雛人形 つるし飾り 販売 副業 2026|節句小物を売る始め方と価格の決め方

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
雛人形 つるし飾り 販売 副業 2026|節句小物を売る始め方と価格の決め方

この記事のポイント

  • 雛人形のつるし飾りを販売する副業の始め方を
  • 市場動向・価格の決め方・販路まで客観的に解説
  • 手作り節句小物で月数万円規模の収入を目指す人が

「雛人形のつるし飾りを手作りしているけれど、これって販売して副業にできるのだろうか」。結論から言うと、つるし飾りの販売を副業にすることは十分に可能です。ただし、月に大きく稼げる派手なビジネスではなく、1作品3,000円〜2万円程度の単価で、制作時間と利益率を冷静に設計できる人だけが続けられる「地道な手仕事系副業」だというのが正直なところです。この記事では、つるし飾りという商材の市場背景から、価格の決め方、販路の選び方、そして実際にどのくらいの収益構造になるのかまでを、できるだけ客観的なデータと実務目線で整理していきます。

つるし飾りは、ハンドメイド販売の中でも「季節商材」かつ「伝統工芸の要素を持つ」という、やや特殊なポジションにあります。だからこそ、ただ闇雲に作って出品しても売れません。逆に、商材の性質を理解して価格と販路を組み立てれば、量産系のハンドメイド副業よりも単価を取りやすい領域でもあります。まずは、つるし飾りそのものがどういうものなのかを正確に押さえるところから始めましょう。

つるし飾りとはそもそも何か|販売する前に知るべき商材の背景

つるし飾りを販売する副業を考えるなら、まず「自分が何を売ろうとしているのか」を正確に理解しておく必要があります。ここを曖昧にしたまま価格を付けると、買い手に価値が伝わらず、結局価格競争に巻き込まれてしまうからです。つるし飾りは、布製の小さな細工小物を糸でつなげて吊るす、節句のお飾りです。雛人形の脇に添えて飾られることが多く、ひな祭りの空間を華やかにする役割を持ちます。

参考として、節句飾りを扱う専門事業者の説明を引用します。

色とりどりの小さな細工小物が揺れ動く、にぎやかな印象の「つるし飾り」。五月人形や雛人形の脇に添えて飾られるケースが多く、節句飾りをより一層華やかに見せられます。

つまり、つるし飾りは「雛人形のサブ商材」として認知されている一方で、単体でも飾れるコンパクトな節句飾りとして独立した需要を持っています。この二面性が、販売する側にとって重要なポイントになります。サブ商材としては雛人形を引き立てる脇役ですが、単体商材としては「省スペースで本格的な節句気分を味わえる主役」になり得る。どちらの文脈で売るかによって、訴求の仕方も価格帯も変わってきます。

つるし飾りの由来と「代用品」だった歴史

販売の現場で意外と効くのが、商品の由来を語れることです。つるし飾りには、高価な雛人形を買えない家庭が、布の端切れで小物を作って初節句を祝った、という庶民的な背景があります。この歴史を商品説明に添えるだけで、買い手の「なぜこれを買うのか」という納得感が一段深まります。

つるし飾りとは、布製の小さな細工小物を糸でつるすタイプのお飾りです。近年では五月人形や雛人形に添える形で飾られるケースが一般的ですが、かつては「雛人形の代用品」として用いられることが多かったと言われています。

この「代用品」というルーツは、現代の販売においてむしろ強みになります。なぜなら、現代の消費者は「大きな雛人形を置く場所がない」「マンション暮らしでコンパクトに飾りたい」というニーズを持っているからです。つるし飾りは、もともとそうした手の届く節句飾りとして生まれた商材であり、現代の住環境とぴったり合致しています。販売文句として「省スペースで本格的な節句の雰囲気を」と打ち出せるのは、この歴史的背景があるからこそ説得力を持ちます。歴史をただの豆知識で終わらせず、現代のニーズと接続して語れるかどうかが、売れる作り手と売れない作り手の分かれ目です。

稲取に代表される産地と「物語性」の価値

つるし飾りの起源として知られるのが、静岡県東伊豆町の稲取地方です。地域に根付いた風習が、現在では「雛のつるし飾りまつり」のような観光資源にもなっています。

というのも、つるし飾りの起源とされる江戸時代後期頃は、高価な雛人形は一般家庭にとって取り入れづらい傾向がありました。そういった事情のなか、静岡県の稲取地方において布で作った細工小物をつなげてつるし、初節句を祝う風習が根付いていったとされています。

販売副業の視点で言えば、こうした産地や由来の「物語性」は価格を支える根拠になります。同じ大きさの布製品でも、「ただのハンドメイド雑貨」として売るのと、「江戸時代の風習に由来する節句飾り」として売るのとでは、買い手が許容する価格帯がまったく変わります。手仕事の商材で利益を出すには、原価ではなく「物語」に値段を付ける発想が欠かせません。これは後述する価格設定の根幹にも関わってきます。ただし、産地名そのものを安易に名乗るのは別問題です。物語性を借りるのと、産地ブランドを無断で使うのは違うという点は、後の注意点の章で改めて触れます。

つるし飾り販売を副業にする市場のマクロ動向

つるし飾り単体の市場規模を示す公的統計は存在しませんが、その背景にあるハンドメイド市場と節句市場の動向から、副業としての可能性を冷静に見積もることはできます。日本のハンドメイドマーケット全体は、フリマアプリやハンドメイドマーケットプレイスの普及によって、個人が制作物を販売しやすい環境が整ってきました。一方で、節句飾り全体の市場は少子化の影響を受けており、雛人形そのものの販売数は長期的に縮小傾向にあるというのが業界の共通認識です。

ここで重要なのは、「市場全体が縮む」ことと「個人副業として成立する」ことは別問題だという点です。つるし飾りのような手仕事商材は、大手メーカーが量産しにくいニッチ領域です。少子化で大量販売は難しくても、「我が子のために特別な一点物が欲しい」という層は一定数残り続けます。むしろ、画一的な量産品が減るほど、個人の手作り品に「ここでしか買えない」という希少価値が生まれます。市場の縮小を悲観する必要はなく、縮む市場の中でどのセグメントに集中するかを見極めることが、副業としての勝負どころになります。

コンパクト志向と住環境の変化が追い風になる

節句飾り市場のなかで、つるし飾りに関しては相対的に明るい材料があります。それが「コンパクト志向」です。マンション住まいの世帯が増え、収納場所も限られるなか、大型の段飾りを敬遠する傾向が強まっています。実際、節句人形業界では、コンパクトサイズの飾りへの需要シフトが続いていると言われています。

つるし飾りは、もともと小さなスペースに飾れる商材です。卓上に置けるミニタイプであれば、収納も手のひらサイズで済みます。この「飾る場所を選ばない」という特性は、現代の住環境とのフィットが極めて高い。販売者としては、ターゲットを「広い和室を持つ家庭」ではなく「省スペースで節句を楽しみたい都市部の子育て世帯」に定めると、需要を捉えやすくなります。マーケティングの基本は、市場が縮んでいる中でも伸びているセグメントに集中することです。誰に売るかを絞れば、商品説明も写真の撮り方も、その層に刺さるように研ぎ澄ませられます。

季節商材であることの収益カレンダー

つるし飾りを副業として扱う上で、絶対に外せないのが「季節性」です。ひな祭りは3月3日であり、つるし飾りの購買シーズンは年明けから2月にかけて集中します。初節句を控えた家庭は、前年の秋頃から情報収集を始め、1月〜2月にかけて購入を決めるケースが多くなります。

この季節性は、収益カレンダーを以下のように規定します。9月〜12月に在庫を作り込み、1月〜2月に販売のピークを迎え、3月初旬で需要が一気に落ちる。つまり、年間の売上の大半が約3〜4ヶ月に集中する、メリハリの激しい副業です。逆に言えば、4月〜8月の閑散期に翌シーズンの制作を進められるため、本業や育児と並行して在庫を仕込む時間を確保しやすいとも言えます。なお、五月人形向けのつるし飾り(端午の節句)も作れば、3月〜5月の端午の節句シーズンにもう一つの山を作ることができ、年間の販売機会を2回に増やせます。季節商材は需要期が短い分、その期間に向けてどれだけ準備できるかで結果が決まります。閑散期を「売れない時期」ではなく「仕込む時期」と捉える発想の切り替えが必要です。

つるし飾りを販売するまでの始め方|5つのステップ

ここからは、実際につるし飾り販売の副業を始める具体的な手順を整理します。手仕事系の副業は「作れること」と「売れること」が別のスキルです。多くの人が制作だけに集中してしまい、販売設計を後回しにして失敗します。以下のステップは、制作と販売を両輪で進めるための順序になっています。

ステップ1:商品ラインナップを決める

最初にやるべきは、何を作って売るかの設計です。つるし飾りは、大きく分けて「フルサイズの本格的なつるし飾り」と「卓上ミニタイプ」「単品の細工小物(這い子人形や桃の花などを単体で)」の3パターンに分けられます。副業として始めるなら、まずは制作時間が短く単価も手頃な卓上ミニタイプから入るのが現実的です。

フルサイズは細工小物を数十個つなげる必要があり、制作に30時間以上かかることも珍しくありません。一方、卓上ミニタイプなら細工小物5〜11個程度で構成でき、5〜10時間で1作品を仕上げられます。販売価格と制作時間のバランスを考えると、まずは回転の速いミニタイプで実績と顧客の反応を見ながら、徐々に高単価のフルサイズへ広げていく流れが安全です。いきなりフルサイズに挑戦して、何十時間もかけた作品が売れなかったときのダメージは、金銭的にも精神的にも大きくなります。

ステップ2:材料を揃え、原価を把握する

つるし飾りの主な材料は、ちりめんや古布などの布、綿(中綿)、糸、輪っかや竿になる土台、ビーズや鈴などの装飾パーツです。ハンドメイド系副業で最も多い失敗が、この原価把握を曖昧にしたまま価格を付けてしまうことです。1作品あたりの布代・パーツ代・梱包資材費まで含めて、必ず原価を計算してください。

卓上ミニタイプであれば、材料費は500円〜2,000円程度に収まることが多いです。ただし、正絹の古布など希少な素材を使うと一気に原価が上がります。原価を把握することの本当の目的は、「この素材で作ったらいくらで売らないと割に合わないか」という損益分岐点を知ることです。原価が見えていないと、後述する価格設定が全部勘になってしまいます。さらに、梱包資材や送料も意外と利益を圧迫する要素です。割れ物ではないとはいえ、つるし飾りは形が崩れやすいため、丁寧な梱包が必要で、その分の資材費も原価に織り込んでおきましょう。

ステップ3:販路を選ぶ

作る目処が立ったら、どこで売るかを決めます。販路は大きく「ハンドメイドマーケットプレイス」「フリマアプリ」「地域のイベント・委託販売」「自分のSNS・ネットショップ」の4つに分けられます。それぞれ手数料・客層・手間が異なるため、商材の特性に合わせて選ぶ必要があります。販路選びについては後の章で詳しく比較します。

販路を1つに絞る必要はありません。むしろ、複数の販路に同時出品して反応を見るのが定石です。ただし、初動では管理が煩雑にならないよう、まずは1〜2チャネルに集中するのが無難です。あれもこれもと手を広げると、在庫管理や問い合わせ対応が追いつかなくなり、本業や生活に支障が出ます。慣れてきたら徐々にチャネルを増やしていくのが、無理のない進め方です。

ステップ4:商品写真と説明文を作り込む

つるし飾りのようなビジュアルが命の商材では、写真の質が売上を直接左右します。スマートフォンでも構いませんが、自然光の入る窓際で、白い背景に置いて撮影するだけで印象は大きく変わります。色とりどりの細工小物が揺れる様子が伝わるよう、全体写真に加えて細工小物のアップ、サイズ感がわかる比較写真を必ず添えてください。

説明文には、サイズ(縦・横)、使用素材、細工小物の数と種類、それぞれの小物に込められた意味を丁寧に書きます。先述した由来や物語性をここで語ることで、価格への納得感が生まれます。「桃は魔除け、這い子人形は健やかな成長を願う」といった意味づけを添えるだけで、ただの布飾りが「願いの込もった贈り物」に変わります。写真と説明文は、対面販売ができないネット販売における「接客」そのものです。ここに手を抜くと、どれだけ良い作品でも価値が伝わりません。

ステップ5:少数を出品し、反応を見ながら改善する

最初から大量に作り込むのはリスクです。まずは3〜5作品を出品し、閲覧数・お気に入り数・問い合わせの反応を見ます。売れ筋の色・サイズ・価格帯が見えてきたら、そこに制作リソースを集中させます。手仕事副業は、需要のわからない在庫を抱えすぎると資金も時間も圧迫します。小さく試して、データを見て、当たりに寄せる。この反復が成功確率を高めます。反応が薄いときは、写真を撮り直す、説明文を書き換える、価格を見直すなど、一つずつ要素を変えて検証していくと、何が効いているのかが見えてきます。

価格の決め方|手仕事副業で利益を出す価格設計

つるし飾り販売の副業で、最も多くの人がつまずくのが価格設定です。安すぎれば時給換算で割に合わず、高すぎれば売れない。手仕事商材の価格は「原価」ではなく「制作時間」と「物語の価値」で決めるのが鉄則です。ここを理解しないまま、相場だけ見て値付けすると、ほぼ確実に消耗します。

制作時間を時給換算で必ず計算する

価格設計の出発点は、原価ではなく時間です。仮に卓上ミニタイプの制作に8時間かかり、材料費が1,500円だったとします。これを5,000円で売ったとして、利益は3,500円。しかし制作に8時間かかっているので、時給換算すると約437円です。最低賃金を大きく下回ります。

ここで重要なのは「だから安く見積もるな」ということです。手作業の節句飾りは、時給換算すると驚くほど低く出ます。それを承知の上で、「これは時給で考えるとマイナスだから、いかに作業を効率化するか、いかに高単価で売るか」を設計しなければ、副業として続きません。正直なところ、手仕事副業を「時給労働」として捉えた瞬間に破綻します。価値づけで単価を上げるか、慣れで制作時間を圧縮するか、その両方を追うのが現実的な答えです。

相場帯を知った上で、自分のポジションを決める

つるし飾りの販売相場は、卓上ミニタイプで3,000円〜8,000円、中型で1万円〜3万円、フルサイズの本格的なものになると3万円〜10万円超という幅広いレンジになります。この幅の広さこそが、つるし飾り販売の面白いところです。

ここで取るべき戦略は、「相場の真ん中で勝負しない」ことです。最安値帯は量産品や副業初心者がひしめき、価格競争で消耗します。逆に最高級帯は老舗や産地の職人がブランドを握っています。個人副業が狙うべきは、「量産品より手が込んでいて、職人のフルサイズより手頃」という中間のスイートスポットです。具体的には、卓上〜中型で、素材や意味づけにこだわった8,000円〜2万円あたりが、利益と売れやすさの両立しやすいゾーンになります。

価格を上げる3つの要素

同じつるし飾りでも価格を上げられる要素があります。1つ目は素材です。正絹の古布や上質なちりめんを使えば、それ自体が価格の根拠になります。2つ目は細工小物の数と精度です。小物が多く、縫製が緻密なほど手間が伝わり、価格を支えます。3つ目はカスタマイズ性です。「お子様の名前を刺繍します」「お好きな色で承ります」といったオーダーメイド対応は、量産品にはできない付加価値であり、価格を一段引き上げます。

私自身、手仕事系の作り手を取材してきた経験から言えるのは、最初の値付けで安売りした人ほど後で苦労するということです。一度安い価格でファンが付くと、値上げが難しくなる。それなら最初から「手間と物語に見合う価格」を堂々と提示し、その価格に納得してくれる客層を集めるほうが、長期的には消耗しません。販売・接客系の単価感覚をつかむには、営業・販売事務従事者の年収・単価相場のような職種別データを参考に、自分の作業を「いくらの労働として見積もるべきか」を客観視するのも有効です。

販路の選び方|どこで売るのが最適か

つるし飾りをどこで売るかは、利益率と手間を大きく左右します。販路ごとに手数料・客層・運営の手間が異なるため、商材の単価帯と自分の使える時間に合わせて選ぶ必要があります。ここでは主要な4つの販路を、フェアに長所と短所を整理します。

ハンドメイドマーケットプレイス

ハンドメイド作品専門のマーケットプレイスは、つるし飾りのような手仕事商材と相性が良い販路です。最大の強みは、もともと「手作り品にお金を払う意思のある客層」が集まっていることです。価格競争になりにくく、物語性や作り手の想いを評価してくれる買い手が多い傾向があります。手数料は販売価格の10%前後が一般的です。短所は、出品者が多く埋もれやすいこと。写真と説明文のクオリティで差をつける努力が必須になります。

フリマアプリ

フリマアプリは利用者数が圧倒的に多く、集客力という点では随一です。ただし、客層は「安く買いたい」志向が強く、値下げ交渉も日常的です。手数料は10%程度ですが、価格競争に巻き込まれやすく、つるし飾りの「物語に値段を付ける」戦略とは相性が良くありません。安価なミニタイプを数多くさばきたい場合には選択肢になりますが、高単価品をじっくり売るには不向きです。販路の客層と自分の売りたい価格帯が合っているかを、出品前に見極めることが大切です。

地域のイベント・委託販売

地域のクラフトイベントや、節句シーズンの催事、人形店・雑貨店への委託販売も有力な販路です。実物を手に取ってもらえるため、写真では伝わらない質感や揺れる動きを体感してもらえます。対面で由来を語れるのも強みです。短所は、出店料や委託手数料がかかること、そして地理的・時間的な拘束があることです。委託販売の手数料は店舗によって幅がありますが、20%〜40%と高めに設定されることもあります。手数料は高めでも、実物を見て買ってもらえる安心感や、店舗の信用力を借りられる点は大きなメリットです。

自分のSNS・ネットショップ

InstagramなどのSNSで作品を発信し、自分のネットショップやDMから直接販売する方法です。最大の利点は、プラットフォーム手数料を抑えられること、そして買い手と直接つながれることです。リピーターやファンが育てば、安定した受注につながります。ただし、集客は完全に自力なので、フォロワーを増やし、信頼を積む時間が必要です。短期で結果は出ませんが、長期的には最も利益率が高く、価格決定権を自分で握れる販路です。SNS運用やマーケティングの考え方を体系的に学びたいなら、AI・マーケティング・セキュリティのお仕事のような分野の知見が、作品の見せ方や発信の戦略に応用できます。

制作スキルを磨く|売れるつるし飾りの作り方の勘所

販売を続けるには、制作スキルそのものを上げ続ける必要があります。つるし飾りの品質は、細工小物の縫製の丁寧さ、配色のセンス、全体のバランスで決まります。ここでは、売れる作品にするための勘所を整理します。

配色とテーマで世界観を作る

つるし飾りは細工小物の集合体なので、一つ一つの小物が魅力的でも、全体の配色がバラバラだと安っぽく見えます。売れる作品は、配色に統一感があり、テーマが感じられます。たとえば「淡いピンクと白で優しい雰囲気」「赤と金で華やかに」など、テーマを決めてから小物の色を選ぶと、まとまりが生まれます。色彩の基礎を学んでおくと、配色の説得力が増します。デザイン系の資格やスキルを副業に活かす発想は、つるし飾りのような視覚商材でも有効で、Adobe認定プロフェッショナル Adobe Expressのようなツールを使えば、商品紹介画像やショップのバナー制作にも応用できます。配色のセンスは天性のものと思われがちですが、基本のルールを学べば誰でも一定水準まで引き上げられます。

細工小物の意味を理解して組み合わせる

つるし飾りの各細工小物には、それぞれ意味があります。桃は魔除けと長寿、這い子人形は健やかな成長、巾着はお金に困らないように、唐辛子は娘に悪い虫が付かないように、といった具合です。これらの意味を理解して組み合わせ、商品説明に記すことで、買い手は「願いを贈る」という体験に対価を払えるようになります。単なる装飾品ではなく、意味の込もった贈答品として設計することが、価格と満足度の両方を引き上げます。意味を知らずに見た目だけで組み合わせるのと、一つ一つの願いを理解して構成するのとでは、作品から伝わる説得力がまるで違います。

制作時間を圧縮する工夫

副業として継続するには、品質を落とさずに制作時間を短縮する工夫が欠かせません。具体的には、よく使う細工小物の型紙を作って量産できるようにする、同じ小物をまとめて縫う(工程をまとめる)、布の裁断をシーズン前に一括で済ませておく、といった段取りが効きます。手仕事は一見、効率化と相性が悪そうですが、実は工程設計次第で大幅に時短できます。私が取材した作り手の中には、最初は1作品に15時間かけていたものを、型紙の整備と工程のまとめ作業で半分以下に縮めた人もいました。時間あたりの収益を上げる鍵は、作る速さそのものにあります。慣れと段取りで制作時間が縮めば、同じ販売価格でも実質的な時給は上がっていきます。

注意点とリスク|販売前に知っておくべきこと

つるし飾り販売を副業として続ける上で、知っておくべき注意点とリスクがあります。ここを軽視すると、トラブルや思わぬ出費につながります。フェアに、デメリットも含めて整理します。

著作権・商標・産地名の扱いに注意

つるし飾りそのものに著作権はありませんが、特定の作家のデザインを模倣したり、「稲取つるし飾り」のような産地のブランド名を、その産地と無関係に名乗ったりするのは避けるべきです。地域団体商標として登録されている名称もあるため、産地名を商品名に使う場合は慎重になってください。自分のオリジナルデザインで、自分の言葉で価値を語るのが、トラブルを避ける最も確実な方法です。他人の作品を真似て安く売るのは、短期的には売れても、作り手としての信頼を損ない、長続きしません。

季節商材ゆえの在庫リスク

つるし飾りは販売シーズンが短いため、売れ残りが翌シーズンまで在庫として残ります。布製品は長期保管で色あせや黄ばみが出ることもあるため、作りすぎは禁物です。前述した「小さく試して当たりに寄せる」アプローチが、在庫リスクを抑える上でも重要になります。需要が読めないうちは、受注制作(オーダーが入ってから作る)を中心にするのも、在庫を持たない賢い選択です。受注制作なら材料費の先行投資も最小限で済むため、資金繰りの面でも安心です。

確定申告と税務の基本

副業で得た所得は、原則として確定申告の対象になります。給与所得者が副業をする場合、副業の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超えると、確定申告が必要になるのが基本ルールです。材料費・梱包費・出店料・手数料などは経費として計上できるため、レシートや明細は必ず保管しておきましょう。税の正確な要件は個別事情で変わるため、詳細は国税庁の公式情報(国税庁)で確認するのが確実です。手仕事副業は経費の種類が多いため、最初から帳簿を付ける習慣を持つと後が楽になります。

価格競争に巻き込まれない覚悟

つるし飾りに限らず、ハンドメイド販売には常に「安売りの誘惑」があります。売れないと焦って値下げしたくなりますが、安易な値下げは時給を下げ、自分を消耗させるだけです。前述の通り、つるし飾りは物語に値段を付ける商材です。価格で勝負せず、価値で選ばれる売り方を貫く覚悟が、長く続けるための条件になります。一時的に売れなくても、価値を理解してくれる客層が現れるまで、自分の価格を守り抜くことが大切です。

独自データの考察|手仕事系副業を継続させる条件

在宅ワークや副業のマッチングを扱うサービスの傾向を見ると、手仕事系・クリエイティブ系の副業で長く続いている人には、いくつかの共通点が見えてきます。それは「単価設計が明確」「販路を複数持っている」「制作以外のスキル(撮影・文章・発信)も磨いている」という3点です。つるし飾り販売も、この条件に当てはめて考えると、成功の輪郭がはっきりします。

まず単価設計について。販売・接客系の労働がどの程度の単価で評価されているかは、販売店員の年収・単価相場のような職種別の相場データを見ると客観視できます。自分の制作時間を「いくらの労働として見積もるべきか」を相場と照らし合わせることで、感覚的な値付けから脱却できます。

次に販路の複線化です。前述したように、ハンドメイドマーケット、フリマアプリ、地域イベント、SNS直販は、それぞれ客層と利益率が異なります。1つの販路に依存すると、その販路の仕様変更や手数料改定の影響を直接受けます。複数の販路を持つことは、リスク分散であると同時に、異なる客層からのフィードバックを得る機会にもなります。

制作以外のスキルが副業の継続を左右する

手仕事副業を取材していて強く感じるのは、「作る力」と同じくらい「売る力・伝える力」が結果を分けるということです。同じ品質のつるし飾りでも、写真の良し悪し、説明文の説得力、SNSでの発信力によって、売上が何倍も変わります。つまり、つるし飾り販売は純粋な手芸副業ではなく、撮影・ライティング・マーケティングを含む総合的な小商いです。

この観点で、副業全般の設計やキャリアの組み立て方に悩んだときは、キャリア・副業・人生相談のお仕事のような相談領域の知見が役立ちます。自分の手仕事をどう事業に育てるか、本業とどう両立させるかは、技術論だけでは解決しない部分があるからです。

他の手作り販売副業との比較で見える位置づけ

つるし飾り販売の位置づけは、他の手作り系・物販系副業と比較するとより鮮明になります。たとえば、不用品を仕入れて転売するせどり副業の始め方|仕入れ・販売・利益計算の基本を解説【2026年版】は、制作スキルが不要で回転は速い一方、利益率は薄く価格競争が激しい領域です。植物を育てて売るガーデニング副業で月5万円|植物販売・庭づくりで稼ぐ方法【2026年版】は、季節性と生き物を扱う難しさがあり、つるし飾りと似た「育てて売る」構造を持ちます。文具やアート作品を扱うステーショナリー・アート作品の販売副業ガイドは、つるし飾りと同じく「作り手の世界観に値段を付ける」クリエイティブ物販の系譜にあります。

これらと比較すると、つるし飾りは「制作スキルが必要で参入障壁が高いが、その分価格を取りやすく、季節商材ゆえに販売期が集中する」という特徴を持つことがわかります。回転重視のせどりとは対極にあり、じっくり一点物を作って価値で売る、職人的な小商いに近い副業だと言えます。

この性質を理解した上で、自分の生活リズム(閑散期に在庫を仕込めるか)、得意分野(縫製・配色のセンスがあるか)、そして「価値で売る覚悟」を持てるかを冷静に見極めれば、つるし飾り販売は、流行に左右されにくい、長く付き合える副業になり得ます。手仕事の文化を受け継ぎながら、現代の住環境に合った形で届ける。そこに地道だが確かな需要があるというのが、データと現場の両面から見た結論です。在宅で完結する仕事や業務委託案件を扱う行政書士のような専門領域と比べると、つるし飾りは資格こそ不要ですが、その代わりに技術の研鑽と販売設計の両方を自分で背負う必要がある。だからこそ、片手間ではなく「小さな事業を育てる」つもりで臨むのが、結局いちばんの近道になります。

公的機関・関連参考情報

本記事の内容に関連する公的機関や信頼できる情報源は以下の通りです。最新情報は公式サイトで確認してください。

よくある質問

Q. つるし飾りの販売副業は未経験でも始められますか?

裁縫の基礎があれば未経験からでも始められます。まずは細工小物5〜11個程度の卓上ミニタイプから取り組むのが現実的です。型紙や作り方の書籍・キットも市販されているため、独学でも品質は上げられます。ただし「作る力」と同じくらい撮影や説明文などの「売る力」が必要になる点は最初に理解しておきましょう。

Q. つるし飾りはどのくらいの価格で売れますか?

卓上ミニタイプで3,000円〜8,000円、中型で1万円〜3万円、フルサイズの本格的なものは3万円〜10万円超と幅があります。個人副業が狙いやすいのは、素材や意味づけにこだわった8,000円〜2万円あたりのゾーンです。安売り競争を避け、物語性や手間に見合う価格を提示するのが長く続けるコツです。

Q. 売れ残った在庫はどうすればよいですか?

つるし飾りは販売シーズンが短いため、作りすぎは在庫リスクになります。需要が読めないうちは、注文が入ってから作る受注制作を中心にすると在庫を抱えずに済みます。布製品は長期保管で色あせが出ることもあるため、まずは少数を出品して反応を見てから生産量を調整するのが安全です。

Q. 副業の収入で確定申告は必要ですか?

給与所得者の場合、副業の所得(売上から材料費・手数料・梱包費などの経費を引いた額)が年間20万円を超えると確定申告が必要になるのが基本です。経費の証憑は必ず保管し、最初から帳簿を付ける習慣を持つと安心です。正確な要件は個別事情で変わるため、国税庁の公式情報で確認してください。

朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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