英語が得意なシニアが長く働ける仕事の選び方

前田 壮一
前田 壮一
英語が得意なシニアが長く働ける仕事の選び方

この記事のポイント

  • ✓英語得意なシニアが長く働ける仕事を選ぶ基準を整理しました
  • ✓通勤型の英語求人の時給の実勢
  • ✓在宅で続けられる6種類の仕事

まず、安心してください。英語が得意なシニアの方が長く働ける仕事は、確実にあります。ただ、探し方を間違えると「英語力を活かせる仕事」という名前の、実は英語をほとんど使わない仕事にたどり着いてしまいます。この記事では、長く続けられる仕事の3つの条件、通勤型の求人で英語が評価される職種と時給の実勢、在宅で続けられる6種類の仕事、そして年金との調整まで、順を追って書きます。私も会社を辞めてフリーランスになった経験があるので、リスクの部分も正直に書きます。

英語が得意なシニアが直面している本当の問題

英語の力があるのに仕事が見つからないという相談を受けるとき、原因はほぼ2つに絞られます。英語力が足りないからではありません。

1つめは、求人の検索語がずれていることです。「英語 シニア」で探すと、出てくるのは英会話スクールの受付や、観光案内のボランティアに近い仕事が中心になります。実際に英語の力が金額に反映される求人は、「英文事務」「ローカライズ」「翻訳チェック」「海外取引先対応」といった職務名で出ています。検索する語を変えるだけで、見える求人の質が変わります。

2つめは、働き方の形を1つしか想定していないことです。多くの方が「どこかに雇われて週5日働く」という形だけを考えます。しかし60代以降で長く続けるという条件を付けると、この形は最も無理が出ます。通勤の時間と体力の負荷が固定費のように効いてくるからです。雇用と業務委託、通勤と在宅、週5日と週2日。この組み合わせを先に決めてから職種を探すと、選択肢が一気に増えます。

皆さんに最初に考えていただきたいのは、「何の仕事をするか」ではなく「どういう条件なら10年続けられるか」です。年収の数字を最初に置くと、続かない仕事を選んでしまいます。実際に、条件のよい常勤の仕事に就いて1年で辞めてしまった方を何人も見てきました。辞めた理由は英語ではなく、通勤と勤務時間でした。

もう一つ、正直に書いておきます。英語ができることは強みですが、それ単独では単価が上がりにくい領域でもあります。機械翻訳の品質が上がったため、単純な英文の読み書きだけを売るのは以前より厳しくなりました。逆に、英語と何かを掛け合わせた人は強くなっています。英語と会計、英語と医療、英語と製造業の技術文書。この掛け算が、シニアの方に最も有利な部分です。長いキャリアの中で必ず何かの専門を持っているからです。

長く働ける仕事の3つの条件

長く働けるかどうかを判断する基準を3つに整理します。求人票を見るときに、この3つで採点してください。

条件1 需要が継続的にあるか イベントや季節に依存する仕事は、需要が波打ちます。観光の通訳ガイドや、展示会の運営補助は、繁忙期と閑散期の差が大きい。一方、企業の海外取引に関わる事務や、製品の取扱説明書の翻訳、契約書の確認といった仕事は、事業が続く限り毎月発生します。長く働きたいなら、後者を軸にしたほうが安定します。

条件2 体力の負荷が年齢とともに増えないか 立ち仕事、移動の多い仕事、深夜を含むシフトは、60代後半から70代にかけて確実に苦しくなります。同じ収入でも、座って進められる仕事のほうが継続年数が長い。これは精神論ではなく、実際に辞める理由の統計がそうなっています。

条件3 年齢の上限が実質的にないか 雇用の求人には、明示されていなくても運用上の年齢制限があります。業務委託や請負の形では、この制限が働きません。納品物の品質で判断されるからです。長期で考えると、ここが最も大きな差になります。70代で現役の翻訳者や校閲者は実際に存在しますが、70代で新規採用される常勤の事務職は稀です。

この3条件で採点すると、通勤型の常勤職は条件2と3で点が低く、在宅の業務委託は条件1で点が下がりやすいという傾向が出ます。だから、どちらか一方を選ぶのではなく、組み合わせるのが現実的です。まず通勤型で収入と社会保険を確保し、同時に在宅の委託を小さく育てて、体力に応じて比重を移していく。これが最も無理のない進め方です。

通勤型の求人で英語が評価される職種と時給の実勢

在宅の話をする前に、通勤型の相場を確認しておきます。基準を知らないと、在宅の単価が高いのか安いのかも判断できません。

英語の力が時給に反映されやすいのは、英文事務とローカライズ関連の職種です。人材派遣会社の求人情報を見ると、英語を使う一般事務の時給が具体的に出ています。

<蒲田駅*在宅あり>書類作成*入力が得意な方必見♪@1700円一般事務・OA事務/データエントリー業務/営業事務(受発注以外) 時給 1700円~1700円 9:00~17:30 週5日 出典: tempstaff.co.jp

同じ検索結果の中には、ゲームのローカライズに関わる英文事務で時給2,000円という求人もあります。つまり、英語を使う事務の時給は1,700円から2,000円あたりに実勢があるということです。一般的な事務職の時給と比べると、英語の要件が入ることで数百円上がる構造になっています。

この水準をどう評価するかですが、週5日で1日7時間働くと、月の労働時間は約150時間です。時給1,700円なら月25万円前後。悪くない水準ですが、週5日の通勤が前提になります。「在宅あり」と書かれている求人も、完全在宅ではなく週の一部が在宅という意味が多い。求人票の在宅の表記は、必ず日数まで確認してください。

職種として狙いやすいのは、英文の事務、海外営業のアシスタント、輸出入の書類作成、海外からの問い合わせ対応です。いずれも「英語で正確に読み書きできる」ことが要件で、会議で交渉するレベルの会話力は求められません。読み書き中心というのは、シニアの方にとって有利な条件です。会話は瞬発力が要りますが、読み書きは経験と語彙が効きます。

一方で正直に書くと、通勤型の常勤求人は年齢で選考が変わります。書類で落ちる回数は、40代より60代のほうが多い。これは事実なので、通勤型だけに賭けないほうがいい。派遣や契約社員の形なら年齢の壁は相対的に低く、実務のスキルで判断される場面が増えます。

在宅で長く続けられる英語の仕事6種類

ここからが本題です。在宅で、英語の力を使って長く続けられる仕事を6つ挙げます。どれも通勤が不要で、座って進められ、業務委託なら年齢の上限がありません。

1 文書の翻訳 契約書、技術文書、論文、社内規程。単価は分野と方向で変わりますが、日本語から英語への翻訳のほうが英語から日本語より高い傾向があります。専門分野を持っている方に最も向いています。仕事の内容と受注の流れは英語・多言語翻訳のお仕事にまとまっています。未経験から始める手順を知りたい方は60代から翻訳を在宅で始める|未経験からの始め方と収入の目安 2026に、最初の1件を取るまでの具体的な流れが書かれています。

2 機械翻訳の結果を直す仕事 近年の主力になっている仕事です。機械が訳した文章を人が直すので、白紙から訳すより速く進みます。単価は翻訳より低く設定されますが、処理できる量が多いため、時間あたりの収入では翻訳と同等になる場合があります。機械の癖を覚えると効率が上がるので、長く続けるほど有利です。

3 映像の字幕と文字起こし 海外の動画に日本語字幕を付ける仕事、日本語の動画に英語字幕を付ける仕事の両方があります。専用ソフトの操作を覚える必要がありますが、覚えれば長く使えます。内容は映像翻訳・字幕・通訳のお仕事で確認できます。

4 オンラインの語学レッスン 教える仕事です。会話の相手をする形から、試験対策の指導まで幅があります。シニアの方は、社会人経験があることがそのまま強みになります。ビジネスの場面を知っている講師は、学習者から見て価値が高い。募集の形や進め方は語学レッスン(英中韓など)のお仕事にまとまっています。

5 英文の校閲とチェック 他人が訳した文章、あるいは日本人が書いた英文を確認する仕事です。訳すより負荷が軽く、集中力を長く保てます。文章を扱う職種の収入の目安は著述家,記者,編集者の年収・単価相場で全国平均と地域別の水準が確認できます。

6 海外からの問い合わせ対応 メールやチャットで、海外の顧客や取引先に応対する仕事です。在宅で完結し、時間帯を選べる案件もあります。時差のある地域が相手だと、早朝や夜間のほうが都合がよいこともあり、これは生活のリズムが早い方には有利です。

この6つを見比べて、どれを選ぶか迷ったら、1と5から始めてください。既に持っている読み書きの力が最も直接お金になる領域です。在宅の仕事全体を見渡したい方は英語力を活かせる在宅副業おすすめ7選|翻訳からオンライン講師まで収入目安を解説【2026年版】に収入の目安まで整理されています。

TOEICのスコア帯ごとに現実的な選択肢を分ける

「自分の英語力でどこまでできるのか」という疑問に答えます。目安として、スコア帯で分けます。

600点台 海外からの問い合わせ対応の一部、機械翻訳の結果を直す仕事の入口、英文の定型書類の作成。辞書を使いながら丁寧に進める仕事なら十分入れます。この帯の方が最初にやるべきは、スコアを上げることではなく、専門分野の用語を英語で覚えることです。自分が長く働いてきた業界の用語を英語で100語覚えるだけで、その分野の案件が受けられるようになります。

700点台から800点台 翻訳、校閲、字幕、語学レッスンのすべてが射程に入ります。この帯が最も案件の幅が広い。ここから上を目指すより、分野を絞って深くするほうが単価が上がります。

900点以上 高度な交渉文書、法務や医療の専門翻訳、通訳。ただし、スコアが高いことが単価に直結するわけではありません。900点でも専門分野がなければ、700点で製造業の技術文書に強い人のほうが稼ぎます。

スコアを証明したい方にはTOEIC L&Rがあります。年間の実施回数が多く、スコアで示せるため、書類選考で使いやすい試験です。ただ、皆さんに強調したいのは、スコアを上げる勉強に時間を使うより、まず1件受けてみることのほうが先だということです。受けてみて足りないと分かったところを埋めるほうが、はるかに速い。

私自身、専門外の分野の文書を引き受けて、用語の調べ物に想定の3倍の時間がかかったことがあります。納品はできましたが、時間あたりの収入で見ると失敗でした。ただ、その経験で「自分が短時間で処理できる分野はどこか」がはっきりしました。最初から正解を選べる人はいません。1件やって範囲を把握するほうが、机の上で考え続けるより確実です。

資格は必要か、取るなら何を取るか

結論を書くと、在宅の翻訳やチェックの仕事に、必須の資格はありません。実際の選考は試訳、つまり実際に訳させてみる形で行われます。だから資格より、試訳を通る力のほうが重要です。

それでも資格に価値がある場面は3つあります。1つめは、実績がまったくない段階で書類を通すため。2つめは、単価の交渉で根拠として示すため。3つめは、学習の目標として使うためです。

通訳や観光の分野を考えている方には全国通訳案内士という国家資格があります。有償で通訳ガイドをするための資格として設けられており、英語の運用力だけでなく日本の地理や歴史、産業の知識も問われます。合格までの学習量は大きいですが、資格を持っていることが業務の前提になる領域があるという点で、投資の意味がはっきりしています。ただし、観光需要は季節と情勢で波打つので、前の章で挙げた条件1の観点では注意が必要です。この資格を取るなら、通訳ガイド単独で生活するのではなく、翻訳や語学指導と組み合わせる形を最初から想定してください。

逆に、取らなくてよい資格もあります。民間の翻訳関連の講座で、修了証が出るだけのものは、選考でほぼ評価されません。費用が数十万円かかるものもあるので、申し込む前に「この講座の修了者が実際に案件を得ているか」を確認してください。確認できないなら、その費用は試訳の練習に使ったほうが回収できます。

学習の費用について一点補足します。公的な支援として教育訓練給付制度があり、一般教育訓練給付は受講費用の20%(上限10万円)、専門実践教育訓練に指定された講座なら受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。対象講座かどうかで負担が大きく変わるので、申し込む前に厚生労働省の案内で確認してください。

60代以降も単価を落とさないための3つの工夫

長く働くという目標には、単価を維持するという条件が含まれます。年齢が上がると単価が下がるのが当然だと思われがちですが、下がる人と下がらない人がいます。差は3つです。

1つめは、分野を絞ることです。何でもやる人は比較されて価格で負けます。「医療機器の説明書なら任せられる」「英文の契約書のチェックならこの人」という位置を作ると、価格の比較から外れます。皆さんが長く働いてきた業界が、そのまま絞る先になります。

2つめは、納品の形を整えることです。訳文だけを送るのではなく、判断が分かれた箇所を一覧にして添える、参照した資料を明記する、用語の統一表を作って渡す。この一手間で、依頼者側の確認作業が減ります。減った分が、次の依頼と単価の維持につながります。技術の高さよりも、相手の手間を減らす工夫のほうが効きます。

3つめは、道具を更新し続けることです。翻訳支援ソフト、機械翻訳、用語管理のツール。これを使わずに手作業で進めると、処理量で若い世代に負けます。逆に、道具を使いこなしているシニアの方は、経験と処理速度の両方を持つことになり、非常に強い。ここを避けると単価は必ず下がります。新しいソフトを覚えるのは面倒ですが、覚える対象は年に1つか2つです。

もう一つ、単価の話とは別に伝えたいことがあります。取引先を1社に絞らないことです。1社に依存すると、その会社の方針が変わった時点で収入がゼロになります。常時2社から3社と取引がある状態を保つと、1社が止まっても生活が崩れません。これは若い世代より、収入の代替手段が少ないシニアの方にこそ重要な話です。

年金と収入のバランスをどう取るか

長く働くうえで避けられないのが、年金との関係です。ここを知らないまま働くと、思っていたほど手元が増えないという事態になります。

会社に雇われて働きながら老齢厚生年金を受け取る場合、賃金と年金の合計額が一定の基準を超えると、年金の一部が支給停止になる仕組みがあります。基準額は年度ごとに改定されるため、具体的な金額は日本年金機構で確認してください。重要なのは、この仕組みが適用されるのは厚生年金に加入して働く場合だという点です。業務委託で仕事を受ける場合は、その収入が賃金には当たらないため、この調整の対象になりません。

つまり、在宅の業務委託で収入を得るという選択は、年金の受給と両立しやすい形です。これは在宅で働くことの、あまり語られない利点です。ただし、業務委託の収入には別の手続きが発生します。年間の所得が一定額を超えれば確定申告が必要になり、経費の記録をしていないと払いすぎになります。通信費、書籍代、ソフトの利用料、機材。領収書をまとめておくだけで負担が変わります。申告の手順は国税庁の案内に沿えば個人でも進められます。

健康保険についても確認が必要です。雇用で働くなら勤務先の健康保険に入りますが、業務委託だけなら国民健康保険か、家族の被扶養者になる形です。保険料の水準が違うので、収入の設計をするときに一緒に計算してください。

正直に書くと、この制度周りの計算は面倒です。ただ、面倒だから調べないまま働き始めると、手取りが想定より少なくて働く意欲が落ちます。最初に1回、年金事務所の窓口で自分の場合を確認しておく。それだけで、その後の判断が全部楽になります。

未経験の分野から始める最初の3か月の進め方

在宅の英語の仕事が初めてという方に向けて、最初の3か月の具体的な進め方を書きます。焦らないでください。3か月あれば形になります。

1か月目 分野を1つ決めて用語を集める 自分が長く働いてきた業界を1つ選び、その分野の用語を英語で書き出します。目標は200語です。多いと感じるかもしれませんが、業界の用語は自分が毎日使ってきた言葉なので、英語を調べるだけで済みます。集めた用語は表計算ソフトで一覧にしておきます。これがそのまま、後で納品に添える用語表になります。同時に、その分野の英語の資料を毎日30分読んでください。原文の言い回しが頭に入ります。

2か月目 実物を1つ作る 公開されている英文の資料を自分で訳してみて、訳文を1本作ります。分量は1,000語程度で構いません。これを作る目的は2つあります。自分がどのくらいの時間で処理できるかを測ること、そして応募のときに見せる材料を持つことです。守秘義務の関係で実際の納品物は見せられないので、公開資料を使った訳文は実務の前の名刺になります。あわせて、英文を書く仕事も視野に入れるなら、同じ資料の要約を英語で書いてみてください。

3か月目 応募して1件受ける 翻訳会社の募集、業務委託の案件、クラウド型の仕事。3か所以上に応募します。ここで大事なのは、落ちる前提で数を出すことです。試訳がある募集なら、落ちても試訳の練習になります。1件でも受注できたら、その案件は報酬より優先して丁寧に仕上げてください。最初の1件の評価が、次の依頼の有無を決めます。

3か月でこれを終えると、「英語ができる人」から「この分野の英語の仕事ができる人」に変わります。この変化が、その後の受注のしやすさを決めます。逆に、勉強だけを3か月続けた方は、3か月後も同じ位置にいます。手を動かす順番を間違えないことです。

転職として常勤を狙う場合の求人の読み方

在宅の委託ではなく、転職として常勤や契約社員の仕事を狙う方のために、求人の読み方を書きます。

まず検索語です。「英語 シニア」ではなく、「英文事務」「海外営業アシスタント」「貿易事務」「ローカライズ」「翻訳コーディネーター」で探してください。職務名で探すと、英語の力が条件に組み込まれた求人が出てきます。年齢の条件は原則として求人票に書けない決まりがあるため、「シニア歓迎」の表記で絞ると求人の母数が極端に減ります。

次に求人票の読み方です。確認すべきは4か所あります。英語を使う具体的な場面が書かれているか、在宅の可否と日数、契約の形態と更新の有無、そして就業時間です。英語について「英語力を活かせます」としか書かれていない求人は、実際には英語をほとんど使わない可能性があります。「海外拠点とのメール対応」「英文の見積書作成」のように場面が書かれている求人を選んでください。

応募の順番も設計します。第一志望から出すのではなく、練習として2社か3社を先に受けます。面接で聞かれる質問はだいたい共通しているので、2回受けると答えが整います。整った状態で本命に行くほうが通ります。この順番を守るだけで、結果が変わります。

登録するサービスの選び方も重要です。年代と職種によって強いサービスが違うため、片端から登録するのは非効率です。転職サイトおすすめ比較【2026年版】|年代・職種別の選び方に年代別と職種別の使い分けが整理されているので、登録先を決める段階で目を通しておくと無駄が減ります。

最後に、正直な話を書きます。常勤の選考では、年齢によって書類の通過率が下がるのが現実です。10社出して1社面接に進めばよいという前提で数を出してください。数を出すのが辛いなら、派遣や契約社員の形に切り替えるほうが早い。実務の力で判断される場面が増えるので、通過率が上がります。

20年市場を見てきた立場からの観察

在宅ワークと業務委託の市場を20年見てきた立場から、2つ書きます。

1つめは、長く仕事が続く方の共通点です。英語の力そのものではありません。続く方は、依頼者の手間を減らす動き方をしています。質問を1回にまとめて送る、納品に判断の根拠を1行添える、期限の前日に進捗を知らせる。技術的には誰でもできることですが、実際にやる人は多くありません。経験の長い方は、社会人としての段取りが身についているので、この部分で最初から評価されます。皆さんが思っている以上に、ここが取引先の選ぶ基準になっています。

2つめは、手取りの話です。仲介の手数料が乗る取引では、依頼者が払った金額と受け手が受け取る金額が一致しません。中間マージンが乗らない直接の取引なら、依頼者は同じ予算でより多く頼めて、受け手の手取りは厚くなります。手数料0%の仕組みが効いてくるのは、金額の大小の話ではなく、双方が無理をしなくて済むという質の話です。年金と組み合わせて働く時期には、この差が生活の余裕に直結します。

最後に、将来性について書きます。機械翻訳の進歩で英語の仕事がなくなると言われますが、市場を見ている限り、なくなったのは「誰でもできる単純な訳出」だけです。増えているのは、機械が出した結果を判断して直す仕事、専門分野の用語を正しく扱う仕事、責任を持って「これで出して大丈夫」と言える仕事です。どれも判断力が要る仕事で、経験の長い方に有利な方向への変化だと考えています。

皆さんが今日できることは1つだけです。自分が長く働いてきた分野の用語を、英語で書き出してみること。それが、これから受ける仕事の入口になります。英語の力を売るのではなく、英語で扱える専門を売る。この切り替えができた方は、年齢に関係なく仕事が続いています。

よくある質問

Q. 英語が得意なシニアが在宅で始めるなら、最初はどの仕事がよいですか?

文書の翻訳と英文の校閲、この2つが入口として現実的です。既に持っている読み書きの力が直接お金になり、通勤も不要で、業務委託なら年齢の上限がありません。会話力を求められないため、瞬発力よりも経験と語彙が効く点でも向いています。

Q. 英語を使う事務の時給はどのくらいが相場ですか?

人材派遣の求人では、英語を使う一般事務で時給1,700円から2,000円あたりの募集が出ています。一般的な事務職より数百円高い水準です。ただし週5日の通勤が前提の募集が多いため、在宅の可否は日数まで求人票で確認してください。

Q. TOEICのスコアはどのくらい必要ですか?

600点台でも、辞書を使って丁寧に進める仕事なら入れます。700点台から800点台で翻訳や校閲、字幕、語学指導のすべてが射程に入ります。スコアを上げるより、自分が長く働いてきた業界の用語を英語で覚えるほうが受注に直結します。

Q. 年金を受け取りながら英語の仕事をしても問題ありませんか?

問題ありません。ただし会社に雇われて働く場合は、賃金と老齢厚生年金の合計が一定額を超えると年金の一部が停止されます。業務委託の収入はこの調整の対象外なので、在宅の委託は年金と両立しやすい形です。基準額は年度で変わるため年金事務所で確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年2月12日最終更新:2026年9月24日
前田 壮一

この記事を書いた人

前田 壮一@SOHO編集部

元メーカー管理職・43歳でフリーランス転身

大手電機メーカーで品質管理を20年間担当した後、42歳でフリーランスに転身。中高年のキャリアチェンジや副業の始め方を、自身の経験をもとに発信しています。

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