楽器を貸す副業の始め方|貸し出すまでの手順と破損への備え


この記事のポイント
- ✓使っていない楽器を貸す副業を始めたい人に向けて
- ✓貸すのに向く楽器と向かない楽器
- ✓状態の記録から返却の点検までの手順
家に眠っている楽器を誰かに貸して、少しでも収入にしたいと考える人は少なくありません。買ってはみたものの弾く機会が減ったギターや電子ピアノ、子どもが大きくなって使わなくなった小さなサイズのバイオリンなど、楽器を必要としている人に貸せば、楽器も活躍の場を得られます。一方で、楽器は高価で壊れやすく、貸した楽器が傷ついて戻ってきたときに、修理の費用を誰が負担するかでもめることもあります。この記事では、楽器を貸す副業を始めるために、貸し出しの形、貸すのに向く楽器、貸し出すまでの手順、料金の決め方、契約書に書くこと、破損への備えまでを順に説明します。
楽器を貸す副業の形
楽器を貸す副業には、いくつかの形があります。どの形を選ぶかで、手間と危険の大きさが変わります。
知人や近所の人に直接貸す
もっとも始めやすいのは、知人や近所の人、地域の掲示板などを通じて知り合った人に、直接貸す形です。仲介の手数料がかからない一方で、料金の決め方、契約の取り交わし、受け渡しの段取りを、すべて自分で整える必要があります。知人どうしだと、条件をあいまいにしたまま貸してしまいがちなので、相手が親しい人でも、条件を書面で残すことが大切です。
貸し借りを仲介するサービスを使う
楽器を含む物の貸し借りを仲介するアプリやシェアリングのサービスもあります。こうしたサービスでは、借りたい人を探す手間が省け、料金の受け取りもサービスを通じて行えることが多いのが利点です。ただし、仲介の手数料がかかること、サービスごとに破損の補償の仕組みが違うことに注意が必要です。登録の前に、利用規約で補償の範囲と上限、手数料、トラブルのときの対応を確かめます。
音楽教室やスタジオ、団体と組む
音楽教室やリハーサルスタジオ、地域の吹奏楽団や合唱団などと組んで、体験のための楽器を貸し出す形もあります。教室に通い始めた人が、自分の楽器を買う前に借りたいという需要があります。この形では、教室や団体と、貸し出しの条件や管理の分担を取り決めておく必要があります。
楽器を借りたい人の事情
楽器を貸す副業を考えるときは、借りたい人がどんな事情を抱えているかを知っておくと、貸す楽器や貸し出しの条件を決めやすくなります。
買う前に試したい人
楽器を始めたいけれど、続くかどうか分からないので、まずは借りて試したいという人は多くいます。数週間から数か月の間、自宅で練習してみて、続けられそうなら自分の楽器を買う、という使い方です。この場合、月単位の貸し出しが向いています。
一時的に必要な人
発表会や演奏会、結婚式の余興、動画の撮影などで、一時的に楽器が必要になる人もいます。普段は別の楽器を弾いている人が、その日だけ違う楽器を使いたい、という場合もあります。この場合は、数日から1週間ほどの短い貸し出しになります。
子どもの成長に合わせたい人
バイオリンやチェロなどの弦楽器には、子どもの体の大きさに合わせた小さなサイズの楽器があります。子どもが成長すると、すぐに次のサイズが必要になるので、サイズごとに買いそろえるより借りたいという家庭があります。使わなくなった小さなサイズの楽器は、こうした家庭に貸すのに向いています。
引っ越しや旅行で持ち運べない人
引っ越しの途中や、長い旅行の滞在先で、楽器の練習を続けたいという人もいます。自分の楽器を運ぶのが大変なので、滞在先の近くで借りたいという需要です。
借りたい人に合わせて条件を変える
このように、借りたい人の事情によって、求められる期間や受け渡しの方法が違います。すべての事情に応えようとすると準備が増えるので、最初は「買う前に試したい人に月単位で貸す」「子どもの成長に合わせたい家庭に小さなサイズの弦楽器を貸す」というように、相手を絞って始めると、料金や契約の決まりを整えやすくなります。続けるうちに、よく問い合わせが来る事情が分かってきたら、それに合わせて条件を広げていきます。問い合わせの内容を記録しておくと、どんな人が借りたがっているのかを判断する材料になります。
貸すのに向く楽器と向かない楽器
楽器にはさまざまな種類があり、貸し出しに向くものと、向かないものがあります。
貸し出しに向く楽器
| 楽器 | 向いている理由 |
|---|---|
| 電子ピアノやキーボード | 調律が要らず、状態が変わりにくい |
| アコースティックギター、エレキギター | 需要が多く、弦の交換で状態を保ちやすい |
| ウクレレ | 軽くて運びやすく、始めたい人が多い |
| 小さなサイズの弦楽器 | 子どもの成長に合わせて借りたい需要がある |
| 打楽器の練習用のパッドなど | 構造が単純で壊れにくい |
貸し出しに向かない楽器
高価な楽器や、二度と手に入らない楽器は、貸し出しに向きません。傷や破損が起きたときに、元に戻せないからです。また、アップライトピアノやグランドピアノのように大きくて重い楽器は、運搬に専門の業者が必要になり、費用と危険が大きくなります。思い入れのある楽器も、傷ついたときの気持ちの負担が大きいので、貸し出しの対象からは外しておくほうが無難です。
管楽器の衛生
フルートやクラリネット、トランペットなどの管楽器は、口を付けて演奏するため、衛生への配慮が欠かせません。マウスピースやリードのように直接口に触れる部分は、貸し出しのたびに洗浄する、新しいものに替える、借りる人に自分で用意してもらう、といった取り扱いを決めておきます。洗浄の方法は楽器ごとに違うので、楽器のメーカーの手入れの案内に沿って行います。
楽器ごとの貸し出しの注意
貸し出しに向く楽器でも、楽器ごとに気をつける点が違います。代表的な楽器について整理します。
電子ピアノとキーボード
電子ピアノは、調律が要らず状態が変わりにくい一方で、重くて大きいものが多く、運搬に手間がかかります。持ち運べる大きさのキーボードなら、手渡しや宅配で受け渡しやすくなります。電源のアダプター、ペダル、譜面台などの付属品が多いので、一覧で確かめることが特に大切です。飲み物をこぼすと故障の原因になるので、使い方の注意として伝えておきます。
ギター
ギターは需要が多く、貸し出しに向いた楽器です。弦は使うほど劣化するので、貸し出しのたびに交換するか、一定の期間ごとに交換するかを決めておきます。ネックの反りは、湿度や温度の変化で起きやすいので、保管の場所の注意を伝えます。エレキギターを貸す場合は、アンプやケーブルを一緒に貸すかどうかも決めておきます。
小さなサイズの弦楽器
子ども向けの小さなサイズのバイオリンやチェロは、本体が繊細で、駒や弦が外れやすいものです。借りるのが子どもの場合は、保護者に扱い方を説明し、ケースの開け閉めや保管の注意を伝えます。弓の毛は消耗するので、張り替えの費用を料金にどう含めるかも考えておきます。
ウクレレ
ウクレレは軽くて運びやすく、始めたい人が多い楽器です。値段が手ごろなものも多いので、貸し出しの料金を高くしすぎると、借りるより買うほうを選ばれてしまいます。料金は、新品を買う場合の値段とのつり合いを見て決めます。
貸し出しの案内の作り方
楽器を貸す副業では、借りたい人に向けた案内の分かりやすさが、問い合わせの数と、後のトラブルの少なさを左右します。仲介のサービスに載せる場合も、知人に伝える場合も、案内に書く項目をそろえておきます。
案内に書く項目
- 楽器の名前、メーカー、型番、製造のおおよその年
- 楽器の状態(傷の有無、最後に手入れをした時期)
- 付属品の一覧
- 貸し出しの期間と料金、延長のときの料金
- 保証金の有無と額
- 受け渡しの方法と、対応できる地域
- 使い方の決まり(又貸しの禁止、屋外での使用の可否など)
- 破損やなくした場合の扱い
写真の撮り方
写真は、楽器の全体と、正面、背面、側面、付属品を並べたものをそろえます。傷がある場合は、その部分を隠さずに写します。傷を正直に見せておくと、借りる人が安心でき、返却のときのすれ違いも防げます。電子楽器の場合は、電源を入れて画面が表示されている様子も写しておくと、正しく動くことが伝わります。
楽器を初めて触る人への配慮
借りる人の中には、楽器を初めて触る人もいます。調弦の方法、ケースへのしまい方、保管に向く場所など、基本の扱い方を短くまとめた説明書きを付けておくと、使い方による傷みを防げます。説明書きは、楽器のメーカーの案内を参考にし、分かりやすい言葉で書きます。
貸し出すまでの手順
楽器を貸す副業は、貸し出す前の準備で、後のトラブルの多くを防げます。次の手順で準備を進めます。
1. 楽器の状態を確かめて記録する
貸し出す前に、楽器の状態を細かく確かめます。外側の傷やへこみ、塗装のはがれ、弦やパッドの状態、音が正しく出るかを確かめ、写真と動画で記録します。写真は、全体、正面、背面、側面、気になる傷の部分を、日付が分かる形で残します。音が出る様子を動画で残しておくと、返却のときに状態を比べやすくなります。
2. 付属品の一覧を作る
ケース、弓、ストラップ、チューナー、譜面台、電源のアダプター、ペダルなど、楽器と一緒に貸す付属品の一覧を作ります。付属品は小さなものほどなくしやすいので、一覧に書いておき、受け渡しのときと返却のときに一緒に確かめます。
3. 料金と期間を決める
料金は、1日、1週間、1か月といった期間ごとに決めます。料金の決め方は、後の節で詳しく説明します。期間を延ばしたいときの手続きと料金も、あらかじめ決めておきます。
4. 契約書を用意する
貸し出しの条件を書いた契約書を用意します。契約書に書く項目は、後の節で整理します。知人どうしでも、条件を書面で残しておくことが、関係を守ることにつながります。
5. 借りる人を確かめる
貸し出しの前に、借りる人の名前、住所、連絡先を確かめます。仲介のサービスを使う場合は、サービスの本人確認の仕組みを使います。直接貸す場合は、身分証で名前と住所を確かめ、確かめたことを記録しておきます。身分証の写しを受け取る場合は、その取り扱いに十分に気をつけ、貸し出しが終わったら処分します。
6. 受け渡しの方法を決める
手渡しにするか、宅配で送るかを決めます。手渡しなら、その場で楽器の状態を一緒に確かめられます。宅配で送る場合は、梱包と補償の扱いに注意が必要です。
料金と保証金の決め方
楽器を貸す副業の料金は、楽器の価値と、貸し出しにかかる手間と危険を踏まえて決めます。
料金に含める要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 楽器の価値の目減り | 使うほど弦やパッドが傷み、価値が下がる分 |
| 手入れの費用 | 弦の交換、清掃、調整にかかる費用 |
| 受け渡しの手間 | 受け渡しの時間や、宅配の送料と梱包の費用 |
| 危険への備え | 破損やなくした場合に備える分 |
| 仲介の手数料 | サービスを使う場合の手数料 |
同じような楽器を貸し出している楽器店やサービスの料金を調べ、それを目安にしながら、自分の楽器の状態と手間に合わせて決めます。
期間ごとの料金の考え方
短い期間の貸し出しは、受け渡しの手間に対して料金が少なくなりがちです。1日あたりの料金は、期間が短いほど高めに、長いほど割安にするのが一般的な考え方です。たとえば、1週間の料金を基本にして、1か月の料金はその数倍に抑える、といった決め方です。
保証金を預かる
破損やなくした場合に備えて、貸し出しのときに保証金を預かり、返却のときに楽器の状態を確かめてから返す方法もあります。民法では、賃貸借に伴って預かるお金について、次のように定めています。
民法第622条の2では、賃貸借に伴って預かる「敷金」について、名目を問わず、借りる人の支払いを担保する目的で貸す人に渡すお金を敷金とすると定めています。そのうえで、貸す人が敷金を受け取っている場合は、賃貸借が終わって物が返されたときなどに、受け取った敷金の額から、借りる人がまだ払っていない料金などを差し引いた残りを、借りる人に返さなければならないとしています。
つまり、名目を問わず、借りる人の支払いを担保するために預かるお金は「敷金」にあたり、貸し出しが終わったときに、未払いの料金などを差し引いた残りを返す必要があるということです。保証金を預かる場合は、どんなときにいくら差し引くのかを契約書に書いておき、返すときは差し引いた理由と金額を説明します。
契約書に書くこと
楽器を貸すときの契約は、民法の「賃貸借」にあたります。民法第601条は、賃貸借を次のように定めています。
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。 出典: laws.e-gov.go.jp
つまり、貸す人が楽器を使わせ、借りる人が料金を払い、期間が終わったら楽器を返す、という約束です。この約束の中身を、契約書で具体的に決めておきます。
契約書に入れる項目
- 貸す楽器の名前、型番、付属品の一覧
- 貸し出しの開始日と返却日
- 料金の額と支払いの方法、支払いの時期
- 保証金の額と、差し引く場合の条件
- 使い方の決まり(第三者に又貸ししない、屋外での使用の可否など)
- 破損やなくした場合の修理費や弁償の扱い
- 返却が遅れた場合の料金
- 受け渡しと返却の方法、送料の負担
- 中途で解約する場合の扱い
状態の記録を契約書に付ける
貸し出し前に撮った写真や、楽器の状態を書いたメモを契約書に付けておくと、返却のときに「この傷は前からあった」「なかった」というすれ違いを防げます。借りる人にも写真を確かめてもらい、署名をもらっておくと、後で話し合うときの確かな根拠になります。
文面は分かりやすく書く
契約書は、専門の言葉を並べるより、借りる人が読んで理解できる言葉で書くことが大切です。高額な楽器を貸す場合や、事業として続ける場合は、契約書のひな形を弁護士や行政書士に見てもらうと安心です。
破損への備えと原状回復の考え方
楽器を貸す副業でいちばん気になるのが、楽器が傷ついて戻ってきたときの扱いです。民法第621条は、借りた人が返すときの義務を次のように定めています。
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。 出典: laws.e-gov.go.jp
通常の使用による傷みは借りた人の負担にならない
この条文から分かるのは、普通に使っていて生じる傷み(弦の劣化、わずかな擦れなど)や、時間がたつことで生じる変化は、借りた人が直す義務を負わないということです。一方で、落とした、ぶつけた、雨にぬらした、といった借りた人の不注意による傷は、借りた人が直す義務を負います。どこまでが通常の使用による傷みかは、楽器や使い方で変わるので、契約書で「弦の交換は貸す側の負担」「本体の割れやへこみは借りる側の負担」というように、具体的に決めておくと、もめにくくなります。
修理の費用の決め方
傷ついたときの修理の費用は、楽器店や修理の専門店の見積もりに基づいて決めるのが公平です。契約書に「修理費は修理店の見積もりに基づく」と書いておき、実際に傷ついたときは、見積もりの書面を借りた人に示して話し合います。修理ができないほど壊れた場合や、なくした場合に備えて、弁償の金額の考え方も決めておきます。
保険や補償の仕組みを確かめる
楽器を対象にした保険には、楽器の破損や盗難に備えるものがあります。ただし、保険によっては、他人に貸している間の事故を対象にしないものもあります。保険に入る場合は、貸し出し中の事故が対象になるかを保険会社に確かめます。仲介のサービスを使う場合は、サービスの補償の範囲と上限、補償を受けるための手続きを利用規約で確かめておきます。
友人や知人に貸すとき
友人や知人に貸すときは、修理費を請求しにくいという悩みがあります。親しい関係だからこそ、貸す前に「傷ついたときはこうする」と話し合っておくことが、関係を守ることにつながります。条件を話し合うのが難しい相手や、弁償を求めにくい相手には、貸さないという判断も大切です。
受け渡しと発送の注意
楽器の受け渡しは、楽器が傷つきやすい場面の1つです。
手渡しの場合
手渡しで受け渡す場合は、その場で楽器の状態と付属品を一緒に確かめ、記録の写真と見比べます。使い方の注意、たとえば弦楽器の湿度の管理や、電子ピアノの電源の扱いなどを、その場で説明しておくと、使い方による傷みを防げます。
宅配の場合
宅配で送る場合は、楽器を専用のケースに入れ、さらに段ボールと緩衝材で包みます。宅配の補償には上限があり、上限を超える楽器は送れないことや、壊れ物として扱われても補償が限られることがあります。配送の会社の約款で、楽器の扱いと補償の上限を確かめてから送ります。高価な楽器は、宅配ではなく手渡しを選ぶほうが安心です。
返却の受け取り
返却を受け取ったら、その場で楽器の状態と付属品を確かめます。宅配で返ってきた場合は、開けるところから動画で記録しておくと、配送中の傷と使用中の傷を見分けやすくなります。傷が見つかったときは、すぐに借りた人に連絡し、記録の写真を見ながら話し合います。
返却後の点検と手入れ
返ってきた楽器は、次の貸し出しの前に点検と手入れをします。手入れの丁寧さが、借りる人の満足と、楽器の寿命を左右します。
点検の項目
- 外側の傷やへこみが増えていないか
- 弦やパッド、鍵盤に異常がないか
- 音が正しく出るか、ノイズがないか
- 付属品がそろっているか
手入れの方法
弦楽器やギターは、必要に応じて弦を交換し、本体の汚れを拭き取ります。電子ピアノやキーボードは、鍵盤の汚れを拭き、すべての鍵盤と機能が正しく動くかを確かめます。管楽器は、メーカーの手入れの案内に沿って清掃します。手入れにかかった費用と時間を記録しておくと、料金を見直すときの根拠になります。
楽器を休ませる期間
貸し出しを続けると、楽器の傷みが早く進みます。特に木でできた楽器は、湿度や温度の変化に弱いので、貸し出しの合間に状態を見て、必要なら専門店で調整してもらいます。調整の費用も、料金を決めるときに含めて考えます。
よくあるトラブルと防ぎ方
物を貸す取引では、どれだけ準備をしても、行き違いが起きることがあります。よくある場面と、その防ぎ方を整理します。
返却が遅れる
返却の日を過ぎても楽器が戻ってこないことがあります。返却の日の数日前に、確認の連絡を入れておくと、うっかり忘れを防げます。契約書には、返却が遅れた場合の料金を書いておき、遅れたときはその決まりに沿って話し合います。連絡がつかない状態が続く場合に備えて、借りる人の連絡先を複数確かめておくと安心です。
又貸しされる
借りた人が、さらに別の人に楽器を貸してしまうことがあります。又貸しされると、楽器が誰の手元にあるのか分からなくなり、傷ついたときの責任もあいまいになります。民法でも、借りた人が貸した人の承諾なく又貸しすることは認められていません。契約書に又貸しの禁止を書き、受け渡しのときにも口頭で伝えておきます。
付属品がなくなる
ケースのポケットに入れていた小さな付属品が、返却のときになくなっていることがあります。付属品の一覧を、受け渡しのときと返却のときに一緒に確かめ、なくなっていた場合の扱いを契約書に書いておきます。なくしやすい小さな付属品は、袋にまとめて渡すと、返却のときに確かめやすくなります。
使い方の違いで傷む
弦楽器を暖房の近くで保管し続ける、電子ピアノの上に飲み物を載せる、といった使い方で楽器が傷むことがあります。こうした傷みを防ぐには、受け渡しのときに、やってはいけない使い方を具体的に伝えることが効果的です。説明書きにも書いておくと、借りた人が後から見返せます。
始める前に決めておく自分の決まり
楽器を貸す副業を無理なく続けるには、始める前に自分の決まりを作っておくと迷わずに済みます。
貸す相手の決まり
初めての相手には、短い期間からしか貸さない、未成年には保護者の同意をもらう、といった決まりを作っておくと、危険を抑えられます。仲介のサービスでは、評価の高い人にだけ貸すといった選び方ができる場合もあります。
対応する時間の決まり
問い合わせへの返信や受け渡しに対応できる曜日と時間を決めておきます。本業や家事と両立するには、対応できない時間を先に決め、案内にも書いておくことが大切です。
やめる判断の決まり
傷ついて戻ってくることが続く、手入れの費用が料金を上回る、といった場合に、貸し出しをやめる、料金を見直す、といった判断の目安を決めておきます。数字で記録をつけておけば、続けるかどうかを落ち着いて判断できます。
中古の楽器を仕入れて貸す場合の許可
手持ちの楽器を貸すだけでなく、中古の楽器を買い集めて貸し出しを広げたいと考える人もいます。この場合は、古物営業法との関係を確かめる必要があります。
古物営業法の考え方
古物営業法では、一度使われた物品などを「古物」とし、古物を売買したり交換したりする営業を「古物営業」と定めています。古物営業を行うには、営業所のある都道府県の公安委員会の許可が必要です。法律の条文は、e-Govの古物営業法で読めます。
許可が必要になるかの判断
自分で使うために買った楽器を、使わなくなってから貸したり売ったりするだけなら、古物営業にはあたらないと考えられています。一方で、中古の楽器を仕入れて、貸し出した後に売ることも考えている場合は、古物営業の許可が必要になる場合があります。貸し出しだけを行う場合の扱いも含めて、判断は事業の形で変わるので、仕入れを始める前に、営業所を設ける地域の警察署の窓口で確かめてください。
税金と、副業として続けるための準備
楽器を貸して得た収入も、税金の対象になります。
確定申告の考え方
国税庁のタックスアンサーでは、給与を1か所から受けていて、給与以外の所得の合計が20万円を超える人は確定申告が必要とされています。所得とは、貸し出しの料金から、手入れの費用、送料、仲介の手数料などの経費を差し引いた金額のことです。条件は国税庁のタックスアンサー No.1900で確かめられます。所得税の申告が要らない場合でも、住民税の申告は別に必要になることがあります。
楽器の購入費の扱い
貸し出しのために購入した楽器の費用は、金額によっては、買った年に全額を経費にするのではなく、使える年数に分けて少しずつ経費にする扱いになることがあります。どのように扱うかは、楽器の金額や使い方で変わるので、迷ったときは税務署に相談してください。
本業の就業規則を確かめる
会社員が副業として始める場合は、本業の会社の就業規則で副業が認められているかを先に確かめます。
楽器の経験を在宅の仕事につなげる
楽器を貸す副業に取り組む中で、楽器や音楽に関わる知識が深まると、ほかの仕事にもつながることがあります。
楽器や音楽の記事を書く
楽器の選び方や手入れの方法、始めたばかりの人の練習の進め方を説明する記事の仕事では、楽器を扱ってきた経験が強みになります。在宅で取り組める仕事に役立つ資格は、在宅ワークに強い資格10選|自宅で稼げるスキルを身につけるで紹介しています。
貸し出しの案内を作る力を生かす
楽器の写真の撮り方や、貸し出しの案内のページの作り方を工夫するうちに、商品の見せ方や発信の力が身につきます。SNSの運用やWebのマーケティングに関わる仕事の内容は、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事で紹介しています。
物を貸す副業について見てきたこと
在宅ワークとフリーランスの仲介を2004年から続けてきた運営者として見てきた限りでは、個人どうしの取引を長く続けている人ほど、始める前の取り決めに時間をかけています。物を貸す副業では、トラブルの多くが「言った」「言わない」から始まります。状態の記録、条件の書面、話し合いの手順を最初に整えておく人は、多少の行き違いがあっても関係をこじらせずに済み、同じ人から何度も借りてもらえるようになります。
仕事の依頼を受ける場面でも、仲介の手数料が乗らない直接の取引にも目を向けてみてください。手数料0%で直接取引できる形なら、依頼する側は同じ予算でより多くを頼め、受ける側は手取りが厚くなります。直接の取引だからこそ、条件を書面で整える習慣が生きてきます。
楽器や音楽の経験と組み合わせられる在宅の仕事の種類は、AIコンサル・業務活用支援のお仕事をはじめとするお仕事ガイドで確かめられます。
よくある質問
Q. 楽器を貸すのに許可は必要ですか?
自分で使うために買った楽器を、使わなくなってから貸すだけなら、許可は要らないと考えられています。中古の楽器を仕入れて、貸し出した後に売ることも考えている場合は、古物営業法の許可が必要になる場合があります。事業の形で判断が変わるので、仕入れを始める前に地域の警察署の窓口で確かめてください。
Q. 貸した楽器が傷ついて返ってきたら修理費は請求できますか?
民法第621条では、借りた人は、通常の使用による傷みや経年変化を除き、借りた後に生じた損傷を元に戻す義務を負うとされています。ただし借りた人の責任でない損傷は除かれます。貸す前に状態を写真で記録し、修理費の扱いを契約書に書いておくと、話し合いを進めやすくなります。
Q. 楽器を貸すときの料金はどう決めればよいですか?
楽器の価値の目減り、弦の交換などの手入れの費用、受け渡しの手間、破損への備え、仲介の手数料を踏まえて決めます。同じような楽器を貸している楽器店やサービスの料金を目安にし、期間が短いほど1日あたりの料金を高めに、長いほど割安にするのが一般的な考え方です。
Q. 管楽器を貸すときに気をつけることは何ですか?
口を付けて演奏するので、衛生への配慮が欠かせません。マウスピースやリードなど直接口に触れる部分は、貸し出しのたびに洗浄する、新しいものに替える、借りる人に自分で用意してもらう、といった取り扱いを決めておきます。洗浄の方法は、楽器のメーカーの手入れの案内に沿って行います。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを運営。生成AIで作成した下書きを、一次情報と照らし合わせて確認したうえで公開しています。

この記事を書いた人
@SOHO編集部
フリーランス・在宅ワークの専門メディア
@SOHOは2004年から続く、日本のフリーランス・在宅ワーク向け案件サイトです。記事は生成AIで下書きを作り、数値・固有名・出典を一次情報と照らし合わせる確認の手順を経て公開しています。
関連記事
カテゴリから探す

クラウドソーシング入門
クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド
職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

フリーランス
フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金
確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ
プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング
サービス比較・おすすめランキング

AI活用
職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド
市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド
クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア
転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人
看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人
薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人
介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人
保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人
医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険
生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人
無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース
バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業
契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代
シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ
サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック
暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス
経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材
フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方
子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金
個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

M&A・事業売却
会社売却・事業承継・事業譲渡を考える経営者向け。売却の流れ、税金、従業員への伝え方、仲介会社の選び方

アウトソーシング・外注ガイド
SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方







