造花の内職の作業内容と受注先の見つけ方

中西 直美
中西 直美
造花の内職の作業内容と受注先の見つけ方

この記事のポイント

  • ✓受注先の探し方を家内労働法の決まりに沿って整理しました
  • ✓家内労働手帳の受け取り
  • ✓接着剤を使うときの換気

「家から出られない事情があるけれど、手は動く」。造花の内職を探している人から届く相談は、ほとんどがこの形です。

小さな子どもがいる。親の介護をしている。体の調子に波がある。通勤という一点だけが越えられない。そういう事情の人が、手先を使う仕事にたどり着きます。造花の内職は、そのなかでも昔から続いてきた仕事のひとつです。

ただ、調べはじめると情報がばらけています。求人サイトには工場に通う求人が並び、内職の紹介をうたうサイトには登録料の話が出てくる。どこに聞けばいいのか分からないまま止まってしまう人が多いのです。

造花の内職は、法律のうえで位置づけがはっきりしている仕事です。家内労働法という法律があり、仕事を出す側が守らなければならない義務が決まっています。それを知っているかどうかで、受注先の探し方も、条件の確かめ方も変わります。この記事では、作業の中身、工賃の決まり方、受注先の見つけ方、そして避けるべき勧誘の形までを順番に整理します。

造花の内職の作業は「組む」「貼る」「束ねる」に分かれる

造花の内職と一口に言っても、渡される工程はいくつかに分かれます。

最初に多いのが、パーツの組み立てです。花びら、がく、茎、葉のパーツが袋で届き、指定された順に差し込んで1本の花にします。品種と大きさによって手順書が変わります。同じ花でも、仕上がりの角度や花びらの重なりを指定されることがあります。

次に、接着の工程です。花びらの根元や葉の付け根に接着剤をつけて留めます。ここは早さと正確さの両方が求められます。つけすぎると乾いたあとに白く残り、検品で戻されます。少なすぎると輸送中に外れます。渡される接着剤の種類によって乾きの速さが違うので、最初の何本かで感覚をつかみます。

3つ目が、ワイヤーとテープの巻きです。茎に針金を入れ、フローラルテープを引き伸ばしながら巻いていきます。テープは引っぱると粘りが出る仕組みなので、力の入れ方に慣れが必要です。ここが一番、速度の差が出る工程です。

4つ目が、束ねと仕上げです。何本かを組んでブーケや装飾の形にします。色の配置や高さの指定があり、見本と見比べながら作ります。ここまで来ると単価も上がりますが、判断が入るだけに検品も厳しくなります。

5つ目が、検品と袋詰めです。ほかの人が作ったものを含めて、規格どおりかを確かめ、袋に入れて数を数えます。作業そのものは軽いのですが、数量の間違いが許されません。

どの工程が回ってくるかは、委託する会社の都合で決まります。最初は組み立てや接着のような単純な工程から入り、仕上がりが安定してきたら束ねの工程を任される、という流れが一般的です。工程が変わると単価も変わるので、任された段階で工賃の単価を確かめます。

作業に必要なのは、広い場所ではなく「散らからない場所」です。パーツは小さく軽いので、風で飛びます。子どもやペットが触れない区画を作ること、完成品と未完成品を分けて保管する場所を確保すること。この2つができていれば、狭くても回ります。

造花の内職は法律のうえで「家内労働」に当たる

ここが一番大事な点です。造花の内職は、多くの場合、家内労働法という法律の対象になります。

家内労働法は、自宅を作業場にして、会社や問屋から部品や原材料を受け取り、物を作ったり加工したりして、その労働に対して工賃を受け取る人を守るための法律です。厚生労働省は家内労働者をこう説明しています。

家内労働者とは、通常、自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人をいいます。 出典: 厚生労働省

造花のパーツを受け取って組み立てる仕事は、この説明にそのまま当てはまります。つまり、仕事を出す側には法律上の義務があるということです。「個人の副業だから自己責任」という話にはなりません。

規模も押さえておきます。厚生労働省の公表では、令和7年10月1日現在の家内労働者数は85,177人で、そのうち女性が75,705人、男性が9,472人です。仕事を出す側である委託者は6,249者です。数字としては大きくありませんが、制度として現に動いていて、監督する窓口もあります。

ここで注意したいのは、家内労働者と、業務委託で働くいわゆるフリーランスとの違いです。物を作る作業や加工の作業を自宅で受けるなら家内労働法、情報通信機器を使って成果物や役務を提供するなら別の枠組みで扱われます。厚生労働省は令和7年2月に、家内労働法とフリーランスの取引に関する法律の適用関係についての通達を出しています。どちらの決まりが働くのかは仕事の中身で変わるので、自分の仕事がどちらなのか迷うときは都道府県労働局に聞くのが確実です。

そして、労働者ではありません。雇われて働くわけではないので、労働基準法の最低賃金はそのまま適用されません。時間あたりいくらではなく、1個あたりいくらという工賃の形で払われます。この違いが、次の話につながります。

家内労働手帳は「もらうもの」であって、頼み込むものではない

家内労働法でいちばん知っておく価値があるのが、家内労働手帳です。

これは、仕事の内容、工賃の単価、工賃の支払期日などを書いた記録です。法律は、仕事を出す側に交付する義務を課しています。

委託者は、家内労働者との間のトラブルの発生を防止するため、仕事内容、報酬等の委託の条件を明記した家内労働手帳を委託、物品の受領又は工賃支払のつど、家内労働者に交付しなければなりません。家内労働手帳は伝票式の様式が定められています。 出典: 厚生労働省

記入されるのは、委託のつどの業務内容と工賃の単価と支払期日、物品を受け取るつどの数量、工賃を支払うつどの金額です。つまり「いくらの仕事を、何個受け取って、いくら払ったか」が毎回残ります。

この手帳がない状態で仕事を受けると、あとで困るのは受け取る側です。単価の話が口約束のままになり、「今回はこの値段で」と下げられても記録が残りません。検品で戻された分の扱いも曖昧になります。

だから、最初の面談で確かめるのはこの1点です。「家内労働手帳は出してもらえますか」。ここで話が濁る相手は、他の決まりも守っていない可能性があります。逆に、伝票式の手帳を当たり前のように出してくる会社は、家内労働法を知っていて長く続けている会社です。

手帳のほかに、仕事を出す側には帳簿の備え付けも義務づけられています。家内労働者の氏名や工賃の支払額を記載した帳簿で、最後に記入した日から5年間の保存が必要です。以前は3年間でしたが、令和2年4月1日から施行された省令の改正で5年間に延びました。

さらに、委託状況届という届出もあります。委託する仕事の内容や家内労働者の数について、家内労働法上の委託者になったときは遅滞なく、それ以後は毎年4月1日現在の状況を4月30日までに、営業所を管轄する労働基準監督署へ届け出る決まりです。つまり、まじめに仕事を出している会社は、労働基準監督署に把握されています。これは探すときの手がかりにもなります。

工賃は1個あたりで決まり、支払いには期限がある

工賃の仕組みは、給料とは考え方が違います。

まず、支払い方です。工賃は原則として現金でその全額を支払わなければなりません。受け取る側が同意している場合は、郵便為替や銀行口座への振込も認められています。「商品券で」「次回の材料代と相殺で」といった形は、原則から外れます。

次に、期限です。家内労働法は、製品を受け取った日から1か月以内の支払いを義務づけています。毎月一定の日を工賃の締切日と決めている場合は、その締切日から1か月以内です。検品をするかどうかは関係ありません。「検品が終わっていないから払えない」は理由になりません。

そして、最低工賃です。時間あたりの最低賃金とは別に、家内労働には最低工賃という仕組みがあります。厚生労働大臣または都道府県労働局長が、審議会の意見をふまえて、一定の地域の一定の業務について最低額を決めるものです。決まっている業務なら、委託者はその額以上を支払わなければなりません。地域別と業務別に定められているので、自分の地域で造花の業務に最低工賃が設定されているかは、都道府県労働局か最寄りの労働基準監督署に確認します。なお、最低工賃の新設や改正には計画があり、第15次の計画は令和7年4月から令和10年3月までの期間で進められています。

実際の単価の水準は、工程と地域で幅があります。他の内職の相場を並べておくと、感覚がつかみやすくなります。

シール貼り・値札付けは、数ある内職の作業のなかでも比較的簡単といわれている仕事です。シールや値札を指定の位置に貼るだけなので、内職の経験がない人でも気軽に行えます。シールや値札以外には、商品のタグ付けやラベル付け、ダイレクトメールの宛名貼りなどが挙げられます。シール貼り・値札付けの単価相場は0.1~2円程度です。 出典: fc-hikaku.net

造花の内職は、単純な貼り付けよりは手が込み、専門の技能までは求められない位置にあります。だから単価も、貼り付けの相場より上の帯に入ることが多いのです。ただし、これは相場の目安であって、自分に提示される額とは別です。提示された単価と、1個あたりにかかる時間を掛け算して、自分で時間あたりの金額を出す。この計算を最初にしておかないと、受けたあとで割に合わないことに気づきます。

計算のときに忘れやすいのが、作業以外の時間です。材料を受け取りに行く時間、袋を開けて仕分ける時間、完成品を数えて詰める時間、納品に行く時間。これらは工賃に含まれません。1個あたりの手の動きだけで見積もると、実際の時間あたりの金額は下がります。

作業の速度は「工程を分ける」ことで上がる

内職を始めた人が最初につまずくのは、速度です。

慣れていないうちは、1本ずつ完成させようとします。パーツを取る、差す、接着する、巻く、盆に並べる。これを1本ごとに繰り返すと、道具を持ち替える回数が増えます。

速い人は、工程ごとにまとめます。50本分のパーツを先に並べる。50本分を差し込む。50本分に接着剤をつける。50本分を巻く。手の動きが同じ作業を続けるので、迷いが消えます。この切り替えだけで、体感の速度が変わります。

道具の配置も効きます。利き手の側に接着剤とテープ、反対側に材料の袋、正面に作業面、奥に完成品を並べる盆。取る位置が毎回同じになると、目で探す時間が消えます。

接着剤の扱いにも工夫があります。容器から直接つけると量が安定しません。小皿に少量を出して、竹串や爪楊枝で運ぶ形にすると、量が一定になり検品で戻される数が減ります。乾く前に容器の蓋を閉める。この手間で、途中で固まって使えなくなるのを防げます。

そして、区切りを決めることです。手作業の内職は、終わりが見えないまま続けると体が壊れます。50本ごとに立ち上がる、1時間ごとに肩を回す、目を休める。納期に追われて夜通し続けた結果、手首を痛めて何週間も受けられなくなる。この形で仕事を失う人が、実に多いのです。

検品で戻された分については、最初に扱いを確かめておきます。作り直しの工賃が出るのか、出ないのか。材料の再支給があるのか。ここを聞かずに始めると、戻されるたびに無償の作業が積み上がります。家内労働手帳に単価と条件が書かれていれば、この確認も簡単です。

1日の時間の組み方と、家族との段取り

内職が続くかどうかは、腕よりも段取りで決まります。とくに家に人がいる時間帯と作業の時間帯が重なると、思ったように進みません。

まず、作業の時間を固定します。毎日1時間でも、時間帯を決めて同じ時間に座るほうが、気分で始める形より総量が増えます。人は「やる気が出たらやる」という段取りでは動けません。時間を先に決めて、そこに体を運ぶほうが確実です。

次に、材料と完成品の場所を分けます。同じ机の上に混ぜると、数を数えるときに間違えます。未着手の袋は左、作業中は正面、完成品は別の箱に入れて蓋をする。この3か所が固定されていれば、途中で中断しても再開できます。内職はまとまった時間が取れない人がやる仕事ですから、5分で中断できて5分で再開できる形にしておくことが重要です。

家族への説明も、先にしておきます。作業中の机に触らないこと、完成品の箱を動かさないこと、接着剤を子どもが触れる場所に保管しないこと。この3つを伝えておけば、あとで起きる事故が減ります。小さな子どもがいる家庭では、パーツを口に入れる危険があります。作業する部屋に鍵をかけられないなら、子どもが起きている時間は接着とワイヤーの工程を避けて、パーツの仕分けだけにするという分け方もあります。

納期の設計も、自分側で1段きつくしておきます。委託された納期の前日に終わる予定で組む。手作業は、体調と家庭の都合で必ず崩れます。前日に余白を作っておけば、1日寝込んでも間に合います。この余白がない人は、納期に追われて夜通し作業し、体を壊します。

数量の交渉は、遠慮せずに最初からします。「今回は100本でお願いします」と言われたときに、自分の速度で計算して間に合わないと思ったら、その場で本数を減らしてもらいます。受けてから遅れるより、最初に少なく受けて全部納めるほうが、次の依頼につながります。仕事を出す側が一番困るのは、納期の直前に「できませんでした」と言われることです。正確に納める人は、少ない本数から始めていても信頼されます。

体の使い方も、続けるための条件です。同じ姿勢で手先を動かし続けると、首と肩と手首に負担が集まります。座面の高さを机に合わせる、肘を浮かせない、手元に十分な明るさを確保する。この3つで、痛みが出るまでの時間が延びます。すでに痛みがあるときは、我慢して続けずに休みます。手を痛めると、内職そのものができなくなります。

受注先は「窓口から探す」ほうが確実

造花の内職の受注先は、大きく4つの経路があります。

1つ目は、都道府県労働局と労働基準監督署です。家内労働を監督する立場なので、地域の委託者の状況を把握しています。内職に関する相談窓口を置いている労働局もあります。最低工賃が設定されているかどうかも、ここで確かめられます。

2つ目は、市区町村の内職相談です。自治体によって名前が違い、内職あっせん、内職相談室、就労支援の一部として扱われている場合があります。地元の事業者と結びついているので、材料の受け渡しが近い場所で済むという利点があります。

3つ目は、地場の事業者への直接の問い合わせです。造花や装飾を扱う会社、仏花や仏具を扱う会社、イベントの装飾を請け負う会社などが、繁忙期に手を借りたいと考えていることがあります。電話やお問い合わせの窓口から、内職として受けられる作業があるかを尋ねる形です。断られることが多い方法ですが、当たると長く続きます。

4つ目は、求人サイトです。「内職」「在宅」「軽作業」といった言葉で探せます。ただしここには、自宅作業ではなく工場や作業所に通う求人が多く混ざります。仕事の場所が自宅なのか、材料の受け渡しをどうするのかを必ず確かめます。

どの経路でも、最初に確かめる項目は同じです。作業の内容、1個あたりの工賃、1回に渡される数量、納期、材料の受け渡し方法、検品で戻された場合の扱い、家内労働手帳を交付してもらえるか。この7つを聞いて、答えが濁らない相手を選びます。

仕事の量は、季節で大きく動きます。彼岸、お盆、年末年始、卒業と入学の時期、母の日。造花や装飾の需要が上がる時期の前に注文が集中します。受注先を1社に絞ると、閑散期に仕事がなくなります。2社と関係を持っておくほうが、年間で見たときの波が小さくなります。

悪質な勧誘は、厚生労働省が事例を公表している

内職を探す人を狙った勧誘があります。厚生労働省は、これを「インチキ内職」として事例を公表しています。

内職講習会と称して多額の受講料等を取り、委託した仕事については種々の条件をつけて買いたたいたり、仕上り具合を問題にして買上げを拒否する。 出典: 厚生労働省

同じページでは、ほかに2つの型が挙げられています。相当の工賃収入が得られると宣伝して、高額の機械を市価の倍ほどの価格で売りつけ、工賃の取り決めはあいまいにするという型。そして、あて名書きの内職で報酬を申込数に応じた歩合制とし、返還すると言って担保金を集めたうえ、業務をやめてもなかなか返還しないという型です。厚生労働省は、パソコンを使って自宅で簡単にできる内職という広告で講習料を取る形も現れていると書いています。

見分け方は、ひとつに絞れます。仕事を受ける前に、こちらがお金を払う話が出てきたら止まる。 受講料、登録料、機械の購入代、材料の保証金、担保金。名前は何でも構いません。働く前に支払いが発生する仕組みは、家内労働の本来の形ではありません。造花の内職でも、専用の道具を買わせる、材料費を先払いさせるという話が出ることがあります。

厚生労働省は同じページで、誰にでもできる簡単な仕事で高収入が得られるような「うまい話」はありえないと明記しています。工賃の水準は、先に挙げた相場のとおりです。手作業の内職で短時間に大きな金額が入る仕組みは存在しません。

確かめる先も決まっています。都道府県労働局、労働基準監督署、そして消費者庁が案内している消費生活の相談窓口です。案内は消費者庁のサイトから確認できます。契約書を見せられて迷ったら、署名する前にどこかに相談する。この1手間で、被害はほぼ防げます。

接着剤と換気は、軽く考えてはいけない

造花の内職で見落とされやすいのが、安全と健康です。

家内労働法は、仕事を出す側にも受ける側にも、災害を防ぐための措置を求めています。仕事を出す側は、有機溶剤を含む接着剤などの有害物について、漏れたり発散したりするおそれのない容器を使い、容器の見やすいところに有害物の名称や取扱い上の注意事項を記載しなければなりません。危害防止のための「作業心得」などの書面の交付も義務です。

受ける側が守ることも決まっています。厚生労働省はこう書いています。

接着剤の中には、体に害のある有機溶剤を含んでいるものがあります。このような危険有害な原材料等を使用する場合には、換気をよくして中毒にかからないようにしましょう。 出典: 厚生労働省

同じページには、ストーブなどの火に近づけて火事にならないよう注意することも書かれています。冬に暖房を使いながら作業する場面は多いので、ここは具体的な注意です。

実務として押さえる点は3つです。作業中は窓を開けるか換気扇を回す。接着剤の容器は蓋を閉めて、子どもの手が届かない場所に保管する。頭が痛い、気分が悪いと感じたら、その時点で手を止めて外の空気を吸う。

労災保険については、期待しないほうが正確です。家内労働者にも労災保険の特別加入という仕組みがありますが、対象は限定列挙です。プレス機械や旋盤などを使う金属や樹脂の加工、研削盤やバフ盤を使う作業、有機溶剤を用いる履物や鞄などの製造、陶磁器の製造にかかる粉じん作業や絵付け、動力の織機を使う作業、仏壇や木製食器にかかる木工機械の作業。この6つの作業に年間を通じて常態として従事する人が対象です。造花の組み立てはここに含まれていません。

つまり、作業中にけがをしても労災保険は使えない前提で考えます。加入している健康保険で治療を受ける形になります。だからこそ、無理な姿勢を続けない、刃物やワイヤーの端の扱いに気をつける、手元を明るくするといった日常の備えが効きます。

なお、仕事を出す側には家内労働死傷病届の提出義務があります。委託した業務に関して負傷や疾病で4日以上休んだ場合や死亡した場合は、労働基準監督署へ速やかに届け出る決まりです。けがをしたときは、まず委託者に報告します。

工賃には税金の扱いがあり、知らないと損をする

工賃を受け取ったら、税金の話が出てきます。ここには、知っている人だけが使える特例があります。

国税庁のタックスアンサーには、家内労働者等の必要経費の特例が置かれています。

事業所得または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として69万円まで(令和7年分は65万円、令和2年分から令和6年分までは55万円。以下同じです。)認められる特例があります。 出典: 国税庁

意味するところは単純です。実際にかかった経費が69万円より少なくても、令和8年分については69万円までを経費として計算できます。造花の内職で使う道具や材料の費用は多くありませんから、この特例の効き方は大きいのです。

数字を押さえます。この特例に該当する所得しかない人で、その年の総収入金額が173万円以下の場合は、総所得金額が基礎控除額の104万円以下となるため、本人に所得税は課されません。総収入金額が131万円以下の場合は、扶養している人の所得税の計算上、配偶者控除や扶養控除の対象になります。

ただし条件があります。給与の収入金額が69万円以上ある人は、この特例を受けられません。パートと内職をかけ持ちしている場合は、ここで判断が分かれます。給与が69万円未満のときは、69万円からその給与に係る給与所得控除額を差し引いた残額と、実際にかかった経費を比べて高いほうが必要経費になります。

「65万円」と書いてある解説が世の中に多く残っていますが、それは令和7年分の数字です。令和8年分は69万円です。年が変わると額が動くので、申告の前に国税庁の該当ページを開いて確かめます。

住民税の申告は、所得税とは別に考えます。所得税の確定申告が不要な額でも、住民税の申告が必要な場合があります。申告の期限や提出先は、1月1日現在の住所地の市区町村です。金額の判断は事情によって変わるので、自分のケースを窓口で確かめてください。

記録の残し方だけは、初めから整えます。家内労働手帳の控え、工賃の振込がある通帳、道具や材料を買った領収書。この3つを月ごとにまとめておけば、申告の時期に慌てません。

手作業の内職を、次にどうつなげるか

運営者として在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から言うと、手作業の内職は「橋」として機能することが多い仕事です。

いま働けない事情がある人が、まず手を動かして収入を作る。生活の型が安定してきたら、次の段階へ移る。この順番で進む人を何人も見てきました。最初から高い単価の仕事を探そうとして動けなくなる人より、手作業から始めた人のほうが先に進んでいます。理由は単純で、働くリズムが体に入るからです。

そして、続く人には共通点があります。単発の作業をこなすことではなく、「この人に頼むと楽だ」という関係をつくることに時間を使っています。納期を守る。数を間違えない。困ったときに早く連絡する。この3つを積み上げた人には、閑散期でも仕事が回ってきます。技能の高さより、信頼の積み上げが効く世界です。

単価を一段上げたいなら、難しい工程を引き受けられるようになるのが近道です。内職の世界では、同じ分野の中でも求められる技能によって単価に差があります。

電子部品の組み立ては、未経験者でもできる単純作業のものから、専門知識やスキルが必要な複雑な作業工程のものまであります。比較的難易度が低いものは、パーツを組み合わせる、指定の箇所にネジを留めるなどの作業を行います。一方、高度なスキルが必要な作業ではハンダ付けによる組み立て作業が多いです。組み立て作業の難易度によって単価相場は異なりますが、一般的な目安は10~50円程度です。 出典: fc-hikaku.net

同じ分野の中で、簡単な工程と難しい工程で単価が5倍違う。造花でも同じことが起きます。組み立てだけを続けるのか、束ねと仕上げまで任されるようになるのか。ここで手元に残る額が変わります。

ただ、手を速くする方向には上限があります。だから、もう1本の道を用意しておく価値があります。

たとえば、文章の仕事です。造花や装飾の知識は、商品説明や手順の解説を書くときに武器になります。文字単価の上げ方を整理したWebライターが文字単価を上げる方法【2026年版】|1円→5円のステップにある考え方は、手作業から言葉の仕事へ移るときの道筋として読めます。単価の幅を知りたいなら著述家,記者,編集者の年収・単価相場が目安になります。

やり取りの作法を整えることも、そのまま単価に効きます。見積もりの出し方、納品の連絡、条件を確かめる文面。ここが整っている人は、同じ技能でも良い条件を引き寄せます。ビジネス文書検定で問われる内容は、内職の受注先とのやり取りにもそのまま使えます。

在宅の仕事の幅を先に知っておくのも役に立ちます。Webデザイナー 年収のリアル:30代フリーランスが語る稼ぎ方とキャリアパスには、在宅で続けた人がどこへ向かったのかが書かれています。もう少し先を見るならアプリケーション開発のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事の領域があり、ソフトウェア作成者の年収・単価相場を見れば到達点の差も分かります。いま造花を組んでいる人が明日そこへ行けるわけではありません。ただ、道が続いていることを知っているだけで、いまの手作業の意味が変わります。

最後に、いま迷っている人へ。造花の内職を選ぶことは、後退ではありません。働ける形で働きはじめることが、いちばん確かな一歩です。そして、家内労働手帳を出す相手を選び、単価と時間を自分で計算し、換気をして手を休める。この4つを守っていれば、無理なく続けられます。続いた先で、次の選択肢が見えてきます。

よくある質問

Q. 造花の内職は、どこで受注先を探せばよいですか?

経路は4つあります。都道府県労働局と労働基準監督署、市区町村の内職相談の窓口、造花や装飾を扱う地元の事業者への直接の問い合わせ、そして求人サイトです。求人サイトには自宅作業ではなく工場に通う求人が混ざるため、作業場所と材料の受け渡し方法を必ず確かめてください。閑散期に備えて2社と関係を持っておくと波が小さくなります。

Q. 家内労働手帳とは何ですか。必ずもらえるのですか?

仕事の内容、工賃の単価、支払期日などを記録するもので、家内労働法は仕事を出す側に交付の義務を課しています。委託のつど、物品を受け取るつど、工賃を支払うつどに記入されます。交付をためらう相手は他の決まりも守っていない可能性が高いため、最初の面談で「家内労働手帳は出してもらえますか」と確かめるのが確実です。

Q. 工賃はいつまでに支払われますか?

家内労働法は、委託者が製品を受け取った日から1か月以内の支払いを義務づけています。毎月一定の日を工賃の締切日と定めている場合は、その締切日から1か月以内です。検品をするかどうかは関係がなく、「検品が終わっていないから払えない」は理由になりません。支払いは原則として現金で全額、同意があれば振込も認められています。

Q. 内職の収入に税金はかかりますか?

家内労働者等に当たる場合、令和8年分は必要経費として69万円までが認められる特例があります。この特例の対象で総収入金額が173万円以下なら本人に所得税は課されず、131万円以下なら扶養している人の配偶者控除や扶養控除の対象になります。ただし給与の収入が69万円以上ある人は使えません。判断に迷うときは税務署の窓口で確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年5月21日最終更新:2026年9月25日
中西 直美

この記事を書いた人

中西 直美@SOHO編集部

産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。

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