SEO記事作成の見積もりの作り方|あとで足せない項目


この記事のポイント
- ✓SEO記事作成 見積もりの出し方で迷う人向けに
- ✓あとから請求できなくなる項目
- ✓修正回数と権利の書き方
結論から書きます。SEO記事作成の見積もりで揉める原因のほとんどは、金額の高低ではなく「書かれていない工程」です。見積書に載せなかった作業は、後から請求できません。SEO記事作成 見積もりの出し方を調べている人の多くは、いくらで出すかを悩んでいますが、実務で効くのは金額よりも項目の粒度です。この記事では、見積書に載せるべき工程の分解方法、あとで足せない項目、修正回数と権利の書き方、そして相見積もりで比較されたときの立ち回りまでを整理します。
見積もりが揉める構造を先に理解する
SEO記事作成の外注が揉めるのは、成果物の定義が曖昧なまま金額だけが合意されるからです。記事という成果物は、見た目には1本のテキストファイルですが、そこに至る工程は10近くに分かれます。キーワードの確認、競合調査、構成案の作成、一次情報の収集、執筆、事実確認、画像や図表の準備、CMSへの入稿、公開後の修正。どこまでを含むかで作業量は大きく変わります。
費用の構造について、外注市場を分析した記事ではこう説明されています。
SEO記事を外注する際の費用は、依頼範囲と制作体制によって大きく変動します。 出典: search-engine-pirates.co.jp
依頼範囲と制作体制。この2つが金額を決めるという指摘は、そのまま見積書の作り方に直結します。範囲を書かない見積書は、金額の根拠を示していないのと同じです。
揉め方には型があります。1つ目は、構成案の作り直しです。執筆前に構成を出し、承認をもらってから書くつもりだったのに、承認プロセスが決まっておらず構成を3回作り直す。この作り直し分は、見積書に「構成案の提出は1回、修正は2回まで」と書いていなければ請求できません。
2つ目は、取材や資料確認の発生です。公開情報だけで書けると想定していたのに、実際は社内の担当者に確認しないと書けない内容が出てくる。確認のための打ち合わせや、回答待ちの時間は工数ですが、見積書に無ければ善意の作業として消えます。
3つ目は、入稿作業です。原稿をテキストで納品するつもりが、CMSへの入力、見出しタグの設定、画像の配置、内部リンクの設定まで求められる。これは執筆とは別の作業ですが、「記事作成」という言葉に含まれると解釈されがちです。
正直なところ、これらは発注側が悪意を持っているケースより、双方が想定を共有していないケースの方が圧倒的に多い。だから見積書の書き方で防げます。
見積書に載せる工程の分解方法
見積もりを作る手順は、金額から考えないことが出発点です。まず工程を洗い出し、それぞれに含む含まないを決め、最後に金額を割り当てます。順序を逆にすると、必ず抜けが出ます。
工程を書き出す
SEO記事作成の標準的な工程は次のように分けられます。キーワードと検索意図の確認、競合上位の調査、構成案の作成と提出、参考資料の収集、執筆、事実確認と出典の付与、推敲、図表や画像の準備、入稿、公開後の確認。この10工程をベースに、案件ごとに増減させます。
工程を書き出す作業は、初回だけ丁寧にやれば以後は使い回せます。案件ごとにゼロから考えると抜けが出るので、自分用のテンプレートを1つ持っておきます。テンプレートがあると、見積もり作成にかかる時間も短くなります。
含む工程と含まない工程を明示する
見積書には、含む工程だけでなく「含まない工程」も書きます。これが重要です。含まないものを書いておかないと、発注側は当然含まれると考えます。画像の作成は含まない、CMSへの入稿は含まない、公開後の順位計測は含まない。こうした一文があるだけで、後から追加依頼が来たときに別途見積もりの話ができます。
含まない工程を書くのは、断りの表明ではありません。むしろ「必要なら追加でお受けできます」という提案の入口になります。発注側にとっても、どこまで自社でやるかが明確になるので、社内の段取りが組みやすくなります。
前提条件を書く
工程の前後に、前提条件を書き添えます。キーワードは発注側から指定される前提か、こちらで選定する前提か。参考資料は提供される前提か、公開情報のみで書く前提か。承認者は誰で、承認の期限は何日以内か。
前提条件が崩れた場合の扱いも1行書いておきます。前提が変わった場合は改めて条件を協議する、という記載です。この一文があるかないかで、途中で条件が変わったときの交渉のしやすさが変わります。
数量と単位を決める
見積書は、数量と単位が明示されていないと比較できません。記事本数、想定の文字量の範囲、構成案の提出回数、修正の対応回数。それぞれに数量を入れます。単位が「一式」ばかりの見積書は、発注側にとって判断材料になりません。
比較検討している発注担当者は、複数の見積書を並べて社内で説明します。項目が分かれていて数量が入っている見積書は、社内稟議で通しやすい。通しやすい見積書は、それだけで選ばれる確率が上がります。
見積もりを作る前に集めておく情報
工程を分解する前段として、発注側から引き出しておくべき情報があります。ここが不足したまま見積もりを出すと、後から前提が崩れます。
メディアの現状
対象となるメディアが今どういう状態かを確認します。立ち上げ直後なのか、すでに記事が蓄積されているのか。既存記事があるなら、更新頻度、著者表記の有無、内部リンクの設計。これらを確認するだけで、必要な工程が変わります。
立ち上げ直後のメディアは、記事単体の設計だけでなくサイト全体の構造を考える必要が出てきます。既存記事が多いメディアなら、カニバリの確認や内部リンクの調整が発生します。どちらも見積もりに反映されるべき工程です。
CMSの種類も確認します。一般的なCMSなら入稿の工数は読めますが、独自開発の管理画面だと操作の習得に時間がかかります。入稿を含む見積もりを出す前に、管理画面の仕様を確認しておきます。
社内の体制と承認フロー
誰が窓口で、誰が承認するのか。承認者が複数いる場合、順番はどうなっているのか。この情報は工数に直結します。承認者が3人いて、それぞれが別方向の指摘をする体制なら、修正回数の設定を厚めにする必要があります。
承認の所要時間も聞きます。構成案を提出してから承認が下りるまでの目安が分かれば、納期を現実的に設定できます。承認に時間がかかる体制で短納期を約束すると、待ち時間のしわ寄せが執筆側に来ます。
想定している成果の指標
発注側が何をもって成功と判断するのかを確認します。検索順位なのか、流入数なのか、問い合わせ件数なのか。指標が明確なら、記事の設計もそこに合わせられます。
ここで注意したいのは、成果の指標を確認することと、成果を保証することは別だという点です。指標を共有した上で、記事側でできることの範囲を明示します。順位はサイト全体の評価や競合の動きにも左右されるため、記事1本で確約はできない。この説明を見積もりの段階で済ませておくと、後から責任範囲の話になりません。
納期の逆算に必要な条件
掲載予定日が決まっているのか、決まっていないのか。決まっているなら、そこから逆算して各工程の期限を置きます。構成案の提出日、承認の期限、初稿の提出日、修正の締切、入稿日。
期限を置くとき、発注側の作業日も明記します。承認に何日、確認に何日。相手の作業日を含めないスケジュールは、必ず遅延します。遅延の責任が執筆側に来ないようにするには、最初から双方の作業日を分けて書いておくのが確実です。
あとで足せない項目
ここが本題です。見積もり時に書き漏らすと、実務上ほぼ請求できなくなる項目を挙げます。
構成案の作成と修正
構成案は、執筆と同じくらい時間がかかる工程です。競合の見出しを確認し、検索意図を分解し、記事の骨組みを作る。ここに時間をかけるほど執筆は速くなりますが、工程としては独立しています。
構成案を含む場合は、提出回数と修正回数を明記します。「構成案の提出1回、修正2回まで」といった書き方です。回数を書かないと、承認が下りるまで何度でも直す前提になります。発注側の社内で意見が割れると、構成案の往復だけで数週間かかることがあります。
構成案の承認をもって執筆に進む、という進行条件も書いておきます。承認前に書き始めて、後から構成が変わると、執筆分がまるごと無駄になります。
一次情報の収集と取材
社内の担当者へのヒアリング、事例の確認、専門家へのチェック依頼。これらは公開情報の調査とは別の工数です。30分のヒアリングでも、日程調整、実施、内容の整理を含めれば半日近く消えます。
取材が発生する可能性がある案件では、見積書に「取材1回まで含む、追加は別途」と書きます。取材が不要な前提なら、「公開情報に基づく執筆」と明記します。この一文があると、後から取材が必要になった際に、追加であることを自然に伝えられます。
事実確認と出典の付与
制度や統計を扱う記事では、出典の確認に時間がかかります。公的機関の情報を確認する作業は、記事の信頼性を担保する上で欠かせません。厚生労働省や総務省が公開している統計を参照する場合、該当ページを特定し、数値の年度を確認し、リンク切れを確認する。この一連の作業は執筆時間に含まれません。
出典の付与を含むかどうかは、記事のジャンルによって重みが変わります。制度解説や統計を扱う記事なら、独立した工程として書きます。参照先を確認する際は、e-Govのような公的なポータルから辿ると、リンクの安定性が高く後の修正も減ります。
図表と画像の準備
文章だけで説明が難しい内容は、図表があると伝わります。ただし図表の作成は執筆とは別の技能であり、別の工数です。素材の選定、作図、リサイズ、代替テキストの作成。これらを含むなら、点数を明記します。
含まない場合も明記します。「図表の作成は含みません。必要な場合は別途お見積もりします」と書いておけば、納品後に「図が無い」と言われずに済みます。
CMSへの入稿と公開作業
原稿をテキストで渡すのか、CMSに入れるところまでやるのか。入れる場合、見出しタグの設定、内部リンクの設置、画像のアップロード、メタディスクリプションの入力まで含むのか。入稿は単純作業に見えますが、慣れないCMSだと想定の倍かかります。
公開作業を含む場合は、CMSのアカウント発行や操作権限の付与が前提条件になります。前提条件が満たされないまま納期だけが進むことがあるので、アカウント発行の期限も書き添えておきます。
修正の回数と範囲
修正は必ず発生します。回数と範囲の両方を書きます。回数だけ書いて範囲を書かないと、1回の修正で構成を丸ごと変える指示が来たときに対応せざるを得ません。
範囲の書き方は、含むものを具体的に挙げる方が伝わります。誤字脱字の修正、事実関係の訂正、表現の調整は含む。構成の変更、想定読者の変更、キーワードの変更は新規の作業として別途。この線引きを見積書に書いておくと、修正依頼が来たときに機械的に判断できます。
権利の扱いと二次利用
著作権を譲渡するのか、利用許諾にとどめるのか。譲渡する場合、その対価は金額に含まれているのか。他媒体への転載や、別クライアント向けの流用が想定されるのか。
権利の扱いは、後から変更できません。譲渡してしまえば、実績としての使用や、内容の再利用ができなくなる可能性があります。逆に、権利を渡さない前提で見積もっているのに、発注側が譲渡を前提にしていると、納品後に揉めます。見積書か契約書のどちらかで必ず触れます。
公開後の対応期間
公開してから数週間後に「順位が上がらないので直してほしい」と連絡が来ることがあります。対応するかどうか、するならいつまでか。これも見積もりの範囲です。
公開後の対応を含まない場合は、納品完了の定義を書きます。「原稿の納品と検収の完了をもって業務完了とします」といった記載です。含む場合は期間を区切ります。無期限の対応を前提にすると、過去の案件が積み上がって身動きが取れなくなります。
金額の組み立て方と説明の仕方
工程が固まったら金額を割り当てます。ここでの判断基準は、自分の作業時間を基準に置くことです。文字量を基準にすると、調査が重い記事ほど割に合わなくなります。
積み上げで考えて、提示は分かりやすくする
内部の計算は工程ごとの積み上げで行います。構成案に何時間、調査に何時間、執筆に何時間、確認に何時間。これを合計して金額を出します。
ただし、提示する見積書に時間まで全部書く必要はありません。工程ごとの金額を並べると、発注側は工程単位で削ろうとします。削られて困る工程は、まとめて提示する方が守れます。構成案と執筆をまとめ、オプション扱いにできる工程だけ分けて出す。この見せ方が実務的です。
相場の話をどう扱うか
発注側は必ず他社と比較します。比較の土俵に乗るには、金額の根拠を説明できる必要があります。ここで有効なのは、金額そのものではなく工程の違いを説明することです。構成案を含むか、取材を含むか、出典の確認を含むか。同じ「記事作成」でも中身が違うことを示せば、単純な金額比較から抜けられます。
説明のときに他社を批判する必要はありません。「弊社の構成では、この工程を含んでいます」と事実だけを並べます。発注側は社内で説明する材料を欲しがっているので、比較しやすい形で情報を渡すと信頼されます。
値引きを求められたときの返し方
値引きの要求に対して、金額だけを下げるのは避けます。下げるなら工程を減らします。構成案の作成を発注側で行う、図表を発注側で用意する、入稿を発注側で行う。範囲を減らして金額を下げれば、作業単価は維持できます。
範囲を変えずに金額だけ下げると、次回以降もその金額が基準になります。継続案件では特に、最初の条件がその後ずっと効いてきます。
相見積もりで比較されたときの立ち回り
発注側が複数から見積もりを取るのは当然の行動です。比較されること自体は問題ではなく、比較の土俵をどこに置くかが勝負になります。
金額だけの土俵に乗ると、条件の低い相手に流れます。そこで有効なのが、比較しやすい形で工程を並べることです。含む工程、含まない工程、前提条件。これを表形式に近い形で整理して渡すと、担当者は他社の見積もりと突き合わせやすくなります。突き合わせた結果、含まれている工程が多いことが分かれば、金額差の説明がつきます。
比較の場面でよく使われるのが、無料相談や無料診断です。発注側は、まず状況を説明して方針を聞きたい。ここに応じるかどうかは判断が分かれますが、時間を区切るなら応じる価値があります。30分で現状を聞き、必要な工程の見立てを伝える。この場で提案の質を示せれば、金額以外の判断材料を渡せます。
ただし、無料の範囲で具体的な構成案やキーワード設計まで出すのは避けます。それは成果物であり、渡してしまえば発注する理由が消えます。無料で出すのは、どういう工程が必要かという見立てまで。実際の設計は受注後です。この線引きを自分の中で決めておかないと、提案だけさせられて発注は他社、という事態が繰り返されます。
コツとして挙げるなら、比較されている前提で「他社の見積もりで確認すべき点」を伝えるのも有効です。入稿は含まれているか、修正回数は何回か、権利の扱いはどうなっているか。この視点を渡すと、担当者は他社の見積書を読み直します。読み直した結果、項目が書かれていないことに気づけば、こちらの見積書の丁寧さが際立ちます。相手を批判せずに差を示す方法として、実務で機能します。
見積書の体裁と送り方
内容が固まっても、伝え方で印象が変わります。実務で効く体裁のポイントを整理します。
見積書には、有効期限を入れます。期限が無いと、半年後に同じ条件で発注される可能性があります。稼働状況も相場も変わるので、期限を区切っておきます。
送付の際は、見積書だけを送らず、要点を本文で説明します。含む工程、含まない工程、前提条件、納期の考え方。本文で先に説明しておくと、担当者が社内で説明するときにそのまま使えます。担当者の手間を減らす資料は、それ自体が受注確率を上げます。
見積書のファイル名にも気を配ります。日付と案件名が入っていれば、担当者が社内で共有したときに探しやすい。細かい話ですが、複数社の見積もりを並べて管理している担当者にとっては、これだけで扱いやすさが変わります。改訂版を送る場合は版数を入れて、どれが最新か分かるようにします。旧版と新版が混在すると、承認の場で古い条件が採用される事故が起きます。
送付後のフォローも決めておきます。返信が無いまま日数が経った場合、いつ確認の連絡を入れるか。目安を決めておかないと、こちらから連絡しづらくなって案件が宙に浮きます。提出から一定の日数が過ぎたら、条件の確認事項を添えて短く連絡を入れる。催促ではなく、補足情報を渡す形にすると自然です。
質問が来たら、金額の話に入る前に工程の認識をそろえます。「入稿まで含むご想定でしょうか」といった確認を先に済ませると、後の食い違いが減ります。
私が編集側で複数の外注先を比較していたとき、選んだのは金額が一番安い相手ではありませんでした。工程が明記されていて、社内でそのまま説明できる見積書を出してきた相手です。稟議を通す立場からすると、説明できない見積書は選べない。この事情は、受注側からは見えにくいところです。
見積もりでよくある失敗と対策
実務で繰り返し起きる失敗を、対策とセットで整理します。どれも一度経験すれば覚えますが、先に知っておく方が安上がりです。
文字量だけで見積もってしまう
文字量を基準に金額を決めると、調査が重い記事ほど割に合わなくなります。同じ文字量でも、公開情報の整理で書ける記事と、制度の条文を確認しながら書く記事では、必要な時間が数倍違います。
対策は、文字量を成果物の目安として書きつつ、金額の根拠は工程に置くことです。見積書には想定文字量を範囲で示し、その範囲を大きく超える指定があった場合は改めて協議する、と書き添えます。文字量を約束すると、後から増量を求められたときに断りにくくなります。
納期に自分の作業日しか入れていない
執筆に何日かかるかは計算できても、承認待ちの日数を入れ忘れると、スケジュールが破綻します。構成案を提出して承認が下りるまでの日数、初稿を提出して確認が返るまでの日数。これらは相手の作業日です。
対策は、工程表を双方の作業に分けて書くことです。こちらの作業日と相手の作業日を分けて示せば、遅延が起きたときに原因が明確になります。相手の確認が遅れた分だけ後工程がずれる、という合意を先に取っておきます。
継続案件の条件を初回と同じにしてしまう
初回の案件は、メディアの理解やCMSの操作習得に時間がかかります。この初期コストを織り込んだ条件で継続を約束すると、2本目以降は効率が上がるので有利に見えます。しかし逆のパターンもあります。初回だけ発注側が丁寧に情報を出し、継続に入ると資料提供が減って調査工数が増える。
対策は、継続の条件を初回とは別に協議する、と最初に書いておくことです。3本納品した時点で条件を見直す、といった区切りを設けておくと、双方が現実に合わせて調整できます。
口頭で決めた条件を書面に残していない
打ち合わせで決めた条件を、その場のメモだけで済ませると、認識のズレが後から表面化します。特に、範囲の追加や納期の変更は口頭で発生しがちです。
対策は単純で、打ち合わせの当日に要約をテキストで送り、相手の確認を得ることです。合意事項、変更点、次のアクション。この3点を箇条書きで送れば数分で済みます。この一手間があるかないかで、後の交渉のしやすさが決定的に変わります。
20年市場を見てきた立場からの観察
在宅ワークと業務委託の市場を長く運営してきた立場から見ると、見積もりが上手い人には共通点があります。金額の交渉が上手いのではなく、作業の中身を言語化するのが上手い。何をどこまでやるのかを説明できるので、発注側が納得して発注できます。
もう1つ、手取りの構造についての観察があります。仲介の手数料が乗る取引では、発注側が支払った金額と受注側が受け取る金額の間に差が生まれます。同じ予算でも、中間マージンが乗らない手数料0%の直接取引であれば、発注側はより多くの本数を頼めて、受注側は手取りが厚くなる。見積もりを作るときに、額面だけでなく最終的に手元に残る金額まで意識している人は、条件の設計が慎重です。長く続いているのは、そういう慎重さを持っている人たちです。
職種と市場のデータから見積もりの妥当性を確かめる
見積もりの妥当性を自分だけで判断すると、経験の範囲に縛られます。市場のデータを組み合わせると、判断の軸が増えます。
執筆や編集を職業として捉えたときの市場の位置づけは著述家,記者,編集者の年収・単価相場で確認できます。職種としての水準感を把握しておくと、案件ごとの条件が市場のどのあたりにあるかが見えます。技術系のメディアを扱うならソフトウェア作成者の年収・単価相場も参考になります。技術者の稼働がどう評価されているかを知っておくと、技術記事の工程を説明する際の説得力が変わります。
守備範囲を広げる方向も検討に値します。記事作成だけでなく、業務設計や運用の相談まで受けられると、見積もりの構造そのものが変わります。実際の仕事の中身はAIコンサル・業務活用支援のお仕事やAI・マーケティング・セキュリティのお仕事で確認できます。文書作成の型を体系的に押さえたい場合はビジネス文書検定が、企業側の稟議や報告の作法を理解する手がかりになります。
海外の発注者を相手にする場合、見積書の作り方は日本国内と変わりますが、工程を明示する原則は同じです。実務の流れはUpworkの使い方ガイド|日本人フリーランスが海外案件を取る方法にまとまっています。働く場所を含めて選択肢を広げたい人はWebマーケティング フリーランスで海外ノマド!年収、スキル、成功への道で、必要なスキルの組み合わせを確認できます。
見積もりの精度は、案件を重ねるほど上がります。上げるためには記録が必要です。案件ごとに、見積もり時に想定した工数と、実際にかかった工数を並べて残しておきます。差が出た工程が、次回の見積もりで厚くすべき箇所です。多くの場合、想定より膨らむのは執筆そのものではなく、調査と修正のやり取りです。この2つの実績値を持っているだけで、見積もりの説得力が変わります。
記録は複雑にする必要がありません。工程名と時間だけを表計算ソフトに書き足していく形で十分です。10件ほど溜まれば、自分の作業の傾向が見えてきます。調査に時間がかかるジャンル、修正が増える発注者の型、入稿でつまずくCMS。傾向が分かれば、案件を受ける前の段階で工程を厚めに見積もれます。感覚で出していた見積もりが、実績に裏付けられた見積もりに変わる。この変化が、条件交渉での立ち位置を押し上げます。
見積もりは一度出して終わりではありません。条件が変われば作り直します。作り直すこと自体は手間ですが、条件が変わったまま古い見積もりで進める方が、後の損失は大きくなります。変更のたびに版を更新し、双方が同じ書面を見ている状態を保つ。この運用が、稼働中の判断を軽くします。
見積書は、金額を伝える書類ではなく、仕事の設計図です。設計図が細かいほど、稼働中の判断が速くなり、揉め事が減ります。あとで足せない項目を先に書く。この一手間が、案件の後半を静かにします。
よくある質問
Q. 見積書に「一式」とまとめて書くのは避けるべきですか?
避けた方が無難です。一式表記だと発注側が中身を判断できず、社内稟議でも説明しにくくなります。工程を分けて数量を入れると、比較検討の際に選ばれやすくなります。ただし工程ごとに金額を全部出すと個別に削られるため、守りたい工程はまとめ、オプションにできる工程だけ分ける見せ方が実務的です。
Q. あとから追加請求できない項目はどれですか?
構成案の作り直し、取材やヒアリング、事実確認と出典付与、図表の作成、CMSへの入稿、修正の追加対応、権利の譲渡、公開後の対応です。いずれも見積書に含む含まないを書いていないと、発注側は含まれる前提で受け取ります。含まない工程を明記しておけば、追加依頼が来た時点で別途見積もりの話に移せます。
Q. 修正回数はどう書くのが適切ですか?
回数と範囲の両方を書きます。回数だけだと、1回の修正で構成を丸ごと変える指示が来ても対応せざるを得ません。誤字脱字、事実関係の訂正、表現の調整は含む。構成変更、想定読者の変更、キーワードの変更は新規作業として別途。この線引きを書いておくと、依頼が来たときに機械的に判断できます。
Q. 値引きを求められたらどう対応すればよいですか?
金額だけを下げるのではなく、範囲を減らして金額を調整します。構成案の作成を発注側で行う、図表を先方で用意する、入稿を先方で行うといった形です。範囲を変えずに金額だけ下げると、その金額が次回以降の基準になり、継続案件では特に不利に働きます。工程と金額を連動させるのが原則です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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