犬服のハンドメイド販売でどれくらい収入になるのか|値付けと売り方の考え方 2026

長谷川 奈津
長谷川 奈津
犬服のハンドメイド販売でどれくらい収入になるのか|値付けと売り方の考え方 2026

この記事のポイント

  • 犬服 ハンドメイド 月収の実態を
  • 原価計算と値付けの手順から解説します
  • 材料費と制作時間の時給換算

先日、ハンドメイドで犬服を作っている方から相談を受けました。「作った服は毎回すぐ売り切れるのに、通帳の残高がまったく増えない」と。話を聞いて価格の内訳を一緒に分解してみたら、原因はすぐに分かりました。2,800円で売っている服の材料費が900円、販売手数料と決済手数料で300円ほど引かれ、梱包材と送料の自己負担が400円。手元に残るのは1,200円で、そこに3時間の縫製時間が乗っていました。時給に直すと400円です。これ、知らない人が本当に多いんです。

「犬服 ハンドメイド 月収」と検索してこの記事にたどり着いた方が本当に知りたいのは、たぶん「いくら稼げるか」という数字そのものではありません。「今の売り方を続けて、この先ちゃんと収入になるのか」という判断材料のはずです。結論から言うと、犬服のハンドメイド販売で収入を安定させられるかどうかは、縫製の腕よりも先に「値付けの設計」と「売り方の設計」で決まります。この記事では、月収の見積もり方、原価から逆算する価格の作り方、販売チャネルごとの手数料と客層の違い、そして意外と抜けている法律面のルールまでを順に整理します。

犬服のハンドメイド販売はいまどんな市場なのか

犬服の手作り販売を「趣味の延長」と捉えるか「小さな事業」と捉えるかで、見える景色はまったく変わります。まずは自分がどんな市場に立っているのかをマクロに把握しておきましょう。

ペット向け衣類が売れるようになった背景

犬服が一定の需要を持つようになった理由は、大きく3つあります。1つ目は小型犬の飼育比率が高いこと。チワワ、トイプードル、ダックスフンドといった体温調整が苦手な犬種は、冬の防寒着や夏の日よけとして服が実用品になります。2つ目は室内飼育の一般化です。抜け毛対策、術後の傷口保護、皮膚炎の掻きむしり防止など、ファッションではなく機能目的で服を着せる家庭が増えました。3つ目は既製品のサイズが合わない層が一定数いることです。胴長短足、極小サイズ、大型犬、脚に障害がある犬。既製品の規格から外れた体型の犬を飼っている人は、サイズオーダーができる手作り品に流れます。

このうち、ハンドメイド作家が戦えるのは主に3つ目です。1つ目と2つ目の需要は量販店やペットショップの既製品が圧倒的な価格で押さえています。1,000円前後で売られている量産の犬用Tシャツと、材料費だけで800円かかる手作り品を同じ土俵で戦わせても勝ち目はありません。つまり、既製品では満たせない部分にどう入り込むかが、値付けの前提条件になります。

実際に販売している作り手が公開している数字を読む

売上規模の感覚をつかむには、実際に販売している人が公開している記録が参考になります。個人の記録には偏りがありますが、桁感を把握する材料としては有用です。

うちの子に合わせた服を作っていた延長で、販売も「サイズオーダーでの受注生産」に。「売るからには、きちんと型紙から作れるようになりたい」と思い、20万円の犬服ハンドメイドオンライン講座を受講。 出典: note.com

この記録では、7年間で累計900着以上を制作し、最高で年商120万円という数字が示されています。年商120万円を12で割れば月商10万円ですが、ここから材料費、手数料、送料、講座費用を引いた残りが実際の手取りです。しかも、これは7年という時間をかけて到達した水準の話です。

ここで押さえてほしいのは、「年商」と「月収」はまったく別の数字だということです。ハンドメイド販売を紹介する情報の多くは、売上総額を成果として提示します。しかし手元に残るお金を知りたいなら、売上から材料費と手数料と送料を引き、さらに自分が投じた時間で割る必要があります。この計算を一度もやらずに販売を続けている人が、相談者のなかでは圧倒的に多い印象です。

「月収」を見積もるための現実的な計算式

犬服ハンドメイドの月収は、次の式で概算できます。

月収 =(1着あたりの粗利)×(1ヶ月に売れる着数)ー(固定費)

1着あたりの粗利は、販売価格から材料費、販売手数料、決済手数料、梱包材費、送料自己負担分を引いた金額です。固定費には、ミシンや裁断台の減価、生地のストック費用、ネットショップの月額利用料、撮影用の小物などが入ります。

たとえば粗利2,000円の服を月20着売れば、粗利合計は4万円。固定費が月5,000円なら手元に残るのは3万5,000円です。ここで問題になるのが制作時間です。1着2時間で作れるとして20着40時間、さらに撮影、採寸のやりとり、梱包、発送、問い合わせ対応で15時間ほど加わります。合計55時間3万5,000円なら時給は636円です。

この計算をすると、多くの人が「思っていたより低い」と感じます。ただし、これは失望する話ではありません。むしろ、時給がいくらかを把握したうえで「では、どこを直せば時給が上がるのか」を考えられるようになるための出発点です。時給を上げる打ち手は、値上げか、制作時間の短縮か、手数料の低いチャネルへの移行か、この3つしかありません。順に見ていきます。

値付けの前にやるべき原価の分解

値付けを感覚でやっている限り、収入は安定しません。まずは1着あたりの原価を、費目ごとに数字にします。

材料費は「使った分」ではなく「買った分」で数える

犬服1着の材料費は、生地、リブ、糸、面ファスナー、スナップボタン、タグ、ゴムなどの合計です。ここで多くの人がやってしまう間違いが、「1着で使ったのは50cmだから、生地代は400円」と計算することです。実際には、生地は1m単位や3m単位で仕入れますし、裁断すれば必ず端切れが出ます。使い切れなかった分は在庫として現金を寝かせているのと同じです。

現実的な処理としては、生地の仕入れ総額を「その生地から作れる着数」で割ります。3m2,400円の生地から4着取れるなら、1着あたりの生地代は600円5着取れるように型を配置できれば480円になります。裁断の効率がそのまま原価に効くのは、この構造があるからです。副資材も同様に、100個入りのスナップを買ったなら1着あたりの使用個数で割り戻して計上します。

もうひとつ忘れがちなのが、失敗分と試作分です。新しい型紙を起こすときは必ず試作をしますし、縫い直しも発生します。私が見てきた範囲では、失敗分を原価に入れていない人は、実際の材料費を15%から20%ほど過小評価していました。ざっくりでいいので、材料費に15%の予備率を乗せておくと実態に近づきます。

制作時間を時給に換算して原価に入れる

ハンドメイド販売でいちばん軽視されるのが、自分の労働時間です。趣味の延長で始めると「作るのは楽しいから時間はコストじゃない」と考えがちですが、収入として計算したい以上、時間は最大のコストです。

1着あたりの所要時間は、裁断、縫製、仕上げ、検品だけでなく、撮影、商品説明文の作成、採寸のやりとり、梱包、発送手続き、購入後のメッセージ対応まで含めて測ります。実際にストップウォッチで1週間分を計測してもらうと、ほとんどの方が「縫製以外の時間が半分近くあった」と驚きます。縫うのが2時間でも、周辺作業を含めた実労働は3時間を超えるのが普通です。

そのうえで、自分が納得できる時給を決めます。副業として続けるなら最低でも地域の最低賃金以上、事業として本気で取り組むなら1,500円から2,000円を目安に置くのが現実的です。1着3時間、時給1,500円なら人件費は4,500円。この数字を見て「そんな価格では売れない」と感じたなら、それは価格の問題ではなく制作時間の問題である可能性が高いです。

販売手数料と送料は必ず先に引いておく

ハンドメイドマーケットやフリマアプリを使う場合、販売額に対して手数料がかかります。主要なプラットフォームの手数料は概ね販売価格の10%から11%程度で、これに振込手数料が加わります。自社ショップ型のサービスなら販売手数料は下がりますが、決済手数料は3%から4%程度かかり、月額プランの費用が別途発生することもあります。

送料の扱いも収支を大きく左右します。犬服は軽量なので小さめのゆうパケットやネコポスに収まることが多く、送料は200円台から400円台に収まります。ただし「送料無料」表記で販売する場合、その送料は販売者負担です。梱包材、OPP袋、台紙、サンキューカードなどを含めると、1件あたり50円から150円ほどの資材費が別に乗ります。

4つを足して価格を決める

ここまでを式にすると、こうなります。

販売価格 =(材料費 × 1.15)+(制作時間 × 目標時給)+ 資材費 + 送料負担 +(販売価格 × 手数料率)+ 利益

手数料が販売価格に対してかかるので、実際には割り戻しが必要です。手数料率11%なら、手数料以外の合計を0.89で割ると販売価格が出ます。材料費700円、制作2.5時間で時給1,200円なら人件費3,000円、資材費100円、送料300円。合計4,205円を0.89で割ると、販売価格は4,725円となり、実務上は4,800円に丸めることになります。

この数字を見て「高すぎる」と感じるなら、そこが本当の課題です。値付けを下げるのではなく、時給の目標を下げるのか、制作時間を短くするのか、この価格でも買ってもらえる価値をどう作るのかを考える。順番を間違えないことが大事です。

価格帯ごとに買う人が違う

犬服の販売価格には、いくつかの明確な帯があります。帯が変われば、買う人の動機も、求められる品質も、必要な売り方も変わります。

2,000円未満の帯

既製品と真正面からぶつかる価格帯です。この帯で買う人は「安く済ませたい」「試しに1枚」という動機が中心で、価格以外の理由で選ぶ余地がほとんどありません。手作りでこの帯に入るには、材料費を極端に下げるか、制作時間を30分程度に圧縮するかしかなく、どちらも現実的とは言えません。この帯を主戦場にすると、時給は確実に最低賃金を割ります。

2,000円から4,000円の帯

ハンドメイド犬服でもっとも取引量が多い帯です。デザイン性や生地の好みで選ばれるようになり、既製品にはない柄や色を求める層が入ってきます。ただし競合も最多で、価格比較がされやすい帯でもあります。この帯で成立させるには、制作時間を1.5時間以内に収める工夫が前提になります。

4,000円から8,000円の帯

サイズオーダー、体型補正、機能性素材、術後服やマナーウェアといった実用目的の服が入る帯です。この帯の購入者は「うちの子に合う服がどこにも売っていない」という切実な課題を持っており、価格よりも適合性を優先します。採寸のやりとりが発生するぶん手間はかかりますが、粗利は厚く、リピートにもつながりやすい。ハンドメイドで収入を作るなら、狙うべきはこの帯です。

8,000円以上の帯

礼装、季節限定の作り込み、複雑な装飾、大型犬向けの大判デザインなどが該当します。売れる頻度は下がりますが、1件あたりの粗利は大きい。ただしこの帯は、作り手としての実績や世界観がある程度知られていないと成立しにくく、いきなり参入する場所ではありません。

価格帯の選択でよくある失敗が、「まず安くして実績を作り、後から値上げする」という戦略です。これはハンドメイド販売ではほぼ機能しません。安い価格で集まった顧客層は値上げに追随せず、値上げした瞬間に離れます。しかも、過去の販売履歴が残るプラットフォームでは、以前の価格を見た人から「前は安かったのに」と言われることになります。最初から適正価格で始めて、売れないなら価値の伝え方を直すほうが、遠回りに見えて早い。

売り方の設計とチャネルの選び分け

同じ服でも、どこで売るかで手数料も客層も変わります。チャネルは一つに絞る必要はありませんが、それぞれの性質を理解して使い分けることが大切です。

ハンドメイドマーケット型

作品として評価してもらいたい場合の基本チャネルです。購入者は最初から手作り品を探しに来ているので、価格に対する心理的抵抗が比較的低い。作品ページに制作の背景やサイズ展開の説明を長く書けるのも利点です。一方で、出品数が多いため検索で埋もれやすく、新作を定期的に出す運用が求められます。手数料は販売額の10%前後です。

フリマアプリ型

利用者数が圧倒的に多く、露出のチャンスが大きいチャネルです。ただし、購入者の多くは「安く買う場所」という認識で使っているため、価格交渉が入りやすく、値下げ圧力が常にかかります。ここを主戦場にするなら、価格帯は2,000円台から3,000円台に置き、制作時間を短くできる定番デザインを回転させる設計が現実的です。逆に、サイズオーダーの高単価品をフリマアプリで売ろうとすると、問い合わせの手間ばかりが増えて成約しにくい傾向があります。

自社ショップ型

月額または無料のネットショップ作成サービスを使って、自分の店を持つ形です。販売手数料が低く、価格やページ構成を自由に設計できます。予約販売、受注生産、サイズオーダーフォームなど、犬服に必要な仕組みも組みやすい。ただし、集客は完全に自力です。SNSやブログからの導線がない状態で店だけ作っても、訪問者はほぼゼロになります。

イベント・販売会

対面で採寸できるので、サイズの失敗が起きにくく、単価も上げやすいチャネルです。その場で実物を見て手触りを確かめてもらえるため、価格の納得度が高い。出店料や交通費、什器の準備といった費用と、丸一日の拘束時間が必要になりますが、1回の販売会でまとまった売上が立つ例も報告されています。オンラインだけで伸び悩んでいるなら、地域の小規模なマルシェから試す価値があります。

SNSは販売所ではなく信頼の置き場所

SNSで直接販売しようとすると、決済も配送も手作業になり、トラブルの温床になります。SNSの役割は「この人に頼めば大丈夫だ」と思ってもらうための材料を置く場所です。制作過程、生地の選び方、サイズの測り方の解説、着用例。こうした情報が蓄積されているアカウントは、購入前の不安を先回りして消してくれます。値付けを上げたいなら、価格を正当化する説明をSNS側で積んでおくのが効きます。

見落とされやすい法律とルール

ここからは私の専門領域の話です。趣味の延長で始めた販売でも、対価を得て継続的に売る以上、いくつかのルールが適用されます。これ、知らない人が本当に多いんです。

通信販売には表示義務がある

ネットショップやハンドメイドマーケットで販売する場合、特定商取引法に基づく表示が必要になります。つまり、事業者の氏名、住所、連絡先、販売価格、送料、支払方法、引渡し時期、返品の可否と条件を、購入者が見られる場所に明記する義務があるということです。多くのプラットフォームは出品者情報の入力欄を用意しているので、そこを埋めれば形式的な要件は満たせます。

個人の住所や電話番号を公開したくないという相談は非常に多く、実際にプラットフォームによっては条件付きで一部の表示を省略できる運用を設けている場合があります。とはいえ、購入者から請求があれば遅滞なく開示する必要があるのが原則です。バーチャルオフィスや私書箱の利用も選択肢になりますが、契約条件によっては特定商取引法上の住所として使えないケースもあるため、契約前に用途を確認してください。

生地の柄と著作権、商標の問題

犬服のハンドメイドで最もトラブルになりやすいのが、生地の柄に関する権利です。キャラクターがプリントされた生地、スポーツチームのロゴが入った生地、ブランドのモノグラム柄。これらを使って作った服を販売すると、著作権や商標権の侵害になる可能性があります。

生地には「個人で楽しむ範囲での利用に限る」といった条件が付されているものが少なくありません。この場合、自分の犬に着せるのは問題なくても、作った服を販売するのは条件違反になります。一方で、権利者が商用利用を許諾しているライセンス生地も存在し、その場合は生地の耳やタグに商用可の表記があります。購入時に必ず確認してください。

判断に迷う柄については、使わないのがいちばん安全です。トラブルが起きてから対応するより、最初から権利がクリアな生地を選ぶほうがコストは低い。なお、個別のケースで侵害にあたるかどうかの判断が難しい場合は、弁護士や弁理士に相談してください。この領域は事実関係で結論が変わります。

受注生産と返品のルール

サイズオーダーの受注生産は、犬服ハンドメイドの中核となる売り方ですが、返品トラブルが起きやすい形態でもあります。通信販売にはクーリングオフの制度が適用されません。その代わり、返品の可否と条件を表示していない場合には、購入者が一定期間内に返品できる旨が法律上定められています。つまり、「オーダー品のため返品不可」と明示していなければ、返品を受けざるを得ない状況になり得るということです。

実務上のおすすめは、次の3点を注文前に必ず提示することです。1つ目、採寸方法を図解で示し、購入者に測ってもらった数値を控えとして残す。2つ目、完成イメージと使用する生地を注文確定前に画像で共有する。3つ目、オーダー品は返品不可であること、ただし縫製不良や採寸指示との相違があった場合は無償で修正または再制作すること。この3点を書いておくだけで、揉める確率は大きく下がります。

収入が増えたら税務の手続きが必要になる

副業として販売している場合、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。ここでいう所得は売上ではなく、売上から必要経費を引いた金額です。材料費、送料、梱包資材、ミシンの購入費、プラットフォーム手数料、撮影用機材などは経費に計上できます。日々のレシートを残しておくかどうかで、納める税額が変わります。

継続的に販売するなら開業届の提出も検討対象です。事業所得として申告できれば青色申告特別控除の対象になり、赤字が出た年の扱いも変わります。制度の詳細や申告書の書き方は国税庁の案内が一次情報として確実です。

所得税は、個人の所得に対してかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算します。 出典: nta.go.jp

なお、家族の扶養に入っている場合、収入が一定額を超えると扶養から外れる可能性があります。健康保険の扶養要件は加入している保険者ごとに基準が異なるため、販売量を増やす前に勤務先や保険者に確認しておくと安全です。

効能をうたう表現には注意する

「この服を着せれば皮膚炎が治ります」「アレルギーが改善します」といった表現は避けてください。治療効果を断定的にうたうと、景品表示法上の優良誤認や、他の法令に触れる可能性が出てきます。「掻きむしりを物理的に防ぎやすい形状にしています」「肌当たりの柔らかい素材を選んでいます」といった、事実として説明できる範囲の表現にとどめるのが正解です。※症状のある犬に着せる服を扱う場合は、獣医師の指示を優先するよう商品説明に添えておくと親切です。

初心者がつまずく典型的な失敗

相談を受けてきた中で、繰り返し出てくる失敗のパターンがあります。先に知っておけば避けられるものばかりです。

失敗1. 原価を計算しないまま「相場」に合わせる

いちばん多い失敗です。他の出品者の価格を見て「だいたい3,000円くらいか」と決めてしまう。しかし他人の価格は、その人の制作時間、仕入れルート、使っている設備の上に成り立った数字です。同じ価格を真似ても、自分の原価構造では赤字になることがあります。相場は参考情報であって、決定根拠にはなりません。

失敗2. サイズトラブルで利益が飛ぶ

犬の体型は犬種内でも個体差が大きく、既製品のサイズ表記がそのまま使えません。首回り、胴回り、着丈の3点を購入者に測ってもらう仕組みを作らないと、「小さすぎた」「入らない」という連絡が続きます。1件の交換対応で、その服の粗利は消えます。採寸手順を図解した固定ページを用意し、注文フォームで数値を必須入力にするだけで、この失敗はかなり防げます。

失敗3. 写真で伝わっていない

犬服の購入判断は、ほぼ写真で決まります。生地の質感、縫い目の丁寧さ、着たときのシルエット。これらが伝わらない写真だと、どれだけ丁寧に作っていても価格の根拠になりません。自然光の下で、白い背景と、実際に犬が着ている状態の両方を撮る。この2種類が揃っているだけで、同じ商品の成約率は変わります。

失敗4. 設備投資を回収する前に手を広げる

私自身、開業したての頃に似た失敗をしました。相談業務を始めるにあたって、必要かどうかを検討する前に書籍やシステムを一通り揃えてしまい、実際に使ったのはその半分ほどでした。回収の見込みを立てずに先に道具を買うと、その分だけ損益分岐点が上がります。ミシン、ロックミシン、カッティングマット、アイロン台。犬服の制作でも同じで、最初は手持ちの道具で始めて、月10着を安定して売れるようになってから設備を足すほうが、資金繰りは楽になります。

失敗5. 問い合わせ対応の時間を数えていない

オーダー品を扱うと、購入前後のメッセージ対応が積み上がります。採寸の相談、生地の質問、納期の確認、到着後のお礼。1件あたり15分でも、月20件なら5時間です。この時間は原価に含めるべきコストであり、よくある質問をまとめたページを用意して短縮できる部分でもあります。

最初の3ヶ月でやることを順番に決める

始め方に迷っている方向けに、優先順位を整理します。

1ヶ月目、自分の原価を数字にする

まず3着だけ作って、材料費、制作時間、資材費を実測します。この段階では販売しなくて構いません。目的は「自分がこの服を作るのに何がいくらかかるのか」を把握することです。ここが曖昧なまま販売を始めると、後から価格を直すのが難しくなります。

2ヶ月目、価格と表示を整える

原価が分かったら、目標時給を決めて価格を計算します。同時に、特定商取引法の表示、返品条件、採寸方法の案内ページを作ります。撮影の環境も整えておきます。この段階で使う生地の権利関係を確認し、商用可の生地だけに絞り込んでおくと後が楽です。

3ヶ月目、少数のチャネルで実際に売る

チャネルは1つか2つに絞ります。最初から複数のプラットフォームに同時出品すると、在庫管理と問い合わせ対応が破綻します。売れた分の実績データ、つまり何がどの価格で何日で売れたのかを記録しておくと、4ヶ月目以降の判断材料になります。

稼ぐコツは「作る時間」以外を削ること

コツとして繰り返し伝えているのは、収入を伸ばす余地は縫製時間よりも周辺作業にあるということです。商品説明のテンプレート化、よくある質問ページの整備、採寸フォームの標準化、梱包資材のまとめ買いと事前組み立て。これらは一度整えれば毎回の作業時間を削り続けてくれます。縫うスピードを10%速くするより、周辺作業を30%削るほうが、たいてい簡単で効果が大きい。

在宅で収入を作るという視点から見た犬服ハンドメイド

最後に、在宅で働くという広い枠組みの中で、犬服ハンドメイドがどんな位置にあるのかを整理します。

手を動かす仕事と、時間の売り方

在宅ワークは大きく、成果物を納品する仕事と、スキルを時間単位で提供する仕事に分かれます。犬服ハンドメイドは前者ですが、物理的な制作時間が必ず発生するという点で、デジタル制作物とは性質が違います。文章や動画は納品後の複製コストがほぼゼロですが、服は1着ごとに材料と時間が必要です。

この違いは単価構造に表れます。たとえば動画編集フリーランスの単価相場【2026年】|月収50万円を超える方法では、編集スキルと納品速度が単価を押し上げる仕組みを扱っています。文章の仕事についても、著述家,記者,編集者の年収・単価相場で職種としての報酬水準を確認できます。犬服ハンドメイドの時給を判断するとき、こうした他の在宅ワークの水準を横に並べてみると、自分の値付けが妥当かどうかが見えやすくなります。

また、身体を使う個人サービス型の働き方との比較も参考になります。オンラインパーソナルトレーナーの副業|資格・始め方・月収の目安を解説は、1対1の対応に時間がかかる仕事をどう組み立てるかという点で、オーダーメイドの犬服販売と構造が似ています。

顧客対応の文章力は、そのまま単価に効く

犬服のオーダー販売は、実は文章のやりとりが売上を左右します。採寸のお願い、納期の連絡、仕様変更の確認。この文面が丁寧で分かりやすいだけで、購入者の安心感は大きく変わります。ビジネス文書の型を押さえておくと、こうしたやりとりの質が安定します。ビジネス文書検定は、依頼文や確認文の基本的な書き方を体系的に学べる資格として、対人のやりとりが多い在宅ワーク全般で役立ちます。

20年この市場を見てきた立場からの観察

在宅ワークと副業の市場を20年運営してきた立場から言うと、長く続いている人には共通点があります。作品の完成度が最も高い人が残るのではなく、「この人に頼むと楽だ」と思われる関係を作れた人が残っています。採寸の案内が分かりやすい、納期の連絡が早い、届いた後に不具合があってもすぐ対応してくれる。技術ではなく、取引としての安心感です。犬服のようにサイズの個体差が大きい商材では、この差が決定的になります。

もうひとつ、運営者として見てきた限りで確かなのは、間に入る事業者が多いほど、作り手の手元に残る金額が薄くなるということです。同じ5,000円を購入者が払っても、仲介が二段三段と重なれば作り手の取り分は目減りします。逆に、依頼者と作り手が直接つながる形なら、手数料0%で取引できる仕組みのもとでは同じ予算でより多く頼めますし、受け手の手取りは厚くなる。この構造は金額の大小の話ではなく、続けられるかどうかという質の話です。手取りが薄い仕事は、どれだけ好きでも数年で息切れします。長く見てきて、これは何度も繰り返された光景です。

犬服ハンドメイドをスキル資産として見る

犬服の制作で身につくのは、縫製技術だけではありません。原価計算、価格設計、写真撮影、商品説明の執筆、顧客対応、在庫管理、確定申告。これらは業種を問わず使える汎用スキルです。実際、ハンドメイド販売を経て別分野の在宅ワークに広げていく人は珍しくありません。技術寄りの在宅ワークに関心があるならソフトウェア作成者の年収・単価相場、企画や支援の側に回るならAIコンサル・業務活用支援のお仕事のような領域も、選択肢として視野に入ります。

犬服ハンドメイドの月収を上げる道筋は、突飛な裏技ではありません。原価を数字にする、適正な価格を計算する、価格に見合う価値の伝え方を整える、手数料の低いチャネルへ少しずつ移す。この4つを順番に回すだけです。そして、その過程で作った表示や規約や記録は、そのままトラブルからあなたを守る盾になります。法律はあなたの味方です。

よくある質問

Q. 犬服のハンドメイド販売は月にどれくらいの収入になりますか?

販売価格から材料費、販売手数料、送料、資材費を引いた粗利に、売れた着数を掛けた金額が収入です。粗利2,000円の服を月20着売れば粗利合計4万円ですが、制作と発送で50時間前後かかるため時給は1,000円を下回ることが多くなります。まず自分の原価と所要時間を実測し、時給いくらで働いているかを把握するところから始めてください。

Q. 犬服の値段はどうやって決めればよいですか?

材料費に予備率15%を乗せ、制作時間に目標時給を掛けた人件費、梱包資材費、送料負担を足します。その合計を「1から手数料率を引いた数」で割ると販売価格になります。手数料11%なら合計を0.89で割ります。他人の価格を参考にするのは構いませんが、原価構造は人によって違うため、相場をそのまま決定根拠にしないでください。

Q. キャラクターの柄が入った生地で作った犬服を売ってもよいですか?

販売は避けてください。多くのキャラクター生地は個人利用に限定されており、作った服を販売すると著作権や商標権の侵害になる可能性があります。生地の耳やタグ、購入ページに商用利用の可否が記載されているので必ず確認し、商用可の生地だけを使うのが安全です。判断が難しいケースは弁護士や弁理士に相談してください。

Q. 副業で犬服を販売する場合、確定申告は必要ですか?

給与以外の所得が年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。ここでいう所得は売上ではなく、売上から材料費、送料、梱包資材、プラットフォーム手数料などの必要経費を引いた金額を指します。継続的に販売するなら開業届の提出も検討対象で、青色申告を選べば控除の面で有利になります。制度の詳細は国税庁の案内を確認してください。

この記事について

@SOHO
編集部

監修:@SOHO編集部

2004年よりフリーランス・在宅ワーク向けサービスを20年運営。編集部が事実確認のうえ公開しています。

公開:2026年6月20日最終更新:2026年9月6日
長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津@SOHO編集部

行政書士・元企業法務

企業法務で数多くのフリーランス契約を扱った経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

フリーランス

フリーランス

フリーランスの独立・営業・実務ノウハウ

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

AI活用

AI活用

職種別にChatGPT・生成AIを活用して業務効率化・収益化するノウハウ

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師の転職・求人

看護師の転職・求人

看護師の転職・派遣・単発バイト・副業など働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

薬剤師の転職・求人

薬剤師の転職・求人

薬剤師・登録販売者の転職・派遣・パートなど働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

介護職の転職・求人

介護職の転職・求人

介護職・介護福祉士・ケアマネジャー・訪問介護員の転職・派遣・夜勤など働き方のガイド

保育士の転職・求人

保育士の転職・求人

保育士・保育補助・幼稚園教諭の転職・派遣・パートなど働き方のガイド

医療職の転職・求人

医療職の転職・求人

医師・産業医・リハビリ職・歯科衛生士・管理栄養士・医療事務の転職や働き方のガイド。診療や医学の情報は扱いません

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

アウトソーシング・外注ガイド

SNS運用・経理・広告など、業務のアウトソーシング(外注)を検討する企業・個人向け。費用相場・依頼の流れ・失敗しない選び方