式の誤りに気づかないまま配布してしまうリスクはどう防げますか?

プロンプトの時点で途中式を必ず出力させ、複雑な単元は自分の手や計算ソフトで検算する習慣をつけることが有効です。同じ問題を別の言い回しで二回生成し、答えを突き合わせる方法も誤り発見に役立ちます。

Q. 教科書準拠の問題と、ChatGPTで作ったオリジナル問題はどちらを優先すべきですか?

定期テスト対策には教科書準拠、応用力を鍛えたい場合や生徒の興味を引きたい場合にはオリジナル問題が向いています。目的に応じて使い分けるのが基本です。

Q. 演習問題づくりのプロンプトはどのように管理すると効率的ですか?

単元ごとにテンプレート化し、うまくいったプロンプトを保存して再利用するのがおすすめです。蓄積していくことで、次に同じ単元を教える際の準備時間を大きく短縮できます。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年4月9日最終更新:2026年8月30日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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