業務委託での「疑似雇用(偽装請負)」リスク!指揮命令権に縛られない働き方

長谷川 奈津
長谷川 奈津
業務委託での「疑似雇用(偽装請負)」リスク!指揮命令権に縛られない働き方

この記事のポイント

  • 業務委託契約でありながら実態は労働者派遣に近い「偽装請負」
  • その判断基準となる指揮命令権や法律上のリスク
  • 2024年施行のフリーランス新法を踏まえた最新の注意点や

バンコクで日本企業の案件をリモートでやってるんですが、正直、生活コストは東京の3分の1です。家賃4万円で駅近のプール付きコンド。コワーキングスペースは月8,000円。昼ごはんは屋台で200円。これで月収は東京時代と変わらない。円安で若干きつくなりましたけど、それでも東京に戻る理由が見当たらないんですよ、これが。ただ、場所は自由でも「契約の形」が自由じゃないと、気づかないうちに法律違反の片棒を担がされるリスクがあるんです。

偽装請負とは何か?法律が禁じる「名前だけの業務委託」

フリーランスとして活動していると、契約書には「業務委託契約」と書かれているのに、実態は会社員のように扱われるケースに遭遇することがあります。これが「偽装請負」です。法律上、請負契約や準委任契約では、発注者は受注者に対して直接的な「指揮命令」を出すことができません。

偽装請負とは、業務委託で請負契約を結んでいるにもかかわらず、労務の実態が労働者派遣に該当することを指します。偽装請負は違法行為であり、各法律に基づいた罰則もあります。

実態が「派遣」であるならば、本来は労働者派遣法に基づく許可が必要ですし、社会保険や労働基準法の適用も変わってきます。企業側がこれらの責任を回避するために業務委託の形を装うことは、労働者の権利を侵害する行為として厳しく制限されているんですよ、これが。

特に、厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/)のガイドラインでは、形式的な契約名目よりも「実態」が重視されます。もしあなたが「朝9時に出社しろ」「ランチはこの時間に取れ」「この手順で一字一句違わず作業しろ」と細かく指示されているなら、それは請負ではなく雇用に近い状態、つまり偽装請負の疑いがあります。

指揮命令権の有無が分かれ目!判断基準となる3つのポイント

偽装請負かどうかの最大の判断基準は、発注側に「指揮命令権」があるかどうかです。請負契約は「成果物の完成」に対して対価が支払われるものであり、そのプロセス(いつ、どこで、どうやって作るか)は受注者の裁量に任されるべきものです。

雇用する労働者の数を抑えて、フリーランスなどに対する業務委託を増やす会社がありますが、偽装請負のリスクに注意が必要です。業務委託が偽装請負に当たる場合、企業は法律違反の責任を問われるおそれがあります。本記事では企業側の視点から、偽装請負の概要やリスク、偽装請負に当たるかどうかを判断するためのポイントなどをまとめました。

具体的には、以下の3つのポイントでチェックします。

  1. 業務の遂行に関する指示:作業の方法を細かく指定されたり、逐一指示を仰ぐ必要があるか。
  2. 時間的・場所的な拘束:勤務時間や勤務場所が指定され、自由に変更できないか。
  3. 労働者性の代替性:自分以外の人間が代わりに作業することが認められているか(請負なら成果が出れば誰でも良いはずです)。

以前、私の知人が日本のあるIT企業から「フルリモート・業務委託」で案件を受けた時の話です。蓋を開けてみたら、毎日10時のオンライン朝会への参加が必須で、さらに業務中は常時カメラオン、チャットの返信は5分以内というルール。これ、バンコクのコワーキングスペースでやってたら完全に自由が死にます。これは典型的な「拘束」であり、請負の範囲を超えている可能性が高いんですよ、これが。

企業とフリーランス双方が負う法律違反のリスクと罰則

偽装請負が発覚した場合、罰則を受けるのは主に企業側ですが、フリーランス側にも無関係ではないリスクが生じます。主な適用法律は「労働基準法」「労働者派遣法」「職業安定法」の3つです。

上記のモデルケースでは、A社に雇用されている労働者Xが、別の会社であるB社の指揮命令下で働いています。自社の労働者を別の会社の指揮命令下で働かせることは「労働者派遣」に当たりますが、A社とB社の間で実際に締結されているのは「業務委託契約」です。労働者派遣を業務委託などに偽装するものとして、上記のパターンを「労働者派遣型」の偽装請負と呼ぶことにします。

企業側の罰則としては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金などが科される可能性があります。また、行政指導や社名の公表が行われることもあります。

フリーランス側にとっての最大のリスクは、契約の不安定さです。「雇用」ではないため、ある日突然「明日から来なくていい」と言われても、労働基準法の解雇予告手当などの保護が受けにくい。しかし、実態が「労働者」であると認められれば、遡って残業代の請求や労働保険の適用を主張できる場合もあります。とはいえ、最初から健全な関係を築くことがおすすめなのは言うまでもありません。

最新の動向としては、2024年に施行された「フリーランス保護新法」があります。これは偽装請負そのものを定義するものではありませんが、発注側による「買いたたき」や「ハラスメント」を禁じており、業務委託の適正化を後押しする大きな潮流となっています。

市場動向と案件の質:AIとエンジニア需要から見る2026年

手数料0%で知られるプラットフォームのデータを見ると、2026年現在のフリーランス市場は「二極化」が進んでいます。単純な作業代行はAIによる自動化で単価が下落傾向にありますが、AIを使いこなすコンサルティングや、高度な技術を要する開発案件はYoY(前年比)で15%以上の単価上昇を見せています。

例えば、Pythonを用いたデータ分析案件は3年前比で案件数が2.2倍に増えています。クライアント側の予算レンジも、月額単価80万円から120万円程度を提示する企業が珍しくありません。

ここで重要になるのが「業務の切り出し方」です。偽装請負を避けたい優良なクライアントほど、タスクを明確に定義し、フリーランスの裁量を尊重する傾向にあります。逆に、予算が低く、かつ「何でも屋」として便利に使おうとするクライアントほど、指揮命令が過剰になりがちです。

AIの活用により、業務の効率化は加速しています。例えば、AIコンサル・業務活用支援のお仕事では、単なる作業ではなく「仕組みづくり」が求められるため、請負としての独立性を保ちやすいというポイントがあります。

契約前に必ず確認!偽装請負を回避するチェックリスト

トラブルを未然に防ぐためには、契約締結前の確認が欠かせません。以下の項目をチェックして、少しでも違和感があれば交渉するか、その案件を見送る勇気を持つことが重要です。

  • 勤務時間の指定:コアタイムや固定の始業・終業時間が設定されていないか。
  • 場所の自由:原則として自宅やカフェでの作業が認められているか(セキュリティ上の理由以外での出社強要はないか)。
  • 備品の提供:PCやデスク、ネット環境などを自分のものを使えるか(会社から支給され、かつ私用禁止の場合は労働者性が高まります)。
  • 他社案件の並行:副業や他社案件の受託が自由にできるか。
  • 断る権利:個別のタスクに対して、スケジュールやスキルの都合で拒否する権利が明文化されているか。

契約書にこれらの項目が曖昧な場合は、別途「確認書」を交わすのも一つの手です。また、実務に役立つフリーランスの業務委託契約書テンプレート|最低限入れるべき10項目を活用して、自分を守るための条項を盛り込んでおきましょう。

ちなみに、私はタイから仕事をしているため、物理的に「出社しろ」と言われることはありません。これが究極の偽装請負対策なんですよ、これが。もし、あなたが日本のクライアントと契約を検討しているなら、まずはフリーランスの業務委託契約のチェックポイント10選を読んで、防御力を高めておくことをおすすめします。

専門スキルと単価相場を知る重要性

自分が請負として対等な立場に立つためには、専門的なスキルセットを証明することも有効です。例えば、インフラエンジニアであればCCNA(シスコ技術者認定)などの資格を保有していることで、具体的な「技術の提供」として契約の目的が明確になります。

また、デザイナーの年収・単価相場などを把握しておくことで、あまりに低い単価で労働者並みの拘束を強いる「ブラック案件」を見抜くことができます。市場の平均を知ることは、適正な契約形態を勝ち取るための最大の武器になります。

組織としての対応:発注者側の視点

発注者側も、人材不足を背景に業務委託契約で人材を募集する方法|正社員採用との違い【2026年版】を模索しています。まともな企業であれば、コンプライアンス遵守のために「偽装請負」を最も嫌がります。もしあなたが「これって指揮命令になりませんか?」と冷静に指摘して、嫌な顔をするような企業であれば、将来的にトラブルに巻き込まれる可能性が高いと判断して良いでしょう。

さらに専門的な分野では、研究者の年収・単価相場に見られるように、高度な専門知識の提供が主体となります。こうした分野では、発注側が指示を出せるはずもない(受注者の方が詳しい)ため、自然と偽装請負のリスクは低くなります。自分の専門性を高め、「代えの効かないプロ」として振る舞うことが、法的な自衛にもつながるんですよ、これが。

まとめ:自律したフリーランスとして生き抜くために

偽装請負は、単なる事務的なミスではなく、労働基準法の根幹を揺るがす重大な問題です。「自分は自由なフリーランスだ」と思っていても、実態が不当な拘束下にあれば、それは名ばかりの自営業に過ぎません。

今の時代、アプリケーション開発のお仕事AI・マーケティング・セキュリティのお仕事など、高単価かつ自律性の高い案件は山ほどあります。わざわざ古い体質の「疑似雇用」に甘んじる必要はありません。

契約時にはビジネス文書検定などで培った正確なコミュニケーション能力を活かし、対等なビジネスパートナーとしての契約を勝ち取りましょう。バンコクのプールサイドで冷たいココナッツジュースを飲みながら、日本のクライアントとスマートに仕事をこなす。そんな自由を手に入れるためには、法律という名の盾を正しく持つことが不可欠なんですよ、これが。

よくある質問

Q. 「業務委託」契約なのに、毎朝のミーティング参加や進捗報告を細かく求められます。これって違法ですか?

ミーティング参加が単なる情報の共有や調整の範囲を超え、作業の具体的な進め方につ いて細かな指示(指揮命令)を伴う場合は、偽装請負の疑いがあります。請負契約は「 成果物の完成」に対して対価が支払われるものであり、そのプロセスをどう進めるかは 、本来受注者であるフリーランスの裁量に任されるべきだからです。

Q. クライアントからPCを借りて作業していますが、これも「偽装請負」の判断材料になりますか?

はい、判断材料の一つになります。PCやデスク、ネット環境などの備品は自前で用意す るのが請負・業務委託の原則であり、会社から支給され、かつ私用禁止などで厳格に管 理されている場合は「労働者性」が高い(雇用に近い)とみなされやすくなります。た だし、セキュリティ上の理由で支給されるケースもあるため、他の拘束条件と合わせて 総合的に判断されます。

Q. 偽装請負だと判定された場合、フリーランス側にも罰則があるのでしょうか?

法律上の罰則(懲役や罰金)が科されるのは、主に発注者である企業側です。しかし、 フリーランス側にとってもリスクはあります。実態が「労働者」であるにもかかわらず 、雇用保険や労災保険に入っていない無防備な状態で働かされることになり、突然の契 約終了(解雇)に対して労働基準法による保護が受けにくいなど、非常に不安定な立場 に置かれることになります。

Q. フルリモートで働いていれば、偽装請負のリスクはないと考えて良いですか?

いいえ、場所が自由でもリスクはあります。例えば「チャットの返信は5分以内」「業 務中は常時カメラオンで監視」といったルールがあり、時間的に厳格に拘束されている 場合は、リモートであっても実質的な指揮命令下にあるとみなされます。場所の自由度 よりも、仕事の進め方や時間配分に「自己裁量」があるかどうかが重要なポイントです 。

@SOHOでキャリアを加速させよう

@SOHOなら、あなたのスキルを求めているクライアントと手数料無料で直接つながれます。

@SOHOで関連情報をチェック

お仕事ガイド

年収データベース

資格ガイド

長谷川 奈津

この記事を書いた人

長谷川 奈津

行政書士・元企業法務

企業法務で年間200件以上のフリーランス契約を処理した経験を活かし、フリーランス向けの法律・契約・権利に関する記事を執筆。「法律はあなたの味方です」がモットー。

@SOHOで仕事を探してみませんか?

手数料0%・登録無料のクラウドソーシング。フリーランスの方も企業の方も、今すぐ始められます。

関連記事

カテゴリから探す

クラウドソーシング入門

クラウドソーシング入門

クラウドソーシングの基礎知識・始め方・サイト比較

職種別ガイド

職種別ガイド

職種・スキル別の案件獲得方法と単価相場

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワーク

副業・在宅ワークの始め方と対象者別ガイド

お金・税金

お金・税金

確定申告・節税・経費・ローンなどお金の知識

スキルアップ

スキルアップ

プロフィール・提案文・単価交渉などのテクニック

比較・ランキング

比較・ランキング

サービス比較・おすすめランキング

最新トレンド

最新トレンド

市場動向・法改正・AIなど最新情報

発注者向けガイド

発注者向けガイド

クラウドソーシングで外注・人材探しをする企業・個人向け

転職・キャリア

転職・キャリア

転職エージェント・転職サイト比較・キャリアチェンジ

看護師

看護師

看護師の転職・副業・フリーランス・キャリアガイド

薬剤師

薬剤師

薬剤師の転職・副業・キャリアパスガイド

保険

保険

生命保険・医療保険・フリーランスの保険設計

採用・求人

採用・求人

無料求人掲載・採用コスト削減・人材募集の方法

オフィス・ワークスペース

オフィス・ワークスペース

バーチャルオフィス・コワーキング・レンタルオフィス

法律・士業

法律・士業

契約トラブル・士業独立開業・フリーランス新法

シニア・50代

シニア・50代

シニア世代のキャリアチェンジ・副業・年金

セキュリティ

セキュリティ

サイバーセキュリティ・脆弱性対策・情報保護

金融・フィンテック

金融・フィンテック

暗号資産・決済・ブロックチェーン・金融テクノロジー

経営・ビジネス

経営・ビジネス

経営戦略・ガバナンス・事業承継・知財

ガジェット・機材

ガジェット・機材

フリーランスに役立つPC・デバイス・周辺機器

子育て×働き方

子育て×働き方

子育てと在宅ワークの両立・保育園・時間管理

補助金・助成金

補助金・助成金

個人事業主・フリーランスが使える公的補助金・助成金・給付金の申請ガイド