スポーツ・ダンス指導のもう一度頼まれる人|次に繋がる終わり方


この記事のポイント
- ✓スポーツ・ダンス指導でリピートされる人は
- ✓指導の中身より終わり方が違います
- ✓次に繋がる終わり方の手順を実務ベースで整理しました
スポーツ・ダンス指導でリピートされるかどうかは、レッスンの中身だけで決まっているわけではありません。同じ内容を教えていても、次の依頼が続く人と、単発で途切れる人がはっきり分かれます。差が出ているのは指導力そのものではなく、レッスンの終わり方と、終わったあとに依頼者の手元へ何が残るかです。
この記事では、スポーツ・ダンス指導の現場で「もう一度頼まれる人」が実際に何をしているかを、当日の締め方、撤収時の受け渡し、当日中の報告、翌週の動きという時系列に分けて整理します。対象が学校なのか企業なのか民間スタジオなのかで判断基準は変わるため、その違いも分けて書きます。読み終えたときに、次の現場で何を変えればよいかが具体的に決まる状態を目指します。
もう一度頼まれるかどうかは、最後の時間帯で決まっている
指導者の側は「レッスンの質」で評価されていると考えがちです。ところが依頼者の側は、レッスンの質を単独で測る物差しを持っていません。ダンスの技術やトレーニング理論を正しく評価できる担当者は、現場にはほとんどいないからです。担当者が評価に使えるのは、自分が見て分かるもの、つまり参加者の表情、当日の運営の滑らかさ、そして終わったあとに手元へ残った情報だけです。
だから、最後の時間帯の使い方が結果を左右します。参加者が汗を拭きながら帰る導線の作り方、担当者に何を伝えて帰るか、翌日に何が届くか。この三つは指導内容と違って、誰の目にも見えます。見えるものだけが評価され、記録され、次の稟議に載ります。
終わり方が次の依頼の入口になる理由
依頼者が次を検討するとき、思い出せる材料は多くありません。数週間前のレッスンの細部を覚えている担当者はまれです。覚えているのは、終わったあとに感じた「楽だった」「説明しやすかった」という感触と、手元に残ったメモや写真です。ここに何もなければ、次の企画を立てるときに名前が浮かびません。指導が良かったかどうか以前に、思い出されないという理由で候補から外れます。
逆に、終了直後に担当者の手元へ「次はこうすると良さそうです」という短い材料が渡っていれば、次の企画を立てる作業がその分だけ軽くなります。担当者にとって企画立案は仕事の中でも重い作業です。その重さを肩代わりした人が、次に呼ばれます。
依頼者が次回を決めるタイミングは想像より早い
継続の可否は、実務上かなり早い段階で内々に決まります。学校であれば行事の反省会、企業であれば当月の報告、スタジオであれば翌月のスケジュール確定のタイミングです。指導者が「そろそろ次の話をしよう」と思った頃には、すでに枠が別の人で埋まっていることが珍しくありません。
このズレを埋める方法はひとつです。終わった直後、担当者の記憶と熱が残っているうちに、次の話の入口だけを置いておくこと。売り込むのではなく、次を考えるときの材料を渡しておく。この差が数か月後の稼働に効いてきます。
指導現場のリピートは4つの層に分かれている
「リピートされる」と一言で言っても、誰が満足しているかによって次の依頼のされ方が変わります。現場を分解すると、判断に関わる層は四つあります。この四つを混同したまま「良いレッスンをしよう」とだけ考えていると、努力の向き先がずれます。
層1: 受講者本人の満足
もっとも分かりやすい層です。参加した子ども、選手、会員が楽しかったか、できるようになったかという評価です。ここが弱ければ話は始まりません。ただし、この層の満足だけでは継続に直結しません。受講者は多くの場合、発注の決定権を持っていないからです。
この層で押さえるべきなのは、全員が一度は「できた」と自覚する瞬間を作ることです。振付の完成度を上げるより、難易度の階段を細かく刻んで、下位層が置き去りにならないようにするほうが効きます。初心者が混ざる現場ほど、この設計の巧拙がそのまま満足度に出ます。
層2: 現場担当者の運営上の楽さ
体育教員、人事担当、スタジオのマネージャーなど、当日その場を回している人の評価です。この層は指導の内容よりも、段取りの負担を見ています。集合時間の指示が明確か、機材の要求が現実的か、時間どおりに終わるか、片づけまで自走してくれるか。
この層に嫌われる典型は、当日に条件を追加する指導者です。音響の仕様、床の状態、更衣室の確保といった要求は、事前に一度で出し切るのが鉄則です。当日の追加要求は、担当者にとって「次は頼みたくない相手」を意味します。
層3: 決裁者の説明しやすさ
予算を承認する立場の人は、当日の現場を見ていないことがほとんどです。この層が見るのは、担当者が上げてきた報告だけです。つまり、担当者が上に説明しやすい材料を渡せているかどうかが、そのまま継続予算の可否になります。
参加人数、実施内容、参加者の反応、次回への示唆。この四点が短くまとまっていれば、担当者はそれをほぼそのまま社内文書に転記できます。文書の形で残る仕事の重要性は、指導の現場でも変わりません。文章で正確に伝える技能そのものが単価に影響することは、著述家,記者,編集者の年収・単価相場のように職種として成立していることからも分かります。指導者にとっても、報告文は指導の一部です。
層4: 次の企画の材料
四つ目は、次の企画そのものを一緒に作れるかという層です。ここまで届くと、指導者は外注先ではなく相談相手になります。「来年度は低学年向けにも広げたい」「継続的な体力測定を組み合わせたい」といった相談が先に来るようになれば、価格や日程の交渉は後追いで整います。
良い終わり方は、受注時の条件確認から始まっている
終わり方の話をすると当日の締めくくりに注目が集まりますが、実際には引き受けた時点で結果の大半が決まっています。条件の確認が甘いまま当日を迎えると、現場で調整に追われ、締めの時間が消えるからです。
事前に必ず揃えておく確認項目
確認すべき項目は現場ごとに違いますが、共通して外せないものがあります。実施場所の床の材質と広さ、天井の高さ、音響設備の入力方式、更衣スペースの有無、参加予定人数と年齢構成、参加者の経験の幅、雨天や欠席が出た場合の扱い、当日の連絡先。この八つを事前に押さえておくと、当日の想定外がほぼ消えます。
特に音響は事故が起きやすい部分です。持ち込みの機器で再生できると思っていたら接続端子が合わない、施設の設備は許可がないと使えない、といった事態は珍しくありません。当日に判明すると、担当者が対応に走ることになります。担当者を走らせた時点で、その日の運営は「手のかかる相手」として記憶されます。
目的を言語化してから引き受ける
もうひとつ重要なのが、依頼の目的の確認です。同じ「ダンス教室をやってほしい」という依頼でも、行事を盛り上げたいのか、体力づくりが狙いなのか、地域交流が目的なのかで、良い実施の定義が変わります。目的を確認せずに引き受けると、指導者が良いと考える内容と、依頼者が期待していた内容がずれます。
目的の確認は、そのまま終わり方の設計にもつながります。体力づくりが目的なら、締めで伝えるべきは継続の方法です。行事の盛り上げが目的なら、参加者が達成感を持ち帰る演出です。目的が違えば、最後の数分で言うべきことが変わります。
安全管理の説明ができるかどうかで信頼が決まる
体を動かす指導では、けがの可能性を完全にゼロにはできません。だからこそ、事前にどのような配慮をしているかを説明できる指導者が選ばれます。準備運動の設計、当日の体調確認の方法、無理をさせない声かけの基準、けがが起きた場合の連絡手順。この四点を短く説明できるだけで、担当者の安心感は大きく変わります。
依頼者の側は、事故が起きたときに自分が説明責任を負う立場にあります。その不安を先に取り除いた相手を、人は継続して選びます。安全に関する説明は、営業活動ではなく、依頼者の負担を下げる実務です。
終わり方の実務手順(当日)
ここからは具体的な手順です。当日にできることは限られていますが、限られているからこそ順番が決まっています。
レッスン終了前にやること
終了時刻ぴったりまで指導を続けるのは避けます。5分から10分を締めの時間として確保し、次の三つを行います。
一つ目は、今日できるようになったことの言語化です。「腕の位置が変わった」「止まるところで止まれるようになった」と、参加者が自分の言葉で言える状態にします。ここを飛ばすと、参加者は「楽しかった」で終わり、上達の実感が残りません。実感が残らない体験は、来年も同じ人に頼む理由になりません。
二つ目は、次に何を練習すればよいかの提示です。宿題を出すという意味ではなく、指導者がいない期間に自分でできることを一つだけ渡します。多く渡すと誰もやりません。一つに絞ると、担当者はそれを継続の口実に使えます。
三つ目は、全体への短い言葉です。長い挨拶は不要です。参加者ではなく、その場に立っている担当者や保護者に向けて、今日の狙いが何だったかを一文で言います。見学者は指導の意図を知りたがっており、意図が伝わった瞬間に「専門家に頼んだ」という納得が生まれます。
撤収時に担当者へ渡す3つの情報
機材を片づけながら、担当者に口頭で渡す情報を決めておきます。立ち話の数分で十分です。
一つ目は、当日の実施内容の要約です。予定していた内容とのズレがあれば、その理由も添えます。二つ目は、参加者の様子で気づいた点です。特定の個人を評価するのではなく、集団としての傾向を伝えます。三つ目は、次に同じ企画をやるなら変えるとよい点です。ここは指導者にしか言えない情報であり、担当者がもっとも価値を感じる部分です。
この三つは、担当者が上司に報告するときの骨格とそのまま重なります。骨格を渡された担当者は、報告書を書く時間が短くなります。仕事を軽くしてくれた相手を、人は次も選びます。
当日中に送る短い報告
現場を離れたら、その日のうちに短い連絡を送ります。長文は不要です。お礼、実施内容の要約、気づいた点、次の相談があればいつでも受けられる旨。この四つで足ります。24時間を超えると、担当者の記憶は他の業務に上書きされ、開封の優先度が落ちます。
報告文は形式を固定しておくと、現場ごとに書き直す負担が消えます。件名の付け方、宛名の書き方、結びの言い回しといった基本形は、ビジネス文書検定が扱う範囲と重なります。指導の技術と文書の技術は別物ですが、依頼者から見れば両方が同じ「仕事の質」として映ります。
tipnessでしょうか。 スポーツクラブはスポーツクラブです。ダンススタジオとは違いますから、そこで特別上手くなるのは難しいと思いますよ。 もし女性だったら、気持ちよく汗をかいたらプールでクールダウンしてシャワー浴びてパウダールームでゆっくりスキンケア、そういった楽しみ方がダンススタジオでは絶対出来ない事なので、むしろ使い方をご一考なさっては。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
施設の性格によって、参加者が求めているものは違います。上達を最優先する場と、時間を心地よく過ごす場では、良い終わり方の定義も変わります。同じ締め方を全現場に当てはめると、どちらかの現場では的外れになります。終わり方の型を持ちつつ、その場の目的に合わせて中身を差し替える必要があります。
終わったあとの1週間でやること
当日で終わりにしないための動きが、ここに集まります。
記録を次の提案の材料に変える
当日の記憶は驚くほど早く薄れます。翌日までに、実施内容、参加人数の規模感、進行のタイムテーブル、うまくいった点、詰まった点をメモに落とします。分量は多くなくてかまいません。重要なのは、同じ依頼者から次の相談が来たときに、前回の続きから話を始められる状態を作ることです。
「前回は低学年が最後まで集中しきれない場面があったので、今回は前半に体を動かす時間を厚くします」と言える指導者は、初対面の相手より圧倒的に有利です。この一文を言うために必要なのは記憶力ではなく、記録の習慣です。
写真と動画の扱いを先に決めておく
指導現場では、記録映像の扱いが後々もめやすい部分です。参加者が未成年であれば肖像の扱いは慎重さが要ります。撮影の可否、掲載範囲、保存期間について、実施前に担当者と合意しておきます。合意がないまま撮った素材は、事後に使い道がなくなります。
一方で、適切に合意を取った素材は、次の依頼者に見せられる唯一の実績になります。指導の仕事は形が残りにくいため、記録の有無が営業力の差になります。
次回の枠を相談として置く
売り込みではなく、相談の形で置きます。「次年度の計画を立てられる時期になったら、どのタイミングで検討されますか」と聞くだけで十分です。この質問は、担当者に負担をかけません。そして答えが返ってくれば、次に連絡すべき時期が確定します。
多くの指導者はここで遠慮します。遠慮した結果、検討時期に不在となり、枠が別の人で埋まります。押し売りと情報共有は違います。相手の意思決定の時期を確認するのは、後者です。
対象別に変わる、もう一度の判断基準
同じ「リピートされる」でも、発注の仕組みが違えば効く打ち手も変わります。
学校・自治体
年度単位で予算と計画が動きます。実施の可否は前年度の実績報告に強く依存し、決裁は複数段階を通ります。ここで効くのは、教員や職員が校内文書や庁内文書に転記できる報告です。安全面への配慮をどう取ったか、参加者の学びをどう位置づけたかを、教育的な言葉で書けると通りやすくなります。
また、学校現場では生徒向けの指導だけでなく、教員向けの研修という形の需要もあります。授業を担当する教員自身が、指導方法や安全確認の観点を学びたいという依頼です。指導そのものと、指導者育成は別の商品です。片方だけで考えていると、同じ学校の中にある継続の機会をひとつ取り逃がします。
さらに、自治体案件では対象が児童生徒に限られません。高齢者向けの介護予防、地域住民向けの健康講座、障害のある方を対象とした教室など、同じ担当課の中に複数の枠が並んでいることがあります。ひとつの枠で信頼を得た指導者は、隣の枠の相談も受けやすくなります。終了時の会話で「他にどのような教室を担当されていますか」と一言確認しておくと、次の入口が見つかります。
企業の福利厚生・イベント
意思決定が比較的速く、単発で終わりやすい領域です。単発を連続に変える鍵は、参加率と社内の反応を数値ではなく言葉で拾って返すことです。担当者は次年度の企画を通すために「良かった」という声を必要としています。その声を拾って渡す作業を、指導者が肩代わりします。
企業側の目的が健康施策なのか、コミュニケーション促進なのか、採用広報なのかによって、成功の定義が変わります。目的を最初に確認しておくと、終わり方の締めくくり方も自然に決まります。
民間スタジオ・フィットネス
継続の判断が速く、かつ厳しい領域です。会員の定着が数字として見えるため、評価が可視化されます。ここで求められるのは、初回に来た人が二回目に来るかどうかへの働きかけです。難易度設定、声かけ、居場所づくり。新規参加者が浮かないクラス運営ができる人は重宝されます。
新しく入ってきた人が居心地の悪さを感じる場面は、実際に語られています。
ジムのスタジオレッスンにて、嫌われる新参者とはどんな人でしょう? 別のジムから変わってきて、前のジムでも上級エアロ等していた場合、新しいジムでいきなり上級レッスンに出たら、元いた人達から遠巻きになにやら宜しく思ってない様子を感じました。 出典: detail.chiebukuro.yahoo.co.jp
既存の参加者と新規の参加者のあいだに生まれる空気は、指導者が意図的に扱わないと解けません。列の並び順を毎回入れ替える、ペアを固定しない、最初の数分を全員共通の動きにするといった運営上の工夫が、そのまま定着率に反映されます。
オンライン
移動時間がないぶん実施の心理的ハードルが低く、継続に向いています。ただし画面越しでは細部が見えないため、フォームの修正精度は下がります。オンラインを継続の受け皿として使い、対面を節目に置く組み合わせが現実的です。オンラインを含む在宅型の働き方全般の広がりについては、Webマーケティング フリーランスで海外ノマド!年収、スキル、成功への道のように、場所に縛られない仕事の作り方として整理された情報が参考になります。
リピートされない人に共通する6つのつまずき
つまずき1: 終了時刻を守らない
熱心さの表れとして時間を延ばす人がいます。担当者にとっては施設の返却時刻や次の予定に影響する事故です。延長は、内容の良し悪しに関係なく減点されます。
つまずき2: 自分の得意分野だけで組み立てる
指導者の専門性が高いほど、内容が高度に寄ります。参加者の層に合わない構成は、上位者だけが満足し、下位者が離脱する結果を生みます。初心者が混ざる現場では、最も遅い人に合わせた入口を作ることが優先されます。
つまずき3: 記録を残さない
前回の話ができない指導者は、毎回はじめましての相手として扱われます。関係が積み上がらないため、価格も条件も毎回ゼロから交渉することになります。
つまずき4: 成功事例をそのまま持ち込む
別の現場でうまくいった構成を、条件の違う現場にそのまま当てるとうまくいきません。床の材質、天井高、音響、参加者の年齢構成が違えば、同じ振付でも安全性が変わります。比較して選ぶ姿勢が必要です。
つまずき5: 現場の言葉に合わせない
専門用語をそのまま使う指導者は、参加者にも担当者にも届きません。体幹、可動域、アイソレーションといった語は、指導者どうしでは便利ですが、初めての参加者には意味が伝わりません。伝わらない指示は実行されず、実行されない指示は上達につながりません。用語を使うなら、必ず動作の言葉に置き換えて併記します。
同じことが担当者への説明にも当てはまります。専門用語で書かれた報告は、担当者が上に説明するときに書き直す手間を生みます。相手が使う言葉に翻訳して渡すところまでが仕事です。
つまずき6: 連絡が遅い
指導の質が高くても、返信が遅い相手には次を頼みにくくなります。担当者は複数の業務を並行しており、待たされる時間そのものがコストです。即答できない内容でも、受領した旨だけ先に返す運用にすると印象が変わります。
単発で終わっても失点にしない考え方
すべての依頼が継続になるわけではありません。予算がなくなる、担当者が異動する、行事そのものが廃止されるといった理由は、指導者の力の及ばない範囲にあります。ここで重要なのは、継続しなかった案件を失敗として処理しないことです。
担当者の異動は、むしろ機会になります。異動先で同じ企画を立てる人がいるからです。良い終わり方をしていれば、担当者は移動先でも名前を思い出します。指導者にとっての資産は、特定の団体との契約ではなく、個々の担当者との関係です。
長い期間この仕事を続ける人ほど、この点を早い段階で理解しています。年齢を重ねてからの独立や、本業と並行した活動でも同じ構造が働きます。経験を継続的な仕事に変える設計については、定年後のフリーランス独立|退職金を活かした起業プランと注意点でも、関係づくりを軸にした考え方が扱われています。
市場の動きと、指導者に求められる比較の視点
学校体育でのダンス必修化以降、指導者を外部に求める動きは定着しました。自治体の健康施策、企業の健康経営、高齢者向けの介護予防など、体を動かす指導への需要は競技志向の外側に広がっています。この広がりは、指導者にとって選択肢が増えたことを意味します。
同時に、比較される機会も増えました。依頼者は複数の候補から選べる状況にあり、選定の基準は指導歴の長さだけではありません。安全管理の説明ができるか、対象年齢に応じた設計ができるか、報告まで含めて任せられるか。技能の外側にある要素が、選定の分かれ目になっています。
自分が引き受けられる領域と、引き受けるべきでない領域を切り分けることも必要です。専門外の対象に手を広げると、事故の危険と評価の低下を同時に招きます。仕事の範囲を整理する視点は、スポーツ・ダンス・トレーニング指導のお仕事のように職種として求められる役割が整理された情報を見ると掴みやすくなります。
初心者対応が評価の分かれ目になる
需要の広がりの中心にいるのは、経験の浅い参加者です。上級者向けの指導ができる人は多くいますが、初めての人を最後まで置き去りにしない指導ができる人は多くありません。ここが差別化の実務的な焦点です。
初心者対応の質は、細かい部分に出ます。鏡の前の立ち位置をどう決めるか、できない人を見つけたときにどう声をかけるか、全体を止めるか個別に回るか。この判断の積み重ねが、参加者の「また来たい」を作ります。
成功事例をそのまま真似しない
情報として流通している成功事例は、条件が省かれた形で伝わります。参加人数、施設、予算、担当者の熱量といった前提が違えば、同じ手順でも結果は変わります。事例は手順として真似するのではなく、なぜそれが機能したのかという理由の部分だけを取り出して、自分の現場の条件に置き換えます。
独自データの考察:関係づくりに時間を使う人が残る
在宅ワークと業務委託の市場を20年にわたって見てきた立場から言えば、長く仕事が途切れない人には共通点があります。作業そのものの速さや技能の高さではなく、依頼者にとって「この人に任せると自分の仕事が楽になる」という状態を意図的に作っていることです。指導の現場も例外ではありません。
運営者として見てきた限りでは、単価や条件の交渉から関係を始める人より、相手の段取りを軽くすることから始める人のほうが、結果として条件面でも良い着地をしています。理由は単純で、後者は代わりが見つかりにくいからです。技能は比較できますが、段取りの相性は比較しづらく、乗り換えのコストが高くなります。
もうひとつ、直接取引の構造にも触れておきます。仲介が厚く入る形では、依頼者が支払う総額と受け手が受け取る額のあいだに差が生まれます。中間の取り分が乗らない形であれば、同じ予算で依頼者はより多くの回数を頼めますし、受け手の手取りも厚くなります。指導の仕事は回数が積み上がって初めて関係が育つ性質があるため、この差は金額以上の意味を持ちます。回数を重ねられる条件を選ぶこと自体が、リピートされるための設計の一部です。
指導者側から見た実務的な結論は、次の一点に集約されます。次に繋がる終わり方とは、相手の次の仕事を先回りして軽くすることです。レッスンの最後の数分、撤収時の立ち話、当日中の短い連絡。この三つに手を入れるだけで、同じ指導内容でも次の依頼のされ方が変わります。技能を上げる努力は続けるとして、その努力を評価してもらう入口は、終わり方の側にあります。
次の現場に持っていくチェックリスト
現場に入る前と出る前に確認する項目を、短いリストにしておくと抜けが減ります。入る前は、実施内容の最終確認、施設と機材の確認、参加者の人数と構成の確認、当日の連絡先の確認。出る前は、締めの時間の確保、担当者への三点の口頭共有、次の検討時期の確認、記録に残す事項のメモ。
この八項目は、慣れれば数分で回せます。慣れているベテランほど、こうした確認を省略しません。省略して困るのは自分ではなく、その場を運営している担当者だからです。担当者の手間を増やさない指導者が、次も呼ばれます。手順を仕組みにしておけば、当日の集中を指導そのものに向けられます。
よくある質問
Q. スポーツ・ダンス指導でリピートされるために、まず何から変えればよいですか?
終わり方から変えるのが最短です。終了時刻の少し前に締めの時間を確保し、参加者が今日できるようになったことを自分の言葉で言える状態にします。撤収時には担当者へ実施内容の要約と次回への示唆を口頭で渡し、当日中に短い報告を送ります。指導内容を変えるより負担が小さく、担当者からの見え方が明確に変わります。
Q. 当日中に送る報告には何を書けばよいですか?
長文は不要です。お礼、実施した内容の要約、参加者の様子で気づいた点、次の相談をいつでも受けられる旨の四つで足ります。担当者はこの内容をほぼそのまま社内報告に転記できるため、書く手間が減ります。翌日以降になると記憶が他の業務に上書きされるので、現場を離れたその日のうちに送るのが基本です。
Q. 継続の話はいつ切り出すのが適切ですか?
売り込みではなく、検討時期の確認として早めに置きます。実施直後に「次の計画を立てる時期はいつ頃ですか」と聞くだけで十分です。学校や自治体は年度単位、企業は期の区切り、スタジオは翌月のスケジュール確定時に枠が埋まります。指導者が動き出す頃には決まっていることが多いため、時期を先に確認しておきます。
Q. 初心者が多いクラスで気をつける点は何ですか?
最も遅い人に合わせた入口を作ることです。難易度の階段を細かく刻み、全員が一度は「できた」と自覚する場面を用意します。新しく入った人が既存の参加者のなかで浮かないよう、列の並びを毎回変える、ペアを固定しない、最初の数分は全員共通の動きにするといった運営上の工夫も定着率に直結します。
Q. 単発で終わってしまった依頼はどう扱えばよいですか?
失敗として処理しません。予算の消滅や担当者の異動など、指導者の力が及ばない理由で終わる案件は一定数あります。良い終わり方をしていれば、担当者は異動先でも名前を思い出します。資産になるのは団体との契約ではなく担当者個人との関係なので、記録を残し、時期を見て近況を伝えられる状態にしておきます。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
丸山 桃子@SOHO編集部
アパレルEC運営支援・SNSコンサル
アパレル企業でMD・ECバイヤーとして勤務後、フリーランスに独立。アパレルブランドのEC運営支援・SNS運用を手がけ、ファッション・EC系の記事を執筆しています。
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