業務システム開発の継続案件にする|単発で終わらせない


この記事のポイント
- ✓業務システム開発の継続案件を作るための実務を整理しました
- ✓単発案件との契約の違い
- ✓初回案件を段階に分ける方法
業務システム開発で継続案件を持てるかどうかは、営業のうまさではなく、初回の案件をどう設計したかで決まります。結論から言うと、単発で終わる案件と継続に育つ案件の分かれ目は、納品時点で「次に何をするか」がリストになっているかどうかです。
継続案件が欲しい理由は明確です。案件を探す時間が減り、収入の見通しが立ち、業務理解が積み上がるぶん作業効率も上がります。一方で、継続案件には固有のリスクもあります。この記事では、業務システム開発の継続案件を作る手順と、維持するための実務、そして避けるべき状態までを順に整理します。
継続案件と単発案件は構造が違う
継続案件は、単発案件を並べたものではありません。契約の形も、求められる働き方も、収入の性質も違います。まずこの違いを押さえます。
契約形態が変わる
単発の開発案件は請負契約になることが多く、成果物の完成が報酬の条件です。継続案件は準委任契約が中心で、決められた期間に決められた稼働を提供することが履行の内容になります。
この違いは、責任の所在に直結します。請負では、想定より時間がかかっても報酬は変わりません。準委任では、稼働した分が報酬になるため、見積もりが外れたときの損失は発生しにくくなります。そのかわり、成果ではなく時間で評価されるため、何をしたかを説明する義務が生じます。
業務システム開発では、初回の構築を請負、その後の保守と追加開発を準委任、という組み合わせがよく採られます。この組み合わせは双方にとって合理的で、発注者は完成の保証を得られ、受注者は運用フェーズで不確実性を抱え込まずに済みます。
収入の性質が変わる
単発案件の収入は、案件が終わればゼロになります。次を取るまでの空白期間が、そのまま収入の空白になります。継続案件は毎月の収入が読めるため、この空白がなくなります。
ただし、読めることと多いことは別です。継続案件は長期の関係を前提とするため、金額の設定が保守的になりがちです。単発の案件を短期集中でこなすほうが、時間あたりの収入が高くなることもあります。継続を選ぶ理由は、金額ではなく安定と積み上げにあります。
判断の材料として、職種ごとの水準を把握しておくことは有効です。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には統計としてまとめられており、継続案件で受けている条件が市場からどれくらい離れているかを確認できます。
単発を積み上げる働き方の限界
単発案件だけで年間を埋めようとすると、常に営業を続けることになります。開発中も次の案件を探し、終わったらまた探す、という往復が発生します。この往復にかかる時間は請求できません。
さらに、単発案件は毎回ゼロから業務を理解する必要があります。業務システムは業務知識の依存度が高く、この理解にかかる時間が案件ごとに発生するのは非効率です。同じ会社の仕事を続けるほど、この時間は減っていきます。
開発会社の営業の現場でも、受注した後の設計が重視されています。
前回までは成約率を高めるためのTipsを紹介した。見事、受注に至ったら次は何を考えるか。システム開発では『受注=ゴール』ではない。受注して実際に開発プロジェクトが動き出し、システム開発に取り掛かっている間にも、「継続的に成約率を高めていくには、開発が終わった後を見越して、次の受注に向けての準備を進めておくことが大切です」と伊藤氏は言う。具体的には、後続の開発案件への提案だ。 出典: hnavi.co.jp
個人で受ける場合も同じです。開発中に次の準備を始めるかどうかが、単発で終わるか継続に育つかを分けます。
継続案件になりやすい領域
業務システム開発の中でも、継続に育ちやすい領域とそうでない領域があります。狙う場所を間違えると、努力しても単発で終わります。
保守と運用
稼働中のシステムには、必ず手が必要です。障害対応、問い合わせ対応、データの調査、設定の変更、ミドルウェアの更新といった作業が定期的に発生します。これらをまとめて引き受けるのが保守運用の契約です。
保守は継続案件の中でも最も安定します。システムが動いている限り必要とされるためです。一方で、作業量が読みにくく、何も起きない月と障害が続く月の差が大きくなります。月額の定額に対応時間の上限を設け、超過分を別途とする形が実務的です。
追加開発の受け皿
稼働後の業務システムには、改善要望が溜まります。これを都度の案件として受けるのではなく、毎月一定の時間を確保して順に消化していく形にすると、継続案件になります。
この形の利点は、発注者にとって稟議が楽になることです。改修のたびに見積もりと承認を回すのは負担が大きく、月額の枠があればその中で優先順位を決めるだけで済みます。受注者にとっても、毎回の見積もり作業がなくなります。
内製化の支援
システムを自社で持ちたいが人材がいない、という企業は多く存在します。この場合、自社の社員が開発できるようになるまでの支援を継続的に行う形が成立します。設計のレビュー、コードのレビュー、技術的な相談への対応が主な業務になります。
内製化支援は、支援が成功すれば仕事がなくなるという構造を持ちます。しかし実務では、内製化が進むほど新しい課題が出てくるため、役割が変わりながら関係が続くことが多くなります。
情報システム部門の外部委託
情報システムの担当者を置けない規模の企業では、その役割を外部に委託します。業務システムの保守だけでなく、社内のネットワーク、端末の管理、クラウドサービスの契約管理までを含む場合もあります。
この領域は業務の幅が広く、開発だけの知識では足りません。ネットワークやインフラの基礎はCCNA(シスコ技術者認定)の範囲が実務の目安になります。関連して、セキュリティやAIの導入支援まで含めた領域はAI・マーケティング・セキュリティのお仕事に整理されており、対応できる範囲を広げる際の参考になります。
単発案件を継続に変える手順
すでに受けている単発案件を、継続に育てる手順を順に見ていきます。
初回の範囲を段階に分ける
最初の見積もりの段階で、全体を複数の期に分けて提示します。今回作る範囲を第一期とし、次に着手すべき範囲を第二期として示す形です。
この分け方には2つの効果があります。発注者にとっては、初回の予算が抑えられ、稟議が通りやすくなります。受注者にとっては、次があるという前提が最初から共有されます。同じ内容の提案でも、「今回の開発」と呼ぶか「第一期」と呼ぶかで、その後の会話の前提が変わります。
第二期の内容は、詳細である必要はありません。何を実現するのか、なぜ今回は含めないのかが書いてあれば十分です。予算と期間の都合で後回しにした、という理由が明示されていれば、次の予算編成のときに自然に議題に上がります。
開発期間の終盤を準備にあてる
開発の最終盤を、次の提案の準備期間として計画に組み込みます。
第2回で触れたとおり、同社では見積書の作成プロセスの間に、発注者にビジネス上の中・長期的な方向性や課題感を聞き、システムの将来像や理想形を共有しておくようにしている。「例えば、システムの開発期間が3カ月であるなら、2カ月で開発して、ラストの1カ月は次の提案に向けた準備にあてるのが理想的です」(伊藤氏)。実際、同社では、ラストの1カ月で翌期の提案に向けたディスカッションをすることが多いという。 出典: hnavi.co.jp
この配分を個人の案件に当てはめるなら、実装を前倒しで終わらせ、余裕を作ることになります。終盤を余裕なく走り切る計画では、次の話をする時間が取れません。スケジュールの引き方の段階で、継続にするかどうかが決まっているということです。
課題リストを納品物に含める
稼働後に見えてきた課題、保留した要望、将来必要になる対応を、リストとして整理して渡します。項目は、内容、必要になる時期、想定される規模、優先度の4つで足ります。
このリストは、発注者にとっては次の予算を取るための資料になり、受注者にとっては次の提案の下書きになります。何より、リストがあること自体が「まだ終わっていない」という認識を作ります。何も残さずに納品すると、発注者はそのプロジェクトが完了したものとして頭から外します。
定例のリズムを作る
継続案件の入り口として最も現実的なのは、定例の打ち合わせを設けることです。月1回、稼働状況を確認し、課題リストを見直す場を作ります。
定例は、それ自体が業務です。時間を取るなら、その分の稼働を契約に含めます。無償の定例を続けると、負担だけが増えます。逆に、有償の定例が設定できれば、それが最小規模の継続契約になります。ここから保守や追加開発に広がっていくのが自然な流れです。
定例で扱う内容は、システムの稼働状況、寄せられた問い合わせの傾向、課題リストの進捗、次に検討すべきことの4点です。この場で発注者から出る困りごとが、次の案件になります。
継続案件を維持するための実務
契約を取った後、それを維持するための実務があります。継続案件は、放っておくと更新されません。
稼働の内訳を見せる
準委任の契約では、何にどれだけ時間を使ったかを示す必要があります。月末に稼働報告を出し、作業内容を項目ごとに整理します。
報告の粒度が細かすぎると作成の負担が大きくなり、粗すぎると納得感がありません。作業の種類ごとにまとめ、それぞれの時間と主な内容を書く程度が適切です。障害対応に何時間、問い合わせ対応に何時間、改修に何時間、といった分け方です。
この報告は、更新の交渉のときに効きます。稼働の実績が記録されていれば、時間が足りていないことも、余っていることも、事実として示せます。記録がないと、更新の話が印象の議論になります。
相談される状態を保つ
継続案件で最も価値があるのは、決まった作業をこなすことではなく、相談される立場にいることです。「こういうことはできますか」という質問が来る関係は、そのまま次の仕事につながります。
相談される状態を作るには、返信の速さと、断り方の質が効きます。返信が遅い相手には急ぎの相談が来ません。また、できないことを曖昧に受けてしまう人にも、重要な相談は来なくなります。できない理由と、代わりにできることをセットで示す習慣があれば、断っても関係は保たれます。
業務の変化を追いかける
発注者の業務は変わり続けます。組織改編、新しい制度への対応、事業の拡大や縮小といった変化は、システムに影響します。この変化を早く知るほど、先回りした提案ができます。
制度の変更については、公的機関の情報を定期的に確認する習慣が役に立ちます。行政の手続きや制度の情報はe-Govにまとまっており、業務システムに影響する変更を把握する起点になります。
継続案件が抱えるリスク
継続案件は良いことばかりではありません。リスクを理解したうえで設計する必要があります。
一社への依存
収入の大半をひとつの取引先に依存する状態は危険です。その会社の業績、担当者の異動、方針の転換といった自分の力が及ばない要因で、収入が一度に消えます。
目安として、ひとつの取引先が収入に占める割合を50パーセント以下に保つ、といった基準を持っておきます。この基準を超えたら、新しい取引先を作る活動を再開します。忙しくて営業する余裕がない時期こそ、依存度が高まっている時期です。
技術の停滞
同じシステムを長く見ていると、技術が固定されます。5年前に作ったシステムを保守し続けるということは、5年前の技術を使い続けるということでもあります。
対策は、意識的に新しい領域の案件を混ぜることです。継続案件で安定を確保しつつ、時間の一部を新しい技術を使う仕事にあてる配分にします。安定した収入があるからこそ、単価より学びを優先する案件を選べるという面もあります。周辺領域の広げ方についてはWeb・業務システム開発のお仕事に職種ごとの範囲が整理されており、次に伸ばす方向を考える材料になります。
条件を見直しにくくなる
長く続いた取引ほど、条件の見直しを切り出しにくくなります。関係が良好であるほど、金額の話をすると空気が変わるのではないかという懸念が働きます。
対策は、見直しの時期をあらかじめ契約に組み込むことです。年度ごとに条件を確認する、という取り決めがあれば、その時期に話すことが手続きになります。突然切り出すから交渉になるのであって、決められた時期の確認なら事務処理として扱えます。
終わるときは急に終わる
継続案件は、終わるときに予告が短いことがあります。システムの入れ替えが決まった、予算が削られた、社内で内製することになった、といった理由です。
備えとしては、契約に終了時の通知期間を入れておくことです。1か月前ないし3か月前の通知を条件にしておけば、次を探す時間を確保できます。この条項は、双方にとって公平なものとして受け入れられやすい内容です。
契約更新の進め方
継続案件は更新の連続で成り立ちます。更新の場は、条件を整える機会でもあります。
更新の話は、期限の2か月前を目安に切り出します。発注者側にも予算の手続きがあり、直前では対応できません。切り出し方は、実績の共有から入るのが自然です。この期間に何をしたか、どのような効果があったかを整理して示し、そのうえで次の期の体制を相談します。
このとき、稼働時間が契約の範囲に収まっているかを確認します。恒常的に超過しているなら、その事実を示して枠の見直しを提案します。逆に余っているなら、余った時間で何ができるかを提案します。どちらの場合も、記録があることが前提になります。
更新の書面も整えます。口約束のまま継続している案件は珍しくありませんが、条件が曖昧なまま年数が経つと、対応範囲も報酬も当初の想定から乖離していきます。期間、稼働の枠、対応する範囲、超過時の扱い、終了時の通知期間の5点だけでも書面にしておけば、認識のずれは大きく減ります。書面を作ること自体が、関係を軽んじていない姿勢として受け取られます。
更新の場では、次の期に取り組む内容も決めます。課題リストから優先度の高いものを選び、大まかな計画にします。次に何をするかが決まっていれば、更新は自然な流れになります。何も決まっていない状態で更新の可否だけを問うと、必要性の議論から始まってしまいます。
継続案件で求められる働き方
継続案件は、単発の開発とは求められる振る舞いが違います。ここを勘違いすると、技術的には問題がないのに更新されない状態になります。
待たせないことが最優先になる
単発の開発では、まとまった時間を確保して集中するのが効率的です。継続案件では、細切れの依頼に素早く反応するほうが評価されます。障害の連絡、操作の質問、データの確認依頼といった連絡は突然来ます。
すべてに即座に着手する必要はありません。求められているのは、受け取ったことと、いつ対応するかを返すことです。この一往復があるだけで、発注者は自分の業務の段取りを組めます。逆に、何時間も反応がないと、発注者は別の手段を探し始めます。
対応の時間帯を契約で決めておくことも重要です。平日の日中のみ対応する、緊急時の連絡手段は別に定める、といった取り決めがあれば、期待値のずれが起きません。取り決めがないまま夜間や休日の連絡に応じ続けると、それが標準になります。
他のベンダーと協働する場面が増える
継続的に関わっていると、他社が作ったシステムとの連携や、別のベンダーが担当する領域との調整が発生します。会計システム、勤怠管理、名刺管理といった既製のサービスとの接続は、相手側の仕様と日程に依存します。
このとき求められるのは、技術的な調整力よりも、責任の切り分けを明確にする力です。どこまでが自分の担当で、どこからが相手の担当かを文書で確認し、双方に共有します。曖昧なまま進めると、問題が起きたときにどちらも対応せずに止まります。
調整の記録は残します。誰と、いつ、何を合意したかを簡潔に書いてメールで共有するだけで十分です。この記録が、後で認識の食い違いが起きたときに双方を守ります。
説明の相手が技術者ではない
継続案件では、情報システム部門ではなく業務部門の担当者と直接やり取りすることが増えます。相手は技術用語を知りません。「テーブルの正規化が」と説明しても伝わらず、「この項目を入れると集計が正しく出なくなります」と業務の言葉に翻訳する必要があります。
この翻訳ができるかどうかは、継続の可否に直結します。説明が伝わらない相手には、相談が来なくなるためです。技術的に正しいことより、相手が判断できる形で情報を渡すことが優先されます。
複数の継続案件をどう組み合わせるか
継続案件を増やしていくと、次は組み合わせの問題が出てきます。すべてを受けると破綻し、絞りすぎると依存が高まります。
稼働の配分を先に決める
月の稼働時間を先に区切り、その枠の中で案件を配置します。継続案件に6割、新規の開発に3割、学習と営業に1割、といった配分をあらかじめ決めておく形です。
配分を決めずに依頼を受け続けると、継続案件が枠を食い尽くします。継続案件は毎月確実に発生するため、新しい案件を検討する余裕がなくなり、結果として単価も技術も固定されます。枠を先に決めておくと、受けられない依頼を断る根拠ができます。
繁忙期の重なりを避ける
業務システムの案件は、繁忙期が業務のサイクルに連動します。年度末、月末、決算期といった時期に対応が集中します。複数の継続案件を持つ場合、この時期が重なるかどうかを確認します。
すべての取引先が同じ年度末を持つなら、その時期は確実に手が足りなくなります。業種の異なる取引先を混ぜる、繁忙期の対応範囲を契約で限定する、といった調整が必要です。この確認は契約前に行います。始めてから気づくと、どちらかに迷惑をかけることになります。
断る基準を持つ
継続案件を持っていると、既存の取引先から範囲外の依頼が来ます。すべて受けると枠が崩れるため、断る基準が必要です。
基準の例としては、自分の主たる領域から離れすぎている依頼、対応時間が読めない依頼、責任範囲が定義できない依頼、他社の作った仕組みの尻拭いになる依頼が挙げられます。これらは受けても評価につながらず、時間だけが消えます。
断るときは、代わりの選択肢を示します。対応できる人を紹介する、範囲を狭めれば受けられると伝える、時期をずらせば可能だと提案する、といった形です。単に断るのと、代替案を出して断るのとでは、その後の関係が変わります。
現場を見てきた立場からの観察
フリーランスと在宅の仕事の市場を20年見てきた立場から言えば、継続案件を多く持っている人は、営業が得意な人ではありません。相手の業務に興味を持ち続けられる人です。同じ会社の同じシステムを何年も見ていると、作業は単調になります。それでも業務側の変化を面白がれる人が、結果として長く続いています。
もうひとつ、運営者として見てきた限りでは、継続の関係が壊れる原因は品質よりも金額の交渉であることが多いという傾向があります。毎回の値引き要求に応じ続けて疲弊するか、値上げを切り出せずに条件が固定されるかのどちらかです。ここで効いてくるのが取引の形です。仲介の手数料が乗らない直接の取引であれば、発注者は同じ予算でより多くを依頼でき、受注者は同じ作業でより厚い手取りを得られます。手数料0%の価値は金額の多寡ではなく、双方が納得したまま関係を続けられる点にあります。
継続案件の設計は、独立の形によっても変わります。長く企業で経験を積んだ人が受託を始める場合、前職の業務知識がそのまま継続案件の強みになります。事業としての組み立て方は定年後のフリーランス独立|退職金を活かした起業プランと注意点に整理されています。海外の企業と継続的に取引する形についてはUpworkの使い方ガイド|日本人フリーランスが海外案件を取る方法に、契約と支払いの実務がまとめられています。
継続案件の提案書や稼働報告は、文書としての読みやすさが評価に直結します。用語の統一や章立ての一貫性といった基本はビジネス文書検定で扱われる形式が基準になります。毎月出す報告書であるほど、体裁の差は積み重なって印象を作ります。
継続は結果ではなく設計である
業務システム開発の継続案件は、良い仕事をしていれば自然に生まれるものではありません。範囲を段階に分け、終盤に準備の時間を確保し、課題リストを残し、定例の枠を作り、更新の時期を決めておく。これらはすべて、最初の見積もりの段階から意図して組み込むものです。
逆に言えば、設計さえすれば再現できます。案件ごとに同じ手順を踏めば、単発で終わる確率は下がります。継続案件が取れないと感じているなら、営業の量を増やす前に、いま進めている案件の終わり方を設計し直すほうが効果は大きくなります。
よくある質問
Q. 継続案件は請負と準委任のどちらで契約すべきですか?
継続の部分は準委任が適しています。保守や追加開発は作業量が読みにくく、成果物の完成を約束する請負では不確実性を抱え込むことになるためです。初回の構築を請負、その後の運用と改修を準委任とする組み合わせが実務ではよく採られ、発注者は完成の保証を得られ、受注者は稼働に応じた報酬を受け取れます。
Q. 単発の案件を継続に変えるには何から始めればよいですか?
最初の見積もりで全体を複数の期に分け、今回の範囲を第一期として提示することです。次に着手すべき内容を第二期として書いておけば、次があるという前提が共有されます。あわせて、納品時に保留した要望や今後必要になる対応を課題リストとして渡すと、次の予算編成の議題に上がりやすくなります。
Q. 定例の打ち合わせは無償で設けるべきですか?
無償の定例を続けると負担だけが増えるため、稼働として契約に含めるのが適切です。有償の定例が設定できれば、それ自体が最小規模の継続契約になります。稼働状況の確認、問い合わせの傾向、課題リストの進捗、次に検討することの4点を扱えば、そこから保守や追加開発へ広がる流れを作れます。
Q. 一社に依存するリスクはどう管理すればよいですか?
ひとつの取引先が収入に占める割合に上限を決め、超えたら新しい取引先を作る活動を再開します。忙しくて営業する余裕がない時期ほど依存度が高まっているため、定期的に割合を確認する習慣が有効です。あわせて、契約に終了時の通知期間を入れておくと、急な終了に備える時間を確保できます。
Q. 契約更新の話はいつ切り出せばよいですか?
期限の2か月前が目安です。発注者側にも予算の手続きがあり、直前では対応できません。切り出し方は、その期間の稼働実績と成果を整理して共有し、そのうえで次の期の体制を相談する流れが自然です。次に取り組む内容が課題リストから決まっていれば、更新の可否ではなく計画の話として進められます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
朝比奈 蒼@SOHO編集部
ITメディア編集者
IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。
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