Webサイト保守・分析の修正を何回まで受けるか|先に決めておく


この記事のポイント
- ✓Webサイト保守・分析の修正対応をどこまで受けるか
- ✓回数を決める前に必要な修正の定義
- ✓不具合と更新と改善の分け方
Webサイトの保守を請け負うと、必ず「修正はどこまで無料ですか」という話になります。何回までと決めておかないと、際限なく依頼が来る。かといって回数を切ると、細かい直しのたびに追加料金の話をすることになって関係がぎくしゃくする。この板挟みは、保守を受けている人ならほぼ全員が通ります。
結論から書きます。回数を決める前に、何を修正と呼ぶかを決めてください。回数を切っても揉めるのは、依頼者と受注者で「これは修正のうちに入るのか」の認識が違うからです。文字を一文字直すのも、新しいページを一枚作るのも、依頼者にとっては同じ「ちょっとした修正」に見えています。ここが揃っていない状態で回数だけ決めると、一回の重さが噛み合わずに必ず不満が出ます。
「修正は月5回まで」という決め方が機能しないのは、この認識のずれをそのままにしているからです。商品の入れ替えで文言を20か所直す依頼と、レイアウトを組み替える依頼が、同じ1回として数えられてしまう。数えても管理できないものを数えていることになります。とくにECサイトのように商品や価格が頻繁に入れ替わる案件では、一回あたりの重さの幅が大きく、回数だけの取り決めは早い段階で破綻します。この記事では、そこを踏まえた実務の設計を書きます。
保守の「修正対応」がなぜ膨らむのか
まず構造を理解します。ここを飛ばして回数だけ決めても意味がありません。
Webサイトは公開してからのほうが長い
制作は納品で終わりますが、保守には終わりがありません。この違いが、依頼の性質を変えます。
Webサイトは制作して終わりではありません。公開後も安定稼働させ、常に最新の情報を提供し続けるためには、適切な保守作業が不可欠です。本記事では、実際にWebサイトの保守を多く手掛けてきた自社の経験を基に、Webサイト保守の重要性から具体的な作業内容、効率的な進め方を解説します。 出典: tokoton.biz
保守の作業は、大きく分けて三種類あります。壊れたものを直す作業、情報を新しくする作業、良くするための作業です。この三つは性質がまったく違うのに、依頼者からは同じ窓口に同じ言葉で届きます。「ちょっと直してほしいところがあって」という連絡が来て、開けてみたら新機能の追加だった、という経験は保守を受けている人なら覚えがあるはずです。
膨らむ原因はここにあります。三種類を一つの枠で受けているから、枠が足りなくなります。
依頼者は作業量を想像できない
もう一つの原因が、依頼者側から作業の重さが見えないことです。
ボタンの色を変えるのと、ボタンの位置を変えるのでは、後者のほうが手間がかかることがあります。レイアウトが崩れないか複数の画面幅で確認する必要があるからです。依頼者から見れば、どちらも「ボタンをちょっと変えるだけ」です。
これは依頼者が悪いのではありません。見えないものを想像しろというほうが無理です。だから、受注者側が見せる仕組みを作る必要があります。作業の重さが見える状態にすれば、依頼者は自分で調整するようになります。この効果は想像以上に大きいという傾向があります。
分析の依頼が、修正の依頼を呼ぶ
保守に分析が絡むと、依頼の量はさらに増えます。数字を見れば、直したい箇所が出てくるからです。
例えば上記図は弊社運営のとあるサイトの「Googleアナリティクス」のリアルタイム分析です。為替レートのように刻々とグラフが動いていきます。現在43名の人が見ていて、携帯電話からが58%、パソコンからが35%、タブレット端末からが7%です。それにしてもなんと携帯電話のユーザーが多いことでしょう。数年前ではありえなかったことです。この数字を見ただけでも自社サイトをもう少しモバイル向けに改変した方が良いことがわかります。 出典: tol.jp
数字を見せると、必ず「じゃあここを直そう」という話になります。それ自体は健全なことで、分析の目的でもあります。ただし、その改修が保守の枠に含まれるのかどうかを決めていないと、レポートを出すたびに作業が増える構造ができます。
分析を提供する人ほど、この設計を先にやるべきです。良い仕事をするほど自分が苦しくなるのでは、続きません。データの読み方から改善提案までを扱う仕事の全体像はWebサイトコンサル・保守・分析のお仕事で整理されている業務区分が参考になります。
回数を決める前に、修正を三つに分ける
ここが本題です。回数の議論は、分類の後にしか意味を持ちません。
分類1:不具合の修正
サイトが仕様どおりに動いていない状態を直す作業です。表示が崩れている、リンクが切れている、フォームが送信できない、スマートフォンで読めない。こうしたものが該当します。
これには回数制限を付けてはいけません。理由は単純で、不具合はサイトが本来あるべき状態に戻す作業だからです。回数を切ると、上限に達した後に不具合が放置されることになります。依頼者にとっても受注者にとっても損です。
ただし、線引きは必要です。自分が納品した部分の不具合か、依頼者や第三者が触った結果の不具合か、外部サービス側の変更によるものか。この区別は書いておきます。依頼者が自分でページを編集して崩れたものを直すのは、不具合修正ではなく更新作業に近い性質を持ちます。
分類2:情報の更新作業
内容を新しくする作業です。文言の差し替え、画像の入れ替え、お知らせの追加、商品情報の更新、営業時間の変更。定期的に発生する、決まった型の作業です。
これは回数ではなく、時間の枠で持つのが実用的です。「月に3時間分の更新作業を含みます」という形にします。文言の差し替えを20か所やっても、新しいお知らせを1件足しても、実際にかかった時間で数えます。
回数で数えると、さきほど書いたとおり一回の重さが揃いません。時間で数えれば、依頼者は「まとめて出したほうが効率がいい」と理解します。細切れの依頼が減るという副次的な効果もあります。
枠を超えた分の扱いも決めておきます。翌月に繰り越すのか、その都度追加で見積もるのか。繰り越しを認めると管理が複雑になるので、繰り越しなしで超過分は都度精算、という形が扱いやすくなります。
分類3:改善のための実装
数字を見て良くするための作業、新しい機能の追加、デザインの変更、ページの新規制作。これは保守の枠に入れず、都度見積もりにします。
理由は、規模が読めないからです。ボタンの位置を変えるだけで終わることもあれば、全ページに影響することもあります。事前に枠を切れないものを枠に入れると、必ずどちらかが損をします。
ここで大事なのは、断るのではなく手続きを分けることです。「保守の範囲外なので別途お見積もりします」と言えばよく、拒否ではありません。むしろ、この分類があることで改善の提案を安心して出せるようになります。提案が作業の押し付けにならないからです。
受付から着手までの運用手順
分類を決めたら、それが実際に機能する運用を組みます。
手順1:依頼の入口を一本にする
チャット、メール、電話、打ち合わせの場での口頭。窓口が複数あると、依頼が記録に残らず、後で「言ったはずだ」という話になります。
依頼はこの経路で受け付けます、と最初に決めます。他の経路で来た依頼は、その場で受けずに「正式にこちらへ送ってください」と案内します。冷たく見えますが、記録が残らない依頼は必ず後でトラブルになります。
そして、受付フォーマットを用意します。修正したいページのURL、変更前と変更後、希望する期限、その修正が必要な理由。この四つを書いてもらいます。特に理由の欄が効きます。理由を書く過程で、依頼者が自分で「これは今やらなくていいか」と気づくことがあるからです。
手順2:受け取ったら、分類してから返事をする
依頼が届いたら、すぐ着手せずに分類します。不具合か、更新か、改善か。
分類したら、それを依頼者に伝えます。「これは更新作業として今月の枠内で対応します」「これは改善の実装にあたるので、別途お見積もりを出します」。この一言があるだけで、認識のずれが起きなくなります。
やってはいけないのが、分類が曖昧なまま親切心で着手することです。一度やってしまうと、次から同じ種類の依頼が枠内の作業として届きます。前例が基準を作ります。無償で受けるなら「今回は特別に」と明示します。明示しないと、当然のものになります。
手順3:作業の記録を残し、月次で見せる
月末に、その月の作業を一覧で出します。日付、依頼内容、分類、所要時間。これだけの表です。
この表には二つの効果があります。依頼者が枠の使い方を把握できること。そして、受注者がやった仕事が可視化されることです。保守の仕事は、うまくいっているほど何も起きていないように見えます。何も起きていないのは受注者が防いだからですが、伝えなければ伝わりません。
サーバーの稼働確認、バックアップの取得、セキュリティ更新の適用。こうした裏方の作業も表に載せます。載せないと、依頼者の中には保守料の意味が分からなくなる人が出ます。
手順4:緊急の依頼の扱いを決めておく
サイトが表示されない、フォームが動かない。こうした緊急事態は必ず起きます。
決めておくのは、緊急とみなす基準、連絡手段、対応可能な時間帯、それでも対応できない時間帯にどうするかです。二十四時間対応を約束すると自分が壊れます。「営業時間外に発生した場合は翌営業日の朝に着手します」と書いておくほうが誠実です。
そして、緊急の連絡先を平時の窓口と分けるかどうかも決めます。分けると本当の緊急だけが届きますが、依頼者が使い分けを間違えることもあります。運用しながら調整する前提で、まずは基準を文章にしておくことが先です。
保守に含める作業の全体像を、依頼者と共有する
修正対応の話をする前提として、保守という仕事に何が含まれるのかを依頼者と揃えておく必要があります。ここが揃っていないと、「保守料を払っているのに何もしてくれない」という不満が生まれます。
目に見えない定常作業を書き出す
保守の中身は、依頼を受けて動く作業と、依頼がなくても動く作業に分かれます。後者が見えていないことが、認識のずれの大半を生みます。
依頼がなくても発生するのは、サーバーの稼働確認、バックアップの取得と保管、システムやプラグインの更新適用、セキュリティ関連の情報確認、SSL証明書やドメインの期限管理、表示速度の点検、フォームの動作確認です。これらは何も起きていない月ほど、依頼者から見ると何もしていないように映ります。
だから、月次の報告に必ず載せます。「今月はシステムの更新を2件適用しました」「バックアップを毎週取得し、復元テストを1回行いました」。この記述があるかないかで、保守料の納得感がまるで変わります。防いだ事故は見えないので、防いだ作業のほうを見せます。
依頼を受けて動く作業を、種類ごとに例示する
もう一方の、依頼を受けて動く作業も、具体例で示しておきます。抽象的に「更新対応」と書くだけでは、依頼者は自分の頼みたいことが含まれるか判断できません。
文言の差し替え、画像の入れ替え、お知らせの追加と削除、商品情報の更新、価格や営業時間の変更、リンク先の変更。こうした具体例を並べます。そして、含まれない例も並べます。ページの新規作成、レイアウトの変更、新しい機能の追加、外部サービスとの連携追加、デザインの刷新。
例示があると、依頼者は自分の依頼がどちらに入るかを自分で判断できます。判断できる状態になれば、範囲外の依頼は最初から「これは別途お願いできますか」という形で届きます。窓口での押し問答が消えます。
分析レポートの範囲も決めておく
保守に分析が含まれる場合、レポートの範囲も決めます。どの指標を、どの粒度で、どの頻度で出すか。
指標を絞るのが重要です。訪問数と流入経路と主要ページの動きくらいに絞って、毎月同じ形式で出す。指標を増やすと作成の負担が増え、依頼者も読まなくなります。同じ形式で続けることに価値があり、毎回工夫を凝らす必要はありません。
そして、レポートに考察を付けるかどうかも決めます。数字だけ出すのか、読み取れることまで書くのか、改善案まで書くのか。改善案まで含めるなら、その実装が別料金であることを同じ文書に書いておきます。ここを分けておかないと、提案が実装の約束として読まれます。
回数と枠を決めるときの判断基準
具体的に、どのくらいの枠を持つかの決め方です。
判断の材料は四つあります。そのサイトの更新頻度、依頼者側に編集できる人がいるか、使っているシステムの複雑さ、依頼者の事業のサイクルです。
更新頻度が高いサイトは、枠を大きめに取ります。商品を頻繁に入れ替えるECや、イベント情報を載せる業種がこれにあたります。逆に、コーポレートサイトのように年に数回しか動かないものは、枠を小さくして、必要なときに追加する形が合理的です。
依頼者側に編集できる人がいる場合、更新作業の枠は小さくできます。ただし、編集した結果崩れたものを直す作業が増えるので、その分の余裕は見ておきます。管理画面の使い方を一度説明して、簡単な更新を依頼者側でできるようにするのは、双方にとって有益な投資になります。
使っているシステムの複雑さも効きます。同じ「文言を直す」でも、静的なページと、複数のテンプレートを経由するものでは手間が違います。着手前に一度、代表的な作業を実際にやってみて、時間を測っておくことをおすすめします。感覚で枠を決めると、必ずずれます。
依頼者の事業のサイクルも見ます。年度末や繁忙期に依頼が集中する業種であれば、その時期だけ枠を増やす設計にしておくと、双方が楽になります。年間で平均して枠を持つより、山谷に合わせるほうが実態に合います。
契約や覚書に書いておくこと
口頭の合意は必ず食い違います。文章にします。
書く項目は次のとおりです。保守に含む作業と含まない作業。更新作業の枠と、その数え方。枠を超えた場合の扱い。不具合修正の定義と、対象外になる場合。緊急対応の基準と時間帯。作業の依頼方法と受付経路。サーバーやドメインの管理責任の所在。契約終了時のデータとアカウントの扱い。
特に最後の二つは忘れられがちですが、後で大きな問題になります。サーバーの契約が誰の名義か、ドメインの更新を誰が管理するか。ここが曖昧なまま契約が終わると、サイトが止まる事故が起きます。
もう一つ、依頼者側にお願いする事項も書きます。素材データの提供期限、修正内容の確定タイミング、確認の返答期限。一方的にこちらが動く契約より、双方の役割が書かれた文書のほうが機能します。
業務委託として受ける以上、報酬の支払期日や一方的な条件変更の禁止といった取引条件は法的な枠組みで守られています。契約内容に不安がある場合は、公正取引委員会が公開している情報で自分の立場を確認しておくと、話し合いの場で落ち着いて対応できます。
既存の契約を、途中から見直す方法
すでに範囲を決めずに保守を始めてしまっている場合、どう立て直すかという問題があります。多くの人がこの状態にいます。
いきなり「今月から範囲を決めます」と通告するのは避けます。依頼者から見れば、条件が一方的に厳しくなったとしか見えません。順番があります。
最初にやるのは、記録を取ることです。直近の二か月から三か月、依頼された作業を全部記録します。日付、内容、分類、所要時間。この段階では依頼者に何も言わず、淡々と記録します。感覚ではなく事実を集めるのが目的です。
次に、その記録を月次の報告として依頼者に見せます。「今月はこの作業を行いました」と、事実だけを並べます。この時点でも要求はしません。見せることで、依頼者は初めて作業の総量を知ります。多くの場合、依頼者はここで驚きます。自分が出した依頼の量を把握していないからです。
そのうえで、整理を提案します。「作業の種類が混ざってきているので、一度分類を整理させてください」。分類の案を出し、それぞれの扱いを提案します。ここで初めて枠や見積もりの話をします。
この順番を踏むと、条件の見直しが要求ではなく整理として進みます。記録を見せた後であれば、依頼者側も納得しやすくなります。逆に、記録なしに口頭で「最近作業が多くて」と伝えると、こちらの都合として受け取られます。
そして、見直しの結果として作業が減る提案も一緒に出します。依頼者側で更新できる部分を増やす、依頼をまとめて月に一度にする、テンプレートを用意して手数を減らす。減らす提案が入っていると、話全体が前向きになります。条件を厳しくする話ではなく、双方が楽になる話として進められます。
揉めやすい場面と、その避け方
実際にトラブルになりやすい型を挙げます。
「これも修正の範囲ですよね」と言われる
分類を伝えていないと必ず起きます。避け方は、依頼を受けた時点で分類を返すことです。着手してから「これは範囲外でした」と言うのが最悪の展開になります。作業が終わってからの請求は、依頼者から見れば後出しに見えます。
修正の指示が曖昧で、やり直しが発生する
「もう少し見やすくしてほしい」という依頼は、判断基準がないので何度でもやり直しになります。
避け方は、着手前に完成の条件を確認することです。「どの画面幅で、どの部分が読みにくいですか」と具体化してもらう。それでも曖昧なら、こちらから案を一つ出して、それを基準に調整する形にします。ゼロから当てにいくと、何度でも外れます。
なお、受注者の責任によらない理由で、やり直しを繰り返し無償で求められる場合は、取引上の問題になり得ます。記録を残しておくことが自分を守ります。
依頼者が自分で触って壊す
管理画面を触れる依頼者がいる場合、これは避けられません。前提として組み込みます。
有効なのは、触ってよい範囲と触らないでほしい範囲を明示することです。あわせて、バックアップを定期的に取っておき、壊れたら戻せる状態にしておきます。壊れること自体を防ごうとするより、戻せるようにしておくほうが現実的です。
分析の結果が、無限の改修要求に変わる
数字を出すと改善の話になるのは自然ですが、実装まで含めて期待されると際限がなくなります。
避け方は、レポートを出す段階で「実装は別途お見積もりになります」と一言添えることです。提案と実装を分けておけば、良い提案を出すほど自分が苦しくなる構造を避けられます。分析の技術そのものを深めたい場合の道筋は上級ウェブ解析士でコンサルティング独立|分析のプロとして稼ぐ方法で扱われています。
保守と分析の仕事は、続けるほど有利になる
ここまで制約の話を書いてきましたが、保守は本来かなり良い仕事です。
理由は、続くからです。制作は納品で終わりますが、保守は毎月発生します。そして、そのサイトの構造とデータの癖を知っている受注者は、時間が経つほど代替が難しくなります。作業そのものは他の人でもできますが、蓄積した理解は移せません。
多くの企業が雑誌やラジオ、ポスティング、新聞折込に使っていた「広告費」を、低コストで高度な分析が出来るウェブ広告に振り向けています。実際に効果があるからこれだけ多くの出稿があるのだと思います。 出典: tol.jp
企業が予算をウェブ側に移している以上、数字を読んで改善に繋げられる人の需要は続きます。保守だけを受けるより、分析まで含めて提供できるほうが関係は太くなります。マーケティングのデータを扱う領域はマーケ戦略・分析・レポート作成のお仕事で扱われる業務と重なる部分が多く、サイトの外側の施策と繋がるとさらに広がります。集客の一部を担うSNSの運用まで含めた依頼になることもあり、SNS運用代行・SNS広告のお仕事の領域と地続きになっています。
20年この市場を見てきた立場から言えば、保守で長く続いている受注者は、作業の速さではなく「この人に任せると自分が考えなくて済む」という状態を作ることに時間を使っています。修正の回数を厳密に管理している人より、何をどう頼めばよいかが分かる仕組みを用意している人のほうが、結果として依頼が安定しています。制限は、依頼者を締め付けるためではなく、依頼者が迷わないために置くものです。
運営者として見てきた限りでは、中間マージンが乗らない直接取引の場では、この設計が特に効きます。仲介手数料に消えていた分が業務の対価に回るので、依頼者は同じ予算でより多くを任せられ、受け手は手取りが厚くなって余力が生まれます。手数料0%の価値は金額の大きさではなく、範囲の話を当事者どうしで直接できることにあります。間に人が入ると、範囲の調整は他人の都合として処理されます。直接であれば、作業の重さがそのまま伝わります。
制作の側から保守に入る人も、逆に保守から設計に広がる人もいます。画面の設計まで踏み込みたい場合の道筋はUI/UXデザインのフリーランスになるには?必要スキルと案件相場で整理されています。どの方向に伸ばすにしても、最初にやるべきは同じです。何を修正と呼ぶかを決めて、それを文章にして、依頼者と共有する。回数の話は、その後で自然に決まります。
よくある質問
Q. Webサイト保守の修正対応は、月に何回までにするのが適切ですか?
回数で決めるより、時間の枠で持つほうが実務では機能します。文言を20か所直す依頼と新しいページを作る依頼が同じ1回として数えられると、一回の重さが揃わず必ず不満が出ます。「月に3時間分の更新作業を含みます」という形にすれば、依頼者もまとめて出したほうが効率がよいと理解します。
Q. 不具合の修正にも回数制限を設けるべきでしょうか?
設けないほうがよい項目です。不具合はサイトを本来あるべき状態に戻す作業なので、上限に達した後に放置されると双方が損をします。ただし、自分が納品した部分の不具合か、依頼者が編集した結果か、外部サービス側の変更によるものかという線引きは、契約時に書いておいてください。
Q. 改善の提案をすると作業が増えてしまいます。どうすればよいですか?
提案と実装を分けてください。レポートを出す段階で「実装は別途お見積もりになります」と一言添えておけば、良い提案を出すほど自分が苦しくなる構造を避けられます。改善の実装は規模が読めないため、保守の枠に入れず都度見積もりにするのが双方にとって公平です。
Q. 依頼者が管理画面を触って表示が崩れた場合、無料で直すべきですか?
不具合修正ではなく更新作業に近い性質なので、枠内の作業として扱うのが妥当です。防ぐことより戻せるようにしておくほうが現実的なので、定期的なバックアップを取り、触ってよい範囲と触らないでほしい範囲を最初に明示しておいてください。運用しながら基準を調整する前提で構いません。
Q. 契約書に最低限書いておくべき項目は何ですか?
保守に含む作業と含まない作業、更新作業の枠と数え方、枠を超えた場合の扱い、不具合修正の定義、緊急対応の基準と時間帯、依頼の受付経路の六つです。あわせて、サーバーやドメインの管理責任の所在と、契約終了時のデータとアカウントの扱いも必ず入れてください。ここが曖昧だとサイトが止まる事故に繋がります。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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