タロット・占星術鑑定の実績の見せ方|出せない仕事をどう伝えるか


この記事のポイント
- ✓タロット・占星術鑑定の実績の見せ方を
- ✓守秘義務と個人情報の扱いを踏まえて解説します
- ✓鑑定内容を出せない前提で信頼をどう伝えるか
タロット・占星術鑑定の実績の見せ方で行き詰まる人は、ほぼ全員が同じ壁にぶつかっています。デザイナーなら制作物を並べればいい。ライターなら記事のURLを貼ればいい。ところが鑑定は、成果物そのものが依頼者の極めて私的な相談内容です。つまり、一番説得力のある材料が、構造的に公開できない。この記事では、出せない仕事をどう伝えるかを、守秘義務と個人情報の扱い、そして景品表示法の観点まで含めて整理していきます。結論を先に書くと、実績の提示は「何をやったか」ではなく「どうやるか」と「受けた人がどう変わったか」に置き換えることで成立します。
鑑定の実績が「見せられない」のは構造的な問題
まず、この問題が自分の努力不足ではないという点をはっきりさせておきます。鑑定という仕事の性質上、実績の可視化には最初から制約がかかっています。
成果物が依頼者の私的領域そのもの
鑑定で扱うのは、恋愛、家族、健康、仕事、金銭。どれも本人が周囲に話していない事柄です。鑑定書には、依頼者が誰にも言えなかった相談内容と、それに対する読みが書かれています。これをそのまま公開できないのは当然として、内容を抽象化しても、依頼者本人が読めば自分のことだと分かってしまうケースが多い。
これ、知らない人が本当に多いんですが、個人情報保護法における「個人情報」は氏名だけを指すのではありません。他の情報と照合することで特定の個人を識別できるものも含まれます。つまり、名前を伏せて「30代女性、都内在住、転職の相談」と書いても、SNSのフォロワーが数百人の環境なら本人が特定される可能性がある。名前を消せば安全、という発想は通用しません。事業者が扱う個人情報の考え方については、情報通信分野の指針を含めて総務省が資料を公開しています。
※ 実際に開示の可否を判断する場面では、扱う情報の内容によって結論が変わります。判断に迷うケースでは弁護士にご相談ください。
実績ゼロの状態が長引く理由
依頼が来ないから実績が作れない。実績がないから依頼が来ない。この循環が、鑑定業で最初に立ちはだかる壁です。しかもこの壁は、腕を磨けば越えられるものではありません。腕の良し悪しは、依頼する前の人には見えないからです。
この記事では、私が実際にやって効果があった「販売実績ゼロから24時間以内に最初の1件を呼び込む3つの仕組み」を余すことなく書いていく。 出典: note.com
ここで語られている「仕組み」という言葉が本質を突いています。最初の1件は、待っていて来るものではなく、来る条件を自分で作るものだという発想です。実績の見せ方も同じで、見せられる材料が自然に貯まるのを待つのではなく、見せられる形の材料を意図的に作りにいく必要があります。
依頼者が実績で見ているもの
そもそも依頼者は、実績の何を見ているのか。ここを取り違えると、努力の方向がずれます。依頼者が知りたいのは、実は「この人は当たるのか」ではありません。もっと手前の「この人に自分の相談を話しても大丈夫か」です。
つまり、確認されているのは的中率ではなく安全性です。話した内容が外に漏れないか。否定されたり説教されたりしないか。連絡がつかなくなったりしないか。この三つが担保されていると伝われば、実績の件数が少なくても依頼は入ります。逆に、件数を大きく打ち出しても、この三つが伝わらなければ依頼は入りません。
見せられる実績と見せてはいけない実績を仕分ける
実績の材料を、公開可否で仕分けます。仕分けの基準を最初に作っておくと、毎回悩まずに済みます。
公開してはいけない情報の3類型
一つ目は、依頼者の識別につながる情報です。氏名はもちろん、生年月日、居住地域、職業、家族構成の組み合わせが該当します。占星術の鑑定ではホロスコープの画像を出したくなりますが、出生データが読み取れる画像は、生年月日と出生時刻と出生地をそのまま公開しているのと同じです。
二つ目は、相談内容そのものです。「不倫の相談を受けました」と書いた時点で、その時期に鑑定を受けた本人には自分のことだと分かります。相談のカテゴリを書くだけでも、依頼者が少ない段階では特定につながります。
三つ目は、第三者に関する情報です。相性鑑定で相手方の生年月日を預かった場合、その情報は本人の同意なく取得されている可能性が高い。これを公開すると、依頼者ではなく第三者に対する問題になります。
同意があれば公開できるもの
依頼者本人の明確な同意があれば、体験談や感想は公開できます。ただし「同意があった」という状態を、後から証明できる形で残しておく必要があります。口頭やチャットの流れで何となく了承をもらった、という状態は同意として弱い。
同意を取るときに決めておく項目は次の通りです。
| 項目 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 掲載範囲 | 自分のサイトのみか、SNSや他媒体も含むか |
| 表記 | 匿名、イニシャル、ハンドルネームのいずれか |
| 属性の記載 | 年代や性別を書くか、一切書かないか |
| 内容の編集 | 誤字修正のみか、要約や抜粋を認めるか |
| 掲載期間 | 無期限か、期限を切るか |
| 撤回の方法 | どこに連絡すれば削除されるか |
この6項目を書いた同意文をテキストで送り、返信で了承をもらう。これで、後から「そんなつもりはなかった」と言われたときに説明できる状態になります。手間に見えますが、一度ひな型を作れば以後は使い回せます。
撤回に応じる体制を作っておく
同意は撤回されることがあります。掲載当時は問題なくても、状況が変わって消してほしいと言われるケースは実際にあります。このとき、すぐに消せる状態にしておくことが重要です。
具体的には、掲載した体験談の一覧を自分で持っておきます。どの体験談を、いつ、どの媒体に、どういう表記で載せたか。この記録がないと、削除依頼が来たときに全媒体を探し回ることになります。SNSの過去投稿に埋もれた分まで含めて消せるかどうかは、記録の有無で決まります。
出せない仕事を伝える4つの手段
鑑定内容を出せない前提で、何を提示するか。実務で使える手段は四つあります。
手段1 経験の「幅」を抽象化して示す
件数を数字で書けない、あるいは書くほどの件数がない場合でも、扱ってきた相談の幅は示せます。恋愛、仕事、人間関係、進路といったカテゴリを列挙するだけで、依頼者は「自分の相談も扱ってもらえそうだ」と判断できます。
ここで重要なのは、扱わないカテゴリも書くことです。医療に関する判断は扱わない、金融商品の売買判断は扱わない、第三者の内面を断定する依頼は受けない。この線引きを先に示すと、かえって信頼が上がります。何でも占えると書いてある人より、扱う範囲を明示している人のほうが、依頼者からは専門家に見えます。
手段2 プロセスを開示する
鑑定の結果は出せませんが、鑑定の手順は出せます。依頼を受けてから納品までに何をするのか。事前にどんな情報を聞くのか。どのスプレッドを使い、どういう順番で読むのか。所要時間はどのくらいか。
このプロセス開示は、実績の代替として非常に強く働きます。依頼者にとって、鑑定は中身の見えない箱です。箱の中で何が行われるのかが分かるだけで、依頼のハードルは大きく下がります。しかも守秘義務にも個人情報にも一切触れません。
手順を書くときは、ビジネス文書としての読みやすさが効いてきます。箇条書きと見出しの使い方、一文の長さ、専門用語の言い換え。この辺りの型を押さえておくと、同じ内容でも伝わり方が変わります。文書作成の基礎を体系立てて確認したい場合はビジネス文書検定の出題範囲が実務的な指標になります。
手段3 サンプル鑑定を自作する
実在の依頼者を使わずに、架空の相談に対する鑑定を自分で作って公開する方法です。「30代・転職を迷っている・現職に不満はないが将来が不安」といった設定を自分で立て、それに対して実際にカードを引き、読みを書く。
これは実績ではありませんが、実績に近い判断材料を提供します。依頼者は、この人の読みの深さ、言葉の選び方、伝え方の温度を事前に確認できる。特に、断定を避けながら方向性を示す言い回しができているかどうかは、サンプルでしか伝わりません。
サンプルを作るときの注意点は一つで、実在の依頼を少し変えて出すのは避けることです。設定を変えたつもりでも、本人には分かります。完全に架空の設定から作ってください。
手段4 お客様の声を正しく集める
同意を取ったうえで、依頼者の感想を掲載します。ただしここには法的な注意点があるので、次の章で詳しく扱います。
集め方としては、納品後の一定期間内にお願いするのが確実です。時間が空くと返事が来なくなります。依頼のフォローとして「今後の参考にしたいので」と伝えて、任意であることを明示したうえで依頼します。任意であることを明示しないと、断りにくい状況を作ることになり、これは対価性の観点からも望ましくありません。
占い分野の依頼がどんな条件で流通しているかを見ておくと、自分の見せ方の水準を判断しやすくなります。分野ごとの仕事内容と求められる要件はタロット・四柱推命・西洋占星術のお仕事にまとまっており、依頼者側が何を確認したがっているかの参考になります。
お客様の声を掲載するときの法的な注意点
ここが、この記事で一番お伝えしたい部分です。感想の掲載は、やり方を間違えると景品表示法に触れます。
ステマ規制に触れない書き方
2023年10月から、景品表示法上の不当表示として「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」が規制対象になりました。つまり、事業者が自分で書いた宣伝なのに、第三者の感想であるかのように見せる表示が禁止されたということです。
鑑定業で問題になるのは、次のようなケースです。自分でモニター鑑定を依頼した相手に、対価や割引と引き換えに好意的な感想を書くよう指示する。あるいは、感想の文面を自分で作って相手に投稿してもらう。これらは、事業者の関与があるにもかかわらず第三者の自主的な感想に見えるため、規制の対象になり得ます。
安全に運用するには、次の三つを守ります。感想の内容に指示を出さない。対価と感想を引き換えにしない。事業者側が関与している場合はその旨を明示する。この三つを守れば、感想の掲載自体は問題ありません。表示に関するルールの条文そのものは、法令データベースのe-Govから確認できます。
効果を断定する表現を避ける
「この鑑定を受けて、必ず結婚できました」「悩みが100%解消しました」といった表現は、掲載する側の責任になります。感想を書いたのは依頼者でも、それを自分のサイトに掲載した時点で、事業者の表示として扱われるからです。
つまり、依頼者が書いた文章であっても、断定的な効果を示す部分は掲載しない判断が要ります。掲載する場合は、感想であって効果を保証するものではない旨を併記します。この一手間で、後々のリスクがかなり下がります。
個人が特定される書き方を避ける
同意を取っていても、本人以外の第三者が特定される内容は掲載できません。感想の中に「彼氏が浮気していた件で」と書かれていたら、その部分は第三者に関する記述です。同意を取った依頼者本人が書いたとしても、書かれた側の同意はありません。
掲載前に、感想の文面を自分で読み直して、第三者に関する記述を削る。この確認は必ず入れてください。
※ 掲載の可否がグレーだと感じたケースでは、掲載しないのが最も安全な判断です。実績の提示手段は他にもあります。
プロフィールを信頼の代替品として設計する
実績が薄い段階で、依頼を判断する材料として最も見られるのがプロフィールです。ここを設計し直すだけで、問い合わせの数が変わります。
書く順番を決める
プロフィールに書く内容は、次の順番が実務的です。
まず、扱う相談の範囲。何を占うのかを先に書きます。読み手は自分の相談が該当するかを最初に確認したいので、ここが冒頭にないと離脱します。
次に、鑑定の進め方。手順とかかる時間を書きます。前章のプロセス開示をここに縮めて入れます。
その次に、扱わない領域。線引きの明示です。
最後に、学んだ経緯や使用する占術。ここは意外と後ろで構いません。読み手にとっては、どの流派を学んだかより、自分の相談をどう扱ってもらえるかのほうが先です。
講座歴や資格の書き方
占術系の資格は、業務独占資格ではありません。つまり、資格がなくても鑑定はできますし、資格があるから信頼できるという構造にもなっていません。ここを誤解して、講座の修了歴を長々と並べても効果は限定的です。
書くなら、その学びが鑑定のどこに効いているかまで書きます。「マルセイユタロットを学び、日常の具体的な選択肢を絞る読み方を使っています」のように、学歴と提供内容を接続する。これで初めて、読み手にとって意味のある情報になります。
写真、名義、連絡先
顔写真を出すかどうかは方針次第ですが、出さない場合は代わりの視覚情報を用意します。作業スペース、使用しているカード、筆記具。人物が写っていなくても、実在感は伝わります。
名義については、本名か活動名かを一貫させます。途中で変えると、過去の感想や実績との接続が切れます。
連絡先は、返信が来る経路を明示します。返信の目安時間まで書いてあると、依頼者の不安が減ります。これは実績の代わりに機能する情報です。
実績が薄い段階の立ち上げ方
最初の数件をどう作るか。ここは仕組みの問題です。
モニター鑑定の設計
通常より条件を軽くした枠を用意し、その代わりに感想の提供を「任意で」お願いする形が一般的です。ここで注意すべきなのは、前章で触れた通り、感想の提供を条件にしないことです。条件にすると規制上の論点が生じます。
割引率の目安は20~30%オフ(ちなみに30%がクーポンのMAX値です)が良いと感じでます。5%〜10%だとあまり目立たないです。 出典: note.com
割引の幅が小さすぎると動機付けにならない、という指摘は実務感覚として妥当です。ただし割引を深くしすぎると、後で通常条件に戻したときに依頼が止まります。モニター枠は期間か件数で区切り、区切りを最初に明示しておく。これが、通常条件へ移行するときの摩擦を減らします。
最初の依頼者をどこから探すか
既に接点のある人から始めるのが現実的です。SNSでやり取りのある相手、過去に別の仕事で関わった相手、講座で一緒だった相手。全く接点のない相手に届けるより、はるかに成立しやすい。
ただし、一斉送信のダイレクトメッセージは逆効果です。相手ごとに、なぜその人に声をかけたのかが分かる文面にします。手間はかかりますが、返信率が違います。
断られることを前提に数を打つ
声をかけて断られるのは普通のことです。断られた回数を実績が作れない理由にしてしまうと、そこで止まります。10人に声をかけて1人から返事が来れば十分、くらいの見積もりで動くと、精神的な消耗が減ります。
私自身、独立した当初に契約書のひな型を作って知り合いに声をかけたとき、最初の数件は全部断られました。理由を聞いたら「今は必要ない」というだけで、内容への評価とは無関係でした。断りの多くはタイミングの問題です。これを実力の評価だと受け取ると、動けなくなります。
媒体ごとに実績の見せ方を変える
同じ材料でも、置く場所によって効く見せ方が変わります。全部の媒体に同じ文章を貼るのは、労力の割に効果が出ません。
スキルマーケットの商品ページ
購入前の閲覧者は、比較検討の途中にいます。同じカテゴリの出品を何件も並べて見ている状態なので、冒頭で「何を占うのか」と「どう届くのか」が分からない出品は、そこで閉じられます。
ここに置くべきなのは、扱う相談の範囲、納品形式と分量の目安、納期、追加質問の受付範囲です。学んだ経緯や占術の解説は下のほうで構いません。閲覧者は思想を読みに来ているのではなく、条件を確認しに来ています。
購入者からの評価が付き始めたら、その内容を自分でも読み返してください。何を褒められているかが、自分の強みの外形になります。丁寧さを褒められているのに「鋭い読み」を売りにした文章を書いていたら、ずれています。
SNSのプロフィールと投稿
SNSでは、実績よりも継続性が見られます。同じテーマで投稿が積み上がっていること自体が、信頼の材料になります。逆に、告知だけが並んでいるアカウントは、実績の記載があっても依頼につながりにくい。
投稿の内容は、鑑定結果ではなく考え方を出します。カードの読み方、季節ごとの星の動き、相談を受けるときに気をつけていること。守秘義務に触れない範囲で、思考の過程が見える投稿が効きます。
ここで一つ注意点があります。依頼者が自分のアカウントを見ている可能性を常に想定してください。鑑定の直後に「今日は難しい相談だった」と投稿すると、依頼者は自分のことだと受け取ります。実際にそういう受け取られ方をした例は珍しくありません。
自分のサイトやブログ
一番自由度が高い場所です。ここには、プロセスの詳細、サンプル鑑定、扱わない領域の説明、同意を取った感想を、まとまった分量で置きます。
スキルマーケットやSNSからの導線を、ここに集めます。問い合わせ前の疑問をここで解消できると、実際の問い合わせの質が上がります。条件を理解した人だけが問い合わせてくるので、打ち合わせの時間も短くなります。
契約書と守秘義務の一文を用意する
実績の見せ方の話をしていると必ず出てくるのが、「そもそも守秘義務の取り決めをしていない」というケースです。これ、本当に多いんです。
個人客相手の鑑定で正式な契約書を交わすことは稀ですが、申し込みページや確認メールに一文入れておくだけで、実質的な効果があります。書く内容は三つです。相談内容を第三者に開示しないこと。感想の掲載は本人の同意がある場合に限ること。同意はいつでも撤回できること。
つまり、依頼者に対して「あなたの話は外に出しません」と先に約束するということです。この一文があるだけで、依頼者の警戒はかなり下がります。そして自分にとっては、実績の見せ方の判断基準がここに固定されます。約束した以上、迷ったら出さない。判断が単純になります。
法人からの依頼では、相手方からNDA(エヌディーエー)の締結を求められることがあります。NDAを結んだ案件は、案件の存在そのものを口外できない場合があるので、実績として名前を出せるかどうかを契約時に確認してください。「取引先として社名を出してよいか」を一行入れておくだけで、後の判断が楽になります。
※ 契約条項の解釈が問題になるケースでは、弁護士にご相談ください。
実績を積み上げる記録の作り方
継続的に実績を蓄積するには、記録の型が要ります。鑑定のたびに残す項目を固定しておきます。
残す項目は、日付、依頼の識別子、相談のカテゴリ、使用した占術、所要時間、納品形式、感想の有無と同意の状態。この七つです。相談内容そのものは残しますが、個人を特定できる情報とは切り離して保管します。
この記録があると、実績の見せ方を更新するときに材料がすぐ出ます。「恋愛の相談が多い」「メール鑑定の依頼が増えている」といった傾向は、記録がなければ分かりません。感覚で書いたプロフィールと、記録に基づいて書いたプロフィールでは、具体性が違います。
記録の保管方法も決めておきます。クラウドに置くなら、アクセス権限を自分だけに絞る。端末に置くなら、暗号化を有効にする。守秘義務は、口で言うだけでは守れません。運用で守るものです。
保管期間も決めておいてください。永久に持ち続けると、漏えいしたときの被害範囲が広がり続けます。相談内容そのものは一定期間で削除し、集計に使う属性だけを残す、という二層構造にすると、実績の分析はできて情報の保有量は減ります。削除の運用は、月に一度など日を決めて習慣にしないと、必ず後回しになります。
もう一つ、記録の中に「断られた依頼」も残しておくと役に立ちます。問い合わせは来たのに成約しなかったケースには、条件のどこかに理由があります。納期が合わなかったのか、扱わない領域だったのか、説明が伝わらなかったのか。この蓄積が、実績の見せ方を直す手がかりになります。成約した案件だけを見ていると、届いていない層が永久に見えません。
実績の見せ方が入口を決める
在宅・業務委託の市場を20年見てきた立場から言えば、実績の量と依頼の量は、思ったほど連動しません。件数を大きく打ち出している人より、扱う範囲と進め方が明確に書かれている人のほうに、安定して依頼が入っていく場面を何度も見てきました。理由ははっきりしていて、依頼者は実績を見て安心したいのであって、実績そのものが欲しいわけではないからです。安心の材料は、件数以外からでも作れます。
もう一つ、運営者として見てきた限りでは、依頼者と直接やり取りする関係を長く続けている人ほど、感想や紹介が自然に集まっています。仲介を挟まない直接取引では、依頼者との接点が切れないので、納品後のやり取りがそのまま次の材料になる。しかも仲介手数料が差し引かれないぶん、依頼者は同じ予算でより多く頼めて、受け手は手数料0%で手取りが厚くなります。額面が同じでも残る金額が違う、というこの構造は、実績づくりの段階で条件を軽くする余地にもつながります。
納品物が文章である仕事は、鑑定に限らず似た課題を抱えています。文章で成果を納める職種の市場状況は著述家,記者,編集者の年収・単価相場にまとまっており、テキスト納品を主軸にする場合の水準感を掴む材料になります。音や映像のように成果物を公開しやすい分野との違いを知りたい場合は作曲・編曲・効果音・ジングルのお仕事を見比べると、公開できる分野が実績提示でどれだけ有利かがよく分かります。海外のクライアントを相手にする場合の実績提示の作法はUpworkの使い方ガイド|日本人フリーランスが海外案件を取る方法に整理されています。
最後に整理します。鑑定の実績は、内容を出さずに提示できます。扱う範囲を書く、手順を書く、扱わない領域を書く、架空設定のサンプルを作る、同意を取った感想を法令に沿って掲載する。この五つで、依頼を判断する材料は十分に揃います。守秘義務を破らないと実績が作れない、という発想を捨てるところから始めてください。ルールを守る運用は、依頼者から見れば安心材料そのものです。法律はあなたの味方です。
よくある質問
Q. 鑑定の内容を一切公開せずに実績を示すことはできますか?
できます。扱う相談の範囲を列挙する、鑑定の手順と所要時間を開示する、扱わない領域を明示する、架空の設定で作ったサンプル鑑定を公開する。この四つは守秘義務にも個人情報にも触れません。依頼者が実績で確認しているのは的中率ではなく「この人に話しても安全か」なので、この四つで判断材料は揃います。
Q. お客様の声を掲載するとき、どこまで同意を取ればいいですか?
掲載範囲、表記の方法、年代や性別を書くか、内容の編集の可否、掲載期間、撤回の連絡先。この6項目を書いた同意文をテキストで送り、返信で了承をもらってください。口頭やチャットの流れでの了承は、後から証明できません。掲載した体験談の一覧を自分でも記録しておくと、撤回依頼にすぐ対応できます。
Q. モニター鑑定で感想を書いてもらうのは問題になりますか?
感想の提供を割引や無料鑑定の条件にすると、景品表示法のステマ規制上の論点が生じます。感想はあくまで任意でお願いし、内容に指示を出さず、事業者の関与がある場合はその旨を明示してください。この三つを守れば、モニター枠の運用自体は問題ありません。判断に迷うケースでは弁護士に相談してください。
Q. 匿名にすれば依頼者の相談内容を書いても大丈夫ですか?
名前を伏せても、年代や地域、職業、相談カテゴリの組み合わせで本人が特定される場合があります。特に依頼件数が少ない段階では、本人が読めば自分のことだと分かってしまいます。個人情報は氏名だけを指すのではなく、他の情報と照合して個人を識別できるものも含まれるため、匿名化だけを根拠に公開する判断は避けてください。
Q. 占術系の資格はプロフィールに書いたほうがいいですか?
占術系の資格は業務独占資格ではないため、資格の有無が信頼に直結する構造にはなっていません。書く場合は、その学びが鑑定のどこに効いているかまで接続して書いてください。修了歴を並べるだけでは読み手にとって意味のある情報になりません。プロフィールでは、扱う相談の範囲と進め方を先に書くほうが効果的です。
この記事について
編集部
監修:@SOHO編集部
2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

この記事を書いた人
長谷川 奈津@SOHO編集部
行政書士・元企業法務
企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。
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