学校の保健室のパートという働き方|勤務時間の組み方と、任される範囲


この記事のポイント
- ✓学校の保健室でパートとして働くときの勤務時間の組み方と
- ✓任される仕事の範囲を整理します
- ✓パートの枠が生まれる理由
学校の保健室でパートとして働く。そう聞くと、「保健室の先生の手伝いを短時間でする仕事」を思い浮かべる人が多いと思います。でも実際は、同じパートでも、何のために用意された枠なのかによって、勤務時間の決まり方も、任される仕事の範囲もまったく違います。これ、知らない人が本当に多いんです。
結論から言うと、学校の保健室のパートは「その学校のどの穴を埋めるための枠か」を最初に確かめるのがいちばん大事です。養護教諭の補助なのか、医療的ケアが必要な子どもの担当なのか、健康診断の時期だけの応援なのか。そこが分かれば、勤務時間の組み方も、契約で確かめるべき点も自然と見えてきます。
この記事では、保健室にパートの枠が生まれる理由から始めて、公立と私立で雇われ方がどう違うのか、勤務時間の型、任される範囲と任されない範囲、長期休業中の扱い、契約書で確かめる点までを順番に整理します。
保健室にパートの枠が生まれるのは、4つの事情があるから
学校の保健室は、学校保健安全法で設置が定められていて、中心になるのは養護教諭です。学校教育法では、小学校と中学校には養護教諭を置くことが原則とされています。つまり、保健室の「常勤の担当者」は、法律上もともと想定されているわけです。それなのに、なぜパートの募集が出るのでしょうか。事情は大きく分けて4つあります。
1つ目は、1人配置の負担を補うためです。公立の小中学校で養護教諭が2人配置されるのは、目安として児童851人以上の小学校、生徒801人以上の中学校です。この基準に届かない学校でも、来室が多い、配慮の必要な子が多いといった事情があると、自治体が独自に補助の職員を置くことがあります。養護教諭が授業や会議で保健室を空ける時間の来室対応や、記録の整理を担う枠です。
2つ目は、医療的ケアが必要な子どもへの対応です。2021年に施行された医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律では、学校の設置者に、医療的ケア児が保護者の付き添いなしで通えるよう看護師などを配置する措置が求められています。ケアが必要なのはその子が学校にいる時間だけなので、勤務時間が子どもの在校時間に合わせたパートの形になりやすいのです。
3つ目は、季節による仕事の波です。児童生徒の定期健康診断は、学校保健安全法の施行規則で毎学年6月30日までに行うと決められています。4月から6月に仕事が集中するため、この時期だけ補助を増やす学校や自治体があります。大学でも、4月の学生健康診断の時期は短期の募集が増えます。
4つ目は、大学や専門学校の保健室の運営の形です。大学の保健管理センターは平日の決まった時間に開いていて、複数の看護師や保健師がシフトで回していることが多く、その一部をパートで埋めています。
どの事情で生まれた枠かによって、勤務時間の組み方は変わります。1つ目なら学校の勤務時間に合わせた日中の勤務、2つ目なら子どもの登下校に合わせた勤務、3つ目なら期間限定、4つ目ならシフト制です。求人票を見るときは、まず仕事内容の欄から、この4つのどれにあたるのかを読み取ってみてください。
公立学校のパートは「会計年度任用職員」という枠になる
公立学校で保健室のパートとして働く場合、多くは会計年度任用職員として雇われます。これは2020年4月に始まった地方公務員の制度で、それまで自治体ごとにばらばらだった臨時や非常勤の職員の扱いを、地方公務員法の中に位置づけたものです。
つまり、公立学校の保健室のパートは、民間企業のパートとは違って、自治体に任用される非常勤の地方公務員だということです。この点を知っておくと、募集の出方や契約の考え方が理解しやすくなります。
会計年度任用職員の任期は、名前のとおり1つの会計年度の範囲内です。4月1日から翌年3月31日までが最長で、年度をまたいで働き続けるには、翌年度に改めて任用される必要があります。自治体によっては、勤務の実績をもとに公募によらずに再度任用する回数の目安を設けているところもありますが、その回数や扱いは自治体ごとに違います。※「毎年更新されるはず」と思い込まず、自分の自治体の運用を募集要項や説明の場で確かめてください。
勤務時間が常勤より短い場合は、パートタイム会計年度任用職員という区分になります。制度が始まったときから期末手当、いわゆるボーナスにあたる手当の支給が可能になり、さらに地方自治法の改正により、2024年度からは勤勉手当も支給できるようになりました。ただし、実際に支給されるかどうか、支給の条件となる勤務時間や任期の長さは、自治体の条例で決まります。
募集の時期にも特徴があります。4月からの任用に向けた募集は、前の年度の1月から3月ごろに、自治体や教育委員会のホームページで公表されることが多くあります。年度の途中に出る募集は、産休や育休の代わり、急な欠員の補充であることがほとんどです。
選考は、書類と面接で行われるのが一般的です。看護師や保健師の免許証の写しの提出を求められ、面接では、子どもへの対応の経験や、判断に迷ったときの動き方を聞かれることが多くあります。任用が決まると、自治体から勤務条件を記した通知書が渡されるので、勤務時間や任期、手当の内容をその書面で確かめてください。
公立学校の保健室のパートを考えている人は、学校に直接問い合わせるより、まず市区町村や都道府県の教育委員会の募集ページを見るのが近道です。学校単位ではなく、教育委員会がまとめて募集し、配置する学校を決める形が一般的だからです。
※会計年度任用職員の手当や休暇の細かい扱いは、自治体ごとの条例や規則で定められています。条件に疑問があるときは、任用する教育委員会の担当部署に確かめるのが確実です。
私立学校や大学のパートは、労働契約として考える
私立の小中学校や高校、大学、専門学校で保健室のパートとして働く場合は、学校法人と労働契約を結ぶことになります。公立の会計年度任用職員とは法律の枠組みが違い、民間の会社で働くパートと同じように、労働基準法や労働契約法、パートタイム・有期雇用労働法が適用されます。
まず押さえておきたいのは、労働条件の明示です。労働基準法では、雇い入れのときに賃金や労働時間、契約期間などを書面で示すことが使用者に義務づけられています。2024年4月からは、有期の契約について、更新の上限があるかどうか、無期の契約に転換できるタイミングなども明示の対象になりました。つまり、「更新は最大何回までか」は、口約束ではなく書面で確かめられるということです。
契約期間が1年ごとの有期契約で働く人に関係が深いのが、無期転換のルールです。労働契約法では、同じ使用者との有期契約が更新されて通算5年を超えると、働く人が申し込めば期間の定めのない契約に転換できるとされています。長く同じ学校で働きたい人にとっては、知っておく価値のあるルールです。
パートタイム・有期雇用労働法では、同じ学校で働く正規の職員と比べて、仕事の内容や責任の重さに見合わない不合理な待遇の差を設けることが禁じられています。たとえば、正規の職員に支給している通勤手当を、パートだからという理由だけで支給しないといった扱いは、問題になる可能性があります。
社会保険の加入についても確かめておきましょう。私立学校の教職員は、多くの場合、日本私立学校振興・共済事業団の私学共済に加入します。パートの場合は、週の所定労働時間や月の賃金、学校法人の規模などの条件によって加入の対象になるかどうかが決まります。社会保険の加入要件は段階的に見直しが進んでいるので、応募する時点の要件を学校に確認してください。
大学の保健室のパートでは、大学が直接雇う場合のほかに、健康管理の業務を受託している会社や派遣会社を通して働く場合もあります。この場合、契約の相手は大学ではなくその会社になるので、誰と契約しているのかを最初に確かめることが大切です。
※契約の内容と実際の働き方が大きく違う、更新をめぐって納得できない扱いを受けたといったトラブルがあるときは、労働基準監督署の総合労働相談コーナーや、弁護士に相談してください。
勤務時間の組み方には、いくつかの型がある
保健室のパートの勤務時間は、枠が生まれた事情によっていくつかの型に分かれます。自分の生活に合う型を先に決めておくと、求人を選びやすくなります。
1つ目の型は、学校の日課に合わせた1日5時間から6時間の勤務です。たとえば8時30分から14時30分まで、週5日といった形です。子どもが登校してから午後の授業の途中までをカバーし、朝の健康観察の集計、午前の休み時間のけが、給食後の対応といった来室の多い時間帯を受け持ちます。放課後の部活動の時間は含まれないことが多いので、自分の子どもの下校時間に合わせたい人に向いています。
2つ目の型は、週2日から3日、学校の勤務時間いっぱいに働く形です。養護教諭が出張や研修で不在になりやすい曜日や、来室の多い曜日に入ってもらうという考え方で、曜日が固定されていることが多くあります。他の日に別の仕事をしている人や、週の半分を家庭に使いたい人に合います。
3つ目の型は、医療的ケアのための勤務です。担当する子どもの在校時間に合わせるため、登校時刻の少し前から下校時刻までという時間になります。ケアが昼の経管栄養だけであれば、1日2時間程度の短い勤務になることもあります。子どもの欠席や行事によって勤務の有無が変わる契約もあるので、その場合の扱いは必ず確かめてください。
4つ目の型は、期間限定の勤務です。4月から6月の健康診断の時期だけ、あるいは大学の学生健康診断の数週間だけといった形で、身長や体重の測定、視力や聴力の検査、問診票の確認、結果の入力などを担います。1年のうち決まった時期だけ働きたい人や、他の仕事の繁忙期と重ならない人に向いています。
5つ目の型は、行事の付き添いです。修学旅行や宿泊学習、部活動の合宿などに数日間同行し、子どもの体調管理と救急処置を担います。勤務時間が朝から夜まで長くなるので、時給ではなく日給で設定されていることが多い仕事です。
どの型を選ぶにしても、時給の水準は看護師の非常勤として極端に高いわけではありません。病院や他の職場と比べたいときは、看護師の年収・単価相場で働く場所ごとの水準を確かめられます。学校のパートは、時給の高さより、日勤だけで土日が休み、子どもの生活に合わせやすいという点で選ばれることが多い働き方です。
パートとして入った保健室の1日は、どう動くか
勤務時間の型が分かったところで、実際にパートとして保健室に入った日の流れを、1つ目の型(8時30分から14時30分、週5日)を例に追ってみます。常勤の養護教諭がいる小学校に、補助として入った場合です。
出勤すると、まず養護教諭と前日の引き継ぎをします。前日に早退した子、けがの経過を見る子、保護者から連絡があった子の情報を共有し、その日の予定を確かめます。健康診断や保健指導の授業がある日は、養護教諭がその準備や授業に入るため、パートの人が保健室の来室対応を受け持つ時間が長くなります。
朝の会の後には、各クラスから健康観察の結果が届きます。欠席の人数と理由、発熱やせきなどの症状を集計し、特定のクラスに偏りがないかを確かめて、養護教諭に伝えます。この集計は、感染症の流行を早くつかむための大事な作業です。
午前中は、授業中の静かな時間に記録の整理や備品の補充を進め、中休みにはけがの対応に追われます。擦り傷の洗浄や冷却、突き指の固定などの処置を行い、頭を打った子や受診が必要かもしれない子については、養護教諭に報告して判断を仰ぎます。
給食の後は、食後の腹痛や体調不良の来室に対応し、昼休みには校庭でのけがへの対応が重なります。パートの人は、この時間に自分の休憩を取れるよう、養護教諭と交代で保健室を見る段取りをしておくことが大切です。労働基準法では、6時間を超えて働く場合には少なくとも45分の休憩を与えることが定められています。つまり、ぴったり6時間の勤務なら法律上の休憩の義務は生じませんが、実際には昼の時間帯に少しでも休める工夫をしている学校が多くあります。
14時30分の退勤前には、その日の来室記録を整え、翌日に引き継ぐべきことを養護教諭に伝えます。午後の授業の途中で帰ることになるため、下校前に起きたことは翌朝の引き継ぎで知ることになります。
この1日の流れから分かるのは、パートの仕事が「養護教諭が保健室を空けても、来室対応と記録が途切れないようにすること」を軸に組み立てられているということです。仕事の中身そのものより、情報を途切れさせない引き継ぎの質が、パートとしての評価を左右します。
任される範囲と、パートには任されない範囲
パートとして保健室に入ったとき、どこまでの仕事を任されるのか。ここは、働き始めてから「聞いていた話と違う」となりやすいところなので、丁寧に整理しておきます。
看護師や保健師の資格で保健室のパートに入った場合、任されやすいのは、けがや体調不良の子どもへの救急処置、来室の受付と記録、健康観察の集計の補助、健康診断の準備や当日の運営の補助、保健室の備品の管理、ほけんだよりの作成の手伝いなどです。医療的ケアの担当であれば、主治医の指示書に基づくたんの吸引や経管栄養、導尿、血糖値の測定などが中心になります。
一方で、パートの看護師に任されない、あるいは任されるべきでない仕事もあります。
1つは、保健の授業や学級での保健指導といった教育活動です。これらは教員の仕事で、教員免許である養護教諭免許状を持つ人や、授業を担当する教員が行うことが前提です。看護師が補助として子どもの前で話すことはあっても、授業の責任者になるわけではありません。
2つ目は、学校としての判断です。感染症にかかった子どもの出席停止は、学校保健安全法で校長が行うとされていて、学級閉鎖などの臨時休業は学校の設置者が行います。保健室のパートは、判断の材料になる情報を集めて伝える立場で、判断そのものを担うわけではありません。
3つ目は、医療機関を受診させるかどうかの最終判断を1人で背負うことです。もちろん、その場で救急車を呼ぶ判断が必要な場面はあります。けれど、受診の要否に迷うケースについて、管理職や養護教諭に報告せず1人で結論を出すことは、パートの立場を超えています。
ここで注意したいのが、契約上の仕事の範囲と、実際に任される範囲がずれることです。これ、実は本当によくあります。
以前、学校でパートとして働いている方から、こんな話を聞いたことがあります。「養護教諭の補助」という募集で採用されたのに、養護教諭が出張で不在の日は、保健室を1人で任され、保護者への連絡から受診の判断まで求められていた、と。仕事そのものは臨床経験で対応できても、判断の責任が誰にあるのかがはっきりしていない状態は、働く人を不安にさせます。私はこの話を聞いて、契約の段階で「1人になる日があるか」「そのときの連絡先は誰か」を確かめておくことの大切さを改めて感じました。
長期休業中の扱いで、年間の収入は大きく変わる
学校のパートを考えるうえで、見落としやすいのに影響が大きいのが、夏休みや冬休み、春休みといった長期休業中の扱いです。
子どもが学校に来ない期間は、来室対応も医療的ケアも必要ありません。そのため、長期休業中は勤務がない、あるいは勤務日数が大きく減る契約になっていることがあります。とくに医療的ケアの担当や、学校の日課に合わせた勤務の型では、この傾向が強くなります。
つまり、年間の勤務日数は、学校の授業日数に近づくということです。小中学校の授業日数は年間でおよそ200日前後なので、週5日の勤務でも、年間を通して働く職場より日数が少なくなります。
仮に時給1,700円で1日6時間、年間195日働くとすると、1,700円×6時間×195日で、年間の賃金はおよそ199万円になります。これが長期休業中も勤務がある契約で年間240日働けるなら、およそ245万円です。同じ時給でも、休業中の扱いだけで年間50万円近い差が出る計算です。※この試算は仕組みを理解するための例で、実際の時給や日数は学校や自治体によって異なります。
逆に、長期休業中に勤務がないことを利点と考える人もいます。自分の子どもの夏休みと重なるので、家庭の時間を確保しやすいからです。休業中に別の短期の仕事を入れて収入を補う人もいますが、公立学校の会計年度任用職員の場合は、兼業に許可や届出が必要になることがあるので、事前に任用する自治体の決まりを確かめてください。
長期休業中に勤務がある契約でも、その間の仕事は健康診断の結果の整理、保健室の備品の点検、研修への参加などが中心で、子どもがいる時期とは中身が違います。
収入の見通しを立てるときは、次の点を確かめておくと安心です。長期休業中の勤務の有無と日数、子どもが欠席した日や行事で授業がない日の勤務の扱い、月ごとの賃金の変動の幅、そして社会保険や税の扶養の範囲に収まるかどうかです。夏休みのある月だけ収入がゼロに近くなる契約だと、家計のやりくりに影響が出るので、年間の合計だけでなく月ごとの見通しも立てておきましょう。
常勤の養護教諭との役割分担と、情報の扱い
保健室のパートを長く続けられるかどうかは、常勤の養護教諭との役割分担がうまくできるかに大きく左右されます。
養護教諭は、学校保健の年間計画を立て、教職員や保護者との調整を担う、保健室の責任者です。パートの人は、その計画のもとで実務を支える立場になります。この関係がはっきりしていれば働きやすいのですが、実際には「どこまで自分で判断していいのか」があいまいなまま働き始めることが少なくありません。
役割分担を作るうえで役に立つのが、引き継ぎの仕組みです。勤務の時間がずれるパートと常勤のあいだでは、口頭の引き継ぎだけでは情報が抜け落ちます。来室の記録とは別に、引き継ぎ用のノートや共有の記録欄を用意し、「経過観察が必要な子」「保護者に連絡済みの内容」「翌日に確認すること」を書き残すようにすると、判断の食い違いが減ります。
もう1つ、とても大切なのが、子どもの情報の扱いです。保健室には、持病、服薬、家庭の事情、心の悩みなど、きわめて慎重に扱うべき情報が集まります。公立学校の会計年度任用職員は地方公務員なので、地方公務員法に定められた守秘義務が適用されます。つまり、職務の中で知った秘密は、在職中はもちろん、退職した後も漏らしてはならないということです。私立学校で働く場合も、就業規則や個人情報の取り扱いの規程で、同じような義務が定められているのが一般的です。
パートとして働いていると、地域の知り合いの子どもが来室することもあります。保護者どうしのつながりの中で、「あの子、保健室によく来ているの?」と聞かれることもあるでしょう。こうしたときに、どんなに親しい相手でも話さないことは、子どもと学校の信頼を守るための基本です。
※情報の扱いについて迷う場面があれば、自分だけで判断せず、養護教諭や管理職に相談してください。記録の保管場所や持ち出しのルールも、働き始めるときに確認しておくと安心です。
役割分担がうまくいっている保健室では、養護教諭が「この子は今こういう状態だから、来室したらこう声をかけてほしい」と方針を伝え、パートの人が実際の様子を記録で返す、というやり取りが自然にできています。パートの人は、自分の観察を遠慮せずに伝えることで、保健室の一員として信頼されていきます。
契約を結ぶ前に確かめておきたいこと
ここまでの内容を踏まえて、保健室のパートの契約を結ぶ前に確かめておきたい点をまとめます。書面で示されているかどうか、1つずつ見ていってください。
・任期または契約期間と、更新の有無や上限 ・勤務する曜日と時間、子どもの欠席や行事で勤務がなくなる場合の扱い ・長期休業中の勤務の有無と日数 ・業務内容の範囲(補助なのか、医療的ケアの担当なのか、1人で保健室を担当する日があるのか) ・1人で対応する時間があるなら、判断に迷ったときの連絡先と報告の流れ ・行事の付き添いが業務に含まれるか、含まれるなら勤務時間と手当の扱い ・研修や打ち合わせの時間が勤務時間に含まれるか ・通勤手当、期末手当や勤勉手当などの手当の有無 ・年次有給休暇の日数と、取りやすい時期 ・社会保険の加入の有無
この中で、とくにトラブルになりやすいのが、業務内容の範囲と、勤務時間外の扱いです。
たとえば、行事の付き添いを頼まれたとき、夜の見回りまで含めて勤務時間として扱われるのか、宿泊中の待機時間はどうなるのか。こうした点があいまいなまま引き受けてしまうと、後から「この時間は勤務ではなかった」と言われてしまうことがあります。労働基準法の考え方では、使用者の指揮命令のもとにある時間は、実際に作業をしていなくても労働時間にあたる場合があります。つまり、「何かあったら対応してください」と言われて待機している時間は、労働時間になりうるということです。
※具体的な時間が労働時間にあたるかどうかは、個別の事情によって判断が分かれます。納得できない扱いを受けたときは、公立学校なら任用する自治体の人事担当や人事委員会、私立学校なら労働基準監督署や弁護士に相談してください。
聞き方にも少し工夫ができます。「1人になることはありますか」と聞くと、身構えられることがあります。「養護教諭の先生が出張される日は、保健室はどのような体制になりますか」と、学校の運営について尋ねる形にすると、相手も具体的に答えやすくなります。答えの中に、連絡先や報告の流れが自然に出てくるかどうかで、その学校の体制の整い具合も見えてきます。
契約の内容を確かめるのは、学校を疑うためではありません。お互いに同じ前提で働き始めるためです。聞きにくいと感じるかもしれませんが、採用が決まる前に確かめておくほうが、働き始めてからの関係は確実によくなります。
パートから先の道と、長く続けるための考え方
保健室のパートは、それ自体が長く続けられる働き方でもあり、次の道につながる入口でもあります。
看護師としてパートを続ける場合は、同じ学校や自治体で経験を積み、医療的ケアの担当として専門性を深めていく道があります。医療的ケアの対象となる子どもは地域の小中学校にも広がっていて、経験のある看護師を求める学校は今後も続くと考えられます。
教員として保健室に立ちたいと考える人もいます。養護教諭になるには免許状が必要で、公立学校の正規採用には教員採用試験の合格が求められます。その道の厳しさについては、次のように説明されています。
公立学校の保健室の先生になるためには、各自治体の教育委員会が実施する教員採用試験を受けなければいけません。公立学校では、試験の倍率が高く、とくに都市部では10倍を超えることも珍しくありません。 出典: kan54.jp
倍率の高い試験なので、免許を持つ人の中には、臨時的任用や会計年度任用職員として学校で働きながら受験を続ける人が多くいます。保健師の免許を持っている人は、所定の単位を修めて申請することで養護教諭二種免許状を取得する道もあります。パートとして学校の中を知ったうえで、教員を目指すかどうかを判断できるのは、この働き方の大きな利点です。
学校以外のパートと比べて考えたい人もいるでしょう。病院やクリニックでのパート勤務の組み立て方については、看護師のパート勤務という現実解で勤務時間と収入の考え方がまとめられています。学校のパートと並べて見ると、長期休業の有無や時給の水準の違いがはっきりします。
働き方の方向性を1人で決めきれないときは、専門家と話してみるのも1つの方法です。職場・転職・キャリア相談のお仕事では、キャリアの相談にどんな種類があるのかが紹介されています。自分の生活と経験に合う働き方を、条件と気持ちの両面から整理する手助けになります。
学校の保健室のパートは、枠が生まれた事情を知り、勤務時間の型を選び、任される範囲と契約の中身を確かめれば、とても安定した働き方になります。分からないことを確かめるのは、自分を守る正当な行動です。法律や制度は、ちゃんと知っている人の味方です。
よくある質問
Q. 学校の保健室のパートはどんな勤務時間が多いですか?
学校の日課に合わせた1日5時間から6時間の週5日勤務、週2日から3日の日中勤務、医療的ケアの対象の子どもの在校時間に合わせた勤務、健康診断の時期だけの期間限定の勤務、行事の付き添いなどがあります。放課後の部活動の時間は含まれないことが多い傾向です。
Q. 公立学校の保健室のパートはどういう雇われ方になりますか?
多くは会計年度任用職員として自治体に任用されます。任期は1つの会計年度の範囲内で、翌年度も働くには改めて任用される必要があります。期末手当や勤勉手当を支給できる制度になっていますが、支給の条件は自治体の条例によって異なります。
Q. 夏休みの間もパートの給料は出ますか?
契約によって異なります。子どもが登校しない長期休業中は勤務がない、または勤務日数が減る契約もあり、その場合は年間の収入が少なくなります。医療的ケアの担当や日課に合わせた勤務では特にこの傾向があるので、応募前に休業中の扱いを必ず確かめてください。
Q. パートの看護師は保健の授業も担当しますか?
保健の授業や保健指導といった教育活動は、養護教諭などの教員が行うことが前提です。看護師のパートは、救急処置、来室の記録、健康診断の補助、医療的ケアなどが中心になります。補助として子どもの前で話す場面はあっても、授業の責任者になるわけではありません。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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