医療機器メーカーは職場によって何が違うのか|規模と運営で変わる働きやすさ


この記事のポイント
- ✓医療機器メーカーへの転職でおすすめの職場を選ぶ前に知っておきたい
- ✓外資系・国内大手・専業の中堅・販売代理店の違い
- ✓規模や運営の仕方で変わる担当範囲
「医療機器メーカーに転職したい。でも、どこを選べばいいのか分からない」。
こういうご相談、本当によくあります。
検索すると「おすすめ企業ランキング」や「隠れ優良企業の一覧」がたくさん出てきますよね。でも、ランキングの上のほうの会社に入った人が、みんな働きやすいと感じているわけではありません。
同じ医療機器メーカーでも、外資系か国内の会社か、大きな会社か中くらいの会社か、メーカーなのか販売代理店なのかで、職場の中で起きていることはまったく違います。
そして、どれが合うかは、その人の暮らし方や、大切にしたいことによって変わります。
大丈夫ですよ。「どこがおすすめか」を探す前に、「職場によって何が違うのか」を知っておけば、自分に合う会社は自然と絞れてきます。
この記事では、医療機器の業界にある職場の種類ごとに、中で何が起きているかを整理します。そのうえで、規模や運営の仕方で変わる働きやすさと、求人票や面接での確かめ方をお話しします。
医療機器の業界には、4つの種類の職場がある
まず、全体の地図を持っておきましょう。
医療機器に関わる会社は、ざっくり分けると次の4つの種類があります。
・外資系の医療機器メーカーの日本法人 ・国内の大手メーカー(医療機器以外の事業も持つ会社を含む) ・特定の分野に絞った、専業の中堅メーカー ・複数のメーカーの製品を病院に届ける、販売代理店(ディーラー)
求人票の上では、どれも「医療機器の営業」「医療機器のサービスエンジニア」と書かれていることが多いです。
たとえば、外資系の日本法人では、製品を作る工場は海外にあり、日本では販売とマーケティング、国への承認申請が仕事の中心になります。国内の大手メーカーでは、開発や製造の拠点が国内にあり、同じ会社の中で工場や研究所とやり取りしながら仕事が進みます。
専業の中堅メーカーは、たとえば眼科の手術機器だけ、透析の関連製品だけ、というように、分野を絞っています。社員の数が多くないぶん、1人が担う範囲が広くなります。
販売代理店は、メーカーではありません。複数のメーカーの製品を仕入れて、病院に納品し、在庫を管理し、急に必要になったときには届けに行きます。病院の現場にもっとも近い場所で働く会社です。
この4つの違いは、年収の水準だけでなく、1日の過ごし方、評価のされ方、休みの取りやすさ、転勤の有無にまで広がっています。
「医療機器メーカーに転職したい」と思ったとき、多くの人は製品の分野から考え始めます。それも大切です。ただ、実際に毎日の働きやすさを左右するのは、分野よりも、この「どの種類の職場か」のほうであることが多いのです。
次から、それぞれの職場の中で起きていることを、ひとつずつ見ていきます。
外資系の日本法人で起きていること
外資系の医療機器メーカーは、給与の水準が高いことでよく知られています。
JACの実績※では、外資系医療機器メーカーの平均年収は約830.0万円です。年収のボリュームゾーンは650万円~950万円となっています。下記の表は年代別の平均年収ですが、企業規模や担当する領域、これまでのご経験によって、20代でも年収が800万円を超えるケースや30代・40代で年収2,000万円以上のケースもあります。 出典: jac-recruitment.jp
これは転職支援会社の実績に基づく数字なので、外資系に転職した人の中でも、ある程度の経験を持つ人の分布だと考えておくとよいでしょう。
では、この給与の水準の裏側で、職場の中では何が起きているのでしょうか。
成果が数字ではっきり評価される 外資系では、年収のうち成果に応じた報酬(インセンティブ)の比重が大きいことが多いです。担当地域の売上の目標を達成したかどうかで、年収が大きく変わります。目標を超えれば大きく増える一方、届かなければ思っていたより低くなることもあります。
本国の方針が、日本の職場に直接届く 事業の方針は、海外の本社で決まることが多いです。ある製品の分野から撤退する、別の会社と統合する、組織を組み替える。こうした決定が、日本の社員にとっては突然に感じられる形で伝わることがあります。
英語を使う場面がある すべての社員が英語を話す必要はありませんが、上の役職に進むほど、海外の上司とのやり取りや、英語の資料を読む機会が増えます。
休みや働き方の自由度は、比較的高い傾向 成果で評価される分、働く時間や場所の裁量が大きい会社も多いです。直行直帰や在宅での事務作業が認められていたり、休みを自分の判断で取りやすかったりします。
こういうご相談がありました。
外資系に移って年収は上がったけれど、四半期ごとの数字の報告が近づくたびに、夜眠れなくなるという方です。その方は、仕事そのものは好きでした。ただ、数字を追う緊張がずっと続く生活が、自分の体に合っていなかったのです。
外資系が合うのは、成果で評価されることにやりがいを感じられる人、組織の変化を「そういうものだ」と受け止められる人です。安定を何より大切にしたい人には、少し疲れやすい環境かもしれません。
また、外資系でキャリアを重ねる人の中には、製品の導入や承認申請を複数の部門と一緒に進めるプロジェクトの経験を積み、プロジェクトの管理の資格を取る人もいます。数字だけでなく、こうした経験をどう評価してもらえるかも、会社を選ぶときの視点になります。
国内の大手メーカーで起きていること
国内の大手メーカーは、「安定している」「福利厚生が手厚い」というイメージで選ばれることが多いです。
実際、中で起きていることを見ると、そのイメージには理由があります。
評価は、成果と年次の両方で決まる 国内の大手メーカーでは、成果に応じた報酬の比重は外資系より小さく、基本給と賞与が年収の中心になることが多いです。1年ごとの数字の波で年収が大きく上下することは少なく、長く勤めるほど着実に上がっていく形になりやすいです。
異動と転勤がある いろいろな部署や地域を経験させて人を育てる考え方の会社が多く、数年ごとに担当地域が変わったり、営業から企画の部署に移ったりすることがあります。全国に拠点がある会社では、住む場所が変わる転勤も珍しくありません。
社内の手続きに時間がかかる 組織が大きい分、新しいことを始めるときには、何段階もの承認が必要になります。現場で「こうしたほうがいい」と思っても、実現までに時間がかかることがあります。
福利厚生と教育の仕組みが整っている 住宅の手当、育児や介護の休業の制度、研修の体系などが整っていることが多いです。制度を実際に使っている人が多いかどうかも、会社によって違いはありますが、制度の土台はしっかりしています。
また、国内の大手メーカーの中には、医療機器だけでなく、カメラや電子部品、化学製品など、別の事業を持つ会社もあります。この場合、医療機器の部門は会社全体の中の一部です。会社全体の方針で、医療機器の部門に力が入ったり、逆に縮小されたりすることもあります。
こういうご相談がよくあります。
「子どもがまだ小さいので、転勤はできない。でも、大手の安定も捨てがたい」というものです。
大丈夫ですよ。国内の大手でも、転勤の範囲を限定する働き方(地域限定の社員など)を用意している会社があります。その場合、給与や昇進の幅が少し変わることがあるので、求人票や面接で具体的な条件を確かめておきましょう。
国内の大手が合うのは、長く勤めながら少しずつ経験を広げたい人、制度に守られた環境で家庭と仕事を両立したい人です。一方、自分の判断ですぐに動きたい人には、手続きの多さがもどかしく感じられるかもしれません。
専業の中堅メーカーと、販売代理店で起きていること
次に、規模が中くらいの専業メーカーと、販売代理店について見ていきます。ここは、ランキングの記事ではあまり取り上げられませんが、働きやすさの面で大切な選択肢です。
専業の中堅メーカー
特定の分野に絞っている会社では、その分野の知識が社内に深く蓄積されています。医師との関係も長く続いていることが多く、分野の専門家として認められやすい環境です。
中で起きていることの特徴は、1人が担う範囲の広さです。
・営業が、製品の説明だけでなく、導入後の使い方の指導や、簡単な点検まで担う ・薬事や品質保証の担当者が少人数で、複数の製品を並行して見ている ・社長や役員との距離が近く、現場の意見が経営に届きやすい
範囲が広い分、早いうちからいろいろな経験を積めます。一方で、担当者が休むと代わりがいない、ということも起きやすいです。
休みの取りやすさは、会社の人数と、仕事を分け合う仕組みがあるかどうかで大きく変わります。規模が小さくても、チームで担当を分け合っている会社では、休みはとても取りやすいです。
医療機器メーカーで働く人の声として、こんな感想もあります。
周りに有給消化率100%の人が何人もいる程度に休みは取りやすい 全休/半休/1Hごとの時間休の形態はとても良いと感じた 出典: reashu.com
1時間単位で休みを取れる制度があると、子どもの行事や通院などに合わせやすくなります。こうした制度は、会社の規模にかかわらず、あるかないかで働きやすさを大きく左右します。
販売代理店(ディーラー)
販売代理店は、病院とメーカーのあいだに立つ会社です。
中で起きていることは、メーカーとはかなり違います。
・複数のメーカーの製品を扱うため、覚える製品の数が多い ・病院からの急な注文に応じて、手術に必要な製品を届けに行くことがある ・病院の中に在庫を置いて管理し、使った分を補充する ・地域に密着していて、転勤が少ない会社が多い
病院の現場に毎日のように出入りするので、医療者との距離はとても近いです。一方で、手術の予定に合わせた早朝の対応や、緊急の呼び出しがある会社もあります。年収の水準は、メーカーと比べると控えめな傾向があります。
販売代理店は、「地元で長く働きたい」「医療の現場の近くにいたい」という人にとって、よい選択肢になることがあります。そして、代理店で経験を積んでから、メーカーに転職する人も少なくありません。
規模と運営の仕方で、働きやすさはこう変わる
ここまで、4つの種類の職場を見てきました。
でも実は、同じ種類の会社の中でも、働きやすさにはかなりの差があります。その差を生んでいるのは、会社の「運営の仕方」です。
働きやすさを左右する運営の違いを、いくつか挙げてみます。
担当地域の広さと、移動の仕方 同じ営業職でも、1人が担当する地域が県内の一部なのか、複数の県にまたがるのかで、移動の時間が大きく違います。車で1日に数百キロ走る会社もあれば、電車で都市部の病院を回る会社もあります。
オンコール(呼び出し)の仕組み 手術で使う製品を扱う会社では、夜間や休日に呼ばれることがあります。これを当番制でチームに分けている会社と、担当者がそれぞれ自分の取引先に対応する会社では、負担がまったく違います。
成果の評価の仕方 売上の数字だけで評価する会社と、導入後の使い方の支援や、取引先からの信頼など、数字以外の働きも評価する会社があります。数字だけの評価だと、成果が出にくい地域の担当になったときに苦しくなります。
休みを取るときに、代わりがいるか これは制度よりも、実際の運用の問題です。有給休暇の日数が多くても、代わりに対応する人がいなければ、実際には休めません。
在宅での事務作業が認められているか 報告書の作成や、社内の会議など、病院に行かなくてもできる仕事を自宅でできる会社もあります。通勤や移動の負担が減るので、家庭との両立がしやすくなります。
営業所の人数と、上司との距離 地方の営業所では、数人の少人数で広い地域を担当していることがあります。上司が別の県の拠点にいて、日々の相談はオンラインだけ、という形も珍しくありません。都市部の大きな営業所では、同僚が近くにいて、困ったときにすぐ声をかけられます。一人で考えて動くことが得意な人と、身近に相談相手がいてほしい人とでは、合う形が違います。
主力製品の世代交代の時期 医療機器は、数年ごとに新しい世代の製品に切り替わります。新製品の発売前後は、研修や病院への説明が一気に増え、職場全体が忙しくなります。反対に、主力製品が他社に押されている時期は、数字の目標に対する緊張が高まりやすくなります。面接で「今、力を入れている製品は何か」を聞くと、入社後の忙しさの見通しが立てやすくなります。
こういうご相談がありました。
「前の会社も今の会社も、同じ種類の外資系。でも、今の会社のほうがずっと働きやすい」という方です。理由を聞くと、今の会社はオンコールをチームで回していて、自分が休みの日には必ず別の人が対応してくれるから、ということでした。
年収や会社の知名度ではなく、こうした運営の違いこそが、毎日の心の余裕を決めます。
私自身も、仕事を選ぶときに、制度の数字ばかりを見ていた時期がありました。休みの日数や手当の額を並べて比べて、いちばん条件のよいところを選んだのに、実際に働いてみると、忙しい時期に誰にも頼れない仕組みで、ひどく疲れてしまったのです。そのとき初めて、「制度があるか」ではなく「その制度が実際にどう使われているか」を見る大切さに気づきました。
扱う製品の分野によっても、職場の空気は変わる
会社の種類と運営の仕方に加えて、もうひとつ働きやすさに関わるのが、扱っている製品の分野です。
同じ会社の中でも、部門によって毎日の過ごし方がまったく違うことがあります。代表的な分野ごとに、職場の中の様子を見てみましょう。
循環器や整形外科など、手術で使う製品の分野
手術の予定に合わせて動くので、朝が早い日が多くなります。医療機関からの求めで手術に立ち会う場面もあり、医師との関係は密になります。
特に循環器の分野では、心臓の緊急の治療で製品が必要になり、夜間や休日に連絡が入ることがあります。やりがいを強く感じる人が多い一方で、生活のリズムは崩れやすい分野です。
注射針や輸液セットなど、消耗品の分野
病院で毎日たくさん使われる製品を扱います。手術室に入る機会は少なく、平日の日中に病院の購買の部署や看護部を回る動きが中心です。
一度採用されると長く使われるので、急な呼び出しは少なく、予定を立てやすい分野です。そのぶん、価格の交渉や代理店との調整といった、地道なやり取りが仕事の多くを占めます。
CTや超音波診断装置など、大型の装置の分野
1台の価格が高いので、病院が導入を決めるまでに、数か月から年単位の時間がかかります。短い期間で成果を求められるより、長い時間をかけて信頼を積み上げていく働き方です。
導入後の操作説明や保守は、サービスエンジニアやアプリケーションの担当者が担います。営業職でも、装置が止まったときの連絡に対応することがあります。
在宅医療で使う製品の分野
在宅酸素や、睡眠時無呼吸の治療器など、患者さんの自宅で使う製品を扱います。病院だけでなく、訪問看護の事業所や、患者さんのご家族と話す機会が多くなります。
人と丁寧に向き合う時間が長いので、医療職の経験がある方にとっては、臨床の感覚を活かしやすい分野でもあります。
こういうご相談がありました。
同じ会社の中で、消耗品の部門から循環器の部門に異動になった方です。「会社は変わっていないのに、まるで転職したみたいに生活が変わった」とおっしゃっていました。
求人票を見るときは、会社の名前だけでなく、「どの部門の、どの製品の担当か」まで必ず確かめてください。それが、入ってからの暮らしをいちばん具体的に教えてくれる情報です。
求人票と面接で、職場の実態を確かめる方法
では、実際に応募する会社を選ぶとき、どこを見ればいいのでしょうか。
求人票に書かれている言葉は、どの会社も似ています。「風通しのよい職場」「ワークライフバランス重視」。こうした言葉だけでは、中で何が起きているかは分かりません。
大切なのは、具体的な条件の行を読むことです。
求人票で見る行
・会社の種類:外資系の日本法人か、国内メーカーか、専業の中堅か、販売代理店か ・担当する製品の分野:手術で使う製品か、消耗品か、装置か ・担当地域と勤務地:「全国転勤あり」「エリア限定」「転勤なし」のどれか ・年収の内訳:「基本給+インセンティブ」の場合、インセンティブの比重がどれくらいか ・休日と休暇:年間休日の日数だけでなく、時間単位の有給休暇の制度があるか ・「オンコール対応あり」「緊急対応あり」の記載があるか ・在宅勤務や直行直帰の可否
面接で聞くこと
面接は、会社があなたを選ぶ場であると同時に、あなたが会社を選ぶ場でもあります。遠慮せずに聞いてみてください。
・オンコールの対応は、どのような仕組みで回していますか ・休みを取るとき、担当先の対応はどなたが代わりに担いますか ・評価は、売上の数字以外に何を見ていますか ・この募集は増員ですか、欠員の補充ですか ・入社後の研修は、どのくらいの期間、どんな内容ですか
聞き方にも少し工夫ができます。「残業は多いですか」と聞くと、相手も答えにくいですよね。「忙しい時期は、1日の流れがどう変わりますか」と聞くと、具体的な様子を話してもらいやすくなります。
実際に働いている人の声を聞く
可能であれば、その会社で働いている人や、以前働いていた人の話を聞いてみてください。転職支援会社の担当者に、その会社に入社した人がどのくらい長く続いているかを聞くのも一つの方法です。
もし、今の病院で働きながら医療機器メーカーへの転職を考えている医療職の方なら、病院に出入りしているメーカーや代理店の担当者の働き方を、よく観察してみてください。どんな時間帯に来ているか、疲れた様子はないか。それだけでも、会社ごとの違いが見えてきます。看護師から医療機器メーカーに移る方は、今の年収との比較も大切です。看護師の年収が職場によってどう違うかは、看護師の年収・単価相場で確認できます。夜勤手当を除いた額で比べると、判断しやすくなりますよ。
入社してから慣れるまでに起きること
会社を選んだあとのことも、少しだけお話ししておきますね。
どの種類の職場を選んでも、医療機器の業界に初めて入る人には、最初の半年から1年ほど、慣れるまでの時期があります。この時期に何が起きるかを知っておくと、「自分には向いていないのかも」と落ち込まずに済みます。
最初の1か月から3か月:覚えることの多さに圧倒される
入社してすぐは、製品の知識、関係する病気や体の仕組み、業界のルールなど、覚えることがたくさんあります。医療機器の業界には、医療機関に対して過度な接待や景品の提供をしてはいけないという業界の自主的なルールがあり、この研修も必ず受けます。
医療職から移った方は、医学の知識には強い一方で、会社の書類の書き方や、社内の手続きに戸惑うことが多いです。他の業界から移った方は、その逆で、医学の用語を覚えるところで苦労します。
どちらも、とても自然なことです。
3か月から半年:先輩と一緒に現場を回る
多くの会社では、先輩の担当先に同行しながら、少しずつ仕事を任されていきます。この時期は、会社の研修資料には書かれていない、病院ごとの決まりごとや、医療者との話し方を覚えていきます。
外資系や国内の大手では、同行の期間や教える担当者が決まっていることが多いです。専業の中堅や販売代理店では、忙しい時期だと十分に同行できないまま、担当を任されることもあります。面接で研修の期間を聞いておくのは、このためです。
半年から1年:担当を持ち、自分のやり方を見つける
自分の担当先を持つと、責任の重さを感じるようになります。数字の目標に向き合うのも、この時期からです。
ここで疲れを感じたら、一人で抱え込まないでください。先輩や上司に、「どこで困っているか」を具体的に伝えることが大切です。つまずく場所は、多くの人が同じです。聞いてみると、「自分も同じところで悩んだよ」と言ってもらえることがほとんどです。
慣れるまでの時期にしんどくなるのは、あなたの力が足りないからではありません。新しい環境に体と心が合わせようとしている、ごく自然な反応です。
自分に合う職場を選ぶための、心の整理の仕方
最後に、情報を集めたあとの「選び方」についてお話しします。
情報をたくさん集めると、かえって決められなくなることがあります。どの会社にもよいところと気になるところがあって、比べれば比べるほど迷ってしまう。これは、とても自然なことです。
そんなときは、次の3つの問いを、紙に書き出してみてください。
1. 5年後、どんな暮らしをしていたいか 住む場所を変えたくないのか、年収を上げたいのか、家族との時間を増やしたいのか。仕事の条件ではなく、暮らしの形から考えます。
2. 仕事で、何にいちばん疲れやすいか 数字を追う緊張なのか、急な呼び出しなのか、社内の手続きの多さなのか、長い移動なのか。これまでの仕事を振り返ると、自分が消耗しやすい場面が見えてきます。
3. 何があれば、多少の大変さは乗り越えられるか 患者さんの役に立っている実感なのか、成果が正当に評価されることなのか、チームの仲間なのか。
この3つの答えを並べると、4つの種類の職場のうち、自分に合いそうなものが自然と浮かんできます。
たとえば、「住む場所は変えたくない」「急な呼び出しに疲れやすい」「チームの仲間が支えになる」という答えなら、転勤のない専業の中堅メーカーで、オンコールをチームで分け合っている会社が候補になります。「年収を上げたい」「数字の緊張には強い」「成果を評価されたい」なら、外資系が候補に入ります。
一人で整理するのが難しいときは、キャリアの専門家に相談するのもよい方法です。キャリアの相談を受ける仕事がどんなものかは、職場・転職・キャリア相談のお仕事で紹介されています。相談を受ける専門家の資格については、キャリアコンサルタントのページにまとめられています。話しながら整理すると、自分でも気づいていなかった大切なことが見えてくることがあります。
運営者の視点から見た、「働きやすさ」を選ぶ人の変化
フリーランスや在宅ワークの市場を20年運営してきた立場から見ると、仕事を選ぶ基準は、ここ数年で大きく変わってきました。以前は、年収や会社の知名度で選ぶ人が多かったのに対し、いまは「どんな運営の仕方をしている職場か」「自分の暮らしと両立できるか」を重視する人が増えています。
運営者として見てきた限りでは、長く働き続けている人ほど、1つの職場の条件だけで自分の人生を決めていません。医療機器メーカーで身につけた製品の知識や、医療者とのやり取りの経験を、会社の外でも活かせるように少しずつ準備している人がいます。たとえば、医療機器の使い方を分かりやすく解説する資料作りや、医療系の記事の監修などです。こうした仕事は、仲介の手数料が乗らない直接のやり取りであれば、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側の手取りも厚くなります。
会社の中だけに頼らない選択肢を持っていると、今の職場の条件に対しても、落ち着いて向き合えるようになります。「合わなかったら次がある」と思えることが、かえって今の仕事を長く続ける支えになるのです。
医療機器メーカーへの転職で「おすすめの会社」を探すときは、ランキングの順位よりも、その会社の中で何が起きているかを見てください。外資系か国内か、大手か中堅か、メーカーか代理店か。そして、オンコールや休みの取り方がどう運営されているか。そこまで確かめた先に、あなたにとって本当に働きやすい職場があります。
よくある質問
Q. 医療機器メーカーへの転職で、外資系と国内メーカーはどちらがおすすめですか?
どちらがよいかは、何を大切にしたいかで変わります。外資系は年収の水準が高く成果で評価される一方、数字の緊張や組織の変化が大きい傾向です。国内の大手は評価が安定し福利厚生が整っていますが、異動や転勤があることが多いです。暮らし方と、自分が疲れやすい場面から考えると選びやすくなります。
Q. 医療機器の販売代理店とメーカーでは、働き方はどう違いますか?
販売代理店は複数のメーカーの製品を扱い、病院への納品や在庫管理、急な注文への対応を担います。病院の現場に近く、地域に密着して転勤が少ない会社が多いです。メーカーは自社製品の提案や導入後の支援が中心で、年収の水準は代理店より高い傾向です。代理店で経験を積んでからメーカーに移る人もいます。
Q. 働きやすい医療機器メーカーを見分けるには、何を確かめればよいですか?
制度の有無だけでなく、実際の運用を確かめることが大切です。オンコールをチームで分け合っているか、休むときに代わりの担当者がいるか、時間単位の有給休暇があるか、在宅での事務作業が認められているかを、求人票と面接で確認してください。この募集が増員か欠員補充かを聞くのも参考になります。
Q. 転勤をしたくない場合、医療機器の業界ではどんな選択肢がありますか?
地域に密着した販売代理店は、転勤が少ない会社が多いです。国内の大手メーカーでも、地域限定の社員の制度を用意している会社があります。その場合は給与や昇進の幅が変わることがあるので、条件を確認しておきましょう。専業の中堅メーカーも、拠点が限られていて転勤の範囲が狭いことがあります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
中西 直美@SOHO編集部
産業カウンセラー・キャリアコンサルタント
大手人材会社でキャリアカウンセラーとして15年間従事した後、フリーランスの産業カウンセラーとして独立。在宅ワーカーのメンタルヘルスケアを専門に活動しています。
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