ダブルワークの時間制限はどう決まるのか|法律と会社の規定の読み方 2026

朝比奈 蒼
朝比奈 蒼
ダブルワークの時間制限はどう決まるのか|法律と会社の規定の読み方 2026

この記事のポイント

  • ダブルワークの時間制限は法律の上限だけで決まりません
  • 勤務先の規定が実質的な天井を作っています
  • 規定の読み方と申請の通し方を

ダブルワークの時間制限を調べていると、たいていの記事が「週40時間まで」「1日8時間まで」という法定労働時間の話に終始します。ただ、実際に副業を止められている人の相談内容を見ていくと、法律の上限に触れて止められたケースはむしろ少数派です。多くは勤務先の就業規則、雇用契約書、あるいは配属部署の内規に書かれた制限に引っかかっています。

結論から書きます。ダブルワークの時間制限は「法律が決める上限」と「会社が決める制限」の二階建てになっており、実務上、先に効いてくるのはほぼ確実に後者です。法定の上限に達するはるか手前で、許可制のハードル、競業避止の縛り、深夜勤務の禁止といった社内ルールが天井を作っています。この記事では、その社内ルール側の制限がどういう構造で書かれているのか、自分の会社の規定をどう読み解けばいいのか、そして許可申請をどう通すのかを、具体的な条文パターンごとに整理します。

ダブルワークの時間制限は二階建てになっている

まず前提として、時間制限には性質のまったく異なる二つのレイヤーがあります。この二つを混同したまま調べていると、いつまで経っても「自分は何時間まで働けるのか」の答えにたどり着けません。

一階部分は労働基準法が定める公的な上限です。法定労働時間は原則として1日8時間・週40時間で、これを超えて働かせるには労使間で協定を結び、所轄の労働基準監督署へ届け出る必要があります。

副業・兼業やダブルワーク(Wワーク)で40時間以上働きたい労働者も少なくないでしょう。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員に労働させる場合には、事前に労働基準法第36条に基づき、いわゆる「36(サブロク)協定」を労使間で締結し、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。 出典: hcm-jinjer.com

二階部分は、勤務先が独自に設けている制限です。就業規則の副業条項、個別の雇用契約書、労働協約、部門ごとの内規、情報セキュリティポリシー。これらは法律の上限とは別の論理で書かれており、時間数だけでなく「業種」「時間帯」「取引先」「使用する端末」といった多方向から縛りをかけてきます。

正直なところ、ここを説明している記事がほとんどないのが問題だと感じています。労務管理の記事は企業の人事担当者向けに書かれているため、通算ルールや割増賃金の計算といった「会社が守るべき義務」の側から語られます。一方、働く本人が知りたいのは「自分は何をどこまでやっていいのか」であり、その答えは法律ではなく自社の規定に書いてあります。

法律の上限に達する人はそもそも多くない

数字で見てみます。本業がフルタイムの正社員で、所定労働時間が1日8時間・週5日なら、その時点で法定の週40時間を使い切っています。副業で雇用契約を結ぶと、その分はすべて時間外労働として扱われる計算になります。つまり理屈の上では、副業を1時間でもやった瞬間に法定枠は超える。

つまり、社員が本業・副業を通じて、週に40時間(1日8時間)を超えて働いている場合、雇用主である企業には時間外労働の対応が必要になるわけです。実際、社員がダブルワークをしている場合、自社以外の企業での労働時間も含めると、合計で週40時間を超えるケースは多くあります。 出典: biz.tunag.jp

ここで重要なのは、この超過分に対する責任を負うのは働く本人ではなく雇用主だという点です。届出や割増賃金の支払い義務は会社側にあり、本人が罰せられる仕組みにはなっていません。だからこそ会社は、自分たちが義務を負わされるのを避けるために、就業規則で先回りして制限をかけます。「うちの社員に無許可でダブルワークをされると、労務管理上の責任が読めなくなる」というのが、許可制が広く採用されている最大の理由です。

言い換えると、就業規則の副業制限は「働きすぎを防ぐため」という建前の裏に、「会社が把握できない労働時間を作らせないため」という実務上の動機があります。この構造を理解しておくと、後述する許可申請の書き方が変わってきます。会社が本当に気にしているのは総時間数ではなく、把握できるかどうかなのです。

業務委託契約なら通算の対象外になる

もう一つ、時間制限の話で決定的に効いてくるのが契約形態です。労働時間の通算ルールが適用されるのは、副業先とも雇用契約を結んでいる場合に限られます。業務委託、請負、委任といった形で仕事を受けている場合、そこで費やした時間は労働基準法上の労働時間としてカウントされません。

在宅ワークやクラウドソーシング経由の仕事は、ほぼすべてが業務委託契約です。記事執筆、デザイン制作、データ入力、動画編集、プログラミングといった案件は成果物に対して報酬が支払われる形式であり、時間で拘束されるわけではありません。したがって、本業がフルタイムで週40時間働いていても、業務委託の副業を週10時間やることに労働基準法上の問題は生じません。

ただし、これはあくまで「労働基準法の通算は起きない」という意味であって、勤務先の就業規則が禁止していれば当然アウトです。法律上セーフでも社内規定上アウトという状態は普通に発生します。この記事が扱うのは、まさにその社内規定の側です。

就業規則がかけてくる制限の5つの型

副業に関する社内規定は、会社ごとに文言こそ違っても、制限のかけ方はおおむね5つの型に分類できます。自分の会社の就業規則を開いて、どの型が使われているかを確認してみてください。

型1:許可制と届出制の違い

もっとも一般的なのが、事前の許可または届出を求めるパターンです。文言としては「会社の許可なく他に雇用され、または事業を営んではならない」「副業に従事する場合は事前に所定の様式により届け出るものとする」といった形で書かれます。

許可制と届出制は似ているようで、実務上の重みがまったく違います。許可制は会社が「認めない」と判断できる余地を残した仕組みで、申請しても却下される可能性があります。届出制は原則として認めることを前提に、内容を把握するための手続きです。就業規則に「許可を得なければならない」と書いてあるか「届け出るものとする」と書いてあるかで、断られる確率が変わります。

見落としやすいのが、この条項が「懲戒事由」のセクションにも重複して書かれているケースです。副業条項そのものは服務規律の章にあり、それに違反した場合の処分は懲戒の章に書かれています。両方を読まないと、無許可でやった場合に何が起きるのかが把握できません。

もう一つ確認すべきは、許可の有効期間です。「許可は1年ごとに更新するものとする」といった条項が入っていると、毎年申請し直す必要があります。初回だけ通してあとは放置していると、いつの間にか無許可状態になっている場合があります。

型2:競業避止義務による業種の制限

時間ではなく業種で縛るのがこの型です。「会社と競業関係にある事業に従事してはならない」「会社の取引先において業務に従事してはならない」といった条項が該当します。

この制限は在宅ワーク系の副業でも意外と引っかかります。たとえば本業がWeb制作会社の社員で、副業でWebサイトの受託制作をする場合、業種としては完全に競合します。本業が人材サービスの会社で、副業で採用支援の記事を書く場合も、事業領域が重なると判断される可能性があります。

判断の分かれ目は「会社の顧客を奪う可能性があるか」「会社の営業秘密を使っているか」の2点です。同じスキルを使っていても、対象とする顧客層や市場がまったく違えば競業とは扱われにくくなります。逆に、本業で担当している業界の知見をそのまま副業に持ち込むと、たとえ直接の競合他社でなくても問題視されることがあります。

競業避止の条項でよく揉めるのが、退職後の期間についての記述です。「退職後2年間は競業する事業に従事しない」といった条項が入っている場合、在職中の副業がそのまま独立後の事業になるルートは塞がれる可能性があります。副業を将来の独立の助走にしたい人は、この条項を先に読んでおくべきです。

型3:時間帯と曜日の制約

「深夜(午後10時から午前5時まで)の業務に従事してはならない」「休日は心身の回復に充てるものとし、他社での就労を認めない」といった、時間帯や曜日を指定する制限です。

深夜勤務の制限には、それなりに合理的な理由があります。深夜に副業をして本業の日中のパフォーマンスが落ちれば、会社にとっては直接の損害です。また、深夜労働には割増賃金(25%以上の割増)が発生する仕組みになっており、副業先で深夜に働くと労務管理が一段複雑になります。

ここが在宅ワーク志望者にとって厄介なところです。本業が終わってから作業できる時間帯は必然的に夜になり、集中できるのは深夜になりがちです。ただ、業務委託契約であれば「深夜に働いた」という記録が労働時間として残るわけではないため、実務上は成果物の納品時刻くらいしか痕跡がありません。とはいえ、規定に反する行動を続けるのはリスクを抱え込むだけです。作業時間を朝側にずらす、休日の午前中にまとめる、といった設計変更で回避するほうが安全です。

私自身、編集の仕事を副業で受け始めたころは、深夜1時から3時に原稿チェックをするのが習慣になっていました。半年ほど続けたところで、本業の午前中の判断力が明らかに落ちていることに気づきました。会議で数字を読み違える、メールの誤字に気づかない。時間制限の規定は会社の都合で作られているように見えて、実際には自分の身を守る側面もあると実感した経験です。今は朝5時から7時に作業時間を移していますが、同じ2時間でも処理できる分量が体感で1.5倍ほど違います。

型4:数値で上限を切ってくる規定

比較的新しいタイプの規定として、副業の時間数を数値で明示するものがあります。「副業に従事する時間は月20時間を超えないものとする」「1週間あたり10時間を上限とする」といった書き方です。

こうした規定が増えている背景には、時間外労働の上限規制があります。原則として時間外労働は月45時間・年360時間が上限とされており、副業分を通算するとこの枠を圧迫します。会社としては、通算しても上限に収まる範囲を先に切っておきたいわけです。

数値上限が設定されている場合、申請時に予定時間を書かされることがほとんどです。ここで実態より少なく申告すると、後々の説明が苦しくなります。逆に多めに書くと通らない。現実的なのは、業務委託であることを明記したうえで「成果物単位の契約であり、拘束時間は発生しない。作業の目安は週6時間程度」といった書き方をすることです。

型5:情報セキュリティ由来の制限

就業規則本体ではなく、情報セキュリティポリシーや機密保持に関する規程の側から制限がかかるパターンです。「会社貸与のPCを業務以外の目的で使用してはならない」「会社の設備、ネットワークを私的に利用してはならない」といった条項が該当します。

在宅勤務が定着した結果、この制限が実質的に副業の制約として働くケースが出てきました。自宅で本業と副業の両方をこなす場合、会社貸与のノートPCで副業の作業をしてしまうと明確な違反になります。私物のPCを別に用意し、副業用のアカウントやストレージも分離しておくのが基本です。

さらに踏み込むと、会社が配布しているクラウドストレージやチャットツールのアカウントで副業のやり取りをするのも避けるべきです。監査ログが残る環境では、いつどのファイルを開いたかまで記録されています。作業環境を物理的に分けておくのは、疑われたときに「分けています」と即答できるようにするためのコストと考えるといいでしょう。

自分の会社の規定を読み解く手順

規定の型が分かったら、実際に自社の文書を確認していきます。手順は以下の通りです。

手順1:確認すべき文書を全部揃える

副業に関する制限は1つの文書に集約されていません。最低でも次の5つを確認してください。

就業規則の本体。服務規律の章と懲戒の章の両方を読みます。副業規程や兼業規程という名前の別規程。就業規則から分離されている会社が増えています。雇用契約書または労働条件通知書。個別に特約が付いている場合があります。情報セキュリティポリシーおよび機密保持誓約書。入社時に署名した書類の控えを探してください。所属部署の内規や運用ルール。文書化されていない場合もありますが、上長に確認すれば分かります。

就業規則は常時10人以上の労働者を使用する事業場では作成と周知が義務づけられています。社内イントラネットに掲載されているか、人事部で閲覧できるはずです。「見せてもらえない」という状況自体が本来はおかしいので、その場合は堂々と請求してかまいません。

手順2:キーワードで該当箇所を絞る

文書が揃ったら、次のキーワードで検索します。「副業」「兼業」「二重就職」「他社」「自ら事業」「営利」「競業」「取引先」「許可」「届出」「承認」。古い就業規則ほど「二重就職の禁止」という表現が使われている傾向があります。

見つかった条文は、そのままコピーしてメモに残してください。後で人事に相談するときに「第◯条の規定について確認したい」と条番号で聞けると、話が早く進みます。

手順3:制限の強さを3段階で判定する

条文が見つかったら、次の3段階のどれに当たるかを判定します。

全面禁止型は「副業を行ってはならない」と例外なく書いてあるパターンです。数は減っていますが、金融機関や公的機関の関連企業ではまだ残っています。この場合、正面から交渉するか、規定の改定を待つしかありません。

許可制型は「会社の許可を得た場合はこの限りでない」という但し書きがあるパターンです。現在の主流はここです。申請すれば通る余地があります。

届出制型は「事前に届け出るものとする」と書かれ、許可という言葉が使われていないパターンです。もっとも緩く、手続きさえ踏めば原則として認められます。

判定の際、但し書きの有無を見落とさないでください。「副業を行ってはならない。ただし、あらかじめ会社の承認を得た場合はこの限りでない」という条文は、見出しだけ読むと全面禁止に見えますが、実態は許可制です。

許可申請を通すための実務

制限の型が分かったら、次は申請です。ここでの書き方によって結果が変わります。

会社が却下する理由は3つしかない

申請が却下される理由は、経験上ほぼ3つに集約されます。本業への支障が読めない、競業や情報漏洩のリスクが読めない、労務管理上の責任範囲が読めない。いずれも「読めない」という点が共通しています。

裏を返せば、この3つを先回りして潰した申請書は通りやすい。逆に、「週末に少しやりたいです」程度の情報量で出すと、判断材料がないので保守的に却下されます。

申請書に書くべき5項目

契約形態を明記します。「業務委託契約であり、雇用契約ではない」と書くだけで、労働時間通算の懸念が消えます。ここは最重要です。

業務内容を具体的に書きます。「Webライティング」ではなく「中小企業向けの業務効率化に関する解説記事の執筆」というレベルまで落とし込みます。競業の判断がしやすくなります。

想定される作業時間帯と分量を書きます。「平日は行わず、土曜日の午前中に3時間程度」といった形で、本業の稼働時間と重ならないことを示します。

取引先の性質を書きます。社名を出せない場合でも、「業種は教育関連で、当社の取引先および競合他社とは重複しない」と書けます。

使用する設備を書きます。「作業には私物のPCおよび私的に契約したネットワーク環境のみを使用し、会社貸与の設備は一切使用しない」と明記します。

申請前に上長へ口頭で相談する

書面をいきなり人事に出すと、上長が「聞いていない」と反発することがあります。組織の中では、順番を守ることそのものが信用に直結します。

口頭で相談する際は、「本業に支障が出ない範囲で、スキルの幅を広げたい」という文脈で話すのが無難です。収入が理由だと伝えると、「では本業の待遇に不満があるのか」という別の話に転がります。事実として収入が動機であっても、申請の場では成長や学習の文脈に置き換えたほうが話が進みます。

契約形態別に見た制限の効き方

同じ「ダブルワーク」でも、副業先との契約形態によって制限のかかり方はまったく違います。ここを整理しておくと、どの働き方を選ぶべきかが見えてきます。

雇用型のダブルワークは制限が重い

アルバイトやパートとして別の会社に雇われる形です。この場合、労働時間は本業と通算され、割増賃金の計算も必要になります。副業先の会社も、あなたの本業の労働時間を把握したうえでシフトを組む義務が生じます。

この重さのせいで、副業先が採用を渋るケースがあります。「本業がフルタイムの人は採用していません」という求人は珍しくありません。会社側からすると、時間外労働の割増賃金を負担する立場になるかもしれないうえ、上限規制の管理も必要になるためです。

さらに、雇用型は時間帯の自由度が低い。シフトが決まっているので、本業の残業が発生したときに調整が効きません。本業の繁忙期と副業のシフトがぶつかると、どちらかに穴を開けることになります。

業務委託型は制限が軽いが自己管理が必要

在宅ワークの多くはこちらです。労働時間の通算対象外であり、時間帯の制約もありません。就業規則の許可さえ取れれば、あとは自分のペースで組み立てられます。

ただし、時間管理の責任がすべて自分に来ます。納期に追われて深夜作業が常態化しても、誰も止めてくれません。在宅ワークで作業効率を上げる工夫については、在宅ワークの集中力アップ|ポモドーロ以外に効く7つのテクニックで、集中力を維持するための具体的な手法がまとめられています。限られた時間で成果を出す設計に興味があるなら参考になります。

また、実際に副業を回している人が1日をどう組み立てているかは、在宅ワーク主婦の1日のタイムスケジュール公開に詳しく書かれています。家事や本業と両立させながら作業時間を確保するリアルな配分が分かるので、自分のスケジュールを設計する際の下敷きになります。

どの職種を選ぶかで制限の当たり方が変わる

競業避止の観点では、本業と離れた領域の仕事を選ぶほうが安全です。ただし、まったく経験のない分野に飛び込むと単価が上がりません。バランスを取るなら、スキルは共通するが顧客層が異なる領域を狙うのが定石です。

たとえばエンジニアであれば、本業が業務システムの開発なら副業はスマートフォンアプリの開発に寄せる、といった具合です。アプリケーション開発のお仕事には、アプリ開発案件で求められるスキルセットや案件の性質が整理されており、本業と重ならない領域を探す際の判断材料になります。

AIまわりの案件は、この数年で急速に選択肢が増えた領域です。AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、企業のAI導入を支援する業務がどういう内容で構成されているかが解説されています。本業でAIを扱っていない人にとっては、競業リスクが低く需要が伸びている分野という点で相性がいい選択肢です。同じくAIとマーケティング、セキュリティを横断する領域についてはAI・マーケティング・セキュリティのお仕事にまとまっており、複数分野をまたぐ案件の全体像がつかめます。

時間制限を前提にした副業設計

制限があること自体は避けられません。であれば、その制限を前提に設計するほうが現実的です。

時間ではなく成果で報酬が決まる仕事を選ぶ

時給型の副業は、時間制限と正面から衝突します。月20時間という上限があるなら、時給1,200円の仕事では月24,000円が天井です。これはどう頑張っても伸びません。

成果物単位の契約であれば、スキルが上がるほど同じ時間あたりの報酬が上がります。記事執筆であれば、最初は1本に6時間かかっていたものが、慣れれば3時間で仕上がるようになる。同じ時間制限の下でも、単価は倍になります。

職種ごとの単価水準を把握しておくと、どこに時間を投じるべきかが判断できます。ソフトウェア作成者の年収・単価相場には、ソフトウェア開発職の報酬水準が職種別に整理されています。著述家,記者,編集者の年収・単価相場には、執筆や編集の職種における収入分布がまとまっており、ライティング系の副業を検討する際の相場観をつかめます。

資格を先に取って単価の初期値を上げる

限られた時間しか使えない状況では、単価の初期値をどこに設定できるかが効いてきます。実績がゼロの状態で交渉するより、資格という形で客観的な指標を提示できたほうが有利です。

事務系の在宅ワークを狙うなら、ビジネス文書検定は取得のコストが比較的低く、文書作成の基礎能力を示す材料になります。IT系のインフラ案件を視野に入れているなら、CCNA(シスコ技術者認定)はネットワーク分野で広く認知されている資格で、募集要項に名指しで書かれることも多い認定です。

案件の探し方で無駄な時間を削る

時間制限がある状況では、案件探しに費やす時間そのものがコストになります。応募して返信を待ち、条件が合わずに流れる。この繰り返しで月の可処分時間が溶けていきます。

在宅ワークの求人の探し方5選|初心者でも安心な方法と注意点を徹底解説には、案件の探し方が5つの手法に整理され、それぞれの注意点も併記されています。探索にかける時間を減らして実作業に回すための下地として読んでおくと効率が変わります。

市場側の動きと運営者としての観察

副業に関する社内制限は、この5年ほどで確実に緩む方向に動いています。厚生労働省がモデル就業規則から副業禁止の規定を外し、副業を認める方向の記述に改めたのが転換点でした。制度の詳細は厚生労働省の公表資料で確認できます。大企業から順に許可制へ移行し、届出制まで緩和した会社も増えました。

一方で、規定を緩めたはずの会社で運用が追いついていない事例も多く見ます。就業規則には「許可を得れば可」と書いてあるのに、申請様式が存在しない。人事に聞いても「前例がないので分からない」と返される。制度としては解禁されているが、実務の受け皿がないという状態です。

20年この市場を運営者として見てきた立場から言えば、時間制限に悩んで動けなくなっている人と、制限の中で着実に積み上げている人の差は、投じる時間の量ではありません。差がつくのは、限られた時間を「毎回ゼロから案件を探す」ことに使うか、「継続的に依頼が来る関係を作る」ことに使うかです。長く続いている人ほど、単発の作業を積み重ねるのではなく、依頼者から見て「この人に任せると楽だ」と思われる状態を作ることに時間を配分しています。月20時間という制限があるなら、その20時間を1社との関係構築に集中させたほうが、5社に4時間ずつ分散させるより結果的に手取りが厚くなる。これは統計ではなく、長く見てきた現場の実感です。

もう一点、運営者として見てきた限りで確実に言えるのが、中間マージンの有無が可処分時間の価値を大きく変えるという事実です。仲介手数料が20%乗る取引では、月20時間働いても手元に残るのは8割です。時間制限が厳しい人ほど、この2割の差は無視できません。手数料0%の直接取引では、依頼者は同じ予算でより多くの作業を頼めて、受け手は同じ作業量でより厚い手取りを得ます。双方が得をする構造であり、時間の総量を増やせない副業ワーカーにとっては、時間あたりの密度を上げるほぼ唯一の手段になります。制限を外せないなら、1時間の価値を上げるしかない。そこに手をつけずに「もっと時間があれば」と言い続けるのは、正直なところ順序が逆だと思います。

独自データから見えるダブルワーク層の動き

在宅ワークの案件情報を長期にわたって蓄積してきたデータを見ると、時間制限を抱えた副業層の行動には特徴的な傾向が現れます。

第一に、稼働可能時間が週10時間以下の層は、案件の選び方が明確に違います。単発で完結する作業よりも、月次で継続する定型業務を好む傾向が強い。理由は単純で、毎回仕様を理解し直すコストが時間制限下では致命的だからです。同じフォーマットの記事を月4本、同じクライアントの請求書処理を月1回、といった形に落ち着いていきます。

第二に、深夜勤務の制限がある層は、納品期限に余裕がある案件を選びます。「翌日納品」「即日対応」といった条件の案件は、本業の勤務時間中に対応できないため物理的に受けられません。逆に、納期が1週間以上ある案件であれば、週末や早朝に分割して処理できます。案件を探す段階で納期条件を先に絞り込むだけで、応募後のミスマッチが大きく減ります。

第三に、契約形態を最初から業務委託に絞っている層は、社内の許可申請で躓く確率が低い傾向があります。申請書に「雇用契約ではない」と書けることの効果は想像以上に大きく、労務管理上の懸念という最大の却下理由を最初から消せます。ダブルワークを検討する段階で雇用型と業務委託型のどちらを選ぶかは、収入面だけでなく社内手続きの通しやすさにも直結する判断だということです。

最後に、時間制限そのものを交渉で動かした事例も一定数存在します。就業規則の上限が月20時間だったところを、実績と本業の評価を積み上げたうえで個別に緩和してもらったケース。あるいは、副業で得た知見を社内に還元する形で正式に認めてもらったケース。制限は固定された壁ではなく、交渉の余地がある境界線です。まずは規定を正確に読み、通る形で申請し、実績を作る。順序を守れば、時間制限は思っているほど硬くありません。

よくある質問

Q. 就業規則に副業禁止と書かれていたら、絶対にダブルワークはできませんか?

条文の但し書きを確認してください。「ただし会社の承認を得た場合はこの限りでない」と続いていれば実質的な許可制であり、申請すれば通る余地があります。完全な全面禁止であっても、業務時間外の私的な活動を無制限に制限することには限界があるため、まずは人事に条番号を示して確認するのが現実的な一歩です。

Q. 業務委託の副業なら、勤務先に許可を取らなくても大丈夫ですか?

労働時間の通算対象外という点で法律上の扱いは軽くなりますが、就業規則の適用は別問題です。多くの規定は「自ら事業を営むこと」も制限対象に含めており、業務委託も該当します。無許可で発覚した場合は懲戒の対象になり得るので、契約形態にかかわらず所定の手続きは踏んでください。

Q. 深夜に副業をしてはいけないという規定は、在宅ワークにも適用されますか?

規定の文言が「他社での就労」に限定されていれば業務委託には及びませんが、「深夜における業務従事」と広く書かれていれば在宅ワークも対象と読まれます。曖昧な場合は、作業時間を早朝や休日の日中に移す設計に変えるのが安全です。深夜作業は本業のパフォーマンス低下にも直結します。

Q. 副業の許可申請で却下されないために、何を書けばよいですか?

契約形態が業務委託であること、業務内容が競合しないこと、作業時間帯が本業と重ならないこと、会社の設備を使用しないことの4点を具体的に書いてください。却下の主因は「判断材料が足りず保守的に判断される」ことなので、会社が懸念する労務管理と情報漏洩のリスクを先回りして潰すのが有効です。

この記事について

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編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月15日最終更新:2026年9月6日
朝比奈 蒼

この記事を書いた人

朝比奈 蒼@SOHO編集部

ITメディア編集者

IT系メディアで編集・ライティングを担当。クラウドソーシング業界の動向やサービス比較など、客観的な視点での記事を執筆しています。

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