社内向け業務システムのUI改善を外注する範囲|使いにくさの伝え方 2026


この記事のポイント
- ✓業務システムのUI改善を外注する際の依頼範囲
- ✓使いにくさをどう言語化して発注すればよいか
- ✓失敗しない外注先の選び方まで整理します
「業務システムが使いにくい」という声は社内でずっと燻っているのに、いざ改善しようとすると何から手をつければいいか分からない。この記事はそんな担当者向けに、業務システムのUI改善を外注する際の依頼範囲、費用相場、そして最も難しい「使いにくさの伝え方」を整理します。結論から言うと、UI改善の外注は「全面リニューアル」ではなく「困っている画面だけを絞り込んで依頼する」のが最も費用対効果が高い進め方です。
業務システムのUI改善が今、企業の課題になっている背景
業務システムのUI改善というテーマは、ここ数年で急速に注目度が高まっています。理由は単純で、多くの企業が抱える業務システムが10年以上前に構築されたまま、機能追加だけを繰り返してきたからです。当初は使いやすかった画面も、機能が増えるたびにボタンやメニューが継ぎ足され、気づけば操作手順が複雑化しているケースが少なくありません。
経済産業省が公表している資料でも、既存システムの複雑化・老朽化・ブラックボックス化は「2025年の崖」として長年指摘されてきた論点です。UIの使いにくさは単なる見た目の問題ではなく、業務効率の低下や新入社員の習熟コスト増大に直結します。実際、UIが整っていない業務システムでは、同じ作業でも操作にかかる時間が数倍になることが珍しくありません。
業務システムは日々の仕事に直結するツール。一般消費者向けサービスと同様に、ストレスを感じない「使いやすいUI」が求められますが、業務システム特有のニーズが各システムごとに存在します。 出典: zyyx.jp
この指摘の通り、業務システムのUIは一般消費者向けのWebサービスとは求められる要件が異なります。毎日何時間も使うツールだからこそ、少しの操作性の悪さが積み重なって大きな時間ロスになります。逆に言えば、UI改善によって削減できる時間コストも大きく、投資対効果を試算しやすい領域だと言えます。
もう一つの背景として、DX(デジタルトランスフォーメーション)の号令のもとで新規システムを導入したものの、現場の実務フローに合わずに使いにくいまま放置されている企業が増えていることも挙げられます。ベンダーに一括発注して構築したシステムは、要件定義の段階で現場の細かい使い勝手まで詰め切れないことが多く、結果として「機能はあるが使いにくい」画面が残りがちです。
UI改善を外注する前に知っておきたい依頼範囲の考え方
業務システムのUI改善を外注する際、最初につまずくのが「どこまでを依頼範囲にするか」の線引きです。ここを曖昧にしたまま見積もりを取ると、想定外の追加費用が発生したり、逆に必要な範囲が抜け落ちたりします。
全面リニューアルとピンポイント改善の違い
UI改善の依頼は大きく分けて2つのアプローチがあります。1つは業務システム全体のデザインシステムから作り直す「全面リニューアル」、もう1つは特に使いにくいと感じる画面だけを改善する「ピンポイント改善」です。
全面リニューアルは統一感のあるUIを実現できる一方、費用は100万円を超えることも多く、開発期間も数ヶ月から半年以上かかるケースが一般的です。予算と時間に余裕がある大企業向きのアプローチと言えます。
一方でピンポイント改善は、現場から不満が出ている特定の画面(入力フォーム、検索画面、一覧表示画面など)だけを改善するアプローチです。10万円台から着手できるケースもあり、中小企業や個人事業主にとって現実的な選択肢になります。まず小さく始めて効果を検証し、良ければ範囲を広げるという進め方が失敗しにくいと考えます。
依頼範囲を決める3つの軸
依頼範囲を決めるときは、次の3つの軸で整理すると外注先とのコミュニケーションがスムーズになります。
1点目は「対象画面」です。業務システム全体の画面数を洗い出し、その中で使用頻度が高く、かつ不満の声が多い画面から優先順位をつけます。全画面をリストアップするだけでも、外注先に依頼する際の見積もり精度が大きく上がります。
2点目は「改善の深さ」です。ボタンの配置やラベルの文言を変える程度の「表層的な改善」なのか、画面遷移や入力フローそのものを見直す「構造的な改善」なのかによって、必要な工数もスキルセットも変わります。デザイナーだけで完結する改善なのか、エンジニアの実装も必要な改善なのかを事前に切り分けておくと、外注先選びで迷いません。
3点目は「実装の有無」です。UIデザインの提案だけを依頼するのか、実際にコーディングまで含めて依頼するのかで、外注先の職種が変わります。デザインのみならUIデザイナー、実装まで含めるならフロントエンドエンジニアやフルスタックの人材が必要になります。Web・業務システム開発のお仕事では、業務システムの開発や改修を担うエンジニアの働き方や案件例を紹介しているので、実装まで見据えて外注先を探す際の参考になります。
業務システムUI改善の費用相場
費用相場は依頼範囲によって大きく変わりますが、目安として整理すると次のようになります。
画面のヒアリングとUI診断のみであれば、3万円から10万円程度が相場です。実際にデザインを手直しする「1画面あたりのUI改善」は、5万円から20万円程度、複数画面をまとめて依頼する場合は30万円から100万円程度が一つの目安になります。実装まで含めると、フロントエンド側の改修規模次第でさらに費用が積み上がります。
制作会社や代理店を通す場合は、ディレクション費用や中間マージンが上乗せされるため、同じ作業内容でもフリーランスへ直接依頼するより費用が高くなる傾向があります。仲介会社を通した場合、見積もりの内訳にディレクター人件費や管理費が加算され、実際にデザインや実装を行う人材への報酬以外の部分が費用の一定割合を占めることは珍しくありません。フリーランスへ直接依頼すれば中間マージンが発生せず、その分を予算に回せるため、限られた予算で複数画面のUI改善を進めたい中小企業には合理的な選択肢です。
使いにくさをどう言語化して伝えるか
UI改善の外注で最も難しいのが「使いにくさの伝え方」です。社内では「なんとなく使いにくい」という感覚は共有されていても、それを外注先に伝わる形で言語化できていないケースが大半です。ここが曖昧なまま発注すると、外注先も何を改善すればよいか分からず、期待した成果物が上がってこないという事態に陥ります。
日常的に使用する業務システムで、管理画面のUIデザインが整っていないと、「なんとなく操作しにくい」と感じてしまい、結果的に業務効率が低下しやすいです。いくら多額のコストをかけて優れた機能を搭載しても、使う側が十分に使いこなせ... 出典: rekaizen.com
この「なんとなく使いにくい」を具体化する方法をいくつか紹介します。
操作ログや利用データを提示する
もし業務システムに操作ログを取得する機能があれば、特定の画面での滞在時間や、エラーが頻発している箇所を数値で示すと、外注先にとって非常に分かりやすい判断材料になります。「この画面の入力完了まで平均5分かかっている」といった具体的な数値があれば、改善の優先度と効果測定の基準がはっきりします。
現場担当者へのヒアリングメモを共有する
現場担当者に「どの操作でつまずくか」「何回同じミスをするか」を簡単なアンケートやヒアリングで集め、メモとして共有するのも有効です。「検索条件が多すぎて絞り込みに時間がかかる」「保存ボタンの位置が分かりにくく誤操作が多い」といった具体的な声を集めておくと、外注先はそれを起点に改善案を組み立てられます。
画面キャプチャに直接書き込む
言葉だけで伝えるより、実際の画面キャプチャに矢印やコメントを書き込んで「ここが分かりにくい」「ここまでスクロールしないとボタンが見えない」と視覚的に示す方法も効果的です。ツールを使わずとも、画像編集ソフトで簡単な注釈を入れるだけで十分伝わります。
競合や他システムの良い例を添える
自社の業務システムだけを見ていると改善の方向性が見えにくいものです。普段使っている別のツールやサービスで「これは使いやすい」と感じる画面のスクリーンショットを添え、「こういう配置にしたい」と伝えると、外注先とのイメージのすり合わせがスムーズになります。
外注先の選び方で失敗しないためのポイント
UI改善を外注する先には、大きく分けて制作会社・フリーランス・クラウドソーシング経由の個人という選択肢があります。それぞれの特徴を理解した上で選ぶことが重要です。
制作会社を選ぶメリットとデメリット
制作会社に依頼するメリットは、複数人体制でのチェック体制があり、品質が安定しやすい点です。デザイナー、ディレクター、エンジニアが分業しているため、大規模な改修でも進行管理がしっかりしています。一方でデメリットは、費用が高くなりやすく、また担当者が固定されず引き継ぎのたびに説明コストがかかることです。
フリーランスに直接依頼するメリットとデメリット
フリーランスへ直接依頼する最大のメリットは、中間マージンがなく費用を抑えられる点です。同じ予算でより多くの画面を改善できる可能性が高まります。また、担当者が固定されるため、業務システムの仕様や社内事情を継続的に理解してもらいやすく、長期的な改善パートナーとして関係を築きやすいという利点もあります。
デメリットとしては、個人であるため対応できる作業量に限りがあること、また相性の合わない人材を選んでしまうと修正のやり取りに時間がかかることが挙げられます。この点は、実績や過去の制作物をしっかり確認してから依頼することでリスクを減らせます。
クラウドソーシング経由で依頼する場合の注意点
クラウドソーシングサイトを使えば手軽に外注先を探せますが、サイトの手数料が発注金額に上乗せされることが多く、依頼する側にとっては割高になりがちです。また不特定多数の応募者から選ぶため、実績の見極めに時間がかかる点も留意すべきです。
長期的に同じ担当者と付き合いたい場合は、最初の1案件をクラウドソーシングで試してから、気に入った人材と直接契約に切り替えるという進め方も現実的です。
私が発注する側として痛感した失敗談
私自身、以前フリーランスの編集者として複数の媒体で執筆・編集を担当していた際、社内で使う原稿管理システムの改善を外注したことがあります。最初は見積もり金額だけを比較して、最も安い制作会社に依頼したのですが、結果として要件の認識合わせに何度もやり取りが発生し、当初の見積もりより追加費用がかさんでしまいました。
振り返ると、依頼時に「使いにくい」という抽象的な言葉しか伝えておらず、具体的にどの操作の何が問題なのかを言語化できていなかったことが原因でした。次に依頼した際は、現場のヒアリングメモと画面キャプチャへの注釈を用意した上で発注したところ、初回のやり取りだけで意図が正確に伝わり、修正回数も大幅に減りました。安さだけで外注先を選ぶのではなく、要件をどれだけ具体的に伝えられるかが、結果的にコストを左右するという学びを得た経験です。
UI改善プロジェクトの進め方(発注者視点)
実際にUI改善を外注する際の一般的な流れを整理します。
まず「現状把握」の段階では、対象となる画面のリストアップと、それぞれの利用頻度・不満の声を洗い出します。この段階で優先順位をつけておくと、限られた予算内でどこから着手すべきかが明確になります。
次に「要件整理」の段階では、外注先に伝える資料をまとめます。前述したヒアリングメモや画面キャプチャへの注釈がここで活きます。あわせて、改善後にどのような状態を目指すか(操作ステップを何ステップ減らしたいか、入力ミスをどの程度減らしたいか等)のゴールを言語化しておくと、外注先とのゴール共有がスムーズです。
続いて「提案・見積もり」の段階に入ります。複数の外注先候補に同じ要件資料を渡し、提案内容と見積もりを比較検討します。ここで金額だけでなく、提案の中身(どこまで踏み込んだ改善案を出してくれるか)も比較材料にすることをおすすめします。
「制作・実装」の段階では、デザインのモックアップを確認しながら進めます。可能であれば途中経過を複数回確認できる契約にしておくと、完成後に大きな認識違いが発覚するリスクを減らせます。
最後に「検証・振り返り」の段階です。改善後の画面を実際に現場担当者に使ってもらい、意図した効果が出ているかを確認します。可能であれば操作時間やエラー発生率などの数値で効果を測定し、次の改善サイクルに活かします。
外注先選びで確認すべきポイント
外注先を選ぶ際、次の点を確認しておくと失敗を減らせます。
業務システム特有のUIパターン(一覧画面での大量データ表示、複雑な検索条件、権限管理を伴う画面遷移など)を扱った実績があるかどうかは重要な確認ポイントです。一般消費者向けのWebデザインとは求められるスキルセットが異なるため、ポートフォリオに業務システムの改善事例が含まれているかを必ず確認しましょう。
また、修正対応の柔軟さも見逃せません。UI改善は一度の提案で完璧に決まることは少なく、実際に触ってみて初めて気づく違和感が出てくるものです。契約時に修正回数の上限や追加費用の発生条件を明確にしておくことで、後々のトラブルを避けられます。
コミュニケーションのスピードも重要な要素です。社内の別の業務と並行して進めるプロジェクトである以上、返信が遅い外注先だと全体のスケジュールが延びてしまいます。初回のやり取りでのレスポンスの速さや質問の的確さは、その後の進行のしやすさを占う材料になります。
業務システムUI改善のメリットとデメリット
UI改善に取り組むメリットとデメリットを整理しておきます。
メリットとしては、操作時間の短縮による業務効率化、入力ミスの減少、新入社員の習熟期間の短縮などが挙げられます。特に毎日繰り返す定型業務であれば、わずかな操作ステップの削減が積み重なって大きな時間コストの削減につながります。
デメリットとしては、改善後に一時的に操作方法が変わることによる現場の混乱、既存のシステムとの整合性を保つための追加開発コスト、そして改善の効果を定量的に示しにくい場合があることです。これらのデメリットは、事前の周知や段階的なリリース、そして前述の操作ログによる効果測定である程度緩和できます。
発注前に押さえておきたい注意点
UI改善を外注する際、以下の点に注意が必要です。
まず、既存システムのソースコードやデザインガイドラインが整備されていない場合、外注先が現状を把握するための追加調査が必要になり、その分の費用や期間が発生することがあります。事前にどの程度の資料を提供できるかを確認しておきましょう。
次に、セキュリティ面の配慮です。業務システムには顧客情報や社内の機密情報が含まれることが多いため、外注先とNDA(秘密保持契約)を締結すること、また開発環境へのアクセス権限を必要最小限に絞ることが求められます。
さらに、著作権や成果物の権利関係についても契約書で明確にしておくことが望ましいです。デザインデータやソースコードの著作権が発注者側に帰属するのか、外注先に残るのかを事前に確認しておくと、後々の改修や別の外注先への引き継ぎがスムーズになります。
独自データから見る業務システムUI改善の傾向
在宅ワーク・業務委託マッチングの現場を長く見てきた立場から言えば、業務システムのUI改善案件は「一度発注して終わり」ではなく、継続的な改善パートナーとの関係構築に価値を見出す発注者が増えている印象があります。単発の作業を都度別の外注先に依頼するよりも、一人の担当者に継続して関わってもらう方が、システムの背景や現場の事情を都度説明するコストが減り、結果的に改善のスピードも上がるためです。
この観点で見ると、中間マージンが発生しない直接取引は単に費用が安いというだけでなく、同じ予算でより長期的・継続的な関係を築きやすいという側面も持ちます。仲介を挟まない分、発注者はより多くの改善サイクルを依頼でき、受け手側も安定した仕事として腰を据えて取り組みやすくなります。額面上の金額差以上に、この「双方が長く付き合える構造」が発注者にとっての実質的なメリットになっていると、現場を見てきた実感として感じます。
小規模事業者のDX外注|業務効率化を外注で実現する方法と費用では、業務システムのUI改善に限らず、小規模事業者が業務効率化を外注で実現する際の費用感や進め方を幅広く紹介しています。UI改善を含めたDX全体の外注を検討している場合は、あわせて参考にしてみてください。
また、外注先となるエンジニアやデザイナーがどのようなキャリアを歩み、どのようなスキルで案件に取り組んでいるかを知りたい場合は、ソフトウェア作成者の年収・単価相場で市場全体の相場感を確認しておくと、見積もり金額が適正かどうかを判断する材料になります。
業務システムのUI改善は、派手さのないテーマですが、日々の業務効率に直結する分、投資対効果を実感しやすい領域です。まずは対象画面を絞り込み、使いにくさを具体的に言語化した上で、信頼できる外注先に小さく依頼を始めてみることをおすすめします。
よくある質問
Q. 業務システムのUI改善はどこまでの範囲を外注すればいいですか?
まずは現場から不満の声が多い画面に絞ってピンポイントで依頼するのがおすすめです。全面リニューアルよりも予算を抑えつつ効果を検証しやすく、良い結果が出れば範囲を段階的に広げられます。
Q. 業務システムUI改善の費用相場はどれくらいですか?
1画面あたりのUI改善で5万円から20万円程度、複数画面をまとめて依頼する場合は30万円から100万円程度が目安です。制作会社経由だと中間マージンが上乗せされ、フリーランス直接依頼より高くなる傾向があります。
Q. 「使いにくい」という感覚をどう外注先に伝えればいいですか?
操作ログや利用データがあれば数値で示し、無ければ現場担当者へのヒアリングメモや画面キャプチャへの注釈を用意すると伝わりやすくなります。抽象的な表現だけで発注すると認識違いが起きやすいです。
Q. 制作会社とフリーランス、どちらに依頼すべきですか?
大規模で品質管理体制を重視するなら制作会社、費用を抑えつつ長期的な改善パートナーを求めるならフリーランス直接依頼が向いています。予算や改善規模に応じて使い分けるのが現実的です。
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この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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